LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

明日の修論発表に向けての予想質問

はじめに
修論の発表は明日だ。正式には、最終審査会という。誰が何を審査するのかといえば、発表を聞く教授陣が発表者の内容を評価する。すでに修論の報告書は提出していて、普段指導頂いている主査に加えて、副主査が2名指定されている。また、発表会には主査、副主査を含めて12名が参加される予定だ。

発表の内容
基本的にはこれまで述べてきたような技術士の活性化だ。特に社外活動をすることは会社にも社会にも本人にもよく効果があるだろう。組織に依存したキャリア形成ではなく、自律的なキャリア形成が重要だ。技術士は何を目指すべきか、50歳以降も活躍するにはどうすれば良いか。そんなことを発表するつもりだ。
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論文の評価
提出した修論を読んでいるのは、主査1名と副主査2名の合計3名だ。明日の発表会の持ち時間は30分だ。発表が15分、質疑応答が15分だ。ここでは、副主査をS先生とH先生とする。評価項目は革新性、論理性・実現性、拡張性の3点だ。どんな質問が来るかを予想するのは難しいが、ちょっとトライしてみよう。

S先生
(1) キャラクター

基本的には優しい人格だ。きついことはあまり言わない。メーカーの技術者出身なので技術的な面ではこだわりがあるかもしれない。サイボウズのkintoneなどの授業もされている。自分も聴講しようと思ったけど、ビデオ学習だったので正式な聴講はパスした。正式な授業でないためもあるが、ビデオを聴講するとほぼ夢の中だった(笑)。その意味ではあまり印象は良くないかもしれない(汗)。

(2) 予想の質問
・スターモデルの有効性は検証できているのか?
・最新技術へのキャッチアップは50歳以降は厳しいのではないか?
・相乗効果を期待できない社外活動もあるだろう?
・社内活動と社外活動の最適バランスは?
・データ分析の部分で質問があるかもしれない。

H先生
(1) キャラクター

基本的には、悪い性格ではないし、悪い人ではないけど、物事を斜めから見る傾向がある。複数のビジネスを立ち上げた実業家でもある。最近ではLEDで野菜を水耕栽培するビジネスを展開されている。昨年の夏には授業も受けたが、自分のミスで正式な受講ではなかったけど、まあまあ良い評価はしていただけた。これまで2回の中間発表があったけど、2回ともH先生とY先生だった。今回は、Y先生の代わりにS先生だ。

(2) 予想の質問
・キャリア開発は50代、60代ではなく、もっと早く始めるべき?
・結局何を課題と考えて、どのように解決したのか?
・自律的キャリア実践に必要な4つの資産は独自の理論か?
・スターモデルは本当に正しいと言えるのか。

プレゼンの評価
主査と副主査の2名は論文の評価を行う。そして、その3名以外の9名はプレゼン及びプレゼン後の質疑応答を聞いて、プレゼンの評価を行う。もちろん質問をすることもできるが、これまでの事例を見ると質問までする人はまれだ。第三者的な立場からの評価となる。これまでは4つのグループに分かれていたので参加する教授は6名だったけど、今回は2つのグループに分けれているので、初めて聞くひとが6名いる。この初めて聞く人がどのように感じるのかも大事なポイントかもしれない。

まとめ
明日のプレゼンがうまくできるかどうか。2名の副主査の教授や他の教授からどのような質問が出るのかはよくわからない。まあ、最善を尽くすしかない。どんな質問が出て、どんな回答をしたかを全て書くことはできないかもしれないけど、フィードバックできることは可能な範囲でこのブログでも披露できればと思っている。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

仮説の検証方法 ⇨ 調査方法=定量+定性

はじめに
修論シリーズ(その4)だ。修論を仕上げるには、仮説を設定し、その仮説を検証する必要がある。しかし、あることを解明するとまた新しい疑問が湧いてくる。その疑問に対して仮説を設定して、またそれを検証する。このような仮説の設定と仮説の検証を繰り返すことで、説得力のある論を張れるようようになる。
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出典:仮説・検証の3つの効果 その5 | 経営を学ぶ~経営学・MBA・起業~

疑問力
日本では与えられた問題を解くことが勉強だ。しかし、本当に大事なことは疑問を感じる力だ。疑問力といって良いかもしれない。疑問が明確になれば、最近ならググれば良い。しかし、疑問を何も感じなければ調べようがない。大事なことは好奇心であり、探究心であり、疑問力ではないだろうか。

貧乏は工夫を生む
親父は商売のセンスがあり、それなりにうまく稼いでいたようだ。しかし、胃癌で自分が5歳の時に亡くなった。42歳という若さだった。このため、生活は楽ではなく、必要なもの以外は欲しいと言える状況ではなかった。幸い姉と兄がいたので、お古の教科書が自分の参考書だった。算数が好きだったけど、市販のドリルを本屋で見ると中身が薄い割に高い。このため、自分でドリルを作成した。だって、簡単だ。A+B=Cなので、C-BはAだ。このため、適当なAとBを書いて、それを足してCを求める。今度は、Aの列を隠して、C-Bを計算する。掛け算と割り算もこれでできる。こんな工夫は貧乏だからこそ生まれた知恵かもしれない(笑)。

先行研究と独自研究
話がずれてしまったけど、何かを研究するときには、先行研究を棚卸しする。最近ならキーワードでググれば検索できる。この時のコツは、Googleの検索画面の設定で、検索オプションを選択して、ファイル形式をPDFにすることだ。そうすると高い確率で論文のようにまとまった資料を効率的に検索することができる。自分の場合には、それをエクセルの管理表にタイトルと著者とURLをコピペした。興味の赴くままに色々と調べたら286にのぼった。その全てを精読したかというと甚だ自信がないが、タイトルとの紐付けでなんとなく覚えている。なので、参考文献を探すときには、そのリストでキーワードや著者で検索するとすぐに見つかる。これは結構お勧めだと思う。そして、先行研究することの目的は学習ではない、現時点での研究の限界というか最先端の課題を抽出することだ。現時点で明らかになっていないことがわかれば、それは自分の研究テーマとなる。そうすると独自研究の出番だ。
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出典:https://www.waseda.jp/library/news/2017/08/30/3756/

定量分析としてのアンケート調査
独自に調査する場合の基本は定量分析と定性分析だろう。定量分析で最も一般的なのはアンケート調査だろうか。仮説を設定し、どのように検証したいかを考えて設問を設計することが重要だ。大学院に入ってからマクロミル社のQuestantというサービスを知り、有料会員になり、合計23回のアンケートを行った。副業にテーマを変えたときにもQuestantで調査して、その後、専門家のリストを作成して、専門家に回答を依頼した。技術士知名度は低いと言われるがどのように低いかのデータがないため、これまたQuestantで調査した。そんなデータは独自のデータなので貴重だし、如何様にも分析できる。
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出典:https://inglow.jp/weblog/marketingword/teiryo-teisei/

ZOOMによるオンラインヒアリング
定性分析で思いつくのはインタビューだ。これまでだと、名刺を作って、ヒアリング相手を探して、アポをとって、喫茶店かどこかで待ち合わせて、ヒアリングを実施する必要があった。でも、コロナ禍ではそれも難しいけど、ZOOMを使えば簡単にオンラインヒアリングが可能だ。今回は17名の専門家とヒアリングをおこなったけど通常のヒアリングと同等以上の成果をえた。多分、その理由は時間の有効利用だと思う。相手の都合とこちらの都合のマッチングさえ取れれば、ZOOMで予約して、URLを送ればそれで準備は完了だ。初対面の人でも顔を見ればある程度イメージは掴める。ピークのときには、土日で3件ずつこなした。東京地区だけでなく、北関東だったり、関西だったり、九州だったりしても関係がないのも嬉しい。時空を超えた感じがする。
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出典:https://www.fp-kazuna.com/zoom-study/

まとめ
課題や目的が決まったら仮説を設定して、それを検証するためのデータを集める。先行研究で限界を見つけて、独自研究でオリジナリティを示す。元になるのはアンケートのデータとヒアリングデータだ。ただし、これは今回のケースであって、研究テーマによっては、実験データなどを活用するケースもあるだろう。悩ましいのは、研究を続けると新しい疑問が出たり、新しい発見に気づくことだ。その場合に、初期に定めた課題や目的を変更するのか、維持するのかは結構悩ましい。今回は、指導教官に相談して、アドバイスをもらって、それに従うようにした。この辺りの見極めをしっかりとしないと仮説と検証ばかりを繰り返すことにもなりかねないので注意が必要だと思った。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

技術士が目指すべき方向性と分析の視点

はじめに
修論シリーズ(その3)だ。修論修士論文、つまり修士として認定してもらうための論文だ。論文は論じる必要がある。説明文や報告文、感想文ではない。では何をどのように論じるべきか。そのあたりを簡単にまとめてみたい。

目指すべき方向性
今回の論点は技術士の活性化だ。つまり、資格を取ることはゴールではなくスタートのはずだ。しかし、難関の技術士試験に合格して登録した後に何もしない人は少なくない。技術士の9割以上は企業内技術士だ。また、企業内技術士のうち、問題のない範囲で副業(有償の社外活動)をしている人は、今回の調査ではわずか16%ほどだった。その多くは企業の就業規則で副業を禁止しているためだ。しかし、前回のブログでも示したように心身を自己管理し、企業との競合がなく、公序良俗にも反しないことであれば、その副業を禁止することが違法である。そのことを企業はよく理解しているはずなのでまずは企業とよく相談すべきだ。

分析の視点
自分は、次のような4つの分析の視点に絞った。最初は知りたいことをアンケート調査で調べてそのまとめをしていたが、それだとやはり分析が浅い。そうではなく、本当にそうなのか。なぜそうなのか。それが本当であれば、何が言えるのか。そんなストーリー展開を求められ、7つほど設定したが、7つは多いということで4つに絞ったという経緯がある。
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視点1:社外活動と社内活動の関係
(1) 企業内技術士は企業内で能力を100%発揮しているのか?

企業は当然ながら社員に対して社内で持てる能力を発揮するように期待する。しかし、持てる能力の100%を社内の特定の業務で発揮することは可能だろうか。そもそも企業内技術士は社内で能力を発揮していると感じているのだろうか?

(2) 社外活動と社内活動は対立的な関係か相乗効果を期待できる関係か
社内の活動と社外の活動は相容れない対立的な活動ではなく、社外で活動した結果、社員の能力やモチベーションや意識が高まり、その結果として社内活動の活性化や効率化に役立つものではないのか?社外活動と社内活動には相乗効果があるのではないかという視点である。

視点2:自律的なキャリア形成の有効性
(1) 技術士の能力は社外活動で磨かれる

前述の通り、技術士の9割以上は企業や官公庁での勤務する企業内技術士である。高度な専門知識と課題解決能力を有する専門家は、企業内での活動に留まるのではなく、社外活動を実践することで能力、経験、人脈、そして自信を深めることができる。

(2) 社内外で活躍できる技術士を目指すには自律的キャリア形成が重要
企業に依存するのではなく、自律的なキャリア形成を図ることで退職後にも技術士として活躍することができるのではないかという視点である。

視点3:技術士が目指すべき方向
(1) 技術士が社内外で活躍するにはどのような能力が重要か

専門家として、活躍するには専門分野での高い能力と経験が重要と考えられるが、具体的にはどのような要素を伸ばすべきなのか。また、技術士などの専門家を目指す人が克服すべき要素は何なのか。

(2) 技術士として社内外で活躍するためのロールモデル
そんなロールモデルを示すことができないかという視点である。技術士中小企業診断士として活躍している専門家との直接ヒアリングの結果に基づいて5つの要素を抽出して、「スターモデル」を提案するとともに、アンケート結果に基づいて定量的に検証するという視点である。

視点4:技術士は50歳代からが勝負
(1) 技術士は年代とともに能力・自信・人脈が向上

技術士は、専門分野での能力を高め、経験を積み重ね、人脈を拡大することで専門家として活動する自信も得ている。社内外で活動する専門家は40代より50代、50代より60代と歳を重ねるほど能力を高められるのではないか。

(2) 課題は健康の維持と最新技術への追随
課題は、体力や健康の維持と、技術革新の激しい分野での最新技術へのキャッチアップだろう。最新技術を取り入れるべくチャレンジし、自己研鑽に勤めることは必要である。

(3) 専門技術を活用できる場の開拓
しかし、最先端でない技術であっても、活用の場を探したり、協力の要請に応じたりすることでさらに新たな知見を得て、人脈を広げ、自信を深めて、専門家としての価値を高まるのではないかという視点である。

一般的に、日本人は、年齢で自らの行動を縛る傾向がある。「60歳を過ぎたのだから、もう新しいことには挑戦できない」という具合に、実際にはまだ十分に活躍できる能力があるのに、自分で制約をかけてしまうのである。これは、本人にとっても、企業にとっても、そして社会にとってももったいないことである。

まとめ
今回は少し抽象的な内容で分かりにくかったかもしれない。次回は、これら検討の視点に対する調査結果を踏まえて考察していきたい。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

江戸時代の定年は70歳、語彙力のピークは67歳。

はじめに
修論シリーズ(その2)だ。今回の修論のテーマは専門家が60歳代以降も活躍するために目指すべき方向性を示すことだ。特に、自分が知る多くの企業内技術士は、取得がゴールとなるっているケースが多い。就業規則で副業禁止されていたため、資格を活用した社外活動を実践する人が少ない。これはもったいないと思って修論のテーマにした。その修論の背景を今回は少し取り上げてみたい。

公明正大とはいえない現状
今回は技術士をターゲットにしたいと考えた。それは自分自身が技術士だからだ。しかし、技術士の多くは企業内技術士であり、その多くは特に技術士としての活動をしていない。活動をしていても報酬を辞退したり、匿名で活動することが多い。これは公明正大とはいえない状況であり、残念に感じる部分だ。
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副業解禁の促進
2018年度に政府は副業解禁を推奨する方向に舵を切った。すでに先行企業は副業解禁と宣言しているし、宣言していなくても多くに企業は検討中だ。判例においては、下の表のようなケースは副業禁止が合法だけど、逆にいえば、心身ともに事故管理をして、会社との競合もなく、公序良俗にも反しない場合に副業を禁止することは違法だ。このことをまず理解する必要がある。
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カマス理論
カマスは敏捷で賢く小魚を食する。同じ水槽に透明な間仕切りで仕切って、カマスと小魚を入れると、最初は何度も小魚を捕らえようとトライするが、ついには諦める。その後で透明の間仕切りを外すとどうなるか。実は何も起こらない。カマスの目の前を小魚が泳いでいても何もせずついには餓死するカマスまで出ると言う。しかし、何も知らないカマスを一匹その水槽に入れると事態は一変する。つまり、小魚を捕らえることができると気付いて覚醒する。
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出典:https://note.com/fukagawa_1225/n/n6db1278213d1

居場所が幸福度を高める
居場所と充実度には相関関係がある。居場所が多いほど充実度は高い。人の能力は多様だ。ある居場所で発揮する能力と他の居場所で発揮する能力は異なる。居場所が複数あれば、多様な人脈を形成できるし、価値観も一つではないことを理解できるだろう。悲しい自殺などを減らすには居場所を増やすことも効果的だと思う。
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多様な働き方でホワイト企業
サイボウズ株式はかつてはブラック企業だった。でも、社員一人一人が自立的に働けるように改革を進めたら、職場が明るくなったと言う。離職率の低下と売上増大を同時に達成したのは凄いと思う。
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脳の能力がピークとなる年齢
人の能力のピークはいつだろう。実は脳は多様であり、能力によってピークとなる年齢が異なる。歳を重ねるとたしかに記憶力は低下するかもしれない。しかし、知識が広がることで、新しい情報を学び理解する能力は50歳がピーク。さらにいえば、語彙力は67歳がピークという。健忘症が日常化する今日この頃だけど、語彙力はまだまだ伸びるということだ。嬉しいレポートだ。
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センテナリアン
100歳以上の人をセントナリアンと呼ぶ。日本では、2020年9月で約8万人だけど、2050年には100万人を超えるという。世界トップクラスだ。高齢化というとマイナスのイメージだけど、本来長寿化は人類の願望だったはずだ。問題は健康な時期をいかに維持するかだ。なお、110歳以上はスーパーセンテナリアンと呼ぶ。
出典:http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/7612363.stm

江戸時代の隠居
現在の日本では55歳で役職定年、60歳で定年、65歳で再雇用終了する大企業が多い。しかし、調べると江戸時代の隠居の年齢は70歳だったと言う。鎌倉時代御家人の引退年齢も70歳が目安だったという。1834年江戸城には70歳長野役人が50人も働いていたとされている。
出店:柳谷慶子『江戸時代の老と看取り』山川出版

生涯現役
日本でも60歳定年から64歳定年、さらには70歳までの就労についても検討されている。連合(日本労働組合総連合会)の調査によると、70歳までの就労機会確保には全体の約7割が賛成だった(2019年12月)。江戸時代の70歳は現代の80歳ぐらいだろうか。70歳ならまだまだ元気だ。
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出典:https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00651/

まとめ
今回は修論の背景でまとめたトピックをいくつかご紹介した。いつまでも元気で居場所のある人生を歩みたいと思う人は多いのではないだろうか。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

修論の提出!これで一区切り。

はじめに
修論の提出締め切りは2月5日(金)の午後1時だ。自分は、本日年休をとって、準備して11時頃に提出した。数えてもらったら9番目だった。まだまだ、今日の午後とか夜とか、明日がんばる人も多いのだろう。ある人は8割できたと言っていた。明日までに間に合うのだろうかと心配になるが、何とかするだろう。まずは一区切りだ。どうしようかと思ったけど、やはり自分にご褒美をしてしまった(笑)修論を取り組むにあたって感じたことや修論で取り組んだ内容の一部をシリーズでお伝えしたい。その意味ではこれはシリーズ(その1)だ。
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テーマ
修論のテーマは、「技術士の社外活動が企業の技術力を高める」というちょっと挑発的なものだ。なぜこのようなテーマにしたのかと言えば、技術士に関する学術論文はほとんどなく、技術士をテーマにするとそれだけで新規性があるというか、意義があると考えた。自分はテーマ難民だったので、ベーシックインカムから、幸福論、貧困論、子ども食堂とテーマが変遷し、副業にしようと決めたのが6月だった。
hiroshi-kizaki.hatenablog.com

アンケートの実施
まずはマクロミル社のQuestantでアンケート調査をして、その結果で第1回中間発表会を凌いだ。その中で、専門家や企業にアンケートを実施すると宣言した。宣言通りに専門家と企業に依頼を出したが、回答率が全然違った。専門家は3割程度は回答してくるるが、企業はわずか6%程度だ。また、専門家からのアンケート結果を集計すると、技術士は問題のない範囲で副業をしているという人が16%と少なかった。やる気がないのかと思うとそうでも無い。企業が認めれば副業をするかには70%が肯定的だった。このため、第2回中間発表では、この点を説明して、専門家へのアンケート補調査とヒアリング調査を進めることにした。
hiroshi-kizaki.hatenablog.com


ヒアリングの実施
第2回のアンケートと共に、実施したのが専門家とのヒアリングだ。アンケートを依頼するときに、ヒアリングの依頼もしていて、それに回答してくれた人にヒアリングをオファーした。最終的には17名の専門家とZOOMでヒアリングをすることができた。年代も30代から70代まで幅広い。部門も建設や、機械、電気、情報と多様な専門家の声を聞くことができた。中には、旧知の方も複数いらして、ZOOMでの新鮮な会話で理解を深めることができた。また、企業へのアンケートは不発に終わったが、そのときに副業解禁で先行するサイボウズ社、エッセンス社、Dayz社からヒアリングに応じて良いとのオファーをいただけた。志を同じくする人たちとの出会いは今回の研究の収穫の一つといえる。第2回発表会とポスターセッションもなんとかこなした。
hiroshi-kizaki.hatenablog.com


先行研究論文や文献の精査
論文を書くには、論文を読み込む必要がある。目的は、論文のお作法や傾向を理解することと、踏み台とする論文の抽出だ。すでに誰かが研究していることを研究しても意味がない。そうではなく、ある人はこのような観点でここまで研究したが、この観点がないとか、この部分の分析が不足しているなどのイチャモンをつけて、だからこそ自分の論文には意味があると主張する必要がある(乱暴な説明になっています)。また、文献も読み解く必要がある。調べると、合計286の論文や文献などをリストアップした。修論でリファーしたのはそのうちの1割程度だ。

ロジックの組み立て
一番難しいのがこの部分だろう。最初に設定した仮説に基づいて調査する。想定通りの部分もあれば、想定以外の部分もある。仮説を追加すべきか、変更すべきか悩む。また、どんどん追加すると仮説がやたらと多くなる。指導教授からも仮説をもっと絞れと指示が飛ぶ。結局、本質的な論点を4つほどに絞って、これを仮説とか、リサーチクエションではなく、今回は分析の視点とした。これは指導教授が好きなフレーズのようだ(笑)。

結論と理論な裏付け
分析の視点を4つに絞ったが、それをどのように検証するのか。今回は、定量的な分析と定性的な分析の両面から理論的な裏付けをとることにした。つまり、アンケートデータに基づくとこのような結果である。そして、ヒアリング結果でもこのような結果である。よって、この仮説は正しいと言えるはずだというものだ。本当かなあ。

今後の予定
2月13日(土)に最終発表会がある。パワポ資料に基づくプレゼンだ。昨年度も、論文とプレゼンが全然異なるものだとか、この論点は検証されていないとか、これでは論文になっていないとか厳しいコメントの応酬があった。ある学生は、「こっちは一生懸命の検討していたのに批判ばかりしてどういうことか」と逆切れする一幕があった。プレゼンテーションは修論の審査の場である。審査されるものは、審査者からの質問に答えて、審査してもらうべき弱い立場だ。今年はどうなるかなあ(笑)。

まとめ
なんとか一区切りはついたが、これで終わりではない。まだ、最終発表会と最終版の作成が残っている。それが終わったら3月24日が卒業式だ。帽子を飛ばすシーンを体験できるのだろうか。卒業しても、勤務は継続する予定だけど、技術士事務所は開設することで勤務先の了解も取れている。勤務しながらなので本格的な活動はできないけど、助走期間を確保できるのは嬉しい。少しづ図、本格的な対応に向けて準備して、60歳代を輝くスターモデル(今回提唱したモデル)を実証したいと思う。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

NiziUを見て感じること

はじめに
今さらかもしれないが、今最も勢いのあるガールズグループはNiziUだろう。今日は、NiziUについて感じることを書き留めたい。
出典:NiziUオフィシャルサイト

www.youtube.com

 

日韓の長所連合
プロデューサーは韓国のミュージシャンであるJ.Y.Parkだ。9人のメンバーは全員日本人だ。一人がアメリカ生まれ日本育ちのNINAだが、他の8人は全員日本生まれの日本育ちだ。韓国語が上手な人も多いが、意外にも韓国人のメンバーはいない。

大事なこと
J.Y.Parkが特に大事にするのは、プロフェッショナルとして世界で通用するガールズグループになることだ。特に評価するのは、歌とダンスとスター性と人間性だ。

素の自分を魅せる
J.Y.Parkが何度も指摘するのは素の自分を出すこと。典型的なダンスや歌い方ではなく、自分たちの魅力をそのまま魅せること。1万人の募集から選ばれた自分たちが特別であることを認識して自信を持つことが大事だと説く。

チームワーク
リーダーもメンバーも互いに心を通わせること。自分だけを良く見せようとするのではなく、チームとして一体感を感じながらパフォーマンスすること。特に腕の角度や身体の向き。指の角度などの細かな部分こそ大切だ。

相手に話しかけるように歌う
歌のレッスンで常に指摘することは、聴いている人との心の繋がりだ。常に聴いている人に話しかけるように自分の声で歌う。歌詞の意味を理解して感情を込めて歌うことだ。

能力のレベルより成長のレベル
練習生にはダンスが上手な人も歌が上手な人もそうでない人もいる。J.Y.Parkが重視するのは、能力のレベルよりも成長の度合いだ。着実に上達した人の努力を認めるから練習生も感激する。それを見ている自分の涙腺まで緩む。

大事なことは結果より過程や心構え
上達する練習生とそうでない練習生がいる。誰がどれほど努力したかは、J.Y.Parkには手に取るように分かるのだろう。そして練習生は努力の過程を評価して貰ったことに感激してさらに努力する。 

人間性
韓国のガールズグループとNiziUの最大の違いは、人間性を重視している点だと思う。自分さえ良ければと言う考えの人は、どれほどダンスが上手でも、どれほど歌が上手でも評価されない。典型はMAKOとAYAKAだ。人柄の良さ、面倒見の良さが際立っている。レッスンスタッフからの評価やメンバー間の評価を重視しているのも特徴だ。

心配なこと
これは何と言ってもMIIHIの回復と復活だ。一部で拒食症の可能性も指摘されているが、気持ちを静かにしてきちんと食事して早く良くなって欲しいと本当に思う。

最後に
修論作成も追い込みだ。修論が終わったら、思う存分NiziUの音楽や映像を堪能したいと思う。NiziUに負けないようにあと1ヶ月頑張ろう!

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

ジャパンハート創設者吉岡秀人医師の魂の講演

はじめに
尊敬する米倉教授がミャンマーで奮闘する吉岡医師と出会い、その活動の素晴らしさに加えて、ビジネスモデルとして継続する仕組みを構築するその秀逸さに感銘を受けられた。今回はそんな吉岡秀人医師による講演だ。
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出典:https://www.japanheart.org

たとえ死んでも心が救われる医療
吉岡医師がミャンマーで奮闘するなかで到達した境地がこれだ。要は患者を大切にすること。小さな命を大切にすること。救える場合もあれば、救えない場合もある。結果は大事だけど、それよりも最善を尽くすことで患者や患者の家族の心が救われるという。

患者さんたちの人生の質を少しでも高めること
吉岡さんが考える医療の定義とは、患者を直すことではない。ミャンマーではホスピタルが2つしかない。医師が圧倒的に少ない。ミャンマーの人口は5371万人(2018年)だが、一人の医師で32万人の患者を相手にする構図だ。特に5歳以下の子供たちの死亡率が高い。その中には手術をしない限り死ぬしかない子供多い。一人で全てを解決することはできない。やるのか、やめるのかを何度も何度も心の中で葛藤した結論は一人でもいいから最善を尽くそうということだった。手術をした結果、その患者や患者の家族の人生が少しでも高められればそれこそが医療だと考えた。
出典:https://www.youtube.com/watch?v=3Vz-9_jt-Sw&feature=emb_logo

盾と鉾
医療は盾。医療は防御。経済は鉾。経済が発展すれば、医療にも投資できる。吉岡医師が目指すのはあくまで盾=医療だ。吉岡医師が尊敬する中村医師は鉾が必要と方針転換された。残念ながら昨年末にアフガニスタン武装集団に殺害されたが、アフガニスタンで奮闘するNGOペシャワール会」の代表だ。
出典:みんなの広場:中村医師遺族の思いに沿って=無職・中野雅俊・79 - 毎日新聞

50%と1%
日本ではGDPのほぼ50%に当たる50兆円を医療や福祉に当てている。一方、ミャンマーGDPは712億米ドルなので、日本の数10分の1のGDPのわずか1%しか医療費に当てていない。圧倒的な格差だ。

頭がおかしい医師
吉岡医師は、医師を目指した時から海外の貧しい人を救いたいという意思があった。その手段として医師を目指した。出発点が全然違う。医大を卒業して、欧米に赴任する医師は多いが、途上国に行く医師はいない。ミャンマーに旅立つ吉岡医師を当時に同僚は頭のおかしい医師として見ていなかった。

延べ5000名の参加者
1995年に吉岡医師はミャンマーでの活動を開始した。2004年に国際医療ボランティア団体ジャパンハートを設立した。2009年には、脳瘤のトゥーチャーアウン君の手術を日本で行う。この頃から海外活動の参加者が増大し、これまでに延べ5000人をこえる。素晴らしい。
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出典:https://www.japanheart.org

血管麻酔は1時間
ミャンマーの電気事情などのインフラは未整備だ。なので、日本で使うような麻酔装置は使えない。せいぜい血管麻酔だ。しかし、1時間しか麻酔は効かないので、必然的に1時間のタイムリミット内で手術を終わらせる必要がある。もし、1時間で終わらない場合には、患者の痛みは絶大だ。もう押さえつけるしかない。

ミャンマーのがん患者は楽に死ねる
ミャンマーでは手術をしないで死ぬがん患者は多い。その子供たちは食事ができなくなったら餓死の状態で死にいく。その時には体内麻薬も分泌されるため、非常に楽に死んでいく。一方、日本の小児癌患者は治療をする。家族が希望すれば最善の治療を行う。子供たちは家族のために生き続ける。しかし、それは不幸な事だが、助かる子供いるので日本人の小児癌患者の運命かもしれない。難しい問題だ。

胃瘻(いろう)
同じようなことが高齢者のがん患者の治療だ。食事ができなくなった患者の胃に直接栄養を供給する方法だ。がん患者は死ぬ権利さえ奪われる。少しでも長生きしてほしいという家族の願いに悪意はない。しかし、延命して苦しむのは患者だ。葬儀屋曰く、昔のがん患者は痩せ細って軽かった。しかし、最近のがん患者は水膨れのように膨れ上がって重いという。どちらが幸せなのか。難しい問題だ。もし、自分がそのような状況になった場合には、個人的には、延命治療はしてほしくないと思っている。

大東亜戦争ミャンマー
今は太平洋戦争と呼ぶが、本来は大東亜戦争。当時のアジアは、タイと日本を除き欧米列国の植民地にされていた。ビルマ(現在のミャンマー)は英国によって植民地化されていた。そんなアジアの植民地を解放することを目的とした戦争が大東亜戦争という。戦わなければ日本は植民地化される。戦っても勝ち目はない。しかし、戦わずして欧米列国に屈するのではなく、死力を尽くして戦えば、日本人はきっと立ち上がるはずだ。そんな思いで必死に我々の祖先はアジア諸国で欧米列国と戦った。しかし、ビルマが独立すると、戦勝国になるために日本軍を敵国に指定した。しかし、ビルマの人々は日本軍人を助けてくれた。それは日本軍人はビルマ人のために戦っていることを知っているからだ。そんな奮闘した日本軍人の多くは現地で亡くなった。下の写真は、昭和22年ビルマで戦った将兵らを建立した「大東亜戦争陣没英霊之碑」だ。
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出典:https://www.sankei.com/life/photos/150814/lif1508140003-p3.html

ミャンマーで亡くなった元日本軍人の願い=日本をよろしく
吉岡医師はそんな英霊之碑を前にして、若くして亡くなった日本軍人の思いに感じた。それは、「日本をよろしく」、そんなメッセージと感じたという。しかし、現代の日本人はそんな想いを受け取っているのだろうか。こんな国にしたかったのか、我々は恥ずかしくない日本にする責任があるのだはないか。

貧しい人にも質の高い医療をしたい
2018年8月には、カンボジアに小児医療センターを設立した。ポルポト政権下では、国民の4分の1に当たる知識層の人々が殺害された。医師や教師が殺害され、医療や教育は崩壊した。その傷跡は今も残っている。そんなカンボジアは手術も受けられない子供が本当に多い。そんな子供たちを助けたいという一念だ。そして、そんな信念に賛同した寄付や善意で実現した。
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出典:https://www.japanheart.org/activity/medical/childrens-hospital.html

日本の医者は経験値が浅い
カンボジアの小児医療センターには日本からも医師が有料で派遣される。お金を払うのは日本の医師であり、それを受け取るのは小児医療センターだ。お金を払ってまでカンボジアに来る意味がどこにあるのかと考える人がいるかもしれない。しかし、それには理由がある。つまり、日本は少子化のために小児科の医者の経験値が圧倒的に少ない。しかし、カンボジアでは経験値を高めることができる。ただし、若い経験の少ない日本医師に手術はさせない。カンボジアで手術をさせるのは経験を持った医師のみだ。しかし、若手医師はそんな手術を何件も何件も見ることができる。体験することができる。これは貴重だ。そして、日本に帰って、経験を積んで、またカンボジアに来る。そんなサイクルができるとしたら素晴らしい。

看護師には、海外から離島経由で帰国するスキーム
医療は医師だけでは成り立たない。看護師の活躍が必須だ。海外で経験を積んだ看護師は、日本に戻る際に、日本の離島の治療に従事することができる。これも離島と看護師と患者の間の絶妙のWIN-WINの関係がある。そんな活動をRIKAjobと呼んでいる。これは、認定NPO法人 ジャパンハートがプロデュースする RITOU(離島・僻地)、IRYO(医療)、KANGOSHI(看護師)の連携で成り立っている。看護師として生きていく人生と離島・僻地地域医療の現場が共に豊かになる仕組みを実現している。
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出典:https://www.japanheart.org/join/event/explanation/200504-ritou-nurse-hataraku.html

日本人の医師は丁寧だけど遅い、視覚が8割
シンガポールなどの国では優秀な医者は手術が早い。手術が遅い医者は無能とみなされる。吉岡医師は、手術が早い。通常は視覚が8割と言われるが、吉岡医師は触覚や収穫を駆使する。頭で考えていることは、現在の手術の手順ではなく、その先の先だ。手は条件反射的に動いている。まさに職人の境地だ。

27時間で1.5億円のクラウドファンディング
コロナ禍で医療従事者が着用すべきマスクが不足した。そんな2020年4月には、ジャパンハートが27時間で1.5億円をクラウドファンディングで資金を集めた。最終的には、500余りの医療機関に100万枚のサージカルマスクと100万枚の一般三層マスクを届けた。ただ、実際は偽造品との戦い。103の業者から信用できる3業者を厳選して依頼した成果だ。
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出典:https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/777814/

所感
吉岡医師やジャパンハートの活動はカンブリア宮殿で視聴した時にショックを受けた。そして、今回、オンラインではあるけど、吉岡医師の話を直接拝聴する機会を得た。考えさせられることが多い。特に、吉岡医師が悟った医療の意義、日本の医師の経験の浅さ、カンボジアでの旧日本軍人の想い、がん治療の是非などは重い課題だ。簡単に答えは出せないかもしれない。しかし、そんな現実に吉岡医師は明確なメッセージを発した。これは強烈だ。有限な時間の貴重さを意識して頑張る人だけが成功する。そんなメッセージは心に残る。貴重なお話を聞く機会を頂き、本当にありがとうございます。吉岡医師と米倉教授、そして関係者の皆様に感謝します。

以上

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