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(その2:前提条件)ベーシックインカムを政府発行の仮想通貨として国民に支給したらどうなるのだろう?

はじめに
前回は、GDPと幸福度の関係を中心になぜ日本人の幸福度が相対的に高くないのかについて問題提起した。ではどうするかを考える前に、現在日本及び世界で起きている新しい潮流についての理解を深めておきたい。具体的には、下の図に示すような3点だ。
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1. ベーシックインカムの可能性
(1) フィンランドの動向

ベーシックインカムについては、世界でも賛否が分かれている。ある大学の学生に質問したところ、意外と否定的な意見や慎重な意見が多くてびっくりした。ベーシックインカムに前向きな国の代表は北欧のフィンランドだ。そう国民の幸福度がNo.1の国だ。しかし残念ながら現在やく2000人の失業者を対象に実施しているトライアルは2018年12月に終了する。その調査結果は早ければ2019年にも発表される見込みだ。どんな結果なのだろう。フィンランドでは、失業率が8.5%と高く、その保証金が高額で財政負担になっているという点もある。フィンランドの議会は、失業者の就業意欲を高めるために、「失業者に対して最低18時間の労働を行うか、3カ月間の訓練プログラムに参加すること」を条件に失業手当を支給するが、そうでない場合には失業給付を減額するという。フィンランドには「派遣社員」の仕組みはないのだろうか。昨年の夏にヘルシンキに立ち寄った時には、昼間から食事をエンジョイするフィンランド人の優雅な生活にびっくりしたのを良く覚えている。
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 出典:フィンランドへの旅立ちと7つのトピック - LuckyOceanのブログ

(2) 日本での審議の動向
日本では、ベーシックインカムの議論はされているが、それほど盛り上がっていない。強いて言えば、2017年10月に小池都知事希望の党を立ち上げて、公約としてベーシックインカムを掲げたことだ。しかし、調べると、これを提唱した
木内氏が若狭氏に「経済政策の中にベーシックインカムを入れてくれ」と訴えたらしい。そしたら公約の中に入っていた。しかし、希望の党がどこまで真剣に考えたか不明だし、小池代表もどこまで理解していたか不明だったようだ。日本はまだまだそんな状況なのだろう。希望の党は撃沈し、ベーシックインカムも撃沈した。
 出典:希望の党「ベーシックインカム公約」発案者を直撃——実現可能性を検証した | BUSINESS INSIDER JAPAN

(3) 深刻な不況に遭遇した時の切り札か
日本で、ベーシックインカムが導入されるとしたら、深刻な不況に陥り、公共投資や、金利政策をしても、不況から脱出できず、国民の不満の声がピークに達して、政権が交代するような時に、野党が思いつきでベーシックインカムを提案して、それにマスコミが同調するという末期的な事態になった時だろうか。一般に、火事になるぞと火事の危険性を説く人よりも、実際に火事になった時に鮮やかに火事を消火する人の方が注目され、評価されるという傾向がある。ベーシックインカムの実現は経済状況が末期になってからでも、ベーシックインカムの導入の準備は経済が健康な段階から進めるべきだろう。
 出典:http://www.mamapapa.net/os/files/thesis20120501.pdf

2. 仮想通貨の可能性
(1) 現金で支給するのか

ベーシックインカムのトライアルが各国で行われている。大規模なのはフィンランドの2000人だが、米国のカリフォルニアでも市民100人に対して、毎月500ドルを無条件で支給するというトライアルが行われている。受給者の行動がどのように変化するかを調査するのが目的だ。そもそもベーシックインカムは1960年ごろに盛り上がり、2010年ごろに見直しが掛かり、現在に至っている。あまり根拠はないが実現するのは2060年ごろなのかもしれない。しかし、その支給がキャッシュというのは芸がない。もう少し工夫できないものか。日本で現金を支給しようとすると、その分の国債を発行し、さらにその金利を払うという悪循環が加速する。それは避けたい。
 出典:アメリカでベーシックインカムの検証がスタート。デメリットや財源はどうなるのか? | ライフハッカー[日本版]

(2) クーボンで支給するのか
消費税率を8%から10%への増税に合わせて、「キャッシュレス決済した消費者へのポイント還元」が検討されている。しかし、これはいわゆる中小小売店で消費者がキャッシュレスで商品を購入した時に、消費者に対して、購入額の2%をポイントで還元するという。政府は、この2%の還元額相当を別途業者に補填するという。そんなにうまくいくのだろうか。卸業者が不当に利益を得ることが懸念されているが適正に運用できるのだろうか。話が本論からずれてしまったけど、クーポンのようなもので支給するというのは、一見すると簡単そうだけど、そのクーポンの精算のための費用が増大しそうな気がする。
 出典:キャッシュレス浸透につながる?消費税増税時「キャッシュレス決済で2%還元」と報道 - IRORIO(イロリオ)

(3) 政府発行の仮想通貨で発行するのか
Wiki政府紙幣を調べると、「政府紙幣とは、「通貨発行権」を持つ政府が直接発行する紙幣、または、持たない場合において中央銀行が発行する銀行券と同じ法定通貨としての価値や通用力が与えられた紙幣のことである。」とある。さらに、「国家紙幣ともいう。近年、不況対策としての通貨発行益をめぐって、さまざまな議論を呼んでいる。」とある。一般には政府が歯止めなく政府紙幣を発行するとインフレ懸念があると聞くが、実際にどんな議論があるのかは不明だ。通常Wikiでは、言語を選択できるが、政府紙幣は日本語のみだ。なぜだろう。

(4) CBDCと政府発行のデジタル通貨
仮想通貨というと、中央銀行のような中央集権ではなく分散型の通貨を目指しているものだ。しかし、中央銀行も負けてはいない。BISのホームページを見ると、中央銀行がCBDC(Central bank digital currencies)と呼ぶデジタル通貨を発行することが検討されている。中央銀行の狙いは、通貨の発行権を死守することだ。みすみすその利権を手放すことはあり得ない。しかし、日本でも紙幣は中央銀行である日本銀行が発行しているが通貨は造幣局が発行している。デジタル通貨も造幣局が発行すればいいじゃないかという意見もあるだろう。その場合には、日本銀行に対して借金証書である国債を発行してもらう必要もないし、その国債に対して金利を払う必要もない。ただ、課題はいかにして歯止めをかけるかだろう。
 出典:Central bank digital currencies

(5) ブロックチェーンの分類
一般にビットコイン等の仮想通貨はブロックチェーンを用いている。しかし、ブロックチェーンには下の表に示すようにいくつかのタイプがある。いわゆるパブリック型は非中央集権であるが、その反面マイニング処理を競う必要がある。このための消費電力は大変な量だ。しかし、コンソーシアム型やプライベート型であれば、マイニングを競う必要がないため、処理が軽くできるし、迅速だ。今後の本命はコンソーシアム型やプライベート型ではないかと個人的には思う。
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 出典:金融ソリューション ~ブロックチェーン技術への取り組み~ - Fujitsu Japan

(6) 政府発行のデジタル通貨
本当に実現可能なのかはもう少し検証する必要がある。しかし、海外では実例も出ている。例えば、ドバイでは、政府発行の「emCash」が発行されている。シンガポールでは政府がデジタル通貨「Ubin」を発行している。スウェーデンでは「eクローナ」、カンボジア政府は「Entapay」、エストニアは、「エストコイン」の発行を検討している。それぞれ難問も多いが色々と模索している。日本政府も考えているのだろうか。
 出典:世界各国で独自仮想通貨の発行がはじまる!? | トウシル 楽天証券の投資情報メディア

3. ビッグデータの蓄積と活用
(1) デジタル通貨のメリット

政府がデジタル通貨を直接発行して、市場に流通する時代になるのだろうか。その場合のメリットはどんなことがあるのだろうか。わかりやすくて言えばコスト削減効果と価値創造効果があるだろう。

(2) コスト削減効果
お金が社会に流通する基本は信用だ。日本銀行が発行する1万円札なら大丈夫と思うから国民は安心して使える。それと同じように信頼できる仕組みができれば、お金となる。高性能なサーバーやシステムの構築は必要だが、紙幣を発行する必要がないのは究極のコスト削減だろう。いわゆる限界費用ゼロ社会の到来と言えるかもしれない。

(3) 価値創造効果
デジタル通貨の効果は単に費用の低減だけではない。どのような仕組みにするかにも依存するが、基本的に情報を処理する仕組みなので、その情報自体が価値を生み出す。もちろん個人情報の保護も必要だが、日本社会のなかでデジタル通貨がどのように使われているかを全て把握できるメリットは無限だ。これは現在の物理的な紙幣では難しい。しかし、デジタル通貨なら可能だ。そして、そのようなビッグデータの運営は誰に任せるべきなのだろうか。日本政府か、中央銀行都市銀行か。これは難しい問題だ。市場が決めるのだろうか。これだけで大学院レベルの研究テーマになりそうだ。

まとめ
なかなかまとまらない。ベーシックマネーと仮想通貨と政府紙幣の概念を組み合わせることが必然なのかという根本的な問いを受けそうだ。それが本当に必然なのかどうかと、そんなことが可能なのかという議論が喧嘩しそうだ。個人的にはこの部分は議論ではなく、前提条件として設定して、次の議論に進みたいが、そんなことを許してもらえるものだろうか。難しい(汗)。