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技術士が目指すべき方向性と分析の視点

はじめに
修論シリーズ(その3)だ。修論修士論文、つまり修士として認定してもらうための論文だ。論文は論じる必要がある。説明文や報告文、感想文ではない。では何をどのように論じるべきか。そのあたりを簡単にまとめてみたい。

目指すべき方向性
今回の論点は技術士の活性化だ。つまり、資格を取ることはゴールではなくスタートのはずだ。しかし、難関の技術士試験に合格して登録した後に何もしない人は少なくない。技術士の9割以上は企業内技術士だ。また、企業内技術士のうち、問題のない範囲で副業(有償の社外活動)をしている人は、今回の調査ではわずか16%ほどだった。その多くは企業の就業規則で副業を禁止しているためだ。しかし、前回のブログでも示したように心身を自己管理し、企業との競合がなく、公序良俗にも反しないことであれば、その副業を禁止することが違法である。そのことを企業はよく理解しているはずなのでまずは企業とよく相談すべきだ。

分析の視点
自分は、次のような4つの分析の視点に絞った。最初は知りたいことをアンケート調査で調べてそのまとめをしていたが、それだとやはり分析が浅い。そうではなく、本当にそうなのか。なぜそうなのか。それが本当であれば、何が言えるのか。そんなストーリー展開を求められ、7つほど設定したが、7つは多いということで4つに絞ったという経緯がある。
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視点1:社外活動と社内活動の関係
(1) 企業内技術士は企業内で能力を100%発揮しているのか?

企業は当然ながら社員に対して社内で持てる能力を発揮するように期待する。しかし、持てる能力の100%を社内の特定の業務で発揮することは可能だろうか。そもそも企業内技術士は社内で能力を発揮していると感じているのだろうか?

(2) 社外活動と社内活動は対立的な関係か相乗効果を期待できる関係か
社内の活動と社外の活動は相容れない対立的な活動ではなく、社外で活動した結果、社員の能力やモチベーションや意識が高まり、その結果として社内活動の活性化や効率化に役立つものではないのか?社外活動と社内活動には相乗効果があるのではないかという視点である。

視点2:自律的なキャリア形成の有効性
(1) 技術士の能力は社外活動で磨かれる

前述の通り、技術士の9割以上は企業や官公庁での勤務する企業内技術士である。高度な専門知識と課題解決能力を有する専門家は、企業内での活動に留まるのではなく、社外活動を実践することで能力、経験、人脈、そして自信を深めることができる。

(2) 社内外で活躍できる技術士を目指すには自律的キャリア形成が重要
企業に依存するのではなく、自律的なキャリア形成を図ることで退職後にも技術士として活躍することができるのではないかという視点である。

視点3:技術士が目指すべき方向
(1) 技術士が社内外で活躍するにはどのような能力が重要か

専門家として、活躍するには専門分野での高い能力と経験が重要と考えられるが、具体的にはどのような要素を伸ばすべきなのか。また、技術士などの専門家を目指す人が克服すべき要素は何なのか。

(2) 技術士として社内外で活躍するためのロールモデル
そんなロールモデルを示すことができないかという視点である。技術士中小企業診断士として活躍している専門家との直接ヒアリングの結果に基づいて5つの要素を抽出して、「スターモデル」を提案するとともに、アンケート結果に基づいて定量的に検証するという視点である。

視点4:技術士は50歳代からが勝負
(1) 技術士は年代とともに能力・自信・人脈が向上

技術士は、専門分野での能力を高め、経験を積み重ね、人脈を拡大することで専門家として活動する自信も得ている。社内外で活動する専門家は40代より50代、50代より60代と歳を重ねるほど能力を高められるのではないか。

(2) 課題は健康の維持と最新技術への追随
課題は、体力や健康の維持と、技術革新の激しい分野での最新技術へのキャッチアップだろう。最新技術を取り入れるべくチャレンジし、自己研鑽に勤めることは必要である。

(3) 専門技術を活用できる場の開拓
しかし、最先端でない技術であっても、活用の場を探したり、協力の要請に応じたりすることでさらに新たな知見を得て、人脈を広げ、自信を深めて、専門家としての価値を高まるのではないかという視点である。

一般的に、日本人は、年齢で自らの行動を縛る傾向がある。「60歳を過ぎたのだから、もう新しいことには挑戦できない」という具合に、実際にはまだ十分に活躍できる能力があるのに、自分で制約をかけてしまうのである。これは、本人にとっても、企業にとっても、そして社会にとってももったいないことである。

まとめ
今回は少し抽象的な内容で分かりにくかったかもしれない。次回は、これら検討の視点に対する調査結果を踏まえて考察していきたい。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。