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自動運転車の悲しい事故原因とその対策について

1. 悲報
自動運転技術の革新に注目が集まる中米国アリゾナで悲劇が発生した。NHKウェブニュース(参考1)の報道内容を抜粋すると次のような説明だ。
車の自動運転の実験が公道で盛んに行われているアメリカ西部のアリゾナ州で、歩行者が実験車にはねられて死亡しました。自動運転の車による全米初の歩行者の死亡事故だと大きく伝えられ、自動運転の安全性などが問われることになりそうです。アリゾナ州の州都フェニックス近郊で、18日深夜、道路を歩いてわたっていた女性が、自動運転で走行中の車にはねられて死亡しました。
これだけを見ると、なんの過失もない善良な歩行者が自動運転の車ではねられて死亡したという風に理解する。自動運転の技術はまだまだ過渡期だけど、こんな悲惨な事故は起こるべきではないと誰もが思う。被害者の冥福をお祈りします。この実験を行っていたuberはすぐに自動運転の実験を一旦中止することを宣言した。まずは事故の原因究明だ。日本の新聞を見ても、テレビを見ても、これ以上の情報がなかなか見当たらない。

2. ファクトの整理
そのため、アメリカの新聞やウェブの情報をチェックして調べると次のことが確認された。
1) 自動運転車の走行状況
・実験主体 :uber
・車両   :Volvo XC90 SUV
・走行速度 :時速65km
・運転モード:自動運転モード、ただし運転者はいた。
・走行日時 :2018年3月18日 22時ごろ(現地時間=MST)
2) 被害者の状況
・被害者氏名:Elaine Herzberg(エレーナ・ヘルズバーグ)
・被害者年齢:49歳
・被害者性別:女性
・被害状況 :片側4車線の道路の横断歩道でないところを横断中にボルボとぶつかり、病院に搬送されたが死亡。
・事故状況 :事故当時に歩行していたのか、自転車に乗っていたのかは不明だという。今後の調査結果を待つ必要がある。
3) 事故発生現場の写真下の写真は、YouTubeの動画(参考2)からキャプチャーしたものだ。米国なので当然右側通行だ。自転車の前輪が大きく曲がっている。同時にボルボのフロントの右側も破損している。つまり、自転車と自動車の典型的な出会い頭事故と見える。
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3. 自転車と自動車の事故
下のリンクは、電動アシスト自転車の課題と将来への提言を筆者が以前まとめたものだ。その中で出会い頭の事故が多いことに言及している。2005(平成17)年から2015(平成27)年までの自転車の国内での事故で最も多いのが出会い頭の衝突事故だ。9.7万件から5.1万件に減少しているが、車両相互の事故の約54%をしめている。そして、自転車と自動車のどちらが加害者になることが多いかというと、自転車が加害者の件数が自動車が加害者の件数よりも10倍多いという。実際、自分もアシスト自転車を活用しているが、横道から自動車が飛び出してきて、ドキッとすることは何度かある。自動車は通常大通りに出るときには左折するので、右から来る車と合流する必要があり、右側には注意するが、その分左側は死角になりやすい。日本では規制はないが自転車道路先進国では、自転車道も自動車と同じ向きにしているのはこのためだ。そして、ドキッとするのは大抵逆のケースだ。
hiroshi-kizaki.hatenablog.com

4. 提言
先のブログ(参考3)の5.2にも記載したが、歩行者と自転車と自動車の相互の事故を無くすには、それぞれの存在を認識試合う仕組みが有効だ。ビーコンの利用も検討されているが、想定されているのは自動車と自動車の車車間通信だ。しかし、自転車と自動車の事故を無くすには、自転車にもビーコンを搭載するようにできないか。一般の自転車では推奨レベルがせいぜいだと思うけど、電動アシスト自転車にはビーコンの搭載を必須にできないか。自転車で走行する人や歩行する人もスマホを利用していることが多いので、このスマホを活用する方法もあるかもしれないが、常時ビーコンを出そうとする電池の問題が生じるので現実的には厳しいと思う。電動アシスト自転車なら電池の問題はない。お互いの安全のために義務付けることや、もしくは自転車の保険料に差をつけるような方法もあるかもしれない。

5. まとめ
今回の事故の原因は、もしかしたら自動運転車が100%悪いのかもしれない。その場合は、謙虚に反省して技術開発を進めるべきだと思う。でも、もし、被害者が自転車に乗って、道路を横断しようとして、飛び出して、自動運転車と出会い頭でぶつかってしまったとしたら、それはどちらの責任になるのだろうか。人間が運転していても、自転車との出会い頭の事故を回避することは難しい。しかし、問題は今回の事故の原因を究明して、その対策を講じることだ。もし、想像するような出会い頭の事故だとしたら、それをいかにして回避するのか。今回のように横断歩道でないところを夜間、横から飛び出してきたとしたら、写真を見る限りライトを確認できないが無灯で走行していたとしたら、自動運転車側に非がないとしたら、どうするのだろう。しかし、そのようなケースでも事故がないようにしないといけないし、個人的にはビーコンの活用が近道だと思うけど、やはり何らかの対策は講じるべきだと思う。そうでないと、自動運転車の事故をゼロにはできないと思う。それにしても、なぜ「道路を歩いて渡っていた歩行者がはねられて死亡」と軽々に断定するのだろう。歩行中か自転車に乗っていたのか不明というのが正確な状況ではないのだろうか。下の写真はYouTubeからのキャプチャー(参考4)だが、本当の原因や状況は調査中のはずだ。真の原因を究明しない限り、本当に有効な対策はできない。正確に報道して欲しいと思うのは自分だけだろうか。それにしても夜の10時に片側4車線の道路を横断歩道でもないところを横切ろうとした点もビックリだ。当局の警察は、記者会見で「横断歩道を渡るよう」に何度も強調している点も日本では報道されていない。
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以上

参考1:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180320/k10011371791000.html
参考2:https://youtu.be/8_ZOn5RKwU0
参考3:http://hiroshi-kizaki.hatenablog.com/entry/2018/01/22/235442
参考4:https://www.youtube.com/watch?v=ple3C8eDM-8