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子ども食堂の現状と課題(1/3)

はじめに
MBAのプロジェクトは子ども食堂をテーマにする方向だ。子ども食堂について少し調べてみた。素晴らしい取り組みで全国に活動が広がっている。現状はどうなっているのか、将来に向けての課題は何か?そんなことについて考えてみた。

子ども食堂ベーシックインカム
恥ずかしながら、新聞やテレビで報道されていた記憶はあるけど、詳しくは知らなかった。Google Trendで検索すると、2005年の8月ごろに小さく話題になり、2-3年おきに小さく話題になり、2015年ごろから急激に話題になった。ベーシックインカム子ども食堂を比較すると、ベーシックインカムは2017年10月や2010年2月にはそれなりに話題になっているが、直近ではベーシックインカムよりも子ども食堂の方が話題になることが多い。ベーシックインカムは他力本願的だが、子ども食堂は草根の運動的に着実に存在感を高めている。Google Trendのマップを見ると関東の一部と関西、四国、九州などでは子ども食堂のヒット率が高いようだ。
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 出典:Google Trend

子ども食堂の始まり
そもそもが草の根的な活動だ。行政が進めるトップダウン的なアプローチではなく、ボトムアップ的なアプローチなので、それぞれに歴史があり、ストーリーがあり、想いがある。
 出典:http://jshe.jp/doc_top/column_20190405.pdf

(1) 「気まぐれ八百屋だんだん」
近藤博子さんは2012年8月に始めた。子ども食堂の名付け親とも言われている。近藤博子さんは、貧困対策ではなく、「子供が一人でも安心して来られる無料または低額の食堂」と定義した。無農薬野菜や自然食を売る店の奥で毎週木曜日の夜に開かれている。最初はなかなか子供が集まられなかったが徐々に利用者が増えた。始めたきっかけは、近くの小学校の副校長から、「母親の具合が悪く、給食以外はバナナ一本で過ごしている子がいる」と聞いたことだ。いてもたってもいられずに始めたという。
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 出典:https://medigaku.com/hiroko-kondo/

(2) 「フリースペースたまりば」
西野博之さんは1986年から不登校児童や学校を中退した生徒の居場所づくりを始めた。1991年には川崎市高津区に「フリースペースたまりば」を開設した。たまり場と多摩川(Tama River)をかけたのが名前の由来だ。学校に居場所がない子供たちの居場所を作る。「学校じゃない場所でも学ぶ道、生きる道はあるんだよ」というメッセージを伝えたくて活動を始めたという。川崎市下作延に「川崎市子ども夢パーク」が出来た2003年に、この「たまりば」をNPO法人化するとともに、公設民営の「フリースペースえん」を開設した。1日に40人程度の子供たちが集まり、子どもとスタッフが一緒に食事をすることで子供が元気になると語る。子供が居場所を見つけた瞬間だ。
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 出典:https://www.townnews.co.jp/0202/2018/05/18/432199.html

(3) 広島のばっちゃん「食べて語ろう会」
中本忠子さんは1934年に広島で生まれた。3人の息子を女手ひとつで育て上げて、1980年からは保護司を始める。そこで指導した少年は、シンナーの中毒で歯がボロボロ。なんでシンナーをやめんね?と聞くと、その少年は、「お腹が減ったのを忘れられるから」と答えた。これに衝撃を受けた中本さんは子供たちのために2003年から自宅で食事会を始めた。2015年にNPO法人食べて語ろう会を設立した。NPOのメンバーにはかつて中本さんが指導した少年も活躍している。子供たちからはばっちゃんと慕われている。中本さんは食事会を通じて子供たちに心の居場所を提供している。ばっちゃんの活動は進化している。現在は、基町の家の隣の家を改修し、1階では食事、2階では学習スペースを提供している。子供たちに勉強を教えるのは近くに住む大学生だ。素晴らしい。
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 出典:https://readyfor.jp/projects/27210

子ども食堂を支援する活動
(1) こども食堂ネットワーク

 子ども食堂は草の根的な活動である。地域でこども食堂を運営している人たちが交流を図り、こども食堂の輪を広げるための連絡会が「こども食堂ネットワーク」だ。活動は主に2つある。ひとつは「食べに行きたい」こどもを食堂につなげる活動であり、他方は食堂を設立したり、応援したい人を食堂につなげる活動だ。つまり、ニーズとシーズのマッチングサービスを提供するのがこども食堂ネットワークだ。来週の月曜日にこども食堂ネットワーク事務局長の釜池雄高さんから話を聞けることになった。今から楽しみだ。
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 出典:http://kodomoshokudou-network.com

(2) NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ
 「こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる。」というビジョンのもと、次の3つの活動を進めている。
・全国各地域のこども食堂ネットワークの支援
・企業・団体の支援をこども食堂へ届けること
・調査・研究・啓発
 理事長は社会活動家・東京大学特任教授の湯浅誠さんだ。むすびえによると全国のこども食堂は2016年の319、2018年の2,286から2019年には3,718に増大した。
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 出典:https://musubie.org/news/993/

(3) 「子供の未来応援マッチング ネットワーク推進協議会」
 内閣府は、草の根活動を行うNPO等の団体のニーズと、CSR活動を行う企業の支援リソースのマッチングを推進するために子供の未来応援マッチング ネットワーク推進協議会を設立した。
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 出典:https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/enmusubi/pdf/matching_gaiyo.pdf

(4) フードバンク関西
子ども食堂は関西でも活発だ。これを支えるのがフードバンク関西だ。2003年(平成15年)にフードバンク関西の活動が開始した。当初はコストコホールセールジャパン尼崎店の支援を受けて、大阪市内のホームレス支援団体に無償分配する活動を開始したのが始まりだ。
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 出典:子ども食堂の支援 - フードバンク関西

(5) 農林水産省によるアンケート
2017年10月から11月に農林水産省主導で全国の子供食堂についてのアンケート調査が実施され、子供食堂の運営者274人からの回答を得た。独立した法人による運営が全体の80%だった。食事の提供以外には、子育て支援が40%、学習支援が32%だった。開催頻度は月に1回が48%、参加者の平均は子供が24人、大人が15人だった。参加費は子供は無料が52%だが、有料でも100円未満が多い。大人は有料が69%だが、金額は201円から300円が最多だった。参加者は、生活困窮家庭の子供に制限しているところは6.6%と少なく、子供なら誰でもが28%、子供以外を含めて誰でもが58%と最多だった。助成制度を活用していないが30%あった。
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 出典:https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/syukeikekka.pdf

現状の課題
このアンケートでは最後に運営にあたり感じている課題を回答してもらっている。そこで最も多かったのが、来て欲しい家庭の親子が来ないこと。そして、運営費の不足や運営スタッフの負担を懸念することが多かった。
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 出典:https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/syukeikekka.pdf

まとめ
今日はここまでにする。後半では最近の動向や海外の動向などをレビューして、今後の課題を炙り出すことにトライしてみたいと思います。子ども食堂の全貌を掴むことはなかなか難しい。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。