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ビジネスデータ分析(ベーシック)#5を受講して

はじめに
実は、昨日は21時にベッドに入って目が覚めたのが6時だったので、9時間も寝ていたことになる。途中目が覚めることもあったが、睡眠時間は十分だ。ということで、今日の授業で習ったことを忘れないうちにブログにまとめることで頭の整理をしたいと思った。

直接効果と間接効果
無糖でコーヒを飲む人は肥満になるかといえば、これは無関係である。しかし、コーヒーを飲む人のうち一定に比率で砂糖をいれる。そして、砂糖の摂取量と肥満とは直接的な関係がある。したがって、コーヒーを飲む人と肥満との関係も間接的ではあるが、一定の関係にはあると言える
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 出典:媒介分析について

パス回帰
ある事象と別の事象の関係をパスと呼ばれる矢印とパス係数と呼ばれる数字で表したものをパス図という。このような関係を分析するのがパス回帰分析だ。例えば、下の図であれば、重症度と因果関係のあるのはTCが1.239、TGが-0.549なので、TGよりTCの方がより強い因果関係があり、TGとTCの間にも0.753という強い相関関係があることを示す。
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 出典:統計学入門−第7章

AMOS(エイモス)
統計解析ソフトとしては、IBM社のSPSSソフトウェアが有名だ。SPSSは、統計解析ソフトウェアのSPSS Statistics、共分散構造分析ソフトウェアのSPSS Amos、データマイニングソフトウェアのSPSS Modelerから構成されている。特に、2つ目のAmosはパス解析の分析ソフトであり、パス図を描きながら共分散構造を解析できる点が優れている。
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 出典:Amosによるパス解析の実行

政府CIO
会社にはCIOが任命されることが増えている。CIOとはChief Information Officerの略で、企業の情報戦略における最高責任者だ。日本では、政府CIOが任命されている。初代の政府CIOは非常勤だったが、2013年からは内閣情報通信政策監が常勤かつ専任として設置された。政府CIOのポータルは、意外とデータが充実していた。新型コロナに関するデータもなかなか公開されていないと憤慨していたが、ここにはいろいろなデータが開示されている。知らないことは罪だ。
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 出典:https://cio.go.jp

Googleの詳細検索
何かをネットで検索して調べることをググるという。しかし、Googleで例えば、検索と入力して検索すると、下の図のような画面が表示される。個人的には、ここで画像を選ぶことが多い。画像を見れば、そのファイルが訴求したいことがビジュアルに理解できるからだ。それ以外にも「設定」キーを押下して、選択オプションを押下すると、キーワードに含めるもの、含めないものの設定や、ファイル形式の指定などもできる。これは便利だ。
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 出典:Google

ダミー変数の活用
重回帰分析は、基本的に量的なデータを分析する手法だ。しかし、そこに質的データが含まれている時にはダミー変数を活用する方法がある。例えば、男性と女性であれば、男性を1、女性を0とする男性ダミー変数を設定する。銘柄Aと銘柄Bを区別して分析したいときには銘柄Aなら1、銘柄Bなら0という銘柄Aダミー変数を設定する。そして、このダミー変数を含めて回帰分析することで、例えば男性の場合の切片と傾き、女性の場合の切片と傾きを分析することが可能だ。
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 出典:https://xica.net/magellan/marketing-idea/stats/abou-dummy-variable/

交互作用
肥料と収穫との間には正の相関関係が確認できる。しかし、その特製は土壌Aの場合と土壌Bの場合で異なる可能性がある。しかも、単に傾きが違うだけではなく、伸び率が異なるケースもある。つまり、これは、肥料と土壌の組み合わせで相乗効果が生じていることになる。このような交互作用による効果のことを「交互作用効果」と言う。
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出典:30-4. 交互作用とは | 統計学の時間 | 統計WEB

二元配置分散分析
接着剤の接着強度を測定した。接着剤の量によっても変わるし、A社の製品かB社の製品かによっても異なる。しかし、これを繰り返しのない二元配置の分散分析で処理すると、接着剤の強度と接着剤の量との関係のP値は0.007と有意であるが、A社とB社の間には差異はあるが、P値が0.136なので、有意であるともいえない状況ということが明確になる。これはすごい。
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 出典:https://kenkou888.com/category13/対応無し_二元配置の分散分析.html

多元配置分析
2元配置分散分析だけでも十分にお腹いっぱいなのだが、2元ができるなら3元もあるか?4元もあるか?と疑問が生じる。一般に、因子の数が3位上の実験計画法を総称して多元配置法と言い、その分析を多元配置分析と呼ぶ。ただ、例えば6因子の事象で、各因子が3つの選択肢(3水準という)をとると、三の6乗、つまり729となる。取り得る組み合わせの数が指数的に増大するため、試験の組み合わせが増えるだけではなく、その分析も複雑になるので注意が必要だ。
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 出典:(株)日科技研:多元配置分散分析とは(実験計画法)|製品案内

シナジーとアナジー
A社とB社の合併は1+1=2ではない。1タス1を3にするのだといったりする。これをシナジー効果という。A社とB社の良いところを作用しあって相乗的に高い効果を上げることをいう。世の中そう簡単ではない。シナジー効果をあげられない出毛でなく、1+1が1.5にしかならないこともある。これをアナジー効果(Anergy Effect)という。これは例えば企業合併で言えば、事業領域が違いすぎたり、経営者の思想が違いすぎたり、情報システムが違いすぎると、合併のための費用が嵩むわりに効果が発揮できなかったりする。M&Aを考える時には、肝に銘じるべきだ。

木構造接近法
ビジネスデータ分析(ベーシック)の枠を超えるが、複数の要因の構造的な関係を調べる方法として、樹木構造接近法がある。さらに、下の論文にあるように複数の分類回帰樹木法(CART)
を調和を図り、複数の樹木の接近を図ることで予測ごさを減らす工夫がなされている。バギング法や、ブースティング法、ランダムフォレスト法などだ。特に、最後のランダムフォレスト法は興味深い。
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 出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscssymo/22/0/22_29/_pdf/-char/ja

まとめ
早くもビジネスデータ分析(ベーシック)の5回目が終了した。残りはあと2回だ。後半の豊田先生の授業はほぼ受講しているので、豊田先生の講義を受けられるのも残りわずかと思うと寂しいなあ。聴講生として受講できないかなあとも思う。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

マクロ経済と人材経営を受講して

はじめに
2020年度春期前半は月曜日と水曜日と土曜日の合計3つの講義と修論だったが、春期後半は月曜日と火曜日の合計2つの講義と修論にした。本当は金曜日の講義も受講したかったけど、社会人学生としてあまり無理しても続かないと考えた結果だ。月曜日の講義は昨日ブログにアップしたビジネスデータ分析だ。そして火曜日の講義が表題だ。これが超面白い。内容が深いし、広いし、データが豊富で分かりやすい。せっかくなので今日の講義で面白いと思ったキーワードを中心に振り返ってみる。なお、このブログは講義メモではない。受講して感じたことやネットで調べたことをまとめたものだ。なので記載に問題があればその責は自分にあり、面白ければ先生のおかげだ。

山田久教授
講義は日本総研副理事長である山田久教授によるオンライン授業だ。スライドにそって説明するのに加えて、途中でグループディスカッションがある。時々、先生からクイズというか質問があり、誰か答えれる人いる?と聞かれる。いつも、回答しようかどうしようかと悩む。ZOOMによる授業で画面表示をするかどうかは生徒に委ねられているが、発言する生徒は画面オンにするが、発言しない人は画面オフが多い。本当は全員画面オンが望ましいが、女性の生徒もいるし、画面をオンにしたくない人もいる。面白いと思うのは、ブレイクアウトルームではほぼ全員が画面オンで討議するので、メインルームに戻ってしばらくは画面オンの生徒が多いけど、徐々に画面オフが多くなる。このあたりの現場感覚は面白い。
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 出典:https://www.jri.co.jp/report/medium/yamada/

働き方の未来
今日の講義は、働き方の未来だ。雇用システムとして日本はメンバーシップ型の人基準だが、欧米はジョブ型の仕事基準が多い。また、日本は企業内部の人材でやりくりする内部労働市場だが、欧米では転職などの流動性が高いために外部労働市場に基づいている。このように日本型企業と欧米型企業の雇用システムの違いを学んだ。山田教授の論文を調べてみると、日本企業では雇用保障が強く、賃金レベルが高い正社員と、雇用保証が弱く賃金レベルも低い非正規社員、その中間の限定社員で構成されているが、今後は、雇用保証が弱いけど賃金レベルが高いプロフェッショナル型の正社員が必要と説いていた。これはその通りだと思う。このプロフェッショナル型はどのようにしてスキルを高め、高めたスキルをどのように活用するのか。これが自分の修論のテーマにも結びつくような気がする。なお、現在の定年後再雇用は雇用保証は強いが、賃金レベルが低い左下のゾーンかもしれない。
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 出典:https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/viewpoint/pdf/10303.pdf

ジョブ型とメンバーシップ型
日本型のメンバーシップ型と欧米のジョブ型はどのように違うのか。下の図の著者の筒井冨美さんはフリーランスの医師だ。そのため、ドクターXの制作支援などもしている。多分、ジョブ型賛成派だ。古いしがらみをバッサリと断ち切るドクターXはかっこいい。下の表にもあるように、メンバーシップ型は典型的な日本型経営のスタイルである年功序列、終身雇用、ピラミッド型で閉鎖的かもしれない。一方のジョブ型はフラットで雇用の流動制が高く、実力主義がベースだ。
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 出典:https://at-jinji.jp/blog/14147/

解雇権濫用法理(日本)
日本的なメンバーシップ型の前提となる終身雇用は、実は戦後の好景気の時代に企業が優秀な社員を囲い込むためにできた制度である。また、企業の社員は家族であり、不景気の時にも解雇はしない。その代わりに忙しくなっても皆で残業して乗り切ろう。そんな思いもあったようだ。日本企業では、法律面で解雇は非常に難しい。これは国民感情にも沿うものだ。労働契約法第 16 条では、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上 相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とすると定めている。さらに整理解雇する場合にも4要素を満たしていないと裁判では勝てないという。
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 出典;http://labor.tank.jp/r/08/zukai08/08-04.PDF

随意的雇用原則(米国)
日本と違って米国での雇用は基本的に随意雇用だ。英語では、at-will employmentなどと言う。つまり、採用時にはジョブスクリプションを明確にして、採用される。そして、そこで定義した仕事がなくなれば、必然的に解雇となることを当然と言う合意がある。これを随意的雇用原則(employment-at-will doctrine)と言うようだ。新聞やニュースでも良くレイオフと言う言葉を聞くがそれはこの随意的雇用原則に基づくものだ。米国では労働者の70%以上が随意雇用で働くようだ。
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 出典:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000138377.pdf

解雇制限法(ドイツ)
ドイツは労働時間が短い。労働時間に対する強い規制がかかっている。1990年代前半にドイツにビジネスで出張したときに、金曜日の午後に打ち合わせのアポを入れたいと申し入れたら、「あり得ない」と返事がきた。なぜかと聞くと金曜日の午後は休みだと言う。実際現地に行くと、打ち合わせ相手のIT担当のみで他の人は誰ひとり出社していなかった。また、以前読んだ「5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人」にも書かれていたが、部下の勤務時間が1日に10時間を超えると上司は必死に帰るように命じる。なぜかと言えば、監督局に見つかると罰金を支払う。それも会社の金ではなく、上司のポケットマネーで支払う。最高では1.5万ユーロと言うから大変だ。上司も必死だが、それ以上に部下もそんな長時間勤務は嫌なのでさっさと帰る。日本人も見習いたいものだ。
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 出典:http://www.newsdigest.de/newsde/column/dokudan/6983-1003/

職能資格制度
終身雇用や年功序列型の制度を採用している日本企業では、高い成果を出す若手よりも、勤続年数の長い社員の方が優遇される傾向があり、それはおかしいと言うことで、職能資格制度が採用された。これは単にポストだけではなく、それに習熟度に応じた級数を重ねる方法だ。また、より客観的な評価を行うために目標管理制度(MBO)を採用する企業も増えた。これはピータ・F・ドラッカーが提唱したものだ。人は自分で課題と認識したことを解決するためには自律的に頑張ると言う心理を巧みに活用したものだ。しかし、人材マネジメントは、採用、育成、評価、配置といった一連の流れで考えるべきだが、このMBOは評価のみに焦点を当てた施策であることと、日本企業の場合にはその評価に異議があっても、退職したりしないため、逆にモチベーションを低下させたり、実現可能な目標しか提案しなくなると言った弊害が指摘されるようになった。自分自身管理者をしている時期にもっとも嫌な業務がこのMBOに基づく評価結果をフィードバックすることだった。全員にAやSを付けられれば問題はないが、人によってはBやBー、Cをつけることも必要だ。そのためのネタを記録しておいて、相手が納得しなければそれを持ち出す準備までしないといけないためだ。
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 出典:https://www.fuzoku-hosp.tokai.ac.jp/nurse/education/functional/

ハーズバーグの衛生理論
米国の臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグ(1923年4月-2000年1月)が提唱した衛生理論とは、人間が仕事に満足を感じる要因と不満足を感じる要因は全く別物であるとする考え方だ。つまり、仕事を頑張ろうと考える動機づけ要因は、達成や承認や責任などの仕事に関する理念だ。一方、労働条件や給与や人間関係などは衛生要因だ。特に注意すべきは報酬だ。理念に共感して頑張ろうとしている社員に対して、成功すれば報酬を与えると予告するとパフォーマンスが低下することだ。予告せず頑張ったねと労を労うのは良いが人参ぶら下げて効果が出るのは他律的な苦しい労働だ。自律的で創造的な仕事では逆にマイナスの効果が出る。運用には注意が必要だ。
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 出典:ハーズバーグの動機づけ・衛生理論 |モチラボ

日経連の設計図
1995年12月に日経連(現、日本経団連)は「新・日本的経営システム等研究プロジェクト」をまとめて報告している。この中で、「長期蓄積能力活用型グループ」と「高度専門能力活用型グループ」と「雇用柔軟型グループ」の3つを定義した。そして、これが雇用柔軟型グループをオーソライズし、コスト削減が待ったなしだった企業に対して、契約社員や委託社員の利用を一気に広げる契機となった。高度専門能力活用型グループは、期待したほどの広がりはなかった。高度なスキルをいかに高めるか、そして活用するかは現在に続く課題と言える。
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 出典:http://hurec.bz/mt/archives/2006/08/002_199505.html

まとめ
記載した他にも、「成果主義の必要性と弊害」や「職能給と役割給」、「失業者と非労働人口」、「人材のミスマッチ」など多くのキーワードについての講義があった。また、グループワークで討議や発表も実施した。もっと付記したいけど、明日も早いので今日はこれぐらいにしておきたい。次回は多分テレワーク、その次は副業について講義を聞けるようだ。非常に楽しみだ。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ビジネスデータ分析(ベーシック)を受講して

はじめに
ビジネスデータを分析する時に特に効果があるのは重回帰分析だ。豊田先生も今日の授業は特に大事だと力説されていたが、その通りだと思う。

統計分析手法の概要
これまでの授業ではt検定の説明が多かった。これはある集団と別の手段の平均値に有意差があるかどうかを検証する方法だ。分散に有意差があるかどうかはF検定などを用いる。今日からは、複数の変数と変数の間の関係性を分析する手法だ。代表的なものは相関分析だが、これは基本1対1だ。そうではなく、複数の原因変数とある結果変数の間の関係性を分析するのが重回帰分析などだ。これは便利。
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 出典:https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=61928?site=nli

回帰分析
ある原因系の変数xと結果系の変数yの関係を調べる基本的な方法は散布図を描いてみることだ。それに直線を当てはめるのか、指数関数のような曲線を当てはめるのかは変数の特性によるだろう。ただ、簡単なのはやはり直線に当てはめる方法だ。本来指数関数を当てはめるべき場合にも対数に変換すれば直線となるかもしれない。
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 出典:https://bellcurve.jp/statistics/course/9700.html

重回帰分析
原因系変数が一つなら単回帰分析だし、複数なら重回帰分析だ。そして、重回帰分析の目的はやはりモデル化だと思う。例えば、ある店舗の売り上げは、広告ひと売り場面積と従業員数で求まるとすれば、それぞれの変数の最適値を求めたり、最適な組み合わせを計算することも可能だ。目標とする売り上げを実現するためには、どの程度の広告費を打つのが良いのか、売り場面積を確保するのが良いのか、どの程度の従業員を確保すべきか。そういった戦略的な分析にある程度もっともらしい答えを示してくれるからだ。
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 出典:https://www.intage.co.jp/glossary/402/

マルチコ
多変量解析をする時に注意すべきはマルチコだ。マルチコとは、multi-collinearityの略だ。原因系の変数がそれぞれ独立であれば、重回帰分析はシンプルだ。先の広告費と売り場面積と従業員数はほぼ独立変数だろう。ほぼとしたのは、売り場面積が広いとやはりそれなりの従業員も必要となる。また、下の図のように価格と値引き率は微妙だし、定価と販売価格とか、売場面積と家賃などは直接的な関係がある。このような変数間の関係性が強いと、重回帰分析は複雑になる。つまり、重回帰分析はそれぞれの変数は独立という前提なので、独立でないとその影響が発生してしまうためだ。数学的に言えば、偏微分で議論しているのであって、微分ではないということだ。
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 出典:https://watlab-blog.com/2019/12/09/multiple-regression/

直接効果と間接効果
例えばゲームの勝ち数は体重と食事量と稽古量で決まると考えて計算すると下の図のようになる。体重と勝ち数の0.26や稽古量と勝ち数の040は直接効果だ。しかし、一方で、食事量と体重との間にも強い相関関係がある。体重と稽古量にも相関関係がある。これを間接効果という。重回帰分析では、残念ながら直接効果しかわからない。間接効果を調べるのであれば単回帰分析で確認する必要がある。
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 出典:https://istat.co.jp/ta_commentary/covariance_structure_02

A/B分析
講義の中でサラッと触れられていた。なんとなく気になったので調べると、A/B分析とはWebサイトやバナー広告などを最適化するためのテスト手法だった。これはある特定の要素の組み合わせとしてAパターンとBパターンを作成し、ランダムに適用することでその効果を比較検証する方法だ。これは複数のパターンを組み合わせる多変量テストにも適用される。
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 出典:https://www.innovation.co.jp/urumo/split_testing/

Rによる分析
例えば、体重と慎重とウェストにはそれぞれ正の相関関係がありそうだ。それぞれをエクセルで散布図で描いたり、重回帰分析する方法もあるが、Rを使えば下のような複数のデータの散布図の一括表示などが簡単にできる。やはりRは便利だ。
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 出典:データ解析・マイニングとR言語

実験計画法
講義の中で実験計画法という言葉が軽く触れられた。誰も深く突っ込まなかったが、これは数学的にエレガントなだけではなく、実際に試験を繰り返す時にも最小限で効率的に実施することができる秀逸な方法だ。試験をする時には、因子と水準を明確にする。例えば、性別なら通常は2水準だ。じゃんけんなら3水準だ。試験の組み合わせを直交表を用いて組み合わせの最適化をするが、そのパターンには下の図に示すようにいくつかの系がある。個人的にはL9が凄いと思う。どこが凄いかと言えば、3水準系の因子が4つある場合、総当たりなら81通りの組み合わせを試験する必要があるが、それがたったの9回で済む。品質工学では2水準系のときはL12を、3水準系のときはL12もしくはL36を使うことが多いようだ。
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 出典:http://www.ark-web.jp/sandbox/wiki/254.html

交絡因子
原因系の変数と結果系の変数の関係を調べたいが、そこに交じり絡む因子がある。それを交絡因子という。例えば、下の図で言えば飲酒が交絡因子だ。なぜ、交絡因子かと言えば、飲酒と肺癌の関係があるかと言うと直感的にはないと思うが、統計処理をすると見かけ上の関連が生じる。なぜかと言えば、お酒を飲む人はタバコを吸う人が多い。タバコを吸う人は肺癌になりやすい。したがって、お酒を飲む人は肺癌になりやすい。このような交絡因子は色々な局面で発生する。これを見抜くことができるかどうかはデータサイエンティストのセンスにかかっていると言える。
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 出典:http://www.jeic-emf.jp/explanation/1029.html

新谷歩(しんたにあゆみ)
豊田先生が統計の理解を深めるなら新谷歩さんの図書やYouTubeがお勧めという。調べると、奈良女の数学科を卒業後、米国Yale大学等で医療統計学を学んだ統計の専門家だった。説明も明瞭だ。例えば、ある新薬に効果があったことを証明する場合にどのような仮説を立てるか。もし、効果があるという仮説を証明しようとするとあらゆるケースの臨床データが必要だ。しかし、効果がないという仮説であれば、1つでも実証できれば証明できる。なので、何かを証明したい時には、それの逆の仮説を設定する。つまり、これが帰無仮説だ。そして、それをp値が小さい場合は帰無仮説を棄却できるので、対立仮説を支持できることになる。しかし、p値が例えば5%より大きくても、それは帰無仮説を証明したことではなく、帰無仮説を棄却できないというのが正確な表現だという。確かにわかりやすい。
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 出典:https://www.youtube.com/watch?v=8Pt2tCN_eFE

まとめ
2020年度の授業の講義をブログにすることが少なかった。これはなぜかと言えば、オンライン講義が終わるとすぐにリラックスして、ビールでも飲んでしまうからだ。通学していた頃であれば、大学から最寄駅まで歩く間になんとなく頭の整理をして、電車に乗っている間にブログを7割がた作り、そのあと少し頑張って完成させるパターンだった。通勤や通学がなくなり、楽になったのだからブログにもっと時間を避けそうなものだけど、現実は違う。これはなぜなのだろう。急ぎの仕事は忙しい人に頼むのが良いというのに似ているかもしれない。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

副業を修論のテーマにすると決めた

はじめに
修論はいろいろ悩んだが副業関連にすることにした。修論の中間発表が8月2日なのでギリギリのタイミングだろう。テレワークと掛けたり、社内副業にしたり、パラレルワーカーの観点で見たり、居場所と生活の満足度などの観点から分析することも可能だろう。また、まだ思いつきレベルだが、海外と日本を比較したり、日系企業外資系企業を比較したり、老舗企業と新興企業を比較してみると面白いことが見つかるかもしれないと期待している。

働くことの意義
そもそも人は何のために働くのだろう。フランスのヴォルテール(Voltaire)ことフランスの哲学者フランソワ=マリー・アルエ(1694年11月-1778年5月)は労働は三悪から救うと説く。三悪とは、退屈、悪徳、困窮だ。日本人の感覚では、勤勉に働くことは自分のスキルを高め、さらに良い仕事をするために仕事道か。
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 出典:https://meigen-ijin.com/voltaire/

副業のおすすめ
ネットで調べるとお勧めの副業10選が目に留まった。最近では、何がトレンドなのだろう。Uber Eatなどの宅食なども稼げるのだろうか。スマホやPCがあればどこでも隙間時間で稼げるようなものもあるのかもしれない。
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 出典:https://fukupon.jp/a/16011318

副業の目的
そもそも副業の目的はなんだろう。下のグラフをみると、バスタブ型の曲線になっている。これは何を意味するのか。本業の年収が低いほど副業をする人が増えている。これはつまり、本業だけでは不足するので、収入増目的の副業と言える。逆に、本業の年収が900万円から1000万円以上となるとまた副業をする人が増えている。これは収入増を目的とすると言うよりは、自分が持つスキルや能力を活用して誰かの役に立ちたいとか、自己実現を果たしたいと言う目的のように見える。
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 出典:https://lifeplan.gomez.co.jp/lifeplan/0814.html

収入増目的の副業
パーソル総合研究所が行った「副業の実態・意識調査」によると、副業をしている人の平均月収は6.82万円だった。また、時給では1,652円なので、時間数で言えば、41時間だ。副業に月41時間も費やして大丈夫なのだろうか。収入増目的ということは、本業の時給はこれと同等か、これ以下ということなのか。疑問が深まる。
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 出典:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1903/06/news021.html

副業実施理由
副業を実施している人に対して、なぜ副業をしているのを質問した結果をみると、年収とのプラスの相関関係のある要因とマイナスの相関関係のある要因に分かれた。スキルアップや頼まれ副業、自己実現目的の要因は前者だ。収入補填目的は後者だ。これ以外にもいくつかの要因が想定されたが相関係数が小さかったようだ。例えば、独立したいから、転職したいから。社会課題の解決に取り組みたいから、残業代が減ったから、時間のゆとりがあるから、ローンなど借金や負債を抱えているからなどは想定したほどの関係は確認できなかったようだ。
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 出典:https://rc.persol-group.co.jp/research/activity/files/sidejob.pdf

副業している理由のトップ3
ワーディングとして、副業はサブの仕事、複業は複数の仕事=パラレルワークということのようだ。パラレルワークを実施している人の理由でもっとも多いのは、収入を増やすこと、好きなことをしていたい、得意なスキルを活かすというものだ。
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 出典:https://dime.jp/genre/728694/

実施したい副業
どのような仕事で稼いでいるのだろう。So-netによる20代~50代の2,500名を対象にしたパラレルワークに関する実態調査では、現在やっている複業のトップはライター・作家だった。2位が投資、3位がWeb制作だ。また、年収が800万円以上の人では、Web制作が50%、システムエンジニアが40%とネットを活用した副業で稼いでいる結果となった。これからの有望な複業は、デザイナー、イラストレーター、コンサルティングなどの専門性の高い職業だ。自らのスキルを高めて、活用する人たちは今後増える可能性が高いのではないだろうか。
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 出典:https://dime.jp/genre/728694/2/

起業の活発さの国際比較
各国の起業活動の活発さを示す指標がTEAだ。これは、総合起業活動指数(Total Early-Soage Enorepreneurial Acoivioy)の略だ。GEM(グローバル・アントルプレナーシップ・モニター:Global Enorepreneurship Monioor)が2018年に日本を含む49か国で交際比較する調査を実施した。この結果によると、日本のTEAは2018年で 5.3 だ。これは2017年度の4.7 から0.6増加した。しかし、他国と比べると低い方のグループに属している。
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 出典:https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H30FY/000149.pdf

高齢者の起業率の増加
日本の話でないのが残念だが、アメリカでは2050年までに高齢者が8400人に達し、高齢者のベンチャーの成功例はなんと70%という。若い起業家の成功率が28%なので、2.5倍も高い成長率だ。日本では、そもそも起業する人が少ないが、ある程度の期間勤務し、経験も積み、貯金もためて、年金ももらえる年齢になったら、堅実な事業を起業することはお勧めかもしれない。
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 出典:https://www.mag2.com/p/news/342605

今後の取り組み
・Questantによる簡易アンケート調査
 まずはアンケートの素案は作成した。まだまだ改善の余地はあるが、まずは100名程でトライして傾向を把握したいと思う。
・企業のヒアリングリストの作成と回答依頼
 ターゲットとなる企業群をリストアップして、各社の人事部門に協力の依頼と、WEBによる簡単なアンケートの回答を依頼する。また、詳細の話を聞かせてもらえるかも質問項目に入れておき、OKを貰えた会社には適時ヒアリングに向かいたい。
・ある程度仮説が整ったら、9月を目途に500名程度のアンケートを実施して、仮説の検証にトライする。
・その結果を受けて、さらにヒアリングの会社を増やして、事例調査を深める。
・11月を目途にこれまでの調査の骨子と、成果をまとめ、修論のプレゼンおよび論文の作成の準備に進む。

まとめ
なんとかギリギリ修論の作業のマイルストーンは立ててみた。働きかた改革の一環として、副業についての実態調査を進めることは会社員としても興味深い。日本における中高年齢層の起業のメリットや留意事項にも言及できるといいし、副業がそのような起業に向けての布石になると嬉しい。米国では高齢者による起業の成功率が若者の起業の成功率よりも2.5倍ほど高い。日本でも元気な高齢者が起業し、社会を活性化し、日本を元気にするとしたら、こんな素晴らしいことはない。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ザ・セカンド・マシン・エイジを読んで感じたこと

はじめに
題名がカタカナで何が言いたのかよく分からなかったけど、読んでみると名著だと思った。著者はマサチューセッツ工科大学(MIT)教授のエリック・ブリニョルフソン(Erik Brynjolfsson)だ。1962年にデンマークで生まれ、ハーバード大学を卒業した。現在はMITの准教授だ。スタンフォード大学の客員准教授や、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の上級特別研究員も務めている。この図書を読んで感じたことを書いておきたい。決してこの図書のサマリーではない。
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 出典:https://www.dhbr.net/articles/-/6211

GDPは幸福の指標ではない
2018年度の国民総生産(GDP)はIMPの発表によると米国、中国についで世界3位だ。国民一人当たりのGDPも、1958年から2010年にかけて約8倍に増大した。しかし、国民が感じる生活満足度はほとんど変化がない。これは幸福のパラドクスと呼ばれ、一定以上に所得が増加すると、絶対的な収入ではなく、周りの人との相対的な所得差で幸せを感じるようだ。これが相対所得仮説や順応仮説と呼ばれている。
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 出典:https://www.eventglobe.net/delusion-gdp/

多次元貧困指数(MPI)
豊さの逆は貧困だ。貧困は所得額に強く影響を受けるが、それ以外にも教育、健康、生活水準などにも依存する。このため、これらを総合的に評価し、環境を改善しようと導入された指標が多次元貧困指数(Multidimensional Poverty Index: MPI)だ。持続可能な開発目標(SDGs)1の課題でもある。
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 出典:https://slofia.com/others/what-is-mpi-multidimensional-poverty-index.html

米国ではビリオネア
日本では億万長者といえば大金持ちのイメージだ。ビットコインの急増に伴って億り人と呼ばれるニューリッチが急増した。しかし、アメリカではミリオネではなく、ビリオネアが大金持ちだ。10億ドル以上の資産を保有するのは、世界に2153人いるようだ。桁が違う。フォーブスで2020年の長者番付が発表されたが、1位はアマゾンの創業者ジェフ・ベゾスで、1130億ドルだ。凄すぎ。
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 出典:https://dime.jp/genre/554717/

ヒューマロイドロボットの時給は4ドル
この書籍の意図するところは、第一のマシンは牛や馬を駆逐する動力源だった。そして、第二のマシンは人間の仕事を代替する知的マシンやロボットだ。人間と牛・馬は違う。人間は意思を持つし、投票権を持つし、判断もできる。だから牛や馬のようにはならないという希望的な観測がある一方で、ヒューマノイドロボットのコストがどんどん低下している。現在は四ドル程度というが、これが二ドルになり、一ドルになり、50セントになるのは時間の問題だ。コロナ禍の心配もある。ロボットにできることはロボットにさせるべきだという風潮になると、一気に人間の仕事はなくなるだろう。

売店が大規模店舗に太刀打ちする方法
大規模のスーパーが小売値を駆逐し、全国規模のチェーン店が小規模飲食店を駆逐する。そんな構造が続いているが、著者は「透明性が増すことによって、独立系の小さなレストランが大規模チェーン店に太刀打ちできるようになった。」という。つまり、目立たない裏通りにあるお店でも、味がよくて、サービスがよくて、値段も手頃で、居心地が良ければ繁盛する。大事なことは、共有経済だといいう。つまり、SNSでの口コミだ。
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 出典:https://www.travelvoice.jp/20190507-129801

計測されない無形資本財
著者は、シェアリングサービスや無料のサービスが大きな比率になると同時に、無形資産が重要になるととく。具体的には、知的財産、組織資本、ユーザ生成コンテンツ、人的資本の4つだ。下の図はすこし角度が異なるが、同じように無形資産の存在がより重要になるという点では同じだ。
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 出典:https://note.com/delpie6/n/n9b7755c1dc11

正規分布と指数分布
かつて男性の年収は正規分布だった。働き盛りで年収がピークになった。一方、女性の年収は指数分布だった。年収ゼロが最も多く、年収が高い人ほど少ない。実はスポーツや芸能などスキルベースの職業も指数分布だ。今後、セカンドマシンが普及すると、定形的な作業はどんどん自由化され、高収入を得るのは一部の高いスキルや資本家となるだろう。平均値よりも中央値が低い。大多数の低所得層と一部の高所得層に分かれるのではないだろうか。
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 出典:https://slidesplayer.net/slide/11526474/

モラベックのパラドックス
職人はマイクロメータ単位の精度を触感で感じることができる。これは生命が長い時間をかけて生き残るために得たセンサー技術だ。人類も数百万年の年月をかけて進化し、何十億ものニューロンを身につけてきた。一方、論理的な演算や思考はせいぜいここ数千年の歴史しかない。コンピュータは、世界トップクラスのチェスプレーヤや将棋の棋士に打ち勝つことは可能かもしれないが、1歳児の知覚や運動を実現することは難しい。赤ちゃんをあやすなんてことは大の苦手だ。こんな矛盾を1980年代にハンス・モラベックは、「高度な推論よりも感覚運動スキルの方が多くの計算資源を要する」というパラドックスを発表した。まあ、その通りだろう。

学歴と寿命
米国でも全体の平均寿命は伸びているが、高校を出ていない白人女性の平均寿命を調査すると、1990ねんから2008年にかけて78.5歳から73.5歳に低下している。同様に高校を出ていない白人男性も3年ほど低下している。貧困層潜在的な問題が顕在化していると言える。下のグラフは10万人あたりの死亡者数だ。黒人やヒスパニック系の死亡率が下がっているのに、高卒以下の白人の死亡率が増えているのが特徴的だ。
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 出典:米白人成人の死亡率、幅広い年齢層で上昇=研究 - WSJ

ジェボンズパラドックス
会社にパソコンが整備され、ペーパレスの業務にシフトすれば、紙の消費量は減少すると思ったら、増えた。節水機能を持つシャワーノズルの付け替えたら、水道代が減るかと思ったら、安心して利用するようにになり、逆に水道代が増えた。こんな風に、技術の進歩で資源の利用効率が向上すると、資源の消費量が減るはずだけど、実際は増加するという傾向があり、これをジェボンズパラドックス(Jevons paradox)という。

弱い人間と強いプロセスの組み合わせは最強
最近のゲーム機の性能はすごい。将棋だけではなく、囲碁でもアマ4段ぐらいの実力にあるようだ。アメリカではチェスだ。さすがにチェスではAIには勝てないが、フリースタイルだと面白い結果だ。最強のコンピュータよりも、弱い人間と普通のマシンと強いプロセスの組み合わせが最強だったという。これはどういうことだろう。人間の直感や思いつきをマシンでチェックして、最強の一手を打つことができれば最強ということか。これは、AIやロボットが仕事を代替するのではなく、人間とのパートナーとしてAIやロボットが得意なところを担当し、不得意なところは人間が補完するような組み合わせが最強ということになる。面白い。

ベーシックインカム
著者はベーシックインカムに賛成していない。理由は労働の意義だ。有名なのはヴォルテールの名言から、「労働は人間を人生の三悪、すなわち退屈、悪徳、困窮から救ってくれる。」を引用する。人は報酬のためだけに働くものではない。ベーシックインカムが実現すると、人は働かなくなるという主張だ。でも、これは違うと思う。指摘されているように人は、報酬のためだけに働くのではない。したがって、ベーシックインカムが支給されたとしても三悪を避けるために働く。もっと言えば、報酬のためにやりたくもない仕事はしなくても良い。もっと、自分がやりたいと思っていた仕事、面白いと感じる仕事を選択することが可能だ。

やる気の3要素
ダニエルピンクは、モチベーション3.0において、「やる気を起こさせる3つの要素として、熟練、自主自立、目的をあげた。」と引用している。これは言い換えれば、やれること 、やりたいこと、やるべきことの3つが重なる仕事にはワクワク感を感じながら夢中ですることができるということかもしれない。
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 出典:アマゾン

テクノロジーが引き起こす予想外の重大な副作用
著者は、最後にテクノロジーのマイナスの側面として、次の3つを上げている。今回のコロナ禍は2)に該当するだろう。テクノロジーのメリットとデメリットを見極めて、マイナス面に対する対応を整備していくことが人類に求められていることだと思う。
1) 大規模災害
2) 人類の存続を脅かす物体
3) 自由の抑制

まとめ
今回の図書はなかなか読み応えもあったけど、得ることも多かったし、考えさせられる点も多かった。ダニエルピンクの図書も面白そう。ステーホームで小遣いは減らないけど、アマゾンに支払う金額はどんどん増えているような気がする。

以上

子ども食堂の応援(2回目)

はじめに
昨日は、夕方時間休を少しもらって、子どもバル虹の応援に向かった。2回目になると顔見知りの人も増える。ただ、子ども食堂の運営の難しさも少し垣間見た感じがしたので、気づいた点をまとめておきたいと思います。

ランチは回転寿司
久しぶりの外出だったので、お昼は大好きな回転寿司にした。あら汁と、ランチのセット。この後マグロを追加で頂いてお腹いっぱい。海鮮三崎港の回転寿司は何店か行ったことがあるが、昨日訪問したお店も美味しかった。コロナ前との違いは、カウンター席だったけど、席と席の間が透明のパーティションで区切られていたことだった。
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せたがや子どもバル虹
昨日の会場は、三軒茶屋ブッシュマンだった。おしゃれなバーで昼のランチが15時まで。夜のオープンが20時から。なので、その間を使わせていただくために、16時から19時のオープンだ。ちょっと怪しげな感じなので、親子も子どもも店の中にはなかなか入ってくれない。今日も基本は持ち帰りの弁当だけど、希望する親子や子どもは店内で食事をすることもできる。中学生の男の子は一人で来て、お弁当を頂いたけど、一人前ではたらなくて、お代わりをしてくれた。そんな風景を身近に見れるのは楽しい。
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来店客は113名
前回は150ほど出たが今日は113ほどだった。3桁は十分すごいけど、ちょっと残念だ。なぜだろう。原因はいくつか考えられる。安定した利用者とのパイプをつなぐのはなかなか難しい。MBA的に4Pでマーケット分析してみおう。

Place
先週、先々週借りていたお店と昨日のお店はすぐ近くだけど、通り1つ違っている。また、1階だけではなく、2階なので、すぐには分かり辛かったのかもしれない。また、お店の中と外の精神的なバリアがちょっと高かったかもしれない。

Price
先週までは大人200円、子どもは無料だったけど、昨日は大人300円、子どもは無料だった。でも、それが大きな要因とは思えない。

Product
定番の子どもカレー。おかずも2−3品。フルーツやお菓子もついている。実際に一人分注文させてもらって、持ち帰って頂いたが美味しかった。細かな味付けや細工がしてあり、さすがだと感心した。これも大きな要因とは思えない。FBにはカボチャスコップコロッケやマグロガンボソース、サクランボなどと書いているが、立看板にはあっさりとした書き方だ。おかずへのこだわりのアピールがちょっと伝わりにくかったのかもしれない。
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Promotion
やはり問題はこれだ。いくつか気づくところがある。

1) FBによる告知
いくつかの方法で告知されているようだが、FBがメインだ。事前に告知されている。場所も示している。お馴染みの人は近所の方が多いので、ブッシュマンとかけばすぐわかるのだろう。
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2)LINEによる告知
FBは手頃だけど、LINEのグループとかで場所と時間とかを告知する方法もある。法人アカウントは有料だけど、1000通までは無料のフリープランもある。子供食堂ならフリープランで大丈夫じゃないだろうか。
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 出典:https://www.linebiz.com/jp/column/technique/20200204/

3) 立て看板の設置場所
オープン前は1階に目立つところだった。自分もすぐにわかった。でも、閉店時には2階に移っていた。19時になって帰る時に、外から見ると、2階では目立たない。近くまで来たけど、わかりにくかったのかもしれない。

4) 天候
これは大きな問題ではないと思うけど、途中でちょっと小雨がぱらついた。自転車で自宅に急ぐ気持ちを促進したかもしれない。

5) 営業時間
先週までは15時から18時だった。昨日は16時から19時だ。幼児をピックアップするお母さんは、15時から16時の利用もそれなりにあった。もしかすると、あれ?今日はやっていないのかなあと通り過ぎたお馴染みさんもいたのかもしれない。

美味しいお弁当
予想よりも数が出なかった。お弁当を注文したら、いっぱい盛ってくれた。おうちに戻って家族で突っついた。皆美味しいと目を丸くしていた。やはり子供はおいしいものには目がない。
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嬉しいプレゼント
お馴染みさんからのプレゼントに代表の大内さんが喜んだ。こんな可愛い絵を貰ったら嬉しい。特にシャケの絵とかは特に美味しくかけている。本当にうまい。カレーはやはり子供が大好き。しかも、カレーは家庭によって味付けが違うので、どの家庭でも喜ばれる。不思議な料理だ。
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まとめ
昨日は、代表の友達や、ボランティアの人々が十人ほど集まって、賑やかだった。仕事をみんなでシェアして、やはり30分もするとだんだん落ち着いてきて、スムーズになる。そして、それを実現するのはやはり代表の大内さんの気配りだ。慣れない人には丁寧に説明し、慣れた人には軽く説明。子供たちへの対応も親身だし、本当に子供が好きなのだなあと思う。そんな好意の結集で子ども食堂は成り立っているのだと痛感する。8月2日に中間発表があり、まだテーマも紆余曲折中なので、7月はちょっと応援に行くのは難しそうだけど、また、タイミングをみて応援に行きたいと思った。

以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

NPOについて考える

はじめに
NPOについての講義を受講した。2020年度の春期の前半にNPO論I、後半にNPO論IIだ。現在、自分が所属している学部ではないが、一定の単位数までは他の学部の講義を受講することができる。

NPOとは
NPOはNonProfit Organizationの略だ。つまり、非営利団体だ。非営利団体とは、株式会社のように営利の目的とするのではなく、社会的な意義のある活動を行う。いわゆる市民活動のための団体と言っていいだろう。
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 出典:https://sogyotecho.jp/npo-corporation/

オンブズマンNPO
北欧では1809年にスウェーデン憲法オンブズマンが明記された。オンブズマンとは、スウェーデン語で代理人を意味する。つまり、国民や市民の代理人として、行政を監視する機関だ。これは素晴らしい発想だ。1901年には、フランスでアソシアシオン(Association)が制定された。NPOと類似の活動だが、市民活動の中核だった。1960年代にはアメリカの公民権運動がNPO活動の発展を加速した。
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 出典:https://allabout.co.jp/gm/gc/294042/

3種類のオンブズマン
オンブズマンは。政府機関を監視する古典的オンブズマンと、企業などの組織内のオンブズマン、そして、特定集団のための権利擁護オンブズマンに分類される。

日本におけるオンブズマン
北欧のように行政を監視する機関としてのオンブズマンは残念ながら日本では根付いていない。1990年に川崎市市民オンブズマン条例に基づく公的オンブズマンが地方行政では存在するが、国政に対する古典的オンブズマンはない。組織内オンブズマンは学校法人慶應義塾で導入されたことはあるが、ハラスメント防止委員会といった名前で導入されることが多い。1994年7月29日に設立した全国市民オンブズマン連絡会は国や地方公共団体の不正行為を監視している。
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 出典:https://www.ombudsman.jp

日本におけるNPO
1998年3月に特定非営利活動促進法(NPO法)が制定された。これによる法人格が狭義かつ一般的なNPOだ。NPOが設立してから20年の間にNPOの数は5万法人を超えた。また、2001年10月には公益性の高いNPO法人を認定し、それら団体への寄付を優遇する認定優遇制度が導入されたが、現時点では数は少なく、ほとんどは認証NPOだ。
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 出典:https://www.nippon.com/ja/features/h00280/

株式会社とNPOの比較
株式会社会社は基本的に営利目的だ。そして、得られた収益は株主に分配される。株式を発行することで資金を集めることができる。お金を儲けたいなら株式会社だろう。一方、NPO法人はまず理念がある。その理念に共感する人が集まり、活動する。仕事として職につく職員には給与を支払うが、ボランティは無償だ。米国では理事は無報酬が多いようだ。日本では理事は職員を兼ねることが多く、職員としての給与は受領できるが、理事としての報酬は受けているところは少ないようだが、どうだろう。
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 出典:http://hareru-office.com/corporation

NPOサポートセンター
1993年に山岸秀雄法政大学教授が日本で最初のNPO支援組織「NPO推進フォーラム」を設立した。1993年には「NPOサポートセンター」に改称している。NPO法が制定された1998年3月に先行して、動いたのが素晴らしいと思う。法政大学の柏木教授はこのNPOサポートセンターの設立にコアメンバーとして活動された。
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 出典:https://npo-sc.org/main/about/#a-history

NPOむすびえ
NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえは、全国の子供食堂を支援するための民間団体として、2018年12月に設立された。湯浅教授が理事長に就任されている。今回のコロナ禍に対応するため、クラウドファンディングで1000万円の応募にトライしたら、3週間でクリアし、現在はセカンドゴールとして2000万円の応募にトライしている。湯浅理事長の理念として貧困に陥る構造が5つ指摘されている。教育課程からの排除、企業福祉からの排除、家族福祉からの排除、公的福祉からの排除、そして、自分自身からの排除だ。社会のセーフティネットが機能せず、最後は自分自身が自分自身を見捨てるのはあまりに悲しい。
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 出典:https://congrant.com/project/musubie/755

NPOカタリバ
慶應義塾大学(SFC)の学生だった今村久美が2001年11月に設立したのがNPOカタリバだ。初期は、首都圏の高校生に対する「カタリ場」プログラムだ。これが全国に広がり、年間3.5万人の高校生が受講する。2011年3月の東日本大震災を契機に活動を広げる。現在の事務局員が112名。文京区のb-labや、高校生が地域の課題に取り組む「マイプロジェクト」、子供に学びと居場所を提供する「アダチベース」など多彩だが、コアは高校生を中心にした教育活動といえる。今週は、日曜日と水曜日に今村代表が登場するオンラインセミナーに参加し、本日はカタリバの広報の方と1時間ほど電話で話をした。カタリバづくしの1週間だった(笑)。
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 出典:アマゾン

まとめ
今週はNPOとの関連が多かった。ただ、MBAの学生としては新たなビジネスを創造することが期待されている。指導教授からはNPOもありと聞くが、どうだろう。子ども食堂の支援は続けたいが、MBAの学生として何をやるべきなのだろうか。それよりは、まだ思いつきレベルだが、「テレワーク時代の副業」とか、「寺子屋ビジネススクール」と言ったテーマの方が料理しやすいような気がする。コロナ禍に伴ってテレワークやオンライン授業が一気に普及した。同時に働き改革も求められてる。自分が勤務する会社でも社内副業が始まる。このテレワークと社内副業を掛け合わせると面白い成果が得られるような気がする。金儲けの仕方を子供に教えるようなスクール活動も意義があるような気がする。すでに先行事業者がいるが、まだまだ開拓の予知はあるだろう。副業と子ども食堂の掛け算も面白いかもしれない。副業としてボランティア活動が推奨されれば、Win-Winの関係は築けるだろう。ネタはいろいろあり得る。問題は8月2日の発表会に間に合わせることだ(笑)。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。