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明石の奇跡

はじめに
出生率の低下が国家的な課題と言われながらも反転しない。それはなぜなのだろう。日本国内で反転に成功した市区町村はないのだろうかと色々調べた時期がある。そんなモデル都市はないのかと思い始めた時に湯浅誠教授の著書に出会った。
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明石市の成功
明石市の人口が増加している。10年前の2009年1月に比べて2019年1月の人口は6,206人増加して299,743人だ。7年連続の増加は素晴らしい。
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 出典:https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp010050000001028203/15

明石市のV字回復
人口増加に転じたのは2012年だ。それまでは他の市区町村と同様に人口が減少していた。では、なぜ2012年から7年連続して人口増加に成功したのだろうか。企業誘致に成功したわけではない、大規模再開発のマンションを建設したわけではない。
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 出典:https://www.city.akashi.lg.jp/seisaku/seisaku_shitsu/documents/02jinkoubijyonimeji.pdf

成功の理由
人口増加に成功した理由は、子どもや子育てをターゲットとした施策を徹底的に講じたためだ。例えば待機児童対策では、明石市は40億円を投じた。5倍の人口を持つ神戸市よりも多い金額を投じた。これは、泉市長のカリスマ的なリーダシップに依存する部分が多いのかもしれない。泉市長は、小学校に入れないからと言って1年待たせることはない。なぜ、保育所を待たないといけないのかと本気で対応した。

優しさと儲けるの両方を大真面目に両立させる
泉市長の持論は、マイノリティも足していけばマジョリティになる。身体障害者や子どもなど一人では生きていくのが難しい弱者をみんなで協力して助ける。弱者を一人も切り捨てない。そんな優しさは、その地域の弱みではなく強みとなる。犯罪者を隔離するのではなく、おかえりと言って受け入れる。所得制限せずに子ども支援をする。それが経済の活性化につながり、住みやすさにつながり、人口増加につながる。ゼロサムゲームではなく、ポジティブサムゲームなのだという。

道路整備と子育て支援
道路整備は社会インフラ事業として認知されている。自分の家の前の道路は自分で整備しろとは言わない。子どもたちを育てる育児は社会の事業だ。母親一人で育てることはできない。昔から、地域や親族や家族で支え合ってきた。そんなことも忘れて、母親に押し付ける。子供を産むことがこんなに辛いことだとは思わなかったと感じたら、その感情は一気に広がる。出生率が上がるはずがない。そうではなく、産みたくなければ産まなくても良い。産みたければ産めば良い。たくさん産みすぎて余ったら、子供を産みたくても産めない人もいる。みんなで育てていけば良い。人類はそうして助け合って生きてきたではないか。そういう熱い気持ちが市長から市の職員に、そして市民に広がったのではないだろうか。

泉房穂市長
泉市長が明石市長選に立候補したのは、2011年4月だ。東日本大震災が起きた2011年3月11日の約1ヶ月後の4月24日に無所属で出馬して、民主・自民推薦の対抗候補者とわずか69票の差で勝利した。素晴らしい。後援団体は市民だというのが持論だった。子ども重視の施策の効果は予想よりも早くでた。しかし、暴論を吐いたというスキャンダルがあり、辞職した。2019年3月の出直し選挙で対抗馬を圧勝して、3回目の当選を勝ち取った。しかし1年半前のスキャンダルが市長選の3ヶ月前に報じられたことに対して違和感を感じる人もいたようだ。
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 出典:神戸新聞NEXT|総合|明石市長暴言 市に意見、6割が批判的 一部は擁護論

明石のタコは足が太くて短いので立つ
2足歩行は人類の特権だけど、タコも何歩かは歩くらしい。また、頭も良い。心臓が3つあり、脳味噌は9つもあるという。これぞ宇宙生物かもしれない(笑)。明石はそんなたこの代名詞だ。明石では、7月2日の半夏生(はんげしょう)にタコを食べる風習があるという。面白い。小学校の頃に蛸壷を引き上げたら中からタコが出てきて、足に絡まってきてパニックになったことがある(涙)。でも、その時、そばにいた人がたこの頭を持って、頭を下にしたら足から離れていった。タコを締める時も頭をひっくり返すと大人しくなるという。
 出典:https://macaro-ni.jp/34925

島根県は女性の就業率が日本一高い
これもこの著書を読んだ初めて知った。全国レベルでも女性の就業率は増加しているが、島根の女性の就業率も増加している。どちらが原因でどちらが結果かは不明だが、この島根県も保育園は完備されている。待機児童はいない。女性が働きながら育児をするのは本当に大変だと思う。
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 出典:島根労働局 | 島根県働く女性の状況

まとめ
家族や親族や地域の協力が不可欠だ。保育園を完備するのは行政ができることだ。子ども食堂は地域でできることだ。それぞれができることをやることで人口逆転をする市区町村が増えていくことにつながらないのだろうか。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。