LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

地域貢献論#3(熱海実習)を受講して

はじめに
昨日に続いて地域貢献ビジネス論。チャーミングな大久保あかね教授のイベント的な熱海での講義だ。つまり、富士市(吉原)や伊豆市(修善寺)そして熱海市(熱海)の地域の活性化に尽力し、貢献した第一人者の3名を講師としてお願いして、どのように地域社会の問題を解決したかを学んだ。

講師の3名
最初の講師は富士山まちづくり株式会社の代表取締役佐野壮一さん、二人目は特定非営利活動法人NPOサプライズ代表理事内閣府地域活性化伝道師飯倉清太さん、三人目は株式会社machimori代表取締役の市来広一郎さんだ。市来さんが40歳台、飯倉さんが50歳台、佐野さんが60歳台とほぼ10年離れているのも面白い。大久保先生は30歳台に見えるが、3名ともあかね先生とは盟友のような関係なので、MBAの生徒に話を聞かせたいので、講演よろしくとお願いされると断れない長い付き合いのようだ(笑)。

マルチタイトル
今回登壇いただく先生方はそれぞれNPOを立ち上げたり、株式会社を立ち上げたり、大学の客員教授をしていたりとマルチタレントな方々だ。素晴らしい、講演後に、受講生から、一歩を踏み出す勇気はどこから出たのですか?という質問に対して、身の丈にあったチャレンジ、小さな一歩から初めて、少しづつそれを広げて大きくしていく。そんな回答だったように感じる。

ビジネス形態
登壇いただいた先生方は、奇しくも最初にNPOを立ち上げて、その後株式会社を立ち上げている。その点について質問があると、人を集めるならNPOが向いているし、金を集めるなら株式会社が向いている。最近は一般社団法人が増えているため、NPOは減少傾向にあり、もしかするとブルーオーシャンかもしれない。何れにせよどのような法人組織にするかは、事業規模や事業の目的と自由度を考慮して、最適なものにすべきが結論だろうか。
f:id:hiroshi-kizaki:20191006182040g:plain
 出典:https://www.onoyama-cpa.com/column/management/788/

地域貢献ビジネスはまだ1合目
市来先生に、熱海の復興は富士山の登山になぞらえると何号目でしょうかと質問すると、まだ1号目だという回答だった。謙虚であり、アグレッシブである。熱海の街は2011年ごろが宿泊数では最低だったようだ。そして、観光客の復活の手応えを感じたのはいつ頃かと商店街の店長やタクシーの運転手に聞くが、2年前ぐらいからかなあという回答だった。あるお店では今がピークと回答されたが、本当はそうではなく、今が過去最高というべきだろう。熱海銀座にも人通りがかなり増えている。しかし熱海銀座にもシャッターを閉めた店舗はあるし、熱海銀座を一歩離れると廃墟と貸した家屋も多い。まだまだ、本当の復活はこれからだ。

興味深いトピック
3名の先生の講演内容はサマライズするには広範囲すぎる。ここでは、特に興味深かった点を整理しておきたい。

佐野壮一代表取締役
仕事のスタンスとして、やるべき仕事とお断りする仕事は選別されているという。しかし、それは佐野さんのこれまでの実績の自負の裏返しのように思う。基本的な事業は駐車場だ。佐野さんを突き動かしているのは大きな意味での使命感だろう。15年前にNPOを立ち上げて、さらにそれが軌道に乗ると新しいことをチャレンジすべく5年前に株式会社を立ち上げた。富士市では10年で50の工場が閉鎖した。衰退していく地域をなんとかしたい。最初は親から受け継いだ駐車場ビジネスだったけど、空きビルの活性化なども進められている。ケータイ教室の講師として、富士市の元吉原小学校を訪れたことがあるが、駅前のホテルの屋上や災害時の避難台から富士山がよく見えたことを覚えている。
f:id:hiroshi-kizaki:20191006184513j:plain
 出典:https://www.machigenki.go.jp/index.php/116/k-1700

飯倉清太代表理事
事前のサーベイでも一番実態を捕まえにくい人物だった。しかし、その本質は困っている人から助けて欲しいと相談を受けるとなんとか解決する実行力だと思った。自発的な人と他発的な人がいるが、飯倉さんは他発的ではない。自発的だけど、それだけでもない。あえて言えばターボ型だ。つまり、自らが発するエネルギーを受けて、他者からフィードバックや依頼があると、それをエネルギーとしてパワーアップする。そんなタイプの人間のような気がする。また、本人としては誹謗中傷を受けることもないという。その秘訣は社会貢献的なことをしているから批判しにくいのだろうと分析されていた。ちなみに、飯倉さんは、商売を広げようと躍起になって頑張るよりも、社会貢献をして、ブランドイメージを高めることで結果的に商売が広がることを体験された。この体験がその後の社会ビジネスの推進力になっているようだ。生コンプラントの跡地の再利用を相談された。皆さんならどう活用するかを聞かれた。自分だと、ドローンの教習場かなあと答えた。飯倉さんはここに12の住居とオフィスを集約したソーシャルアパートを構想した。移住は簡単だけど居住は難しい。そこで稼いで生活しなければならない。飯倉さんのビジネスセンスは秀逸だ。事業を開始するにあたっては、うまくいかないという反対がいろいろあったが、第一号として自分が入居すると宣言した。そして、12の業種は被らないこと、飲食業ではないこと、明確に事業コンセプトを持っていることなどの条件を課した。また、家賃は13万円だけど、視察への受け入れに協力すること、ビジネスマッチングに協力すること、地域からの講師の要請に応えることを条件として課して、それを条件として家賃を3万円値引いた。最初に要件を示しているので入居後のトラブルはないという。素晴らしい。また、10万円の家賃を払えるその業界のプロがくるのでシナジー効果も高いという。
f:id:hiroshi-kizaki:20191006184654p:plain
 出典:https://www.projectdesign.jp/201610/project-nippon/003197.php

市来広一朗さん
詳しくは熱海の奇跡に書かれていて、その内容は以前の講義のメモにも記したので省略するが、その進め方が非常に現実的だ。本人曰く平和主義で争わないというが、それは戦わないという意味ではない。強い信念を持って熱海の復活のために熱海に戻ってきたので、その目的がぶれることはない。その進め方が素晴らしい。つまり、まずは熱海の魅力を熱海の住民が再認識することから始めた。熱海が魅力的かという質問に対して、外部は26%、外部からの移住者は18%しかネガティブな反応を示していないのに、熱海の住民が43%もネガティブな反応を示した。熱海の人が熱海の魅力を知らないでどうする。市来さんはここから始めた。現在では熱海の住民の70%が肯定的だ。外部の86%や移住者の90%に比べると少ないがそれでも大きな改善だ。また、三島由紀夫が通っていたというボンネットという喫茶店も再発見した。マスターは90歳の高齢だけどまだ現役だ。素晴らしい。
f:id:hiroshi-kizaki:20191006190334j:plain
 出典:http://izukero.com/atami-bonnet/

やってほしいこと&やりたいこと&やれること
飯倉さんに質問した。いろいろなことを実行するその原動力は何でしょうか?答えは求められることをやった。それだけを聞くと受動的な人間のように聞こえるが、飯倉さんは単に言われたことをやる人ではない。自発的か他発的かといえば自発的だ。しかし、単なる自発的ではない。誰かから求められたことをその期待を超えて実践する能力のある人だ。しかも、自分自身でもやりたいことがいっぱいある。つまり、下の図で言えば、やってほしいこととやりたいこととやれることの丸が大きくて、その重なっている部分が非常に大きい。そんなスケールの大きな人だと思った。これって非常に難しいことだし、目指したいことだと思う。
f:id:hiroshi-kizaki:20191006214606p:plain
 出典:https://www.isid.co.jp/positive/column/hrd/05.html


まとめ
熱海の街の魅力は深い。江戸時代からの湯治として、明治時代の別荘地、そして昭和の観光地として輝いたという歴史がある。したがって街を歩くと歴史を感じる部分があるし、新しく変わった部分もある。熱海銀座を歩くと可愛い店がある一方で、大人のための劇場やお店がある。山の上に神社がある一方でビーチがある。熱海の魅力はこのような懐の深さや多様性ではないかと思う。あと、どん底を味わって復活した街なので、街の人が優しいし、謙虚で温かい。古き良き日本人の良さを感じる。熱海は何回来ても新たな魅力を見つけることができるような味わい深い街だし、その魅力を多くの人にも知って欲しいと思う。

以上

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。