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心理問題:記憶のメカニズム

心の三要素
意識したり、記憶したり、想像するのは頭脳の働きだ。では、心はどこにあるのだろう。下の図によると心には、求める心(欲求)と、感じる心(感情)と、考え話す心(言語)がある。つまり、欲求、感情、言葉が心の三要素という。心の構造を知ることは自分自身を知ることに通じる。

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(出典:人間存在研究所、参考1)

人間の3つの脳
人間は生物であり、人間の脳には、生物の進化の名残が色濃く残っている。下の図によると、人間の脳には爬虫類の脳と、哺乳類の脳と人の脳の三層構造となっている。そして、爬虫類の脳(脳幹)は、食欲や性欲などの各種生存欲求を受け持っている。哺乳類の脳は、快適とか不快とか不安とか、怒りなどの感情を担っている。そして、人の脳は、理解する、考える、注意する、認識するなどの言語を担っている。

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(出典:海馬の我楽多箱より、参考2)

脳の構造
爬虫類の脳と呼ばれる脳幹は脳の下にあり、骨髄につながっている。脳は第二の腸と呼ばれるが、脳内で神経伝達物質であるセロトニンの約95%は腸で作られるという。哺乳類の脳(馬の脳ともいう)と呼ばれる大脳辺縁系はこの脳幹の上につながっている。運動を司る小脳は脳幹の後ろにつながっている。アントニオ猪木が考案した延髄蹴りはこの小脳にショックを与えるものだ。危ないのでやめてほしい。言語を司る大脳がハードディスクなら1ペタバイト(1000テラバイト)の容量を持つ(参考3)。

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(出典:海馬の我楽多箱より、参考2)

大脳の3つの要素
大脳は大脳皮質と白脳と大脳基底核の3つから構成されている(参考3)。知覚や知覚情報の分析、統合、運動随意性統御、記憶、神経の伝導を担っている。それぞれの機能は次の通り。
・大脳皮質は厚さ2mmの皮質状組織で6層構造を持ち、思考や言語の機能を担う。
・白脳は大脳皮質の下にある神経線維の束で延髄と大脳皮質をつなぐ。
大脳基底核は運動調整や認知機能や感情、動機付け、学習などの機能を担う。
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(出典:wiki、参考4)

大脳辺縁系
諸説あるようだが、大脳辺縁系には扁桃体と海馬体があり、海馬体とは海馬、海馬台、歯状回の集合と言う。前述のように感情を司っており、この「大脳辺縁系を刺激することは記憶や記憶の連想を活性化する」という(参考5)。したがって、例えばスターバックスでコーヒーを飲みながら勉強したり、おせんべいを食べながら勉強したりすると、味覚や食感や匂いや音とともに記憶されるので思い出しやすくなる。子供の頃、お小遣いの10円を持って駄菓子屋に行って、1枚1円に塩煎餅を購入して、算数のドリルを1枚終わったらお煎餅を1枚食べるという報酬系を自ら考案したが、これは脳幹と大脳辺縁系と大脳をダイナミックに連携させているので非常に理にかなった勉強法だと言える。また、非常に嬉しい時や悲しい時のことは記憶が鮮明になることが多いので、冷静に勉強するよりは、感情をむき出しにして、やたら感動しながら、勉強する方が効率が良いと言える(笑)。

小脳の3つの機能
少し専門的になるが、小脳もまた、下の表のように、前庭小脳(古小脳)と、脊髄小脳(旧小脳)と大脳小脳に分かれる。脳の構造は世代ごとに建て増しした複雑怪奇な古い旅館のようだと言われるが本当にそうだ。どんだけ複雑なんだ。これだけ脳の構造が複雑だと、脳死の定義も複雑なのだろう。ここでは詳細は割愛するが、脳死の定義は国によって異なるし、日本でも法的な脳死の定義と臨床的な脳死の定義が異なる。海外では脳死でも21年間生存し、かつ身体が成長した事例もあると言う。

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(出典:Wiki、参考6)

記憶と忘却
表題からかなり脱線してしまった。人が思い出せないというときには、本当に記憶が薄れて忘れた時と、そもそも覚えていない時がある。下の図は学習曲線と忘却曲線の関係を示したものだ。このような実験の場合には、心静かに感情を抑えて実験しているが、前述の通り大脳だけでなく、大脳辺縁系や小脳、脳幹までを総動員すると効率的に記憶でき、忘れにくくなる。残念ながらそのような観点の実験結果を見つけることができなかったが、散歩しながら考え事をしたり、ブツブツ言いながら記憶するのも効率的だ。

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(出典:IMS、参考7)

エビングハウス忘却曲線
脳に記憶させても人間は忘れるようにできている。記憶の失敗には、そもそも記憶していないという失敗、覚えたけど忘れたとう失敗、覚えているけど思い出せないという失敗がある。また、多面的に理解したものと、表面的に理解したものでは、後者の方が忘れやすい。下の図は、有名なエビングハウス忘却曲線だが、これは心理学者のヘルマン・エビングハウスの中期記憶に関する実験結果だ。
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(出典:GOING EXTRA MILEより、参考8)

記憶の二重貯蔵モデル
人は見たり、聞いたり、触ったものを全て覚えているわけではない。興味がなければ、短期の記憶(ワーキングメモリ)に保持されるのはわずか1-2秒だ。興味があると、20秒程度は保持する。美人だなあとか、美味しいなあとか、気持ち悪いなあといった感情や経験に基づいて長期の記憶になったり、一連の意味を理解して長期の記憶になる。記憶のメカニズムを短期と長期に分けて考えるのが二重貯蔵モデルだ。

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(出典:近畿大学菅井康祐さんの作成資料より、参考9)

記憶の種類
下の図は、感覚記憶は1-2秒で消滅するが、その感覚が必要と感じると作動記憶となり、20秒程度は維持する。お!美人だ!とか感じると20秒ぐらいは覚えているということか。そして、その意味や背景を理解すると短期記憶に保存されるが通常は2-3分で消滅するが、意味を持たせると海馬に記憶されて24時間程度は残る。例えば、勉強であれば、その意味を繰り返し反復することで中期の記憶になり、さらに理解が深まると長期の記憶として側頭葉に保存される。

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(出典:海馬の我楽多箱より、参考10)

長期記憶の種類
記憶には短期の記憶と長期の記憶があり長期の記憶には次の図のように4種類の記憶がある。左のプライミング記憶は以前から知っている情報が後の情報に影響を与えるような記憶であり、先入観とか思い込みとか勘違いが生じるのもこの記憶だ。手続き記憶とは、自転車に乗るとか、スキーをするとか身体で覚えた記憶で無意識に対応できる記憶だ。そして、意味記憶には九九とか年代とかを覚える言語記憶と絵画とか音楽等の非言語記憶がある。最後のエピソード記憶は、体験や出来事などの言語記憶と風景とか、音とか風の感覚と言った非言語記憶がある。効率的に記憶したければ、イメージとか、体験とか、意味とか、感覚とか感情を総動員した方が長期記憶になりやすいし、思い出しやすいと言えるのではないか。

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(出典:たかが英語されど英語より、参考11)

まとめ
脳の話から記憶の話まで支離滅裂気味だったが、最後まで読んで頂いてありがとう。勉強をすることは何かを理解して、記憶することであり、冷静な作業の方が効率的と思いがちだが、実は感情や感覚やイメージや想像力を総動員して、感情や頭脳を大きく揺さぶりながら繰り返すことで効率的に長期記憶になる。好きこそものの上手なれというが、ちょっとしたことにも「へえ〜!!」とか、「すっごい♪♪」というふうに感動しながら勉強したり、話をする方が記憶にも定着する。つまり、効果的に勉強がはかどるということなのかもしれない。でも、ちょっとファニーかもしれない(笑)。

以上

参考1:https://sites.google.com/site/sawatani1/home/xintoha-heka
参考2:http://www.geocities.jp/todo_1091/short-story/026.htm
参考3:http://www.excite.co.jp/News/odd/Tocana_201601_post_8711.html
参考4:https://ja.wikipedia.org/wiki/大脳
参考5:https://ja.wikipedia.org/wiki/大脳辺縁系
参考6:https://ja.wikipedia.org/wiki/小脳
参考7:http://www.imstechnologyservices.com/ 
参考8:https://blogs.yahoo.co.jp/hyper_kurakura/16718279.html 
参考9:https://www.slideshare.net/KosukeSugai/201412-42886890 
参考10:http://www.geocities.jp/todo_1091/short-story/029.htm
参考11:http://blog.etn.co.jp/english-brain-science-3/434.html