LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

通信の進化:ICTは人を幸せにできるだろうか。

日本ITU協会の交流会&セミナー
日本ITU協会主催のセミナが12月8日の夜、メルパルク東京で開催された。日本ITU協会とは、1971年9月に設立された一般財団法人であり、ITU等の国際機関への各種活動への協力や発展途上国への技術協力等を行う機関である。

ITUITU勧告
自分が当時の国際電信電話株式会社に入社したのが1978年4月なので、その7年ほど前に設立された歴史ある機関だ。電信サービス、テレックス(加入電信)サービス、電話サービスなどの国際標準を制定するのが国際電気通信連合(ITU)だ。国連の下部機関でもある。現在は、無線通信部門(ITU-R)、国際電気通信標準化部門(ITU-T)、電気通信開発部門(ITU-D)と事務総局から構成する。自分が入社した当時は、国際テレックスが全盛期で、国際電話が急増し、将来の通信方式としてテレテックスが議論されていた。当時はITU-Tではなく、CCITTと呼んでいた。CCITTのX.25というとパケット通信方式を規定した勧告だ。当時のパケット通信方式は最先端だった。X.25は現在のインターネットの通信方式(TCP/IP)よりも古い方式で、OSIの7層レイヤー構造に準拠したものだ。内容を理解するのに必死で勉強したものだ。現在では小学生でも意味は理解していなくても、パケットという言葉は知っている。

WRCとRR
KDDI合併時からはモバイルの世界に飛び込み、いつの間にか無線家になった。無線家にとっては、数年に一度開催されるITU-Rの世界無線通信会議(WRC)は大イベントだ。このWRCでは世界無線規則(RR)を決めたり、改定する。RRでは世界的な周波数の利用方法や衛星軌道の利用方法などを決める。2020年をターゲットに世界中のモバイル関係者が頑張っている5Gをどのような周波数で運営するかは、2015年のWRCで議論されたが、世界の合意を得ることはできなかった

 2020年の東京オリンピックに向けての綱渡り
 2015年のWRC-15で合意できなかったため、次のチャンスは2019年のWRC-19だ。一方、実質的な5Gの通信方式を検討している3GPPという機関では2017年7月にリリース14をまとめた。これは5Gの基本的な考え方を整理するものだ。そして、2018年の9月に向けてリリース15を策定中だ。これは5Gのフル使用ではなく、フェーズ1と呼ばれる規格群をまとめるものだ。それに沿ってWRC-19で5Gで使う周波数を世界的に合意して、2020年の東京オリンピックに間に合わせようという大変な綱渡りだ。

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(出典:NETMANIAS、参考3)
世界で最もスマホが繋がらない場所?
昨日は、総務省総合通信基盤局長による「5Gで生活が変わる~2020年、ワイヤレスは、スーパーインフラになる!!」という演題での講演だった。東京オリンピック会場で何千人という人が4Kや8K対応のスマホで競技の実況放送を見るような世界が期待されている。しかし、一歩間違ったら世界で最もスマホが繋がらなくなる場所になるかもしれない。笑えない悲劇だ。そんな悲劇はもちろん避ける必要があるが、技術の進歩に対応して利用トラヒックは毎年倍増している。

利用者増✖️通信速度の増
1968年にポケベルが登場した時の年度末の目標数2000件だった。2017年1月時点での携帯電話および広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)の合計は2億契約を超えている。50年で約10万倍だ。2000年をターゲットにした3G(IMT-2000)では最大数Mbpsの最大速度だった。2020年をターゲットにする5G(IMT-2020)では最大10Gbpsを目指す。20年で千倍以上だ。利用トラヒックは、この利用者の増と利用者の平均利用トラヒックの増の掛け算で増加する。正確な統計情報はないが、Wi-Fiへの移行トラヒックを加味すると1年で倍増すると考えられる。もし、この毎年倍増が10年続くと一体何倍に増加すると思いますか?

ゾンビのように蘇るパケ死の恐怖
毎年倍増が10年続くと千倍になる。モバイルは第一世代から、第二世代、第三世代、第四世代、そして、第五世代とほぼ10年で世代交代しているが、その10年間にトラヒックは千倍に増加する。したがって、世代交代が起こる直前には「パケ死」が起きている。LTEが登場してからモバイルの世界ではパケ死」は死語になった。しかし、2020年になっても第5世代(5G)のモバイルシステムが立ち上がらなければ、パケ死ゾンビのようによみがえるかもしれない。

つながることで変わる世界
電話サービスが1億人の利用者を獲得するのに75年の時間を必要とした。Webでは7年、Facebookは4年、Instagramは2年。そして、昨年の夏にリリースされたポケモンGoではなんと1ケ月で達成した。電話の75年と比較するとポケモンGOの1ケ月は900分の1だ。全世界にスマホを普及すると、そのプラットフォーム上に展開される新しいサービスは一瞬で世界中の人々が使い始めるような世の中になったということだ。

経済的な豊かさと心の豊さ
世界の情報通信技術は進化の速度を加速している。多分、誰にもこれを止めることはできない。しかし、一方で、経済的な豊さ(一人あたりのGDP)と鬱の比率に相関関係が確認されている。つまり、経済的な豊かさと心の豊さは反比例するということだ。これからの社会的な課題は、経済的な豊と同時に心の豊さを高めるようなICTの利活用を目指すことではないだろうか。総務省の渡辺局長は、講演の中でそんな問題提起をされていた。
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(出典:社会実情データ図鑑、参考4)

まとめ
最近では免許不要で利用可能なISM帯の周波数(特に2.4GHz)の輻輳がひどいと感じることが多い。電子レンジも、Wi-FiBluetoothもこの2.4Ghzを利用しているためだ。Bluetooth対応のヘッドセットは便利だけど、コンビニで電子レンジが動き出すと雑音がひどい。繁華街の交差点ではWi-Fiの電波が錯綜していて、音楽が急に乱れる。これからIoT技術が普及すると良いことはいっぱいあるけど、課題も山積するだろう。悪意を持ったサイバー攻撃からいかに身を守るかも切実な問題だ。昨日は、日本ITU協会の総会と交流会を兼ねていて、各業界の大先輩やVIPが多数参加されていた。これからの10年後、20年後、40年後、80年後がどうなるか、どのような社会を目指すかを考えるのは我々の世代の責務だろう。

以上 

参考1:https://www.ituaj.jp
参考2:https://en.wikipedia.org/wiki/International_Telecommunication_Union
参考3:https://www.netmanias.com/en/post/oneshot/11147/5g/timeline-of-5g-standardization-in-itu-r-and-3gpp
参考4:http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/images/2156.gif

不祥事問題:なぜ起きるのか?どう対処するのか?

はじめに
技術士として活躍するには、一次試験と二次試験に合格して、登録する必要がある。現在、経営工学部門の二次試験にトライ中で、筆記試験はなんとか合格し、12月9日に口頭試験を渋谷のフォーラムエイトという会場で受験する。総合技術監理部門は年明けが多いが、一般部門は早ければ11月下旬から始まっている。だんだん口頭試験が近づいてきて、ドキドキしてきた。散髪でもして気合いを入れようかと考えている(笑)。その口頭試験で聞かれる定番の一つが倫理問題だ。そのため、最近の相次いでいる不祥事がなぜ発生するのか、どうすれば良いのかを少し考えてみたい。

1. 相次ぐ不祥事
なぜか毎年秋になると不祥事の発覚が相次ぐような気がする。次の表は、今年の9月以降に発生した不祥事だ。日産自動車SUBARUは完成車の最終検査を無資格者にさせていたものだ。そして、ハレーションが大きかったのは神戸製鋼所三菱マテリアル東レのデータ改ざんだ。素材の品質データを改ざんすることがどれだけ社会の安全安心を脅かすことになるのかを考えると猛省が求められる。f:id:hiroshi-kizaki:20171206194730p:plain
(出典:社会科学者の随想、参考1)

2. 不祥事のステータス
2.1 不祥事の発生フェーズ
不祥事が問題になるのは、発覚して、新聞やテレビで報道された時だ。しかし、問題はいつ発生したのか、なぜ発生したのか。どのような背景があったのか。当事者は悪いことをしてはいけないと分かっていたはずなのになぜ不正を働いてしまったのか。それは利己的な原因かもしれないし、組織の論理で止むを得ず応じてしまったのかもしれない。本当の真実は当事者の心の中にしかないのかもしれないが、発生フェーズの事実関係を確認することは調査の第一歩だろう。

2.2 不祥事の継続フェーズ
組織の中で不正を働くとそれを隠すため、もしくは正当化するため、第二の不正を働くケースがある。完成車の検査をすべき有資格者がいないのに、止むを得ず無資格者が検査して、資料を捏造する。しかし、社内的にはそんなことは言えないとすると、次の検査も無資格者が続いてやることになるのかもしれない。有資格者がいないと検査できないとはいえず、何度もなんども不正行為を重ねると、慢性化し、必要悪のように既成事実化して、不正行為をしているという意識もなくなってしまうのかもしれない。

2.3 不祥事の発覚フェーズ
不正を継続している当事者は麻痺していても、それに新たに巻き込まれる人はおかしいと感じる。そんな時に、これはおかしいと上司に伝えて、それが是正されるような会社は自浄機能を有している会社だ。しかし、そんな自浄機能がない会社の場合には、不正を行う当事者を増やすことになる。どう考えてもおかしいと考える当事者は内部告発を行って不祥事が発覚するのがこの発覚フェーズだ。内部告発者を救済するために、公益通報者保護法が制定されている。しかし、ニュースで見る限り、法に沿って、適切な手順で内部告発したというよりは、ネットへの書き込みを社内外の関係者が見て、公になる。そんな事例が多いようだ。

3. 不祥事の社会的問題
3.1 品質の問題(安全問題)
不祥事がなぜ社会的に問題になるのかというと、安全の問題と安心の問題だ。まず、最初の安全の問題とは、品質の問題だ。先の事例でも素材メーカーが検査データを改ざんした結果、それを活用して最終製品を製造するメーカーは予定した品質を担保できない。結果として、品質上の問題が発生するかもしれない。これは看過できない問題だ。

3.2 信頼性の問題(安心問題)
不祥事を起こした企業は、品質上の問題はないので安心して欲しいとよく発表する。しかし、それはおかしい。宣言した品質を満足しない製品を発売し、ルールで定められた行動から逸脱して品質の問題はないとどうして宣言できるのだか。問題がないという証明は出来ないはずだ。そして、社会はそんな企業を信用しない。信用を築くのは大変だが、信用を失うのは一瞬だ。しかも、度重なる不祥事を繰り返すような企業は最悪社会から抹殺されることになる。下の図は、コンプライアンス違反関連で倒産した件数と負債総額の推移だ。

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(出典:東京商工リサーチ、参考2)

4. 不祥事はなぜ発生し、継続し、発覚するのか?
4.1 環境の変化への対応が技術の継承を絶ち、現場力を崩壊させたのか。
下の図は、パナソニックが、公益通報者保護法の説明会の時に用いた資料からの抜粋だ。創業者の松下幸之助の熱い想いに溢れている。公明正大な風土の醸成が継続されたからこそ、素晴らしいグローバル企業となったのだろう。

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(出典:公益通報者保護法説明会資料、参考3)
公明正大な遺伝子を持つパナソニックでは不祥事は発生していない。しかし、幹部が驚くほど現場の技術伝承が困難となっている。製造現場での正社員の比率が3割から、2割、1割と減少するような現場はパナソニックだけではない。日本全体の問題だ。自分自身もかつて一緒に働いた派遣社員から次のように言われたことがある。それは、「自分に対して教育してくれるのはありがたい。でも、自分はあるタイミングで別の会社に転職する。それが派遣社員だ。あなたのノウハウをしっかりと引き継げる人に引き継いで欲しい。」という内容だった。そんなことは言われなくてもわかっている。上司には正社員をアサインするように何度も要請していた。しかし、正社員がアサインされたのは自分が異動するときだった(涙)。f:id:hiroshi-kizaki:20171206201923p:plain
(出典:朝日新聞、2017年10月29日、参考4)

4.2 集団浅慮:みんなで渡れば怖くない心理
集団浅慮(せんりょ)とは、集団心理とも言われる。誤解を恐れずに言えば、赤信号でもみんなで渡れば怖くないという心理だ。米イェール大学の実験心理学者は、集団で合議を行う場合に、不条理な意思決定が容認される現象を研究した。有名な8つの症状は次の通りだ。個人の意見よりも集団の和や、組織の「空気」を尊重し、リーダの意思を「忖度」する日本の組織では、この集団浅慮への深い理解と対策が欠かせない。

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(出典:実戦的用語解説、参考5)

4.3 ネットの普及と活用:増える不正な内部告発
社内の不適切な行為を通報したもの(公益通報者)が適切に保護されるように公益通報者保護法が2006年4月に施行された。そして、公益通報するには、まず社内に通報し、その上で、やむをえない場合に外部や行政機関に公益通報するように定めている。しかし、近年発覚する不祥事の多くはこのような正規の手順を踏むのではなく、派遣社員がネットに書き込んで、それを社内外の関係者が見つけて不祥事が発覚するというケースが多いようだ。
*1 不正の目的の通報でないこと。
*2 *1に加え、通報内容に真実相当性があること。
*3 *2に9和え、一定の要件を満たすこと

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(出典:消費者庁、参考6) 

5. 不祥事をいかにしてなくするのか
5.1 ハインリッヒの法則
重大な問題の背後には29件の軽微な問題が発生していて、さらに300件のヒヤリハットが発生しているというのは有名なハイリッヒの法則だ。重大な不祥事が発生する企業では、軽微な問題やヒヤリハットはやはり日常的に発生しているはずだ。それらの問題を見逃さず、適切な対策を検討して、解決していく。そんな風にPDCAを回すような企業風土度を醸成することが、地道ではあるが王道なのだと思う。そして、その時に、軽微な事故やヒヤリハットをできるだけオープンにすることだ。社外に開示できるものと社内に限定するものを区別することは必要かもしれない。しかし、実態はネットでどんどん暴露されていることを考えると、できるだけオープンに情報を共有して、関係者の改善を後押ししたい。

5.2 内部通報者保護法の見直し
これは法的な問題なので、専門外だが、改善の余地はあるだろう。企業の不祥事ではないが、いじめを撲滅するために、いじめの兆候をSNSで通報できる仕組みが海外で開発され、国内でも一部試験的に導入されている。過去1年間の通報件数以上が1週間ほどで集まったという。企業の不祥事をなくすことが目的だが、そのためにはその実態を気軽に通報できる仕組みと、それを精査して、事実関係を確認して、対処する。そんな機動的な対応が求められるのではないだろうか。

5.3 技術の継承
労働者派遣法は1986年に施行された。その後も社会環境の変化に合わせて改正している。人件費を抑制するために、派遣社員の活用や業務委託の活用を続けた結果、いわゆる正規社員の比率はどんどん低下し、結果的に製造現場の技術力の低下や技術の継承に支障が出ていることはないのだろうか。人件費の抑制は企業経営の重要な問題かもしれないが、同時に人材の活用や人材の育成は企業経営の基本だ。不祥事を起こすのは、組織ではなく、組織の構成員である役員・社員だ。立場は別にして、先の松下幸之助のような高い志を抱き、公明正大な風土を醸成することが求められているのではないだろうか。
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(出典:教育文化協会、参考7)

6. まとめ
テレビを見ていると評論家が不祥事についてコメントしている。指摘されている通りだと思う。しかし、表面的な事象を取られて批判しても問題は解決しないだろう。それよりも、なぜ発生したのか、なぜ継続したのか、どうして是正出来ずに発覚に至ったのか。そんな複合的な問題として、事実関係を深堀りすると同時に、そのような不祥事以前の不正をしないという企業風土の醸成が求められる。企業業績が悪化すると役員の倫理観が低下するという調査結果もある。社員の倫理観の醸成と同時に、経営者の毅然としたぶれない高い倫理観が求められている。

以上

参考1:http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/
参考2:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171014-00000054-san-bus_all
参考3:http://www.caa.go.jp/planning/koueki/shuchi-koho/pdf/130313_3.pdf 
参考4:http://www.page.sannet.ne.jp/mhvmhv/innova.htm 
参考5:http://www.educate.co.jp/glossary/3-education/100-group-think-.html
参考6:http://www.caa.go.jp/adjustments/houkoku/honbun_2_1_3.html
参考7:https://www.rengo-ilec.or.jp/seminar/hitotsubashi/2008/2_youroku04.html

メディアの栄枯衰退:新聞の存在意義

1. はじめに
 日々全国を行脚しているので、新聞は購読していない。でも、コンビニや駅の売店で日本経済新聞を購入して読むことが多い。コメダコーヒーに入ると中日新聞やスポーツ新聞が用意されている。ガストに入ると読売新聞を無料で読める。ホテルに泊まると、やはり読売新聞は自由にピックアップできるところが多い。新聞の購読数や発行部数はどうなっているのだろうか?
 毎月第一日曜日は資源ごみの回収の日だけど、新聞を出すのをつい忘れてしまい、たまってしまう。今回は、頑張って新聞のゴミを一掃した。会社では紙の資料はほぼなくなったのに、日常生活ではまだ新聞に依存している。全国規模ではどれだけの資源とコストと工数を費やしているのだろう。
 新しい情報はネットの方が早い。突っ込んだ特集なら雑誌やテレビの方が面白い。では、新聞の役割は何だろうか?自分は網羅性だと思っている。見たい記事だけではなく、その横にある小さな記事を新鮮に読むことがある。気にもしなかった視点に気づかせてくれることもある。興味のない分野でも解説読むと気づきを得ることも多い。
 技術士の試験では書く力を求められる。よく新聞の記事のように誰が読んでもわかるのが良いと言われる。結論をまず書いて、理由を書いて、事例で広げて、また結論を書くようなPREP法は新聞記事ではよく活用されていて、大変参考になる。
 一方で、利用者が費やする時間はどんどんネットに移行しているように思う。また、そもそも貴重な森林資源を使って紙に印刷して、人が配るというのは未来的ではない。どこかで破綻するだろう。
 メーカーの不祥事は、新聞や雑誌、テレビでニュースになるが、メディア業界の不祥事をメディアが叩くことは少ない。やはり身内意識があるのだろうか。新聞業界に自浄能力はあるのだろうか?10年後、20年後に新聞業界が生き延びるにはどのような戦略が必要なのだろうか?そんな未来志向の視点から現実をレビューしてみたい。

2. 新聞の凋落
2.1 2017年前期における主要全国紙の発行部数
自分が購読する比率が高いのは、やはり日経新聞だ。自宅では、朝日新聞をとっている。ホテルでは読売新聞を目にすることが多い。そんな感覚だったので、読売新聞の部数がトップというのは(業界の常識だったのかもしれない)びっくりした。下の図では883万部だが、数年前までは1000万部超を誇るのは読売新聞だけだったというのにもう一度びっくりした。
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(出典:Garbage、参考1)

2.2 主要全国紙の年次部数推移
下のグラフは1968年から2015年までの推移だ。1968年時点では朝日新聞がトップで、1977年に読売新聞がトップになった。この時に、読売新聞は国内でトップだけでなく、世界でも当時のソ連プラウダを抜いてトップになったという。1995年頃からは読売新聞は1000万部、朝日新聞は800万部、毎日新聞は500万部、日経新聞は300万部という安定経営の時代が続いたが、ネットやスマホの利用が本格化した頃から新聞の凋落が始まったように見える。

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(出典:総合ランキングニュース、参考2)

2.3 新聞各社の経営経営状況
下の比較表は2015年10月時点のものだ。この資料によれば売上高のトップは朝日新聞で、ついで読売新聞、日経新聞毎日新聞産経新聞という順番だ。営業利益では、日経新聞がトップで、ついで朝日新聞だ。読売新聞は非公開だ。一方、従業員数で見ると、朝日新聞がトップで、日経新聞に2位で、毎日新聞が3位、そして読売新聞が4位だ。読売新聞の非公開情報が多いのは何故なのだろう。各社の決算書を精査すると面白そうだ。読売新聞は経営内容よりも発行部数にこだわっているように見える。
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(出典:The Capital Tribune、参考3)

2.4 全国紙の部数の減少傾向
同じはてなのブログでマスメディア関連のウェブサイト巡回をされているedgefirstさんの図を下に引用した。2014年4月と2011年4月の部数を比べると、日経新聞が8%ほど減少していているが、読売新聞、朝日新聞毎日新聞は4%程度の減少にとどまっている。そして、産経新聞は増加している。なぜだろう。
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(出典:edgefirst、参考4)

3. メディアの状況
3.1 メディアの接触時間
下の図は、博報堂DYメディアパートナーズがメディア定点調査2016でメディアの接触時間について2006年と2016年で比較したものだ。もっとも多いテレビは171分から153分と10.5%減少している。新聞は32.2分から20.4分(構成比5.2%)へと36.6%減少している。逆に、ネット利用(パソコン+タブレット+携帯・スマートフォン)は87.2分から176.6分(構成比45%)へと約2倍に増加している。f:id:hiroshi-kizaki:20171204210921p:plain
(出典:博報堂DYメディアパートナーズ、参考5)

3.2 諸外国でのメディア別の広告費
下の図は、Warc dataに掲載されているメディアの広告費(2010年)の18ケ国の比較を筆者が少し編集したものだ。新聞広告がもっとも多かったのがアイルランドでなんと47%で日本は16%だった。テレビ広告がもっとも多いのはブラジルでなんと68%で日本は43%だった。ネット利用がもっとも多かったは英国の29%で、日本は16%だった。日本の構成比は、米国の構成比に近いが、Outdoorの比率が高いのと、広告のネットへのシフトが米国に比べると遅れているようだ。

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(出典:Warc data、参考6)

3.3 日本でのメディアの接触時間の推移
下の図は博報堂DYが調査したメディア接触時間の2006年から2017年までの推移だ。テレビやラジオ、新聞などの旧メディアの接触時間の構成比が減少する一方で、ネット関連の接触時間が確実に増加し、2017年には30%を超えている。新聞の比率は2015年以降は5%台に過ぎない。しかし、この変化はまだ変化の途中と見るべきだろう。先行する欧米の動向を考慮すると、10年後にはネット広告の比率は60%は超えているのだろう。ネット以外が70%から40%に減少すると仮定するとその時の新聞は現在の57%相当、つまり構成比で3%を切っていることになる。新聞各社の経営体制が今後10年現状通り継続するとは思えない。

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(出典:博報堂DYメディアパートナーズ、参考7)

3.4 一人当たりの発行部数
下の図は、一人1日当たりの新聞の発行部数を諸外国と比較したものだ。これもmisukiruさんのブログからの引用だ。注目すべきは日本の多さで二位の韓国の2.7倍だ。日本人が新聞大好きなのはわかるが、先に見たようにメディアの接触時間では5%台にまで減少しているのに、これほど発行部数が多いのはなぜなんだろう。注意すべきは発行部数と購読部数は異なるという点だ。f:id:hiroshi-kizaki:20171204214104p:plain(出典:misukiruさんのブログ、参考8)

3.5 新聞業界の売上高の推移
日本新聞協会のホームページには、2004年度から2016年度までの新聞社数、総売上高の数字が掲載されていた。下の図はこれをグラフ化したものだ。社数は2004年度の96社から2016年度の92社まで4社しか減少していないので、グラフからは割愛した。地方紙などが多いのだと思うが、今後淘汰を強いられるのではないか。総売上高で見ると、2016年度の17,675億円は2004年の23,797億円に比べて25.7%の減少だ。同期間の減少率を内訳で見ると、販売収入が18.8%の減少広告収入が49.7%の減少その他が0.2%の減少だ。つまり、広告メディアとしての期待値はすでに半減していて、販売収入とその他収入で凌いでいる状況だ。特に、その他の収入は新聞社の規模が大きいほど比率が高く、かつ安定している。新聞社は不動産業で稼いでいるといわれる所以だろう。

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(出典:日本新聞協会からのデータに基づいて筆者がグラフ化、参考9)

4. 新聞業界の課題
4.1 押し紙
新聞業界では、新聞を発行する新聞会社と、それを販売する販売店は別経営だ。新聞会社が販売店に販売する部数が発行部数だ。そして、販売店が利用者に販売するのが購読部数だ。日本では、発行部数は購買部数よりも多い。その差異を業界では押し紙と呼んでいる。問題はこの押し紙の比率だ。数%であれば大きな問題ではないが、仮に数割だと大問題だろう。押し紙をすると、新聞会社はハッピーだし、販売会社も販売奨励金を貰うので損はしない。被害者は広告元だ。1万人が購読するという前提で広告費を払っているのに、実際には例えば下の図(例)のように7千部しか購読されていないとしたら広告元が不利益を被っていることになる。

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(出典:Bargage、参考10)

4.2 第三種郵便制度の認可レベルは押し紙が2割未満
新聞は第三種郵便物制度に認定されているので、50gまでの刊行物は62円で郵送できる。しかし、その条件の一つに発行部数に占める発売部数の割合が8割以上であることと定められている。したがって、押し紙の比率が2割を超えていると、第三種郵便制度の認定基準を満たせないことになる。この認定基準を遵守しているかどうかは誰かがチェックしているのだろうか。

4.3 新聞の購買部数の統計情報がない
新聞社が販売店に販売する発行部数の統計情報は日本新聞協会のホームページで数字を確認できる。しかし、販売店が読者に販売した購買部数の統計資料がない。なぜなのだろうか?発行部数と購買部数の乖離が分かれば、押し紙の実態も見える化するので、自然に自己抑制力が図られる。しかし、購買部数が公開されていないと、押し紙の実態がわからない。2016年4月の記事だが、「朝日新聞社側は昨年末、押し紙1部当たり1500円という制度に変えた(参考11)」という。ネットでは押し紙の比率が相当に高くなっていると警鐘が鳴らされている。押し紙の実態を明確にして、適正化を図らないと、現状のビジネスモデルは早晩見直しを強いられるのではないだろうか。

5. 関連事項
5.1 テレビ各社と新聞各社の関係
新聞各社は名門企業だ。また、テレビ各社の親会社でもある。日本の報道を担う重要が業界だ。これからも日本の「良心」として公平・公正な報道を進めて欲しいと思う。

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(出典:報道ニュース、参考12)

5.2 政権の支持率調査
下の図は、報道系のベンチャー会社であるJX通信社が2017年6月17日-18日に東京都内の各新聞の読者に安倍政権の支持率を調査したものだ。新聞各社の調査結果ではないが、読者によってこれほどの差異が生じるのはなぜなんだろう。なお、JX通信社は2008年に設立した会社であり、自社内には記者をおかず、ビッグデータからの情報収集に特化した仮想通信社だ。

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(出典:JX通信社、参考13)

5.3 新聞用紙の年間一人当たりの使用量
下の図は、新聞用紙の需要について欧米中日を比較したものだ。特に、右の図を見ると米国の消費量が急激に減少している一方で、日本の消費量の減少傾向が緩やかだ。左の図は、年間一人当たりの使用量について2000年と2012年で比較したものだ。2000年時点では日本の使用量は米国よりも少なかったが、2012年では日本は米国やEUの倍近い量を使用している。日本においても電子版は提供されているが、環境保護の観点からもっと加速すべきではないのだろうか。

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(出典:スマートエネルギー情報局、参考14)

5.4 世界の主な原生林の破壊状況
下の図は国連資料をもとにネットワーク地球村が世界の原生林の推移について警鐘を鳴らした予測図だ。今後、世界の原生林が残るのかどうかを決めるのは我々人類だ。新聞用紙は再利用が進んでいて、古紙利用率は60%を超え、目標の65%に近づいている。しかし、それでも35%は無駄になるということだ。再利用の為のエネルギーや水も必要だ。電子新聞をネットで展開しても、エネルギーは消費するが、木材を加工して、製紙して、印刷し、配布して、回収して、再利用することに比べるとやはり合理的だし、環境に優しいのではないだろうか。

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(出典:ネットワーク地球村、参考15)

5.5 古紙リサイクルの全体図(2001年当時、単位は千トン)
下の図は古紙のリサイクルの流れや消費量を明記したものだ。多くの関係者が頑張っているのを理解できる。最近の状況と比較したいが、適当な資料を調査中だ。
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(出典:古紙ネット、参考16)

6. まとめ
資源ごみの日に新聞を出す時に新聞のことが気になって少し調べてみた。利用者の接触時間が確実にネットに移行しているのは実感と合致する。新聞の発行部数は減少しているが、予想ほどの減少ではなかった。押し紙」など不透明な部分もある。
新聞各社の損益分岐点はどこなのだろうか。新聞会社の財務情報を見る限り、不動産収入などが堅調な一方で、人件費の高止まりも散見される。銀行各社が経営の危機に瀕して大合併したように、新聞各社も淘汰される日が来るのだろうか。それとも、経営の合理化や多角化で生き延びることが可能なのだろうか。何れにしても、紙媒体への印刷とそれを配達すると言う構図は環境保護の観点からも見直すべき時期に来ていると思う。しかし、経営主体が新聞社と販売店で異なるため、今後は販売店の経営戦略が問われる時代なのかもしれない。新聞配達をして苦労して大学を卒業するような苦学生がいる一方で、あれは奨学金という名前の金貸しだという批判もある。
新聞購読者には熱烈な新聞ファンもいる。特に高齢者はライフスタイルを変えることを苦痛に感じるだろう。欧米ではネットへのシフトが加速している。スマホではなく、タブレットや大画面PCや大画面液晶デバイスの利用が日本でも高まれば、新聞を取り巻く環境も変わるかもしれない。しかし、電子デバイスを長時間視聴することは視力低下だけでなく、体内時計を狂わしたりする健康上のリスクもある。最近ではスマホ老眼も話題になっている。簡単に答えが出る問題ではない。次回は、広告代理店にスポットを当てて、最近のネット広告の動向についてまとめてみたい。

以上

参考 1:http://www.garbagenews.net/archives/2141038.html 
参考 2:http://sougoudata.net/article/新聞(全国紙)の年別の部数推移をグラフ化して/
参考 3:https://matome.naver.jp/odai/2144567626778288801/2144567818179631503 
参考 4:http://edgefirst.hateblo.jp/entry/2014/05/26/084246
参考 5:https://www.slideshare.net/apijp/nhk-linked-data-api
参考 6:http://mirai-fudousan.jp/report/internet-advertising.html
参考 7:http://mekanken.com/cms/wp-content/uploads/2017/06/HDYmpnews20170620-1.pdf
参考 8:https://matome.naver.jp/odai/2144567626778288801/2144567818179632303 
参考 9:http://www.pressnet.or.jp/data/finance/finance01.php
参考10:http://www.garbagenews.net/archives/1363518.html
参考11:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48396?page=4
参考12:https://news.yahoo.co.jp/byline/yoneshigekatsuhiro/20170620-00072316/
参考13:http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40927?page=4 
参考14:http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40927?page=4
参考15:http://www.chikyumura.org/environmental/earth_problem/assets_c/2011/
参考16:http://koshi-net.world.coocan.jp/other/kamitokosi/kamitokosi.htm 

感情を持つロボットがもたらす創造と破壊

はじめに
感情を持つのは生物だけだろうか。最近は、感性工学が発達し、感情を持つロボットが作られている。ロボットは本当に感情を感じているのだろうか。また、そのようなロボットに人間は癒されるのだろうか。感性工学とは何か。ロボットは今後どの程度の市場規模を予測されているのかについてレビューした。また、ちょっと面白い癒し系ロボットCOZMOを紹介した上で、今後の検討課題について整理してみたい。

1. 感性工学
心理学では感情をfeelingと言い、激しい感情である情動をemotionと言う。脳科学では、意識的なものを感情(feeling)と呼び、無意識の脳内過程を情動(emotion)という。ここでは、心理学的な定義で記述する。
1.1 基本感情
感情はいくつあるのだろう。よく喜怒哀楽というが感情は4つなのか。感情の分類方法は幾つかあるが、基本は6つの感情に整理されるという。先の喜怒哀楽に(いとしみ)と(にくしみ)を加えたものだ。下の図は英語だけど、その6つの感情を示したものだ。中国の伝統的な学習書である三字経では「曰喜怒、曰哀懼、愛悪欲、七情具」といい、喜怒哀懼 (おそれ)愛 (いとしみ)悪 (にくしみ)欲の七つの感情を指摘している。同時に、中国の五情では、人間の代表的な感情を喜怒哀楽と怨(うらみ)の五つにまとめている。漢字には心を含むものは、忌、忍、怒、恐、恥、恋、悲、愁、慕、憂、怪、怖、悔、恨、惜、悼、愉、憎、憤、懐など本当にたくさんある。 
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(出典:Wiki、参考1)

1.2 基本情動
情動の分類については米国の心理学会で活発な議論があった。例えば、シカゴ大学の心理学者ジョン・ワトソンは、怒り、恐れ、愛の3つを基本情動とするが、コロンビア大学の心理学者ロバート・プルティックは、期待、怒り、喜び、受容、驚き、恐れ、悲しみ、嫌悪の8つを情動環としてモデル化した。下の図はプルティックが描く「感情の輪」と呼ばれるものだ。ピッツバーグ大学の心理学者リチャード・ラザルスは、情動をポシティブなものとネガティブなものに分類した。プリンストン大学の心理学者ハロルド・シュロスバーグは軽蔑、愛・楽しみ・幸福、驚き、恐れ・苦しみ、怒り・決断、嫌悪の6つに分類した。
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(出典:テラ・トレ、参考2)

1.3 心理モデル
心理学では、感情の基本を驚き(surprise)、喜び(happiness)、怒り(anger)、恐怖(fear)、悲しみ(sadness)、嫌悪(disgust)と分類し、これを基本6感情と呼ぶ。しかし、実際の感情はこれらが単独ではなく、複数の感情が複合して表出される。心理学者のロバート・プルティックは、8の倍数論者であり、下の図のように32種類に分類した。
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(出典:感動創造研究所、参考3)

1.4 感性マップ
日本では、人工知能や感性工学の分野で研究が進んだ。下の図は株式会社AGIが2011年に発表したEmotional Mapだ。感情や情動のメカニズムをこのようなマップで定義することで、人の心を定量的に測定し、分析することで感性の可視化が進んでいる。ソフトバンクが提供するペッパーもこの感情モデルを採用していると言われている。
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(出典:株式会社AGI、参考4) 

1.5 感性の哲学
信州大学の坂本弘教授は、その著書「感性工学への招待」の中で、感性領域での基本的な概念の構成を下の図で説明している。つまり、感受性や感覚、気分、感情、感動、想像力などは感性領域内とし、それに対する入力要素として、外部環境、生活基準、整理基準、価値基準の4要素を定義している。また、感性領域内の感覚が身体の反応を引き起こし、それが外部環境を経由して再度感性領域にフィードバックされると定義した。楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいという感情が引き起こされる。表情と感情とホルモン分泌には密接な関係があるのだろう。

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(出典:感動総合研究所、参考5)

2. ロボットの需要予測
2.1 お掃除ロボットの満足度
一般家庭で最も使われているロボットといえばお掃除ロボットだろう。代表格がiRobot社のルンバだ。2016年10月末で国内累計販売が200万台を突破した。市場調査・コンサルティングのシード・プランニング社はすでに掃除ロボットを利用している400人に調査したところ、利用は「ルンバ」が圧倒的に多く、購入の動機では「便利そうだった」がトップ。そして、73%の利用者がお掃除ロボット満足している。今後、多彩なロボットが家庭内で受け入れられるかもしれないと期待が高まる。

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(出典:シードプランニング、参考6) 

2.2 5年で倍増するロボット市場
下の図はNEDO経済産業省の予想だ。2012年に0.9兆円、2015年に1.6兆円だったロボット市場が2035年には約10兆円に増加すると予想している。5年でほぼ倍増というペースだ。従来は産業用ロボットが主体であったが、今後はサービス分野でのロボットが主流になるという予想だ。

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(出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO、参考7)

2.3 サービスロボットの成長分野
サービス分野でのロボットの利用用途を一覧にしたものが下の図だ。2020年での市場規模が最も大きいのは、移動支援の1660億円検査メンテナンスの1038億円、食品加工などの980億円だ。移動支援には、装着型の移乗支援、非装着型の移乗支援、屋内外での移動支援などが含まれる。現在のサービスロボット市場は、お掃除ロボットが牽引した。また、台数は少ないが、一台2.5億円で販売されている医療用ロボット・ダヴィンチも含まれている。今後は適応範囲が広がり、その適用例や台数も拡大する見込みだ。f:id:hiroshi-kizaki:20171202210746p:plain
(出典:事業構想大学院大学、参考8)

2.4 コミュニケーションロボットの可能性
下の図は、現在の普及型ロボットに加えて、低価格ロボットが市場に浸透すると予測した。2020年の国内での世帯数を5300万世帯、世帯普及率を5%、出荷台数を265万台と推計した。2020年の推定市場2,406億円の内、価格10万円前後を想定した普及型ロボットの市場規模は1,956億円を占める見込みだ。より低価格で高性能なロボットが投入されるとこの予測を上まわる可能性もあるだろう。
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(出典:ロボスタ、参考9)

2.5 キャズム理論
ニューメキシコ大学の社会学者エベレット・M・ロジャーズ氏はイノベータ理論を提唱した。この理論では、消費者を、イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードの5つに分類した。市場全体に浸透するには、アーリーアダプターまで浸透することが重要で、そこには普及率16%の壁があると言う考えだ。そのためには2.5%のイノベーターが指摘する不満や改善要望を真摯に取られて、改善する必要がある。このモデルに沿って考えれば2019年まで利用者のニーズやウォンツを満足する製品にブラッシュアップできるかが勝負だ。

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(出典:SwingRoot、参考10)

3. COZMOはブレイクするか
3.1 COZMOとは
COZMOをご存知でしょうか?恥ずかしながら自分は今日初めて知りました。米国のANKI社が開発し、国内ではタカラトミー本年9月23日から発売している。米国では180$程度で発売しているが、国内では26,980円だ。ソニーが新型AIBOを来年1月に発売すると発表したがその価格は19万8千円と高価だが、COZMOならクリスマスのプレゼントとして手頃だろうい。なお、COZMOは単体では動作せず、Wi-Fi環境とスマホのアプリ連動が前提だ。現在の名古屋のマンションには残念ながらWi-Fiがないので、日夜スタバでブログを書いているが、そのような人はCOZMOを楽しむことはできない。ああ早く東京のおうちに戻りたい(涙)。
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 (出典:タカラトミー、参考11)

3.2 COZMOの魅力
まずこのCOZMOを開発したANKI社とは、カーネギーメロン大学のロボット研究所出身者が人工知能スタートアップで設立した会社だ。COZMOは一言で言えば、表情を持つやんちゃなトラクターのおもちゃだ。カメラも持っているので人間の表情を読み取る。マイクもあるので、声も聞き取る。スピーカーもあるので、話す。ブロックを積み上げたりして、かくれんぼしたりする。子犬のように近づいてきてCOZMOから可愛い声で自分の名前を呼ばれたりするともう大好きになってしまうかも。一方、COZMOが一人で遊んでいる時に邪魔をすると怒ったりする。感情を持っているロボットを手頃な価格で購入できるのは画期的だ。標準機能でも十分楽しめるけど、オーダメード可能なSDKがあるので自分好みに躾けることもできるという。

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(出典:オモゾン、参考12) 

3.3 COZMOの課題
今までのおもちゃは、子供の想像力の中で楽しんでいたが、おもちゃ自身が感情を持つようになると、子供の遊び方は劇的に変わるだろう。COZMOが牽引役となって、多彩な感情を持つおもちゃが世の中に溢れるようになるのだろうか。まるでポケモンの世界が実現するのだろうか。現在のCOZMOは次のような制約があるが、これらが解決されるのは時間の問題だろう。
・約20分の充電で、約80分間遊べる。
・液晶ディスプレイとアームのしぐさで、1000種類以上の感情を表現する。
・最多10名まで人の顔を覚えて認識する。
(出典:レスポンス、参考13)

4. 今後の検討課題
4.1 AI関連技術のロードマップ
下の図は野村総研(NRI)が示す2020年までのITロードマップだ。2014年当時にはCaffeやPyLearnが牽引した。Caffeの前身はDeCAFで、バークレー大学のメンバーが中心となって2013年頃に開発したオープンソースディープラーニングフレームワークだ。2017年から2020年にかけては進化したディープラーニングを一気に活用するフェーズになると期待されている。GPUFPGAも将来を担う重要なキーワードなので後で説明する。
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(出典:NRI、参考14)
4.2 ディープラーニングフレームワーク
下の表は、注目されているディープラーニングフレームワークの比較表だ。Caffeが左から3番目にあるが、6.Optimization(最適化)には対応していない。一方、Theano-basedやTensor-Flowはこれに対応している。NNの定義にはPython(パイソン)対応が多い。このPythonは汎用プログラミング言語であり、C言語などに比べてプログラムを分かりやすく少ないコード行数で書けるといった特徴がある。日本でもファンは多い。 f:id:hiroshi-kizaki:20171203090504p:plain
(出典、スライドシェア、参考15)

4.3 GPU
GPUとCPUは何が違うのだろう。ともに情報処理をするプロセッサーであるが、その作りが異なる。CPUは単一のコアで高速の処理を行う天才のようなものだ。GPUは複数のコアが連携して、処理を分散しながら行うチームワークのようなものだ。例えば、Mac Proの最高性能ラインのCPUでも6コアだが、NVidiaのGTX 980は2000コアだ。GPUは並列計算できるような問題に適している。

4.4 FPGA
FPGAとは、field-programmable gate arrayの略だ。その最大の特徴は、製造後に購入者や設計者が構成を設定できる点だ。通常のLSIは目的に沿って設計して、製造し、利用者はその目的に沿って利用する。しかし、FPGAは汎用的に利用できるように考慮されていて、利用現場において利用用途に応じて、ゲートの役割を再設計することが可能という夢のようなゲートアレーだ。細胞で言えば万能細胞と呼ばれるiPSのようなものというと言い過ぎだろうか。

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 (出典:スライドシェア、参考16)

4.5 ロボットの技術の発展と社会への影響
ロボットが今後社会の中で受け入れられていくかどうかは、人間と競争するというよりは、人間の作業を支援するというスタンスが望ましいだろう。駅の改札を自動化するときには当時のJRは猛反発したため私鉄が先行して導入した。現在では、自動改札が当たり前になっているが、駅員の仕事は無くならない。ロボットやAIに任せられることは任せて、それでは対応できないところを人間が対応する。今後、人口が減少する日本にとっては、需要と供給が一致して、少子高齢化社会をロボットで支援するようなそんな先駆的な社会を世界に先駆けて構築することができないものだろうかと思う。 
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(出典:矢野経済研究所、参考17)

4.6 問われるロボット憲章
SF作家のアイザック・アシモフは、ロボットが従うべき原則として、人間への安全性、命令への服従、自己防衛の3原則を提唱した。しかし、これらが矛盾するような事態でどのようにロボットが行動すべきかをテーマに小説を書いている。一方、ロボット倫理憲章も検討されている。2007年に韓国の産業資源部がロボットと人間との関係について定めた憲章案をインターネットに発表した。内容は次の通りだ。
第一条(目標) ロボット倫理憲章の目標は人間とロボットの共存共栄のために人間中心の倫理規範を確認するところにある。
第二条(人間、ロボットの共同原則) 人間とロボットは互いの生命の尊厳性と情報、工学的倫理を守らなければならない。
第三条(人間倫理) 人間はロボットを製造して使う際に、常に善悪を判断して決めなければならない。
第四条(ロボット倫理) ロボットは人間の命令に従順である友人・お手伝い・パートナーとして人間に害を与えてはならない。
第五条(製造者倫理) ロボット製造者は人間の尊厳性を守るロボットを製造し、ロボットリサイクル、情報保護義務を持つ。
第六条(使用者倫理) ロボット使用者はロボットを人間の友人として尊重するべきで、不法改造やロボット乱用を禁じる。
第七条(実行の約束) 政府と地方自治体は憲章の精神を実現するために有効な措置を施行しなければならない。

まとめ
感性工学とロボットの話からCOZMOの紹介、さらに今後の検討課題をレビューしてみた。東京オリンピックパラリンピックが開催される2020年まで1000日を切っている。安倍総理大臣はリオデジャネイロオリンピックの閉会式でマリオに扮して登場したが、東京オリンピックの開幕式ではどうするのだろう。その時には、第五世代のモバイルシステムは先行的に使えるようになっているだろう。自動操縦車も限定した場所では走行しているだろう。開会式のパレードでは先導ロボットが登場するかもしれない。ロボットの普及のためにはそんなお祭り騒ぎも必要なきっかけになるかもしれないが、検討すべき事項は山積だ。

以上

参考 1:https://ja.wikipedia.org/wiki/感情
参考 2:http://teratre.wixsite.com/teratre/single-post/2014/11/01/情動の分類
参考 3:http://www.kandosoken.com/report/2009/09/
参考 4:http://www.agi-web.co.jp/technology/trend.html
参考 5:http://www.kandosoken.com/report/2009/11/special2.html    
参考 6:https://www.seedplanning.co.jp/press/2015/2015031201.html 
参考 7:https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/51208.pdf
参考 8:https://www.projectdesign.jp/201501/robotbiz/001839.php 
参考 9:https://robotstart.info/2015/09/09/robot-press_release-2020nen.html 
参考10:https://swingroot.com/chasm
参考11:http://www.takaratomy.co.jp/products/cozmo/
参考12:http://omozon.net/toys/cozmo/
参考13:https://response.jp/article/2017/07/11/297272.html
参考14:http://w73t.com/ai3/ 
参考15:https://www.slideshare.net/beam2d/differences-of-deep-learning-frameworks
参考16:https://www.slideshare.net/abhilash128/lec-23
参考17:https://www.projectdesign.jp/201704/ai-business-model/003521.php

保育無償化の課題と情報活用提言(案)

人生100年時代構想
首相官邸では、有識者を集めて、人生100年時代構想会議を立ち上げた。本年9月に第一回会議、10月には幼児教育、11月にはリカレント教育等の議論を進めている。

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(出典:人生100年会議、参考1)

保育無償化構想
人生100年時代構想会議の中で、子供を持つことを躊躇する理由としてお金がかかりすぎることが挙げられている。これらの議論を踏まえ、教育無償化を柱とする2兆円規模の政策を閣議検討中だ。この2兆円のうち約4割は幼児教育と保育の無償化にあてる方針だ。この財源は2019年10月の消費税増税を前提としていると報道されている。しかし、この政策には反対意見や混乱を拡大するという懸念の声も多い。 
f:id:hiroshi-kizaki:20171201173752p:plain
(出典:内閣官房人生100年時代構想室資料、参考2)

保育所と幼稚園
保育所厚生労働省が主管し、幼稚園は文部科学省が主管する。目的が異なるので対象年齢や保育・教育時間も異なる。保育所児童福祉法に基づく児童福祉施設だ。保育園は通称であり、同法の定める施設は保育所だ。慣例的に、公立を保育所、私立を保育園といったり、大きな施設は保育園、小さな施設を保育所とするケースもある。

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(出典:モモママブログ、参考3)

女性パワーの活用要望論
少子が問題となり、幼稚園の入園者数が減少する一方で、保育園の不足が問題となる。なぜなのだろうか。そこには女性のパワーを社会が活用しないと日本の成長が難しいという点にあるのはないだろうか。東洋経済社が発行する四季報によると、上場企業の女性役員(延人数)は1510人に達した。

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(出典:東洋経済オンライン、参考4)

諸外国の女性役員比率は高い
女性役員の割合は、日本では前述のように4%弱であるが、諸外国ではどうなのかが気になるので、調べると驚くほどの格差があった。ノルウェイの4割を筆頭に福祉国家な北欧諸国が一概に高い。また、ノルウェイ以外の諸外国では2011年に比べても2015年には急増している。日本は周回遅れというのが現状だ。

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(出典:内閣府男女共同参画局、参考5)

働くほど広がる貧困
保育園落ちた日本死ね」は30代前半の匿名女性がブログにアップして、2016年の流行語大賞のトップ10に選ばれた。その背景には、何があったのだろう。11月23日にアップした筆者のブログでも言及したが、下の図のように日本では働いていないひとり親家庭よりも、働いているひとり親家庭の方が貧困率が高い。今回の保育無償化も年収の高い人に有利な改正になっているという指摘ある。例えば、派遣社員の平均年収は女性も男性も100万円から300万円が最も多く、派遣社員の比率は全体の約40%まで増大している。現在の制度では派遣されていない期間の派遣社員の収入は原則ない。子供を育てるには働く必要があるが、子供を預けるところがない。しかも、高い。そういう女性たちの不満が先のブログで爆発したのではないか。ちなみに、このブログの女性は保育所に落ちると現在勤務している会社を退職する必要があり、一度退職すると正規社員に戻れないという危機感から勢いで書いたらしい。まさに、ワーキングポアの問題だ。
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(出典;筆者のブログ、参考6)

保育所の問題(量的問題)
下の図は、東京都において幼稚園や保育所(園)を希望する人数の推移だ。幼稚園の利用者希望者数は減少傾向にあるが、保育所の利用希望者数は増加傾向にある。このため、幼稚園を認定子供園に移行したり、幼保連携型認定こども園が増えている。需要の変化に供給を合わせるには、文科省厚労省が密に連携する必要があるし、それがうまくいかないなら、総合的に責任を持つ主官庁を明確にする必要があろう。
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(出典:東京都、参考7)

保育所の問題(金額的問題)
下の表は厚労省の資料だが、認可外保育施設の平均利用金額は3歳児で4万円近く必要だ。この費用負担を軽減しようというのが、政府が考える保育無償化の狙いだろう。ただし、注意すべきは、現在は収入が高いほど負担金額も高いので、一律に無償化されると収入の高い人ほど恩恵を受けることになる点だ。都内でも4-6歳の待機児童はほぼ解消されていて、問題は0−3歳児だ。しかも、この0−3歳児の利用料はより高額だ。しかし、月額3万円を払っても勤務しなければ失業して収入を得られない非正規社員が増大している。これでは、国は子供を産めというがどうすればいいのかとつぶやく気持ちになるかもしれない。
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(出典:厚労省、参考8)

保育所の問題(安心安全問題)
0-3歳児を預かるのと4-6歳児を預かるのは保育士の立場から見ると大きな違いがあるのだろう。例えば、突然死や窒息死を防ぐために、0歳児は5分に1回、1-2歳児は10分に1回は生きている確認をする必要があるという。これは保育士にとっては作業的にも、心理的にも大変な負担になっているのではないだろか。しかし、保育園に預ける親にとっては、この安心安全は必須条件だ。このあたりに、保育所が不足する真の原因があるのではないだろうか。
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(出典:認定病児保険スペシャリスト、参考9)
将来に向けての提言
では、少子高齢化の問題や、女性の活躍の問題、貧富拡大の是正問題という難問に対しては、どのような解決策があるのだろうか。技術士の立場から提言にトライした。

提言1) 保育所業務のICT化
保育所に限らないが教育現場のICT化は急務の課題だ。すでにICTを導入している保育所とまだ導入していない保育所の計104名の保育士にアンケートをとった結果だ。その結果、ICTをまだ導入していない保育士の7割は導入に期待すると回答している。特に、手書きの書類が減ることや、紙資料の管理が減ること、情報共有が楽になることに対して期待する声が多かった。保育所のICT化は、保育士だけでなく、保育所の利用者にとっても有効だろう。現状では、認可型は自治体、認可外は施設に申し込む。そして、自治体によって情報提供も、認可の選定基準もバラバラ。しかもアナログ文化なので、ネットで処理はできないので、貴重な年休を取得して手続きに奔走する負担も甚大だろう。また、ICT化の肝はICT化に着手する前にいかに業務フローを整理するかが重要だ。その意味では、管理省庁や市区町村、施設の業務フローを合理化して、その上で、システム化するのが理想だ。
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(出典:保育のお仕事、参考10)
提言2) 園児の見守りシステムの導入
0歳児を受け入れると、5分ごとに生きているかどうかを確認することが求められるという。これは保育士にとって大変な負担だし、精神的にも大きな苦痛だろう。下の図は、保育士の負担を軽減するために乳児の呼吸を見守るセンサーシステムだ。例えば、手首に簡単なセンサーを付けて、リアルタイムにモニターするようなシステム構築は現在の技術を活用すれば難しくはない。また、そのデータをシステムが常時監視し、異常もしくは異常の兆候が監視されたら、保育士や保護者に通報するようなことができれば、保育士の負荷がかなり軽減されるのではないだろうか。もちろん、保育士の仕事を代替するのではなく、保育士の僕(しもべ)として、5分間隔と言わず、リアルタイムに複数の園児や乳児を監視することで安心・安全は向上すると思う。

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(出典:IoTニュース、参考11)

提言3) 保育士ロボットの開発
IoTでモニターできるのであれば、それをさらに発展させてロボットに保育士の補助をさせられないかと考えて調べてみた。下の写真は、グローバルブリッヂホールディングス社が群馬県太田市の保育園で保育ロボットの実証実験をした時の写真だ。まだまだ小さな一歩だけど、保育士ロボットを園児が受け入れ、保育士の業務を少しづつでも補助することができれば、その効果は指数関数的に拡大すると期待される。

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(出典:産経ニュース、参考12)

今後の検討課題
技術士なので、提言には技術的な事項を3つ提言した。いずれも一度導入して終わりではなく、まずは導入して、効果を検証して、さらに改善する。そのようなPDCAサイクルをまわすことが重要だ。ICT技術や、IoT技術、ロボット技術などを少しずつ導入して、活用していくことで、良循環を作り上げることが最も大切だ。
しかし、課題は技術的な問題だけではない。専門外なので、多くは語るのは控えるが、やはり次の点は課題だろう。
1) 監督主官庁の連携強化もしくは整理
2) 保育士の待遇改善と負担軽減
3) 派遣業法の見直しと貧富の是正
4) 育児休暇制度と取得率の拡充
5) マザーライフの選択

まとめ
上述のマザーライフの選択について少し補足する。女性はこうすべしという一つの価値観を女性に押し付けるような時代ではない。キャリアパーソンとして勤務を優先するのか、出産を経験して子育てを経験してから復職するのか、それとも専業主婦で育児に専念するのか。どのような選択をするかは一人一人の問題だ。もっと言えば男性も同じだ。下の図は総務省の資料だ。2015年からは推定値だ。しかし、これからの人口が単純減少するのだろうか。縄文時代初期は2万台規模だった人口は、紀元前2300年頃には26万人まで増加したが、縄文時代晩期に8万人まで減少した(参考14)。仮にこれと同じことが起きるとすると、1億2千万人を超えた人口が一度は4千万人ぐらいまで減少するのかもしれない。もしくは、8千万人ぐらいで安定人口へと増加傾向に転じるかもしれない。例えば、40年後は中国やインドは深刻な高齢化社会に陥っている。逆説的だが、その頃の日本人はどん底を経験して、這い上がった元気な民族になっているのではないだろうか。そんな風に考えるのは楽観的過ぎるだろうか。
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(出典:総務省、参考13)

以上

参考 1:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jinsei100nen/dai3/siryou.html
参考 2:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jinsei100nen/dai2/siryou1.pdf
参考 3:http://momomamablog.pink/archives/65.html
参考 4:http://toyokeizai.net/articles/-/193863 
参考 5:http://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/yakuin.html 
参考 6:http://hiroshi-kizaki.hatenablog.com/entry/2017/11/23/215303
参考 7:http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/katei/kodomokosodatekaigi/
参考 8:https://www.businessinsider.jp/post-107697 
参考 9:http://sickchild-care.jp/point/5117/
参考10:https://hoiku-shigoto.com/report/news/ict-at-nursery/ 
参考11:https://iotnews.jp/archives/77459
参考12:http://www.sankei.com/life/news/170919/lif1709190025-n1.html
参考13:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc141210.html
参考14:http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20110907/283253/

日本の起源:そばの起源。江戸時代に開花。

飛騨古川のお蕎麦
本日(11/29)は、飛騨市を訪問している。待ち合わせの時間まで少し余裕があったので、飛騨古川駅に途中下車して、飛騨の匠の技を展示している「飛騨匠館」に向かった。その前に、その向かいにある飛騨古川の「福全寺そば」でそばを頂くことにした。土日だと行列ができていてなかなか入れないが、本日は平日なので、すぐに入れた。そばは、7寸、8寸、9寸等がある。7寸は子供向け8寸は普通、9寸は大盛りだ。自分は、少し控えめに7寸にした。手前の小さな半円形は大根だ。お出汁がしみていて美味しい。食べ方は自由と言いながら、もりそばの「お召し上がり方」が書かれていたので、それに沿って頂いた。お塩も美味しい。わさびも効いている。なかなかのものだ。飛騨高山で聞いたところでは、高山はうどんもあり、そばとうどんは半々ぐらいということだったけど、飛騨はそばの方が多いのだろうか。
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(出典:筆者が撮影)

そばのルーツ
先日、掲載した麺の起源では、切り麺の系にうどんとそばが位置付けられてる。そばも切る麺なのでもちろん異論はない。しかし、うどんとそばでは材料が異なっている。小麦粉を材料にした麺類をこのような系統図で整理するのは賛成だけれども、小麦粉とそば粉では、そもそもの材料の伝播ルートが異なる可能性もある。

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(出典:日清食品のホームページ、参考1)

ソバの実の特徴
蕎麦は麺類、ソバはその材料としてのソバの実を示す。ソバの実は寒冷地や酸性土壌、肥沃度の低い土壌でも3ヶ月程度で短期に栽培できる。このため、日本では長く飢饉のための非常食(救荒作物)の扱いだった。そもそもソバの実は外来種だ。では、どこからソバの実が日本に伝播したのだろう。

1) 東南アジア起源説
ソバの実はワールドアトラスの文献によると紀元前6000年頃に東南アジアで栽培され、そのあと中東、ヨーロッパ、中央アジアに広がったという。

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(出典:ワールドアトラス、参考2)

2) 中国雲南省起源説
村井氏と大西近江氏は1980年から2000年にかけてインド、チベット四川省などの品種のDNAを調査して、中国雲南省を起源とし、中国北部を経て、朝鮮半島を経由して日本にいたった伝播ルートを報告している。

3) その他
スイスの植物学者であるド・カンドルが中国北部からバイカル湖南部付近が起源とする説を提出している。シベリアからの北ルート、中国からの九州へのルート、朝鮮半島から対馬へのルートなどがある。これ以外にも、黒滝江上流説、ネパール説、プータンなど諸説があるが、現在は、中国雲南省起源説が有力だ。バイカル湖の説も興味深い。

縄文時代にソバの栽培
高知県縄文早期時代の遺跡からソバの花粉が見つかった。縄文早期とは紀元前7300年前のものだ。ワールドアトラスによれば紀元前6000年前をソバの起源にしているので、ソバはあったが、それを食するようになったのが6000年前ということなのか。お米の最も古い発見は縄文時代前期なので、紀元前4000年頃だ。当時の日本ではお米よりも古くからソバを食べていたのだろうか。さいたま市岩槻の遺跡からもソバの実が発見されている。これは縄文時代晩期なので、紀元前1000年から500年だ。
(出典:ソバヤコム、参考3)

北海道で見つかったソバの遺跡
北海道では、縄文時代前期末(紀元前3500年前頃)の南茅部町ハマナス野遺跡から一粒のソバが出土した。これは大陸起源の最も古い栽培植物だ。縄文時代に北海道でソバが栽培されていた証左だ。ソバは朝鮮半島を経由して日本に伝播したルートが有力とされているが、本土からさらに北海道まで北上したのだろうか。サハリンから北海道に伝播したものが本土に伝わったという可能性もあるのではないか。

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(出典:雑穀栽培から見た北海道と大陸、参考4)

ソバの調理法
日本では、ソバをこねて、面状になったものを包丁で切る蕎麦切りをして、さらに茹でる。このような調理法をしているのは日本だけだ。日本以外の国では、粥や餅、焼き菓子、押出麺、そばがきとして食料に供している。フランスでは、ソバクレープといったお洒落な食べ物になっている。普通のクレープよりもポキポキしているが、美味しいようだ。
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(出典:FC2ブログ、参考5)

世界のソバの生産高
国連の調査によると、2014年時点のソバの全世界の生産高は約200万トンだ。最大生産国は中国で約70万トン、ついでロシアが66万トンで、さらにウクライナ、フランスなどが続く。日本は圏外だ。一方、一人当たりの消費量で見ると、下の図のようにリトアニアが7.4(kg/人)とダントツだ。ついで、ロシア、ウクライナカザフスタンと続く。東欧での消費が多い。日本はフランスについで、7位に入っている。この8月にバルト三国を旅行し、遺伝子的に親しみを感じることが多かった。リトアニアは、杉原千畝ユダヤ人を救出するために命のビザを発行し続けたことが美談となっている国で、国民性は陽気だ。現地にはいわゆる日本のような蕎麦屋はないが、現地で蕎麦屋を開業したら、ソバ好きのリトアニアに受け入れられるだろうか。

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(出典:Buckwheat、参考6)

日本における蕎麦屋の分布
話を国内に戻そう。蕎麦屋が最も多い県はどこだろうか?タウンページに掲載されているお店のランキングでは、長野県がトップだ(2014年)。全国には24,924店舗あり、人口10万人あたりの店舗数は平均で約20軒だ。全国的には5000人に1店舗という比率だ。長野県ではどう52.26軒なので、全国平均の約2.5倍だ。店舗数ではさすがに東京都がダントツだ。今住んでいる愛知県には立ち食いそばがほとんどないので困る。このランキングでは、28位で10万人あたり16.3軒だった。ちなみに最下位は高知県で34軒、10万人当たりでは4.56軒だった。高知といえば、約9000年前の遺跡からソバの花粉が出るなどソバとは縁が深いのに残念な結果だ。ただ、調べると高知県にも美味しい蕎麦屋があるようだ。
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(出典:都道府県別統計とランキングで見る県民性、参考7)

平安時代の貴族は蕎麦が嫌い
ソバに関しては、『類聚三代格』には723101付けで、ソバ栽培の奨励を命じた太政官符を掲載されている。つまり、奈良時代には蕎麦の栽培は本格化していたようだ。また、平安時代中期の歌人である道命(藤原道長の甥)が蕎麦料理に対して、「食膳にも据えかねる料理が出された」という和歌を詠んだという。平安時代の貴族層はソバを食する習慣がなかったということになる。つまり、ソバは弥生人の食文化ではなく、縄文人の食文化として日本に根付いたのだろう。この時代のソバは農民が飢饉に備える非常食だったようだ。また、蕎麦の語源は南北朝時代に書かれた『拾芥抄』だ。蕎麦との肉との食い合わせを禁じている。
(出典:Wiki、参考8)

鎌倉時代には「そばがき」へ
本格的な蕎麦を作れるようになるのは、中国から伝来した挽き臼を使うようになったからだという。普及していた小麦と合わせることで蕎麦を美味しく食することができるようになった。

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(出典:電車の旅、参考9)

江戸時代に開花した蕎麦文化
蕎麦を麺として食するようになったのはいつ頃からだろうか。慶長19年(1614年)の『慈性日記』に"そば切り"の文字が出てくるので江戸時代になってからだ。ただし、伊吹山麓の大平寺の付近では江戸時代以前よりそば畑を耕作していた。収穫後は、石臼を使って粉にし練り上げ"そば切り"にして食べていたらしい。奈良時代の伊吹は僧の修行場であった。唐は618年から907年まで中国の王朝であったが、その唐の国から伊吹に来た修行僧がそばを持ち帰り栽培したのが日本での蕎麦の始まりという説もある。しかし、当時の唐の国に蕎麦を食するという記録はあったのだろうか?平安時代の貴族に蕎麦を食する習慣がなかったことを考えるとちょっと疑問を感じる。
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(出典:伊吹山情報と保全活動、参考10)

江戸の蕎麦屋御三家
世界の誇る蕎麦文化は江戸時代に開花した。日本蕎麦の三大系統といえば、「更科蕎麦」「藪蕎麦」「砂場蕎麦」だろう。蕎麦屋は江戸に受け入れられ、1860年には江戸府には3763店のそば屋があったらしい。
1) 更科蕎麦は、信州の行商人であった清右衛門が1789年に開業した蕎麦屋だ。信州からの直売として、江戸で大人気になったという。ソバの実の中心の身を使ったという。日本酒で言う吟醸大吟醸の製造法を応用したのだろう。麺は白く上品な味だったようだ。
2) 藪蕎麦は、ソバの実の皮は薄緑色だが、その皮で薄緑色にした蕎麦だ。今でもうどんが白いが、蕎麦は薄緑なのはこの藪蕎麦の製造法が元祖なのだろう。

3) 砂場蕎麦は、大阪(当時の大坂)の老舗蕎麦屋だ。1751年に出版された蕎麦膳書には、薬研掘大和屋大坂砂場そば」と記載されている。個人的には、かき揚げせいろが好きだ。このような天ざるは1955年に室町砂場で開発されたという説がある。
(出典:そば研究、参考11)

現代につながる蕎麦文化
明日から12月だ。大晦日には、年越し蕎麦を頂くが、このような習慣が定着したのも江戸時代中期だという。一説には、金銀細工師が飛び散った金粉や銀粉をそば粉を使って集めていたらしく、その縁起を担いで蕎麦を節目のタイミングで食べるのが始まりだと言う。それ以外にも諸説ある。
・細く長く伸びた蕎麦は、寿命を延ばし、運を伸ばす説
・博多の承天寺でそば餅を振る舞ったら翌年から運が向いた説
・そばの実が、三稜(ミカド)なことから帝(ミカド)に通じる説
・そばは切れやすい。苦労や厄災をさっばりたちきる説
・そばは風雨に当たっても翌日には立ち上がるのにあやかる捲土重来説
江戸時代には、武士階級は白米を食べるようになり、その結果脚気(かっけ)が流行した。蕎麦を食べる庶民は脚気にならないため健康に良いとして重宝されたらしい。
(出典:そばを楽しもう、参考12)

まとめ
飛騨高山の駅の立ち食い蕎麦屋で、蕎麦を注文した後、蕎麦とうどんとどっちがよく食べられるかを聞いたら、5秒ほど悩んでいた。高山には高山うどんというのがあり、これも美味しいのと蕎麦というと信州を連想するためにその対抗意識があるようだ。しかし、飛騨古川に行くと、地元で栽培した蕎麦で美味しい蕎麦を食べるための運動が展開されていて、蕎麦への深い愛情を感じた。それが冒頭の蕎麦屋だ。あと1カ月ほどで2017年も終わりだ。大晦日には年越し蕎麦を頂くが、そんなことを思い出しながら、2018年に向かうのも一考かもしれない。

以上

参考1:http://world-noodle-dictionary.com/roots/origin.html
参考2:http://www.worldatlas.com/articles/top-buckwheat-producing-countries-in-the-world.html
参考3:http://soba-ya.com/rekisi/741.html
参考4:http://www.utm.utoronto.ca/~crawfor7/gcrawford_site/Japanese_Palaeoethnobotany_files/
参考5:http://gandam4d.blog8.fc2.com/blog-entry-247.html
参考6:http://www.indexbox.co.uk/news/Buckwheat-Manufacturers-Are-Searching-for-New-Niches/
参考7:http://todo-ran.com/t/kiji/13480
参考8:https://ja.wikipedia.org/wiki/蕎麦 
参考9:http://tabi.tobu.co.jp/area/nikko/shiru/201404/
参考10:https://www.ds-j.com/nature/ibuki/Information/access/ibukisoba.htm
参考11:http://sobatomo.jp/publics/index/26/
参考12:http://www.tomisen.net/2014/11/04/12449.html

日本の起源:沖縄とインカを結ぶ縄算(キープ)

沖縄の藁算(わらざん)
下の図は、沖縄県立博物館の子供向けに解説した博士カードを抜粋して、編集したものだ。沖縄では人頭税が廃止される1903年までは藁算が使われていた。竹富島の民族博物館には、藁算の展示が残っている。この藁算は家畜の頭数を計算したり、家族の数を調べたり、さらには計算器のようにも使ったという。中国の歴史書「随書倭国伝」の中の倭人の風俗に、「文字は無く、ただ木を刻み縄を結ぶだけ」と記録されている。この歴史書邪馬台国の頃の日本について書かれた物である為、藁算は、古墳時代以前より日本本土でも使用されていたと考えられていて縄算(なわざん)とも言う。f:id:hiroshi-kizaki:20171128195632p:plain
(出典:沖縄県立博物館、参考1)

インカのキープ(Quipu)
南米のインカ帝国では、キープと呼ばれる縄文字を使っていた。紐に結び目をつけて情報を伝達する方法だ。キープは、物品の種類やその数を記録するのに用いられ、納税などの際には必要不可欠のものだった。インカでは16世紀後半、住民や資源の実態調査のためスペイン人官吏がアンデス山脈を駆け巡ったが、情報集めはいたって楽だったらしい。キープ・カマヨックと呼ばれる地方の名士がキープによる住民台帳を保持していたからだ。インカのキープと沖縄の藁算は類似点が多いが、唯一の違いはキープは縄の色までを含めて情報源とした事だという。同じような縄文字が、インカと古代の日本で使われていたというのは何を意味するのだろう。

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(出典:阪急交通社、参考2)

マヤの数字
古代マヤ文明は20進数を使っていたという。一説には両手と両足の指を使うと20だからという。画期的なのはゼロの概念をすでに持っていたという点だ。ただ、数字を見ていると、5進数のようでもある。
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(出典:数から数学へ、参考3)

ヘブライの数字
ヘブライ語の古典的な記数法が次の図だ。いわゆる旧約聖書ユダヤ歴でも、ゲマトリアとして知られている。ヘブライ語聖書やユダヤ暦などでは、これらの文字を組み合わせて数字を表現している。
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(出典:数から数学へ、参考3)

まとめ
数字というのは不思議な記号だ。エストニアに旅行した時には、骨董屋で古いそろばんや計算尺を見つけて興奮したのを覚えている。最近は、ネットで丸いそろばんがあるのを知った。デザインも中国の陰陽が示している。縄算は北海道や千葉でも戦前まで使われていたというが本当なのだろうか。それ以上に何故インカ帝国が突然、出てくるのだろうか。古代の日本人はインカまで旅したのだろうか(笑)。数字は面白い。
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(出典:マイナビニュース、参考4)

以上

参考1:http://www.museums.pref.okinawa.jp/UserFiles/hakaseka-do-ura(1).jpg
参考2:http://blog.hankyu-travel.com/kaigai/latin-america/peru/2012/090120.php
参考3:http://www.nihongo.com/aaa/chigaku/suugaku/suugaku.htm
参考4:https://news.mynavi.jp/article/20150319-calculator/