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築地市場の歴史と豊洲市場の未来

1. はじめに
築地市場から豊洲市場への移転は、前都知事のスキャンダルと新都知事のスタンドプレイに振り回された感がある。しかし、関係者の必死の尽力もあり、2018年10月11日に豊洲市場が開場する。今日は日本技術士会の中でも特に関係の深い水産部会で、この築地&豊洲をテーマとして、東京都職員の講師による講演会が開催された。非常に時機を得た講演会だと思い、これに参加したので、その内容等を簡単に報告したい。
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 出典:Wiki(築地市場

2. 東京における市場の歴史
2.1 日本橋市場と神田市場

築地市場を遡ると江戸時代になる。江戸時代には、水産物日本橋市場、青果は現在の秋葉原にあった神田市場が盛況だったという。江戸時代の日本橋市場の様子を下図に示す。江戸時代から食品流通を担ってきた日本橋と神田の両市場は、1923年(大正12年)9月1日に起きた関東大震災で壊滅した。このため、同年12月に日本橋から築地に移転して臨時の東京市設魚市場を開設したのが築地市場の起源だ。
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 出典:立命館大学(永理: (日本橋肴市場之図) - 立命館大学 - 浮世絵検索)

2.2 築地市場の開場と食料統制
1935年(昭和10年)に現在の築地に東京市中央卸売市場が開業した。この時には青果の卸売はすぐに移転したが、日本橋水産物の卸売業社は1年ぐらい理由をつけて築地市場での活動を渋ったらしい。太平洋戦争で食料統制が始まると自由な競りはなくなり、築地市場は食料の集配センターとなった。

2.3 築地市場とドライクリーニング
1945年(昭和20年)の終戦に伴い、当時の築地市場の約4分の1を連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が接収した。出入り口に近く一番便利なエリアだ。摂取の翌年の春には現在の青果部の建物がドライクリーニングの工場として稼働している。1950年(昭和25年)に解放されるまでは、ここでGHQの軍服のドライクリーニングを行った。日本のドライクリーニングは、この築地で技術をマスターした人たちが全国に広めたらしい。下の写真で建物から出てくるトラックに積もれていたのは洗濯済みの軍服だったらしい。
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 出典:朝日新聞デジタルhttps://www.asahi.com/special/tsukiji/word/)

2.4 築地市場と大井市場
現在の青果の取扱量は大田市場の方が築地市場よりも多い。神田市場も築地市場も手狭になったため、1965年(昭和40年)当時からは移転拡張が検討された。現在の大田市場は、当時は大井市場と呼ばれる。隣接の自然公園を含めると50ヘクタールという広大な敷地だ。しかし、野鳥が生息する自然公園を破壊することに対して反対運動が起きた。このため、自然公園は残して、当時の大井市場を再整備して大田市場として、神田市場の機能を移管する。東京湾の野鳥公園が温存されたのはその成果とも言える。
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 出典:東京湾野鳥公園

2.5 築地市場の拡張
大井市場への統合計画は頓挫し、神田市場の機能は大田市場に移行し、築地市場は拡張・再整備で対応することになった。戦後は鉄道輸送がメインだったが、トラック輸送へのシフトが進み、1987年(昭和62年)には鉄道を廃止し、レールの場所もアスファルトで舗装して、トラックが搬入できるように改造された。下の写真左の鉄道のプラットフォームだ。列車の荷物を運び込んだ。写真右は最近のもの。柱の位置などはそのままだ。
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 出典:築地今昔アーカイブ(築地今昔アーカイブ)

2.6 築地市場の再構築計画の頓挫
1980年代になると築地市場は、需要の増大に対応できなくなり、全面的に再構築する計画が鈴木都知事時代に検討された。青島都知事に引き継ぎトライしたが交通渋滞が深刻化して、市場関係者が大反対して、結局380億円ほど投資したにも関わらず頓挫した。当時確保しようとした種地も駐車スペース等に活用されているらしい。
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 出典:ottyankoの日記(http://d.hatena.ne.jp/ottyanko/20100901)

2.7 豊洲市場への移転
1996年(平成8年)当時には、多様なプランを検討したが、最終的に残ったのが豊洲市場への移転計画だった。築地市場は約23ヘクタールだが、豊洲は約1.7倍の40ヘクタールだ。高速のインターからもほど近い。最終的に豊洲への移転基本計画が策定されたのが、2003年(平成15年)と今から15年前だ。平成24年度〜28年度の完成を見込んでいたが、地下水問題とかがスキャンダラスな報道に翻弄されて、最悪シナリオをさらに2年も後ろ倒しになり、現在に至る。
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 出展:東京都中央卸売市場(http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/pdf/toyosu/siryou/pdf/04.pdf)

3. 築地市場の問題点
3.1 築地市場の状況

築地市場は青果などの一部を除き、中央区築地五丁目2番1号にある。約23ヘクタールという広さだ。7つのの卸売業者と約1000の仲卸業者がせりを行う。築地市場のピークの取扱金額は1990年(平成2年)で、9,200億円だったという。バブルの絶頂期だ。現在(2017年度)の取扱数量は水産物で38.5万トン、青果物で26.2万トンだ。取扱金額では水産物が4,277億円、青果物が880億円だ。2005年の取扱数量は約91.7万トン、金額で約5,657億円だった。講師は減少傾向には歯止めはかかっているというが、下の水産物取扱い量のグラフを見るとそれも疑わしい。流通の世界の変革の中で、東京都の存在感を高める努力が今後必要だろう。
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 出典:東洋経済(https://toyokeizai.net/articles/-/135382?page=4)

3.2 築地市場の問題点
1) 施設の老朽化

2018年で約83年を経過している。何度も増築や改築を繰り返しているが、やはり老朽化は限界だ。鐵道のプラットホームだったところがいまだに露天の取り扱いスペースという。ほぼ屋外での取り扱いはもう限界だ。
2) 施設構造の変化
開場時は鉄道輸送中心だったので扇型が機能的だった。ものの流れも円滑だった。しかし、現在はトラック輸送が中心だが、市場施設内のものの流れが混乱し、錯綜し、かつ渋滞している。ひどい時にはトラックが築地市場の玄関に到着しても、目的のエリアに移動するのに1時間かかったという。あり得ない。
3) 品質・衛生面
築地市場は基本的に開放型のため、夏場は高温多湿だ。風雨の影響も受けやすい。虫や鳥やネズミの駆除は常に後追いだ。都庁の旧庁舎解体時のように、築地市場の閉鎖時にそこに住み着いている大量のネズミが銀座等の近隣に移動しないように、その全てを退治・駆除できるかどうかが喫緊の課題だ。
4) 施設の過密・狭隘化
駐車スペースや荷捌きスペースが慢性的に不足している。このため作業が非効率だ。小池知事も、ここまでの事情をもっと理解していたら、もう少し違う判断をしたのだろうか。それとも政治的判断で同じことをしたのだろうか。

4. 豊洲市場への移転
4.1 豊洲市場の概要

敷地面積40ヘクタールと築地市場の約1.7倍。しかも、築地市場から2.3kmの距離。水産仲卸売場棟、水産卸売場棟、青果棟の3つの棟から構成する。全体設計は日建設計が担当する。各施設の施工は大手建設会社の共同企業体(J/V)により進められている。なお、3つの棟は平面図で見ると道路で隔離されているように見えるが、実際は1階の部分でそれぞれ繋がれているため、一体的な運用が可能なように配慮されている。
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 出典:nasubolog(https://www.nasu66.com/entry/toyosu-market

4.2 各棟の概要
1) 水産卸売場棟(7街区)
豊洲市場の中核となる卸売場棟だ。1階は卸売場、2階は「うに」卸売場、3階は塩干卸売場、4階は転配送センターだ。豊洲市場に届いた水産物はまずここに運ばれる。1階は活魚売り場を除き、閉鎖型だ。4階の転配送施設内は10.5度まで冷却できる構造だが、そんな低温にするかどうかは電気代を支払う卸売業者が協議して決めるようだ。2階の「うに」卸売場はきちんと芸術的に箱詰めされた商品の取り扱いだ。トラックの振動等を避ける意味から2階にしたらしい。この棟の施行は、大成建設竹中工務店熊谷組大日本土木名工建設・株木建設・長田組土木のJVだ。

2) 水産仲卸売場棟(6街区)
豊洲市場に到着した水産物が水産卸売場棟から仲卸売場棟に移動して、仲卸事業者によって売買される。1階の閉鎖型施設内の空調は25度Cで管理できる。取扱商品ごとに温度管理することも可能だ。1階が仲卸売場、3階が飲食店舗等、4階が物販店舗等、そして屋上は緑化広場だ。開業した後は、この屋上の緑化広場は無料で解放するようだ。天気に恵まれれば展望も良い。なお、この棟は清水建設大林組戸田建設鴻池組東急建設錢高組・東洋建設JVが対応している。

3) 青果棟(5街区)
青果棟は水産卸売場棟と繋がっていて、青果関係はこの青果棟に移動する。閉鎖型施設内の管理は22度Cで管理する。低温倉庫(0-10度C)も用意する。1階は卸売場、仲卸売場等だ。2階はなく、3階が加工パッケージ施設などだ。鹿島建設西松建設東急建設・TSUCHIYA・岩田地崎建設京急建設・新日本工業のJVが施行している。

4.3 豊洲市場の特徴点
1) 閉鎖型施設:閉鎖型とすることで温度管理、保冷の効率化、粉じんや鳥・虫・鼠の侵入防止。
2) 高床式バースト車長に対応した庇:商品の汚損や埃の流入防止、商品の搬入時の風雨の影響軽減。
3) ドックシェルター:1階と4階の商品出入口は施設の開口部と車両の隙間を密閉。
4) 入場管理室:市場利用者専用の手洗い・手指消毒・靴底消毒を行い、衛生管理の徹底。

4.4 豊洲市場の開場に向けた追加対策工事
豊洲市場では、専門家の提言に基づいて追加対策工事を実施した。具体的には、地下ピット追加対策では、床面にコンクリートを敷設するとともに、ピット内に換気設備を設置した。また、地下水管理はシステム機能強化対策では、建物下に揚水ポンプの設置を行うとともに、旧観測井戸での揚水等により、揚水機能を強化して安全宣言をした。
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 出典:東京都中央卸売市場(追加対策工事について|東京都中央卸売市場)

4.5 豊洲市場の移転に必要な経費と財源
東京都のホームページに掲載されているQ&Aでは費用についての質問と下のような回答があった。2011年(平成23年)2月時点の回答だ。当日の東京都職員の回答では追加費用は32億円ほどだという。妥当なレベルだろうか。
豊洲新市場の移転整備には、合計で約3,926億円の経費がかかると見込まれています。その内訳は、建設費が約990億円、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策費が約586億円、護岸の整備や東京都市計画道路補助第315号線の高架化などの基盤整備費が約370億円、豊洲新市場予定地の土地を取得するための用地費が約1,980億円となっています。これらの経費は、市場業者が東京都に納めている使用料を主な収入とする独立採算の中央卸売市場会計で賄われ、不足分も築地市場跡地の売却収入で補てんされます。一般会計からの補てんや補助は受けませんので、皆さんが納めている税金が使われることはありません。
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 出典:東京都中央卸売市場

5. 今後の課題
5.1 電力消費量

豊洲市場には2000kW相当の太陽光発電設備が設置される。ネットの記事で見ると青果棟の屋上に設置するようだ。トータルの消費電力量は開示されていないが、現在の築地市場では、下の図にあるように年間で5000万kWhに達するようだ。
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 出典:東京都議会議員「おときた俊」(https://otokitashun.com/blog/daily/11266/)

5.2 テナントの負担
築地市場豊洲市場もテナントが負担する家賃の単価は同じだ。しかし、豊洲に移転すると利用するスペースも広がるので実際に負担する家賃は増大するケースが多いだろう。また、温度設定が卸売業者の判断に任されているのは、その電力料金を負担するためだ。まあ都の職員曰く水産関係者で豊洲市場への移転に反対している人には会ったことがない。だって便利になるんだもの。まあ、都の職員としてはそれぐらい水産関係者のことを考えているという自負と理解する。

5.3 異常気象への対応力の強化
豊洲の地下水の推移は健全な水位にあるようだ。しかし、雨が降れば当然水位は上昇する。近年のような予想を超えるゲリラ豪雨等が発生した場合いどの程度まで水位が上昇するのだろうか。ポンプで排出するにしてもその能力は十分なのだろうか。水との戦いは簡単ではない。
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 出典:ameba(豊洲市場の地下水位変動の状況(2016/11/24時点) | マスメディア報道のメソドロジー)

まとめ
来月6日(土)に築地市場は83年の運営にピリオドを打つ。そして、豊洲市場は同11日(木)から開場する。7日から10日までの期間で、二重化できないものを引っ越すらしい。大変だ。度重なるスキャンダルや迷走からなんとか収斂できたのは関係者のご尽力によるものだろう。しかし、課題も多い。今回、都の担当者の話を聞くことができたので、理解した範疇で報告した。個人的には、関西空港のように水害で水没した場合の停電対策が気になるところだ。講演者に自家発のことを質問すると設置はされるが、設置場所は1階もしくは地下だ。想定される水害には対策をしているという言葉を信じるしかないのが少し不安なところだ。自家発設備が稼働したとしても、1階が水没するような状態になり、商用電源がストップするのが最悪のシナリオだ。想定されるリスクに対して、豊洲市場の機能を強化すべきなのか、それとも他の市場との分散化で対応するのか。総合的な検討が必要だろう。釈然としないのは、大きな流れとして築地から豊洲に移転するのは、それほどおかしな計画とは思えないのに、なぜあれほどヒステリックな報道が続いたのだろう。文春砲にも正義と罪がある。新聞やテレビなどのマスメディアは警察ではない。まして検察官でも裁判官でもない。しかし、その場の空気で容疑者とされたものは社会的に処罰される。子供達のいじめの構図との類似性が気になる。子供に大人が模範を示さないといけないのに、反面教師ばかりを見せて、子供を指導しているとしたら悲しい構図だ。
 出典:iRONNA(誰がなんと言おうと、私は「文春砲」が許せない)
以上

フェイクニュースと徒然草

はじめに
昨日、情報セキュリティ心理学の第五回研究会に参加した。主催されているのは情報セキュリティ大学院大学の内田名誉教授だ。情報セキュリティの分野の大御所なのでご存知の方も多いかもしれない。著書も多い。歯に絹を着せぬ直球的な発言が多いが、自分は好きだ。複雑なセキュリティの課題を究明しようとしたら、シンプルに考えることと、言論の自由を重視する空気が必要だからだ。山の上ホテルの横にある明治大学のキャンパスで開催されたので参加した。面白かったので、少し報告しておきたい。
 出典:情報セキュリティ心理学の提案(参考1)

講師はNTTセキュアプラットフォーム研究所の瀧野修主任研究員
夕方の6時半から8時半までの2時間。説明中も疑問があれば質問してくださいとのこと。参加者も個性的な方が多い。質問や突っ込みが矢継ぎ早に出てくる。情報セキュリティの関係者はほぼ共通して頭の回転が早く、数学が好きな人が多いような気がする。資料は41ページほどだが、内容が濃い。イメージ的には80枚相当のスライドを90分で説明し、30分で質疑応答する感じだ。参加者は自分の所属とか氏名を名乗らなくて良いことになっているので、どこの誰かは分からないが、講師に質問するというよりは、今説明されたこの点は、先日の学会でこのような指摘がありましたよとか、このような解釈だと思いますよと言った上から目線の発言が飛び交うが、それがまた的を得ているので、受講生も講師も「確かに!」という感じで納得する。すごくオープンな授業で面白い。

SNSにおける「フェイク」とセキュリティに関する一考察

これが本日のタイトルだ。フェイクニュースバズワードだ。バズワードバズワードだ。Wikiには、「バズワード(buzzword)とは、もっともらしいけれど実際には定義や意味があいまいな用語のことだ。英語では、特定の期間や分野の中でとても人気となった言葉のことである。権威付けされたり、専門用語や印象付けるような技術用語。コンピュータの分野でよく使われるが、政治など広い分野で使われる。」とある。
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 出典:HH News&Reports(参考2)

フェイクニュースとは
トランプ大統領の発言でフェイクニュースの存在に注目が集まった気もする。そもそもフェイクニュースとはなんだろうか。日本語では捏造報道とか、虚偽報道と読んでいるものに当たる。Wikiでは、「マスメディアやソーシャルメディア等において事実と異なる情報を報道すること、または事実と異なる報道を行うメディアそのものを指し示すことである。」という。講師の瀧野さんは、Tech Crunchをベースに「全くの作り話で、通常よりトラフィックや広告収入、または政治的思想の拡散を目的に作られているもの」と指摘している。

フェイクニュースの目的
なぜ嘘をつくのか。嘘をついてはいけませんと子供の頃に教わった(笑)。瀧野さんが指摘するように3つの目的があるようだ。
1) 注目してほしい。見てほしい。
 ブロガーが自分のサイトのアクセス数を増やすために注目を集めるような表現や拡張をすることは多いだろう。嘘ではないけど、本当でもないような情報も世の中には多い。特にネットの世界では、嘘か本当かよく分からない情報が多く、それを信じて発信する危険性がある。自分も肝に銘じる必要がある(汗)。
2) 広告収入目的
 これはよりプロフェッショナルな行為だろう。アフィリエイト収入などで稼いでいる人が、より多くの広告収入を得るための手段として虚偽の投稿をしたりする。アフィリエイトの始まりは1996年のAmazonという説もあるが、アダルトサイトではもっと前から始まっていたという説もあり、調べると確かに1994年にCDNOWがクリックスルー方式のウェブサイトを立ち上げていた(笑)。広告収入もバズワードなので、あとで少し解説する。
3) ポリティカルな目的
 政治的な判断から組織ぐるみでのフェイクニュースを出したりすることはあるかもしれない。少し極端な例かもしれないが、現在の教科書、特に社会の教科書の内容は嘘ではないけど、本当のことも隠している部分があり、フェイクニュースの典型かもしれないというのは言い過ぎだろうか。

広告収入モデル
典型的なサイバー広告はバナーだろう。このはてなでもバナーは出てくる。世界初のバナー広告は、1994年にAT&THotWiredというウェブ雑誌に出したという。そのウェブを見ている人がそのバナーをクリックするとより詳しいサイトに移動するという効率的な広告方法だ。このため、広告主は人気のサイトにバナーを設置したいと考えて、掲載者に対する報酬を与える。その報酬の方法の一つが先に示したクリックスルー方式だ。
1) 表示方式
利用者がバナーが掲載されているページをアクセスした回数に応じて報酬を支払う方法だ。広告主のバナーが表示された回数をインプレッションと言い、1000インプレッション単位で報酬が支払われることが多い。アフィリエイターにとっては嬉しいが、広告主から見ると単にバナーを見ただけなので、売上につながる可能性は高くない。
2) 成果報酬方式
利用者がバナーをクリックして、広告主のページを見て、その商品を購入した場合に、購入回数や購入金額に応じて成功報酬をアフィリエイターに支払う。広告主からみると売上を確実に計上したときだけ支払うので嬉しい。でも、アフィリエイターにとっては、収入が不確実なので敬遠する。
3) クリックスルー方式
先のCDNOWが採用したのは絶妙で、そのバナーがクリックされて、広告主の画面が表示された回数に応じて報酬が支払われる。利用者が広告主の画面を見ているので、売上に連動する可能性が高いので妥当だ。さらには、クリックしてもらうために個人情報を分析して、ダイレクトマーケティングしようとする。そこにまた個人情報の取り扱いの問題が絡んでくる。なかなかムズイ問題だ。

フェイクニュースの拡散にはボットより人間が貢献
話を本論に戻そう。フェイクニュースを拡散しているのはボットではないかという説がある。ボット(bot)とは、ロボット(robot)の略だ。特にサイバーの世界で作業を自動化するプログラムの総称だ。例えば、Googlebotでは、検索したいことを予めセットしておくと、世界中の新聞やニュースの内容を収集してくれる。韓国のNAVERはネイバーまとめが有名だが、やはりYetiBotというアプリを開発している。最近はRPAがバズワードになっている。これはロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略で、ホワイトカラーの業務の効率化を目指すものだ。しかし、ジャーナリストの耳塚佳代さんの研究によると、偽情報の拡散はボットよりも人間が貢献しているという。
kayomimizuka.hatenablog.com

フェイクニュースへの対応
Face Bookは最近広告が多く、ちょっと嫌気がさして使う頻度が激減している。瀧野講師もFBは、フェイクニュースへの対応を求められて、改善する姿勢を示しているが、その実態は本気ではないと指摘する。不適切な発言内容や偽アカウントを指摘しても、FBが迅速に対応することは少ないという。また、偽アカウントを直接批判したり、拒否する方法もあるが、FBを通じて対応した方が逆ギレの心配がないので安心だともいう。

中国での法律
中国では偽情報を5000件参照したり、500件以上転送すると禁固刑以上の罪を問われる可能性があるという。しかし、受講者によれば、それは中国共産党を避難するような情報を検索したり、リツイートした場合だという。1年ほど前の話だが、WeChatを提供する中国のテンセントは、WeChatのAIキャラクターが中国共産党を避難する発言をしたとして、サービスが停止されたという。
 出典:the page(参考3)

フェイクニュースと人間行動
瀧野先生はAIDASの法則を用いて説明されていた。個人的には、似たようなものだがAIDMA理論が好きだ。AIDMA理論とは、下の図のように人間が購買行為を起こそうとした時には、心理的な状況があり、その各状況に適したアクションを取ることが必要だというものだ。まず最初のAとして、注目してもらう必要がある。本当かなあという情報も利用者が興味を引く内容だと有効になるかもしれない。次のIは興味を持ってもらう必要がある。なんだか面白そう!と感じてもらう。このため嘘っぽい内容も拡散される可能性が高い。次のDは欲求だ。タイトルなどに興味を持ち、それをクリックしてしまう。リツイートしてもっと多くの人に伝えたい。いろいろな要求が生じる。Mは記憶だ。ほしいと思ってすぐに行動する人もいるが、多くは少し間を置くものだ。そして、最後のAは行動だ。やっぱり面白そうだからやっちゃえ!とか、転送しちゃえ!とか、拡散する行為に走ってしまう。利用者本人は、それが本当の情報か、嘘の情報かを見分けることができない場合もあるし、そもそもあまり深く考えずに「いいね」を押してしまうこともある。
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 出典:グロービス経営大学院(参考4)

古典におけるフェイクニュース
この切り口が新鮮だった。徒然草とは、吉田兼好鎌倉時代末期(1330年ごろ)に書いたとされる随筆だ。最初の「徒然なるままに」はあまりにも有名だが、これは序段であり、この序段を含めて244段からなる力作だ。その73段にはフェイクニュースに関する記載がある。当時は全てかなで書いたようだが読みにくいので漢字を含めたものを下に示す。
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 出典:biglobe(参考5)

徒然草73段の現代訳
世に語り伝えられていることは、本当のことは面白くないのだろうか、その多くはみんな嘘である。 実際にあったこと以上に人は大袈裟に言うが、ましてや、年月が過ぎて、国境も隔たってしまえば、言いたい放題(書きたい放題)に語り伝えて、書物にも記録されることになると、やがてその誇張された嘘が真実として定まってしまう。その道の専門家が書いた本になると、その方面に明るくない人は神のごとくにその内容を信じるが、その道をよく知る者であれば簡単には信じない。聞くのと見るのとでは、何事も大違いなのである。 すぐに嘘がばれることも気にせず、口に任せて虚言を言い散らせば、そのうち、根も葉もない嘘だと分かってしまう。また、(その虚言を聞いた者が)内心ではありえないことだと思いながらも、人から聞いたままに、鼻を動かして興奮しながら語るのは、その人本人のつく嘘ではない。いかにも本当らしくところどころを曖昧にしながら、肝心の部分は良く知らないふりをして、さりげなくつじつまを合わせて語る虚言は、(世の中を乱すという意味で)恐ろしいものである。 自分の面目を立てて名誉にもなる虚言には、人々は全く否定しようとしない。みんなが面白がっている嘘に対しては、自分ひとりだけが『そうではない』と言っても仕方が無くて、そのまま聞いているうちに、自分が虚言の証人にすらされてしまい、そのまま虚言が事実になってしまう。とにもかくにも、虚言の多い世の中である。人の言うことなど、当たり前で珍しい事などあるはずもないと思っていれば、虚言に流される事もない。世間で噂される虚言は、驚くようなものばかりだが、まともな人間は真偽の怪しいことを語らない。 とは言うものの、仏陀の伝記や、神仏の奇跡については、信心もあって信じないわけにはいかないだろう。世間の虚言をまともに信じることはバカらしいが、仏教の説話については『こんなことがない』といっても仕方がないことである。大体、本当のことだろうと思いながらも、むやみに信じないことが大切だが、だからといって、疑ったり嘲ったりすべきものでもないのだ。
 出典:biglobe(参考5)

徒然草で指摘されているフェイクニュースの特徴
瀧野講師は、フェイクニュースへの対応策は、この徒然草の73段で言い切っているのかもしれないという。要約すると次のようなことなのだろうか。
1) 特徴:虚言は流布されるものだ。すぐに嘘とばれることもあれば、本当らしい話として伝わることもある。虚言は必ずしも否定されるものではない。
2) リスク:虚言を否定せずに放置しておくと、証人の一人にすらされてしまう。嘘が事実になっていく。書物等の体裁が整えば定説にすらなる。
3)対策:達人や知識人は嘘を識別できる。まともな人は怪しいことを語らない。世俗の虚言を心の底から信じるのもバカらしい。ありえないなどといっても仕方がない。大人の対応をすべき。疑ったり、嘲ったりするのも良くない。

まとめ
最近はネットでいろいろな情報を確認することができる。それは嘘かもしれないし、本当かもしれない。新聞やテレビでも「嘘」をいうことは少ないが、必ずしも「本当のこと」を言っているとは言えないと感じることが多い。教科書もそうだ。小学生や中学生の時に社会が好きではなかった。当時好きだった女の子が転校して、たまたま再会した時に社会(歴史)って面白くないよねと言ったら、新しい学校の社会の先生は、因果関係を教えてくれるので面白いよ!と言った。へえ!そうなんだと素直に感心した。それからは年号を覚えるよりは、因果関係を調べるくせがついた。確かに、何かの事象があるときはその原因がある。そしてその原因がある時には必ず元原因がある。品質管理の手法と同じだ。そんな風に日本や日本人の起源を追っていくと縄文人やもっと前の先住民になる。でも、教科書では、皇紀のことも書いていない。縄文人のこともさらっと終わる。諏訪の小学校に訪問して、縄文の遺跡で盛り上がっている校長先生に、縄文文化は世界の4大文明より古いことを指摘すると、確かに!と妙に感激されていた。社会を教える先生がそんなことでどうするのと思う。もしかしたら、小学校や中学校の先生も、指導要領にそって教えなければと考える真面目な先生だったのかもしれない。でも、社会の先生になるような人なら、歴史の面白さをもっと子供たちに熱意を持って教えてほしい。想いを伝えてほしい。話がずれてしまったが、フェイクニュースとの付き合い方は難しい。深く考えずに「いいね」を押したりすることはあるだろう。でも、大事なことは古い時代から人類はフェイクニュースと付き合ってきたということを認識すべきということなのかもしれない。

以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

引用資料
 参考1:http://www.uchidak.com/research/InfosecPsychology.pdf
 参考2:https://www.hummingheads.co.jp/reports/keyword/131219.html
 参考3:https://thepage.jp/detail/20170807-00000023-wordleaf
 参考4:AIDMA(アイドマ)とは・意味|MBAのグロービス経営大学院
 参考5:『徒然草』の72段~75段の現代語訳

5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人

はじめに
会社にライブラリーがあり、その愛用者だ。月に一度ほどライブラリーの利用状況のレポートが配布されるが、その時の読書感想を求められた。どうしようかと思ったが、まあお世話になっているので表記の新書について書こうと思った。でも、表紙を見ただけでまだ読んでいないので、そのポイントや感じたことなどをこのブログでまとめてみたい。

熊谷徹(くまがい とおる)
筆者の熊谷さんは、大学を卒業後モーレツ社員としてNHKの記者を8年間働き、1990年から27年間はドイツでフリージャーナリストとして働いている。ドイツでは厳しい残業規制があるが、フリージャーナリストは対象外なので、実はこの熊谷さん自身はドイツでも猛烈に働いているのではないかと穿ってしまうが、それは本論ではない。

5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人
これは刺激的なタイトルだ。帯にも書かれているが、仕事の生産性は日本の1.5倍で、夏休みは2週間以上で、有給消化率100%だという。ここまでは知っている方人も多いかもしれない。個人的に凄いと感じたことを後述したい。
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サバティカル
恥ずかしながら初めて聞いた。サバティカル(Sabbatical)とは、使途に制限がない職務を離れた長期休暇のことだ。1か月から1年間の休暇を取ることだ。語源は、旧約聖書安息日(ラテン語 でsabbaticus)だ。 大学の教員が伝統的に採用した制度だが、牧師、芸術家、スポーツ選手などがしばしば充電期間として使う。いきものがかりが、2017年1月にいきなり「放牧宣言」をしたのには驚いたが、これもサバティカルかもしれない。ドイツの企業の約5%はサバティカルを導入している。その制度も様々だ。サバティカルの期間は、無給のところもあれば、1年間25%の減給を受ければ3ヶ月のサバティカルを取得できるところもあるという。ドイツではコンサルティング企業で採用が広がっているようだ。昨年は3週間有給休暇を取得して、バルト三国を旅行したが、今度は3ヶ月の休暇を取って海外を旅したいなあと妄想が始まる(笑)。

罰金は管理職のポケットマネー
ドイツではほぼ全ての労働者は1日の勤務時間の上限が10時間でかつ平均労働時間が8時間を超えてはいけないという規則がある。規則を守ることが大好きなドイツ人の労働者も管理者も会社もこれを遵守する。この平均で8時間というのも凄い。つまり、今日10時間勤務したら別の日は6時間勤務にするということだ。これはいいなあ。しかも、この規則を守らないとどうなるか。管理職は労働者を管理できないダメ管理者として評価を落とすことになる。それだけではなく、最高1万5千ユーロ(約180万円)の罰金を管理者が管理者のポケットマネーで支払うことを求められる。このため、管理者は文字通り必死になってこの規則を守ろうとする。それはそうだろう。管理者の心理をよく理解して制定された規則だと感心する。

サービス精神は期待できない
まだ20台の頃にヨーロッパを旅行したことがある。ドイツの地ビールを飲もうと小料理屋のような小さな店に入って注文すると、グラスには線が引いてあって、ビールの泡がピッタリその線と重なったときに「bitte」と出される。「danke」といって飲む。これは最高に美味しい。しかし、せっかくドイツにきたので、ソーセージでも食べたいので何かないかと聞くと、「Nein(ない)」という。なぜと聞くと、ここは飲む店だ。食べるならレストランに行けという。なるほど。そうかと感心した。日本でも、東京に進出したばかりの「京都の餃子の王将」に入ると、餃子のみだった。ラーメンを食べたければラーメン屋に行け。ここは餃子屋だ。ドイツ人も餃子の王将もプライドを持って仕事をしていると感心した。

日本人のような過剰サービスは期待できない
お客様は神様ですというのは、歌手の三波春夫のセリフだ。日本人はこの言葉に共感する人も多いだろう。でも、ドイツではそのような感覚はない。日本人が得意な「忖度」も苦手だという。良いサービスを受けたければ対価(チップ)を払うのが当然という感覚だ。日本人もドイツ人も勤勉だが、このサービスに対する考え方は両極端だ。どちらが良いということはないだろう。しかし、お互いに良いところは取り入れたいところだ。

裁量労働制の課題
以前、裁量労働制についてブログにまとめた。その時の結論が下の図だ。つまり、タテ軸にやる気(やりがい)、横軸に労働時間をプロットすると、月100時間を境にして、やる気が急激に増大する。4つのゾーンに分割すると、やる気もなく、労働時間も少ないのがダラダラゾーンだ。そして、やる気が高く、労働時間が長いのが猛烈ゾーンだ。やる気は高いが、労働時間は短いゾーンをハイカルチャーゾーンと呼ぶ。大好きなスタバはこの代表格だ。そして、問題なのは、やりがいもなく、社会的な評価も低く、賃金も低くてやる気が低いにも関わらず長時間の労働を強いるゾーンだ。さらにはサービス残業で労働の対価も払わないとなるとまさにブラックゾーンだろう。
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 出典:裁量労働制を考える - LuckyOceanのブログ

労働時間を下げるよりも、やりがいを高めるべき
これは自論だが、労働時間が長いから悪いのではない。やる気ややりがいを持てないことが問題だ。これは企業側の問題だけでなく、働く側の問題でもあるが、このやる気をいかに高めて、付加価値の高い業務を行うようにするのか。この点を重点的に検討して、追求すべきではないのかと思う。その上で、労働時間を短くするのか、長時間働くのかは個人の自由だろうと思う。

猛烈ゾーン
個人経営者や企業の幹部などはやり甲斐もあるし、やった分だけ対価も得られる。年間数千万円とか数億の収入を得られるならもう必死で働くと思う。そして、疲れたら、サバティカル休暇でリフレッシュするのもいいかもしれない。問題は体力の限界と、健康と家族だろう。ワークライフバランスを心がけられるかどうかはこのゾーンの人たちにとっては課題だろう。

ハイカルチャーゾーン
やる気もやり甲斐もあるが、短時間で仕事を終える。勤務時間は仕事に集中して、成果を出したら、さっと帰る。現在の社会が求めているのは、コチラだろう。でも、日本人は勤勉だ。会社から早く帰って趣味を楽しむ人もいるけど、スタバとかで必死に勉強している人もいる。資格試験にトライしているのだろうか。資格試験に合格しても人生が劇的に変わることは少なく、結局資格取得ビジネスに踊らされているだけということもある。自分自身その毛があるが、まあ人それぞれだ。いずれにせよそれぞれの夢を是非実現して欲しいとは思う。

高橋まつりさんのTwitter
ネットを見ると高橋さんのTwitterが検索できる。2015-09-23 17:35:09にこんなことを書いている。時給=人間の価値ではないが、彼氏の時給が彼女の時給の25倍ということにショックを受けている。やはりブラックゾーンに突入していたと言えるのではないだろうか。
最近失恋しかけてメンタルずたずただったんだけど何とか持ちこたえて生きていますという報告と、この前年俸制の彼の休日出勤手当を時給換算してもらったら私の残業代の25倍だったので、この人は労働市場で私の25倍以上の価値がある…と全身全霊のリスペクトを以って関係修復に励んでいる。

ドストエフスキー地下室の手記
自分自身はまだ読んでいないが、ドストエフスキーは「地下室の手記」のなかで、「重犯罪人に自分の罪を思い知らせるなら、土を掘り移動させてそれをまた元に戻す。ということをさせれば良いのだ。しかし、それは全く拷問と同じことになって、精神に異常をきたすだろう。」と書いているという。やる気が低い事に長時間の労働を強いることの究極はこのような行為だろう。そして、彼の指摘のように精神的に異常をきたす悲劇が日本では続いていると言えるのではないか。
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まとめ
電通で悲惨な自殺をした高橋まつりさんの心情は想像するしかない。仮に月100時間の残業をしていても、それに対する対価がしっかりとあり、評価も高く、成果も得られたのだとしたら、最悪の事態にはならなかったのではないだろうか。今後は、もっと短時間で成果をあげるようにするか、もっと時間をかけて探求するかは本人の判断だが、少なくとも精神的には充実していて、自殺を考えることはないのではないかと思う。成功した人が月100時間ぐらいで自殺するなんてという問題発言をすることがある。多分、本人の素直な感想なのだと思う。でも、想像して欲しい。意味のないことを強いられるほど苦痛はないだろう。先の地下室の手記は極端だが、そんなことを強いられている人を想像すべきだと思う。あと、個人的には企業の管理者はこの規制の対象外だという。やる気は高いのだろうか。心配になる。

以上

すいません。ちょっと結論が暗くなってしまいましたね。

労働安全衛生法:隧道(ずいどう)を考える

はじめに
隧道とはトンネルのことだ。労働安全衛生法では、ずい道という。最初に見たときは、なんだこれは!とびっくりしたのをよく覚えている。青函トンネルも正式には、青函隧道というようだ。ずい道には、入り口と出口が決まっている。新幹線でいえば、東京よりが入り口で反対側が出口だ。

トンネルの定義
Wikiでみると、トンネルを次のように定義していた。
トンネルとは、地上から目的地まで地下や海底、山岳などの土中を通る人工の、または自然に形成された土木構造物であり、断面の高さあるいは幅に比べて軸方向に細長い地下空間をいう。1970年のOECDトンネル会議で「計画された位置に所定の断面寸法をもって設けられた地下構造物で、その施工法は問わないが、仕上がり断面積が2平方メートル (m2) 以上のものとする」と定義された。

歴史
トンネルの起源を調べると、紀元前2000年ごろのバビロンに作られた歩行者用のトンネルとされている。古代ローマギリシャの時代に作られたトンネルはいまも使われているものがあるという。以前も取り上げたがエジプトでピラミッドを建造したときのコンクリートの技術は、現在も再現できないという。現在のコンクリートは50年が寿命なのに、古代のコンクリートはなぜ数千年も持つのだろう。技術は本当に進歩したと言えるのだろうか。
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出典:Wiki(バビロンの川底トンネル - Wikipedia)

日本最初のトンネル
1632年(寛永9年)に建造された辰巳用水が日本最初のトンネルらしい。辰巳用水は、金沢市を流れる約11kmの用水路であり、3代加賀藩主・前田利常の命により、板屋兵四郎が完成させた。金沢城の防衛・防火目的で、途中難工事区間もあったが、なんと1年足らずで完成したという。すごい。
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 出典:Wiki(辰巳用水 - Wikipedia)

ダイナマイトとトンネル工法
トンネルを掘削していくのは大変だ。しかし、ダイナマイトが発明されると、この発破技術によって、トンネルの効率は飛躍的に高まったという。Wikiによると、日本最初の西洋式トンネルは、東海道本線の神戸市内にあった石屋川隧道だ。1871年(明治4年)に完成し、石屋川の下を潜る天井川だが、現在は高架化に伴ってなくなっている。

ずい道に関する労働安全規則
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ずい道関連の2つの作業主任者
ずい道関連の作業主任者は、ずい道等の掘削等の作業主任者と、ずい道等の覆工作業主任者に分かれている。前者はずい道またはずい道のずり積み、ずい道支保工の組立て等の作業を行う。後者は、最後の仕上げの部分だ。ともに、ずい道等の掘削等作業主任者技能講習を修了した者の中から作業主任者を事業主が選任する。
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 出典:建設業労働災害防止協会(ずい道等の覆工作業主任者 - 建災防 北海道支部)

トンネルの増築作業の大きな流れ
1) トンネルの削孔、掘削、火薬
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2) 支保工の取付け、コンクリートの吹付け
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3)ロックボルトの取付け、防水シートの取付け、型枠
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 出典:京都市(http://www.city.kyoto.lg.jp/kensetu/cmsfiles/contents/0000012/12793/ninose_kouji.pdf)

トンネルボーリングマシン(TBM)
TBMとは、トンネルの掘削の後、壁面への吹き付け作業等を自動化してくれる優れものだ。システムは、自動吹付システム・自動断面測定システム・自動吹付厚測定システム、自動測量システムなどからなり、掘削坑壁面の水洗い、掘削面断面計測、掘削坑壁面への吹付、吹付面断面計測、吹付厚算出の作業を自動で行うと言う。
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 出典:佐藤工業(TBM自動吹付システム|技術とサービス|佐藤工業株式会社)

ドーナッツ型のTBM
従来のTBMはいわば力任せに掘削していくタイプだ。しかし、日本では地質が複雑であり、地質に応じた掘削ができれば掘削スピードをもっと高速化できると期待されていた。そして、国内では産学官でドーナッツ型TBMを完成させた。これは、ドーナッツのように、周辺部をカッターで掘削するが、真ん中はそのままだ。このため、その真ん中の部分の地質をチェックしなが掘削を続ける。そもそも回転ドリルで真ん中を掘削するのは厳しい。発案者の武田光雄博士によると、「TBMでは単円で回転している中心は動いていないため、その中心を掘ることはそもそも合理性に欠ける。硬い岩盤であればその差は歴然」という。実験では4割程度のスピードアップを実現したようだ。
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 出典:建設工業新聞(https://www.decn.co.jp/?p=67960)

まとめ
トンネルは危険がいっぱいだ。発破をかける時の事故、掘削の事故、支保工の事故、ロックボルトの事故、そして防水シートや仕上げでの事故など本当に危険と背中合わせだ。より性能の良いTBMが開発され、実用化されることで、本質的な労災撲滅に役立てたいと技術士として本当に思う。

以上

最後まで読んで頂いてありがとうございます。1日に二件は厳しいなあ。。

労働安全衛生法:潜函(せんかん)を考える

はじめに
今回の台風21号は西日本を中心に記録的な猛威をふるった。関西空港は水没したが、明石海峡大橋はどうだったのだろう。明石海峡大橋は、神戸市垂水区淡路市を結ぶ全長3,911mの世界最長の吊り橋だ。1998年に竣工し、建設費は約5,000億円だという。1995年の阪神淡路大震災で地盤がずれなければ1990mだったらしい。こんな巨大な橋をどうやって建設するのか想像もできない。
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 出典:Wiki(明石海峡大橋 - Wikipedia)

ケーソンと橋梁建設
コンクリートもしくは鋼製の大きな箱のことをケーソンという。先の明石海峡大橋の主塔の基礎となる鋼製ケーソンは高さ65m、直径80mという非常に巨大に物体だ。これを海底に沈めて、基礎とするというすごい方法だ。一方で、潜函とは、地下水の多い地中や水中で作業を行うための作業空間のことだ。 地中や水中に穴を開けるので、浸水する危険があるので、作業場をコンクリートの壁で囲い、内部は高い圧力をかけるという。

萬代橋の建設と潜函工法
義理の父親が新潟に勤務したことがあり、何度か遊びに行った。魚介類やへぎそばや日本酒がたいそう美味しかったのをよく覚えている。その新潟市の中心部を走る信濃川にかかるアーチが萬代橋だ。1929年8月23日に完成し、総工費240万円(現在だと800億円ほど)だ。そして、この萬代橋の橋脚の基礎工に採用されたのが、「空気潜函(ニューマチックケーソン)工法」だ。1964年の新潟地震(マグニチュード7.5)唯一耐えて、震災復興を支えたという。素晴らしい。
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 出典:国土交通省(ビッグプロジェクト 萬代橋|北陸地方整備局)

潜函工法
潜函工法では、下の図のように、筒状の構造物の先端部に作業をする空間を作り、そこで掘削作業を行う。人が出入りするマンロックと、空気を排出するエアロック、物資を往復させるマテリアルロックなどが設けられる。人が作業できる限界は3.5気圧だ。関東大震災後の隅田川の橋梁基礎を作るのに用いられた。

減圧と潜水病
自分は、潜水士をトライしなかったが、NAUIとPADIをもつダイバーだ。ダイバーの最大のリスクは潜水病だ。この潜函工法でも、作業する人は高圧の中で作業をするため、減圧に失敗すると、体内中の窒素が気泡となって最悪の事態も起こりうる潜水病を引き起こす危険がある。血液内の窒素成分が高まると、アルコールに酔ったような窒素酔いを起こして、陽気になる人もいる。この潜函で作業する人たちはどうなのだろう。
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 出典:kajima(橋の歴史物語 | 橋 | 建設博物誌 | 鹿島建設株式会社)

潜函工法の自動化
潜函工法は優れた点もあるが、やはり危険だ。このため、海底の掘削機をリモートで運用する方法が開発されたが、保守業務や掘削機の解体作業では人手に頼っていた。しかし、近年では、完全無人化を可能とすることで、地下水面下90m(作業気圧0.88MPa)と行った超大深度での施行も可能となっている。
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 出典:ohmoto(株式会社 大本組 Super-ROVOケーソン工法の概要と特徴)

労働安全衛生規則での規定
労働安全衛生法には、潜函工法に関する具体的な記述はないが、労働安全衛生規則の第376条と377条と378条において詳しく規定している。
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出題傾向と対策
第376条の二において、「刃口から天井またははりまでの高さは1.8m以上とすること」とあるが、これなどは狙われやすい。また、第377条の1の三で「掘り下げの深さが20mを越える時は、外部との電話等の設備を設けること」や同一で「酸素が過剰なになるおそれのあるときは酸素の濃度を測定するものを指名して測定させること」「20mを超える深さでは送気設備を儲けること」などが規定されている。

まとめ
う〜ん。こんな感じでまとめていって間に合うのだろうか。合格するのだろうか。不安がよぎるが、まあ取り敢えず目標20トピック達成までは頑張ってみるかなあ。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございます。

労働安全コンサルタントへの道のりは長い。。

はじめに
10月16日(火)は大好きな姪っ子の長男の誕生日だ。同時に、この日は、国家試験である労働安全コンサルタントの試験日だ。

労働安全コンサルタントとは
日本語のWikiでは、労働安全コンサルタントとは、「労働安全衛生法82条に基づく労働安全コンサルタント試験に合格した者で、同法84条に基づき厚生労働省に備える労働安全コンサルタント名簿に登録した者である。」と定義している。

試験科目
10月16日は、択一式の2科目と記述式の1科目を受験し、これに合格すると1月の口述試験に進むことができる。択一式は産業安全一般が30問で、産業安全関係法令が15問だ。記述式は、機械安全・電気安全・化学安全・土木安全・建築安全から選択するがこれがどれもむずい。

受験資格と免除資格
厳密な定義は、下の安全衛生技術試験協会に詳しくあるが、技術士や1級建築士などの1級資格者であれば受験可能だ。また、第一種電気主任技術者や1級土木施行管理技士、技術士などが専門とする記述式が免除される。さらに、技術士の経営工学(生産マネジメント)を取得していたら、択一の産業安全一般が免除される。
 ⇨ 受験資格(労働安全コンサルタント)

産業安全関係法令の過去問対応
やはり択一問題の勉強法の基本は過去問題への対応だ。平成24年から29年までの6年間の過去問題を取り寄せた。それぞれ15問なので、90問だ。しかし、これがむずい!最初にトライした時の正解率はほぼ20%だった。これって、5択なので、ほぼ確率論通りではないか。3回ほどトライすると、4割ぐらいに上がった。メモによると今日までで7回目になるが、6割ぐらいまで上がった。続けてトライすると8割ぐらいアップする。

過学習の落とし穴
二度続けてトライすると正解率がアップするのは理解しているわけではなく、何と無く出題の傾向やちょっとしたことを覚えて正解に誘導できているだけだ。これは、過学習と呼んでいて、本質的に理解しているわけではないので、注意が必要だ。そして、この過学習に頼っても、まだ2割は正解できない。

問題の難易度と学習すべき事項
1) 難解問題の知識整理と深い理解
・何度やっても正解できない問題というのは、そもそもを理解していないからだ。
・潜函作業とかずい道とかボイラー、船蔵、高所と聞いて作業をイメージできるか。
・だいたいこれが全体の3割ぐらい。本当に難しい出題もあって悩ましい。

2) 記憶があやふやな問題
・法律問題なので理由とか、背景を理解するだけではなくて、記憶が求められる。
・例えば、次のような法律知識はやはり暗記しないと正解できない。
 交流アーク溶接機用自動電撃防止装置を使うケース、
 所轄労働基準監督所長に届けるべき作業の種類、
 火災を防止するために講じるべき項目。
・だいたいこれも全体の3割ぐらい。

3) 理解することで得点できる問題
労働安全衛生法は、危険を防止して、労働者の安全を高めるための法律だ。
・そして、法律が制定された背景や理由が必ずある。それを理解できれば正解だ。
・だいたいこれが全体の4割ぐらい。

今後の学習プランと戦略
・合格するには6割以上の正解が必要だ。
・従って、難易度の低い3)はまずマスターすべきだ。
・しかし、これだけでは不足なので2)の暗記問題を頑張って少なくとも半分は取る。
・さらに、最難関の問題もがんばって勉強して少なくとも半分は取る。
・これで4割+3割=7割だ。15問なので11問となる。

受験時の戦術
・通常、択一問題だと○と×に区分するが、これでは法令問題の択一はクリアできない。
・絶対的な確信を持つものを「◎」か「××」とする。多分と思うものは「○」か「×」。
・そして、自信を持てないものは「?」とする。
・この5つに区分することで、題意に沿った正解を導くべきだ。
・試験時間は60分ある。15問×5の選択肢に対して、◎や○や×や?を記入する。
・その結果、一意に答えが帰結するものは良しとして、そうでないものを徹底的に考える。
・試験には独特のクセがある。悩ましいものは持ち時間の最後の最後まで粘って考えよう。

これから準備すべきもの
1) 記憶すべきもの
・過去問題にトライしながらメモしたものがあるので、まずそれを単語帳に書く。
・目安は100個ほどだろうか。
・そして、記憶したものと記憶していないものを仕分ける。
・当然、繰り返すのは後者の記憶していないものだ。
・これは試験当日の午前中にも最後の追い込みに使える。

2) 理解すべきもの
・これが悩ましい。
・先ほどの潜函とか、はいとか、ボイラーとか、ガス作業とか、電気作業とか。
・労働安全コンサルタントとして活動する上で、これらの課題に直面するだろう。
・深く理解するには、このブログで素人で説明するつもりで、解説したい。
縄文時代をもっと掘り下げたい気持ちはあるが、受験生としては止むを得ない。
・明日からは、1-2時間で1テーマを掘り下げてみよう。
・興味のない人には申し訳ないが、そんな世界もあるのかと暖かい目で見て欲しい。
・目標はまずは20個ほどかなあ。
・そのうえで、もう少し増やすか、それでOKとするかを考えよう。

以上

縄文時代は面白い。アドホックネタです。

はじめに
アドホック(ad hoc)とは、特定の目的のためにという意味だ。国際会議では、全体会議とは別に特定の議題のためのグループが結成されて特定のテーマに限定して議論したりする。会社で、アドホックという言葉を使ったら「なにそれ?」と聞き返されてしまった。会社の文化もどんどん変わるものだと感じる。

日本人の人口の推移
日本では、少子高齢化が進み、人口が減少しつつある。しかし、日本人の人口が減少するのは、実はこれが初めてではない。石器時代から縄文時代に入って人口は右肩上がりに増加したが、紀元前4000年から3000年にかけては実は人口が減少している。これは火山の噴火や寒冷化の影響だ。そのあと、温暖化の時代に弥生文化が花開いて人口が増加する。下の図では描ききれないが、寒冷化に伴う農作物の不作等から人口が減少する時期もあったが、明治以降にも人口は再度爆発して、昭和の時代に1億人を突破した。人口の少ない海外諸国を旅行すると、日本の人口はもう少し少なくても全然やっていけるのではという気持ちにもなる。
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出典:左が人口から読む日本の歴史(参考1)、右がtemari.net(参考2)

縄文時代弥生時代の日本国内での人口分布
縄文時代には日本の人口分布は26万人にまで増加した。そして、その中心は中部の山岳地域だ。諏訪が縄文時代の中心だったようだ。一方、弥生時代はどうかというと九州の人口が増加しているが、それ以上に近畿・東海・関東の沿岸部の人口が増大している。
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 出典:Cool-susan(参考3)

母方のルーツの分布の違い
下の図は、筑波大学の住斉名誉教授が母親が弥生人縄文人かを全国主要エリアで調べた結果だ。これによるともっとも縄文人の比率が高いのは沖縄の96%、東北の75%、そして飛騨の69%だ。逆に首都圏では弥生人が71%と多く、ついで美濃では弥生人が60%と多い。やはり地区によって縄文人系と弥生人系の比率が違っている。面白い。
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 出典:Yahoo(参考4)

縄文海進(かいしん)
縄文海進とは、縄文時代に日本で発生した海水面の上昇をいう。約6,500〜6,000年前には海面は現在より約5m高かったという。貝塚が点在するのは当時の海岸線だ。そして、河川の氾濫や高潮、津波など人類にとっては驚異であったが、その結果としてできた沖積平野は稲作に適したエリアだった。弥生時代になってインフラを整備することができるようになってからは、安全で快適な集落エリアとなったという。
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 出典:goo(参考5)

縄文時代の通貨
縄文時代には通貨はなく基本的に物々交換だ。しかし、重宝されたのは、やはり人気があって、交換に適したモノだ。石器時代には黒曜石が貴重だった。狩猟文化が進むと釣り針を形成するための天然のアスファルトなどが人気だったようだ。そして、驚くことに地政学的な意味から礼文島を中心として流通ルートができていた。弥生時代に入ると鉄が通貨の機能を果たすようになった。
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 出典:coco log(参考6)

タミル語と日本語
タミル語とは、南インドのタミル人の言語だ。インドだけでなく、スリランカシンガポールでも国の公用語の一つだ。そして、不思議なことに日本語との共通点も指摘されている。特に農業用語に多いという。日本語の「こ・そ・あ・ど」に相当する接頭語があったりする。国語学者大野晋は、日本語はこのタミル語の影響を受けたいう説を支持しているが少数派らしい。
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 出典:Geocities(参考7)

モンゴロイドの移動の流れ
今日はアドホックネタなので、話題が飛ぶのはご容赦ください。下の図は日本人の成立モデルを研究しているGeocitiesのサイトからの引用だ。モンゴロイドがどのようなルートできたかには諸説あるが、多分どれも正しいのだろう。問題はいつ、どの程度の流入があったのかだ。また、流入しただけではなく、逆に日本から出たり、交流することも多分あったのだろう。この辺りのことはまだまだ今後の研究課題だ。
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 出典:Geocities(参考8)

まとめ
文展を見て、縄文への興味が一段と増してしまった。これに付随する疑問を調べたうち、少し面白そうなものをピックアップして掲載した。あまり、ストーリーとしては整理されていないが、興味のある部分があれば幸いだ。

以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

参考1:http://www2u.biglobe.ne.jp/~itou/hon/hito.htm
参考2:http://www.temari.net/tamatama/nippon_rekisi/doguu_doutaku.htm
参考3:https://www.cool-susan.com/2016/02/01/縄文時代/
参考4:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14179420954
参考5:https://blog.goo.ne.jp/morinoizumi33/e/103a95e12a5e9b8d67f5c1a3fd8de018
参考6:http://donnat.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/01-12-6d48.html
参考7:タミル語とミッシングリンク
参考8:日本人の起源 成立モデル