LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

日本の適正人口を考える

はじめに
東京に戻ってから可処分時間が減った。このため、じっくりと調べてまとめることが減っている気がする。自分にはちょっと難物だけど、少子高齢化が叫ばれている日本の人口がどのように推移してきたのか、なぜ減少傾向が止まらないのか、どこかで反転するのか。そんなことに思いを馳せてみたい。

1. 日本人の人口の推移
1.1 かつては増え続けた日本の人口

少子高齢化は耳タコだ。しかし、日本人の人口が減少するのが実は初めてではないのをご存知ですか?石器時代から縄文時代に入って人口は右肩上がりに増加したが、紀元前5300年頃に現在の鹿児島沖で起きた「鬼界カルデラの噴火」の影響から西日本を中心に人口が激減した。そして、紀元前3000年の頃から人口増加に転じた。また、寒冷期には農作物の不作等から人口が減少する時期もあったようだ。そして、明治以降は再度人口が爆発的に増大し、昭和の時代に1億人を突破した。
f:id:hiroshi-kizaki:20190130185233p:plain
 出典:縄文時代は面白い。アドホックネタです。 - LuckyOceanのブログ

1.2 紀元前3000年に何があったのか
紀元前3000年といえば、下の図にあるように縄文中期だ。寒冷期から温暖期へと変遷する時代だ。やはり寒冷期よりも温暖期の方が人間も動物は住みやすいのだろう。長い冬が終わって春が来たのがこの時期だったのかもしれない。
f:id:hiroshi-kizaki:20190130190206p:plain
 出典:縄文展では説明されない縄文人のミステリー - LuckyOceanのブログ

1.3 縄文文化と縄目文文化
紀元前3000年ごろといえば、日本の縄文土器とそっくりな縄目文土器がヨーロッパで出土されているのをご存知だろうか。日本の土器が海外に広く広がったと考えるのはファンタジーかもしれない。それにしても両者はあまりに似ている。
f:id:hiroshi-kizaki:20190130190631p:plain
 出典:日本人の起源:Corded Ware Cultureと縄文文化 - LuckyOceanのブログ

1.4 人口の増加と海外移住
明治の時代に人口が爆発的に増加した時には、政府は海外への移住を勧めた。最初はハワイや北米だ。ついでブラジル。さらに満州へと続く。太平洋戦争(=大東亜戦争)がなぜ起きたのかは教科書では良く分からない。ネットで調べると、これは人種差別との戦いだったと言う説がある。欧米列挙の植民地政策との戦いだったと言う。しかし、これを見ると、増え続ける日本人を日本本土では支えきれず海外に新天地を求めたのではないかと言う可能性もあるのではないかと思う。真実はどうなのだろう。
f:id:hiroshi-kizaki:20190130191537p:plain
 出典:【株式会社 ギアリンクス】 南米日本人移民について

1.5 人口の推移の予測
話を戻そう。日本の人口は2004年12月をピークに減少している。これがどこまで減少するのかと、その減少を容認するべきなのか、対策するべきなのかで議論が別れるところだ。かなり乱暴な前提だが、このままの出生率が継続すると、2100年には、多くて6400万人に、少ないと3800万人まで減少すると言うのが下のグラフだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190130185020p:plain
 出典:日本の人口はV字回復するのか? | Energy Democracy

1.6 なぜベビーブームが終焉したのか
1944年から1946年のデータは戦争の混乱で欠如しているが、その直後には第一次ベビーブームが起きた。いわゆる今の団塊の世代だ。そして、その世代の子供が第二次ベビーブームだ。しかし、残念ながら第三次ベビーブームは起きずに、なだらかな減少傾向に飲み込まれている。
f:id:hiroshi-kizaki:20190130192141p:plain
 出典:【人口戦】日本の少子化は「人災」だった(上)戦後ベビーブーム突如終焉(1) - 産経ニュース

2. なぜ日本の人口は減少しているのか
2.1 GHQの戦略的政策

第二次世界大戦が終了し、日本の復旧に向けて第一次ベビーブームが発生したのは理解できる。しかし、それがなぜ急速に終了したのかがわからなかった。しかし、色々と調べていると、これは自然な減少というよりは、政策に基づくものだった。つまり、昭和24年に優生保護法が改正された。つまり、それまでの日本では、中絶は違法行為だったが、経済的な理由から中絶を認める国となった。この背景や理由は色々と言われているが、連合国軍総司令部(GHQ)は、日本の人口増加に歯止めがかからないと膨張主義が復活すると考えて、優生保護法の改正を後押ししたという説がある。GHQとしては、日本人の脅威を質量の両面で封じ込めようとしたのかもしれない。

2.2 人工中絶数と出生数の推移
新聞やニュースでは報道されないが、第一次ベビーブームの後に訪れたのは、人工中絶ブームだった。下のグラフを見ると、出生率と人工妊娠中絶数を足した数は、250万人から300万人とあまり大きな変化はない。しかし、出生数は昭和24年の279万人から昭和32年には156万人にまで減少している。正直ショッキングな内容だけど、誕生するはずだった赤ちゃんは減っていなかったということだ。日本人はこれを反省する必要があるのではないだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20190130193433p:plain
 出典:占領下の「堕胎の合法化・推奨」は、戦争犯罪の視点で見るべき

2.3 経口避妊薬と中絶実施率
中絶の届け出数は昭和28年には100万件を超えたが、平成29年度の人工妊娠中絶は16.4万件まで減少した。しかし、これは手放しで喜べない。下(左)の図のようにコンドームの利用数は減少しているが、これに代わって、経口避妊薬の利用が増加しているためだ。しかも保険適用の経口避妊薬が増えている。いわゆるピルは事前に服用する必要があると思っていたが、最近は72時間以内にアフターピルを服用すると80%の確率で避妊ができるという。知らなかった。。
f:id:hiroshi-kizaki:20190130194500p:plain
 出典:【第742号】平成28年1月1日発行(2016年) | 一般社団法人 日本家族計画協会

3. 人口減少にどのように対策するのか
3.1 日本では婚外子が非常に少ない

下の図は、横軸に出生数に占める婚外子の割合、縦軸に合計特殊出生率で35の国をプロットしたものだ。ともに最も少ないのが韓国、ともに最も多いのがチリだ。いわゆる北欧やフランスなどは右上だ。日本は左下だ。婚外子を認めるような社会になれば、日本の少子化は解決するという説もある。しかし、それはいわゆるシングルマザーに押し付けることになるのではないか。シングルマザーが生き生きと余裕を持って生きる世界は一つの解かもしれないけど、日本社会はそれを受け入れるのだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20190130195353p:plain
 出典:婚外子が増えれば日本の少子化問題は解決する? | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

3.2 女性活躍社会
女性が活躍している度合いと合計特殊出生率には正の相関関係があるというのが下の図だ。しかし、だからと言って、女性活躍社会にすれば出生率が増える保証はない。相関関係と因果関係は違う。女性が安心して、子育てできて、仕事も出来て、自分のライフもエンジョイできて、将来への不安も感じない。そんな前提がなければ、苦労して子供を産んで育てようという女性が増えるとは思えない。
f:id:hiroshi-kizaki:20190130200042p:plain
 出典:少子化対策について | 社会福祉法人 陽光福祉会

3.3 沖縄に学ぶ
沖縄の出生率が高い理由を調べていたら、びっくりした。戦後はGHQの指導で日本で中絶ブームが生じたことを先に書いたが、その頃の沖縄は日本に復帰していなかったので、出生率が急激に低下することはなかった。なので、保育所も多数できていて、しかも料金も安い。女性にとって優しい社会になったという。沖縄では、20歳の頃に結婚して子供を産んで、おばあちゃんが育てる。そして、子供が20歳ぐらいになって結婚して、子供を産んだら、今度は自分が仕事を卒業して、子育てに回る。生活を支えるのは常に母親だ。なので、40歳で孫、60歳でひ孫という人は珍しくない。出生率以上に、回転率が高い。

4. 今後の課題
4.1 新・三本の矢

2日ほど前に平成最後の施政方針演説を新聞で見た。三本の矢の2本目として、希望出生率1.8を目指すという。この1.8はかなりチャレンジングな目標だけど、これを設定した前提が9割の若者が結婚を希望していて、夫婦が希望する平均子供数が二人なので、0.9x2=1.8だと言う。保育所とか、育児休暇とか、シングルマザーとか、中絶数の削減とか、いろいろな政策を実施した場合の数字かと思ったら、全然違った。残念だけど、実現へのシナリオも説得力がない。
f:id:hiroshi-kizaki:20190130201048p:plain

4.2 増大する草食系男女
下のグラフは、未婚者の年代別の性体験がないと回答した人の比率の推移だ。例えば、18-19歳の男性では、2005年の60%が最低で、2015年には72%まで増えている。女性も同様に2005年の62%が最低で、2015年には74%まで増えている。つまり草食系男子がよく話題になっているが、女子も草食系だ。同じような経口は20代でも起きている。これはどう言うことなのだろうか。インターネットやSNSの増加と関係があるのだろうか。バーチャルな世界が楽しいので、リアルなセックスへの興味が減少しているのだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20190130201718p:plain
 出典:http://www.garbagenews.net/archives/1864636.html

4.3 減少する見合い結婚と増大する恋愛結婚と離婚率
自分は30歳になった時の年末に帰省したら、親兄弟から見合いを勧められた。もう十分遊んだから区切りをつけろと言う。しかし、京都弁のはんなりした話し方にグラっときたけど、ここで親の言いなりになってはいけないと頑張って東京で相手を見つけて恋愛結婚した。最近はお節介なおばさんもいない。でも、残念ながら恋愛結婚では離婚率が高いと言う。最近は、マッチングサービスなども増えている。
f:id:hiroshi-kizaki:20190130202321p:plain
 出典:昔の日本人が全員結婚できた理由 最近の若者は「恋愛離れ」ではない? - ライブドアニュース

4.4 年収で決まる結婚の可否
男性が女性に求めるのは外見で、女性が男性に求めるのは年収。下の図はそんな厳しい現実を示しているのだろうか。安倍総理が希望するような出生率にするには、男性の年収を結婚できる金額まで引き上げないとダメだ。しかし、現実は非正規社員を中心に年収が減少している。それでは女性は結婚に踏み切れない。働きたいと言う女性もいるけど、結婚して子育てしてのんびりしたいと言う女性もいる。しかし、男性の年収だけでは厳しいので、女性も働かざるを得ない。それなのに、保育所もない。どうするのと言う女性の叫びが聞こえそうだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190130202739p:plain
 出典:童貞率・処女率の増加と『恋愛の仕方』がわからない若者たち - ゆとりずむ

まとめ
残念ながら現状の分析と課題の整理しかできなかった。これをどう解決するのか。そもそも何をKPIやKGIとするべきなのか。AIやロボットが進化して、労働力の必要数が減少するのであれば、日本の人口が減少することは必ずしも悪いことではない。個人的には日本人の幸福感をKGIとすべきだと思う。一人一人の日本人がプライドを持って、生きがいを持って、人生を全うする。そして、それを実現するためには、どのような方法論があるのか。その尺度として、適切な出生率がKPIとしてあって良い。答えの一つは多様性を認めることではないだろうか。シングルマザーも学生結婚も、婚外子も、それぞれが懸命に生きようとしているならそれを応援するような政策にすべきではないかと思うのは、自分だけだろうか。

以上

今回のテーマは難しい。自分にはまだまだだ。最後まで読んでいただきありがとうございます。