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新米技術士の成長ブログ

消費者行動論#3

はじめに
坂本和子教授による消費者行動論の授業は、早くも3回目になる。坂本先生は明日も豊橋での授業があるため、今日中に豊橋に移動しないといけないらしい。自分が名古屋に単身赴任している時に何度も豊橋市の学校を訪問した。例えば、豊橋市立天伯小学校にも行った。すぐ近くに豊橋技術科学大学があり、早めにバスで行って、お昼を学食で頂いたりした。まあ、そんなことはどうでも良い。今日も盛りだくさんな内容を一気に受講した。エビングハウス忘却曲線よりも高い確率で忘却する自信があるので、忘れても思い出せるようにブログに習ったことを少しまとめておきたい(笑)。

世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか
最初の話題はこれだった。授業の中で参考図書を紹介してくれるのは嬉しい。この本は、従来の分析とか、論理に加えて、感性が重要だという論点だ。下の写真の右は新書版で、左はKINDLE版だ。授業中にKINDLE版を購入して、斜めに読んでみた。結構面白いし、読みやすい。
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 出典:Amazon

エビングハウス忘却曲線
忘却曲線は、ドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウス(1850年1月から1909年2月)が記憶に関する研究で発見した理論だ。ランダムな情報だと、20分後には42%を忘れる。1時間後には56%忘れる。1日後には66%忘れる。しかし、その後に適切な復習をすると記憶は定着する。しかも、徐々にその復習の努力は少なくて済む。記憶したいことは一度忘れるのがコツかもしれない。
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 出典:理論に基づいた学習 | エビングハウス忘却曲線

最後通牒ゲーム
最後通牒(つうちょう)とは外交用語だ。英語だと「Ultimatum」だろうか。国際交渉において最終的な要求を文書で提示して、それを相手が受け入れなければ交渉を打ち切る。外交の世界の常套手段だ。そして、これをゲームとして研究した人がいる。例えば1000円をAさんとBさんで分ける。分け方はAさんが決める。Bさんはそれを受け入れるか、拒否するかできる。しかし、拒否するとAさんもBさんも取り分はゼロだ。良心的には5:5だ。これならBさんは拒否しない。Bさんが拒否するレベルは国民によって異なる。ある実験では、日本人はBさんの取り分が35.3%が限界、中国人は32.5%、米国人は16.7%が限界という。日本人はやはり公平を重んじるし、誰かが富を独占するなら、そんな交渉は受けられないと拒否する文化があるのかもしれない。
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 出典:「最後通牒ゲーム」~誠実な人が成功する理由~ : 玉井史隆の備忘録

購買事後行動モデル
ITの世界はカタカナにあふれているが、消費者行動論では漢字が続く。読んで字のごとぐだが、購買した後に、どのように行動するかを示すモデルだ。本来の目的で使うのがベストだが、場合によっては別の目的で使ったりすることもあるかもしれない。若い女性で絆創膏が売れているという。その理由は?靴づれではなかった。二重まぶたにするのに若い女性が使っているらしい。開発した人は製品への思い入れが強い。消費者との意識のギャップは生じる。少なくともギャップがあることは謙虚に理解すべきだ。
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 出典:https://slidesplayer.net/slide/11028481/

期待一致モデル
ある商品を販売しようとすると、少し背伸びする。良いことを一杯アピールする。もしくは、消費者の気持ちをつかむようなキャッチーな広告をする。しかし、大切なことは、期待値を上げることよりも、期待値を超える満足を与えることだ。もし、あまり品質に自信がなければ、ハードルを下げておいたほうが賢明だろう。満足した場合には、消費者は5名に伝えるが、不満足な場合には15名から30名に伝えるという。信頼を形成するのは大変だけど、信頼を失うのは一瞬だ。
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 出典:https://www.glad-cube.com/blog/?p=5109

認知不協和理論
イソップ物語で狐が葡萄を取ろうとして、取れないと、あれは酸っぱい葡萄だ。だから取れなくてよかったと自分を誤魔化す。それがこの認知不協和理論だ。人間は、自分のことを正当化しようとする。これは本能的なものかもしれない。米国の心理学者レオン・フェスティンガー(1919年5月から1989年2月)が提唱された社会心理学用語だ。
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 出典:認知的不協和 | 綜合的な教育支援のひろば

態度の構造モデル
あの人は態度が良いとか、悪いとかいう。態度とはそもそもなんだろう。態度とは、「物事に対した時に感じたり考えたりしたことが、言葉・表情・動作などに現れたもの」だという。代表的な態度の構造モデルは、「三要素態度モデル」だ。その三要素とは、良い悪いを認識する認知成分、好き嫌いと言う情緒成分、そして行動や行為に傾斜する行動成分だ。そして、より単純化した二要素モデルや単一要素モデル、もしくはもっと精緻化した多属性態度モデルがある。

1) 古典的条件付け変容
もっとも単純なのは古典的な条件反射モデルだ。つまり、犬に餌を与える前にベルを鳴らす。これを繰り返すと、ベルを鳴らすだけでよだれが出る。人間でいえばルーチン化だろうか。何も買えなくても同じ行動をすることができる。ゴルフでは、このような無心で謙虚な動きが理想だ。
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 出典:091214心理学研究法:知能の研究法 - サイコロジスト101

2) 広告による態度変容
コマーシャルの効果は大きい。特に、先述の忘却曲線の理論から言っても、定期的に情報を展開しておくことで記憶に定着する。テレビのCMは30秒とか、15秒と言った短い時間にメッセージを凝縮する芸術的作品と言える。下は、15歳以上の男女3000人に調査した結果だが、若い人ほどCMに接すると好きになり、影響を受けている(=購入)している。また、高齢者でも、深夜などは正常な判断力が低下するので、テレビショッピングの番組は深夜が多い。深夜だと注文してしまう人が多いらしい。
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 出典:https://markezine.jp/article/detail/28179

3) 単純接触効果(ザイアンスの効果)
人は知ると親しくなる。親しくなると好きになる。初対面の人に急にデートを誘うのはだめ。何気ない接触を数多くすることでお互いが知り合いになる。顔見知りになると精神的なバリアが下がり、親しくなる。そして、親しくなると好きになる。こんな風に徐々に少しずつ接近して、親しくなるのが人間関係の基本だ。
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 出典:単純接触効果(ザイアンスの効果) | UX TIMES

バランス理論
人間関係の理論だ。米国の心理学者フリッツ・ハイダー(1896年から1988年)が提唱する人間の心理だ。つまり、例えば、自分が竹内結子を好きだとする。そして、竹内結子が猫を好きだとする。そうすると、自分は猫を好きだと思うようになる。好きな人の好きなことは好きなのだ。これは恋愛感情の基本だ。
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 出典:単純接触効果(ザイアンスの効果) | UX TIMES

自己知覚理論
人は楽しいから笑うのだろうか。それとも笑うから楽しいのだろうか。人は悲しいから涙を流すのか。涙を流すから悲しいのか。心理学者ダリル・ベムによると、自分の心理状況を内的な手掛かりよりも外的な手掛かりから認知することを発見した。これが自己知覚理論だ。自分自身が自分自身をごまかすこともできるのだから人間の心理は複雑なのか単純なのか(笑)。
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 出典:https://blogs.business.microsoft.com/ja-jp/2016/03/18/phycology17

宿題
これら以外にも色々と教わった。そして、来週はグループに分かれてテーマに基づいて発表する。発表時間が8分、質疑応答が5分だ。テーマは、2020年の東京オリンピックパラリンピックのために来日した海外からの旅行客を新幹線「のぞみ」が停車しない駅に途中下車させる方法と、そのような観光客に対して販売する商品のコンセプトを検討して提案する。これは大変だ。なんとかなるだろうか。

まとめ
自分の専門外の学問は面白い。特に心理学の世界は面白い。授業を聞くと体系化して説明してくれるので理解を深めるのに助かる。問題は、これらの理論を理解するだけではなく、そのような理論を実践に活用して効果を上げることだ。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。