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aiboはソニー復活の救世主となるか

aibo発売開始!
2017年11月1日に自立型エンターテインメントロボット「aibo」の発売を発表した。そして、2018年1月11日にaiboの発売を開始した。戌年で1(one)にこだわった発表スケジュールや販売スケジュールだ。このような遊び心がソニーに出てきたのをソニーファンとしては喜ぶ。でも、本当に拘るなら11月1日より11月11日ではないか。先行発売はファンとしては嬉しいが、クリスマス商戦を狙うなら毎年11月11日に新モデルを発売するような年間スケジュールを立てて欲しいとも思う(笑)。

AIBOからaiboへの振り返り
一般的に初代AIBOといえば、1999年6月1日に限定発売されたERS-110だろう。わずか20分で売り切れになったという伝説が残っている。そのあと、改良を重ね、2003年に5代目となるERS-7を発売する。Wi-Fi機能に初めて対応した。しかし、ソニーの業績の悪化により出井会長(当時)が2004年の経営会議でロボット事業からの撤退を決め、2005年に就任したストリンガーCEO(当時)がロボット事業の生産終了を実行した。AIBOが活躍したロボカップは2007年まで続いた。撤退からほぼ10年経過した2016年6月にはロボット事業への再参入を発表した。2017年7月のロボカップ2017年名古屋大会ではAIBOが展示された。そしてERS-7M3の販売終了から約12年後となる本年1月11月にERS-1000を発売した。パチパチ!

AIBOからaiboへの成長点
初代のAIBO(ERS-110)や5代目AIBO(ERS-7)と比べて新aibo(ERS-1000)はどのような点が成長したのだろうか。Wikiの日本語版には掲載がないが、英語版には比較表があったので、そこの内容を抜粋した。CPUは、スマホでも使われているSnap Dragon820らしい。性能的には当然成長しているし、センサーや駆動部なども飛躍的に増加していて、より自然な動作が可能だ。消費電力は増加していているが、電池の性能も高まっているので動作時間は2時間と伸びている。今後、aiboミニとか、aiboジャンボとか出てくるのだろうか(笑)。

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(出典:Wikiの英語版から編集、参考1)

AIとクラウド連携
今までのAIBOと新aiboの最大の違いは、ハードウェアのスペックではなく、AIとクラウド連携だろう。AIのエンジンにより、人間の個体を認識し、その人が喜ぶことを学習するという。また、利用者が合意すれば、学習した内容をクラウドにアップして、他のaiboとの共通知識として活用することできる。これは大きな進歩であるし、将来にわたって加速度的な進歩を予感させる。パートナー企業と連携して、教育とか、知育、見守りなどのアプリケーションが充実すると大きな市場規模に成長する可能性がある。
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(出典:PC Watch、参考2)

2020年には日本でWorld Robot Summit
2020年には東京オリンピックパラリンピックが開催される。そして、同じ2020年には世界ロボットサミットを日本で開催予定だ。RoboCupなども盛り上がるだろう。まさに、エンタテインメントのためのロボットが今後盛り上がっていくと期待される。
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(出典:ロボカップサミット、参考3)

癒し系ロボットとしての期待
下の図は人間が本当の犬に癒されるのと同様にAIBOでも癒されるのかを実験したものだ。MLAPSはざっくりと言えば、癒しの尺度だ。本当の犬にはかなわないが、高い癒し効果が確認されている。新aiboの癒し度はどこまで本当の犬に追いつくのだろうか。シンギュラリティが議論されているが、AIの進歩により、本当の犬よりもaiboに癒されるという時代がくるのかもしれない。

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(出典:Robots.nu、参考4)

aibo普及のための検討課題
aiboはまだキャズムの谷を超えていない。今後、先行的なマニアだけでなく、アーリーアダプターにとどまらず、アーリーマジョリティに使ってもらうには克服すべき課題が多い。特に次の6点だ。
1) コストaiboでは月額モデルを導入したが、本体20万円はやはりまだまだ高額だ。LTEの利用料金も気になるところだ。スマホの料金を含め、料金の低廉化は永遠の課題だ。
2) 電池性能:3時間充電して2時間利用できるという。重量とのトレードオフがあるが、やはり8時間充電して16時間利用できるような人間並みの性能が欲しい。
3) カスタマイズ:従来のAIBOではOpen-Rでカスタマイズが出来た。aiboでもカスタマイズのSDKを検討しているようだ。スマホのアプリとの連動でより操作性が高まると嬉しい。また、aiboの外見も複数の犬種から選んだり、かつての愛犬の面影を盛り込んだりできるといいなあ。
4) パートナーシップSonyのみでなく、他の異業種の会社との連動は市場を広げる意味からも効果的かつ重要だろう。
5) ポータビリティスマホのようにいつもそばにいて欲しいと思う。そのためには2.2kgではなく、220g程度を目指すべきだと思うのは自分だけだろうか。
6) バーチャル化の可能性aiboの癒し効果を体感したいのであれば、実はハードは不要かもしれない。幽体離脱ではないが、物理的な軽量化を目指す代わりに、普段のaiboは家庭で留守番しているが、スマホの画面やVRグラスでソフトベースでのaiboとの触れ合いを感じられるのであれば、それもありではないか(笑)。

まとめ
aiboは日本に限らず全世界的に販売数が増大するのだろう。日本においては人口が減少傾向にあるが、産業用ロボットに加えて、癒し系ロボットがどんどん普及するとそのうちロボットの数の方が人間の数より多くなるのだろうか。携帯電話やスマホは1980年代から世代交代するたびに革新し、すでに携帯の数は日本の人口を超えている。2020年に登場する第五世代では、携帯やスマホだけでなく、IoTを含めて広く使われることを想定している。そのうちの一つはこの癒し系ロボットだ。そして、ロボット同士が知恵や情報を共有するようになると、一人に一台の癒し系ロボットといった時代も遠からず来るのかもしれない。 

以上

最後まで読んでいただいてありがとうございます。

参考1:https://en.wikipedia.org/wiki/AIBO#ERS-1000 
参考2:https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1089417.html 
参考3:http://worldrobotsummit.org
参考4:https://www.slideshare.net/robotsnu/animal-robotic-assistance-for-a-better-life