LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

鳩のようなカラス

はじめに
昨年の7月から8月にかけてバルト3国を旅した。その時に見たダンディで大人しそうなカラスが何者なのか気になっていた。どう考えても日本でみるカラスとは違う。少し調べてみたので報告する。
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 出典:タリンの朝からランチまで - LuckyOceanのブログ

カラスに関する神話
日本では、カラスに対するイメージは良くない。そりゃそうだろう(笑)。古来から日本ではカラスは霊魂を運ぶと言われていた。夜のカラスの鳴き声は火災の前兆とされるような迷信もあったようだ。海外ではどうだろう。例えば、ギリシャ神話では、もともとは太陽神アポロンに使える賢い鳥だったという。色は白銀で美しい声で人の言葉も話すという。しかし、アポロンの妻の不倫をアポロンに密告して、さらにそれが嘘だったため、カラスは追放され、美しい羽の色も美しい声も奪われたという。
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 出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/カラス#北欧神話

Carrion CrowとHooded Crow
このギリシャ神話は本当なのだろうか。ヨーロッパにおけるカラスは大きく分けて2種類ある。南西エリアに生息するのはハシボソガラスだ。学名はCorvus Coroneだが、英語ではCarrion Crowで、その意味は死肉を食うカラスだが、実際は植物質を好むという。一方、北東エリアに生息するのは、Hooded Crowだ。日本語ではズキンガラスとか灰色ガラスと呼ばれる。自分がエストニアの旧市街で見たのはこの灰色ガラスだ。
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 出典:ズキンガラス - Wikipedia

グレーカラス
アイルランドでは、Gray Crowと呼ばれている。ここでは、グレーカラスと呼ぶことにしよう。このグレーカラスは、長く雑種と考えられていたが、2002年以来は、独立種と認められている。日本にいるカラスはゴミを漁るし、場合によっては人を襲ったりする。でも、このグレーカラスは大きさも鳩と同じぐらいで、ぱっと見では鳩と勘違いするぐらいだ。くちばしが鳩と全く違うが、グレーカラスは瞳も愛らしい感じだ。エストニアでも鳩と並んで草むらをつついていた。人間に危害を与える雰囲気は全くない。おとなしい感じだ。
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 出典:https://www.monaconatureencyclopedia.com/corvus-cornix/?lang=en

まとめ
日本にいるカラスはハシブトガラスと言う。中国を中心に東南アジアで生息しているようだ。同じカラスでもグレーカラスは大人しく、エレガンスだ。カラスのことをブログで書いても興味を持つ人は少ないかもしれない。でも、個人的にはエストニアで見たおしゃれなカラスがグレーカラスと分かってスッキリした。エストニアは、人々もおとなしくてシャイで、でも真面目で、まるで日本人のような感じだった。日本のカラスもエストニアのカラスのようにエレガントなら良いのにと思った。

以上

スマート農業を考える。

はじめに
日本技術士会の技術士フォーラム2018が本日(12月1日)機械振興会館の地下2階ホールで開催された。ざっと見て250名程度だろうか。13時に開始して、17時までみっちりだった。テーマはスマート農業だ。「ICT・IoTで農業農村はこう変わる!」というテーマで官民学の4名の講師による講演だ。意外といっては失礼だけど、想像以上に面白かったし、皆元気だった。将来に対する希望が一杯ある感じだ。

1. 何が面白かったのか
農業にITを活用することは以前から取り上げられていたが、それが現実の問題として省力化に繋がったり(=楽をする)、付加価値を高めることに繋がったり(=儲ける)している事例が出ていることだ。また、少子高齢化の右下がりのトレンドや農村の過疎化の深刻化を論じることが多いが、今回の講師陣は皆元気で、世界の農業を考えると需要は右肩上がりだ!とか、日本のスマート農業の技術で世界の農業が変えられる!などが論じられ、少し元気をもらった気がする。講師の順番に書くと議事録のようになるので、興味深かった内容(=覚えている内容)に絞って報告したい。

2. OPTiMの休坂健志さんの講演
2.1 楽して儲ける

これは、株式会社オプティム(OPTiM)の休坂健志取締役ディレクターのキーフレーズだ。同社は2000年に佐賀大学の構内で産声をあげたベンチャー企業だが、AIの分野で色々な業界での応用にチャレンジし、AIの実用化で世界一を目指す元気な企業だ。「楽して」とは、効率化することだ。儲けるとは高く売ることだ。ITの活用の目標は大体前者が多い。しかし、休坂さんによると高く売ることに成功したという。どういうことか。スマート農業の分野で活躍している。
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 参考:ディレクター紹介 | OPTiM

2.2 ピンポイント農薬散布技術
細かな説明は割愛するが、対象は枝豆の農園だ。ドローンを活用して、枝豆に害虫がついていないかどうかを撮影して、その撮影結果を画像解析技術(AI)を活用して、ランク付けする。そして、害虫がついているエリアにのみピンポイントで農薬を散布する。しかも、昼間だと害虫は葉っぱの裏に隠れているので、葉っぱを食べに葉っぱの表面に現れる夜に農薬を散布する。ドローンは指定されたエリアに散布するだけなので、夜でも平気だ。そして、この結果、農薬の散布料は平均90%も節約できたという。これはコストカットだ。しかし、ポイントはこの後だ。農薬の使用料を大幅にカットできたということは、本来農薬を撒かなくても良いところには撒いていないので無農薬と同じだ。農薬を撒いたところも残留農薬はゼロだったという。これをセールスポイントとして、低農薬食品として有名百貨店で販売したところ通常の3倍の価格で売れたという。これが儲けるだ。
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 出典:http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1807/30/news033.html

2.3 レベニューシェアモデルによる市場の拡大
OPTiMは、この仕組みを無料で提供するという攻めの一手をかけた。しかし、ボランティアではない。どういうことかといえば、農家からは標準的な価格での買取をコミットする。そして、標準価格よりも高く売れたら、その利益からOPTiMの使用料金を差し引き、残りを生産者と流通者とOPTiMで分配する。これなら農家から見るとノーリスクハイリターンだ。農林水産省によると、国内の有機農業(減農薬農業を含む)の取り組み面積は全耕作面積の0.5%にとどまっている。日本の有機食品の価格はドイツや米国の10分の1とまだまだ低い。耕作量も価格もまだまだ伸び代があり、国内だけでも1兆円規模の市場があると鼻息が荒い。

3. 東京大学大学院の溝口教授
3.1 みぞらぼ

溝口教授の研究室なので略して「みぞらぼ」だ。ググるとすぐに出てくる。溝口教授曰く隠すものは何もない。見たい人は見てくれだった。確かにアクセスすると、「1に体力、2に食欲、3・4がなくて5にジョーク」という方針が示されている。溝口教授のキャラクターがそのまま現れている。面白い。講演の進め方も独特だ。忠犬ハチ公の話の後、スマート農業を進めるには田舎にこそ高速通信環境が必要だ。これが今日の結論。これで終わり(笑)、といったキーフレーズで始まった。この手法は機会があったら使わせてもらいます(笑)。
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 出典:みぞラボ公式ページ

3.2 うつ病になったSEを農家に預けるとなぜか1年後には元気に
昨年9月4日の日刊工業新聞に「農業IoTは本物か」という記事が掲載されている。その中で色々書いているが、一番主張したかったことは、日本の水田の地下には透水性パイプ(暗渠:あんきょ)が地下工場のように張り巡らされていて、高品質な農業が可能だ。これを建設するときに光ファイバーを一緒に建設すれば、高い通信料金を通信会社に払う必要もなく、インターネットを快適に使えるはずだという。そして、その記事には、サブテーマとしてうつ病になった若いSEを農家に預けると、なぜか1年後には元気になって戻ってくるという記事が掲載されていて、なぜか2chでこちらの方が多いに盛り上がったらしい。確かにSEでチマチマと仕事していていると心の病にもなる。そして、お日様とともに起きて、お日さまとともに活動して、夜になったら新鮮なお米で炊いた美味しいご飯を頂き、地元の美味しいお酒を飲んで、心優しい人たちと楽しく過ごせば心の病は解消するだろうと思う。
 出典:http://www.iai.ga.a.u-tokyo.ac.jp/mizo/papers/nikkan170904.pdf

3.3 田舎はインフラ整備が遅れているだろうか
これは場所にもよるので微妙だけど、以前九州の高千穂の小学校を訪問するときに、気になってスマホスループットを測定したら100Mbps超を記録した。これまでいろんなところで何度も測定しているが、100Mbpsを超えたのはこれが最初で最後だ。多分、最寄り局が比較的近くにあって、そのカバレージ内に自分以外に使う人がいなかったのかもしれない。それ以来、田舎の小学校を訪問すると、デジタルデバイドの話をすることが多い。同じ仕様のモバイルの基地局があったら、人が少ないほど快適だ。だからデジタルデバイドは田舎が遅れていることを意味するけど、モバイルでは逆だとかいうと、校長先生はそうかと結構ニコニコして聞いてくれる。まあ、とはいえ、それは基地局がある場合だ。基地局が近くになかったり、全くなかったりするとやはり厳しい。特に山間部では電波が回り込みきれない。現在のLPWAのシステムはいわゆるプラチナバンドと呼ぶ720MHzの電波を活用するので比較的遠方まで電波が広がりやすい。しかし、本当に山間部を制覇しようとするのであれば、もっと低い周波数を利用するべきだ。例えば、ポケベルが使っていた280MHzの電波を山間部で使うようにすればスループットは出なくても、結構広い地域で使えるはずだ。4Gの段階では妨害波となってしまって逆効果になるが、5Gの段階であれば、280MHzも800MHzも2.8GHzもキャリアアグリゲーションの機能を使ってまとめて利用できないものだろうか。災害時のためには、大ゾーン局が有効だが、山間部であれば超大ゾーン局の方がいいだろう。280MhzをLPWAの周波数として活用できないものだろうか。距離が遠くなると端末側にもそれなりの出力を求められることになるので、電池で動くIoTだと悩ましい。

3.4 世界中での利用を考える
溝口教授はそもそも国内だけでなく、海外でもフィールド試験を続けている。なので、フィールドモニタリングシステム(FMS)を開発する場合にも、国内だけでなく海外でも利用可能なことを条件としている。海外でのモニタリング試験を開始して、1年後にデータを取りに行ったり3日分しか保存されていなかったという失敗があり、モニタリング機能の重要性と必要性を誰よりも痛感されたようだ。1日に1回程度の送信であれば、ソーラパネルと電池とその国で使える携帯(データ通信用)を防水・防虫ボックスに入れて稼働させることでモニタリングが可能となった。データは取れるようになったので、現在はその取得した膨大なデータ(ビッグデータ)を如何に分析するかが課題だ。
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 出典:ARDEC56 / Opinion:発展途上国の農業・農村でフィールドモニタリング技術を活かす

3.5 AIの定義
溝口教授によれば、AIを「Artificial Intelligence(人工知能)」と理解するのではなく、IBMが提唱するように「Augmented intelligence(拡張知能)」として理解すべきだという。これは賛成だ。というか、そもそもコンピュータは人工知能と呼ばれていたが、やるべきことが明確になると、計算機とか、ミニコンとか、スマホとか固有名詞ができる。画像分析とか、翻訳機能とか、音声認識機能とか、実用レベルで使える機能が色々出てきただけであり、なんでも出来るというのは素人の妄想だ。過大な期待は失望につながるだけだ。今できることを見極めてそれを活用することが大切だろう。
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 出典:http://www.web-consultants.jp/column/5607/

4. クボタの末吉康則さん
4.1 クボタのコアビジネスは水処理

クボタは農機具のメーカだと思っていたら違っていた。クボタは、1890年に19歳の創業者久保田権四郎氏が鋳物業を開業した会社だった。「やればできる」「失敗を恐れるな」の信念で日本で初めて水道管の国産化に成功した会社だ。今回の講演の講師である末吉さんも水処理や通信処理で多数の特許を持つアイデアマンだ。特に力を入れていたのが、農業を支援するインフラソリューションであるKSISだ。
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 出典:https://www.kbt-press.com/technology/ksis_sewage-treatment01

4.2 農耕機の自動運転の課題
現在の技術では農耕機を自動運転で制御することは可能だ。法的にも田んぼの中は問題ない。問題なのは、公道での走行や公道から田んぼへの出入りだ。現在の道路交通法では、自動運転の農耕機を無人で公道を走行させることはできない。これは末吉さんの意見ではなく、自分の意見だが、隊列走行の技術を活用するのが現実的かもしれない。つまり、クボタの農耕機は自動運転が可能だが人も乗れるようになっている。したがって、二台とか三台の農耕機を使って一気に作業をして、隊列走行で公道を走る。運転してなくて運転者がいる。何れにせよ、自動運転技術を日本社会で活用していくには、法的な整備は必須だ。
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 出典:https://smartagri-jp.com/smartagri/123/

5. 農林水産省大臣官房政策課室長松本賢英氏
5.1 WAGRI

松本室長の事前配布資料が大量でかつ、話の内容も広範囲なので、正直少しうとうとしてしまった(笑)。印象に残ったのはWAGRIだ。農業データ連携基盤の通称名だが、なんの略だか分からない。多分、最初に説明があったはずだが、聞き逃した(汗)。Wが分からない。あとから調べると、和+農業=Wa+Agriの造語だった。平成29年8月にWAGRI協議会が設立された。WAGRIは、SIP(内閣府・戦略的イノベーション創造プログラム)の「次世代農林水産業創造技術」で開発を進めているという。ここは覚えている(笑)。
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 出典:農業データプラットホーム -WAGRI-

5.2 スマートフードチェーン

スマートフードチェーンに関する研究開発を2018年秋に開始し、2019年4月には農業データ連携基盤の本格稼働を開始し、2023年4月にはスマートフードチェーンを構築するとある。スマートフードチェーンとは、「データ連携を生産から流通・加工・輸出・消費まで拡張し、多様かつ変化する市場ニーズに的確に対応した農林水産物の生産・流通、同時にフードロスの削減を実現するシステム」だという。なんとなく分かったような分からないような。
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 出典:http://blogs.itmedia.co.jp/business20/2018/03/post_1907.html

5.3 コンビニの全商品にRFIDタグ
2025年までに全国のコンビニはすべての取扱商品に電子タグ(RFID)を取り付けて活用するという。これは経済産業省の主管だ。先のスマートフードチェーンはこれをもっと一般化したものなのか。よく分からない。RFIDを工場で取り付けて、共通的に使われればコンビニでの業務の効率化が図られるだろう。さらに、利用者の視点から言えば、冷蔵庫にもRFIDの検出機能があれば、冷蔵庫の中に入っているものをスマホでチェックできるようになる。これは便利だ。ただ、課題はRFIDの単価とリサイクルだ。現在の単価は数円だが、これが1円以下、できれば0.1円ぐらいにならないと細かな商品まで付けることができないだろう。
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 出典:https://sgforum.impress.co.jp/news/3851

6. まとめ
今日のフォーラムは面白かった。農業では、土壌の整備やタネ上の工数が気になるが、それと同様に日常の田んぼの巡回が結構大変だ。これがドローンなどで定期的に撮影してくれて、害虫の駆除が必要とか、土壌の改善が必要とか、電気柵が壊れているとか、アラームの情報にしてくれれば、必要な時だけ対応すれば良い。また、自分の叔父も90歳後半で農家の現役を誇っていたが流石に息子(いとこ)にバトンタッチしたようだ。いとこも70歳を超えているが、まだまだ元気だ。定年再雇用も終了したので、農家を継ぐには良いタイミングだ。しかし、残念ながらノウハウが不足している。そんな部分をICTやIoTが補完してくれれば、いとこでもなんとか農家を継げるかもしれない。農業従事者の高齢化が進んでいることが問題視されるが、後進に継承しやすいような仕組みを作ることはとても大切なことだと思った。

以上

「隣の芝生はよく見える」を考える。

はじめに
子供の頃数学が好きだった。数学が得意な人は将棋も得意らしい。でも、自分は将棋が強くない。攻めることばかりを考えて、相手にコロッとやられる(笑)。相手の立場に立って、自分を攻める方法を考えて、それを防ぐ一手を打つようにすれば、もう少し上達するのだろうか。なかなか他人の視点に立って客観的に物を見るのは難しい。

幼少時の話(姉との葛藤)
小学生の頃、親は働きに出ていたので、帰宅は18時ごろとなる。三人兄弟の長兄はクラブ活動か何かわからないけど家に戻るのは19時ごろだった。それまでの間、家には姉と自分しかいないので、なんとなく姉が食事の用意をして、自分はお風呂を沸かすという役割が定着した。でも、お互いに不満がある。相手の仕事は楽そうなのに、なんで自分はこんな苦労をするのかと考える。不公平だとお互いに相手を責めて、一度仕事を交換したことがある。
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 出典:五右衛門風呂(長州風呂)の特徴と豆知識

料理と風呂だき
料理は簡単だと思ったけど、結構大変だった。あの頃はまだ給湯器がなかったので、冬の水道は冷たい。野菜を洗ったり、お米を研いだり、お皿を洗ったりすると手が凍れる。また、今ならガスの給湯器で給湯スイッチをオンにすればお風呂にお湯が溜まる。楽になったものだ。でも、その頃は薪で炊いていた。新聞紙を固く丸めて、火をつけて、その火で細い薪を燃やす。そして、その細い薪で太い薪を燃やす。太い薪に火がついたら暫くほっておいても大丈夫だけど、時々薪を追加する。これが煙い。結局、姉も自分も、相手の仕事が大変だと理解して、それからは仲良くなった。2度と相手の仕事が楽とは思わなかったし、交換しようと言い出すこともなくなった。

まとめ
この原体験は貴重だった。人というのは、自分の仕事は大変に思える一方で、他人の仕事は楽に見える。その理由は分からなかったけど、そのメカニズムを知ったことは、社会人になってからも役に立ったと思う。結局人には得意分野がそれぞれあるし、その得意分野で活躍できれば幸せなのかもしれない。

以上

追伸)
2ランク上の職位の視点で考える
相手を理解することは、会社で仕事をする時にも大切だ。サラリーマン時代によく聞いた話だが、新入社員の時代なら上司の上司、つまり班長の上の主任の視点で考える。主任になったら課長の上の部長の視点で考える。部長になったら本部長の上の統括本部長のつもりで考える。ワンランク上ではなく、さらにその上のランクで考える。これは言いえて妙だ。ネットで調べてみると、DeNAが全社員に共通の考え方を5つ示していて、その内の一つに「全力コミット」があった。これはまさに、「ツーランク上の目線で、組織と個人の成長のために全力を尽くす」という考え方だ。なぜツーランク上が良いかといえば、直属の上司とは利害関係があるが、ツーランク上だと直接的な利害関係を意識しなくても良い。部長が何を考えて課長に何を期待するのか。そして、その課長は何を考えて自分に何を指示しているのか。課長からの指示に疑問を感じても、部長の意向を理解できれば、課長をどのようにサポートすれば、課長が部長から評価されるかを理解できる。そんな視点を持って課長からの指示に対応する人間と、単に課長からの指示に対応する人間ではそのアウトプットが絶対に異なる。逆にいえば、部門を率いる人間は、少なくとも2ランク下までには自分の考え方や想いを常に伝えていく必要がある。そんなことがうまく回っている組織は強い。
 出典:https://president.jp/articles/-/11406

監理技術者に求められる3つの能力

はじめに
関東近郊のある村からの要請に基づいて防災無線システムの構築を行なっている。完全に終了したわけではないが、第1期工事(10月から11月)が無事(?!)完了した。自分としては、初めての本格的な監理技術者としての業務だったので、非常に勉強になった部分が多いので、監理技術者に求められる能力等について考えてみたい。

建設業法案件の特徴
建設業法に基づく工事案件は関係者が非常に多いのが特徴だろう。特にビルの建設工事では、特定の場所に多くの業者が並行して作業を進めるので、危険も生じやすい。ゼネコンの役割は非常に重要だ。今回は、どちらかというと、特定の業者が多くの場所で順番に作業をするので、マネジメントとしては比較的楽だった。しかし、それでも、元請け、下請け、孫請け、ひ孫受けと続く。発注者を含めると7層とか8層構造になる。したがって、その間でコミュニケーションをとって、進捗確認して、工事を効率的にかつ安全に実施していくことが求められる。

監理技術者に求められる能力
今回は、プロジェクトマネジャー(PM)ではなく、安全管理を中心とする監理技術者としての対応だ。このため、案件を理解し、工事体制を理解し、事故や事件が発生しないように未然防止を図り、事故や事件が発生した時には関係者と連絡調整しながら、即時対応することが求められる。2ヶ月の対応で感じたのは、監理技術者に求められる能力のうち特に重要なのは次の3つだと感じた。

1) 現状把握能力
 予定する工事を計画通り実施するには、まず現状を正しく認識する必要がある。そのためには、工事の内容を理解し、リスクポイントを抽出し、現実の工事が問題なく進んでいるのかを的確に観察して、問題点を有無を常に判断することが必要だ。工事には多くの関係者やメンバーが同時にそれぞれの業務を進めている。そもそもの工事方法から細かな作業手順まで目を光らせて現状を把握する能力が重要かつ必須だ。自分自身では頑張ったつもりだけど、せいぜい70点ぐらいだろう。なぜなら全ての現場を見ることはできないし、そもそも初めての工事も多く、まずは勉強のフェーズだったからだ。

2) コミュニケーション能力
 これはちょっと危険かなというレベルから即時中止を指示するレベルまで色々な問題が生じる。通常業務であれば元請けの人間が孫請けの人間に指示を出してはいけないとなっているが、事故の未然防止のためには直接指示をしても良いという例外規定がある。本当に差し迫った時には直接の指示も行う必要があるし、日常の中では雑談したり、一緒に食事したりして、ダイレクトにコミュニケーションを図ることが本当に重要かつ有効だ。そして、問題があるなと判断した場合には、直接当事者に指示をするよりは、指揮命令系統に沿って、元請けから下請けのチームに注意喚起し、下請けから孫請け、孫請けからひ孫受けに指示を出してもらうことの方が良い。一見非効率に見えるが、問題の原因は上層にあることが多いし、それを解決する手段も上層にあることが多い。問題点と感じたことは問題点ではないかもしれない。まずは指揮命令系統に沿って、これはAでいいのですか?Bはリスキーではないですか?Cの点に注意してくださいね。そんな風に注意喚起をした時に、納得いく反応があれば自体は改善さえる。指揮命令系統に縛られるのもよくないが、指揮命令系統を尊重することが結果的に効率的なこともある。

3) 先読み能力
 実際の作業を進めるのは、それぞれの担当の業者さんだし、その業者さんに指示するのも下請けや孫請けだ。このため、監理技術者は基本やることがないのがベストだ。しかし、問題はゼロではない。どのような危険が予見されるのか。今日はどんな点に注意すべきか。過去にどんなトラブルがあったのか。先読みを行う能力とそれをKY朝礼等でメンバーと共有する能力が求められる。そもそもKYとは空気を読めないではない。危険予知(Kiken Yochi)の略だ。「今日は高所作業なので気をつけよう」では面白くないし、注意喚起にもならない。「昨日、こんな事故が起きた。高所作業車で作業するときは必ず腰ベルトしてください。」このように具体的に注意喚起した方が良いだろう。

ハインリッヒの法則は当たっていた
実害はほぼないけどちょっとどきっとするようなヒヤリハットが起きない日がある一方で、なぜか続く日がある。なぜだろう。また、このヒヤリハットが累積で10ほどになると、なぜかちょっとした事故が起きる。今回は、これで終わったけど、もしちょっとした事故が29件も累積すると、かなりヤバイ大事故が起きてしまうのだろう。大事故を防止するには、ちょっとした事故が起きないようにするだけではなく、潜在的ヒヤリハットを起きないようにすることが重要だ。

まとめ
笑いの絶えない和気藹々とした工事現場と、叱責が続くピリピリとした工事現場とどちらが良いのだろう。工事現場は体育系のことが多い。基本は指揮命令系統に沿って軍隊のようにピシッと作業した方が良いのかもしれない。でも、自分としては、やるべきことはきちんとやっていれば、安全意識を高く持って対応していれば、和気藹々とした現場の方が良いと思う。今回も最初はピリピリとして雰囲気があったが、後半は和気藹々とした空気感が出てきた。ただ、ちょっとした事故が起きたことを考えると、お互いをリスペクトした雰囲気の中でも、手抜きや不注意は絶対許さないといった、ピリピリ感も多少はあった方がいいのだろう。

以上

シラス統治とウシハク統治からゴーン事件を考える

はじめに
今週はカルロス・ゴーン氏の事件で新聞やテレビの報道が盛り上がっている。日産自動車(以下「日産」という)が経営危機に瀕したときには、ルノーが出資に応じ、ゴーン氏が日産COOに着任し、鮮やかにV字回復したのが1999年の頃だ。あれから20年経過したが、ゴーン氏の統治力は陰るどころかますます強固なものとなっていた。フランス政府は持株会社を設立し、その持株会社の元でルノー三菱自動車と日産を統治しようとしていた。日産がこれにノーを突きつけるために日本政府を巻き込んでゴーン氏の逮捕劇を演出したのが今回の流れのように見える。今回の事件をシラス統治とウシハク統治の観点で考えてみたい。

ルノーと日産・三菱自動車の資本関係
日本経済新聞では、ルノーと日産・三菱自動車の資本関係をしたの図のように報道している。これは、ゴーン氏がCEOを続投することを仏ルノーが2018年2月15日に発表したことを報道した時のものだ。これで見ると、ルノーが日産に43%を出資し、日産がルノーに15%を出資していることしかわからない。
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 出典:日本経済新聞(2018年2月16日)

日産とルノー合弁会社
ルノーと日産は資本交換しているように見えるが対等ではない。ルノーは日産の43.4%の株式を所有していて議決権を有するが、日産自動車が所有する15%のルノー株式は議決権のないものだ。また、ルノーと日産は折半出資で合弁会社を設立している。具体的には購買部門と情報部門の機能を持っている。端的に言えば金と情報をアウトソースさせられてる。ちなみに、ルノーの投資額は1999年当時で66億ユーロだが、日産からの配当が年間600億円としてほぼ10年で回収済みとなる。2013年時点で日産の総資本は倍増していて、ルノーの総資産2.3兆円のうち日産の総資産は1.8兆円と日産の価値に依存している。
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 出典:kenan-flagler(参考1)

日産とルノーの経営陣の顔ぶれ
下の写真は2014年当時の日産とルノーのボードメンバーだ。驚くことにこの写真に掲載されている両ボードメンバー9名のうち日本人は日産の西川(さいかわ)さんだけだ。日産のホームページでも2018年11月22日現在で社外取締役を除く取締役6名のうち日本人は3名となっている。ちなみに、2014年の集計だが、ルノーの販売車両台数は270万台で、日産自動車の販売車両台数は530万台の半分ほどだ。Wiki(英)にもルノーは効率的に日産自動車を支配していると記載されているが、その通りだ。
 社長兼最高経営責任者 西川 廣人 (さいかわ ひろと)
 取締役 坂本 秀行(さかもと ひでゆき)
 取締役 志賀 俊之 (しが としゆき)
 社外取締役 Jean-Baptiste Duzan (ジャンバプティステ ドゥザン)
 取締役 Bernard Rey (ベルナール レイ)
 社外取締役 井原 慶子 (いはら けいこ)
 社外取締役 豊田 正和 (とよだ まさかず)
 取締役 Carlos Ghosn (カルロス ゴーン)
 取締役 Greg Kelly (グレッグ ケリー)
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 出典:kenan-flagler(参考1)

ルノーの組織図
細かくて恐縮だが、ルノー側から見たルノーの組織図で見ると、日産自動車は左上のほんの一部だ。グローバル戦略は完全にルノーが支配している。まあ、ルノーが戦略を考えて、日産が生産するのは最強のコンビかもしれないが、それはルノー日産自動車が対等でWIN-WINの場合だろう。現状は、ルノーに利益を吸い取られる構造にあるのではないだろうか。
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 出典:kenan-flagler(参考1)

シラス統治とウシハク統治
古事記をしっかりと読んだことがないが、古事記には、「汝がうしはける葦原中国は、我が御子のしらす国である」という一文があるという。これは我が国はシラス統治であり、ウシハク統治ではないという意味となる。ウシハク統治とは、権力者が権力関係に基づいて民衆を統治するものだ。一方、シラス統治とは、最高権威(=神)が存在し、民衆は神の大御宝(おおみたから)であり、その統治を神が権力者に親任するという構図だ。日本以外の国はウシハク統治であり、日本のみがシラス統治であるという。現代語古事記を著した竹田恒泰氏によれば、神や天皇から統治権を受けて、実際の政策を決定する責任者がウシハク者であり、征夷大将軍や現在なら内閣総理大臣がこれに当たるという。
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 出典:006 シラスとウシハク - YouTube

日本的経営とグローバル経営
日本的な経営とは家族経営だ。日産自動車は2万人の従業員をカットしてV字回復したが、これと対極なのがトヨタだ。トヨタは1950年代の首切りを除いて、今までリストラをしていない。1950年代に経営危機に品したときには、1600人の解雇を条件に銀行から融資を受け、その責任をとって当時の豊田喜一郎が社長を退陣している。日本企業では、社員は家族だという考え方があった。これは先の表現を借りれば、トヨタをはじめ日本の企業はシラク統治だったと言えるのではないだろうか。しかし、それゆえに当時の日産の経営陣には社員を解雇することができずゴーン氏に頼った。そして、ゴーン氏をはじめ欧米のグローバル企業はウシハク統治が当然だ。社員のコストは低くして、生産性を高め、その結果としての利益を株主が支配する。ウシハク統治を当然と考える欧米人にはルノーが日産を支配して利益率を高めることに違和感を感じないだろう。
 出典:人を切らないトヨタの家訓「金を使わず知恵を出せ」 背景にたった一度の痛恨事件 (1/5ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

企業は誰のものか
現在の商法に基づけば企業は株主のものだ。そして、株主の利益を最大化することが良い経営者だとなる。しかし、この図式だと社員はどのような位置付けになるのだろう。社員のコストパフォーマンスを高めることが経営者の責務となるのではないだろうか。貧富の格差が社会的な問題となっているが、その根本は現代の社会がウシハク統治になっているためだと小名木さん(通称ねずさん)は指摘する。国民こそが天皇の大御宝(おおみたから)というシラク統治の考え方が企業統治にも適用されるのであれば、企業の経営者は天皇から社員の統治を信任されている権力者であり、社員の幸せを第一に考えるべきとなるのだろうか。

日産自動車は自立できるのだろうか
話を日産自動車に戻す。今回の事件は有価証券報告書への虚偽記載の罪となる。罰せられるのは虚偽の有価証券報告書を作成して提出した代表取締役である西川社長であり、ゴーン前会長だろう。これはもう肉を切らせて骨を断つという切羽詰まった戦略のように感じる。代表自身が罰せられるリスクも、会社が上場廃止になるリスクも覚悟でゴーン会長を退任に追い込むことを選択した。西川代表が罰せられないのは特捜が司法取引に応じたためだという。しかし、この後どのように日産自動車を経営するのかのビジョンが見えない。

今後の選択肢
西川代表は今後どのように日産自動車の経営の舵取りをするつもりなのだろう。門外漢だが、選択肢としてはまず次の3つが思い浮かぶ。
 選択肢1:ルノーとの株式交換は継続し、ルノー・日産グループとしてグローバル経営を進める。
 選択肢2:ルノーとの株式交換を解消し、日産自動車として独自経営に舵を切る。
 選択肢3:ルノーとの株式交換は継続するが、日産自動車としての独自色を強める。
選択肢1はほぼ現状通りだ。この戦略で行くなら今回のような騒動に持ち込む必要はあったのであろうか。それともドラスティックに選択肢2に進むのだろうか。ルノーとの合弁解消をルノーやフランス政府がすんなりと合意するとは思えない。交渉が長期化した場合には、社内・社外への影響は大きい。お家騒動で経営が行き詰まった大塚家具のようになる危険がある。最後の選択肢3は中途半端だ。ゴーン氏がどれだけの収入をもらっていたとか、虚偽記載をしたとかに焦点を当てた報道が多いが、今後日産自動車が日本企業として生き残ることができるのかどうかが大きく問われているのではないだろうか。

まとめ
ゴーン氏の収入の多さも驚きかもしれないが、それよりも日産自動車ルノーの経営戦略がどうなるのかに関心を持つ。日本人の感情としては、無意識のうちにシラス統治を望んでいるのに、現状がウシハク統治になっていることに対する不満が渦巻いているようにも感じる。武田邦彦氏によれば憲法国民主義だが、商法は資本主義であり、憲法と商法で齟齬があるという。憲法はシラス統治で、商法はウシハク統治ということか。しかし、現実の社会はウシハク統治に向かっている。シラス統治に切り戻すことは簡単ではない。資本社会においては綺麗事だと一刀両断されるだけだろう。共産主義は論外だけど、本当に資本主義が望ましいのか、それとも憲法で謳うように国民主義に戻すべきなのかを問われているのかもしれない。これは深く難しい問題だ。

以上

参考1:http://public.kenan-flagler.unc.edu/faculty/bushmanr/Renault-Nissan%20Alliance%20Case%20latest.pdf

日本語の起元:古代の文字とカタカムナ文字

はじめに
言霊は聞いたことがあるけどよくわからない。ましてや「カタカムナ」とはなんだろう?元CAの吉野信子さんが下のような本を発行している。サブタイトル等に興味を覚えて買ってみた。吉野さん自身がカタカムナの存在を偶然知り、のめり込んで、謎解きをするように古代の言葉の不思議を紐解いたと言う内容だ。彼女の推察では、カタカムナ縄文時代以前のアシア族が使っていた言葉であり、アシア族は今のアジアの地域で生きていた人だ。そして、このアシア族の言葉=カタカムナをベースに日本語が作られた。これはまだ仮説であり、本当のことと本当でないこよが混じっているかもしれない。ただ、縄文時代に日本には言葉がなかったというのは自分も違うと思う。このカタカムナだけではなく、複数の神代文字や古代文字が存在しているようだ。これらを整理して、分析することは現在の自分の知識と見識では難しいが、それらを概観してみたいと思う。
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神代文字
漢字が導入される以前の日本には言葉はなかったという説がある。現在の教科書や学会はこの説に基づいている。しかし、本当なのだろうか。そうではなく、漢字伝来以前にも日本では文字が使われていたというのが神代文字だ。Wikiの「神代文字の一覧」には30以上の神代文字の存在が指摘されているが、その中でも特に古史古伝とかかわりが深いとされる文字は次の5つだ。

1) アナイチ(天名地鎮) - 太占と関係があるという。
2) ヲシテ - 『ホツマツタエ』に使われた文字。
3) サンカ文字 - 豊国文字を基にした三角寛の創作とされる。
4) 豊国文字 - 『上記』(うえつふみ)において用いられる。
5) カタカムナ文字 - カタカムナ文明で使われていたとされる。

アナイチ文字
日本語の数字の読み方には、いち・に・さんという呼び方の他に、ヒー・フー・ミーという呼び方がある。子供の頃になんでヒー・フー・ミーという呼び方があるのと母親に聞いたことがあるが、「なんでだろうね。」、「昔からそういうのよ」と納得できる答えではなかった。Wikiで調べると、下のような音節文字になっている。しかも、ヒフミヨイムナヤと続く。これって、数字の数え方そのものじゃないか。一番右の列の文字に「・」を追記したものが一番左の文字で、これは数字だ。しかも百、千、万、億まである。万の次が億ということは、億の次は兆なのだろうか。左から2列目の「ケ」に相当する数字は一体なんになるのだろう。文字は47種類で表音文字だ。
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 出典:平田「偽字篇」

アナイチ文字をアイウエオ順に並べる
先のひふみ順のアナイチ文字をアイウエオ順に並べ替えてみた。するとよいわゆる母音と子音をうまく組み合わせて文字としていることがわかる。外人がカタカナを覚えるのは結構大変だと思うけど、このアナイチ文字なら非常にロジカルなので覚えやすいだろう。古代の人もこの文字なら口伝で伝わったものを文字に残すことも可能だったのではないだろうか。
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ヲシテ文字
先のアナイチ文字はどちらかというカタカナの文字と類似性があるが、このヲシテ文字はひらがなとの類似性があるように感じる。特に「え」は現代のえと非常に似ている。ヲシテとは、教えるのヲシと成し遂げるのテの造語らしい。ヲシテ肯定者はオシテ文字は漢字文献より古代からあると主張する一方で、ヲシテ否定者は上代の日本では8つの母音があったから漢字伝来以前ではないという。どちらが正しいのだろうか。ヲシテ肯定者はそもそも古代の日本語の母音は5つだと主張する。母音は5つと思っていたけど、こんな点が論点になるとはびっくりだ。
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サンカ文字
サンカとは山地などに住む不特定の人々を指す言葉とされるが、その定義は様々だ。山間部に逃げた古代の縄文人だという説や、室町時代のゆう芸人という説などがある。また、サンカを示す漢字も山窩、山家、三家、散家、傘下、燦下などがあるという。ただ、下に示す文字を見る限りはいわゆる象形文字の類に感じる。タはたんぼを、ハは葉っぱを示し、ヒは太陽を示し、ヤは矢を示している。アナイチ文字ともヲシテ文字とも明らかに異なる文字だ。
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豊国文字
豊国文字は、いわゆる上記(ウエツフミ)に用いられている神代文字だ。上記とは、古史古伝の文書で、ウガヤフキアエズ王朝を含む古代日本の歴史などについて書かれているという。ウガヤフキアエズ王朝とは、大和王朝が成立する前に、大分を中心に存在した日本の古代王朝のことで、豊国王朝や日向王朝、高千穂王朝とも呼ばれている。これによるとこの「ウガヤフキアエズ王朝」は少なくとも74代にわたり繁栄したらしい。それによると大分の地から全国を統一し、各国にタケルと呼ぶ領主を任命し、その勢力範囲は中国大陸や朝鮮半島まで及んでいたという。しかし、現在はその存在は否定されている。
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 出典:https://ugaya.jimdo.com

カタカムナ文字
本論にやっと辿り着いた。しかし、カタカムナ文字について書き始めると長くなるので、ポイントだけ示したい。カタカムナ文字は非常に神秘的な文字だ。円と直線を組み合わせた48の音に対応した文字があり、その文献は縦書きや横書きではなく、螺旋状に書かれる。その中央には三種の神器である八咫の鏡、草薙の剣、勾玉を象徴したと思われるヤタノカガミ、フトマニ、ミクマリと呼ばれる図形だ。また、アナイチ文字と同様にヒーフーミーという文字が数字の一二三に呼応している。ヒーフーミーという数え方は日本古来のものなのだろう。
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まとめ
カタカムナ文字からカタカナが派生したという説もある。カタカムナ文字だけではなく、多くの古代文字が日本にあることはなぜか現在の日本では否定されている。第二次世界大戦のあとGHQは多くの貴重な古代の図書を梵書(ふんしょ)として処分したという。本当なのだろうか。GHQは日本の占領戦略の一つとして「戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画WGIP(War Guilt Information Program)」を定め、言論統制をしたというが本当なのだろうか。現在の日本人の子供たちは非常に優秀で成績も良いけど、自信ややる気が世界の先進国の子供と比べて格段に低いという調査を過去に見たことがある。国連発表の幸せ度ランキングでは157カ国中53位(2016年度版)だった。一人当たりのGDPと幸せ度は相関関係があるが、下の図にあるように日本の幸せ度は韓国より低い。これはなぜなのだろうか。かつての日本人は誇りに満ちた民族だった。いつから自虐的な民族になってしまったのだろう。もっと日本人が自分自身に、自分の郷土に、そして日本の歴史や生い立ちに自信をもつことが幸せ感の向上につながるのではないだろうかという気がする。
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 出典:Pew Research Centerhttp://zatsublo.com/

以上

参考URL
 世界の文字
 神代文字について非常に詳しく網羅している。

5G時代におけるインフラシェアリングを考える。

はじめに
シェアリングサービスといえば、AirbnbUberによるシェアリングが有名だ。これらに比べると地味だが携帯電話のシステムを整備するときにも基地局やインフラを共用する仕組みがある。日本では各携帯電話事業者がそれぞれ基地局の鉄塔を建設して運用するが、海外では基地局を整備する事業者とその基地局にアンテナを設置する通信事業者が協調しながら進めることが多い。今回は、そんな携帯電話のインフラを共有するインフラシェアリングについて考えてみたい。
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携帯電話の基地局設備(タワー)の種類
携帯電話を利用する場合に、携帯電話と携帯電話が直接接続されているわけではない。携帯電話は携帯電話事業者が運用する基地局やコア設備経由で接続される。基地局設備には屋外に設置されるタイプと屋内に設置されるタイプがある。屋外に設置される基地局にもタワー型と屋上設置型がある。用途やイメージを下の表に示す。
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 出典:みずほ銀行(参考1)

インフラシェアリングとは
インフラシェアリングには、キャリア主導で基地局を設置する類型①、基地局の一部を売却する類型②、複数の通信事業者で共有する類型③、独立系の事業者が基地局設備を設置して運用する類型④がある。日本では類型①が支配的だ。欧米では類型④の事例が増えていて、日本でも始まりつつある。
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 出典:みずほ銀行(参考1)

海外におけるインフラシェアリングに関する規制
自動運転車ではレベル1からレベル5までが規定されている。それと同様の定義がインフラシェアリングを定義し、かつそれに対する規制が行われている。下の表はフランスにおける定義と規制だ。レベル1は土地や建物、鉄塔設備の共有だ。レベル2はアンテナなどの共有化でここまでをパッシブインフラと定義されている。一方、レベル3から5の共有はアクティブインフラだ。例えばレベル3は基地局設備、レベル4は制御装置、レベル5は交換設備やコア設備だ。
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 出典:みずほ銀行(参考1)

世界的には年率3.7%で成長が見込まれるインフラシェアリング
世界的な通信タワーの新規建築数は、2016年には443件だったが、2020年には513件まで増大すると見込まれている。特に多いのが中国で全体の40%以上を占めている。残念ながらこのグラフには日本は含まれていない。
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 出典:ATカーニー(参考2)

全世界的に普及するインフラシェアリング
欧州の通信事業者別のインフラシェアリングで見ると下のグラフに示すようにオランダのOpen Tower Companyが860局とトップだ。同社は2009年に設立している。二番目はチェコのCRA社(Ceske Radiokomunikace)で800局で、テレビの放送用タワーを活用した事業を行なっている。
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 出典:Tower Exchange(参考3)

日本におけるインフラシェアリング
日本の携帯電話事業者は基本自前主義だ。基地局の鉄塔を間借りすることもあるが非常に少ない。これは事業者によって携帯電話用に割り当てられた周波数が異なるため、最適なロケーションや基地局間隔も事業者によって異なるためだ。しかし、屋内用の基地局設備であればインフラを共用するメリットはある。また、5Gの整備に向けての需要もあるだろう。そのような観点から2012年に設立したJTOWERという会社が日本でもインフラシェアリングサービスを提供している。
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 出典:アスキー(参考4)

JTOWERによるインフラシェアリング
携帯電話やスマホを利用するのは屋外よりも屋内の方が多い。このため大規模な商業施設やオフィスビル、ホテル、病院、マンション等でも携帯電話を利用できるように携帯電話事業者各社が必要な対策を整備している。プラチナバンドと呼ばれる800MHzの時代にはオフィスビルで言えば15階ぐらいまでは窓際で使えた。100m四方のオフィスでも中央に屋内アンテナを1基整備すればほぼ利用できた。しかし、第三世代や第四世代で2GHzを利用するようになると10階でも窓際の一部で使えるだけだ。100m四方のオフィスだとアンテナは4基から8基ぐらい整備しないと電波が浸透せずに利用者からのクレームが起きる。第五世代になると4GHz帯や28GHz帯を用いる予定だ。電波伝搬損失は周波数の二乗で増大する。つまり、4GHzの電波は2GHzの電波よりも4倍伝搬しにくい。このため、屋内であっても非常に稠密(ちょうみつ)に屋内アンテナを設置することが必要となる。100m四方に1個であれば例えば4社の携帯電話の事業者がそれぞれ設置する方が効率的だろう。100mに4個とか8個でもまあいいかもしれない。しかし、第五世代の稠密なアンテナを事業者の数ごとに設置するのはもう現実的ではないだろう。JTOWER社は、これまでインフラシェアリングを進めているが、ほぼ屋内対策だ。これは5Gに向けてさらに加速するだろう。
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 出典:JTOWER(参考5)

屋内インフラシェアリングのメリットとデメリット
ここでは屋内に焦点を絞ってインフラシェアリングのメリットとデメリットを整理してみたい。

1) メリット
① ビルオーナーとの交渉

オフィスビルや商業施設を建設する場合に、その屋内で携帯やスマホを快適に利用できるようにすることが求められる。しかし、ビルオーナがその整備費用を負担することは少なく、携帯電話事業者が費用負担することが多い。しかし、携帯電話事業者も収入の見込みをベースに投資額を精査する必要がある。このため、どのような対策をどのような精度でいつまでに対策するのか、その費用を誰が負担するのかをビルオーナーと携帯電話事業者が協議して契約を締結する必要がある。屋内対策の費用は携帯電話事業者が負担する場合にも、その設備の設置スペースや通信機器の電気代をオーナーが負担するのか、携帯電話事業者が負担するのかといったことを含めて、細かく協議する必要がある。これが結構大変だが、シェアリングサービス会社が仲介するのであれば、オーナーとの交渉は一本化するので効率的だ。

② 竣工前の工事
携帯電話事業者から見ると、商業施設で想定される利用者数やオフィスビルに入居するテナントの利用者数などをベースに実施計画を検討する。しかし、屋内対策のためのケーブル敷設工事やアンテナ設置工事はビルが竣工した後に行うことが多い。つまり、ゼネコンがビルのオーナーから建物部分の建設工事を請け負って、工事を行い、オーナーに引き渡した後に行う。さらにオーナーは建設工事が完了した後にテナントに提供する。したがって、オーナーへの引き渡しの後と、テナントへの提供の時期の間に急いで対策する必要がある。さらに無線設備なので総務省への電波申請なども必要だ。しかし、シェアリングサービス会社が工事を行うのであれば、ゼネコンに基本的な工事部分の施工を委託して、ビルの引き渡し時期までに工事を完了することも可能かもしれない。そうすれば、ケーブルの敷設工事やEPSの縦管路設置などを何度も行うのではなく、最初から計画的に実施することも可能となる。

③ 効率的な運用と携帯電話事業者の負担軽減
携帯電話事業者が屋内対策を行う場合には、MDF室に用意されたスペースに必要な無線機設備を設置して共有設備と繋ぎこむだけだ。このため携帯電話事業者も投資費用や運用費用を大幅に削減することが可能だ。また新規参入事業者もプラグインで運用開始できるとすれば追い風になるだろう。
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 出典:JTOWER(参考5)

④ 利用者の不利益の減少
既存携帯電話事業者も新規携帯電話事業者も屋内対策の整備のための費用が低減すれば結果としてどの事業者も整備することが一般的となり、利用者の便益は増大する。エリアの差別化がなくなれば、より安い事業者の携帯を選択しやすくなり、結果としてユーザの負担も軽減するかもしれない。

2) デメリット
① 携帯電話事業者の費用負担と発注方式

シェアリングサービス会社が共通部分の投資を行う場合に、費用を負担する通信事業者からの利用意向に基づいて行う受注発注方式とするのか、通信事業者の利用意向を見越して行う見込み発注方式とするのかが難しい。実際は、受注発注方式と見込み発注方式の良いところを組み合わせたような方式で運用することになるのではないだろうか。かつてはNTTが受け取っていたような設備設置負担金のようなものをDoCoMoが支払うようなことになるのだろうか(笑)。もし月額料金方式にするなら、その透明性が問われることになる。WIN-WINの関係を実現出来るかどうかがポイントだ。

【受注発注方式で整備する場合】
シェアリングサービス会社はこれを希望するだろう。しかし、完全な受注発注方式とすると、オーナーとの先行的な交渉ができないし、新規参入事業者をどのように取り扱うのか、もしくは拒否するのかが問題となる。

【見込み発注方式で整備する場合】
携帯電話事業者が全て利用を表明するという前提で整備するとすると、シェアリングサービス会社が負担する初期投資金額が見かけ上増大する。それは事業リスクの増大に直結するため、全てのビルを先行投資することは難しいだろう。

② 工事業案件数の減少
事業者それぞれが工事をするのであれば、電気通信工事を請け負う会社が得たかもしれない収益が大幅に削減される。しかし、これはあまり考える必要がないだろう。5Gになれば必要なアンテナ数が増大するし、結果として屋内対策の整備が増えればトータルの工事件数や受注金額は増大するだろう。

③ 携帯電話事業者の独自性の低下と設備障害時の切り分けの複雑化や影響度の増大
携帯電話事業者から見ると、屋内対策の基本設計を全てシェアリングサービス事業者に委ねることになるため、独自性を発揮することが難しくなる。さらに、設備障害時にも直接アラームを検出することが難しいなど障害時の切り分けが複雑になり、結果として復旧が遅れるかもしれない。また、現状ではあれば例えばA社が故障しても、B社やC社は利用できるのでトータルダウンはなかったが、今後シェアリングサービス事業者の設備が故障すると、全ての携帯電話事業者のサービスを利用できない事態に陥る。これは避けたい。

④ 利用者の負担の増大の可能性
シェアリングサービス事業者が独占的に屋内設備を整備するなど、競争原理が働かない場合には、結果として費用低減が進まずに、利用者の負担が増大することになるかもしれない。何らかの競争原理が働くような仕組みの整備は必要かもしれない。

5G時代におけるインフラシェアリング普及のための今後の検討課題
このように多くのメリットと同時にデメリットも想定される。このため、インフラシェアリングが適切に活用され、国内で普及させるには、次のような点を十分に検討することが必要だろう。

① 競争原理の導入
海外のインフラシェアリング事業者は通常一つの国に複数あり、競争原理が働いている。今後、本格的に国内でもインフラシェアリングサービスを普及させるにはやはり複数の事業者が切磋琢磨することが望ましいだろう。ビルのオーナーから見ても、複数のインフラシェアリングサービス事業者がいれば、より望ましい事業者を適切に選択することが可能だ。

インターフェイスの整備
屋内対策の整備は、ビルのゼネコンとインフラシェアリングサービス事業者と携帯電話事業者が協力して実施することなる。したがって、それぞれの責任分担や切り分けポイント、インターフェイスが明確である必要がある。求められる通信速度は年々増大する。10年後までは見極めることができても、20年後まで見極めることは難しい。過剰スペックでの整備もコスト増を招く。しかし、少なくとも20年程度先までの需要を見越したインターフェイスの標準化が望ましい。

③ 成功事例の積み上げ
インフラシェアリングサービスは、国内ではまだまだ立ち上げたばかりだ。成功事例を積み上げて、課題を整理して、利用者にとっても、事業者にとっても、ビルオーナーにとってもメリットのある仕組みというか、落とし所を見つけていく必要がある。そして、適切なビジネスモデルを確立することができれば、追随者が出ても先行者メリットを得られるだろう。そうでなければ追随者が成功モデルを確立することになるかもしれない。

④ グローバル対応
インフラシェアリングサービスは、欧米や中国、途上国で先行している。日本の事業者が成功モデルを確立して海外に打って出る可能性がある一方で、海外の事業者が国内に参入する可能性もある。個人的には前者の可能性を願うが、後者の可能性も否定できない。その場合には日本で実現している通信サービスや信頼性を適切なコストで提供できるのかが不安だ。

まとめ
今回は屋内のシェアリングサービスを中心に考えてみた。携帯電話の周波数が高周波化すると、実は基地局の数も増えているし、基地局のアンテナ設置場所の高さも低くなっている。5GではかつてのPHSのように電柱それぞれに設置するようなことになるかもしれない。その場合には、電柱保有者が大きなアドバンテージを持つだろう。景観の整備や災害時のことを考慮して、電線の地中化が進められているが、その場合にも電柱だけは残るのだろうか。ブサイクな基地局が古い電柱に搭載されるというよりは、景観を考慮したちょっとお洒落な、もしくは自然と溶け込むような基地局がさりげなく整備されるようなデザインにも注力する必要があるのではないだろうか。

以上

参考 1:https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/mif_91.pdf
参考 2:http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/toushi/20180627/180627toushi02.pdf
参考 3:https://www.towerxchange.com/towerxchanges-analysis-of-the-independent-tower-market-in-europe
参考 4:http://ascii.jp/elem/000/001/764/1764348/
参考 5:https://www.jtower.co.jp