LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

マクロ経済と人材経営を受講して

はじめに
2020年度春期前半は月曜日と水曜日と土曜日の合計3つの講義と修論だったが、春期後半は月曜日と火曜日の合計2つの講義と修論にした。本当は金曜日の講義も受講したかったけど、社会人学生としてあまり無理しても続かないと考えた結果だ。月曜日の講義は昨日ブログにアップしたビジネスデータ分析だ。そして火曜日の講義が表題だ。これが超面白い。内容が深いし、広いし、データが豊富で分かりやすい。せっかくなので今日の講義で面白いと思ったキーワードを中心に振り返ってみる。なお、このブログは講義メモではない。受講して感じたことやネットで調べたことをまとめたものだ。なので記載に問題があればその責は自分にあり、面白ければ先生のおかげだ。

山田久教授
講義は日本総研副理事長である山田久教授によるオンライン授業だ。スライドにそって説明するのに加えて、途中でグループディスカッションがある。時々、先生からクイズというか質問があり、誰か答えれる人いる?と聞かれる。いつも、回答しようかどうしようかと悩む。ZOOMによる授業で画面表示をするかどうかは生徒に委ねられているが、発言する生徒は画面オンにするが、発言しない人は画面オフが多い。本当は全員画面オンが望ましいが、女性の生徒もいるし、画面をオンにしたくない人もいる。面白いと思うのは、ブレイクアウトルームではほぼ全員が画面オンで討議するので、メインルームに戻ってしばらくは画面オンの生徒が多いけど、徐々に画面オフが多くなる。このあたりの現場感覚は面白い。
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 出典:https://www.jri.co.jp/report/medium/yamada/

働き方の未来
今日の講義は、働き方の未来だ。雇用システムとして日本はメンバーシップ型の人基準だが、欧米はジョブ型の仕事基準が多い。また、日本は企業内部の人材でやりくりする内部労働市場だが、欧米では転職などの流動性が高いために外部労働市場に基づいている。このように日本型企業と欧米型企業の雇用システムの違いを学んだ。山田教授の論文を調べてみると、日本企業では雇用保障が強く、賃金レベルが高い正社員と、雇用保証が弱く賃金レベルも低い非正規社員、その中間の限定社員で構成されているが、今後は、雇用保証が弱いけど賃金レベルが高いプロフェッショナル型の正社員が必要と説いていた。これはその通りだと思う。このプロフェッショナル型はどのようにしてスキルを高め、高めたスキルをどのように活用するのか。これが自分の修論のテーマにも結びつくような気がする。なお、現在の定年後再雇用は雇用保証は強いが、賃金レベルが低い左下のゾーンかもしれない。
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 出典:https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/viewpoint/pdf/10303.pdf

ジョブ型とメンバーシップ型
日本型のメンバーシップ型と欧米のジョブ型はどのように違うのか。下の図の著者の筒井冨美さんはフリーランスの医師だ。そのため、ドクターXの制作支援などもしている。多分、ジョブ型賛成派だ。古いしがらみをバッサリと断ち切るドクターXはかっこいい。下の表にもあるように、メンバーシップ型は典型的な日本型経営のスタイルである年功序列、終身雇用、ピラミッド型で閉鎖的かもしれない。一方のジョブ型はフラットで雇用の流動制が高く、実力主義がベースだ。
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 出典:https://at-jinji.jp/blog/14147/

解雇権濫用法理(日本)
日本的なメンバーシップ型の前提となる終身雇用は、実は戦後の好景気の時代に企業が優秀な社員を囲い込むためにできた制度である。また、企業の社員は家族であり、不景気の時にも解雇はしない。その代わりに忙しくなっても皆で残業して乗り切ろう。そんな思いもあったようだ。日本企業では、法律面で解雇は非常に難しい。これは国民感情にも沿うものだ。労働契約法第 16 条では、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上 相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とすると定めている。さらに整理解雇する場合にも4要素を満たしていないと裁判では勝てないという。
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 出典;http://labor.tank.jp/r/08/zukai08/08-04.PDF

随意的雇用原則(米国)
日本と違って米国での雇用は基本的に随意雇用だ。英語では、at-will employmentなどと言う。つまり、採用時にはジョブスクリプションを明確にして、採用される。そして、そこで定義した仕事がなくなれば、必然的に解雇となることを当然と言う合意がある。これを随意的雇用原則(employment-at-will doctrine)と言うようだ。新聞やニュースでも良くレイオフと言う言葉を聞くがそれはこの随意的雇用原則に基づくものだ。米国では労働者の70%以上が随意雇用で働くようだ。
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 出典:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000138377.pdf

解雇制限法(ドイツ)
ドイツは労働時間が短い。労働時間に対する強い規制がかかっている。1990年代前半にドイツにビジネスで出張したときに、金曜日の午後に打ち合わせのアポを入れたいと申し入れたら、「あり得ない」と返事がきた。なぜかと聞くと金曜日の午後は休みだと言う。実際現地に行くと、打ち合わせ相手のIT担当のみで他の人は誰ひとり出社していなかった。また、以前読んだ「5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人」にも書かれていたが、部下の勤務時間が1日に10時間を超えると上司は必死に帰るように命じる。なぜかと言えば、監督局に見つかると罰金を支払う。それも会社の金ではなく、上司のポケットマネーで支払う。最高では1.5万ユーロと言うから大変だ。上司も必死だが、それ以上に部下もそんな長時間勤務は嫌なのでさっさと帰る。日本人も見習いたいものだ。
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 出典:http://www.newsdigest.de/newsde/column/dokudan/6983-1003/

職能資格制度
終身雇用や年功序列型の制度を採用している日本企業では、高い成果を出す若手よりも、勤続年数の長い社員の方が優遇される傾向があり、それはおかしいと言うことで、職能資格制度が採用された。これは単にポストだけではなく、それに習熟度に応じた級数を重ねる方法だ。また、より客観的な評価を行うために目標管理制度(MBO)を採用する企業も増えた。これはピータ・F・ドラッカーが提唱したものだ。人は自分で課題と認識したことを解決するためには自律的に頑張ると言う心理を巧みに活用したものだ。しかし、人材マネジメントは、採用、育成、評価、配置といった一連の流れで考えるべきだが、このMBOは評価のみに焦点を当てた施策であることと、日本企業の場合にはその評価に異議があっても、退職したりしないため、逆にモチベーションを低下させたり、実現可能な目標しか提案しなくなると言った弊害が指摘されるようになった。自分自身管理者をしている時期にもっとも嫌な業務がこのMBOに基づく評価結果をフィードバックすることだった。全員にAやSを付けられれば問題はないが、人によってはBやBー、Cをつけることも必要だ。そのためのネタを記録しておいて、相手が納得しなければそれを持ち出す準備までしないといけないためだ。
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 出典:https://www.fuzoku-hosp.tokai.ac.jp/nurse/education/functional/

ハーズバーグの衛生理論
米国の臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグ(1923年4月-2000年1月)が提唱した衛生理論とは、人間が仕事に満足を感じる要因と不満足を感じる要因は全く別物であるとする考え方だ。つまり、仕事を頑張ろうと考える動機づけ要因は、達成や承認や責任などの仕事に関する理念だ。一方、労働条件や給与や人間関係などは衛生要因だ。特に注意すべきは報酬だ。理念に共感して頑張ろうとしている社員に対して、成功すれば報酬を与えると予告するとパフォーマンスが低下することだ。予告せず頑張ったねと労を労うのは良いが人参ぶら下げて効果が出るのは他律的な苦しい労働だ。自律的で創造的な仕事では逆にマイナスの効果が出る。運用には注意が必要だ。
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 出典:ハーズバーグの動機づけ・衛生理論 |モチラボ

日経連の設計図
1995年12月に日経連(現、日本経団連)は「新・日本的経営システム等研究プロジェクト」をまとめて報告している。この中で、「長期蓄積能力活用型グループ」と「高度専門能力活用型グループ」と「雇用柔軟型グループ」の3つを定義した。そして、これが雇用柔軟型グループをオーソライズし、コスト削減が待ったなしだった企業に対して、契約社員や委託社員の利用を一気に広げる契機となった。高度専門能力活用型グループは、期待したほどの広がりはなかった。高度なスキルをいかに高めるか、そして活用するかは現在に続く課題と言える。
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 出典:http://hurec.bz/mt/archives/2006/08/002_199505.html

まとめ
記載した他にも、「成果主義の必要性と弊害」や「職能給と役割給」、「失業者と非労働人口」、「人材のミスマッチ」など多くのキーワードについての講義があった。また、グループワークで討議や発表も実施した。もっと付記したいけど、明日も早いので今日はこれぐらいにしておきたい。次回は多分テレワーク、その次は副業について講義を聞けるようだ。非常に楽しみだ。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。