LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

経済的貧困と精神的貧困

はじめに
久しぶりのブログだ。MBAの授業があるときは素材が満載すぎたけど、授業がひと段落したらあれも書こう、これも書こうと思いながら、流されてしまった。MBAのプロジェクトもほぼ方向性が見えてきたいので、幼少時代を思い出しながら、ちょっと頭の整理をしたい。

MBAのテーマ
現在通っているMBAの卒業プロジェクトのテーマの選定で混迷した。ベーシックインカムをテーマにしようと考えて入学したが、教授陣に相談すると「テーマが大きすぎる」、「MBAのプロジェクトとしてまとめるのは難しい」、「それは方法論であって課題ではない」と厳しい意見が多い。中には、「私は反対だ」という論者までいた。ベーシックインカムMBAのテーマとして相応しくないことは自分が一番わかっている。だから入学試験の面接で自分から「これはMBAのテーマとして相応しくないのでは?」と面接官に聞いたのに、その時は「なんとかなる」、「面白いかも」と肯定的な意見が返ってきて「本当ですか?」と聞き直したのは忘れていない。しかし、そのことを持ち出して意味がない。教授陣も立場がある。それもわかる。また、ベーシックインカムは某IT企業の元経営者がポケットマネーでトライアルを考えている。MBAのプロジェクトにしなくても、個人的には関与できる範囲で対応していくつもりだ。

貧困問題か幸福論か
ある指導教官からは「ベーシックインカムが目指すものは何か?」、「何を解決したいのか?」と問われた。そして、その課題解決をテーマにすればいいんじゃない?と言われた。確かにその通りだ。ベーシックインカムが解決しようとする課題は多様だけど、初期のフェーズでは貧困問題、そのあとは幸福感の向上、最後は景気の回復だと回答したら、「貧困問題か幸福論」を深掘りしたら見えて来るのでは?とアドバイスを受けた。これは腑に落ちた。その指導教官からは幸福の方程式を模索するのは面白いかもとも提案を受けた。その方向で進めたいとも思ったけど断念した。

社会的課題
最終的に選んだのは、人的資源を専門にされる教授だ。この教授は感情はあまり出さないけど、秘めた情熱を感じる。授業も面白い。歴史や起源が好きなのも自分と同じだ。ベーシックインカムには正面から反対はせず、なんとか頑張れば料理もできるとサポートする姿勢もありがたい。紆余曲折しながらもこのゼミに決めた。

5名のゼミ生
当校は2年制のMBA生と1年制のMBA生が同時に入学する。1年制は昼間授業なので、勤務していた会社を退職するか、休職する必要がある。その代わりにMBA中小企業診断士が両方取得できる。一方、2年制は勤務を継続しながら学ぶ社会人学生向けだ。週に2-3回通えば大丈夫だ。面接の時には週1回でも大丈夫と言われた。自分は、火曜と木曜と土曜の週3回で、単位の上限の38単位を取得した。成績は秘密だけど、期待以上の成績だった科目もあるし、期待ほどではない科目もあったとだけ書いておく。なかなか難しい(汗)。話を戻す。通常は3−4名だけど、今回は2年制が4名も集まった。さらに休学していた先輩1名を含めて5名の大所帯だ。1年制の生徒は満員御礼となる。このため昨日も集まり、さらに先輩ゼミ生との交流会も行った。

子ども食堂
貧困問題についてこの1ヶ月調べたが、結論というか所感としてはきつい。直視したくない現実を直視するのは精神的にかなり苦痛だ。貧困問題をテーマにしている人はメンタルが強いと思う。5名のゼミ生と指導教官で集まって、それぞれのゼミ生の1ヶ月の成果を発表し、それに対するコメントや次のアクションポイントを整理した。参加したゼミ生も多彩であり、皆優秀なので、大変勉強になるし、励みになる。自分の番のときに、あるゼミ生から「子供食堂」をテーマにしては?とアドバイスをもらった。指導教官からも、子ども食堂を巣立った子供たちの進路の問題や、子ども食堂への資金提供の問題なども含めて研究すると良い。湯浅誠教授が色々と研究したはずだと教えてもらった。これはやるしかない。このテーマでとりあえず頑張ってみよう。

経済的貧困と精神的貧困
日本は豊な国になったはずだった。しかし、UNICEFOECDの調査では日本の子供たちの14%は貧困というレポートがある。湯浅教授は、救済が必要なレベルの絶対的貧困層と、予防措置として対応が必要な相対的貧困に分けて考えるべきという。それはその通りだけど貧困には経済的な貧困と精神的な貧困があると思う。後者は知的貧困と言い換えてもいいかもしれないし、やる気の貧困と言い換えてもいいかもしれない。ある子供は「僕には頑張るエンジンがなかった」と表現していた。頑張れば成功するという自信や頑張ること自体を知らなかった。すべては自分の責任だけど、教えて欲しかったと話したという。日本人の子供の自尊心は世界的に見て、ダントツに低い。この点もなんとかしたいと思う。

1ミリの実践
湯浅教授はその著者の中で、我々の実践していることは十分ではない。不十分だと批判するのは簡単だ。しかし、大事なことは1ミリの前進を実践することだと説く。その通りだと思う。これから1年間かけて「子供食堂」を中心テーマとして、プロジェクトを進めることで0.1ミリでも前進できればと思う。調べると日本全国にその輪が広がっていることを実感する。そして、最大の課題は、本当に参加して欲しい生徒や親が参加しないことだという。これは真摯に受け止める必要があるし、自分のライフワークとして進めているモラル教室でも、本当に来て欲しい保護者はこない。なので、生徒から保護者に伝える作戦で実践している。

精神的な豊さ
子供食堂を1982年から続けている中本忠子さんは、シンナーをやめられない子供になぜやめられないのかと聞いた時に、返ってきた答えが忘れられないという。それは、シンナーを吸っていたら空腹をわすれられるからだった。そして、それが子供食堂を始めるきっかけでもあった。空腹を満たせば肉体的だけではなく、精神的にも健全になるという。しかし、空腹でなくても悪いことをする人はいるし、空腹でも悪いことをしない人もいる。大切なことは精神面の健全性や豊かさではないか。志の高さではないか。日本では古代より実語教を寺子屋で教えていた。神道には教本がないと言われるが、実語教はその教本に相当するのではないかと個人的には考えているけど、なかなか広まらないのは残念だ。

親父の思い出
自分が5歳の時に親父は胃癌で他界した。多分、戦時中にシベリアに抑留し、この時期の無理が祟ったのだと思う。騎馬隊で運動神経も良くて、商売も上手で、女性にもモテたらしい。自分の思い出は数えるほどしかないけど、優しい親父だった。多分、自分の死期を知っていて、三人兄弟の末っ子の自分のことが可愛くて仕方なかったのだろう。いつも親父の膝の上に乗っかっていたようだ。顎髭を自分の頭頂部に擦り付けるので痛かったけど、大好きだった。一から始めた青果業も軌道に乗り、株式でも儲けていたようだ。自分の病気のことは知っていたはずだけど、生命保険に色々入れるだけ入ってから入院するような計算高さもあった。

トーストの購入は2月
親父が病気で亡くなって、色々苦労も多かっただろう。でも、母子家庭だからと後ろ指を刺されるようなことは絶対するなといつも母親は言っていた。経理事務所の事務員として働いていたが、経理の知識もないので、生活は苦しかったはずだ。幸いだったのは母の実家が農家だったので、毎日食べるお米はいつも田舎から送ってもらえたので食べることには苦労しなかったことだ。たまにはパンも食べたいけど、トーストがない。自分はよく分からなかったけど、購入したのは2月だった。なぜかと言えば、2月は他の月よりも2−3日少ないので、買えたと言っていた。生活は苦しかったけど将来への希望は持っていた。頑張ればこの苦境は必ず克服すると家族全員が信じていたように思う。その意味では精神的には幸せだった。

五右衛門風呂と炊事当番
小学校に上がると自分はお風呂の当番で、姉が炊事の当番だった。兄は中学のクラブ活動が忙しいとかいって家事の当番をしていなかった。当時は薪を焚く方式のお風呂だったので結構辛い。炊事はさすがにガスを使えたがそれども冬場は水が冷たい。風呂当番の自分と炊事当番の姉で喧嘩をしたことがある。それぞれ自分の担当が大変だ。キツイと訴える。では、交代しようとなった。しかし、炊事に慣れない自分も、風呂当番に慣れない姉もすぐにこれは無理だと判断した。そして、自分の仕事は他人の仕事よりも大変だと感じるけど、実は他人の仕事も大変なのだということに気づいた。この気づきは一生の宝になった。

塩煎餅がインセンティブ
自分は末っ子だったので、兄や姉の教科書をもらえた。参考書を欲しいと言えば買ってもらえたけど、それよりも小遣いが欲しい。当時は1日十円で一月三百円の小遣いをもらった。当時は、十円でたこ焼きが三個、塩煎餅が10枚買えた。お好み焼きも自分の町内に3軒あり、よく通ったけど値段は覚えていない。覚えているのは、宿題をするときに塩煎餅を10枚買って、1ページ終わったら1枚食べるというルールで勉強したことだ。また、算数が好きだったので、自分で問題集を作って解いていた。これの仕組みは簡単だ。A+B=Cという問題と、C-B=Dという問題を作り、AとDが同じなら正解となる。同じように、A*B=Cという問題と、C/B=Dという問題も作った。当時から問題を解くよりは、問題を作ることに興味を持っていたようだ。これも一生の宝となった。

100点コースと90点コース
学生時代には試験の山を張るのは得意だった。予想問題集を作って同級生に配ったりした。ただ、実績はどうかというと、100点コースで80点、90点コースで60点。先生は張った山を外してくるので、その裏をさらに読むのが好きだった。これは技術士の受験対策テキストを作るのにも貢献しているような気がする。

まとめ
今の子供たちは、経済的には恵まれている人が多い。物質的にも恵まれている人が多い。でも、こうあるべき、こうすべき、これはダメとがんじがらめのルールに縛られて、自分がやりたいことを見失っている子供が多いのではないだろうかと懸念する。湯浅誠教授のいう1ミリの実践をする社会起業家を目指したいと思うし、それにつながればこんな嬉しいことはないと思う。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。