LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

人的資源管理論I(後半)#3を受講して(解雇の功罪)

長くなったので2つに分割した。前半はこれです。

hiroshi-kizaki.hatenablog.com


先任権制度(Seniority System)
知らないことがあるとGoogle先生に聞いたり、Wikiに聞くことが多い。でも、なぜか先任権制度をWikiで調べても出てこない。でも、Seniority systemで調べるとすぐに出てきた。ドイツ語やフランス語でも軽視されているが日中韓の言語ではフォローしていなかった。しかし、その内容は年長者に敬意を示そうという非常に日本的な内容だ。つまり、例えば昇進の候補者が複数いた時には長く勤務した人を優先する。解雇や給食の候補者が複数いた時にも長く勤務した人は優遇し、勤務の短い人を優先する。米国でも20世紀には米国でも年功序列を人事制度の基盤としていたが、20世紀後半にはこれを強調することをやめて、パフォーマンス評価に移った。しかし、米国のブルーワーカーでは先任権制度が残っているようだ。米国では、1920年代の人種差別への反動からこの先任権制度が規程か労使協約などで規定化されている例が多いという。
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 出典:http://www.koshiodatabank.com/10-1-8-american_labor_market.html

解雇の種類と解雇権濫用法理
解雇するのもされるのも嫌だ。解雇には、普通解雇と整理解雇と懲戒解雇がある。普通解雇とは、労働能力の低下等の事由に基づいて行われる解雇だ。一方の整理解雇とは、会社の業績不振など会社の事由に基づいて行われる解雇だ。そして、懲戒解雇とは、会社の規律や秩序を乱す社員に対して実施される解雇だ。解雇権濫用法理とは、客観的かつ合理的な理由がないのに解雇を実施することを戒める考えだ。解雇するには、4つの条件が必要とされる。つまり、必然性があること、解雇を回避する努力をしたこと、選定基準が合理的であること、そして事前の協議をしたことだ。処分の自由が懲戒解雇よりも軽微でかつ本人が反省しているケースや、会社に対する功績が大きい場合には諭旨免職することもある。首にされたのではなく、自分で辞めるというていだ。
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 出典:解雇権の濫用|社長のための労働相談マニュアル

メンバーシップとジョブシップ
日本の雇用はメンバーシップ型で欧米の雇用はジョブシップ型だと言われることが多いが、そうなのだろうか。日本でも非正規社員の比率が増えている。自分が勤務する企業では正規社員よりも非正規社員の方が多い。そういう企業も珍しくないのではないだろうか。そして、正規社員はメンバーシップ型だけど、非世紀社員のジョブシップ型のはずだ。正規社員の能力が非正規社員の能力よりもたかいのか言えばそれは人による。なので、本来ならジョブシップ型の非正規社員に対しても、メンバーシップ型の働きを要求することがある。自分も現在はジョブシップ型の雇用形態なのに、メンバーシップ型の正規社員の仕事がそのまま来て、さらに追加されている。だんだん責任も追加されるのに、報酬は追加されない。ちょっとおかしいと反発しつつある今日この頃(笑)。
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 出典:https://ameblo.jp/rouichi-shiken/entry-12496126882.html

近江商人の三方によし
近江商人大坂商人伊勢商人を人の最大商人という。大坂は室町時代から江戸時代にかけて活躍た諍いの商人で、堺が源流だ。伊勢商人とは、江戸時代の伊勢国出身の商人で、江戸時代には全国規模で活躍した商人だ。特に、越後屋を築いた三井高利が有名だ。近江商人は、近江出身の商人で、高島屋白木屋伊藤忠商事住友商事西武グループ日清紡東洋紡東レ武田薬品工業ニチレイなど数多い。このため、近江商人は琵琶湖のあゆと同じで、近江から離れてから活躍すると揶揄される。また、経営哲学としては、三方よしが有名だが、本当は「三方によし」だという。つまり、買い手によし、売り手によし、世間によしだ。規律道徳や陰徳善事を大切にした。また、流通革命とも言える店舗展開や複式簿記の考案も近江商人の功績のようだ。
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 出典:出典:末永國紀『近江商人学入門 CSRの源流「三方よし」』
 
解雇の影響
解雇の決断を迫られる企業も苦しいが解雇される側は経済面だけでなく、健康面でも大きな影響を受ける。非常にショッキングな内容だが、失業率と自殺率には高い相関関係がある。当然原因は解雇で結果が自殺だ。下の図は総務省の「労働力調査」と厚労省の「人口動態統計」から舞田俊彦さんが作成したものだ。相関係数は0.7024だという。ドイツでは、解雇のルールの中に社会的な影響を考慮すべきという条項があるという。つまり、例えば独身の社員と家族持ちの社員がいたら、解雇の優先度は前者だ。しかし、これも判断は難しい。大事なことは解雇してもその社員が次の就職先を見つけて、ちゃんと仕事できるか、もしくはそれに変わるセーフティネットを社会制度として整備することが重要だと思う。
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 出典:https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/01/post-11515.php

雇用保蔵者
リクルートワークスが発行したWORKS REPORT2015では、2015年のレビューと2025年の予測を交えて雇用の変化をレポートしている。その中で雇用保蔵者についても言及している。雇用保蔵者とは、会社に雇用されて入るが、事業活動に活用されていない社員。つまり、本当は解雇したい社員だ。ただ、これの厳密な統計が難しいが、同レポートでは内閣府「日本経済2011-2012」の付注1ー3に従って統計を行い、2015年の401万人から2025年には497万人に増加すると推定した。企業内部で人材活用を図ることが先決だが、それが難しい場合には解雇の対象とならざるを得ない。人材流動化を高めることは、企業の収益を高めるだけでなく、社内で活用されたいない人材が新しいフィールドで活躍する機会を与えることと、それに対するセーフティネットを整備することが有効ではないだろうか。
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 出典:https://www.works-i.com/research/works-report/item/150528_2025yosoku.pdf

まとめ
書き出すとかなり長くなってしまった。でも、これでも講義で習った事の半分程度は除外している。今回のテーマは解雇だった。そして、最後に解雇されてもその会社との円満な関係を形成するにはどうすれば良いかと聞かれた。いろんな意見が出たが、辞める時に対応も大事だけど、そもそも辞める前の期間、普段の対応が大事という集約だった。つまり、会社に育ててもらったという感謝の気持ちを退職者が持てるかどうか。確かに自分も会社というか、お客様と仕事に育ててもらった。その意味で感謝の気持ちは大きい。ただ、最近は投資や教育よりは、活用(こき使おう)というマインドが透けて見えるので、ちょっと違和感を感じることもある。まあ、自分のことはどうでもいいが、解雇しなくてもすむ社会、解雇されても大丈夫な社会的なセーフティネットを実現するにはどうすれば良いのか。個人的にはその候補の一つがベーシックインカム だと思うのだが、まだまだ日本社会では合意形成に時間がかかりそうだ。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

人的資源管理論I(前半)#3を受講して(解雇の功罪)

はじめに
藤村博之教授の人的資源管理論Iは面白い。感情の起伏をあまり出さないタイプだけど、深い考察力から発せられる説明にはなるほどと納得する部分が多い。そして、その話がどんどんと広がる。どこが本筋でどこが派生か分からなくなるけど、そのどれもが面白い。これは講義メモではないので、講義の内容を全部整理するつもりはない。でも、どれを切り捨てるかが悩ましい。だってどれも興味深い内容だからだ。時間も有限だし、提示された課題にも対応しないといけないので、このブログにそれほど時間をかけるわけにもいかない。まあ、さらっとネットで確認しながらレビューしてみたい。かなりの長文になってしまったので、2つに分割した。

終身雇用はそもそも日本に存在していたのか
経団連の中西宏明会長やトヨタ自動車豊田章男社長が「終身雇用を維持することは難しい」と発言したことがニュースで報道されていた。しかし、本当に日本の企業は終身雇用を維持していたのかと藤村教授は疑問を生徒に投げかける。京セラでは、オイルショックの時にも解雇ゼロを宣言して仕事のない社員には草むしりを命じたという。「一人も解雇するな、一円も給料を下げるな」は松下幸之助の有名な言葉だ。戦後の高度成長期には日本企業でも終身雇用を実践した企業は多い。また、短期的な景気変動時にも、雇用を維持することで次の経済成長に対応するという合理性があった。しかし、不景気が長期化すると解雇が始まるのは必然かもしれない。特に余剰人員が3年続くと対策せざるを得なくなる企業が多い。
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 出典:終身雇用が崩壊!スキルUPが必須の社会になります

日本企業ではどのように解雇が行われたのか
(1) 朝鮮戦争後の指名解雇

 戦後の復旧を支えた朝鮮戦争終結すると日本経済は不況に突入した。当時の企業は指名解雇を断行した。指名解雇は高杉良の小説にもなっているが、過激な方法だ。つまり、会社が解雇する人を特定する方法だ。これに対しては社員側も応じるわけにはいかないのでストライキで対抗した。その結果、企業は指名解雇は大変な痛みを伴うことを学習し、社員側もストライキ中は給料が出ないので不毛だと学習した。
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 出典:戦後復興期

(2) オイルショック後の希望退職
1973年に始まった第一次オイルショックと1979年に始まった第2次オイルショックがある。ともに日本経済を直撃した。しかし、企業は指名解雇に踏み切るわけにはいかない。そこで断行されたのが希望退職を募る方法だ。しかし、希望退職には致命的な欠点がある。それは、やめて欲しい人はやめず、やめて欲しくない人が辞めることだ。
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 出典:https://ameblo.jp/akiran1969/entry-11636846215.html

(3) プラザ合意による円高不況時には子会社に異動
日米英独仏の5カ国がドル高是正で合意した有名な「プラザ合意」が1985年9月だ。合意直前には1ドル240円だった相場が1985年末には200円になり、1986年には一時160円を下回り、さらに1995年4月には1ドル80円台を突破した。この時にドル預金をした人がいたら素晴らしい慧眼だ。多くの輸出型企業は円高によるコスト増に対応することが求められた。当然、人員整理や過密労働、下請けへのコスト削減が断行された。しかし、指名解雇や希望退職をしても効果が薄い。このため、この時期に実施されたのは、不要人員の子会社への異動だ。これにより見かけ状の会社の業績回復を図った。
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 出典:米国の“借金経済”支え続ける/プラザ合意から20年

(4) リーマンショック後には連結決済の義務化
連結決算とは、小会社や関連会社などを含めてグループ全体の決算をすることだ。ちなみに子会社とは50%以上の出資、関連会社とは20%以上の出資だ。このため、この連携決算の枠から外すためにわざと出資比率を20%未満に抑えることもありそうだ。そして、この連結決算は1978年に義務化され、1984年には任意選択の持分法の義務化、そして、2000年3月期からは単独決算よりも連結決算が重要と規定されるようになった。このため、従来のように子会社に異動するだけでは、連結決算が改善されないので、非連結の会社に異動させたり、取引先に片道切符で異動させたりするようになったようだ。
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 出典:https://jpn.nec.com/soft/explanner/explanner-ai/finance/column/29/11.html

エドワード・P・ラジアーの議論
人事と組織の経済学は名著だ。著者はスタンフォード大学ビジネススクールエドワード・ラジアー(Edward P. Lazear)教授だ。原書のタイトルは、"Personnel Economics for Managers"(1997)だ。アカデミックな内容というよりは、実践むけの内容だ。原題からも窺える通り、学術書ではなくマネジャー向けの解説書として書かれています。この1章では従業員の解雇の仕方や労働組合との交渉術、モラル低下の改善方法などの実践的な内容が書かれている。第11章では年功型インセンティブの考察や、第16章では職務、第17章では評価など、人事担当者だけではなく、経営や起業に関連する人は必読の図書だと言える
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 出典:http://hurec.bz/mt/archives/2015/01/2263_199809.html

年功序列の功罪
ラジアーはこの図書の中で年功型インセンティブ制度についても言及していて、これはラジアーの理論と呼ばれている。賃金と生産高が経験年数で逆転し、一定年齢以降は、企業は負債を負うことになるというもので「暗黙の負債と見返り」論だ。つまり、入社してしばらくは会社が負担するコストの方が大きいが、きちんと仕事をできるようになると生産性>賃金となり会社に貢献する。しかし、高齢層は生産性<賃金となる。一見、高齢者が得をして若年層が損をするような仕組みだが、これには合理性があるという。つまり、若年層では会社に対して貢献をして投資(貯金)をしていて、高齢層になるとそれを受け取るというモデルだという。そして、このモデルであれば、若年層のコストを抑えることだけではなく、不正を行って解雇されると社員が損をするので、監視コストを削減できるという。ただし、このモデルが成り立つには前提があり、それは企業が存続することだ。
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 出典:なぜ優秀な人から先に会社を辞めるのか 前編 - 未来の金融をデザインする

ロバート・バーナード・ライシュ教授
カリフォルニア大学バークレー校やハーバード大学ケネディスクールなどの教授であり、米国労働朝刊を歴任する経済学者だ。ライシュはフランス語読みだが、ドイツ語読みだとライヒだ。「暴走する資本主義」や「格差と民主主義」などの著書が秀逸だ。最近は、「みんなのための資本論」という映画を作成し、サンダンス映画祭審査員特別賞を受賞している。ライシュが指摘するのは格差社会の課題と謎を明快に紐解いた点だ。つまり、中間層の賃金が上がらないのに、中間層の購買力がなぜ落ちないのかという理由として次の3つを挙げている。一つは共稼ぎの増加。女性が望んで女性進出が進んだのではなく、夫の稼ぎが増えないので家計を支えるために女性が働くようになった。2つ目は労働時間を増やした。いわゆる長時間労働だ。そして、最後の3番目は特に住宅や消費における借金だ。そしてバブルが弾けると借金だけが残る。これは悲惨だ。米国の後を日本も追っているのではないかとさえ危惧する。
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 出典:https://www.newsweekjapan.jp/ooba/2015/11/post-7.php

長くなったので、2つに分割した。続きは(2/2)です。

hiroshi-kizaki.hatenablog.com

(続く)

ビジネスデータ分析#4を受講して

はじめに
ビジネスデータ分析#4を受講した。今回の講義のメインのテーマは分類だ。分類の意味を整理して、Rで実践して見た。分類は数学的には簡単だと豊田教授は最初に説明したが、なかなか奥が深いし、面白いと思う。

国際分類学

冗談半分と言いながら国際分類学会に誘われた。一緒にドイツに行かないか。ただし、渡航費は自腹(笑)。30代の頃は2-3ヶ月に一度海外出張していた。ITU-Tの国際学会や衛星通信運用者のグローバル会議の日本代表として参加したこともある(えへん)。でも、学会や国際学会の経験はない。正直少し興味がある。HPを見ると、12月に北九州国際会議場で開催が予定されている。ふぐを食べに行こう♪と懇親会までセットされている。確かに楽しそうな学会だ。
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 出典:日本分類学会

階層型クラスター型
クラスター分析とは、似た者を集めて分類する方法だ。ぶどうの房のような形なので、クラスターと呼ぶ。クラスター分析には、階層クラスター分析と非階層クラスター分析がある。階層クラスター分析とは、階層型の代表はウォード法だが、それ以外に最短距離法や最長距離法、群平均法などがある。それぞれに計算方法が違う。主にウォード法が使われるというので、どういう時にはウォード法を使わないのかと質問すると、集落に別れていない場合、ランダムに万遍な分布する場合には向いないという。確かに、一見ランダムに見えるデータから傾向を見つけるのが目的だが、そもそもその傾向がない場合は辛いだろう。
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 出典:クラスター分析|マーケティングリサーチのマクロミル

非階層型クラスタ
代表的な手法はK-means法(k平均法)だ。これはまず階数kを決める。4とか。5とか。そして、乱数を使って、5つの初期値が決まり、その初期値に近いデータを集める。これが最初のステップ1だ。次に集まったデータから平均を求める。これが次のステップ2。そして、平均値のデータを中心にこれに近いデータを集める。この3番目のステップは実はステップ1と同じだ。このようにステップ1とステップ2を何度も繰り返すとデータが収斂するという手法だ。面白い。
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 出典:バイオインフォマティクスによる遺伝子発現解析

教師信号ありとなし
人工知能で有名になった深層学習にも教師ありと教師なしがある。質問するとほぼ考え方は同じようなものだという。階層型クラスターの代表はウォード法だろう。データをありのままに分析して、積み上げて、似た者を集めて、集めて、トーナメント戦のようにまとめていく。そして、その結果としてのデンドログラムを見て、人間は解釈する。しかし、コンピュータは単にデータとデータの距離を計算するだけだ。

事前解釈と事後解釈
大切なことは仮説設定力だと思う。例えば、よく使うのが血圧と死亡率だ。血圧が高いと死亡率が高い。それはその通りだ。しかし、これは単なる相関関係であって因果関係ではない。何が原因かと言えば年齢だ。高齢になると血圧が上がるし、恒例になると死亡率が高まる。しかし、ある年代で見ると、血圧と死亡率の関係は低い。血圧が高いのもやばいけど、低い方が死亡率の増加が急峻だ。こういったことはあまり報道されない。
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 出典:相関関係と因果関係 - LuckyOceanのブログ

散布図の目的
例えば、高い相関関係を持つ要因A1と要因A2をクラスター分析してもあまり良い結果は出ない。A1とA2に相関関係が強いのであれば、それらをまとめて要因Aを見つける。また、それとできるだけ相関関係の低いBに集約して、AとBをクラスター分析する。もしくはビールの好みとワインの好みを調査した場合には、ビールの好みをクラスター分析して、ワインの好みをクラスター分析して、そしてのその両者をクロス集計して相関関係の有無を検証する。色々と深掘りする技はありそうだ。

ハードクラスターとソフトクラスタ
いわゆるウォード法はハードクラスターという。一方、ハードクラスターでは解析しにくいものにも対応できるのがソフトクラスターだ。例えば、下のデータのように明らかに2つの相関関係が組み合わされたデータはハードクラスターではうまくいかなくても、ソフトクラスターでは右と左に分けて、それぞれのクラスター分析をできる。また、ハードクラスターでは一つのデータはいずれかの群衆に属するという前提だが、別に複数の群衆にぞくしてもいいんじゃないというファジークラスターもあるという。つまり、自分の4割はA、3割はB、残る3割はCに属するというようなマルチラベルの考え方だ。面白い。
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 出典:実践:Soft K-means法 | teqニカルブログ

GGPLOTS2
レイヤー化の技術を活用して綺麗なプロットが可能なのがGGPlots2だ。GGPlots2では授業ではあまり扱わないようだがRの機能の延長として学べるだろうか。非常に見栄えが良いので、独学でも良いので、ちょっと使ってみたい。
www.youtube.com

まとめ
ビジネスデータ分析では、理解することと活用することが大事だ。前者の理解するは、理屈や手法やノウハウを理解することだ。一方、活用するには実戦しかない。授業ではR及びRStudioを活用している。考え方を理解して、Rstudioで実践することができれば、これからのデータ分析の大きな力になるだろう。がんばろう。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

コミュマネ論:Twitterのフォロワー500人ゲットが課題

はじめに
MBAの授業でコミュニケーションマネジメント論を選択した。その時に評価基準の一つとしてSNSの有効活用に100点中40点を配分することと、TwitterもしくはInstagramのフォロワーが500を超えたら満点の40点をつけるという説明があった。インスタグラムは写真のセンスが必要なのでとても無理だ。自分はTwitterで目標達成を目指すことにした。

Twitterの利用状況
先月(9月)26日時点での自分のSNSの利用状況はTwitterに関して言えば、101のフォローに対して、フォロワーはわずか16だ。ほぼ何もしていない状況だった。この16をどうすれば500まで増やすことができるのだろう。

Twitterのフォロワーの増やし方
(1) 有名人に聞く

 某大学の某教授でTwitterを積極的に利用されている人がいて、直接会話する機会があったので、フォロワーの増やし方を聞いてみた。その方からは、炎上するような過激なことをかけばすぐにフォロワーが増える。でも、そのあとが厄介だよとのこと。うーん。後で困るのも嫌だなあ。

(2) 息子に聞く
 学校でこんな宿題がでた。きついと思わない?と聞くと「思わない」という冷静な回答。息子は高校2年生の時にはフォロワーが1500人いたという。まじですか。某有名私立校の生徒はほぼ自分のフォロワーだったらしい。たいしたものだ。でも、親父のプライドもあり、あまり詳しくは聞けない。うーん。

(3) Google先生に聞く
 やはり最後に頼りになるのはGoogle先生だ。色々とぐぐると良いことが書いている。安易にフォロワーを買わない。自分が勝てる分野を見つけて、ターゲットを定めて、毎日ツイートする。こんな感じなアドバイスが骨子だった。また、フォローをすると、フォロワーになってくれる人が一定数いる。
 出典:ツイッターのフォロワーを0から9000人まで増やすコツ34を解説

Twitter大作戦
色々と調べて作戦を練った。と言ってもシンプルだ。まずは、ターゲットを絞って、その分野に興味を持っているような人を集中的にフォローしていく。そして、その分野のことを集中的に投稿する。例えば、ゴルフならゴルフに興味がありそうな人をフォローしていく。そして、ゴルフの話題について投稿する。それが一巡したら、社会的な課題とか、エストニアとか、ベーシックインカムとか、アイドルとか。

Twitterのフォロワーの伸び具合
左下がフォロー数で2000を超えた。これと同じような軌跡で左上のフォロワー数は460を超えた。目標の500まではあと少しだ。右下が新規フォロー数で右上が新規フォロワー数だ。形がよく似ている。これは高い相関関係がありそうだ。
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新規フォロー数と新規フォロワー数の相関関係
この2つを散布図にすると高い相関関係を示す。きれいな右上傾向だ。相関係数(重相関R)が0.91とある。これは高い相関関係だ。というよりも、因果関係だ。新規にフォローをすると、フォローされた人のうち一定数はフォローを返してくれる。つまりフォロワーになってくれる。しかし、これはどちらかというと、タコを走りながら飛ばすような力技だ。タコの力で飛ばすようにしたい。
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FF比とは
Twitterで人気サイトがどうかの目安にされるパラメータにFF比がある。これは、フォロー数とフォロワー数の比だ。人気サイトは、このFF比が大きい。逆にFF比が大きいことは人気のあるアカウントとみられる。しかし、力技でフォロワー数を伸ばしてきた自分のアカウントのFF比は0.2だ。目安だけど、一般にフォロワーを獲得したい場合は、FF比として2が目標だ。少なくとも0.7以上にはしたい。また、あまりFF比が下がるとTwitter側から追加のフォローを規制されたりする。まずはFF比を0.7以上に持っていきたい。
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 出典:https://blog.whotwi.com/entry/2017/06/21/090715

FF比を0.7にする方法
第一の方法はフォロー数を削減することだ。フォロワー数を600とすると、フォロー数は857だ。フォロワー数は1000とすると、1428だ。現在2000なので、まずは500ほどを削減して、様子を見ることにしよう。実際、あまり考えずにフォローしたアカウントも多いので、精算が必要かもしれない。第二の方法はフォロワー数を増やすことだ。仮に現状のフォロー数でもフォロワーが1500まで増えればFF率は0.7を超える。

フォロワー数を増やす王道
王道はフォロワー数を増やすことだろう。そのためには、コンテンツを良くする。自分の場合には、ブログのサイトを引用することが多い。自分がTwitterで投稿した中で一番バズったのは次のベーシックインカムネタだ。インプレッションは驚異の27,457件。そのうち590人が反応し、404人がクリックし、58人がプロフィールを確認し、33人がいいねして、14人がリツイートした。きれいな確率行動と見て取れる。
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 出典:https://twitter.com/LuckyOcean8

バズる方法
コミュマネ論では、やはり時事ネタがバズりやすいという。今ならラグビーネタや、災害ネタだ。まあ、便乗商法のようなもの。ただ、その中でも単に相乗りするのではなく、やはり自分らしさをそこにプラスして、読み手に価値のある投稿を心がけたい。

ブログとTwitterとFB
ブログは一応匿名でやっていて、FBは実名だ。したがって、この2つのサイトのユーザ領域は全く違っている。これまでもたまにFBのネタをTwitterで投稿したことはあるけど少なかった。今回の課題対応のためにTwitterでブログネタを喚起するような投稿を頻繁に行っているので、Twitterとブログの領域はかなり重なっている。この作戦はこれからもしばらくは継続することにしよう。

まとめ
コミュマネの最後の授業は11月7日の予定だ。フォロワー数は確実に500を超えておきたいけど、FF率を高めようと、非アクティブのアカウントへのフォローを取り消すと、その一定数がフォロワーが解除されていた。昨日には一時期504まで増えたのに、本日(10/17)時点では480まで減少した。フォロー数の取り消しを進めるよりは、Twitterを見てくれる人にとって興味深い内容を投稿できるように心がけた方が良さそうだ。
以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。もし、まだフォロワーになっていない方はぜひフォローしてください(笑)。
https://twitter.com/LuckyOcean8

コミュマネ論#3を受講して

はじめに
コミュニケーションマネジメント論の第3回目の講義を受けた。浦上教授は軽やかなステップで登場。今日も元気だ。今日のテーマはブランディング。広告や宣伝をするのもブランディングの価値を高めることが主な目的だ。豊富な事例を交えたトークは止まることがない。面白い。

ノーベル化学賞
今週のトップニュースはなんといっても、ノーベル化学賞を受賞した吉野彰旭化成名誉フェローだろう。旭化成の株価は上昇。名城大学のブランド価値も向上。ノーベル賞の受賞が決まるのが夜の20時ごろだが、その後にテレビの生放送にも出演し、翌朝のテレビにも出演し、大活躍の24時間だ。今回の特徴は受賞者の吉野さんが71歳と比較的若く元気だったことと、スマホの電池など一般の人にも理解しやすい点だろう。いずれにしてもおめでとうございました。
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 出典:吉野彰教授がノーベル化学賞を受賞 | ニュース | 名城大学

食べログへの掲載禁止
外食するときにどこのお店を予約するかを決めるときには、どうしても食べログなどの口コミや評価をチェックしてします。口コミ数が多いお店は大丈夫だけど、口コミ数が少ない時は要注意だ。やたらに褒めているものや、逆にやたらに辛口の者が目につくことがある。これらは素朴な客のかきこみと言うよりは、なんらかの意志を持った人の書き込みではないかと感じることがある。「自ら神のごとき口コミに迷惑」と考える千葉の九州料理店が食べログの一部の利用者に入店拒否を宣言した。下のようなものだ。店主は、「事実無根な書き込みが多くてとても困っていた」と話したと言う。味だけではなく、店主の容姿など関係のないことにも誹謗されたようだ。
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 出典:https://www.j-cast.com/2019/10/03369226.html?p=all

オセロチャンピオン
2018年10月12日にチェコの首都プラハでは第42回の世界オセロ選手権開催され、横浜の小学5年生の福地啓介くんが優勝した。すごい快挙だ。しかも、歴代最年少記録を更新した。このため、日本に向けてのフライトでは、機長からこのフライトには、「オセロの世界チャンピオンにこの飛行機をご利用いただいています。」とアナウンスが流れた。これだけでも乗客は大興奮だけど、まだ続きがあった。この福地くんが更新する歴代世界最年少記録を有したいたのが機長自身だった。1982年に15歳で優勝したが、今回それが11歳に更新したのだ。乗客はそのアナウンスを聞いて大興奮。しかし、これは完全な偶然ではなかった。なぜかと言えば、福地くんが優勝したことを聞いたANAは最年少記録を有するパイロットに搭乗を命じた。つまり、これはある種仕組まれた素敵な演出だったのだ。
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 出典:https://www.asahi.com/articles/ASLBJ35WRLBJUTIL004.html

バイクの墓跡
下の写真はKawasaki「ZXR」だ。しかも墓跡としてのバイクだ。これはどう言うことかと言えば、バイク事故で息子をなくした母親やバイク仲間の想いが結集した墓跡だ。2000年に建立されたが、墓仕舞いすることになり、それを聞いた大阪石材の店長が遺族と相談して、店に展示することになった。なので、この写真の場所はお寺ではなく、石材店の店舗だ。このバイクの墓跡に対するリツイートは3万件を超えていると言う。それほどの反響があるとは誰も想像していなかっただろう。
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 出典:バイク事故で急逝した息子へ 母が贈った石のバイク 制作者の思いは - withnews(ウィズニュース)

高知の財布
女性に人気の財布のブランドはなんでしょう?ある調査によるとコーチのシグネチャーやレガシー レザー、マディソン ギャザード ツイストなどが人気だと言う。これはCoachのブランドだ。そして、これをもじったのだろうか。高知の財布も人気だ。しかも、これがかっこいい。この高知ブランドの財布がブレイクしたのは2018年8月だ。お笑いコンビのNON STYLE石田明さんが、「COACHや思ったら高知やった」とTwitterしたのがきっかけで社会現象になったものだ。なんと、いいねは18万、リツイートは3万件だ。販売を始めた8月は3日に1個程度だったものが、石田さんの投稿でブレイクした。一時期は品薄で製造待ちだったが、今はAmazonで4800円で販売している。
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 出典:https://kochi.fashionstore.jp/items/14053706

静岡弁当
2017年10月26日にTwitterに投稿されたのが、下の写真だ。美味しそうな弁当だ。値段も650円。普通の弁当だ。しかし、この投稿がバズった。リツイートは1万7千件、いいねは2万1千件を超えた。何に反応したのだろう。それはこのラベルだ。「インスタ映えを狙ったお弁当」と言うネーミングがばずったと言うことだ。なお、このお弁当を販売しているのは、静岡弁当だ。40年以上継ぎ足しているタレで肉を焼いた「あみ焼き弁当」が有名だ。
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 出典:「インスタ映え弁当」静岡で発売 でも明らかにTwitter映えしてる… - withnews(ウィズニュース)

10万PVが目標
図書だと2万冊も売れればかなり立派だと言う。記事だと10万PVなら立派だ。このPVはページビューの略だ。ビギナーでは月間3000PVを超えるのは結構むずかしいが、仮に3000PVでも稼げるのは1000円ほどだ。月間で10万PVなら月間で3万円ほどはマネタイズできるレベルだと言う。月間300万PVを叩き出せればプロだ。ヒカキンはYouTuberだけど神のレベルだろうか。
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 出典:https://amatou-papa.com/100-thousand-pv-achieved/

広報の目的
広告と広報の違いはなんだろう。広告とは有料ベースだけど、広報は基本無料で情報を配る。しかし、これにも裏があると言う。例えば、ダイソン はユニークな形の掃除機や空気清浄機で好調だけど、ダイソン は記者に対して無料利用の機器を配って使ってもらって、記事にしてもらう。なので、ダイソン の機器に溢れた記者も珍しくないと言う。

課題の確認
参加者を3つのグループに分けた。自分たちのグループはラグビーのプロリーグ化の発表だ。W杯ラグビーの決勝戦は11月2日だ。日本がベスト4に残ったことを想定し、その余韻冷めやらぬ翌日の11月3日の午前11時にプレスリリースを行う。スケールの大きな話なので、プレスルームには数十人の記者が集まったと想定する。

役割分担
自分たちのグループには4名の個性的なメンバーがいる。パワポの得意な人、ラグビーを現役で楽しんでいる人もいる。そこで、パワポの得意な人にはパワポの資料を磨いてもらう。自分はプレスリリースのドラフトを作成する。がたいのでかい人がラグビー協会の会長、現役の人はパフォーマー。そんな役割分担だ。仮にA、B、Cグループとすると、来週17日に発表するのがAグループ、自分たちBグループは24日、Cグループが31日の予定だ。発表したグループはそのレビューを作成し、聞くグループは記者として記事を作成して、日曜日までに作成して展開する。

まとめ
プレスリリースの作成や発表がついに来週から始まる。Twitterもフォロワーを500人まで増やす必要がある。受講は面白いし、バズワードも色々と出てきて楽しい。次回も楽しみだ。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

地域貢献論#3(熱海実習)を受講して

はじめに
昨日に続いて地域貢献ビジネス論。チャーミングな大久保あかね教授のイベント的な熱海での講義だ。つまり、富士市(吉原)や伊豆市(修善寺)そして熱海市(熱海)の地域の活性化に尽力し、貢献した第一人者の3名を講師としてお願いして、どのように地域社会の問題を解決したかを学んだ。

講師の3名
最初の講師は富士山まちづくり株式会社の代表取締役佐野壮一さん、二人目は特定非営利活動法人NPOサプライズ代表理事内閣府地域活性化伝道師飯倉清太さん、三人目は株式会社machimori代表取締役の市来広一郎さんだ。市来さんが40歳台、飯倉さんが50歳台、佐野さんが60歳台とほぼ10年離れているのも面白い。大久保先生は30歳台に見えるが、3名ともあかね先生とは盟友のような関係なので、MBAの生徒に話を聞かせたいので、講演よろしくとお願いされると断れない長い付き合いのようだ(笑)。

マルチタイトル
今回登壇いただく先生方はそれぞれNPOを立ち上げたり、株式会社を立ち上げたり、大学の客員教授をしていたりとマルチタレントな方々だ。素晴らしい、講演後に、受講生から、一歩を踏み出す勇気はどこから出たのですか?という質問に対して、身の丈にあったチャレンジ、小さな一歩から初めて、少しづつそれを広げて大きくしていく。そんな回答だったように感じる。

ビジネス形態
登壇いただいた先生方は、奇しくも最初にNPOを立ち上げて、その後株式会社を立ち上げている。その点について質問があると、人を集めるならNPOが向いているし、金を集めるなら株式会社が向いている。最近は一般社団法人が増えているため、NPOは減少傾向にあり、もしかするとブルーオーシャンかもしれない。何れにせよどのような法人組織にするかは、事業規模や事業の目的と自由度を考慮して、最適なものにすべきが結論だろうか。
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 出典:https://www.onoyama-cpa.com/column/management/788/

地域貢献ビジネスはまだ1合目
市来先生に、熱海の復興は富士山の登山になぞらえると何号目でしょうかと質問すると、まだ1号目だという回答だった。謙虚であり、アグレッシブである。熱海の街は2011年ごろが宿泊数では最低だったようだ。そして、観光客の復活の手応えを感じたのはいつ頃かと商店街の店長やタクシーの運転手に聞くが、2年前ぐらいからかなあという回答だった。あるお店では今がピークと回答されたが、本当はそうではなく、今が過去最高というべきだろう。熱海銀座にも人通りがかなり増えている。しかし熱海銀座にもシャッターを閉めた店舗はあるし、熱海銀座を一歩離れると廃墟と貸した家屋も多い。まだまだ、本当の復活はこれからだ。

興味深いトピック
3名の先生の講演内容はサマライズするには広範囲すぎる。ここでは、特に興味深かった点を整理しておきたい。

佐野壮一代表取締役
仕事のスタンスとして、やるべき仕事とお断りする仕事は選別されているという。しかし、それは佐野さんのこれまでの実績の自負の裏返しのように思う。基本的な事業は駐車場だ。佐野さんを突き動かしているのは大きな意味での使命感だろう。15年前にNPOを立ち上げて、さらにそれが軌道に乗ると新しいことをチャレンジすべく5年前に株式会社を立ち上げた。富士市では10年で50の工場が閉鎖した。衰退していく地域をなんとかしたい。最初は親から受け継いだ駐車場ビジネスだったけど、空きビルの活性化なども進められている。ケータイ教室の講師として、富士市の元吉原小学校を訪れたことがあるが、駅前のホテルの屋上や災害時の避難台から富士山がよく見えたことを覚えている。
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 出典:https://www.machigenki.go.jp/index.php/116/k-1700

飯倉清太代表理事
事前のサーベイでも一番実態を捕まえにくい人物だった。しかし、その本質は困っている人から助けて欲しいと相談を受けるとなんとか解決する実行力だと思った。自発的な人と他発的な人がいるが、飯倉さんは他発的ではない。自発的だけど、それだけでもない。あえて言えばターボ型だ。つまり、自らが発するエネルギーを受けて、他者からフィードバックや依頼があると、それをエネルギーとしてパワーアップする。そんなタイプの人間のような気がする。また、本人としては誹謗中傷を受けることもないという。その秘訣は社会貢献的なことをしているから批判しにくいのだろうと分析されていた。ちなみに、飯倉さんは、商売を広げようと躍起になって頑張るよりも、社会貢献をして、ブランドイメージを高めることで結果的に商売が広がることを体験された。この体験がその後の社会ビジネスの推進力になっているようだ。生コンプラントの跡地の再利用を相談された。皆さんならどう活用するかを聞かれた。自分だと、ドローンの教習場かなあと答えた。飯倉さんはここに12の住居とオフィスを集約したソーシャルアパートを構想した。移住は簡単だけど居住は難しい。そこで稼いで生活しなければならない。飯倉さんのビジネスセンスは秀逸だ。事業を開始するにあたっては、うまくいかないという反対がいろいろあったが、第一号として自分が入居すると宣言した。そして、12の業種は被らないこと、飲食業ではないこと、明確に事業コンセプトを持っていることなどの条件を課した。また、家賃は13万円だけど、視察への受け入れに協力すること、ビジネスマッチングに協力すること、地域からの講師の要請に応えることを条件として課して、それを条件として家賃を3万円値引いた。最初に要件を示しているので入居後のトラブルはないという。素晴らしい。また、10万円の家賃を払えるその業界のプロがくるのでシナジー効果も高いという。
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 出典:https://www.projectdesign.jp/201610/project-nippon/003197.php

市来広一朗さん
詳しくは熱海の奇跡に書かれていて、その内容は以前の講義のメモにも記したので省略するが、その進め方が非常に現実的だ。本人曰く平和主義で争わないというが、それは戦わないという意味ではない。強い信念を持って熱海の復活のために熱海に戻ってきたので、その目的がぶれることはない。その進め方が素晴らしい。つまり、まずは熱海の魅力を熱海の住民が再認識することから始めた。熱海が魅力的かという質問に対して、外部は26%、外部からの移住者は18%しかネガティブな反応を示していないのに、熱海の住民が43%もネガティブな反応を示した。熱海の人が熱海の魅力を知らないでどうする。市来さんはここから始めた。現在では熱海の住民の70%が肯定的だ。外部の86%や移住者の90%に比べると少ないがそれでも大きな改善だ。また、三島由紀夫が通っていたというボンネットという喫茶店も再発見した。マスターは90歳の高齢だけどまだ現役だ。素晴らしい。
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 出典:http://izukero.com/atami-bonnet/

やってほしいこと&やりたいこと&やれること
飯倉さんに質問した。いろいろなことを実行するその原動力は何でしょうか?答えは求められることをやった。それだけを聞くと受動的な人間のように聞こえるが、飯倉さんは単に言われたことをやる人ではない。自発的か他発的かといえば自発的だ。しかし、単なる自発的ではない。誰かから求められたことをその期待を超えて実践する能力のある人だ。しかも、自分自身でもやりたいことがいっぱいある。つまり、下の図で言えば、やってほしいこととやりたいこととやれることの丸が大きくて、その重なっている部分が非常に大きい。そんなスケールの大きな人だと思った。これって非常に難しいことだし、目指したいことだと思う。
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 出典:https://www.isid.co.jp/positive/column/hrd/05.html


まとめ
熱海の街の魅力は深い。江戸時代からの湯治として、明治時代の別荘地、そして昭和の観光地として輝いたという歴史がある。したがって街を歩くと歴史を感じる部分があるし、新しく変わった部分もある。熱海銀座を歩くと可愛い店がある一方で、大人のための劇場やお店がある。山の上に神社がある一方でビーチがある。熱海の魅力はこのような懐の深さや多様性ではないかと思う。あと、どん底を味わって復活した街なので、街の人が優しいし、謙虚で温かい。古き良き日本人の良さを感じる。熱海は何回来ても新たな魅力を見つけることができるような味わい深い街だし、その魅力を多くの人にも知って欲しいと思う。

以上

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

地域貢献論#2を受講して

はじめに
大久保あかね先生の地域貢献論#2を受講した。やはり面白い。土曜日に3科目は厳しいけどその価値はある。今回も社会的な問題をビジネスで解決することの必要性と重要性と効果を事例を交えて説明いただいた。非常にわかりやすいし、本当に素晴らしい取り組みだと感心した。その一部をまとめてみます。

マイケルポータのTED
なぜビジネスが社会問題の解決に役立つのかをマイケルポータが端的に講演している。100ページの本を読むより、16分の動画を見る方がよほど理解できると言う。確かにわかりやすい。ポイントはスケールだ。社会貢献を政府や自治体に任せるのではなく、WIN-WINのビジネスとして展開して、好循環が出来上がると社会問題が嘘のように解決するのかもしれない。
 出典:www.ted.com

社会貢献がビジネスになるのか
大久保あかね先生は、動画の後にいくつかの事例を紹介してくれた。4つの事例を用意してくれた。どれも興味深いけど、特に、興味深かった葉っぱビジネスを紹介したい。

事例:横石知二さんのチャレンジ
株式会社いろどりの代表取締役横石知二さんは、ビジネスとは仕事を作ることと言う。しかし、どうでも良い仕事を作って強制させるのではない。消費者も喜び、働く人も喜び、その家族も喜ぶそんな社会を実現するような仕事を作ることだ。株式会社いろどりは、人口約2000人の小さな四国の徳島県上勝町の会社だ。高級料亭に料理のつまに使う葉っぱを提供する企業だ。その売り上げは年間2億6千万円に達すると言う。
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 出典:https://www.hitachi-solutions.co.jp/column/samurai/feature/44/

みかんが壊滅的な被害を受ける
四国の小さな町だ。主な収入源はみかん。しかし、天候にも左右するし、これを支える農家の高齢化も進む。子供達は地元の中学を出るとすぐに都会に転出する。そして決定的だったのは1981年2月の大寒波だ。零下13度と言う記録的な寒波が日本を襲い、上勝町の収入源だったみかんの木が軒並み凍ってしまった。これを再生するには20-30年と言う期間がいるが、高齢化が進む農家の人たちにはその気力はない。もう諦めるしかないのか。そんな絶望感が広がっていた。
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 出典:寒波 - Wikipedia

葉っぱビジネス
上勝町を立て直すには、短期間で収益が上がるビジネスを立ち上げる必要がある。その頃農協にいた横石知二さんが奮闘するが、簡単にそんなビジネスがあるわけではない。でも、そんな熱意と使命感で必死になっている時にはふとしたことがヒントになることがある。東京から来た女の子が綺麗な葉っぱを見て大事そうにお土産に持って帰るのを見た。もしかすると、上勝町ではゴミのような葉っぱも利用価値があるのではないかと考えた横石さんはマーケティングを始める。事業を始める前のリサーチだけど、ほとんどの人はここで挫折する。しかし、横石さんは満身創痍になりながらも都心の料亭が使う「つま」なら価値が高いと鉱脈を見つけた。しかし、単なる葉っぱではダメだ。
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 出典;株式会社いろどり - 映画 人生、いろどり関連情報

KFS
葉っぱビジネスが成り立つ条件がある。それは、先行性だ。つまり、秋の紅葉の時期に紅葉の葉っぱを販売しても価値がない。そうではなく、そろそろ紅葉の時期が始まるなあと言う時期に紅葉の葉っぱを添えて料理を出す。そうすると料亭の客は、近くなる紅葉の時期に思いをめぐらして、楽しいひとときになる。では具体的にはどれぐらい前かと言うとズバリ45日前だと言う。そのために、いち早く紅葉させる技術やそれを集めて、届ける技術が重要となる。それを担うのは地元のおばちゃんたちだ。
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 出典:https://www.projectdesign.jp/201510/pn-tokushima/002488.php

孫にお小遣いをあげる喜び
記録的な寒波でみかんの木が壊滅的な被害を受けた時に、多くのおじいちゃん達は元気を失ったと言う。口に出るのは愚痴ばかり。でも、そんな時に四人のおばちゃんが横石さんの提案に「そこまで言うならやってみようか」と協力してくれた。やはり逆境に強いのは女性だ。しかし、横石さんも只者ではない。上勝町は代々のみかん農家が多く、その実権は家長である男性が握っている。嫁には権限はない。しかし、農家を支えるには強くなければ生きていけない。横石さんはそんなおばちゃん達の芯の強い気性を熟知していた。なので、マーケットから注文がくるとメンバーにFAXをする。FAXをみたおばちゃんのうち最初に電話をしてくれた人に決まる。早い者勝ちだ。そして、その日時の実績をメンバー全員に展開する。そうするとやはり負けてはいられないと気合が入る。今では、そんなおばちゃん達はタブレットを駆使して注文に応じる。素晴らしい。
 出典:www.youtube.com

生きる喜び
そんな彼女達の喜びは子供や孫にお小遣いをあげることだ。マーケットリサーチのために東京の料亭に行って、孫達にご馳走しながらお小遣いをあげることができたら、そんなおばあちゃんはかっこいい。何より本人が嬉しいだろうと思う。子供や孫に囲まれて、尊敬されて、喜んでもらえて、そして何より自分たちが丹精を込めて集めた葉っぱが料亭で使われて、それを喜ぶお客様がいる。こう言うビジネスは確かに社会の問題を解決するだろう。実際、この上勝町の人たちは健康で元気だ。そりゃそうだろう。そして、その結果として医療費も全国で最低レベルだと言う。老人ホームビジネスは破綻しても、年収1,000万円のおばあちゃん達は元気だ。
 出典:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=295608

御手洗瑞子さんの事例
今回は上勝町の事例だけを報告したが、これだけではない。気仙沼でニットビジネスを立ち上げた御手洗瑞子さんの事例も非常に興味深かった。東日本大震災で壊滅的な被害を受けた気仙沼を訪問した御手洗さんが、ここを救うには地元の人たちが生き生きと働けるビジネスが必要と模索して、考えたのがニットビジネスだ。漁師の町なので、糸と針を使う土壌がある。簡単なニットを編むバザーを企画して、参加者のスキルを見極めて、目に叶った人を選別する。デザインは一流のデザイナーに依頼する。生地は100%純粋ウール。良いウールは軽くて暖かい。なので、高い価格を設定できる。15万円のセータでも注文は半年待ちだと言う。でも、その待つ時間も無駄にはしない。注文した人に、今ここまで出来ていますよ♬クリスマスまでには届きますよとタイムリーに報告をする。期待値も上がるし、それを着てどこに行こうかと考えたりする時間も幸せだ。そんな幸せな時間を広げるのが御手洗瑞子さんのすごさかもしれない。
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 出典:https://cakes.mu/posts/10741

CISV
そんな御手洗瑞子さんと大久保あかねさんの共通点がCISVインターナショナル(旧チルドレンズインターナショナルサマービレッジ)だ。1951年にドリストゥイッチェルアレンによって設立され、より公正で平和な世界のために行動を教育し、鼓舞することを目指している。毎年、国際教育プログラムを運営し、加盟国からの参加者を集めています。 基本11歳の子供達だ。大久保先生は小学校5年生の時に参加した。多感な小学校5年生で海外の子供達と直接コミュニケーションする機会を得ることは、その後の人生観や人格形成に大きな影響を与えないはずがない。魅力的なあかね先生の原点はもしかしたらCISVなのかもしれない。
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 出典:Education – CISV Saskatoon

まとめ
今日は熱海だ。肉離れになったのは悲しいが、なんとかいけそうだ。楽しみにしています。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。