LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

パチンコの景品と英検二級

はじめに
英語は好きだった。小学校の頃に町内で英語教室のポスターが貼ってあった。通いたいと親に言ったけど、当時はそんな余裕はなかったので、無理だった。中学を卒業して希望の奈良高専に入学した。通学に1時間ほどかかる。今から考えると十分に通学圏だったのだけど、小学校まで徒歩1分、中学も徒歩10分だったので、とても無理だと思い、寮に入った。そして、夏休みに京都に戻った時に大手の本屋の丸善によると、リンガフォンのコーナーがあった。とても、気になった。当時は奨学金も貰っていたし、アルバイトもしていたので、当時のお金で1万円ぐらいした気がするけど、思い切って購入した。旅行者が空港に行って、出国手続きをするところから始まっていて、海外旅行に行くようなドキドキ感があって、すっかりとはまってしまった。
f:id:hiroshi-kizaki:20181222214429p:plain
 出典:https://jmty.jp/chiba/sale-oth/article-2m7pw

学生時代は睡眠学習で英語脳
本当は、教材の音声と自分が吹き込む音声を比較して聴くというメソッドだが、これがどうも苦手だった。カセットテープレコーダに自分の声を吹き込むのは嫌だった。さらにそれを聴き直すのも嫌だった。先生の音声と全く違う。なので、もう自分で吹き込むのはやめて、ひたすら聴くことにした。特に、睡眠の時間を活用した。ベッドの横にカセットテープレコーダを置いておいて、イヤホンでテープを聴きながら寝る。しかし、自分は瞬間で寝られる。これは今でもそうだ。多分1分もかからない。なので、毎晩テープを聴いていても、学習時間は毎夜1分だ。それでも、たまには寝付けないことがある。こういう時は学習のチャンスだ。半年ぐらい続けていても、あれ?こんな会話あったかなあと新鮮だった。それだけ真面目にテキストを読んでなかった。それでも毎夜毎夜聴いていると、英語脳が少しできたようだ。突然、テープの音が聞き取れるようになった。その瞬間はびっくりした。

英語の成績はイマイチ
学校の英語は真面目に勉強したつもりだったけど、それほど成績が良かった訳ではない。奈良高専は、代々ドイツ語の授業が厳しくて、ドイツ語の成績が悪いという理由で毎年1割ぐらいが留年する。40名のクラスなのに、毎年4名が留年するのはすごい。。しかし、上級生も留年するので、生徒の数はあまり変わらない(笑)。1年生の時に3年生の上級生だったのに、5年生では同級生になったりする。それでも、毎夜英語のカセットを聴いていたので、英語の先生からは英語のセンスが良いねと褒められたことがある。それでも、成績はいまいちだった(涙)。

女子大生との楽しいコンパ
奈良高専には、社交ダンス部があった。奈良女子大学の社交ダンス部とのパートナーだ。自分が3年の時は近くの短期大学がパートナー校だったけど、自分が4年になる寸前に奈良女子大に切り替わった。卒業生で社交ダンスの競技会に進んでいる人がいて、その人がコーチだ。お互い全くの素人だけど、真面目に練習した。高専の5年生の秋だったと思うけど、就職試験とか、ダンスパーティとかイベントがいっぱいあった。そんな多忙な中でも英検二級の一次試験を受験したらまぐれで受かった。そして、その二次試験は、奈良女子大学とのダンスパーティの翌日だ。ダンスパーティではデモンストレーションとかした。そして、すでに20歳になっていたので、ビールで乾杯して、気持ちよく盛り上がった。大好きな彼女ともいろいろ話ができた。打ち上げも終わり、寮に戻ったのは結構夜遅くだった気がする。

二次試験の試験会場を間違える
英検二級の二次試験は京都の市内だった。確か日曜日だ。前日の土曜日は遅くまで盛り上がった。あまり寝ていない。起きたら、結構ギリギリだった。それでも、頑張って奈良から京都の試験会場に向かった。あまり頭は回っていない。どうも一次試験の試験会場に無意識に向かっていたようだ。ギリギリだったのに、会場近くになってから受験票を見返すと数km離れている。これはやばい。バスでは間に合わない。電車もない。仕方ないので、タクシーで向かうことにした。しかし、目的の会場の近くになってから財布にお金があまり入っていないことに気が付いた。幸いにもパチンコの景品でゲットしたタバコが一カートン新品のままバックに入っていた。タクシーの運転手さんに状況をお話しして、試験に間に合わないとまずいので、その景品で勘弁してほしいとお願いした。タクシーの運転手さんも優しい人で良いよと送ってくれた。

失敗談で切り抜ける
二次試験ではヒアリングとかスピーキングの能力を評価する。ヒアリングは理解したつもりだけど、一緒に受験した人と答え合わせするとどうも違う。彼のほうが優等生だ。これはダメかと思った。口頭試験では面接官との問答の前に、軽く今日はどこから来たの?とか聞かれる。奈良から来ました。でも会場を間違えて、タクシーでこちらに向かった。でも、財布を忘れたんで、運転手と交渉して、パチンコの景品を渡してなんとか会場に到着できたと身振り手振りを交えて英語で説明した。どうも、これが良かったみたいだ。問答試験の質問はなんだか簡単に済んで結果は合格だった。

まとめ

自分はどうもあまり真面目な学生ではなかったようだと学生時代を思い出した。技術士でも実力というよりは運で乗り切ってきた感じがあるが、この英検二級も、失敗談を語ることで許してもらった感じがする。もし、自分が試験官だったらどうだったろう。なんだか面白い学生だと合格にしただろうか。それとも不真面目な学生だと判断したのだろうか。前者の試験官でラッキーだった。職場でも英語に苦労している新人がいた。ぜひ勇気とチャレンジで頑張ってほしい。

以上

VFMと水道ビジネスを考える。

はじめに
本年12月5日に、水道法改正案が可決された。12月には出入国管理法や漁業法を相次ぎ改正したが、重要な法案は本当に国会で審議が尽くされたのだろうか。テレビで放映される可決のシーンを見ると心配になる。VFMとか、PFI/PPPとか、コンセッション方式とか聞きなれない用語が錯綜していて素人には難解だ。自分には少し手強いかもしれないが、少し紐解いてみたい。

VFMとは
VFMとは、「Value for Money」の略だ。つまり、下の図で言えば、従来50億円かかっていた公共サービスがPFIを活用することで、40億円で実施できるようになった場合には、20%のVFMが得られたということになる。浜松市の水道事業は、今後25年で46%程度の値上げが必要と試算されるが、VFMを当てることで39%程度まで値上げが抑制できると試算された。なので、運営委託方式が市民の負担軽減に寄与するという。
f:id:hiroshi-kizaki:20181219185605p:plain
 出典:VFMとは/京都府ホームページ

本当にコストが削減されるのか?
ちょっと待ってほしい。今の費用負担が仮に年間50億円として、それを40億円の費用負担で対応できるなら、数字の前提を吟味する必要はあるが、コスト削減だろう。しかし、将来の値上げ幅を抑制したというのはコスト削減ではない。値上げを認めているだけではないか。そんなバカな話がまかり通るのは何故なのか。浜松市水道事業アセットマネジメント計画を調べてみると、H17年からH76年までの60年間の管路・施設の建設事業費が下のように書かれていた。この表を見ると、耐震化事業費はH27年からH36までに270億円ほど投資するが、それ以降はゼロだ。ちょっと配分が極端なシナリオのように感じるのは気のせいだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20181219190331p:plain
 出典:https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/sd-kouji/asetto/documents/asetto_gaiyouban.pdf

コンセッション方式とは
ある特定の地理的範囲や事業範囲において、事業者が免許や契約によって独占的な営業権を与えられたうえで行われる事業の方式をコンセッション方式という。施設の運営会社と異なる会社が事業を行う方式のことだ。例えば、百貨店のテナントもこのコンセッション方式といえる。水道事業の場合には、浄水場施設などの独占的な使用権を特定の企業(=コンセッショネア)に譲渡する方法だ。日本の水道事業のコンセッション方式は、BTO方式のPFI(Private Finance Initiative)事業の実施方法だし、PPP(Public-Private Partnerships)の考え方に基づく事業運営手法だ。コンセッション方式のイメージ図を下に示す。
f:id:hiroshi-kizaki:20181219191242p:plain
 出典:コンセッション関連銘柄 | 株王獅子丸の仮想通貨塾

外資の狙いは出資による配当金か?
民間のノウハウを活用して、公共投資が効率化され、結果として料金が値下げになったり、品質が改善されるのであれば、それは有効な方法だろう。浜松市では、フランス系のベオリア社とコンセッション契約として、下水道施設の排水管理に関して長期契約を締結した。下の図はその事業スキームだ。ここで資金の流れが赤い点線だ。民間事業者(=ベオリア社)が出資し、その出資金で水道事業を改善する。そして、そこで得られた利益に基づいて配当金が出資者に払われる。日本の商法では、会社は株主のものだ。この水道事業に適用すると、水道事業は株主である出資者のものなのだろうか。それとも利用者のためのものだろうか。出資者の目的は利益を最大化することだ。利益を最大化する方法は、費用を抑えて、収入を増やすことだ。それを商法ベースの概念で進められると、どうなるのだろう。
f:id:hiroshi-kizaki:20181219191534p:plain
 出典:https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/suidow-s/suidou/documents/zentaiban.pdf

フランスにおいて民間活用で課題となった事例
ベオリア社はフランスの多国籍総合環境企業グループだ。ベオリア・ウオーターは、スエズ、テムズ・ウオーターと並ぶ世界の三大水処理企業だ。そのベオリア社がフランスの自国で展開した民間活用では、水道料金が約25年間で3.5倍に高騰したという。ベオリア社は途上国の水道事業も手がけていて、同様の手法で値上げするが、途上国では金を払えないというケースが多く苦戦しているようだ。しかし、先進国では、水道を止められてはたまらない。特に真面目な日本人はほとんどの住民がきちんと水道料金を払うだろう。想像したくないが、出資者の利益のために値上げが繰り返されるのは絶対に阻止すべきだ。しかし、出発点が値上げ幅を45%から39%に抑えるとなると、値上げが前提なので、もうこれはやりたい放題にならないのだろうか。浜松市の事業状況は引き続き注視すべきだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20181219192704p:plain
 出典:https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/suidow-s/suidou/documents/zentaiban.pdf

世界の水道ビジネスの民営化状況
下の図は、世界の国々の水道事業の民営化度合いを見やすくマッピングしたものだ。これによると欧州では20%以上が民営化している。米国は10-20%だ。ロシアは10%未満だ。日本はこのマップではバージンマーケットだ。世界50大水道事業者は、24カ国で2億8,000万人以上の人々にサービスを提供し、年間収益は530億ドル(2014年の純資産ベース)という。日本は水資源に恵まれた稀有な国だ。しかし、世界の水道事業のグローバル企業の食い物にされる危険があることを認識すべきではないだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20181219193222p:plain
 出典:Global Private Water Utilities Jockey for Market Share - Flow Control Network

まとめ
技術士には上下水道部門がある。機会があれば、専門家に今回の水道法改正をどう考えるのかを聞いてみたい。そもそも海外の企業が有益なノウハウを有しているのであれば、コンセッション方式ではなく、単に運営委託して、コスト削減すればいいのではないか。しかし、ベオリア社はそんなオファーは受けないだろう。だって、美味しくない。それは言い換えればコンセッション方式が美味しいことになる。別の話だが、リニアモーターカーの開通工事に伴ってアルプスの地下水脈の影響が受けると懸念されている。特に静岡の大井川への影響は、水量だけでなく、水質面でも心配だ。自分は通信の専門家だが、電気、ガス、水道といった公共サービスは日本社会を支える重要なインフラだ。日本の公共の福祉が大きく損なわれないように、ビジネス上のリスクにもアンテナを張っておく必要はあると思う。ネットを見ると色々な意見が飛び交っているが、そのどれが本当なのかを見極めることが難しい。引き続き研鑽したい。

以上

情報工学部会の参加報告:AIロボットを考える。

1. はじめに
日本技術士会の情報工学部会が12月15日(土)の午後に機械振興会館で開催された。今回のテーマは、「ロボットへのAI適用について」だった。興味深いテーマなので参加した。本年4月に東京に戻ってはや9ヶ月。36名の技術士が参加したが、そのうち6名ほどは知人だった。前半のパートは山口教授の講演だが、後半はチュートリアルで、慶応大学で開発したソフトを用いて実際にロボットのアプリ開発にトライした。

2. 山口教授
慶應義塾大学の教授だが、1957年生まれで大阪大学出身。大阪の四條畷(しじょうなわて)育ちのようで、これこての関西弁だった(笑)。博士課程まで大阪大学だったので、多分、奥様も関西の人なのだろう。現在のAIはいわゆる第三世代であり、結論は出せても、その根拠を示すことができない。知識を問えば完璧に答えるし、ある事象と別の事象の相関関係も分析できる。しかし、因果関係を聞いても答えられない。なぜ?どうして?と言う質問は苦手で、まだまだ進化の途上だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20181216113013p:plain
 出典:https://www.criprof.com/magazine/2017/06/22/post-4168/

3. 相関関係と因果関係
人間でも単なる相関関係を因果関係のように勘違いすることはある。山口教授が指摘したのは、例えば病院を減らすと病人が減ったというもの。これは夕張市の経済破綻に伴い、市民病院がなくなった。市民が健康に注意するように意識改革が進んだこともあるが、重篤な病人は夕張市から転出したので、病人が減少したというもの。何が原因で、何が結果かを突き止めるのは、現時点では人間の役目だ。しかし、AIが色々な相関関係を分析してくれるのは、本当の因果関係を調べる上で大きな支援になる。
f:id:hiroshi-kizaki:20181216114513p:plain
 出典:atarimae.biz

4. AIと人間の協働社会
山口教授の講演の結論は、人間とAIロボットが同じ目的のために協働するのが望ましい社会だと理解した。現在のAIでは、次のような要素は代行が困難だ。
 1) 創造性や創意工夫が必要な要素(Creativity)
 2) 手先の器用さを求められる要素(Dexterity)
 3) 社交性を求められる要素(Social Intelligence)
この3つのキーワードで検索すると、有名な論文「47%の仕事はAIロボットに代替される」と同じ主張だった。ROBOTENOMICSが発行するこのペーパーでは、AIロボットに代替されるリスクの高いのが47%、中ぐらいが19%、低いのが33%だという。例えば、事務員の仕事はRPAなどで自動化されやすいが、ファッションデザイナーの仕事は自動化しにくい。測量士や受付係りの仕事は自動化されやすいが、高度な判断を伴うような監督員の仕事は自動化しにくいだろう。
 出典:https://robotenomics.com/2016/04/18/1158/

5. サービス業におけるロボット利用
学生の時に、学園祭でコンピュータ占いのコーナーを作ったことがある。一見、コンピュータが処理しているようにダンボールで作ったが、中には人がいて、それらしいメッセージをボックスに落とすだけのアナログなものだが、結構人気になった(笑)。現在の変なホテルの受付ロボットは、単に挨拶をしているだけで、視覚認証もしていないし、言語認証もしていない。ある研究者が認知症気味の老人の相談ロボットを作ったという。色々な有益と思える情報を提供する機能を実現したが、老人の逆鱗に触れて殴られて壊れたという。今度は、相槌(あいづち)のみをするロボットを開発したら、えらく喜ばれたという。必ずしも高度な機能が必要ではない好例だ(苦笑)。

6. 自動運転車
2020年の東京オリンピックパラリンピックの時には、首都高速を自動運転車が颯爽と走行することが計画されている。しかし、このミッションを受けた研究者は頭を抱えているという。なぜかといえば、自動運転車は事故を起こしてはいけない。それだけでプロジェクトがストップする。「下町ロケット」のように失敗しても次のチャンスがあるとは限らない。このため、安全係数をとる。どうしても慎重な設定となる。首都高速のインターには入れても、一般の車が走行している走行レーンに合流できない。つまり、スタートしない!という。このため、自動運転車が安心してスタートできるように、助走レーンを長くしてあげるとか、車が走っていないところでスタートさせる必要があるようだ。なかなか大変だ。個人的には、道路交通法の改正を検討すべきだと思う。一般に最高速度のプラス10km/hとか、20km/hまでなら、他の走行車両の速度に合わせて運転すべきだし、警察もある程度は許容しているという俗説もある。しかし、自動運転車は俗説や常識ではなく、法令に準拠して走行するので、交通渋滞やイライラした車による事故の増加要因となりかねない。

7. Google翻訳
2016年11月に「Neural Machine Translation(ニューラル機械翻訳)」という深層学習の機能が導入され、翻訳精度が大幅に向上した。英語からフランス語への翻訳では1万5千時間の学習で、プロの翻訳家レベルではないけど、その前段の翻訳としては十分に使えるレベルだという。実際、最近は、言語に関係なくGoogleで調べて、Googleで翻訳して理解することが多い。便利な世の中になったものだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20181216123411p:plain
 出典:「Google翻訳」の精度が劇的に向上したワケ - 日経トレンディネット

8. IBMのワトソン
ワトソンは、すでに百科事典や辞書、ニュース、著作物など100万冊、2億ページの知識を獲得している。しかし、そこで使われているのは、最新技術というよりも従来技術だ。それでも従来技術を集大成することで、すでに年間1兆円規模の売り上げを達成しているようだ。IBMの売り上げは約10兆円なので1割を稼ぐとはすごい。
f:id:hiroshi-kizaki:20181216122953p:plain
 出典:IBMのAI「ワトソン」、年1兆円稼ぐ 初期市場で先行 - 気の向くままに

9.東ロボくん
2011年から2016年にかけて国立情報学研究所が中心になって、人工知能東京大学に合格できる能力まで高めることを目標にしたプロジェクトだ。5教科合計の偏差値は57.8まで高まったが、これが限界と研究は幕を閉じた。しかし、それでも、国公立大170大学の33大学、私立大580のうちの441大学に入学できるレベルには達した。世界史や数学は得意だが、国語や英語、物理で50を超えない。国語とか英語では、特に長文読解の能力が現在の深層学習では克服するのが難しいという。また、物理の試験では、問題文に記載されているイラストを正しく認識することができないらしい。興味深いのは、Wikiで学習して知識を増やしているので、日本史の問題が出ても、教科書と異なる答えを書いてしまって得点にならないこともあるようだ。これって、東ロボくんの問題ではなく、教科書側の問題ではないかと思う。教科書検定をやめて、Wikiをベースに試験するようになれば、もっと得点が上がるのかもしれない(笑)。東ロボくんの研究が中止になった裏の理由がこの辺りにあるかもと考えるのは邪推だろうか(^^)
f:id:hiroshi-kizaki:20181216123823p:plain
 出典:ASCII.jp:東大生がロボットに仕事を奪われる日は来るのか (1/2)

10. まとめ
これら以外にも興味深い話が本当に湯水のように湧き出てくる。慶應義塾大学が開発したPRINTEPSというロボット開発ツールを学習し、小グループに分かれて、簡単なプログラムを開発した。AIを活用して解決するような社会的な課題を決めて、どうやって解決するかといったディスカッションと発表を行った。その時に出てくる山口教授のコメントには、多くの示唆に富んだ事例の話があり、すごいと思った。特に、スキルだけでもダメ、知識だけでもだめ。実践を通じて習得した経験ノウハウというスキルと、体系的な知識を連携させることが大事だというのが印象的だった。また、世の中にIoTが普及して、大量のデータが発生(=ビッグデータ)することで終わってはいけない。この大量のデータを分析(AI)して、それを専門家が持つ知見で判断して、解決策を見出す。そして、それを実社会の課題解決に役立てる。そういう大きなサイクルを確立することが大切だと思った。

以上

キャンプシュワッブとジュゴンを考える。

1. はじめに
テレビや新聞で辺野古沿岸部への土砂投入が報道されている。普天間基地返還合意がなされた1996年から3年間沖縄に赴任し、在沖米軍と一緒に仕事をしてきた自分としては非常に複雑な思いを感じる。日本のマスコミは政府と沖縄の対立構造として報じている。しかし、そうなのだろうか。なぜ辺野古移設が必要なのか、代替策はないものか、課題はなんなのかを少し考えてみたい。
f:id:hiroshi-kizaki:20181215211609p:plain
 出典:【画像】「埋め立てやめろ」「あきらめない」辺野古で1千人抗議 - ライブドアニュース

2. キャンプシュワッブとは
日本の新聞等の写真を見ると、キャンプシュワッブは埋立地のエリアのように勘違いするが、在沖基地の中でも広大な土地を占有している基地の一つだ。在日米軍の施設の面積は全国で263km2あり、そのうち沖縄には184km2と全体の約70%を占めている。これは沖縄本島の面積の約25%を占めている。キャンプシュワッブは20km2だ。複雑なのは、キャンプシュワッブの土地の約25%は私有地であり、年間23億円を超える賃借料が日本国政府から地主に支払われている。この辺りに利権の問題が隠れているのかもしれない。
「The U.S. Military Presence in Okinawa and the Futenma Base Controversy」2012/8/3
f:id:hiroshi-kizaki:20181215103925p:plain
 出典:https://www.hsdl.org/?view&did=719916

3. ジュゴンは大丈夫なのか
沖縄に3年間滞在し、沖縄本島は隅々までドライブした。その中でも特に綺麗だったのは辺野古だ。高台の崖の上から見下ろす辺野古の海は本当に綺麗だった。海が綺麗だったので、そこに悠々と泳ぐ巨大なマンタがよく見えた。当時はジュゴンも生息していただろう。キャンプシュワッブで働く米兵は、勤務時間外にはタンクを背負って嬉しそうに綺麗な辺野古の海のダイビングを満喫していた。自分もダイビングのライセンスを持っているので、潜りたかったが、流石に米軍キャンプであるキャンプシュワッブの海を潜ることはできなかった。建設工事が始まった辺野古ジュゴンが生息しているとは思えない。
f:id:hiroshi-kizaki:20181215103344p:plain
 出典:Join the Fight to Save Okinawa Dugongs

4. 辺野古移設の対立軸はなんだろうか?
(1) 1996年当時の日米合意

 普天間基地の返還は、1995年の少女乱暴事件を受けて、日米特別行動委員会(SACO)が立ち上がったことがきっかけだった。自分が赴任した時にも事件が起きて、米兵は全員外出禁止令が出ることもあった。詳しくは知らなかったけど、今調べると、被害者は12歳の女子小学生だった。これはひどい。ひどすぎる。そして、その怒りが米軍基地の縮小に発展する契機になったが、実際には縮小ではなく、移転という解決だったのが問題の底辺にある。

(2) 在沖米軍
米軍は、陸・海・空の3軍に加えて海兵隊がある。USMC(United States Marine Corps)と略する。在日米陸軍のメインは座間だ。沖縄には鳥居基地がある。在日米空軍のメインは横田、三沢、そして嘉手納だ。在日米海軍のメインは横須賀、厚木、佐世保だ。沖縄にはホワイトビーチがある。ここがまた綺麗だ。問題の在日海兵隊のメインは、沖縄のキャンプバトラ、キャンプコートニー、普天間基地、北部のキャンプフォスター、キャンプハンセン、さらに岩国だ。沖縄の基地の南部から中部にかけては、陸・海・空の基地があり、海兵隊の司令塔の基地もある。自分が勤務していた北谷(ちゃたん)はキャンプフォスターのすぐ近くだったけど、どの基地も高台の見晴らしの良いところだったり、綺麗なビーチ沿いだったりする。
f:id:hiroshi-kizaki:20181215122239p:plain
 出典:https://blog.goo.ne.jp/sekiseikai_2007/e/913e6e94b51aecbf8aca0df384a23663

(3) ウチナンチュとヤマトンチュ
マスコミでは日本国政府沖縄県や県民感情という対立構造で報道することが多い。でも、そうなのだろうか。沖縄に赴任するときに、沖縄の人は、自分たちのことをウチナンチュと呼び、本土の人のことをヤマトンチュと呼ぶ。沖縄の人は、例えば、大きな国道で車で走っていて、横から車が飛び出しても、クラクションとか鳴らさない。運転しているおじいさんとか、おばあさんの顔を見て、しゃあないなあ。ちゃんと運転せいよという感じで国道への合流を促す。基本的に、争うことを嫌がる。「ナンクルナイサ」と言う言葉も良く聞く。まあ、くよくよしても仕方ない。何とかなるよと言う感じだ。そんなウチナンチュとヤマトンチュが戦う構図とは思いたくない。

(4) 日本と米国
江戸時代の前半には沖縄はまだ琉球王国だった。地政学的に、沖縄は台湾にも、中国にも、韓国・北朝鮮にも、東京にも繋がる絶好のロケーションだ。日本人としては、沖縄から在日米軍に出ていってほしいと言う意見の人はいるだろう。でも、全員でもない。米国は、中国や北朝鮮、ロシアへの牽制の拠点として沖縄の拠点を外したくない。そんな構図だと言う人もいるかもしれない。しかし、米国だって、自然保護派で反対している人もいるし、推進派もいる。
f:id:hiroshi-kizaki:20181215213144p:plain 
 出典:https://www.hsdl.org/?view&did=719916

(5) 国防推進派と自然保護派
地政学的に沖縄での戦力を下げるわけにはいかないと言う国防推進派は国内にも米国にもいる。一方で、沖縄の辺野古には絶滅の危機に瀕しているジュゴンの貴重な生息地だ。沖縄には約400種類のサンゴがここにあり、1,000種以上のサンゴ礁、海洋哺乳類、ウミガメをサポートしている。そんな貴重な数少ない自然が残っているのが、この辺野古の海だ。米国絶滅危惧種法の下で保護され、日本の哺乳動物学会によって重大な危機にさらされている沖縄ジュゴンのための最後の砦だ。2005年に国際連合は、ジュゴンの生息地を荒廃させる米国と日本の改正建設提案を拒否した。2008年には米国連邦裁判所が米国国防総省に対し、デュゴンに対する新しい航空基地の影響を考慮し、害を回避または緩和することを要求した。米軍も日本政府も、ジュゴンの生息に影響がないと言う判断をしているようだが、本当か。その点は厳しく追及すべきだろう。

(6) シラス統治とウシハク統治
日本では、国民は国の宝とされていた。これをシラス統治と言う。この考え方に基づけば、沖縄の県民の80%が反対すると言う辺野古への基地の建設を進めるべきではない。江戸時代の生類憐めに令を出すまでもなく、日本は生物との共存を志向してきた。琉球王国でもジュゴンとの共存を図ってきた。沖縄には、貴重な素晴らしい自然が残っている。これは在沖米軍が素晴らしい海岸を陣取っていて、民間の開発が進まなかった点も原因だ。これは結果論だが在沖米軍の大きな功績だと思っていた。しかし、その中でも特に貴重な辺野古の海岸を埋め立てると生態系への影響は壊滅的な影響を受けるだろう。国の判断に国民が従うべきと言うのはウシハク統治の考え方だ。もしかすると、この辺野古の問題はシラス統治とウシハク統治の対立軸の問題という側面があるように感じるのは自分だけだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20181215214838p:plain
 出典:U.S., Japan agree to partial Marine transfer from Okinawa - media | Reuters

5. 代替案はないものか
(1) 嘉手納基地への統合

2012年8月に発行された「The U.S. Military Presence in Okinawa and the Futenma Base Controversy」では、代替案として、嘉手納基地に統合することが検討されていたことが明記されている。しかし、1996年にはSACO会談で否定された。2005年には、リチャード・ローレス国防副長官がカデナに統合する案を探求したが、実現には至っていない。この理由は2つある。それは嘉手納空軍基地の理解を得られていない点と、国防力の抑止に繋がる点のようだ。
 出典:https://www.hsdl.org/?view&did=719916

(2) グアムへの再編計画
米軍基地の再編の中でグアムに統合する案はあったのかもしれない。しかし、鳩山由紀夫が首相の時代に普天間基地の移設問題が迷走した。米議会も、8000人の海兵隊員とその扶養家族をグアムに移送する案に対しては、103億ドルの費用がかかると反対したとある。米国会計監査員(GAO)は、239億ドルの費用がかかると主張した。トランプも日本は米国の国防にただ乗りしていると非難するなら、自らの費用でグアムに国防戦線を引くべきかもしれないが、この可能性は低そうだ。
 出典:https://www.hsdl.org/?view&did=719916

(3) その他の案
岩国への統合する案や、もっと沖縄本島北部のキャンプハンセン等の奥地にヘリポートを作る案もあるのではないかと思うけど、どれも問題があるのだろう。現実問題として、辺野古への移設を認めるしかないのだろうか。でも、もっと自然と共存できるようなヘリポートを目指すことは出来なかったものだろうか。このまま土砂の投入を進めると、もう辺野古の綺麗な海は戻ってこないだろう。ジュゴンも絶滅し、ウミガメが卵を産む場所もなくなるかもしれない。

まとめ

辺野古の問題は本当に難しい。辺野古への基地の建設を認めて、未来志向として、普天間基地の返還後の再利用にフォーカスする方が賢明なのかもしれない。しかし、こちらも利権の匂いがする。ディズニーランドを誘致する案を出している人もいるが、どんな青写真を描くのかはこれからだ。普天間基地の返還は2022年度以降だが、これに先立って、キャンプ瑞慶覧の返還が予定されている。沖縄が今後、ますます輝くエリアになるのか、ウチナンチュが幸せな日々を暮らせるようになるのか、それともこんなはずではなかったと後悔するような世界にするのか、そのターニングポイントが今のような気がする。
f:id:hiroshi-kizaki:20181215222326p:plain
 出典:沖縄米軍基地返還計画 | nippon.com

以上

携帯電話の料金を考える。

1.はじめに
今年の9月に自民党の菅官房長官が、携帯各社について「あまりにも不透明で、他の国と比較して高すぎるのではないかという懸念がある。競争が働いていないと言わざるを得ず、いまより料金を4割程度下げる余地はあるのではないか」と述べた。これを業界では菅ショックと呼んでいる。携帯電話各社は、それぞれ盛り込み済みとか、値下げするとか、応酬している。携帯電話の料金は高いのだろうか?少し料金について考えてみたい。
f:id:hiroshi-kizaki:20181214191842p:plain
 出典:携帯電話料金:ソフトバンク値下げ静観 - 毎日新聞

2,携帯電話の料金は高いのか?
携帯電話の料金は、高いという指摘に加えて、分かりにくい、複雑だという指摘がある。確かにそうかもしれない。そもそも高いと言う声は、携帯電話利用者よりも、スマホの利用者だろう。新聞で海外の料金と比較しているが、これも前提条件次第だ。NRIが利用データ量別に海外と日本の比較をしている。毎月データ通信をどの程度使うのか?数年前では1-2GBを使うのは大変だったけど、最近は7GBでは不足して、多い時は20GBほど使う。料金プランは国によって違うし、通信事業者によって違うし、料金も改訂するので、一概には結論つけるのは難しいが、利用が7GB程度ならイギリスは安く、米国は高く、日本はその中間ぐらいか。
f:id:hiroshi-kizaki:20181214192934p:plain
 出典:https://buzzap.jp/news/20180821-suga-mobile-charge/

3.携帯電話の料金分解
3.1 通話料金の値下げの状況

1990年代では携帯電話で通話すると3分で260円だった。2000年には3分で100円レベルまで値下げしている。最近では、無料通話アプリも普及している。恋人とLINE通話で一晩中話をするなんてシーンは若者の間では普通だ。いい時代になったものだ。菅さんの指摘は、この通話料金を下げろという意味なのだろうか?高い料金が嫌なら無料通話アプリを使えばいいだけではないだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20181214193553p:plain
 出典:リビング+:ドコモ、固定→携帯の通話料を値下げ

3.2 ガラケーからスマホへの主役交代
2010年(平成22年)ごろはまだガラケーの普及率が93%、スマホはわずか10%だった。しかし、東日本大震災が起きた2011年ごろから急速にスマホへのシフトが進み、2014年(平成26年)には、ほぼ同じ普及率となり、現在ではスマホが75%、ガラケーが50%だ。携帯電話の料金が高いという前提はガラケーなのか?スマホなのか?ガラケーの利用料金は安いので、多分、スマホなのだろう。
f:id:hiroshi-kizaki:20181214194137p:plain
 出典:https://toranomics.com/smartphone_price_trend/

3.3 パケ死
第三世代が始まった2000年ごろからデータ通信が始まった。当時は、パケットの単価が決まっていて、調子に乗ってデータ通信をするとデータ通信料金が数十万円にも達する猛者もいた。2005年には873件もパケット料金の相談があった。当時はパケ死とパケ詰まりが社会問題となっていた。今は聞かない。なぜだろう。それは、第4世代へのシフトに成功したためだ。第三世代の時は、最大2.4Mbpsという触れ込みだが、これは基地局のセクター速度だ。10人が同時に使えば240kbps、100人が同時に使えば24kbpsになる。現在は、LTEを使っているので、電波の状況がよければ数十Mbpsで快適に通信できる。しかも、スマホ利用者は7GBとか10GBの定額制を使っていて、パケ詰まりもなければ、パケ死もない。素晴らしい状況であることを理解すべきではないだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20181214194558p:plain
 出典:「パケ死」の意味が変わった? 「高額請求」ではなく…… - ITmedia NEWS

3.3 データ通信料金の値下げの状況
2020年に開始する5Gでは数Gbpsを狙う。2000年の3Gでは数Mbpsだった。つまり、20年で千倍なので、2年で2倍のペースだ。下のグラフでは利用者あたりの利用トラヒックが1年で倍増している。10年で千倍、20年で百万倍だ。しかし、利用者の通信料金は微増レベルだ。そういうマクロな状況を菅さんは理解しているのだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20181214201056p:plain
 出典:https://wirelesswire.jp/2012/03/38115/

4. 他の公共料金と比較する。
4.1 公共料金の支払いレベル

公共料金の平均額を調べようとしたけどなかなか良いのがない。洋服の青山のホームページで公共料金をカードで支払うとポイントが貯まるという記事があった。これが一般的かどうかは微妙だけど、電気ガス水道が月2万円、携帯が月1万円、新聞が月4千円というのはありがちかもしれない。
f:id:hiroshi-kizaki:20181214195855p:plain
 出典:https://www.aoyama-card.co.jp/used/public/

4.2 電気・水道・ガス料金との比較
もし、電気・水道・ガスの利用料が毎年50%増加したらどうなるだろう。2年で倍増。4年で8倍も使ったら、料金は8倍になる。それで高いとは言わない。そもそもそんなに使えない。しかし、スマホの利用は急激に増加している。そこがこれら料金と携帯電話料金との大きな違いだ。

4.3 他の通信料金との違い
固定電話を使う頻度は減っている。単身世帯の場合には、固定電話を持っていない人が多いだろう。そんな世帯でもインターネットには契約して、自宅でWi-Fiを利用できるようにしている人も多いだろう。スマホスループットと、Wi-Fiスループットのどちらが早いだろうか?以前はWi-Fiの方が早かったけど、最近は微妙だ。5Gが始まると多分逆転するだろう。そんな状況になったら固定電話やインターネットをキャンセルした方がいいかもしれない。
f:id:hiroshi-kizaki:20181214200939p:plain
 出典:http://voices.ku-neko.com/2015/10/stats-jp-mobile-charge.html

5. スマホの端末料金と通信料金
スマホを機種変更する時に、キャッシュで一括払いする人は少ないだろう。一般には、24ヶ月の割賦にする人が多いのではないだろうか。そして、通信事業者は24ヶ月契約をすると端末費用の全額もしくは一部を補填する料金プランを出している。今回の値下げ要請では、端末料金と通信料金を区別しろという。以前も、区別したら結局、端末が売れなくて、国内メーカーが携帯電話市場から相次いで撤退した。今度はどうなるのだろう。iPhoneの生産量が下方修正されている。日本人は中古品を嫌がる傾向にある。今後は中古市場が立ち上がるのだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20181214201406p:plain
 出典:http://money-smart-kyoshitsu.com/mobile_fee/high_fee.html

6.まとめ
極端な話、定額制で料金が同じで、利用トラヒックが年間で2倍に増えたら、単価は1年で半分だ。実際はそんな単純ではないが、実際の料金プランもこのようなマクロな傾向に追随する。そして、これを今後20年間支えるのは5Gであり、5Gへの投資をしない限り、2000年のようなパケ詰まりとパケ死が待っている。国内の携帯電話事業者が5Gに投資する金額は5兆円レベルだ。2020年に始まる東京パラリンピック&オリンピックでは5Gがどんな風に活用できるのかを考えると、当事者はドキドキしているのかもしれないが、自分はワクワクする。モバイルの通信速度が倍増すると、その利用も倍増して、トラヒックは4倍になる。そんな爆発を何度も経験してきた。しかし、料金だけは爆発しないように抑制している。料金はもちろん安い方がいいし、今後も単価は下がるだろう。そんな状況を菅さんにも理解してほしいと思う。
 出典:携帯大手の5Gインフラ投資、5兆円の奪い合い :日本経済新聞

以上

中小企業診断士も欲しいけど、MBA取得を検討中♬

はじめに
今年は情報工学技術士試験にチャレンジしたがダメだった(涙)。また、労働安全コンサルタントにもチャレンジして、来週21日に合否発表があるが、正解集を見る限り1問足りない。つまり、不合格だ(号泣)。前者は7月16日、後者は10月16日に試験があり、それぞれ自分的には精一杯頑張ったが残念だ。技術士試験については、すでに3部門取得しているので、予定通りこれで打ち切りにしたい。労働安全コンサルタントに来年もチャレンジするかどうかはもう少しゆっくりと考えるつもりだ。会社からは、電気通信工事施工管理技士の試験が来年から始まるので、これにチャレンジしてほしいと言われている。すでに監理技術者なので受験する意味はないが、後続の監理技術者を育成する意味のようだ。まあ、それはそれで考えよう。でも、これらでは「ワクワク感」がない。

中小企業診断士へのチャレンジ
自分が30才前半の頃に、グループ会社の投資・育成を担当する部署に配属になった。国内の技術系のグループ会社と海外のデータセンターだ。前者も問題だったが、後者の方がより深刻だ。データセンターの走りで、リスクも高かったので、某シンクタンク系とのジョイントベンチャー(J/V)でニューヨークとロンドンに広大な土地を確保し、そこに金ピカの施設を建設した。当時は、バブル末期で、バブルが崩壊すると誰も思っていなかったので、もうピカピカだ。しかし、自分が担当した時にはバブルも弾けていて、10億円を稼ぐのに20億円の費用がかかる。もう経営改善のレベルではない。放置すると倒産するのは時間の問題だ。主要株主で議論するが、誰も追加投資には応じない。まあ、そりゃそうだろう。仕方ないので、主要株主の合意を得て、減資して、当社の100%子会社として再出発することになった。問題は、自分が会計や財務の知識が全くなかった点だ。しかし、その部署に配属になる前は営業部門に配属されていて、これはこれで楽しかった。営業の真髄は顧客の満足度を高めることだと悟った。当時は顧客満足度という概念がなかったが、顧客満足度を高めることを極めようとすると単なる営業マンではなく、コンサルタントを目指すべきと考えて、通信教育で「中小企業診断士」の講座を受けていた。多分、これが異動のきっかけかもしれない。異動になった年に一次試験を受ける。自分的には、「ああ玉砕だ」と完全にダメだと諦めた。しかし、結果は合格だった。通信教育の成績はあまり良くなかったのに、一次試験に合格したことを知った、通信教育の会社からは「成績優秀賞」が送付されてきた(笑)。なんだこれ?と呆れた。その年の二次試験を受験したが、当然のごとくだめ。1年間みっちりと勉強して翌年二次試験にチャレンジした。自分的には手応えがあったと思ったが、結果は不合格。どうも、中小企業支援施策の説明が違っていたようだ。試験会場では、○○パワーとかのテキストで勉強している人がいた。自分も教育機関の指導を受けるべきかと思ったけど、もう遅い。そのうち、希望のSE部門に異動が決まる。当時は、二次試験は永年有効だったので、また年取ってからチャレンジするかと放置した。

法政大学
中小企業診断士の試験は、現在は一次試験合格しても翌年までのチャレンジが担保されるだけだ。経過措置で自分はあと一回だけチャレンジできる。でも、1回のチャンスで合格する自信がない。色々調べると教育機関に1年間とか通うと二次試験の合格と同じように資格取得できる。○○パワーも提供しているし、法政大学でも提供している。法政大学は、会社にも近いので、調べると、どうも中小企業診断士のコースは昼間コースだった。流石に、これは無理だ。しかし、2年の夜間コースがある。これなら通えそうだ。ただ、こちらは中小企業診断士ではないが、いわゆるMBAコースだ。これにチャレンジするかどうかを今真剣に悩んでいる。先日、説明会に参加したら、平日は3日程度通って、土曜日に通うようなパターンが多いらしい。平日の授業は18時35分から20時15分と20時20分から22時までの2時限だ。会社からは徒歩10分ほどなので、なんとかなるかなあ。会社の許可は不要だけど、理解は得ておく必要がある。理解は得られるだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20181213202443p:plain

来年の目標
会社の理解が得られれば、2年計画でMBAを取得したい。これは「ワクワク感」がある。会社が兼業や副業を認めてくれればいいけど、まだ時間がかかりそうだ。もし、両方が実現したら、「三足のわらじ」をぜひ履きたいなあ。サラリーマンは長くても65歳までだ。学生は61歳から63歳までの2年間だ。技術士事務所を登記するのはいつだろう。仮にX年度として、そのX年度に向けて準備を着々と進めていきたいなあ。法政大学への入学がポストサラリーマン人生に対して、大きなフォローとなるのを願うばかりだ。ただ、その前に、入学試験を受ける必要がある。大丈夫かなあ。

まとめ
技術士の専門は、電気・電子と経営工学だ。前者は、これからも深掘りしていきたい。ただ、純粋な技術を極めるというよりは、それを社会に還元する、日本人を幸せにする。安全・安心な社会を実現する。そういう技術の活用技術を極めたい。その意味ではMBAの勉強をして後者の知識や能力を高めることは戦略としてはナイスだろう。目標ができれば元気が出る。来年も元気に頑張ったいきたいなあ。

以上

失業率と雇用保蔵率を考える。

はじめに
雇用保蔵者という概念をご存知でしょうか?日本では、特に正規社員の場合には特段の理由なく解雇されることはない。このため、リストラでも解雇するというよりは、早期退職制や割増金を払うことで自主的な退職を促す。今日のテーマの雇用保蔵者とは、分かりやすく言えば社内失業者だ。この推移はどうなっているのだろう。50年後、100年後の労働条件はどうなっているのだろう。

雇用保蔵者の推移
雇用保蔵者をどのように集計するのだろうか?企業が発行する有価証券報告書を見ても、社内失業者数は掲載されていない。まあ、そりゃそうだろう。積み上げ方式が難しいので、マクロ的な算出をしている。つまり、企業の業績などから想定される必要な人員と現実の雇用者数を比較して、過剰に雇用していると思われる雇用者を推定している。つまり、推定値だ。リクルートの推定によると下の図のように2000年当時は201万人だったが、2008年9月のリーマンショックを受けて急増し、2010年には426万人に倍増する。2020年には若干減少して408万人だが、2025年には415万人と雇用保蔵率は約8%まで増加すると試算している。
f:id:hiroshi-kizaki:20181206195607p:plain
 出典:https://www.works-i.com/pdf/150731_yosokugraph.pdf

失業率の推移
高度成長期の1960年代にはほぼ1%だったが、1970年代になると2%を超え、1980年代には3%弱まで増加した。その後、1991年には2.1%まで減少したが、その後は増加し、2007年には3.8%まで増加した。そのあと低下し、2016年度では3.0%まで下がっている。総務省統計局によると、完全失業率は2018年10月時点で2.4%まで低下したという。完全失業者は163万人だという。景気の復活を感じないが、なぜこれほど失業率が低いのだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20181206200357p:plain
 出典:空前の低失業率でも賃金が上がらない理由 | プレジデントオンライン

非正規社員の増加
1990年の非正規比率は20%で、非正規社員は870万人だった。しかし、その後は右肩上がりに増え続け、2018年では非正規比率が38%と1990年に比べてほぼ倍増している。非正規社員数も2018年には2090万人と2000万人を超えている。一方で、正規社員数は2011年に3135万人まで減少したが、2018年には3395万人まで微増した。注目すべきは完全失業者が163万人に対して、非正規社員が2090万人と10倍以上だということだ。つまり、正規社員を目指すが、正規社員になれない時に、失業する人よりも、非正規社員として働く人が10倍以上と言えるのではないか。
f:id:hiroshi-kizaki:20181206201100p:plain
 出典:図録▽正規雇用者と非正規雇用者の推移

残業時間の推移
残業時間が多いことは悪のように言われる。労働者の心身の健康のためといわれるがそうなのだろうか。下のグラフは6万人の口コミに基づく調査結果だが、これによると2013年には平均46時間だった残業が、2016年には35時間まで減少しているという。また、この年齢別の残業時間を見ると20代と30代の平均月間残業時間は50時間ほどだが、40代では45時間、50代は40時間と年齢との逆相関関係があるという。
f:id:hiroshi-kizaki:20181206201800p:plain
 出典:残業時間は3年前に比べ大幅減少 | マイナビニュース

ワーキングシェア
以前、やる気と残業時間の関係を調べたことがある。高収入のプロフェッショナルはやる気も高く、残業時間は多い。逆に低収入のゾーンは残業時間も少ない。やる気は高く残業が少ないのはスタバだった。そして、問題は低賃金で残業を強いられるやる気のないゾーンだ。これが問題だという指摘だが、新聞やテレビの報道を見ても、このような二次元的な分析はあまりなく、100時間を越えると労災に該当すると、職業ややる気度合いなどを無視して、ひたすら残業時間を削減するように扇動しているように見える。もしかしたら、ワーキングシェアが目的なのだろうか。つまり、ドイツのように労働時間を減らすことで、見かけ上の社内保蔵者や失業者を減らそうとしていると考えるのはうがった見方だろうか。今後、AIの進展とともに、ホワイトカラーの業務はどんどん自動化されるだろう。その時には就業時間を8時間ではなく、6時間とか4時間とかに短縮する方向に向かうのだろうか。

限界費用ゼロ社会
コンピュータやインターネットが発達すると、限界費用ゼロ社会が実現するという。限界費用とは、生産量をある単位増やした時の総費用の増加分だ。例えば、アマゾンUnlimittedでは、同時に読める本は10冊だが、1日に1冊読んでも、10冊読んでも100冊読んでも同じ料金だ。提供側のアマゾンにしても、別に印刷して発送するわけでもない。ネット経由で配信するだけだ。このような商品が今後どんどん増えていく。逆に言えば、時間を売るような労働型ではなく、ネットを活用したビジネスを考えることが成功の条件なのかもしれない。

ケインズの予言
失業率は減少傾向にある。雇用保蔵率も横ばいだ。そして、非正規社員比率は右肩上がりで増えている。一方、残業時間は減少傾向にある。さらにコンピュータの発達に伴って人手に依存しない仕組みがどんどん増えている。これが10年、20年と続くとどうなるのだろう。ケインズは、「100年後には1日3時間労働になると言った。」という。このような世界に向かっているのだろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20181206204408p:plain
 出典:ケインズ「孫たちの経済的可能性」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

まとめ
社会科学は難しい。何が難しいかと言えば、答えが一つとは限らないことだ。自然科学なら事実を積み重ねれば真実が見えてくる。しかし、失業率とか、雇用保蔵率とかを積み上げたら未来の世界が見えてくるのだろうか。将来がユートピアなのか、ディストピアなのかは自分たちがどのような社会を作りたいと願うか、実行するかによっているのかもしれない。

以上