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技術士試験の思考法とその有効性

はじめに
日本技術士会が実施する今年の技術士二次試験(筆記試験)は7月11日と12日に実施される予定だ。11日が総合技術監理部門で、12日はそれ以外の部門だ。これまで4回受験して3勝1敗だ。最初の3回は連続合格だったので、自分は必勝方法をマスターしたと勘違いして、別の部門にもチャレンジしたら見事に挫折した。まあ、そりゃそうだろう。そもそも専門知識が不足している。しかし、4回も受験して、また後続の受講生の指導などをしていると、その思考法というか、技術士試験で日本技術士会が受験生に求めていることはある程度理解できるようになる。
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 出典:技術士になるには | 日本技術士会

記述問題
二次試験は、平成の時代は必須科目(選択問題)と選択科目(記述問題)だったが、令和からは必須科目も選択科目も全て記述問題となった。そして、出題パターンの典型は次のような構成だ。

1) 課題設定
社会的な事象が示されていて、「技術者として、その課題を多面的に抽出して分析せよ」とくる。多面的なので、3つの観点にするのが妥当だ。

2) 解決策を示せ
「先に示した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題の解決策を3つ示せ」とくる。本当は全ての課題に対して解決策を考えるべきだが、これは試験なので、1つの課題に対する解決策を3つ求めている。

3) 懸念事項と対応策
「先に示した解決策に共通して新たに生じうる懸念事項とそれへの対策について述べよ」とくる。つまり、どのような解決策でも万能ではない。プラスの効用があればマイナスの弊害もある。風邪薬を飲んだら胃が荒れるので、胃薬を飲んで緩和する感じだ。

課題抽出には広い知見が必要
世の中にはいろいろな課題がある。まずはそれを自分ごととして真剣に考えることが求められる。そして、その課題を立体的に明確にする。例えば貧困問題に対してなら、福利厚生の立場や経済システムの観点や社会システムの観点から考える。テレビでは、ある問題のある1つの観点から課題を示し、1つの解決策を決めつけて提案する紋切り型の解説をする人がいる。これは、キレがいいし、視聴者も理解しやすいが、これは良くない例だ。そうではなく、複数の観点から問題を分析して、課題抽出できるかどうかがまずは求められる。17のSDGsは有名だが、そこに含まれる169のターゲットまで理解することだ。これらはヒントになる。
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 出典:https://sdgs.media/blog/2536/

解決策には考察と豊富なアイデアが必要
課題を解決することは簡単ではない。簡単ではないから課題になっている。そして、その課題の解決策を考える上ではやはり因果関係を紐解くことが重要だ。何が原因でそのような事象になったのか。その原因の元原因は何か。さらにその元原因はないか。これを何度も繰り返すと本当の原因が見えてくる。原因を特定できれば、それに対する対応策を考える。すでに世の中に定着している解決法があるかもしれないし、ないかもしれない。後者の場合には、独自の解決策を考える必要がある。世の中は変化している。その変化に追随できていないならば、その変化を活用したり、先取りすることで解決策になるかもしれない。柔軟な発想で斬新な解決法を1つぐらいは欲しい。
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 出典:7.2 課題設定 – ロジカルシンキングことはじめ

三手先を考える
どんな解決法も完璧ではない。どうしてもデメリットがある。そのようなデメリットが少ない解決法を考えることも重要だが、それ以上にどのようなデメリットがあるのかを見えるかすることも重要だ。どのような弊害があるのかを理解していれば、それに対する対処法を検討することができる。つまり、三手先までを読んで次の1手を打つ姿勢だ。これは自分が不得意とするところだが、慎重さが試される。自信満々の解決策ではなく、もしかしたらこのような弊害があるかもしれない。その場合にはこのように対応しようと考える。経営者には、アグレッシブな人が多いように思うけど、そういう経営者が目立つだけで、本当は慎重な人が多いのではないだろうか。積極果敢な人よりも慎重な人の方が出世するようにも言われるが、そのような慎重さも求められている。

まとめ
冷静な分析と柔軟な発想と周到な準備を兼ね備えた人材こそが求められているのかもしれない。そんな人はなかなかいないけど、このような思考法を常に意識することは技術士を目指す人には重要だ。そして、このような思考法は実は修論へのアプローチとしても有効な気がする。修論への対応には現在苦労しているが、それは最初の課題設定がなかなかできないためだ。この課題設定ができれば、次は解決策の考案に進むことできる。この場合にもウオーターフォール型が正解とは限らない。アジャイル型で課題・解決策・懸念事項をまとめていくことでより革新的で本質的な課題にたどり着くかもしれない。修論への格闘は続く。。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。