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地域貢献論#2を受講して

はじめに
大久保あかね先生の地域貢献論#2を受講した。やはり面白い。土曜日に3科目は厳しいけどその価値はある。今回も社会的な問題をビジネスで解決することの必要性と重要性と効果を事例を交えて説明いただいた。非常にわかりやすいし、本当に素晴らしい取り組みだと感心した。その一部をまとめてみます。

マイケルポータのTED
なぜビジネスが社会問題の解決に役立つのかをマイケルポータが端的に講演している。100ページの本を読むより、16分の動画を見る方がよほど理解できると言う。確かにわかりやすい。ポイントはスケールだ。社会貢献を政府や自治体に任せるのではなく、WIN-WINのビジネスとして展開して、好循環が出来上がると社会問題が嘘のように解決するのかもしれない。
 出典:www.ted.com

社会貢献がビジネスになるのか
大久保あかね先生は、動画の後にいくつかの事例を紹介してくれた。4つの事例を用意してくれた。どれも興味深いけど、特に、興味深かった葉っぱビジネスを紹介したい。

事例:横石知二さんのチャレンジ
株式会社いろどりの代表取締役横石知二さんは、ビジネスとは仕事を作ることと言う。しかし、どうでも良い仕事を作って強制させるのではない。消費者も喜び、働く人も喜び、その家族も喜ぶそんな社会を実現するような仕事を作ることだ。株式会社いろどりは、人口約2000人の小さな四国の徳島県上勝町の会社だ。高級料亭に料理のつまに使う葉っぱを提供する企業だ。その売り上げは年間2億6千万円に達すると言う。
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 出典:https://www.hitachi-solutions.co.jp/column/samurai/feature/44/

みかんが壊滅的な被害を受ける
四国の小さな町だ。主な収入源はみかん。しかし、天候にも左右するし、これを支える農家の高齢化も進む。子供達は地元の中学を出るとすぐに都会に転出する。そして決定的だったのは1981年2月の大寒波だ。零下13度と言う記録的な寒波が日本を襲い、上勝町の収入源だったみかんの木が軒並み凍ってしまった。これを再生するには20-30年と言う期間がいるが、高齢化が進む農家の人たちにはその気力はない。もう諦めるしかないのか。そんな絶望感が広がっていた。
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 出典:寒波 - Wikipedia

葉っぱビジネス
上勝町を立て直すには、短期間で収益が上がるビジネスを立ち上げる必要がある。その頃農協にいた横石知二さんが奮闘するが、簡単にそんなビジネスがあるわけではない。でも、そんな熱意と使命感で必死になっている時にはふとしたことがヒントになることがある。東京から来た女の子が綺麗な葉っぱを見て大事そうにお土産に持って帰るのを見た。もしかすると、上勝町ではゴミのような葉っぱも利用価値があるのではないかと考えた横石さんはマーケティングを始める。事業を始める前のリサーチだけど、ほとんどの人はここで挫折する。しかし、横石さんは満身創痍になりながらも都心の料亭が使う「つま」なら価値が高いと鉱脈を見つけた。しかし、単なる葉っぱではダメだ。
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 出典;株式会社いろどり - 映画 人生、いろどり関連情報

KFS
葉っぱビジネスが成り立つ条件がある。それは、先行性だ。つまり、秋の紅葉の時期に紅葉の葉っぱを販売しても価値がない。そうではなく、そろそろ紅葉の時期が始まるなあと言う時期に紅葉の葉っぱを添えて料理を出す。そうすると料亭の客は、近くなる紅葉の時期に思いをめぐらして、楽しいひとときになる。では具体的にはどれぐらい前かと言うとズバリ45日前だと言う。そのために、いち早く紅葉させる技術やそれを集めて、届ける技術が重要となる。それを担うのは地元のおばちゃんたちだ。
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 出典:https://www.projectdesign.jp/201510/pn-tokushima/002488.php

孫にお小遣いをあげる喜び
記録的な寒波でみかんの木が壊滅的な被害を受けた時に、多くのおじいちゃん達は元気を失ったと言う。口に出るのは愚痴ばかり。でも、そんな時に四人のおばちゃんが横石さんの提案に「そこまで言うならやってみようか」と協力してくれた。やはり逆境に強いのは女性だ。しかし、横石さんも只者ではない。上勝町は代々のみかん農家が多く、その実権は家長である男性が握っている。嫁には権限はない。しかし、農家を支えるには強くなければ生きていけない。横石さんはそんなおばちゃん達の芯の強い気性を熟知していた。なので、マーケットから注文がくるとメンバーにFAXをする。FAXをみたおばちゃんのうち最初に電話をしてくれた人に決まる。早い者勝ちだ。そして、その日時の実績をメンバー全員に展開する。そうするとやはり負けてはいられないと気合が入る。今では、そんなおばちゃん達はタブレットを駆使して注文に応じる。素晴らしい。
 出典:www.youtube.com

生きる喜び
そんな彼女達の喜びは子供や孫にお小遣いをあげることだ。マーケットリサーチのために東京の料亭に行って、孫達にご馳走しながらお小遣いをあげることができたら、そんなおばあちゃんはかっこいい。何より本人が嬉しいだろうと思う。子供や孫に囲まれて、尊敬されて、喜んでもらえて、そして何より自分たちが丹精を込めて集めた葉っぱが料亭で使われて、それを喜ぶお客様がいる。こう言うビジネスは確かに社会の問題を解決するだろう。実際、この上勝町の人たちは健康で元気だ。そりゃそうだろう。そして、その結果として医療費も全国で最低レベルだと言う。老人ホームビジネスは破綻しても、年収1,000万円のおばあちゃん達は元気だ。
 出典:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=295608

御手洗瑞子さんの事例
今回は上勝町の事例だけを報告したが、これだけではない。気仙沼でニットビジネスを立ち上げた御手洗瑞子さんの事例も非常に興味深かった。東日本大震災で壊滅的な被害を受けた気仙沼を訪問した御手洗さんが、ここを救うには地元の人たちが生き生きと働けるビジネスが必要と模索して、考えたのがニットビジネスだ。漁師の町なので、糸と針を使う土壌がある。簡単なニットを編むバザーを企画して、参加者のスキルを見極めて、目に叶った人を選別する。デザインは一流のデザイナーに依頼する。生地は100%純粋ウール。良いウールは軽くて暖かい。なので、高い価格を設定できる。15万円のセータでも注文は半年待ちだと言う。でも、その待つ時間も無駄にはしない。注文した人に、今ここまで出来ていますよ♬クリスマスまでには届きますよとタイムリーに報告をする。期待値も上がるし、それを着てどこに行こうかと考えたりする時間も幸せだ。そんな幸せな時間を広げるのが御手洗瑞子さんのすごさかもしれない。
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 出典:https://cakes.mu/posts/10741

CISV
そんな御手洗瑞子さんと大久保あかねさんの共通点がCISVインターナショナル(旧チルドレンズインターナショナルサマービレッジ)だ。1951年にドリストゥイッチェルアレンによって設立され、より公正で平和な世界のために行動を教育し、鼓舞することを目指している。毎年、国際教育プログラムを運営し、加盟国からの参加者を集めています。 基本11歳の子供達だ。大久保先生は小学校5年生の時に参加した。多感な小学校5年生で海外の子供達と直接コミュニケーションする機会を得ることは、その後の人生観や人格形成に大きな影響を与えないはずがない。魅力的なあかね先生の原点はもしかしたらCISVなのかもしれない。
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 出典:Education – CISV Saskatoon

まとめ
今日は熱海だ。肉離れになったのは悲しいが、なんとかいけそうだ。楽しみにしています。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。