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新米技術士の成長ブログ

日本人の起源:お伊勢さんにお参りした!

伊勢参り
2018年の新春にいわゆる伊勢神宮をお参りした。伊勢神宮は通称で正式には「神宮」という。下の写真は神宮内宮宇治橋の大鳥居と重なる素晴らしい日の出だ。このような神々しい日の出を見るには冬至の日の出がベストだが、11月下旬から1月下旬の午前7時半頃に観れる。でも、日帰りでは厳しいので前泊が必要だ。
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(出典:神宮のホームページ、参考1)

神宮と三種の神器
そもそも日本書紀では伊勢神宮出雲大社と奈良(天理)の石上神宮のみが神宮と記されていた。明治の大政奉還の時期に、天皇・皇室の祖先神や大和平定に功績のある特定の神を祭神とする神社を神宮と定めた。その中でも伊勢神宮は、皇室の祖先の神である天照大神を祀るため、神宮と呼んだ。なお、神宮の代表は内宮(ないくう)と外宮(げくう)だ。内宮は、天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀る皇大神宮である。外宮は、衣食住や産業の守り神である豊受大御神(とようけのおおみかみ)を祀る豊受大神宮を始め、125の神を祀る宮社全てを示す。鏡(かがみ)と剣(つるぎ)と勾玉(まがたま)はいわゆる三種の神器だ。そして、このうちの鏡は、正式には八咫(やた)の鏡といい、天照大神に自分の姿を映させて、岩戸から引き出すの成功させたもので、内宮に本体を保管し、分身が皇居・吹上御所の「剣璽の間」に安置されているという。

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(出典:大日建設、参考2)

内宮と外宮
下の写真が内宮か外宮かわかりますか?答えは内宮です。最初の日の出の写真と同じところです。なぜ内宮かといえば人々が右側通行だからです。外宮であれば左側通行なのです。内宮と外宮は左右を逆にしています。内宮では参拝前に清めをする御手洗所(みたらし)が右側、外宮では御手洗が左側にあったためと言われている。内宮と外宮は御手洗だけでなく、神殿なども左右が逆になっている。なぜ左右対称としたのかは何か理由があると思われる。f:id:hiroshi-kizaki:20180108102116p:plain
(出典:筆者の撮影、2018年1月5日) 

20年ごとの式年遷宮(しきねんせんぐう)
出雲大社平成の大遷宮として、平成25年(2013年)に本殿を約100億円を投じて御社殿を立て替えて遷宮した。その前が昭和28年(1953年)、明治14年(1881年)、文化6年(1809年)なので、60年から70年おきに遷宮している。一方、神宮は690年以来、原則として20年ごとの式年遷宮を行い、同じ平成25年(2013年)には、第62回式年遷宮が行われた。総費用550億円のうち330億円は伊勢神宮の自己資金、220億円は寄付でまかなわれたという。しかし、不要となった神宮の資材は全国の神社や神宮に回されており、象徴的なリサイクルやリユースが行われている。
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(出典:神宮のホームページ、参考1)

究極のリユース・リサイクル
20年おきに神宮を立て直すことは無駄ではないかと考える人がいるかもしれない。もし、政府の予算で執行していたら事業仕分けでカットされたかもしれない。しかし、式年遷宮は幾つかの重要な意義を持っている。その一つがリユースだ。式年遷宮で生じた古材は東日本大震災などで被災した神宮や神社の復旧に役立っている。森高千里の名曲「渡良瀬橋」は私も大好きだが、そこで歌われていた足利市八雲神社は2012年に残念ながら焼失した。しかし、焼失を惜しむ全国のファンからの寄付金がきっかけとなり、神宮の式年遷宮の古材を譲り受けて移築し、2017年12月に再建した。f:id:hiroshi-kizaki:20180108110733p:plain
(出典:毎日新聞、参考3)

技術の継承
式年遷宮のもう一つの大きな意義は技術の継承だ。神宮の本殿の屋根は茅葺きで、木造建造物だ。しかし、現在の木造建築物のように釘を使っていない。木造と木造を組み合わせている。しかも、設計図がない。現在の本殿を分解して、それを補修して組み立てるのではない。現在の本殿はそのままにして、新しく本殿を建造して、その後に現在の本殿を分解して、リユースする。もし30年間隔だと技術の継承もできなかったかもしれない。円柱の柱も、まずは八角柱を作り、十六角柱を作り、三十二角柱とどんどん角を取って、最後に円柱としている。 大変な技だ。

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(出典:朝日新聞、参考4)

宮大工(みやだいく)と小工(こだくみ)
神社仏閣の建築や補修に携わる人は宮大工と呼び、全国で100人程度だという。従来は徒弟制度だったが、現在は5社程度の会社で運営している。一方、神宮では小工という。謙遜して小さな大工という意味かと思ったら違っていた。神宮は伝統を遵守することが伝統だ。一般に建築の職人は棟梁、副棟梁、大工、小工、手伝いといった分類だが、神宮ではより古くからの頭工、小工という序列を維持している。日本建築学会の資料によると、最も権威を持つのは一頭工だ。
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(出典:日本建築学会、参考5)

御神楽祭(かぐらさい)
神宮内宮神苑では、雅楽を広く伝えるために、毎年春と秋に御神楽祭が行われる。春は昭和の日、秋は秋分の日を挟む3日間だ。雅楽(ががく)は、世界最古のオーケストラとも言われる日本の伝統的な音楽で、2007年にはユネスコ無形文化遺産に登録されている。日本古来の音楽や舞と大陸からの音楽や舞が融合し、10世紀ごろに成立したとされ、以下の3つに大別される。
1) 国風歌舞(くにぶりのうたまい)、宮廷の行事や儀式で演奏される。
2) 大陸系の楽舞、5-9世紀に大陸から伝わった洋楽、唐楽(とうがく)、高麗学(こまがく)
3) 謡物(うたいもの)、日本古来の民詩や声楽、催馬楽(さいばら)や朗詠(ろうえい)など。
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(出典:西口神具店、参考6)

皇紀(こうき)
恥ずかしながら今回のブログを書いていて初めて知ったのが皇紀だ。戦前には西暦ではなく、この皇紀が使われていたという。皇紀とは、神武天皇天皇の位に着いてからの年数だ。昭和15年(1940年)11月10日には皇紀2600年を祝う式典が盛大に開催されたという。しかし、長引く戦争が国民を疲弊させ、この後もさらに国民生活が厳しくなったのは悲しい事実だ。皇紀2700年は2040年だ。これから22年後だ。その時に、日本はどんな世界になっているのだろう。
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(出典:楽天BLOG、参考7)

神宮と伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)
(伊勢の)神宮が日の出る神宮だとすると、淡路島にある伊弉諾神宮は日の入る神宮だという。日本の神社の配置は五芒星(ごぼうせい)の位置や東西、南北で綺麗に計算されている。どうも、神様は幾何学が好きだったようだ。特に、五芒星について語りだすと長くなるので、それは別にブログに回したい。
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(出典:伊弉諾神宮、参考8)

まとめ
小学校の修学旅行で伊勢神宮夫婦岩を見た。でも、印象に残っているのは、これらの観光地ではなく、やたらとハイテンションだった先生だ。なんだか大人が楽しんでいるなあと子供心に感じたことをよく覚えている。日本人であるからには一度はお伊勢参りをしなければと今回、神宮参拝を決めたが、実際にお参りして、ガイドさんから色々と説明を聞くことで初めて知ったことも多かった。また、今回は事前の勉強不足だったけど、次回は博物館や歴史館を訪ねてじっくりと歴史を勉強したいと思った。また、遷宮を20年ごとに行うという伝統を頑なに守る日本文化は尊いし、これからも大切にすべきだと思った。ITを代表とする指数関数的に進化する文化と、2600年以上も変わらない不易な文化を両輪とすることが求められていると思った。その意味では、日本の歴史である皇紀をないがしろにすべきではない。戦争の教訓は真摯に反省する必要があるが、それと日本の文化や歴史をなかったことにするのは別の問題ではないだろうか。

以上

最後まで読んでいただいて本当にありがとうございます。 

参考1:http://www.isejingu.or.jp 
参考2:http://dainichi-k.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-4090.html
参考3:https://mainichi.jp/articles/20171209/ddl/k09/040/247000c
参考4:http://www.asahi.com/gallery/sengu_ise/20120304.html
参考5:https://www.jstage.jst.go.jp/article/aija/67/554/67_KJ00004075273/_pdf
参考6:http://ise-miyashi.com/06jingu/saijiki/kagurasai/kagurasai.html
参考7:https://plaza.rakuten.co.jp/chusan55/diary/201007270000/
参考8:http://blog.naomiangel.info/?p=1093