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経済問題と人口問題と幸福問題

はじめに
社会にはいろいろな問題がある。それは単独の問題ではなく、相互に影響を与えている。相関関係かもしれないし、因果関係かもしれない。今、興味を持っているいろいろな問題を少し紐解ければと思う。

1. 人は何のために生きているのだろう
 人は生物である。生物は持続し、繁栄するように必死に活動する。人類も、生物のメンバーであり、繁栄するように必死に活動してきた。繁栄してきた。しかし、これからも繁栄は続くのだろうか。先進国を中心に少子化が進み、人口減少時代を迎えている。世界の人口は2100年には100億人に達し、そのあとは緩やかな減少傾向に向かうと予想されている。日本の人口は2008年に1億2,808万人をピークに減少に転じて、2060年には8,674万人まで減少すると見込まれている。世界は、そして、日本はどこに向かおうとしているんだろう。
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 出典:https://population.un.org/wpp/ 

2. なぜ先進国の人口は減少に向かうのか
人口減少は特に先進国と呼ばれる経済的に繁栄した国々で発生している。経済的に成長すると、なぜ人口は減少するのか。先進国で発生しているのは、長寿化と少子化だ。長寿化は悪いことではない。ひとは幸せに長く行きたいと考える。生きたい。もっと生きたいと考えることは望ましいことのはずだ。65歳以上の人口の割合が7%を超えると高齢化社会、14%を超えると高齢社会、21%を超えると超高齢社会と呼ぶが、現在の日本の高齢化は23%を超えた。2030年には39%を超える勢いだ。長寿化にも問題はあるが、長寿化は人口減少の原因ではない。どちらかと言えば減少しない原因だ。では、なぜ人口が減少するのかと言えば、それは少子化だ。
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 出典:日本の超高齢社会の特徴 | 健康長寿ネット 
 
3. 少子化=晩婚化×出生率の低下
経済的に豊になったはずなのに、なぜ少子化が進むのか。これは晩婚化と出生率の低下の2つが要因だ。つまり、晩婚化とは、結婚して出産する年齢が遅くなったためだ。晩婚化は、人生における回転率の低下のようなものだ。25歳で出産していたサイクルが、30歳で出産するようになると、どうなのか。これは悪いことではない。お母さんもおばあさんも長寿化するような世の中、いつまでも元気な世の中になれば、急いで結婚して、急いで子供を産まなくてもいいんじゃないかと思うのは自然なことではないか。これまでは、25歳で母親、50歳で祖母、75歳で祖祖母だったのが、30歳で母親、60歳で祖母、90歳で祖祖母でいいじゃないか。ちなみに沖縄では20歳で母、40歳で祖母、60歳で祖祖母となるのは珍しくない。沖縄の人口が増えるのはこんなところにも秘密がある。しかし、人生100年時代、ゆっくりと結婚して、ゆっくりと子育てするのも悪いことではないのではないか。完結出生児数を見ると、実は、下の図のようにほぼなだらかな低下傾向にはあるけど、2015年でも1.94にとどまっている。悪くないじゃないか。
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 出典:第1部 少子化対策の現状(第1章): 子ども・子育て本部 - 内閣府 

4. ハイパガミート(上昇婚)
経済が発達すると、女性の高学歴が進み、女性の社会進出が活性化する。これ自体は悪いことではない。男女不平等社会から男女平等社会に移行することは望ましいことのはずだ。しかし、そこにハイパガミートという心理問題がある。ハイパガミートとは、日本語で言えば、上昇婚だ。女性は子供を産んで育てないといけない。一生の伴侶を選ぶ条件は経済力が欠かせない。芸能界ではダメ男が好きなのとか、母性本能が強くて弱い男が好きという女性もいるだろうが、珍しいから話題になるだけだろう。男性から見ても、自分より稼ぎのある人よりは、自分より稼ぎが少ない人を伴侶にする傾向があった。最近はダブルインカムが前提となっていて、男性も自分と同じかそれ以上の収入を得る女性を伴侶に求めたいと考えるかもしれない。その場合には、収入の少ない女子が未婚となる傾向が高まる可能性がある。
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 出典:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/53966 

5. 未婚率の増加の原因
上の図に基づくと、高学歴高収入の女性と低学歴低年収の男性が余ることになる。これが未婚率の増加の原因かどうかはもう少し検証が必要だけど、当たらずとも遠からずというところではないか。実際、自分の周りにも結婚しない男性が多い。それなりに稼いでいるはずだけど、めんどくさいとか、コンビニがあるから別に困らないとか(笑)。しかし、上の図には次の2つの違和感がある。
1)女性の年収が上がっているわけではない。非正規を中心に下がっている。
2)男性の年収は現状維持ではなく、下がっている。
これを加味すると、アンダークラスと呼ばれる男性や女性が増加していることも課題だ。結婚や出産以前に、一人でも食っていけない。しかし、貧乏人の子沢山ではないが、そのようなアンダークラスでは妊娠も多いが、育てていけないので、中絶したり、放棄したりする傾向があるのではないか。ただ、国際比較で見ると日本はそれほど高くはない。日本ではコンドームによる避妊が圧倒的だが、中絶の多い国はピルの利用が普及している国という。
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 出典:http://blog.livedoor.jp/zipanghistory-rvlcb1pl/archives/16735742.html

6. アンダークラス
日本には、平均年収186万円以下のアンダークラスと呼ばれる人々が930万人もいるという。「新・日本の階級社会では」著者の橋本健二氏は、「アンダークラスは増大し、労働者総数に対する割合も早晩、現状の2割から3割、4割へと拡大していくかもしれない。」と説く事態はさらに深刻化していく可能性すらあるのではないか。それでは、これに対応するには、どうするのか。ざっと考えるだけでも、1) 経済格差をなくす、2) 結婚支援をする、3) 出産支援をする、4)育児支援をするなどは思いつく。たぶん、どれも必要なのだろう。しかし、総花的に進めても効果は期待できない。優先順位はどう考えるべきなのだろう。
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 出典:https://www.moneypost.jp/531369

7. 今後の対応策
未婚者が増えて少子化はさらに進むのだろう。晩婚化が進むけど、子供は欲しい。でも、妊娠が難しい。その結果、人工授精などの妊活が増えて、コスト増になる一方で望まれない妊娠もある。業務のオートメーション化や人工知能の活用で一定の生産性向上に努めるが、やはり限界。徐々にGDPやGNPも減少していくだろう。働く若者世代の人口が減少する。その時に、日本人はどうするのだろう。想定されるシナリオはどのようなものがあるのだろう。
1) 海外からの移民を受け入れる。移民の女性と日本人の結婚も増えて人口増加に反転する。しかし、負の連鎖から抜け出ない人が増えて、アンダークラスが多層化する。
2) 貧困化がさらに深刻になり、人口減少がさらに加速する。貧富の格差も拡大するが、少子化は止まらない。世界の中での日本の存在感は低下し、負の連鎖から抜け出れない。
3) 福祉制度が充実して、貧富の格差を是正し、人口減少に歯止めがかかる。適正人口で落ち着くだろうか。その場合には、どのような福祉制度が有効なのか、本当に負の連鎖から抜け出れるのか。
負の連鎖を断ち切った成功例の1例はフィンランドだ。フィンランドでは、子供が国家にとって最大の資源として、教育を最重点投資分野とした。フィンランドでは、学校内格差は多少あるが、学校間格差が非常に少ない。これは日本と対照的だといえる。
 出典:https://plaza.rakuten.co.jp/shchan3/diary/200902010000/
 
8. なぜフィンランドは格差が小さく学力が高いのか
フィンランドの特徴は、格差が小さいことと、貧富を問わず学力が高いこと。これは下位25%の学力が高いことが特徴だが、上位25%でも健闘している点は見逃せない。フィンランドは、幸福度でも1位だ。日本は58位だ。何がどれほど違うのだろう。
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 出典:https://plaza.rakuten.co.jp/shchan3/diary/200903110000/

9. 幸福度と満足度
日本人の満足度・生活の質に関する調査を内閣府が行い、2019年5月に発表した。これによると日本人の満足度が低く5.89となった。満足度と幸福度はニュアンスが異なるが、国連調査の日本人の幸福度5.886と同様の結果だ。そして、これを改善する決めては頼れる人の数だという。日本では人間関係が希薄になっているが、頼れる人が30人以上ある人の満足度はフィンランド並みだ。
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 出典:日本人の幸福度がフィンランド人を越えていく方法 | ライフハッカー[日本版] 

10. 幸せの条件
なかなか幸せの定義でピタッと納得するものに出会わない。ただ、経済的な反映と幸福度は必ずしも生の相関関係にはない。例えば幸せを感じる国民として有名なブータンでは統率力のあるリーダ(=国王)と精神的な支柱(=仏教)と生活の保障(=最低限の衣食住)を国民が実感していて、幸せですかという質問に「幸せです」と答える。これには国の指針として国民総生産(GNP)ではなく、国民幸福量(GNH)を取り入れたのも大きいだろう。また、フィージーもまた幸せな国と言われている。ここでは、「4つの習慣」として、シェア、いまここ、、適当、依存の4つという。ちょっと沖縄の気質にも似ているし、縄文人の香りとも共通する気がする。

11. 縄文人に見習うべき点
縄文時代の遺跡から見つからないものがある。それは人と人が戦うための武器だ。その後の弥生時代になると武器が出てくる。しかし、縄文時代には人と人が助け合って生きていた。縄文文化縄文人については興味を持ち色々調べた。自分の理解では、日本がまだユーラシア大陸の一部というか、かろうじてつながっていた氷河期の時代にはシベリアルートや対馬ルートから人類が移住した人がいた。そして、温暖化と共に海進が進み、日本が大陸と切り離されて、ひょっこりひょうたん島のように島国となって広がったのが縄文人のようだ。そして、なぜか縄文人は東日本に多く、西日本に少ないが、これは紀元前6500年前に発生した鬼界カルデラの大噴火の影響ではないか。大噴火に限らず日本は災害大国だ。地震津波、台風、さらには噴火。縄文人が戦うべきは大自然だった。だから、大自然を敬い、人々は連携し、助け合った。その遺伝子は日本人の美徳として受け継がれていると思う。
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 出典:https://indeep.jp/caldera-eruptions-could-be-soon-in-somewhere-include-japan/

12.まとめ
なぜ日本人はこれほど幸福度が低いのか。満足していないのか。それは将来に対する明るい展望が見えないからではないだろうか。今は貧しくても、子供が成長した時代には豊かな社会になる。素晴らしい日本を創るのだと希望に燃えている時代は、貧しくても幸福度は高かったと思う。しかし、現状で精神的な支柱がなく、経済面でも成長の陰りを強める。実質的な年収はどんどん下がっている。そんな時代に幸福度が高まるわけはない。結婚して子供を産んで育てるための費用を考えると、今の年収では無理と諦める人が増えたら、少子化が止まる訳が無い。よく考えれば当たり前のことかもしれない。では、どうするか。それは精神面だけでもダメだし、経済面のテコ入れだけでもダメだ。精神面と経済面の両面で我々日本人が50年後、100年後どのような日本を子孫に残したいのか、そして残せるのかについて徹底的に考えるべき時期かもしれない。コロナウイルスは世界に猛威を奮っている。しかし、コロナウイルスを全滅させることは現実的ではない。どこかで折り合いをつけて収束させるしかない。誰かに助けてもらった人よりも、実は誰かを助けた人の方が幸福度が高いという調査があった。まさに「情けは人のためならず」だ。そんなところに、これからの日本復活のシナリオを作るヒントが隠されているように思う。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。