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新米技術士の成長ブログ

(その3:課題)ベーシックインカムを政府発行の仮想通貨として国民に支給したらどうなるのだろう?

はじめに
その1ではGDPと幸福度の関係について概観した。その2では最近の技術動向や社会動向としてベーシックインカムや仮想通貨、政府紙幣等について述べた。ここでは、現在の日本の課題を3つの視点から整理してみたい。具体的には、国民の視点、企業の視点、国家の視点の3つにする。今の日本社会の課題を炙り出すことはできるだろうか。
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1. 国民の課題
国民の課題といっても千差万別だ。一言にまとめるのは難しい。大きく言えば、経済格差の問題、技術革新の問題、そして心の問題を取り上げたい。

(1) 経済格差の問題
かつて高度成長期には、1億人総中流と呼ばれていた。しかし、下のグラフで見ると、当初所得では、1972年の0.35から2011年には0.55を超えている。ジニ計数とは、社会における所得分配の不平等さを測る指標であり、0から1の範囲である。値が高いほど格差が拡大していて、Wikiでは社会騒乱の警戒ラインは0.4と記載されている。2011年の再配分所得でなんとかギリギリ0.4を下回っているが、現在はどうなのだろうか。厚労省が発表した「所得再分配調査」の結果によれば、2014年のジニ係数0.5704と過去最高を更新している。所得格差を是正することは可能なのだろうか。
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 出典:https://www.murc.jp/thinktank/rc/column/

同じ30代の若者でも、その所得の格差は下の図のように広がっている。ネット難民の平均所得は100万円に対して、高額所得者は1000万円を超えていて、10倍の格差が30代ではっきりと出ている。いわゆる負け組と勝ち組が30代にははっきりと分かれているということなのか。
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 出典:1000万円稼ぐ勝ち組30代とワーキングプア30代の年収格差 | 格差脱出研究所

(2) 技術革新に伴う失業問題
三菱総合研究所の試算によると平成42年には、AIやロボット関連で270万人の新たな仕事が増える一方で、工場や販売、一般職での740万人の仕事がなくなり、差し引きでは240万人の仕事が減少すると予測されている。ピンチはチャンスだ。技術革新の変化をチャンスと捉える積極性としたたかさが必要なのかもしれない。最近ではロボットコンサルタントやロボットアドバイザという職業もできつつある。しかし、そんな新しいこよにチャレンジできる人よりは、変化に対応できない人の方が多いだろう。
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 出典:AIが職場を奪う 雇用240万人減、GDP50兆円増 平成42年試算 - 産経ニュース

(3) 心の問題
少し古いが2007年のUNICEFの調査がショッキングだ。下の図のように日本の子供は優秀だ。特に科学能力や数学能力は高い。しかし、自分は寂しいと考えることも比率や単純労働の就業希望比率がダントツに高い。特に後者は向上心のなさを示す。いつの間に日本人の子供たちはこんなに寂しく、向上心のない子供になってしまったのだろうか。学校の成績だけで子供を評価するような教育システムの歪みなのだろうか。全ての子供たちが自分の得意分野を認識し、自分を成長させる教育を受けるような風に変革することは難しいのだろうか。情報通信を活用して、昔の寺子屋のようなカスタムメードの個別教育を実現できないものか。教育問題は根が深いが非常に重要な課題だ。
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 出典:いじめ問題:日本の子供の幸せ感はなぜ高くないのか(TEDとUNICEFレポートより) - LuckyOceanのブログ

2. 企業の課題
企業の課題も一口では論じ切れない。でもあえてそこに切り込むとすれば、(1) 労働生産性が低い、(2) 加速する技術革新の問題、(3) グローバル市場での競争激化の問題だろうか。

(1) 労働生産性が低い
下のグラフは東洋経済社の分析だ。日本はスキルは高いが生産性が低い。対局は米国だ。社員のスキルは低いが、生産性は高い。なぜこのようなことが起きるのだろうか。ノルウェイのようにもっ生産性を高めるべきなのか。それは従業員ではなく、経営者の能力の違いなのか。しかし、経営者の能力といっても、日産自動車の元会長のような豪腕経営者を良しと見るのかダメと見るのかという問題もあるだろう。生産性が高まらないと、結果として収入も伸び悩み、消費の購買力が低下するような悪循環に陥っていくのではないだろうか。
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 出典:日本を「1人あたり」で最低にした犯人は誰か | 国内経済 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

(2) 加速する技術革新の問題
ビジネスモデルで見ると、いわゆるプラットフォームビジネスはGAFAに代表される米国企業が牽引している。SNSは日本でも立ち上がっていた。例えばmixiは2004年にスタートした。まだスマホが普及する前でPC利用者では強烈なファンがいた。自分も少しハマったことがある。しかし、スマホが立ち上がる段階で失敗した。性能を強化するための投資ができなかった。なぜ米国ではふんだんに投資できたのか。例えば、Facebookは2004年にPeter Thielから50万ドルの資本を受け入れた。2005年にはThiel and Accel Partnersから1,270万ドル、そして2006年に2750万ドルの資金を調達した。これらの投資家はFacebookで情報を効率的に集めることを理解し、その価値を理解し、それに投資をしたということなのだろうか。「タダほど高いものはない。」日本人はLINEなどの無料のSNSを無防備に利用するが、その裏で行われているかもしれないリスクをしっかりと認識すべきだ。
 出典:REVEALED: Facebook’s CIA Connections... - The Daily Reckoning

(3) グローバル市場での競争激化の問題
部品の開発・製造が悪いことではない。しかし、どうも最近の日本の産業は、電機メーカーを中心に、総合製品の開発で後塵を拝していることが多い。最近は日産のゴーン事件がホットだけど、車の総合メーカーとしての日本のポジションを維持・拡大することは簡単ではない。自動運転のEV(電気自動車)に対しては、GoogleAppleも虎視眈々と市場を狙っている。例えばEVではテスラの動きは激しい。市場を制覇する雄となるのか、頓挫してしまうのか。予断を許さないが、そのような元気な会社がもっと日本からも出てこないものだろうか。
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 出典:Google Maps will now help you find EV charging stations - The Verge

3. 国家の課題
最後の国家の課題はこれまた大変だ。そんなことを論ずる見識も能力もない。単なる技術者だけどあえてトライするとすれば、(1) 悪化する財政、(2) 少子高齢化への対応、(3) 環境問題の三点だろうか。

(1) 悪化する財政
日本の国家的な課題の一つは財政問題だろう。一般会計の974兆円だが、収入の3分の1が国債であり、支出の25%は国債費関連だ。これがもし家計なら、例えば974万円の年収だけど、うち3分の1が借金での調達で、その25%が借金の返済等に回っている。これはもう末期的な症状ではないのだろうか。
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 出典:これからの仮想通貨の可能性 - LuckyOceanのブログ

(2) 少子高齢化への対応
少子高齢化の問題は、本来は少子化の問題と高齢化の問題で分けて議論すべきだ。少子化についていえば、非常にデリケートな問題だけど、未婚が問題なのではなく、中絶の問題だという指摘がある。子供を産んで育てることが経済的な理由から困難なために世の中にデビューできない赤ちゃんを救えないものなのか。また、高齢化について言えば、元気な高齢者が生きがいを持って生き生きと生活できるような社会を目指すべきなのではないだろうか。いわゆる健康寿命を高めるためにはどうすればいいのだろう。高齢者の自営業が増えているが、自立できる人は少ないのだろうか。
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 出典:高齢化を考える。 - LuckyOceanのブログ

(3) 環境問題
環境問題は産業革命とともに拡大した。日本でも、明治時代の初期に栃木県の足尾銅山からの鉱毒渡良瀬川を流れて関東地区に広がった。渡良瀬川といえば、森高千里の名曲を思い浮かぶが、当時は大変だった。川の魚は死に絶え、農作物も被害を受けた。その時に国会議員だった田中正造氏は、鉱毒事件の解決と被害者の救済に奔走した。その頃の思いを綴ったのが、下の図だ。産業革命とともに、文明は本当に良くなったのか。真の文明は自然を殺さず、地域を殺さず、人を殺さない。これは痛烈なメッセージだ。
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 出典:https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/zu/h25/pdf/1-2.pdf

まとめ
現在の日本の課題を切り取ることは難しい。国民と企業と国家の3つの視点でトライしたが、いずれもまだまだだ。もっと他の課題もあるし、重要度や緊急度などの観点からの整理も有益かもしれない。しかし、まあこんあな課題があるだろうというレベルでの分析しかできていないが、今日はここまでにしたい。

以上