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労働安全衛生法:潜函(せんかん)を考える

はじめに
今回の台風21号は西日本を中心に記録的な猛威をふるった。関西空港は水没したが、明石海峡大橋はどうだったのだろう。明石海峡大橋は、神戸市垂水区淡路市を結ぶ全長3,911mの世界最長の吊り橋だ。1998年に竣工し、建設費は約5,000億円だという。1995年の阪神淡路大震災で地盤がずれなければ1990mだったらしい。こんな巨大な橋をどうやって建設するのか想像もできない。
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 出典:Wiki(明石海峡大橋 - Wikipedia)

ケーソンと橋梁建設
コンクリートもしくは鋼製の大きな箱のことをケーソンという。先の明石海峡大橋の主塔の基礎となる鋼製ケーソンは高さ65m、直径80mという非常に巨大に物体だ。これを海底に沈めて、基礎とするというすごい方法だ。一方で、潜函とは、地下水の多い地中や水中で作業を行うための作業空間のことだ。 地中や水中に穴を開けるので、浸水する危険があるので、作業場をコンクリートの壁で囲い、内部は高い圧力をかけるという。

萬代橋の建設と潜函工法
義理の父親が新潟に勤務したことがあり、何度か遊びに行った。魚介類やへぎそばや日本酒がたいそう美味しかったのをよく覚えている。その新潟市の中心部を走る信濃川にかかるアーチが萬代橋だ。1929年8月23日に完成し、総工費240万円(現在だと800億円ほど)だ。そして、この萬代橋の橋脚の基礎工に採用されたのが、「空気潜函(ニューマチックケーソン)工法」だ。1964年の新潟地震(マグニチュード7.5)唯一耐えて、震災復興を支えたという。素晴らしい。
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 出典:国土交通省(ビッグプロジェクト 萬代橋|北陸地方整備局)

潜函工法
潜函工法では、下の図のように、筒状の構造物の先端部に作業をする空間を作り、そこで掘削作業を行う。人が出入りするマンロックと、空気を排出するエアロック、物資を往復させるマテリアルロックなどが設けられる。人が作業できる限界は3.5気圧だ。関東大震災後の隅田川の橋梁基礎を作るのに用いられた。

減圧と潜水病
自分は、潜水士をトライしなかったが、NAUIとPADIをもつダイバーだ。ダイバーの最大のリスクは潜水病だ。この潜函工法でも、作業する人は高圧の中で作業をするため、減圧に失敗すると、体内中の窒素が気泡となって最悪の事態も起こりうる潜水病を引き起こす危険がある。血液内の窒素成分が高まると、アルコールに酔ったような窒素酔いを起こして、陽気になる人もいる。この潜函で作業する人たちはどうなのだろう。
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 出典:kajima(橋の歴史物語 | 橋 | 建設博物誌 | 鹿島建設株式会社)

潜函工法の自動化
潜函工法は優れた点もあるが、やはり危険だ。このため、海底の掘削機をリモートで運用する方法が開発されたが、保守業務や掘削機の解体作業では人手に頼っていた。しかし、近年では、完全無人化を可能とすることで、地下水面下90m(作業気圧0.88MPa)と行った超大深度での施行も可能となっている。
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 出典:ohmoto(株式会社 大本組 Super-ROVOケーソン工法の概要と特徴)

労働安全衛生規則での規定
労働安全衛生法には、潜函工法に関する具体的な記述はないが、労働安全衛生規則の第376条と377条と378条において詳しく規定している。
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出題傾向と対策
第376条の二において、「刃口から天井またははりまでの高さは1.8m以上とすること」とあるが、これなどは狙われやすい。また、第377条の1の三で「掘り下げの深さが20mを越える時は、外部との電話等の設備を設けること」や同一で「酸素が過剰なになるおそれのあるときは酸素の濃度を測定するものを指名して測定させること」「20mを超える深さでは送気設備を儲けること」などが規定されている。

まとめ
う〜ん。こんな感じでまとめていって間に合うのだろうか。合格するのだろうか。不安がよぎるが、まあ取り敢えず目標20トピック達成までは頑張ってみるかなあ。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございます。