LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

電動アシスト自転車の課題と将来への提言(1/2)

1. はじめに
電動アシスト自転車は便利だ。名古屋に単身赴任した時に1年前の新型を格安で購入した。最新型ではなかったけど、超便利だ。加齢とともに脚力が低下し、特に登り坂が続くと自転車に乗りたくなくなるが、電動アシストなら楽々だ。おかげで名古屋市内のいろんな道を愛車で走行した。今回は、そんな大好きな電動アシストにスポットを当てて、日本や諸外国の動向や現状の課題、課題解決のための提言、さらには将来への夢のような妄想イメージをまとめてみた。長くなったので、1章から4章を本編(1/2)で、5章から7章は次編(2/2)にした。
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2. 日本における自転車と電動アシスト自転車
2.1 電動アシスト自転車の普及状況
(1) 動力付き二輪車vs電動アシスト自転車

下の図は、動力付き二輪車の年間販売台数の推移だ。新車軽二輪は250cc以下の車検なしの集計で、この新車軽二輪と原付(1種+2種)の合計が1996年には110万台超だったものが、2014年には40万台弱まで激減している。これと対称的に増加しているのが電動アシスト自転車だ。1996年には10万台弱だったものが、2014年には50万台に迫る勢いだ。日本では電動アシストが確実に定着したと言える。
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(出典:日本二輪事情、参考1)

(2) 自転車vs電動アシスト自転車
一般自転車の出荷台数は、2001(平成13)年度には653万台だったが、2009(平成21)年度には426万台まで減少している。一方、電動アシスト自転車は2001年度に19万台だったが、2009年度には36万台まで増加している。規模は10分の1だが着実にシェアを高めている。いわゆるキャズムの谷はシェア16%が分水嶺と言われているので、電動アシスト自転車も今後は本格的な普及のフェーズに入るのではないだろうか。
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(出典:湘南茅ヶ崎lab、参考2)

2.2 電動アシスト自転車の高性能化
(1) 高価格タイプにシフト

電動アシスト自転車の価格のシフトだ。いずれも出典はドイツのマーケティング会社GfK Japanによる調査だ。下の図(左)によると、2013年1-6月期では8万円超が2015年には9.5万円前後まで増加している。これは、下の図(右)によると10万円以上の高価格タイプが増加しているためだ。
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(出典:GfK Japan、参考3)

(2) バッテリー容量の高性能化
下の図(左)では、2010年1Qでは3-4Ahが主流だったが、2011年4Qには8Ah以上が主流となっている。さらに、下の図(右)では、2015年には8-12Ahが主流だったのが、2017年度には12-16Ahが主流となっている。このように、7年で4倍に急増している。このバッテリーの容量増はどこまで進むのだろう。すでに20Ahもリリースされているので、少なくともこのレベルまでは進みそうだ。
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(出典:家電ウオッチ、参考4)

(3) 自転車の距離別トリップ頻度
下の図は、自転車の距離別のトリップ頻度だ。1998年(平成10年)の東京都市圏交通計画協議会からの引用だ。1日の一台あたりの走行距離で見ると1km程度が最も多く、5km以内のトリップが全体の約95%をしめている。電動アシスト自転車と一般の自転車の比較は調査中だが、電動アシストになるとこのトリップの距離が拡大すると期待される。
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(出典:自転車の安全利用促進委員会、参考5)

3. 諸外国における自転車と電動アシスト自転車
3.1 自転車の位置づけ
(1) 主要国の自転車道の整備状況

下の図も同じく、自転車の安全利用促進委員会からの資料の引用で、その元は国土交通省資料だ。日本の自転車道の距離は、自転車道、自転車専用道路、自転車歩行者道自転車通用帯等の合計だ。総道路延長に対する割合で見ると、自転車先進国のオランダの8.6%に対して、日本は0.6%と14分の1以下と非常に出遅れている。人口千人あたりの延長(m/千人)でも、オランダの900(m/千人)に対して日本は57(m/千人)と15分の1以下だ。日本は、2012年に安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインを作成し、2017年5月に自転車活用推進法を制定した。今後は、その着実な実行とさらなる整備が求められる。
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(出典:自転車の安全利用促進委員会、参考5)

(2) 自転車活用推進法
自転車活用推進法の基本方針では、下の図に示すように14の事項を定めている。また、5月5日を自転車の日、5月を自転車月間と定めているが、(少なくとも自分は)初めて聞いた(涙)。それよりも、当時自民党の幹事長だった谷垣禎一さんが2016年6月に愛車のロードバイクで転倒して、頸髄(けいずい)損傷の重傷を負った事故の方が記憶にある。「かわいそうだなあ」と率直に同情したけど、谷垣派にとっては、寝耳に水の大惨事だ。2017年8月の入閣人事では、谷垣派から入閣者はゼロだった。転んでもただでは起きないという姿勢を見せて欲しい。例えば、ロードバイクにはもう乗らないにしても、より身体への負担の少ない電動アシスト自転車とか、電動車椅子とかを愛車にして復帰をアピールしてはどうだろうか。
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(出典:自転車活用推進法、参考6)

3.2 共用バスレーンと列車への乗り入れ
下の図(左)は、バスレーンと自転車レーンを共有している例だ。日本でも三軒茶屋から駒沢までの2kmほどのバスレーンを自転車レーンと共有させる取り組みが2014年から始まっている。また、パリではバスと自転車の共用を1996年に始め、2012年現在、自転車レーン600kmの7割がバスとの共用だ。バスを優先にすると普通自動車が走行できないため道路の利用率が低くなるが、それを自転車レーンと共有させることで有効活用できる。同時に、バスの優先運転が本当に確保できるのか、自転車と自動車やバスとの接触事故などが増えないかなどを検証する必要があるだろう。下の図(右)は自転車と列車とのコラボだ。Wikiの日本語には記載はないが、Wikiの英語版を見ると説明がある。例えば、欧州会議は2007年1月にすべての国際列車は自転車を運べるようにするという決定をした。昨年の7-8月に欧州を旅行した時も、ヘルシンキの駅のホームを自転車で走行し、そのまま列車に積み込んでいるのを見てショックを受けたのを思い出す。フランスでは、有名なTGV高速列車のファーストクラスの一部が自転車の格納用に転用されているという。日本の新幹線も乗車率の少ないグリーン車は一部を改造して、自転車も格納するようなことをすると外人客へのアピールにもなるのではないだろうか。
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(出典:Wiki、参考7)

3.3 自転車のシェアリング
下の図も同じく英語版のWikiからの引用だ。エストニアでも、ラトヴィアでも、リトアニアでも、フィンランドでも、自転車のシェアリングサービスは充実していた。ただ、面白いのは、それぞれ別会社が運営していることだ。つまり、特定の地域や都市や国の陣取りゲーム的な特徴がある。早い者勝ちの商売とも言える。先に初めて、先に一定のシェアを獲得すると、トップシェアの事業者にチャレンジする事業者は少ないためだろう。欧州内でシェアリングされている自転車は一般の自転車が多く、高価な電動アシストタイプは少ない。日本は逆に規模は小さいが、品揃えの中に一般の自転車と電動アシスト自転車を取り揃えるところが多いようだ。DoCoMoが提供する電動アシスト自転車のシェアリングサービスは、2016年9月時点で5区180か所で自由に乗り捨て可能なようだ。
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(出典:Wiki、参考7)

3.4 各国の規制
電動アシスト自転車を英語でなんというのだろう。日本で商品名となっているPASはPower Asisted Cycleの略だ。欧州ではElectrically Assisted Pedal Cycle(EAPC)でも通じる。しかし、ズバリ通じるのはPedalとElectricの造語の「Pedelec」だろう。日本では速度に応じてアシスト比率がきめ細かく規定されているが、諸外国ではモータの出力規制とアシストする最高速度の2つで規制している。例えば、EUやインド、オーストラリアなどの国は250W以下のモータと25km/h以下の速度でのアシストと制限している。シンガポールでは200W以下の25km/h以下としている。中国では、電動アシスト自転車に関する規定がなく、電動自転車を含め、最高時速を20km/hなら自転車扱いだ。日本では、10km/h以下では人力と電力補助の比率は最大1対2とし、10km/hから24km/hまで徐々に比率が下がり、24km/hで補助はなくなり、かつ最大出力は規定されていない。

3.5 より高速な走行の可能性
下の表は、米国の国立交通研究所(NITC)のレポートからの引用だ。米国なのでkm/hではなく、mphが単位として使われている。20mphは約32km/hだ。日本の規制に比べて米国やカナダはより高速な走行が可能だ。これは、電動アシスト自転車の走行速度が25km/hではなく、45km/hなら自動車の走行と協調できるという判断だという。つまり、25km/hなら追い越すために車線変更したり、接触を避けるリスクがあるが、45km/hなら無理な追い越しはしなくなるだろう。また、45km/hなら10km圏内の通勤可能と期待されるという。
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(出典:NITC、参考8)

3.6 カーゴバイクの有用性
下の図はサイクルロードからの引用だ。日本ではいわゆるママチャリが多数派だが、このママチャリは海外ではあまり見かけない。海外では、荷物を運ぶ時には、カーゴタイプが便利だ。前が二輪になっていて、荷物を低い位置に装着するので低重心となるのでバランスが良い。日本でも宅配便を電動アシストで牽引するのを見かけることがある。カンナでも、のこぎりでもそうだったが、日本人はなぜか引いて使うが、欧米人は押して使う。カーゴバイクもどちらかというと押すタイプなので日本人の感性には合わないのだろうか。
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(出典:サイクルロード、参考9)


4. 安心・安全のための課題
4.1 交通事故の推移

下のグラフは、1955(昭和30)年から2004(平成16)年までの日本の交通事故や交通事故に伴う死者数の推移を示したものだ。特に1970(昭和45)年をピークにする交通事故の多発を第一次交通戦争、1992(平成4)年をピークとする交通事故を第二次交通戦争という。これは、日清戦争での日本側の戦死者数(2年間で1万7282人)を上回る勢いなので、戦争状態ではないかという危惧からつけられた。2004年時点では、交通事故による死者数も7,358人まで減少した。しかし、車両保有台数の増加に伴って負傷者数は増加傾向で同じく2004年では118万人を超えている。
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(出典:警察庁資料、参考10)

4.2 自転車事故の増加傾向
(1) 自転車対歩行者事故件数が増大傾向
下の図は、2000年と2010年の比較だ。全交通事故件数では2割減少しているが、自転車対歩行者事故件数は1.5倍に増加している。
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(出典:自転車の安全利用促進委員会、参考5)

(2) 自転車単独死亡事故件数が増大傾向
下の図は、2006(平成18)年から2016(平成28)年までの自転車死亡事故件数と自転車単独死亡事故件数の傾向だ。全体的な自転車の死亡事故件数は825件から509件まで減少している。しかし、その中の単独死亡事故件数は51件から122件に倍以上増加し、その構成比も24%まで高まっている。単独死亡事故とは、転倒事故や工作物衝突事故などだ。つまり、自転車が放置していた車両に追突するケース、山間部で道路から外れて転落するケース、自転車が電柱にぶつかったケース、街路樹に衝突したケースなどがある。例えば、自転車に乗っていた人が電柱に接触して、道路中央方向に転倒して、後方から来た軽トラックにひかれるような事故がある。
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(出典:ランキング日記、参考11)

(3) 交通事故の国際比較
下の図(左)は、自動車1億台kmあたりの事故件数で国際比較するとなんと日本は南アフリカに次いでワースト6位だ。一方、下の図(右)は、人口10万人当たりの交通事故死亡者数だで、国際比較するとドイツに次いで34位だ。つまり、一人当たりの交通事故死亡率は他の先進国並みに少ないが、道路の距離換算では途上国並みに高いということだ。
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(出典:総務省統計局、参考12)

(4) 交通事故死者数の構成比の国際比較
下のグラフは、主な欧米諸国の状態別交通事故死者数の構成率で、2014年時点のものだ。日本は、他の欧米諸国に比べて歩行中の構成比が36%と多いのと自転車利用中が15%と高いのが特徴だ。そして、逆に乗用車乗車中の構成比が21%と少ない。
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(出典:内閣府、参考13)

(5) 出会い頭衝突が多い
下の表は、2005(平成17)年から2015(平成27)年までの警察庁の集計資料で自転車の事故類型別交通事故件数の推移だ。車両相互の事故は17.5万件から9.4万件まで54%まで減少している。そして、そのうち最も多いのが出会い頭の衝突事故で、9.7万件から5.1万件に減少しているが、車両相互の事故の約54%をしめている状況は変わらない。高齢者の交通事故においても出会い頭は53%だったので、ほぼ同様だ。その理由の一つは思い込みだという。つまり、いつも通っていて、車が通らないので、今回も大丈夫だろうとタカをくくっていると、車が飛び出してきて、出会い頭の事故になることが多いという。
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(出典:警察庁、参考14)

長くなったので、ここまで。後半は次に続けたい。
hiroshi-kizaki.hatenablog.com

(後半)
5. 安心・安全のための提言
 5.1 自転車の位置づけの見直しと規制緩和
 5.2 インフラ整備
 5.3 モビリティの技術革新
6. 将来のモビリティへの期待
 6.1 もっと自由なモビリティ
 6.2 ひとり乗り用のモビリティ
7. 終わりに

以上

参考1:http://replica2st.la.coocan.jp/etc/japanbike2015.htm
参考2:https://chigalabo.com/2016/03/31/child-4/
参考3:https://www.atpress.ne.jp/news/67011
参考4:https://kaden.watch.impress.co.jp
参考5:http://jitensha-anzen.com/problem/problem01.html
参考6:http://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/pdf/about.pdf
参考7:https://en.wikipedia.org/wiki/Cycling_infrastructure
参考8:http://ebike.research.pdx.edu/sites/default/files/NITC-RR-564_Regulations_of_E-Bikes_in_North_America_2.pdf
参考9:http://blog.cycleroad.com/archives/52103579.html
参考10:https://www.npa.go.jp/hakusyo/h17/hakusho/h17/html/G1010000.html
参考11:http://s.webry.info/sp/otenbanyago.at.webry.info/201705/article_2.html
参考12:https://blogs.yahoo.co.jp/kakuden2001/63183480.html
参考13:http://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h28kou_haku/gaiyo/features/img/feature08.gif
参考14:http://ono-fumimachigai.com/daily/1067/

須佐之男命は技術士の神様か(笑)

ヤマタノオロチの意味
日本書紀古事記に登場する代表的な神話といえばヤマタノオロチではないか。日本書紀では「八岐大蛇」と書くが、古事記では、「八俣遠呂智」と書く。なぜ同じ神話なのに漢字が違うのだろう。日本書紀はストーリー性を重視した書物だが、古事記は実用の書として書かれたものという説がある。つまり、日本書紀は、親が子供に、先生が生徒に伝承していくものだが、古事記はより実用的な教えを説いたものだという。

大蛇の退治とは河川工事?
日本書紀では明らかにオロチを「大蛇」と書いているので、大蛇を連想させ、そこにサスペンスと恐怖を連想させたのだろう。しかし、古事記では、「遠呂智」と書く。ねずさん(参考1)によると、これは氾濫する河川に困る村人を救済するために治水工事をしたという話だという。ヤマタノオロチには複数の解釈があり、これはいわゆる河川説と呼ぶものだ。

古事記に出てくる竹蛇籠(たけじゃかご)
日本では、古来から蛇籠/蛇篭(じゃかご)と呼ぶ籠(かご)状のものに石などを詰めて河川の堤防などの護岸補強に使われていた。現在は、金属製の網を使うが古来は竹が用いられていて、古事記にも記載があるらしい。しかし、この蛇籠にも蛇(へび)という字が使われているのは偶然の一致だろうか。河川説が正しいとすれば、きっと須佐之男命は、困っている村人に対して、竹を割って、籠を作り、そこに石を詰めて、堤防にすることを教えたのではないだろうか。
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(出典:左はGoo/参考2、右はWiki/参考3)

竹蛇籠は自然に優しい河川工事
最近の河川や小川を見ると悲しくなる。岩壁がコンクリートで固められて、かつ垂直で遊びがないので、生物が住む余地がなく、河川は汚臭を放っている。地方に行くとまだまだ綺麗な小川を見ることがあり、ほっとすることもある。一方、古来の竹蛇籠は石の隙間が魚や水中昆虫の格好の棲家になる。植物と生物がお互いに共生するような河川になれば綺麗な河川に少しでも近づくのではないだろうか。すでに整備されている河川を蛇籠で再構築することは現実的ではないけど、現在の河川に蛇籠を追加設置するだけでも少しは生態系が戻るきっかけになるのではないだろうか。
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(出典:共和土木株式会社、参考4)

蘇った多摩川
最近の多摩川は綺麗になった。一説には鮎も戻っているという。高度成長期に汚染されて、死の川となった多摩川も多くの方の知恵と努力で復活した。先人に感謝したい。しかし、そんな多摩川もかつては蛇籠で堤防を作っていた。コンクリートではなく、蛇籠でせき止めまでする。そんな先人の勇気と知恵にはかなわない。本当に人類は成長していると言えるのかとさえ思う。
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(出典:takekota、参考5)

利根川を制した徳川家康
河川の話題の続きです。河川を専門とする技術士の皆さまにとっては常識かもしれない。河川の専門家ではない自分は今日調べていて初めて知りました。徳川家康が江戸に移った頃には、鬼怒川と利根川と荒川や隅田川が繋がっていた。例えば、1000年前には下の図(左)にあるように、霞ヶ浦が成田近くまで広がるような水郷地帯だったという。そして、このままでは洪水があった時には江戸は大変な被害を受けるとその危険性を察知した徳川家康は、大規模な河川工事に着手した。これは利根川の東遷(とうせん)と呼ばれる大工事だ。Wikiで調べると、1594年(文禄3)に始めたという説と、1621年(元和7年)に開始したという説があるが、完成したのは江戸時代の1654年(承応3年)なので、少なくとも33年を費やした大工事だ。
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(出典: 利根川下流河川事務所、参考6)

まとめ
今日は古事記の話から、ヤマタノオロチの河川説、竹蛇籠、そして利根川の東遷までをトピックにしてみた。調べるといろいろと知らないことがどんどんと出てくるのが面白い。まあ、自分が面白いだけではなく、読んで頂いた方に取っても面白いと感じていただけると嬉しいです。
以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


参考1:http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-3010.html
参考2:http://blog.goo.ne.jp/katodesuryoheidesu/e/687c7414b1cb5b4379c971c5b45523f1
参考3:https://ja.wikipedia.org/wiki/蛇篭
参考4:http://www.t-kyowa.co.jp/jyakago/outline.html
参考5:http://takekota2.blog.fc2.com/blog-entry-6.html
参考6:http://www.ktr.mlit.go.jp/tonege/tonege_index016.html

aiboはソニー復活の救世主となるか

aibo発売開始!
2017年11月1日に自立型エンターテインメントロボット「aibo」の発売を発表した。そして、2018年1月11日にaiboの発売を開始した。戌年で1(one)にこだわった発表スケジュールや販売スケジュールだ。このような遊び心がソニーに出てきたのをソニーファンとしては喜ぶ。でも、本当に拘るなら11月1日より11月11日ではないか。先行発売はファンとしては嬉しいが、クリスマス商戦を狙うなら毎年11月11日に新モデルを発売するような年間スケジュールを立てて欲しいとも思う(笑)。

AIBOからaiboへの振り返り
一般的に初代AIBOといえば、1999年6月1日に限定発売されたERS-110だろう。わずか20分で売り切れになったという伝説が残っている。そのあと、改良を重ね、2003年に5代目となるERS-7を発売する。Wi-Fi機能に初めて対応した。しかし、ソニーの業績の悪化により出井会長(当時)が2004年の経営会議でロボット事業からの撤退を決め、2005年に就任したストリンガーCEO(当時)がロボット事業の生産終了を実行した。AIBOが活躍したロボカップは2007年まで続いた。撤退からほぼ10年経過した2016年6月にはロボット事業への再参入を発表した。2017年7月のロボカップ2017年名古屋大会ではAIBOが展示された。そしてERS-7M3の販売終了から約12年後となる本年1月11月にERS-1000を発売した。パチパチ!

AIBOからaiboへの成長点
初代のAIBO(ERS-110)や5代目AIBO(ERS-7)と比べて新aibo(ERS-1000)はどのような点が成長したのだろうか。Wikiの日本語版には掲載がないが、英語版には比較表があったので、そこの内容を抜粋した。CPUは、スマホでも使われているSnap Dragon820らしい。性能的には当然成長しているし、センサーや駆動部なども飛躍的に増加していて、より自然な動作が可能だ。消費電力は増加していているが、電池の性能も高まっているので動作時間は2時間と伸びている。今後、aiboミニとか、aiboジャンボとか出てくるのだろうか(笑)。

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(出典:Wikiの英語版から編集、参考1)

AIとクラウド連携
今までのAIBOと新aiboの最大の違いは、ハードウェアのスペックではなく、AIとクラウド連携だろう。AIのエンジンにより、人間の個体を認識し、その人が喜ぶことを学習するという。また、利用者が合意すれば、学習した内容をクラウドにアップして、他のaiboとの共通知識として活用することできる。これは大きな進歩であるし、将来にわたって加速度的な進歩を予感させる。パートナー企業と連携して、教育とか、知育、見守りなどのアプリケーションが充実すると大きな市場規模に成長する可能性がある。
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(出典:PC Watch、参考2)

2020年には日本でWorld Robot Summit
2020年には東京オリンピックパラリンピックが開催される。そして、同じ2020年には世界ロボットサミットを日本で開催予定だ。RoboCupなども盛り上がるだろう。まさに、エンタテインメントのためのロボットが今後盛り上がっていくと期待される。
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(出典:ロボカップサミット、参考3)

癒し系ロボットとしての期待
下の図は人間が本当の犬に癒されるのと同様にAIBOでも癒されるのかを実験したものだ。MLAPSはざっくりと言えば、癒しの尺度だ。本当の犬にはかなわないが、高い癒し効果が確認されている。新aiboの癒し度はどこまで本当の犬に追いつくのだろうか。シンギュラリティが議論されているが、AIの進歩により、本当の犬よりもaiboに癒されるという時代がくるのかもしれない。

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(出典:Robots.nu、参考4)

aibo普及のための検討課題
aiboはまだキャズムの谷を超えていない。今後、先行的なマニアだけでなく、アーリーアダプターにとどまらず、アーリーマジョリティに使ってもらうには克服すべき課題が多い。特に次の6点だ。
1) コストaiboでは月額モデルを導入したが、本体20万円はやはりまだまだ高額だ。LTEの利用料金も気になるところだ。スマホの料金を含め、料金の低廉化は永遠の課題だ。
2) 電池性能:3時間充電して2時間利用できるという。重量とのトレードオフがあるが、やはり8時間充電して16時間利用できるような人間並みの性能が欲しい。
3) カスタマイズ:従来のAIBOではOpen-Rでカスタマイズが出来た。aiboでもカスタマイズのSDKを検討しているようだ。スマホのアプリとの連動でより操作性が高まると嬉しい。また、aiboの外見も複数の犬種から選んだり、かつての愛犬の面影を盛り込んだりできるといいなあ。
4) パートナーシップSonyのみでなく、他の異業種の会社との連動は市場を広げる意味からも効果的かつ重要だろう。
5) ポータビリティスマホのようにいつもそばにいて欲しいと思う。そのためには2.2kgではなく、220g程度を目指すべきだと思うのは自分だけだろうか。
6) バーチャル化の可能性aiboの癒し効果を体感したいのであれば、実はハードは不要かもしれない。幽体離脱ではないが、物理的な軽量化を目指す代わりに、普段のaiboは家庭で留守番しているが、スマホの画面やVRグラスでソフトベースでのaiboとの触れ合いを感じられるのであれば、それもありではないか(笑)。

まとめ
aiboは日本に限らず全世界的に販売数が増大するのだろう。日本においては人口が減少傾向にあるが、産業用ロボットに加えて、癒し系ロボットがどんどん普及するとそのうちロボットの数の方が人間の数より多くなるのだろうか。携帯電話やスマホは1980年代から世代交代するたびに革新し、すでに携帯の数は日本の人口を超えている。2020年に登場する第五世代では、携帯やスマホだけでなく、IoTを含めて広く使われることを想定している。そのうちの一つはこの癒し系ロボットだ。そして、ロボット同士が知恵や情報を共有するようになると、一人に一台の癒し系ロボットといった時代も遠からず来るのかもしれない。 

以上

最後まで読んでいただいてありがとうございます。

参考1:https://en.wikipedia.org/wiki/AIBO#ERS-1000 
参考2:https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1089417.html 
参考3:http://worldrobotsummit.org
参考4:https://www.slideshare.net/robotsnu/animal-robotic-assistance-for-a-better-life

これからの仮想通貨の可能性

はじめに
技術士には経営工学という部門がある。そして、経営工学の部門には金融工学という科目がある。今をときめくフィンテックだ。自分は金融工学の専門家ではないが、経営工学にチャレンジする立場なので、やはりフィンテックにも興味と関心を持っている。技術士の立場で何かができるわけではないが、少し仮想通貨の現状や各国の取り組み状況、将来の展望について理解したことや私見を述べたい。

日本における国債残高と利払い費用
下の図(左)は国債の残高だ。平成23年度では667兆円だった。最新のデータを見ると、平成29年度末は865兆円だった。6年間で198兆円。年平均では33兆円増えている。不景気な世のなかで右肩上がりは珍しいが、国債残高は不健康に右肩上がりだ。下の図(右)は平成28年度の歳入と歳出だ。歳入も歳出も同じ97.4547兆円だ。歳入のうち公債の発行金額は全体の約35.3%の34.3兆円だ。テレビでも評論家が解説しているが、収入の三分の1が借金という異常事態だ。そして、歳出でも国債費が全体の24.1%の23.5兆円だ。34兆円を借金しても、右から左で23兆円は借金の返済に回っている。個人であれば、サラ金地獄の世界ではないか。

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(出典:財務省、参考1)

日本の国債保有者と金利
下の図(右)は国債保有者だ。もっとも多いのは銀行だが、増加しているのは日本銀行だ。そして、その国債金利は、低下している。直近(2018.1.11)でも個人向け国債の利回りは0.5%だ。でも、中央銀行である日本銀行はどれだけの利回りを日本国政府から受け取っているのだろうか。そもそも日本国政府の歳出の利子9.1兆円は誰に支払っているのだろう。個人の金利市中銀行が払い、市中銀行への金利日本銀行が払うのだとすると、日本銀行への金利を政府が払っているのだろうか。もし、そうだと200兆円の借金に9兆円の金利(利率4.5%)を払っていることになる。そんなことはないだろう。国債の仕組みは難しい。もっと勉強しないとよくわからない。

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(出典:NAKAKEN、参考2)

日本政府が発行する硬貨
日本では硬貨は政府(独立法人造幣局)が発行する。発行枚数では、平成2年に49億枚を発行したのがピークだが、発行金額では平成12年の3,187億円がピークだ電子マネーの活用などにより、硬貨の利用料は減少傾向にあり、発行枚数もこれに追随して減少している。最新のデータを調べると2017年度の発行金額(計画)は2,811億円相当とあるが本当だろうか。

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(出典:Wiki、参考3)

日本銀行が発行する紙幣
明治時代になって銀行制度ができるまでは政府が大判や小判を発行し、両替商がこれを丁銀や銭貨に手数料を取って交換していた。平成27年度の朝の連続ドラマ「あさが来た」の世界だ。明治になって中央銀行(=日本銀行)が設立し、政府は中央銀行国債(=借用書)を発行する代わりに、紙幣が日本銀行から市中銀行経由で国内に流通する仕組みができた。日本銀行が発行した紙幣の残高は右肩あがりに増加している。2015年時点で90兆円を超えた。日銀によると2017年度の発行予定紙幣は14.8兆円だ。日本では現金志向が強く、発行残高の約半分はタンス預金だという。

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(出典:日本銀行、参考4)

世界最古の銀行と世界最古の中央銀行
世界最古の銀行はどこなのだろう。じぶん銀行のホームページを見ると、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行(Banca Monte dei Paschi di Siena、MPS)で、1472年にイタリア中部のシエナ市で誕生したという(参考5)。また、世界最古の中央銀行は1668年に設立したスウェーデンのリスクバンクという(参考6)。英国のイングランド銀行が設立したのはその6年後の1694年だが、当初は中央銀行ではなかった。19世紀の初頭に英国で金融恐慌が発生し、その対策としてイングランド銀行のみが紙幣を発行するという体制になった。これが実質的な中央銀行の始まりだ。

米国の中央銀行(FRB)の設立は1913年
米国では1776年の建国以来複数の銀行が設立されたが、1837年に大恐慌が発生し、さらに1873年から1896年の大不況に対抗するために資本家の後ろ盾をベースにして、1913年にFRBの体制が確立された。銀行の歴史は不況や大恐慌との戦いの歴史でもあった。

日本の中央銀行(日本銀行)の設立は1882年
日本では、1867年に大政奉還があり、1873年に日本初の第一銀行(現みずほ銀行)が設立された。そのあと、1882年に中央銀行としての日本銀行が設立される。日本銀行の株主は非公開だが日本国政府保有は55%という。設立にあたっては米国の資本家も支援した。しかし、米国からの支援と圧力のもとで設立した日本銀行よりも、米国のFRBの設立の方が30年も後だったとは知らなかった。どういうことなのだろう。

宗教と銀行
世界の金融業界はユダヤ系資本が牛耳っているとよく言われる。なぜなのだろう。宗教と金融が結びつかない。調べると、ユダヤ教では金利を取って金を貸すことを禁じていたという。そして、ユダヤ教から派生したキリスト教イスラム教でも同じようにこれを禁じた。しかし、ユダヤ教では、ユダヤ人以外に金を貸すときには金利を取っても良いという。このためにユダヤ人のみが金貸しを行った。しかし、欧州を中心にこの金融の覇権や利権のための長い闘争があったらしいが、その分野の専門家でもないので割愛する。

仮想通貨と電子マネーの違い
ここまで金融の基本の基本をレビューした。しか、本来の主旨から話がずれてしまったので、仮想通貨に戻す。そもそも仮想通貨と電子マネーは何が違うのか?という質問がある。一般には、仮想通貨は、国が発行する通貨とは別の独立した通貨だが、電子マネーは国が発行する通貨を電子的な手段で決済するものと説明される。しかし、最近は、銀行や中央銀行も仮想通貨やその仕組みのエンジンであるブロックチェーンの活用を検討している。

中央銀行が仮想通貨を発行する可能性
Wikiによると、欧州中央銀行は2012年に仮想通貨を特殊な仮想空間で取り扱う電子マネーと呼び、2014年には欧州銀行監督局は仮想通貨を中央銀行や政府が発行したもんではなく、電子的な取引用通貨と定義した。つまり、下の図(左)のCryptoCurrencyが仮想通貨だった。しかし、1930年に設立した各国の中央銀行間の決済を行う国際決済銀行(BIS)によると、下の図(右)のように、中央銀行が発行する仮想通貨(CBDC)の定義を示している。

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(出典:BIS、参考7)

中央銀行が発行する仮想通貨(CBCC)の可能性
BISの資料では、さらにこの一般的な仮想通貨と中央銀行が発行する仮想通貨の関係をマネーフラワーと称して定義付けしようとしている。これによると、CBCCとは中央銀行が発行する仮想通貨と一般的な仮想通貨の両方の特徴を有するゾーンだという。

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(出典:BIS、参考7)

エストニアが企画するエストコイン
中央銀行の発行するCBCCとの対極にあるのがエストニアが企画するエストコインだ。私の大好きなエストニアだ。エストニアは、SKYPEを発明したり、日本のマイナンバーの手本となるDigital IDカードを2002年から開始した。日本は2016年からなので14年も先行している。また、政府の業務でコンピュータ化できるものはコンピュータに任せようとしている。消費税(VAT)は現在20%だが、これもピークから値下げされた。消費税の増税しか考えない日本とは真逆だ。そんなIT立国を目指すエストニアが企画しているのがエストコイン(estcoin)だ。しかも、これをICOで行うものだ。

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 (出典:estcoin、参考8)

ICOによるestcoinは成功するか
ICOは資金調達する組織が独自に発行した仮想通貨をネットを通じて不特定多数に販売して資金調達する仕組みだ。ICOは、企業が資金調達するときのIPOをベースに検討されているが、仮想通貨を直接売買できる点がIPOとの違いだ。エストニアではe-Residensyと言う仕組みを提供していてこれが布石になっている。e-Residencyはエストニアに住んでいなくても、エストニアが定める所定の条件を満たせば電子国民になれる。安倍首相もメンバーと言われている。私も、目指している(笑)。f:id:hiroshi-kizaki:20180111202131p:plain
(出典:JEEADiS、参考9)

諸外国における仮想通貨に対する取り組み
エストニアICOという仕組みを活用してエストコインを発行しようと検討中だが、他の諸国も仮想通貨の活用を模索している。銀行の決済を自動化するには、数十年前からの人手による決済方法をベースにして合理化するのではなく、ブロックチェーンという仕組みを活用して作り変える方がスマートだ。日本の銀行でも、数十年前に開発した決済系のソフトを改修しようと思っても、ソースコードが当時のソフト技術者の職人的作品なので、今の若いソフト技術者では太刀打ちできないという。20年おきに式典遷宮を行う神社・神宮の宮大工(神宮では小工:こだくみ)ならノウハウを継承できるが、ITの分野では過去の遺産を引き継ぐのは大変だ。
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(出典:中谷さんのブログ、参考10)

仮想通貨の発行権をめぐる利権
政府自身が仮想通貨を発行するトライはエストニアだ。そして、欧州の中央銀行はこれに断固としては反対している。それはそうだろう。政府が発行する仮想通貨を認めると、中央銀行の存在意義は半減する。でも、逆に言えば、本当に中央銀行が仮想通貨(CBCC)を発行することがベストなのだろうか。国内では中央銀行(=日本銀行)が発行することを前提に紙面で報道されているが、本当にそれが正解なのだろうか。

ベーシックインカムの政府発行の仮想通貨
新しい仕組みという意味では、ベーシックインカム(UBI=universal basic income)も議論が進んでいる。個人的には、過去のブログにも書いたが、仮想通貨の仕組みはこのUBIを支払う手段に使えると思う。つまり、政府が通貨(コイン)を支給する代わりに、仮想通貨(例えば、円コイン、仮称)を発行して、電子的に支給する。それであれば、政府は日本銀行に借用書(=国債)を発行する必要はないし、金利を払う必要もないマネタリーベースを増やすことも減らすことも、政府の判断で調整することで可能だ。ただ、それが良いのかどうかは議論が必要だ。

まとめ
フィンテックが注目されて久しい。仮想通貨の筆頭であるビットコインは2017年年初に7万円だったのが12月には230万円を超えた。その後、暴落している。2018年は政府&中央銀行が本気で仮想通貨を始めてくるかもしれない新たな局面を迎えるだろう。小池百合子さんが代表になって希望の党に期待がまだ集まっていた頃には、その公約にベーシックインカムを検討すると記載されていた。でも、希望の党の惨敗に伴って、ベーシックインカムの議論にもブレーキがかかったようにも見える。仮想通貨を政府が発行するのか、中央銀行で発行するのかは、二者択一ではないかもしれないが、明治の時代に中央銀行を作ったのと同じぐらいのインパクトを将来の日本や世界に与えることになるのではないか。中央銀行が現在の利権を手放すとも思えないが、今後もこの分野の動向には注目する必要があると思う。フィンテックという技術を磨くことは大切だが、それをどのように活用するかを十分に理解することや正しい利用に誘導する努力は、原子力の例を出すまでもなく、必要なことだろう。

以上

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考1:http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/002.htm 
参考2:http://nakaken88.com/2015/06/08/080831
参考3:https://ja.wikipedia.org/wiki/造幣局_(日本)
参考4:http://blogos.com/article/142729/
参考5:https://www.jibunbank.co.jp/column/article/00108/
参考6:https://ja.wikipedia.org/wiki/中央銀行 
参考7:https://www.bis.org/publ/qtrpdf/r_qt1709f.htm 
参考8:https://e-resident.gov.ee/estcoin
参考9:http://www.jeeadis.jp/jeeadis-blog/e-residencyid
参考10:http://blogos.com/article/246872/ 

実語教に学ぶモラル教育のあり方

情報モラル教育
スマホを代表とする情報機器をこどもたちは使いこなしている。しかし、その実態を大人は理解できず、指導できず、重大な問題が発生してから、これはまずい!となる。下の図は、文部科学省のホームページに掲載されている情報モラル教育の必要性を説く図だ。
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(出典:文部科学省、参考1)

現在の指導方針
同じく、文部科学省のホームページに掲載されている情報モラル教育の中で児童に身につけさせたいものを図示したものだ。心を磨く領域と知恵を磨く領域がある。ここに書いてあることはその通りだ。特に異論はないし、我々も同じ考え方で子供達に対してスマホやケータイの安全・安心な使い方を日々講演している。
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(出典:文部科学省、参考1)

DoとDo not
これは自己反省だ。子供達に対して、通常は45分という時間を頂いて、スマホやケータイの正しい使い方について講演する。しかし、実際には、正しい使い方を示すというよりは、トラブル事例に学ぶという考え方だ。つまり、実際に起きたネットのトラブル事例の動画を3本用意して、それぞれの動画を見てもらった後で、子供達同士で話し合いをしてもらい、その後私から何が悪かったのか、どうすれば良かったのかという説明をして、最後にまとめで締めていく。そんな手法だ。昨日も子供達に話をして、動画を見せて、その後前後左右の人と話し合ってというと、最初は戸惑いながらも一気に盛り上がった。時間にして30秒ほどだが、前後左右で6名ほどのグループに自然に分かれ、僕はこう思う。私はこう考えると活発に意見交換してくれた。そして、「前を向いてください」というとすぐに静かになったので、「素晴らしい!」と褒めると、次の時はもっとメリハリ感が強化された。講演が進むうちに、子供達の視線が集まり、心が一つになったように感じることができるのは少ないが、昨日はそんなゾーンに入ったような、手応えの感じられる1日だった。ここで言いたいことは、それでも、Do Notばかりを説明していて、Doを説明できていないのではないかという反省だ。

寺子屋教育のレビュー
自分が小学生の時も、道徳の授業はなんだかよくわからなかった。良いことをしなさい。悪いことをしてはいけません。そんな風に教わる。でも、何が良いことで、何が悪いことかという具体的な説明がなかったからだと思う。でも、最近、江戸時代の寺子屋教育や明治から戦前までの教育を振り返る機会があり、調べると非常に具体的だった。何をすべきか、何をしてはいけないのかが明確に教えられている。

童子教と実語教と三字経
代表的なものは童子教と実語教であり、中国では三字教だ。でも、これらの言葉を聞かれたことのある人、知っている人、読んだことのある人はどの程度いらっしゃるのだろうか?少なくとも自分は全く知らなかった。読んだことも見たこともなかったので簡単にレビューしてみたい。

(1) 童子
童子教とは、Wikiによると、鎌倉時代から明治まで日本の初等教育に使われた教材だ。子供が身につけるべき基本的な事項が盛り込まれている。7歳から15歳向けというが、小学生の低学年の頃からこの写経をしたり、朗読をしたり、意味を諭されたりすることで子供達の道徳観のベースになるのだろう。
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(出典:Wiki、参考2)

(2) 実語教
実語教とは、平安の時代に作られ、江戸時代までの寺子屋の教材として使われた。約千年にわたって読み継がれたもの。文字どおり非常に実用的な教えだ。
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(出典:問道、参考3)

(3) 三字経
三字経とは、伝統的な中国の初学者用の教材だ。3文字で1つの句を形成している。13世紀の南宋の時代の作と言われている。日本では、「我日本」で始まる本朝三字経が作成されて、明治の下等小学校では8級に始まり、半年に1級つず進級したという。
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実語教の教えは非常に具体的だった
実語教は5字一句と対句が特徴だ。つまり、漢語ベースの5文字で一つの文章になっていて、原則5字と次の5字は対比されたり韻が踏まれていてリズム良く読めるように工夫されている。問道さんのブログに詳しく解説が掲載されている。興味ある方は是非原文を見て欲しい。そのうち、最初の7つについては問道さんに敬意を払った上で、引用させて頂きたい(出典:参考3)。

1. 山高(やまたか)きが故(ゆえ)に貴(たっと)からず
 木(き)有(あ)るを以(もっ)て貴(たっと)しとす
 山はただ高いから尊いのではない。
 木が茂っているからこそ尊いのだ。
 
2. 人(ひと)肥(こ)えたるが故(ゆえ)に貴(たっと)からず
 智(ち)有(あ)るを以(もっ)て貴(たっと)しとす
 人は裕福だから偉いのではない。
 智恵を持つからこそ偉いのである。
 
3. 富(とみ)は是(これ)一生(いっしょう)の財(ざい)
 身滅(みめっ)すれば即(すなわ)ち共(とも)に滅(めっ)す
 富というのは、生きている間だけ持てる物であり、
 死んで体が消滅してしまえば、同時に失う。
 
4. 智(ち)は是(これ)万代(ばんだい)の財(たから)
 命(いのち)終(お)われば即(すなわ)ち随(したが)って行(ゆ)く
 一方で、智恵は長い年月にわたって持続する宝である。
 命が終わっても、ついてくる。
 
5. 玉磨(たまみが)かざれば光(ひかり)無(な)し
 光(ひかり)無(な)きを石(いし)瓦(かわら)とす
 玉は磨かなければ光を発しない。
 光らない玉は、ただの石の塊だ。
 
6. 人(ひと)学(まな)ばざれば智(ち)なし
 智(ち)なきを愚人(ぐにん)とす
 人も学ばなければ智恵を持てない。
 智恵のない人は、愚人だ。
 
7. 倉(くら)の内(うち)の財(ざい)は朽(くち)ることあり
 身(み)の内(うち)の才(さい)は朽(くち)ることなし
 蔵の中にある財宝は朽ちてしまうことがあるが、
 体の中にある智恵は、朽ちることがない。

教育ルネッサンス
平安の時代に作られたという実語教の教えは、今読んでも色あせることはないと感じるのは自分だけだろうか。人が人として誇りを持って、社会を大切にし、自分を磨き、自然を大切にする。現代日本に欠けている部分があるとすれば、それは過去の貴重な遺産を現在の教育に活用していないことではないだろうか。

まとめ
現在にかけているものは何か。子供達がスマホやネットでトラブルに遭遇する。でも、学校はそういうものの利用はおろか、持ち込みを禁止している。したがって、問題が生じるのは学校外=家庭だ。だから学校の問題ではなく、家庭の問題だと言われることがある。多くの場合は、正しい使い方を子供達に説明してほしい、スマホの危険性を子供達に伝えてほしいと学校から要請されて子供達に説明する。そして、子供達は真剣に聞いてくれる。欠けているのは、子供の道徳心ではなく、学校における道徳教育ではないかと思うときがある。過去の日本ではどうしていたのかと調べると、今回取り上げた童子教や実語教に遭遇した。なぜ、現在の日本では、過去の貴重な遺産(ヘリテージ)を無駄にするのだろう。無視するのだろう。なかったものにするのだろう。現在の子供達に実語教で説かれている内容を教えることが、遠回りかもしれないが、子供達のモラル教育の王道ではないのかと感じる。また、技術士の立場でも、実語教の教えは、自然の保護の意味、会社における人材教育の意味、公益確保の意味でも秀逸な教えだと思う。
以上
最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考1:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/056/shiryo/attach/1249674.htm
参考2:https://ja.wikipedia.org/wiki/童子教
参考3:http://mondou.hateblo.jp/entry/2015/05/08/021102
 

技術士試験への挑戦:志を持ち、計画を立て、着実に実行しよう!

はじめに
技術士をご存知でしょうか?いわゆる士業の一つだ。士業には、弁護士や税理士などの業務独占の士業名称独占の士業が有る。技術士はこの後者の名称独占の資格だ。公共の安全や社会的な責任が大きいために国家試験で有資格者を認定している。技術士に合格した後も企業に勤務して能力を発揮する企業内技術士と、技術士事務所を設立して活動する独立技術士がいる。建設部門等では技術士の資格がないと大型プロジェクトを受注できない仕組みもある。一方で、技術士としての能力を個人事務所で発揮する人もいる。どちらを目指すかはそれぞれだろう。

技術士になるには
技術士を目指す場合に、技術士試験に合格する必要がある。これに合格するには、次の3つのステップが必要だ。
1) 志を持つ
2) 学習計画を立てる
3) 学習計画を実行する

1. 志を持つ
技術士には、20の一般部門と総合技術監理部門がある。そして、技術士試験は一次試験と二次試験がある。従って、基本的にはチャレンジする部門を決めて、科目を決めて、一次試験と二次試験をクリアする必要がある。この場合に、大切なことは部門や科目を間違えないということだ。

一次試験
次の3科目でそれぞれ50%以上の正解をすれば合格だ。
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(出典:日本技術士会のホームページ)
・基礎科目:5つの群の各6問から3問を選択して合計15問に回答する(各1点)。
・適性科目:15問に回答する(各1点)。
・専門科目:選択した部門の35問から25問を選択して回答する(各2点)。
卒業した学校や大学がJABEE認定されていれば一次試験を免除される。日本技術士会のホームページ(https://www.engineer.or.jp)には、第一次試験の過去問題(平成16年度~)や第二次試験の過去問題(平成21年度~)が掲載されている。選択問題については正解も掲載されている。


二次試験
筆記試験に合格し、口頭試験に合格する必要がある。以下は総合技術監理部門以外の一般部門の前提で記述する。
(1) 筆記試験
必須科目は選択問題で、選択科目は記述問題だ。必須科目では、20問から15問を選択し、そのうちの60%以上が正解であれば合格だ。注意すべきは、この必須科目で合格ラインでないと選択科目の採点をしてもらえない点だ。選択科目は600字の解答用紙を合計7枚書いて試験官に専門知識があり、応用能力があり、課題解決能力があると判断してもらう必要がある。従って、本当にその能力があることに加えて、それを伝えるテクニックが求められる。
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(出典:日本技術士会のホームページ)

(2) 口頭試験
筆記試験に合格すると次は口頭試験だ。現在は原則20分で、最短で15分、最長で30分とされている。口頭試験では次の3点が諮問されるが、要は受験票に記載された経歴や小論文(720文字)を記載したのが本人であるか、本人が考えて、本人が行ったことか、そして技術士にふさわしい能力と倫理を有しているかを試験官に判断してもらう必要がある。従って、ここでも本当にその能力があることに加えて、それを伝えるテクニックが求められる。
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2. 学習計画を立てる
技術士になるには、試験にチャレンジして合格する必要がある。一次試験については、ひたすら過去問に取り組むしかないだろう。ここでは、二次試験に絞って記載する。そして、その時に大事なことは覚悟だ。技術士を目指そうというあなたは非常に忙しい状況だろう。重要なプロジェクトを任されて昼も夜もないような忙しい日々を過ごしいるかもしれない。睡眠時間も削っている状況で勉強する時間を取ることは難しいかもしれない。そんな状況で技術部門最難関と呼ばれる技術士試験に合格するにはどうすれば良いのか。ここでは、2つのコースを想定する。まず最初は年初から開始し、スタートダッシュし、その勢いのまま一気に合格して、できればそのまま2年連続合格を目指すという超ごう慢なコースだ。次は受験申込書を出す段階から勉強して、必要最小の時間でなんとか合格ラインにたどり着こうというコースだ。


(1) 連続ストレート合格チャレンジコース

これは1月からスタートダッシュする。特に、受験する部門や科目の選定が重要なので、択一問題にもトライしながら技術士試験で求められていることをよく理解し、どの部門、どの科目なら合格するか。自分の現状の実力と目標とする部門・科目の合格ラインのギャップを認識する。そして、それを埋めるための戦略を作成する。日常の業務で行っていることを受験戦略にも適用する。この場合に、重要なことは受験票の作成だ。技術士試験では、受験票を提出するときに始まっているとよく言われる。その意味は、受験票で記載した経歴や業務詳細が年末の口頭試験で諮問されるからだ。受験票を提出する4月に、口頭試験が実施される12月を見越して行動する必要がある。これは大変だ。しかし、これも合格のセオリーがある。それは3回繰り返すことだ。つまり、受験申込書を作成したら先輩技術士や、プロの研修機関などに見てもらい、書き直すことだ。多分、最初の申込書は全然ダメだろう。でも、2回目は少しはマシになっている。そして、真摯に取り組めば3回目には合格ラインに達しているだろう。選択科目の学習も同じだ。過去問題を1回トライしただけではダメだ。1回目は自分の実力をチェックするのが目的だ。そして、理解していないこと知らないことを勉強して、2回目にトライする。それでも合格ラインには到達していないだろう。なんどやっても解けない問題はそもそも基本的な理解が不足しているためだ。そして謙虚に自分に不足している分野を勉強して、3回目にトライすればほぼ合格ラインに行くだろう。記述問題も同様だ。100個程度のキーワードをA4の技術ノートにまとめる。A4の技術ノートには大体900文字程度の情報量があるので、これを見ながら600字の原稿用紙に課題や対応、留意事項をまとめてみる。そして、不足している点を踏まえてリバイズ版を作成し、同じように600字の原稿用紙に記載する。真面目に取り組めば3版目の技術ノートは合格レベルの分かりやすいものになっているだろう。

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(筆者作成資料)


(2) 短期集中合格コース

みなさんには是非(1)の連続ストレート合格コースを目指して欲しい。でも、そこまでの時間は取らないと考える人もいるだろう。連続でなくてもいい、ストレートでなくてもいいと考える人もいるかもしれない。必要最小限の学習で合格したい。そんな人もいるかもしれない。技術士試験は資質を問うものなので、十分に資質を有する人なら最小限の努力で技術士試験をクリアするかもしれない。それでも、やはり通り一遍の学習では難しいだろう。少なくとも2回は繰り返してほしい。しかし、これで合格ラインに到達するには、そもそも最初の受験票、最初の技術ノートのレベルが高い必要がある。(1)のリバイズ版程度のレベルを最初からかける人である必要がある。そんな優秀な人ならこの(2)のコースでも合格するかもしれない。しかし、個人的にはやはりしっかりと覚悟を決めて、(1)のコースで取り組んでほしいと思う。

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(筆者作成資料)

 

3. 学習計画を実行する
計画を立てて終わりというのはよくある話かもしれない。しかし、計画は実行してこそ意味がある。忙しいあなたは時間を捻出することが難しいかもしれない。精神的にもそんな余裕はないかもしれない。そんな時には、学習の時間をルーティング化がお勧めだ。個人的にはノマドワーカーのように自宅と会社以外の第三のスペースを確保する方法がある。例えば次のような方法で時間と場所を捻出して、その中で学習に集中することだ。

(1) 朝の勉強
会社の始業時間が9時だとする。スタバなら7時から営業している。ガストなら6時半から営業しているところもある。会社近くの喫茶店でじっくりと勉強できそいうなお店を見つけて、30分単位の時間を1-2時間確保する。朝早く起きることは辛いかもしれないが、二日目は少し楽になり、三日目からはそれほど苦ではなくなる。よく三日坊主というが、三日も続けると習慣化して、四日目以降はそれほど苦ではない。大切なことは習慣化することだ。最初は勉強に乗らないかもしれない。それでも、毎日、朝早く出発して、会社の近くの喫茶店で勉強していると、だんだん乗ってくるものだ。毎日進展するので勉強することが楽しくなる。そんな風に朝の勉強を楽しみながら進めてほしい。

(2) 昼の勉強
これは微妙だ。昼の時間をしっかりと確保できる人はぜひ活用してほしい。でも、自分はなかなかこの時間は活用できなかった。それでも、例えば、技術ノートの内容をスマホに録音しておいて、それを音楽でも聞くような雰囲気で聞くようなことならカッコ悪くないかもしれない。

(3) 夜の勉強
仕事を終えた後、自宅の最寄り駅の適当な場所でノマドする。最寄り駅から自宅にまっすぐ帰って、勉強できる人ならそれでも良い。でも、自分は、自宅に帰ると風呂に入って、食事して、ビールを飲むともうダメ。とても、勉強する気持ちにならない。このため、最寄り駅で30分から1時間程度の学習時間を確保するようにした。例えば、スタバであれば、朝のコーヒーは302だが、夜のおかわりコーヒーは108円だ。お財布にも優しい(笑)。

(4) 隙間時間の活用
まとまった時間は朝とか夜しか取れないかもしれない。しかし、日常では隙間時間がある。通勤の時間とか、外出先の待ち合わせ時間とか、ちょっと休憩とか。そんな隙間時間でも簡単に活用出来る工夫ができれば時間の有効活用が可能だ。例えば、先に書いたようにスマホに録音したものを聞くのは簡単だろう。作成した技術ノートを広げるのはカッコ悪くても、それをスマホタブレットで見るなら不自然さはないかもしれない。選択問題をA5のサブノートにファイリングして、苦手問題を何度も繰り返すなら5分単位の隙間時間でもできるだろう。


まとめ
技術士試験は難関だ。試験問題のレベルも高度だが、範囲も広い。体力も問われるし、人格も問われる。しかし、志を持って、適切な学習計画を立てて、それを着実に実行すれば合格できる。そして、技術士に合格すれば、あなたの人生は新たなフェースにステップアップするだろう。会社を頼るサラリーマンではなく、会社から頼られるキーパーソンになるかもしれない。独立して事業をするかもしれない。
いろんな可能性が広がるだろう。技術士はチャレンジするに足る資格だ。ぜひ、今日からスタートダッシュして、一気に合格まで走り抜けてほしいと祈念する。

以上

 

 

 

日本人の起源:お伊勢さんにお参りした!

伊勢参り
2018年の新春にいわゆる伊勢神宮をお参りした。伊勢神宮は通称で正式には「神宮」という。下の写真は神宮内宮宇治橋の大鳥居と重なる素晴らしい日の出だ。このような神々しい日の出を見るには冬至の日の出がベストだが、11月下旬から1月下旬の午前7時半頃に観れる。でも、日帰りでは厳しいので前泊が必要だ。
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(出典:神宮のホームページ、参考1)

神宮と三種の神器
そもそも日本書紀では伊勢神宮出雲大社と奈良(天理)の石上神宮のみが神宮と記されていた。明治の大政奉還の時期に、天皇・皇室の祖先神や大和平定に功績のある特定の神を祭神とする神社を神宮と定めた。その中でも伊勢神宮は、皇室の祖先の神である天照大神を祀るため、神宮と呼んだ。なお、神宮の代表は内宮(ないくう)と外宮(げくう)だ。内宮は、天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀る皇大神宮である。外宮は、衣食住や産業の守り神である豊受大御神(とようけのおおみかみ)を祀る豊受大神宮を始め、125の神を祀る宮社全てを示す。鏡(かがみ)と剣(つるぎ)と勾玉(まがたま)はいわゆる三種の神器だ。そして、このうちの鏡は、正式には八咫(やた)の鏡といい、天照大神に自分の姿を映させて、岩戸から引き出すの成功させたもので、内宮に本体を保管し、分身が皇居・吹上御所の「剣璽の間」に安置されているという。

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(出典:大日建設、参考2)

内宮と外宮
下の写真が内宮か外宮かわかりますか?答えは内宮です。最初の日の出の写真と同じところです。なぜ内宮かといえば人々が右側通行だからです。外宮であれば左側通行なのです。内宮と外宮は左右を逆にしています。内宮では参拝前に清めをする御手洗所(みたらし)が右側、外宮では御手洗が左側にあったためと言われている。内宮と外宮は御手洗だけでなく、神殿なども左右が逆になっている。なぜ左右対称としたのかは何か理由があると思われる。f:id:hiroshi-kizaki:20180108102116p:plain
(出典:筆者の撮影、2018年1月5日) 

20年ごとの式年遷宮(しきねんせんぐう)
出雲大社平成の大遷宮として、平成25年(2013年)に本殿を約100億円を投じて御社殿を立て替えて遷宮した。その前が昭和28年(1953年)、明治14年(1881年)、文化6年(1809年)なので、60年から70年おきに遷宮している。一方、神宮は690年以来、原則として20年ごとの式年遷宮を行い、同じ平成25年(2013年)には、第62回式年遷宮が行われた。総費用550億円のうち330億円は伊勢神宮の自己資金、220億円は寄付でまかなわれたという。しかし、不要となった神宮の資材は全国の神社や神宮に回されており、象徴的なリサイクルやリユースが行われている。
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(出典:神宮のホームページ、参考1)

究極のリユース・リサイクル
20年おきに神宮を立て直すことは無駄ではないかと考える人がいるかもしれない。もし、政府の予算で執行していたら事業仕分けでカットされたかもしれない。しかし、式年遷宮は幾つかの重要な意義を持っている。その一つがリユースだ。式年遷宮で生じた古材は東日本大震災などで被災した神宮や神社の復旧に役立っている。森高千里の名曲「渡良瀬橋」は私も大好きだが、そこで歌われていた足利市八雲神社は2012年に残念ながら焼失した。しかし、焼失を惜しむ全国のファンからの寄付金がきっかけとなり、神宮の式年遷宮の古材を譲り受けて移築し、2017年12月に再建した。f:id:hiroshi-kizaki:20180108110733p:plain
(出典:毎日新聞、参考3)

技術の継承
式年遷宮のもう一つの大きな意義は技術の継承だ。神宮の本殿の屋根は茅葺きで、木造建造物だ。しかし、現在の木造建築物のように釘を使っていない。木造と木造を組み合わせている。しかも、設計図がない。現在の本殿を分解して、それを補修して組み立てるのではない。現在の本殿はそのままにして、新しく本殿を建造して、その後に現在の本殿を分解して、リユースする。もし30年間隔だと技術の継承もできなかったかもしれない。円柱の柱も、まずは八角柱を作り、十六角柱を作り、三十二角柱とどんどん角を取って、最後に円柱としている。 大変な技だ。

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(出典:朝日新聞、参考4)

宮大工(みやだいく)と小工(こだくみ)
神社仏閣の建築や補修に携わる人は宮大工と呼び、全国で100人程度だという。従来は徒弟制度だったが、現在は5社程度の会社で運営している。一方、神宮では小工という。謙遜して小さな大工という意味かと思ったら違っていた。神宮は伝統を遵守することが伝統だ。一般に建築の職人は棟梁、副棟梁、大工、小工、手伝いといった分類だが、神宮ではより古くからの頭工、小工という序列を維持している。日本建築学会の資料によると、最も権威を持つのは一頭工だ。
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(出典:日本建築学会、参考5)

御神楽祭(かぐらさい)
神宮内宮神苑では、雅楽を広く伝えるために、毎年春と秋に御神楽祭が行われる。春は昭和の日、秋は秋分の日を挟む3日間だ。雅楽(ががく)は、世界最古のオーケストラとも言われる日本の伝統的な音楽で、2007年にはユネスコ無形文化遺産に登録されている。日本古来の音楽や舞と大陸からの音楽や舞が融合し、10世紀ごろに成立したとされ、以下の3つに大別される。
1) 国風歌舞(くにぶりのうたまい)、宮廷の行事や儀式で演奏される。
2) 大陸系の楽舞、5-9世紀に大陸から伝わった洋楽、唐楽(とうがく)、高麗学(こまがく)
3) 謡物(うたいもの)、日本古来の民詩や声楽、催馬楽(さいばら)や朗詠(ろうえい)など。
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(出典:西口神具店、参考6)

皇紀(こうき)
恥ずかしながら今回のブログを書いていて初めて知ったのが皇紀だ。戦前には西暦ではなく、この皇紀が使われていたという。皇紀とは、神武天皇天皇の位に着いてからの年数だ。昭和15年(1940年)11月10日には皇紀2600年を祝う式典が盛大に開催されたという。しかし、長引く戦争が国民を疲弊させ、この後もさらに国民生活が厳しくなったのは悲しい事実だ。皇紀2700年は2040年だ。これから22年後だ。その時に、日本はどんな世界になっているのだろう。
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(出典:楽天BLOG、参考7)

神宮と伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)
(伊勢の)神宮が日の出る神宮だとすると、淡路島にある伊弉諾神宮は日の入る神宮だという。日本の神社の配置は五芒星(ごぼうせい)の位置や東西、南北で綺麗に計算されている。どうも、神様は幾何学が好きだったようだ。特に、五芒星について語りだすと長くなるので、それは別にブログに回したい。
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(出典:伊弉諾神宮、参考8)

まとめ
小学校の修学旅行で伊勢神宮夫婦岩を見た。でも、印象に残っているのは、これらの観光地ではなく、やたらとハイテンションだった先生だ。なんだか大人が楽しんでいるなあと子供心に感じたことをよく覚えている。日本人であるからには一度はお伊勢参りをしなければと今回、神宮参拝を決めたが、実際にお参りして、ガイドさんから色々と説明を聞くことで初めて知ったことも多かった。また、今回は事前の勉強不足だったけど、次回は博物館や歴史館を訪ねてじっくりと歴史を勉強したいと思った。また、遷宮を20年ごとに行うという伝統を頑なに守る日本文化は尊いし、これからも大切にすべきだと思った。ITを代表とする指数関数的に進化する文化と、2600年以上も変わらない不易な文化を両輪とすることが求められていると思った。その意味では、日本の歴史である皇紀をないがしろにすべきではない。戦争の教訓は真摯に反省する必要があるが、それと日本の文化や歴史をなかったことにするのは別の問題ではないだろうか。

以上

最後まで読んでいただいて本当にありがとうございます。 

参考1:http://www.isejingu.or.jp 
参考2:http://dainichi-k.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-4090.html
参考3:https://mainichi.jp/articles/20171209/ddl/k09/040/247000c
参考4:http://www.asahi.com/gallery/sengu_ise/20120304.html
参考5:https://www.jstage.jst.go.jp/article/aija/67/554/67_KJ00004075273/_pdf
参考6:http://ise-miyashi.com/06jingu/saijiki/kagurasai/kagurasai.html
参考7:https://plaza.rakuten.co.jp/chusan55/diary/201007270000/
参考8:http://blog.naomiangel.info/?p=1093