LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

安心安全:いじめ問題について考える

はじめに
現在は、年間200講座ペースで全国の学校等を行脚してお話をしている。技術士の仲間からは、どんだけ稼いでいるのかと言われることがある。講座一回の収入が20万円だとしたら、4000万円の収入のはずだ。しかし、自分はサラリーマンなので、そんな収入にはならない。しかし、そんな直接的な収入にはならなくても、日々子供たちや先生や保護者や教育関係者の人と話をすると、多くの気づきがある。そちらの収穫の方が断然に貴重だ。今回は、そんな日々の活動の中で感じたことをベースとして、いじめの本質とその課題、そしてその課題の解決法について思いつくままに記載したい。

1. いじめの本質
f:id:hiroshi-kizaki:20180225122757p:plain

(1) いじめの定義
いじめの定義は、悲惨な事件が発生するたびに改正されている。昭和61年度に定義された時には、自分より弱い者に対して一方的に、身体的心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものであって、学校としてその事実を確認しているものだった。しかし、現在の定義は、平成25年に施行されたいじめ防止対策推進法による。具体的には、「児童生徒に対して当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」だ。つまり、かつてはガキ大将のように力の強いものが、弱い生徒を継続的に攻撃し、相手が深刻な苦痛を感じ、かつ学校で確認したものだった。しかし、現在は、生徒がいじめられたと宣言したらそれがいじめだ。このような定義になったことには多くの理由があり、経緯があり、配慮がある。多くの悲劇を繰り返さないための悲痛な定義だと言える。しかし、このために、いじめの件数はノコギリ状に増減する。つまり、いじめ件数は時系列で減少するが、定義が変わるたびに非連続に増加し、また時系列的に減少する。過去の定義と現在の定義に互換性がないため、減少したのか増加したのかよくわからない。再定義するのではなく、定義を追加して、過去の調査値との相互互換性を確保して欲しかった。そうすれば、例えば深刻ないじめの減少傾向、軽微ないじめの減少傾向をそれぞれ確認できたはずだ。

(2) 脳科学者の中野信子先生によると「いじめとは統治の失敗」
いじめの定義を探していると面白い話を聞いた。脳科学者の中野信子さんはホンマでっか!とかのテレビでもよく登壇され、活躍されている。著書も多い。その中野先生によると、いじめとは「統治の失敗」の結果の現象だという。つまり、どの組織にもルールはある。そして、どの組織でもこのルールを守らないメンバーがいる。そのため、組織はそのメンバーにルールを守るように注意したり、指導したり、諭したりする。しかし、それでもそのメンバーがルールを守らない場合には組織から排除する。かつての村八分はこの典型例かもしれない。村八分とは、村の掟を守らない村民に対して、葬式と火事を除くすべての交流を絶つ行為だ。農耕民族では、仲間との協調が必須なので厳しい抑制力が生じる。そして、村八分ではルールを守らない村民の程度によって1年とか期限を設けて反省を求めたようだ。これの是非を判断することは難しいが、個人的には日本人らしい優しい行為の側面を感じる。もし、これが他の農耕民族の国だと制裁や処刑をするのではないだろうか。狩猟民族だと、そもそも個人勝負なので、制裁にならない。中野信子さんの定義に従うと、いじめは絶対ダメというルールを決めて、そのルールを守らせようとすると、そのルールを守らない人が出てきて、その人が新たにいじめの対象となる。そんな悪循環に陥るジレンマがあるということは賢明な我々は理解しておく必要がある。

(3) 子供の社会は大人の社会の縮図
子供は大人の真似をする。真似をして欲しくないことほど真似をする。スマホの利用方法に関して子供を叱ろうと思ったら、実は自分がやっていた。まずは自ら反省せねばと感じることがある。マスメディアを敵に回したくないが、現在のマスメディアは、誰かが社会的に不適切なことをすると社会的に抹殺するまで攻撃することがある。芸能人や政治家が不倫をすると、そのような社会悪を許して良いのかと徹底的に糾弾する。それが本当かどうかではなく、そのようなニュースが注目されるかどうかがKPIとなっているように感じる。小保方さんの事件でも誰がどのような権限と責任で糾弾したのだろうと疑問を感じる。結果的には自殺者まで出ている。マスメディアは、警察ではないはずだ。検察官でもないはずだ。ましてや裁判官でもない。しかし、マスメディアがこれは問題だと判断したら、対象者が素直に陳謝するか、社会的に抹殺されるまで徹底的に攻撃する。その問題が真実かどうかは関係ないように見える。結果として視聴率が高まり、結果として紙面が売れれば良いと思ってるわけではないだろうが、見たくも聞きたくもないゴシップを流さないでほしいと思う。でも、日々テレビや新聞や雑誌で特定の人物が叩かれ、そしてそれを見ている人は「あんなことしちゃダメだよね」と傍観者になる。もし、子供社会で発生する「いじめ」が、そんな大人の社会の「いじめ」を模倣しているのだとしたら、まずは大人の社会でいじめが発生しないように、襟を正すべきではないだろうか。

2. いじめの解決法
f:id:hiroshi-kizaki:20180225131407p:plain

(1) 多様性を理解する。
何かに劣る生徒がいるからといってその生徒が劣るわけではない。誰にもでも得意不得意がある。あることが不得意だとしても、他のことが得意かもしれない。人はそれぞれ個性があり、得意分野がある。何かができないと糾弾するのではなく、個々の生徒の個性を理解し、長所を見つけ、その長所を伸ばすような教育こそが求められているのではないだろうか。高度成長期には、画一的な教育が有効だった。しかし、これからは画一的な教育では限界があるだろう。また、過去も画一的ではなかった。例えば、寺子屋では様々な年齢の生徒が学んでいた。そして指導者はそれぞれの生徒のレベルに応じて課題を示し、学ばせた。そんな個性を生かした教育をしてきた我々日本人が、子供達の多様性を尊重する教育をできないわけがない。教育システムの見直しが有識者の間で議論されているが、ぜひ前向きに改善に期待したい。

(2) 温故知新
温故知新とは、古いものを尋ね、求めて新しい事柄を知るという姿勢だ。かつての寺子屋では実語教を学ばせたという。実語教という言葉を聞いたことがありますか?私のブログでは何度も出しているが、初めて聞いた人も多いのではないだろうか。実語教とは、平安時代に書かれたものと言われていて、江戸時代末期までの寺小屋では有効な教材として日本人の心を育んできた。具体的には上の図のような漢語だ。5語の文が2つで一つの文となっている。そして、そのような48の文で構成する。しかも、隣り合う文は韻を踏んでいたり、対比されていたりするので、48の文にリズムを与えている。例えば、最初と2つ目の文は、「山は高いから偉いのではない、木があるから貴いのだ。人は金持ちだから偉いのではない、知恵を持つから貴いのだ」という意味だ。この山は、会社等の組織に読み替えることも可能だ。会社は規模が大きいから偉いのではない、そこに働く社員が頑張っているから貴いのだ。3行目と4行目は、「お金は一生の財だが死んだら終わりだ。しかし、知恵は万代の財産だ。自分が死んでも後世に引き継ぐことができる。」という意味だ。5行目と6行目は、「玉も磨かなければ光らない。光らなければただの石だ。人も学ばなければ無知だ。無知な人とは愚人だ」となる。人はまだ光らない石かもしれない。でも、懸命に磨いて磨いて頑張れば玉のように輝く賢者になる。愚人ではなく、賢者を目指そう。そして、日本国を盛り上げていこう。そんなことを教えているのではないだろうか。そんなことを我々は子供に教えてきたのだろうか。勉強したら良い学校に入れ、良い会社に入れ、良い生活ができる。そんな論理では魂は動かない。でも、千年以上の間、日本人の魂を鼓舞してきたこんな実語教を我々日本人が存在自体知らないというのは悲しいし、もったいないことだと思う。すぐに実語教を教育システムに取り入れることは難しいかもしれない。でも、少なくとも実語教の存在を知る人が一人でも増えて欲しいと切望する。

3. ハインリッヒの法則
f:id:hiroshi-kizaki:20180225132804p:plain

(1) 軽微な事故で大騒ぎしよう
ハインリッヒの法則をご存知の人は多いと思う。私も大好きな法則だ。このブログでもなんども引用した。人は、大変な事故や悲惨な事故が発生すると大騒ぎになる。しかし、そんな重大な事故が発生する場合には、実は29件の軽微な事故が発生しているという統計的な指摘だ。そして、大騒ぎすべきは軽微な事故が発生した時だ。軽微な事故が発生した時に見過ごすのではなく、なぜそんな問題が生じたのかを分析し、対策を検討し、未然防止のための対策を実施する。そんなことを繰り返すことで結果として重大な事故を防ぐという考え方だ。これに異論を挟む人は少ないが、現状では真逆なケースが多いのではないだろうか。

(2) ヒヤリハットの情報を共有しよう
そして29件の軽微な事故が発生するような状況においては、同時に300件のヒヤリハットも発生していると指摘されている。例えば、いじめの被害者が自殺するような重大な事故が発生するような状況では、300件のヒヤリハットが発生している。重大な事故が発生しないような状況でも多くのヒヤリハットは発生している。そして、このヒヤリハットを見過ごさず、何が問題なのか、どうすれば良いのかという教訓をメンバー全員が共有することで、軽微な事故を未然に防ぎ、そして同時に重大な事故も防止する。そんな考え方が重要だ。

(3) ルールは悪か
組織の規律を維持するにはルールが必要だ。いじめを防止するためにもルールは必要だ。健全なスマホ利用のためにもルールが必要だ。ある市区町村では小、中学生にスマホ利用を禁止していた。そこまでいかなくても夜の21時以降のスマホ利用を禁止している市区町村もある。ある小学校では、携帯(スマホを含む)の利用を全面的に禁止していた。そのようなルールを決めることは悪ではない。しかし、そのようなルールを徹底しようとすると、本来なら見えていたはずのヒヤリハットが見えなくなるリスクがある。夜21時以降のスマホ利用を禁止するのではなく、夜21時以降スマホを使う場合には保護者の許可が必要とする。小学生に携帯利用を禁止するのではなく、携帯電話を利用したい時は保護者の許可を求める。そして、保護者は子どもたちがどのように携帯やスマホを使うのかをよく把握し、子どもが困ったり、ドキッとしたらアドバイスをしてあげる。普段は暖かく見守ってあげる。北風と太陽のように、緩いルールと暖かい環境の方が有効ではないかと個人的には思う。

まとめ
2007年のUNICEF調査によると、次の2つの質問で日本人の子どもは他の国に比べて格段にはいと答える子どもが多かったという。それは、「自分は孤独で寂しいと考えるか?」と「単純労働に就業したいか?」という質問だ。いつから日本人の子どもたちはそんなに寂しく、そして向上心がなくなってしまったのだろう。小学生の輝く瞳を見ているとそんな風には感じない。しかし、中学や高校と進み、学力で選別されるにつれて、子供達の瞳が曇ってくる。学力偏重主義の是非論はここでは論じないが、成績が良いかどうかで人生が左右されると、自分自身に自信を失い、将来の夢を見失っている子供が多いのではないだろうか。女子高校生のスマホの平均利用時間は7時間だという。そして、1割は15時間以上だという。もう寝ている時間以外はずっとスマホを使っているということだ。そんなネット依存症の子供を治療する方法はスマホを取り上げることではなく、リアルな楽しみ、リアルに夢中になれるイベントや遊びや活動に没頭させることだという。スマホが好きなのではなく、他に興味のあることも、楽しいと感じることもないので、スマホを使っているだけだ。スマホの利用時間が増えると学力が低下すると説明すると、スマホの利用時間を制限しようとする父兄がいる。でも、いくらスマホの利用時間を制限しても学力は上がらない。当たり前だ。学力を上げたければ勉強に興味を持って、勉強に没頭することだ。そして、その結果としてスマホの利用時間は減少しているかもしれない。そんなアーキテクチャを理解して欲しいと思う。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

TPP11の影とリスク

はじめに
技術士は、技術に関する専門家を目指すべきだが、同時に日本国の公共の福祉に貢献することも求められている。そして、現在議論されているTPPも日本の国益に大きな影響を与える可能性がある。法律の専門家ではないが、技術士として最低限の理解は深めておく必要があるだろう。そんな気持ちから現状の理解にトライしてみた。

TPP条約とは
トランプ大統領がTPP条約から離脱する大統領令に署名したため、残る11ケ国でTPPを行うのか、それとも米国の参加を促すのかといった状況だ。つまり、米国政府はTPPに反対しているが、日本政府はTPPに賛成している状況のように見える。そもそもTPPとは、環太平洋パートナーシップ協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement またはTrans-Pacific Partnership)の略だ。2016年2月4日に署名されたが、米国が不参加のため、米国を除く11ヶ国で2017年11月に大筋合意が確認された。

正式署名はなされるのか?
2018年3月8日にチリで11ヶ国による署名式が行われる予定だと言う。11ヶ国による協定の名称は包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)だ。仮にTPP11としておく。冬季オリンピックの期間でもあるためか、TPP11の最終内容がどうなるのかといった報道は新聞やテレビではあまり報道されていない。大丈夫なのだろうか。

TPP11の合意内容
内閣官房TPP等政府対策本部は2017年11月11日にTPP11協定の合意内容を発表している(参考1)。基本的な内容に絞った合意内容だ。正式な言語が英、仏、西となっていて、公式な言語として日本語が追加されていない点が残念だ。英語が得意でない日本人は気がついたら不利な条約内容だったということにならないように細心の注意と公開が必要だ。特に、第2条の特定の規定の適用の停止に注目が必要だ。
 第1条 TPP協定の組込み(incorporation)
 第2条 特定の規定の適用の停止(凍結)
 第3条 効力発生(6か国の締結完了)
 第4条 脱退
 第5条 加入
 第6条 本協定の見直し(review)
 第7条 正文(英、仏、西)

特定の規定の適用の停止
注目されたISDS関連規定は凍結項目だ。しかし、個人的には凍結ではなく、削除として欲しかった。TPP11で凍結された項目には、次のようなものが含まれる。情報通信関連に規定も多い。日本の憲法では、国内法よりも条約を優先すると規定されている。しかし、米国の法律では条約よりも国内法を優先するという。このあたりに、敗戦国としての劣位性が未だに残っていると感じる。
参考:凍結項目
急送少額貨物(5.7.1(f)の第2文) 〇ISDS(投資許可、投資合意)関連規定(第9章) 〇急送便附属書(附属書10-B 5及び6) 〇金融サービス最低基準待遇関連規定(11.2等) 〇電気通信紛争解決(13.21.1(d) 〇政府調達(参加条件)(15.8.5) 〇政府調達(追加的交渉)(15.24.2の一部) 〇知的財産の内国民待遇(18.8(脚注4の第3~4文)) 〇特許対象事項(18.37.2、18.37.4の第2文) 〇審査遅延に基づく特許期間延長(18.46) 〇医薬承認審査に基づく特許期間延長(18.48) 〇一般医薬品データ保護(18.50) 〇生物製剤データ保護(18.51) 〇著作権等の保護期間(18.63) 〇技術的保護手段(18.68) 〇権利管理情報(18.69) 〇衛星・ケーブル信号の保護(18.79) 〇インターネット・サービス・プロバイダ(18.82、附属書18-E、附属書18-F)〇保存及び貿易(20.17.5の一部等)〇医薬品・医療機器に関する透明性(附属書26-A.3

ISDS関連規定
日本の国益に大きな影響を与える可能性がある規定の一つがISDSだ。このISDSは、投資受入国の協定違反によって投資家が受けた損害を金銭等により賠償する手続を定めた条項であり、Investor-State Dispute Settlementの略だ。ISDSは日本語で言えば、投資家対国家の紛争解決だ。世界の大資本家が国家を相手に訴訟できるという仕組みだ。これまでの実績では、ISDS条約を締結した国々で投資家から訴訟を起こされると全て投資家の勝訴となっているという。本当なのだろうか。全てかどうかまではわからないが、Wikiで見ると、次のような事例が報告されている。
1) SD Myers事件:カナダのPCB廃棄物を処理した米国系企業がカナダ政府を提訴。カナダ政府は5300万ドルの賠償を命じられた。
2) Metalclad事件:米国法人Metalclad社はメキシコ法人COTERIN社を買収した。しかし、建設中止命令が出され、国際法に違反していると認定してメキシコ政府は賠償を命じられた。
3) Tecmed事件:Tecmed社がメキシコに設立した子会社Cytrarの産業廃棄物処理事業の免許更新が拒否され、メキシコ政府の措置が環境保護目的に偽装した規制であるとして、Tecmed社の訴えを認めた。
4) エチル事件:カナダ連邦政府MMT(ガソリン添加剤メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル)を1990年に有害物質として1997年にMMTの国内外の流通を規制したが、1998年に規制を撤回した。同年に、操業停止に追い込まれたエチル社がカナダ政府を提訴し、カナダ政府はエチル社に1300 万ドルを払って和解した。
5) ADMS事件:アメリカ法人が、メキシコの砂糖以外の甘味料について課税措置が、砂糖事業者への優遇措置であるとして提訴し、内国民待遇違反を認定した。
6) アズリックス事件:米企業エンロンの子会社アズリックス社は、ブエノスアイレス州の水道サービスの民間コンセッションを1999年に受託するが、2002年に州政府を契約違反で提訴した。最終的に約1億6,500万ドルをアズリックス社に支払うよう命じられた。ただし、収用違反は認定されていない。
7) ヴィヴェンディ事件:フランスのヴィヴェンディ社の子会社CAA社は、アルゼンチンのトゥクマン州上下水道の民営化事業を1995年に受託した。その後、水道水の濁りが発生し、CAA社に罰金等の賦課を行い、料金の徴収を差し止めた。1997年にCAA社は州政府を提訴し、州政府はヴィヴェンディ社に約1億ドルの賠償金を支払うよう命じられた。

なぜ米国の企業が常に勝訴するのか
国内であれば、国家と私企業の紛争は国内の裁判所が判断する。国家が勝訴するケースもあるし、私企業が勝訴することもある。しかし、TPPへの適用が検討されていたISDSでは、世界銀行の傘下にある国際投資紛争解決センターが裁判所の機能を担う。そして、この世界銀行の本部は米国ワシントンD.C.にあり、加盟国は189ヶ国だ。世界銀行の意思決定機関は、総務会であり、最も票数が多いのは米国の15.85%だ。代表も歴代米国のエスタブリッシュメントが就任している。つまり、米国大資本家から提訴された場合に、それを裁定するのは実質的に米国大資本家だという。条文を作成したのも米国系企業の顧問弁護士軍団だとしたら、確かに戦う前から勝てない勝負だろう。

米韓自由貿易協定(FTA)
韓国は米国とのFTAを2007年に締結した。米国では2011年に下院と上院を問題なく通過したが、2011年に韓国国会に批准同意案が提出された時には韓国国会が荒れて、67人が逮捕されたという。そして、この米韓FTAにはISDS条項が規定されている。さらに、米韓FTAにはラチェット規定も含まれている。これは韓国がいったん市場を開放すると、そのあとで再度規制しようと思っても規制できないという規定だ。韓国内では、毒素条項と呼んでいる。トランプ政権では、メキシコ及び韓国との貿易不均衡状態を指摘し、各国との自由貿易協定の見直し、停止を指示した。今後、協定の再交渉が行われるようだ(参考3)。日本のテレビや新聞では報道されないが、どのように見直しがされるのか、もしくはされないのかの注視が必要だ。

トランプ大統領の立ち位置
トランプ大統領は米国の企業家であり、資本家だ。しかし、米国の大資本家が牛耳るメディアと対立している。TPPは世界の1%未満の大資本家が国家を牛耳かねない仕組みと警鐘が鳴らされているが、トランプ大統領はそれを是正するホワイトナイトなのか、それとも大資本家の一部なのか。何れにしても賢明な判断のできる日本国政府は少なくともISDS規定やラチェット規定に合意しないことが必要だし、国民である我々はその検討状況をよく注視しておく必要があるだろう。

公共事業の民営化
特に懸念されているのが水道事業などの公共サービスだ。効率性を高めるという名目で民営化し、外資が受注した後に、利益を上げるために常識外の値上げを行うような事例もあったようだ。日本の法律の元で日本語の契約書に基づいて仕事を請け負うのであれば良いかもしれないが、ISDS規定を含むTPPの締結は最悪の事態が懸念される。つまり、ISDS規定によれば対象の公共事業のビッドに関する情報は英語で開示されている必要があり、米国系企業が受注して、紛争になった場合には国内法よりも効力の高いTPPの英文規定に従って政府が訴訟される。万一こんなことになったら、それは最悪の事態ではないだろうか。しかし、日本のマスメディアはなかなかそういう情報を展開しない。我々はどこから情報を入手して、ウオッチすべきなのか。

まとめ
技術士としては、真面目に技術的課題を解消するように頑張るしかない。しかし、不当に国民の利益を搾取されかねないリスクがあるとすれば、それを回避するか、軽減するが、移転する仕組みを真剣に検討することも必要なのではないだろうか。ISDS規定は、例えば日本企業が海外の事業を請け負うが、その場合に現地政府から不当な扱いを受けた時に訴訟できるというプラスの面もあるのかもしれないが、もしそのような効能を期待するのであれば、やはり公用語に日本語を追加すべきだ。現在は、ISDS規定を含む約20の規定が凍結されているので、最悪の事態は回避できているが、最終的にどのような形で合意されるかを見届けるまでは安心はできない。TPPは、技術的な問題ではないため、よくわからないことが多いが、引き続き見識を深める努力を続ける必要はあるように感じる。

以上
(追記)今朝(2/24)の日経朝刊を見ると、TPP11に関する記事が掲載されていた。しかし、関係国で調印して、各国の国会で審議して、実効はその先みたいな解説だった。日本経済新聞の新聞記者になるような方は、私と違ってちゃんと経済を勉強した優秀な人だろう。日本人のための日本人による日本の新聞としてのプライドを持って、これからも中立的な報道を是非期待したい。

参考1:http://www.cas.go.jp/jp/tpp/naiyou/pdf/danang/171111_tpp_danang_gaiyo.pdf
参考2:https://ja.wikipedia.org/wiki/投資家対国家の紛争解決
参考3:https://ja.wikipedia.org/wiki/米韓自由貿易協定

SNSの3つの課題と対策案

先のブログではSNSを振り返ってみた。今回は、SNSの3つの課題とこれへの対応について記述したい。

SNSの課題
課題1) SNS依存への対応

課題:深刻化するネット依存
今や2歳児の半分がスマートデバイスを使う時代だ。小学生1年生に入学する頃にはスマホ歴3年-4年のつわものだ。女子高校生の平均利用時間は7時間で、そのうち1割は15時間以上使っている。寝る時間以外は全てスマホの利用時間だ。まあ、私もそうだ。しかも、スマホ2台、タブレット1台、パソコン1台を同時に使ったりしているので、延べ利用時間は24時間以上だろう(笑)。そんなに使っていると、やはりネット依存症が問題だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20180220185035p:plain
(出典:MMD研究所、参考1)

対策:リアルな体験の充実
中高生のネット依存を治す有効な方法はリアルな活動だという。缶けりとか、トランプとか、キャンプファイアーとか、そんなリアルな遊びを体験すると、ネット利用よりも面白いので、スマホを使わなくてもいいんだということに気づくという。個人的にもFBを見ないようになってから自由時間が増えた。SNSの問題を解決するには、リアルな世界での目標とか、志とか、趣味とか、活動を充実させることだという。逆に言えば、そう言うリアルが充実していない人はネットに嵌ってしまうのかもしれない。つまり、ネットの問題はリアルの問題の裏返しであり、ネットの問題を改善する方法はリアルを充実する(リア充)というリアルの世界の問題に帰結するということだ。リア充の人がネット依存にならないとも言えないが、リア充を目指すことが本質のような気がする。

課題2) いじめとSNS
課題:いじめは統治の失敗か
学校の先生や保護者は子どもがSNSのいじめにあわないかを心配する。これは大きな問題だ。平成25年に施行されたいじめ防止対策推進法ではいじめの定義を「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とある。被害児童が心身の苦痛を感じたと宣言すれば、それがいじめになる。被害者の立場に立った定義だが、他方で誰かに虐められたと証言すればその人が加害者となって罰せられる。このような冤罪や逆いじめが心配だ。脳科学者の中の信子さんによると、いじめとは統治の失敗の結果だという。つまり、ある組織のルールに従えない人を組織から除外する行為だ。かつての村八分だ。このような社会的排除は、人類が生き残るために身につけた機能だという。したがって、いじめを定義して、いじめはダメと統治を強化すればするほど、そのルールに従えない人が出てきて、それはルールから外れた行為とその人を組織から除外しようとして、いじめが発生する。同時に、子供の社会は大人の社会の縮図だ。マスメディアが、社会的な正義を盾にターゲットとなる人物が攻撃する。本人が反省しない場合には、情動的に民衆を煽って、社会的に抹殺するまで攻撃する。それはまさに子供達が真似をしている「いじめ」ではないのだろうか。

対策:価値観の多様性理解と温故知新
いじめをなくすには、多様性を理解することではないのだろうか。自分と価値観の違う人を理解して、許容する。何かに劣っているからそのひとが劣るわけではない。人はそれぞれだ。他人を尊重し、むやみに他人を非難しない、糾弾しない。緩やかなルールの中で、人とひとが仲良くする。他人の欠点ではなく、他人の長所を見る。そんなことが本当に大事だ。実語教をご存知でしょうか?平安時代に作られ、江戸時代末期まで寺子屋での教材となったものだ。漢字5文字が2セットで文となり、それが48ある。48のありがたい教えだ。例えば、下の図の上左と下右には、子供に大切な倫理観を教えている。具体的には、次のような内容だ。こんな古来からの教えを活用して、物心つく頃からこれを写経し、暗唱し、子供達の価値観のベースとすることができないものだろうか。
 父母には朝から晩まで孝行せよ。
 師には一日中仕えよ。
 友とは仲良くし、喧嘩するな。
 自分より年長の者には礼儀正しく敬い、自分より年下の者は可愛がれ。
 智恵の持たない人は、木や石と同じだ。
 孝の心を持たない人は、動物と同じだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20180220193430p:plain
(出典:問道、参考2)

課題3) 個人情報の保護
課題:膨大な個人情報を一部企業が囲い込み
子供達には説明しないが、最も深刻なことは個人情報は誰のものかという問題ではないだろうか。子供達が使うSNSを例えば市区町村や学校が提供していれば、子供達の書いている内容は全て把握できる。トラブルが発生しても、何が起きたかを全てトレースできる。もしくは、トラブルが発生しそうな局面を検知して、注意することもできるかもしれない。そんな取り組みも海外では始まっている。しかし、現状では、実在するLINE等のSNSに対抗できる実力はない。何か問題があって、LINEに情報開示を求めても、個人情報保護の観点から簡単には開示できない。そして、真実の究明は非常な困難を伴う。LINEには限らないが、FacebookGoogleAmazonも数十億単位の個人情報を囲い込んでいる。そして、これら個人情報を活用したビジネスモデルが成功したら、これに対抗することは簡単ではない。一部の企業や組織が個人情報という宝の山を独占したとしてもその是正は可能だろうか。話は変わるが、仮想通貨の取り扱い業者であるコインチェックから580億円相当のネムが盗まれたことが問題となっている。仮想通貨では2回目の事件だ。しかし、これで仮想通貨がなくなることはないだろう。BISの資料を見ても、今後は国や中央銀行法定通貨をベースにした仮想通貨を提供することの可能性を示唆している。三菱東京UFG銀行がMUFJコインを提供することにチャレンジしている。

対策:分散型SNSの活用
ただほど怖いものはない。我々が小さい時には親からそのように教わったものだ。しかし、現在は無料のSNSをなんの抵抗もなく使っている人が多いのではないだろうか。しかし、LINEもGoogleAmazonも慈善団体ではない。社会に奉仕するためにサービスを提供しているわけではない。そんな当たり前のことを理解すべきだ。そして、きちんと予算をとって、体制を整備して、子供達が安心して使えるSNSサービスを提供すべきではないだろうか。それ以外に個人情報を守る方法はないと思う。また、仮想通貨に対しては、私は推進論者だが、仮想通貨の利用が進展すると、誰がいつ、何にいくら使ったかという個人情報をすべて管理可能だ。それを一部の私企業が独占することを許すべきではない。これを阻止するには、通貨と同様に国家が仮想通貨を提供した方がまだましではないだろうか。ベーシックインカムの議論が少しずつ進展しているが、個人的には、これを政府発行の仮想通貨として提供し、その利用データを匿名化して、オープン情報をとして、民間企業に公開する。そのような方向性に対して猛反発する論者もいるだろう。しかし、一部の私企業が独占する状態よりも健全ではないだろうか。問題の根は深い。

以上


参考1:https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1544.html
参考2:http://mondou.hateblo.jp/entry/2015/05/08/021102

SNSの振り返り:あなたは見る専?見て専?

SNSとは
ソーシャルネットワーキングサービスを略してSNSという。米国を中心に10年ほど前から急激に増加した。日本では、2011年の頃から急激に増大した。2011年には何があったのだろうか?そうです!東日本大震災です。2011年3月11日なので、あと19日で丸7年だ。東日本大震災の時には大変な問題が山積したが、その一つが安否確認だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20180220164645p:plain

安否確認とSNS
SNSを使えば、Twitterを使えば、Facebook(以下、FB)を使えば、「生きてるよ」、「ここにいるよ」とつぶやけばそれだけで安否確認ができたので、これは便利だと一気に日本でも広がった。私がFBに登録したのは東日本大震災の前だったけど、実際に使い始めたのは大震災の後だ。

FBに熱中
すでにFBで100人以上の友達を持っていた友人から好きなジャンルのグループに入って、近況を報告するようにしたら友達100人ぐらいはすぐに行くと聞いたので、ゴルフのグループに入ってみた。何をアップしていいかよくわからないので、適当に料理の写真や近くの公園の桜の木とかを撮影してアップしたり、ネット友の投稿にいいねを押してたら、確かに100名をすぐに超えた。FBの波に乗って著者になった人や起業家になったり、有名人になった人とかともFBで友達になって、友達500人、フォロワー500人ぐらいにはなった。

FBのゴルフグループのコンペに参加
FBでしか知らない人が主宰するゴルフコンペに参加したこともある。ちょっとドキドキしたが、ネットの中でいろんな投稿をしている人たちの人となりをリアルに確認するという不思議な体験だった。ネットだけでなく、リアルにも知り合いになるととても親近感がわくものだと理解した。

大震災の後に開発されたLINE
今の子供達にLINEができたのは東日本大震災の後だと説明するとびっくりされることがある。彼らにとっては物心がついた頃からLINEがあるので、LINEのない世界を想像することが難しいのかもしれない。新しいものが大好きは私はLINEのアプリはすぐに登録した。でも、自分の周りの人に声をかけてもLINEをしている人がいない。通信技術のプロ集団は、LINEに関心がなかった。家族・親族もネットに興味がない。LINEを使うような若い世代には知り合いがいない。かといって、若い派遣社員のLINEを聞くとなんだか誤解されそうだ(笑)。

LINEとSNOW
LINEで、いくつか知られていないことがある。一つはLINEの親会社が韓国のNAVERということ。そして、他のSNS、例えばSNOWも日本の企業だが、その親会社はNAVERだ。さらに2016年9月にはLINEが500億ウォン(日本円換算で約45億円)を投資してるいる。

LINEとband
先日、ある学校のPTAに呼ばれて講演し、そのPTA内の連絡にbandを使っていると聞いた。やっと純日の丸のSNSが出たかと期待したら、このbandもLINEの派生だった。LINEのグループは基本的に非公開だが、bandのグループは原則公開だ。最低10名のメンバーがいればbandのグループを作れる。どちらかといえばFB的な要素を取り込むものだ。
(出典:出会いと恋愛トーク、参考1)

LINEとライブドア(1)
今の子供達はライブドアを知らないだろう。大人でも、ホリエモンを知っていても、ライブドアがどうなったかを知っている人は少ないだろう。今から思うとなぜホリエモンはあれほど叩かれたのだろう。ライブドアが元気だったら、日の丸のSNSを立ち上げたのではないだろうか。しかし、実際にはライブドアは叩かれて、叩かれて、結局売りに出されたが、日系企業は誰も手を出さず、最終的に韓国のNaverが買収して、Naver Japanに吸収した。Naver JapanがLINEを作るきっかけは東日本大震災だった。東日本大震災で大変な被害にあった人たちを助けるために自分たちで何かできるかを議論して産まれたのがLINEだという。第一バージョンを2011年6月にリリースしている。なぜこれほど短期間に開発できたのだろう。

LINEとカカオトーク
LINEができたのは先述の通り2011年6月だ。そして、韓国でよくつかわれているカカオトークができたのは2010年3月だし、中国でつかわれている微信(WeChat)がリリースされたのは2011年1月だ。さらに言えば、米国Facebook系のWhatsAppがリリースされたのは2009年5月だ。つまり、時系列に言えば、WhatsApp > WeChat > カカオトーク > LINEだ。それぞれに特徴があるが、やはり先行したSNSを参考にした点がないとは言えないだろう。
f:id:hiroshi-kizaki:20180220172230p:plain

LINEとライブドア(2)
Naver JapanがLINEをリリースすると日本市場では爆発的にヒットした。そして、同時に容量アップや機能改善などの課題も山積していた。リリース当時には、蚊帳の外だったライブドアの開発部隊もLINEの改善に取り込まれた。そして、ライブドア出身の優秀な技術者やマーケット担当が頑張ってスタンプや絵文字を開発した。そしてさらにヒットした。そのあとの急成長は周知の通りだ。ライブドア出身が現在のLINE株式会社のリーダシップを振るっているとすれば、それはせめてもの救いだ。

Mixiは純日の丸のSNS
Mixiをご存知だろうか。お笑いのネタにもなったMixiだが、現在ではMixiを使っている人は少ない。Mixiは匿名制であり、かつ友達の紹介がない限りMixiのメンバーにはなれない。Mixiがリリースされたのは2004年2月だ。人と人が交流するためのSNSという意味で、mixとiを組み合わせた造語だ。そしてそのリリース時期はLINEより、カカオトークより、WeChatより、そしてWhatsAppより格段に速い。しかし、Mixiがリリースされた2004年当時はまだガラケーが中心だったので、mixiの利用者はPCベースだった。そして、2008年にiPhoneがリリースした当時からスマホがブレークした。Mixiの失敗はこのスマホの波に乗り切れなかったことだという。理由はそれだけだろうか。本当に残念だ。ぜひレベンジして欲しい。

TwitterInstagram
Twitterがリリースされたのは2006年7月だ。日本語対応は2008年4月だ。この記事を見て、会社の朝礼で話をしたことをよく覚えている。一方のInstagramがリリースされたのは2010年10月だ。日本語対応は2014年2月だTwitterInstagramも米国発のSNSだ。両者の違いは、Twitterは140文字以内の短いメッセージがあり、それに写真や動画を添付できる。一方のInstagramは写真もしくは動画がまずあって、それにコメントを付記することができる。ただ、どちらのSNSもリリース当初はポルノ問題に悩んだようだ。Wikiによると、2016年5月にInstagramには数百ものポルノ動画が投稿されていたと言う。
(出典:Wiki、参考2)

SNSとポルノ
商売の起爆剤は金と性が定番だ。金儲けのためには人は金を払う。そして、性のためにも金を払う。現在ではオワコンだが、VHSビデオがβに勝ったのもポルノのコンテンツ数だった。現在では、TwitterInstagramにはポルノ動画はあまりないが、新しいSNS(例えば、Tumblr)では数はわからないけど結構問題あり画像が多い。

SNSとフィルタリング
子供達が使うスマホにはフィルタリングを設定して欲しいと思う。子供達や保護者や学校の先生に講演をするときには、必ずこのフィルタリングの話とルールの話をする。しかし、そのフィルタリングが厳しすぎる。今時の子供達はLINEをしたいからスマホを欲しがる。しかし、スマホのフィルタリングをしてSNSはダメとすると全て使えない。最近のフィルタリングでは、カスタマイズ機能があって、保護者が許可すればLINEやYouTubeを利用可能だ。しかし、今時のLINEやYouTubeを規制してどうするのだろう。すでに市民権を得ていて、多くの利用者が使っているSNSは比較的には健全だ。Twitterもかなり健全になりつつあるが、フィルタリングの設定では厳しく規制されている。本来規制すべきは、市民権を得ていないSNS

見る専と見て専
世の中にはSNSで情報発信する人と、それを見る人がいて成り立っている。前者を見て専と言い、後者を見る専と言う。多分圧倒的に後者が多いのだろう。下の図は、20-30代の女性千人を対象にトレンダーズ社が調査した結果だ。見る専が使う比率の高いのはFBの77%、Instagramの52%、Twitterの46%だ。一方の見て専の利用率が高いのはInstagramの64%であり、FBが38%、Twitterが22%だ。つまり見て専がもっぱら使っているのはInstagramだ。しかし、見る専がもっぱら使っているのはFBだ。あなたがもっぱら使っているSNSはどれでしょうか?
f:id:hiroshi-kizaki:20180220175742p:plain
(出典:InternetWatch、参考3)

MixChannelPPAP
MixChannelは株式会社Donutsが提供する日の丸SNSだ。同社のHPを見ると、「2007年、高田馬場のわずか10坪のアパートの1室、そこから私たちDonutsの歴史はスタートしました。」とある。創業者の西村啓成さんは、2004年にDeNAに入社した新卒第1期生であり、2007年にDonutsを創業した。DeNAのDNAが脈々と生きている。素晴らしい。MixChannelに話すを戻すと、ここではLOVE、ツインズ、おもしろ、顔出し、うたなどのカテゴリーがある。ツインズは、双子ではなく、双子のように仲の良い女子2名が歌ったり、踊ったりしている。2015年当時は「まこみな」がブレイクしていて、芸能界デビューもしたらしい。今の人気はどこらだろう。LOVEは付き合っている彼や彼女とのラブラブ動画だ。キス動画をドラマチックに編集している。正直羨ましい(笑)。2016年には、ピコ太郎のPPAPが流行したが、MixChannelにはこれを真似する動画が相次いだという。
(出典:Wiki、参考4)

SNSと動画
SNSは、文字で始まり、画像が続き、動画にバトンタッチされている。先述のトレンダーズではYouTubeMixChannelが対象に入っていない。しかし、動画の編集はスマホで簡単にできるので、動画の投稿は今後さらに簡単になるだろう。YouTubeが本命だが、これの対抗馬はなんだろうか?先述のMixChannelは女子中高生に圧倒的な人気のあるサイトだ。このようなSNSがさらに流行るのだろうか。

メッシュ通信とFireChat
メッシュ通信という技術が徐々に実用化されている。従来の通信は、端末と端末が直接通信することはなく、必ず基地局を介して、クラウドに接続され、クラウドを介して別の端末と接続される。したがって、言論の自由がない国・エリアでは、クラウドを検閲すれば、どの端末からどんなメッセージが出されているかを全てトレースすることも可能だ。一方、メッシュ通信とは、トランシーバのように、端末と端末が直接通信をするものだ。そして、この機能を活用したSNSの一つがFireChatだ。そして、このFireChatを使えば当局に監視されないということで2014年に香港の暴動が起きた。しかし、このSNSは暗号化機能を持たない。また、通常の通信とメッシュ通信を組み合わせるため、閲覧されないとは保障されるものではない。
(出典:Wiki、参考5)

これからのSNSの利用増
SNSの利用は年々増加しており、これからも指数関数的に増大すると予想される。それは利用者の増加と利用率の増加と利用速度の増加の掛け算だ。利用者の上限は人口だったが、現在は人口を超えている。ましてIoTでは物が対象なので上限はないようなものだ。利用速度も2年で2倍とすると、20年で千倍だ。第三世代では最大2.4Mbpsが上限だったが、第五世代ではGbpsレベルの最高速度を目指している。やはり20年で千倍だ。通信の速度も、頻度も、ボリューム(トラヒック)も今後、継続して増え続けるのだろう。

SNSの課題
長くなったので、SNSの課題は次のブログにする。具体的に想定する課題は次の3つだ。

課題1) SNS依存への対応
課題2) いじめとSNS
課題3) 個人情報の保護

hiroshi-kizaki.hatenablog.com


以上

久しぶりの投稿で支離滅裂という批判も受けそうですが、最後まで読んで頂きありがとうございました。

参考1;https://123a.jp/love/archives/485
参考2:https://ja.wikipedia.org/wiki/Instagram#隠されたポルノ
参考3:https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1065059.html
参考4:https://ja.wikipedia.org/wiki/MixChannel
参考5:https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイア・チャット

課題は残業削減?やる気アップ!その両方?

はじめに
勝ち組と負け組の格差は是正されるのか、それとも拡大するのか。勤務時間が長い人はやる気が高いらしい。そして、やる気があるほど仕事の満足度が高く所得も高い。また、正規社員比率が高いほど自己啓発している。自己啓発する人ほど生計の自立度が高い。好循環の勝ち組に入るにはどうすれば良いのか、負のスパイラルに陥った負け組から脱出するにはどうすれば良いのか。そもそも日本人が幸せになるにはどうすれば良いのか、そんなことをつらつらと考えてみた。

1. 勤務の現状
1.1 年間残業時間の減少

勤務時間が長いのでもっと短くしようということで時短活動が盛んだ。朝の時間外はよくても、夜は一定の時間で帰宅を促される企業も多いのではないだろうか。下の図は、厚生労働省の毎月勤労統計調査の資料をもとに集計されたものだという。年間勤務時間は減少しているので問題ないように見えるが、実際には非正規増加によるもので、正規社員の労働時間は横ばいだという。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212184130p:plain
(出典:経済界、参考1)

1.2 正規社員比率と自己啓発
正規社員の比率と教育訓練・自己啓発をしたとする回答比率には相関関係があるという。自己啓発比率が高いのは教育・学習支援業、金融・保険業、電気・ガス・熱供給・水道業だ。逆に、自己啓発比率が低いのは飲食・宿泊業だ。ただし、この相関関係から外れているのは、点線で結ばれた建設業、運輸業、製造業だ。これらの業界は正社員比率が高い割に自己啓発の比率が低い点に注意が必要だ。逆に、教育学習支援業と医療・福祉業は正規社員比率に比べて自己啓発の比率が高い。自分が所属する情報通信業ではこの相関関係に沿った位置だが、感覚的には医療・福祉業あたりの感じがする。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212184531p:plain
(出典:パーソナル総合研究所、参考2)

1.3 自己啓発と生計の自立
下の図は、横軸が自己啓発の高さ(学習・訓練)、縦軸は生計の自立だ。この2つは正の相関関係がある。というか、自己啓発が高く生計の自立度も高いゾーン(青色のサークル)と、自己啓発が低く生計の自立度も低いゾーン(黄色のサークル)に二分されているのがわかる。前者は医師、公認会計士・税理士、金融関連専門職、経営企画職だ。一方の後者は、清掃・配達・倉庫作業、ファッション・インテリア関連、飲食物調理職、ウエイター・ウエイトレス職、農林漁業関連職、商品販売職などだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212190150p:plain
(出典:全国就業実態調査パネル2016、参考3)

1.4 15歳以下の子供たちのマインド調査
OECDの調査によれば日本の子供達は数学や科学は先進国でもトップレベルだ。スマホの利用も進んでいる。しかし、UNICEFの調査(2007年)によると「寂しいと感じる子供」の比率は29.8%とダントツのトップだ。また、「単純労働に就業したい」の比率も50.3%とダントツのトップだ。もしかすると日本語訳の問題もあったのかもしれない。しかし、日本の子供達は一体いつからこんなに寂しく、向上心のない子供達になったのだろう。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212193450p:plain
(出典:UNICEF調査2007、参考4)

2. やる気の評価尺度
2.1 動因と誘因

モチベーションには、人の内部から生じる動因(ドライブ)と、外部から生じる誘因(インセンティブ)があるという。そして、この動因はマズローの要求階層説に代表される。下の図は、マズローの5段階の要求階層説を図示したものだ。マズローは下位の要求が最初にあり、その後に上位の要求が生じると説く。自己啓発の高さと生計の自立度の高さに相関があるというのは、マズローの理論によれば生計が立つから自己啓発をして自己実現したくなる。負のスパイラルから脱するには、マズローの理論を超えて、生計が厳しくても自己啓発をするしかないのかもしれない。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212193818p:plain
(出典:オフィスジャストアイ、参考5)

2.2 期待理論(Expectancy Theory)
1964年にYaleビジネススクールのVictor Harold Vroom教授が提唱したモチベーション理論だ。つまり、期待理論とは、魅力ある成果(Reward)の設定、成果を実現するのに必要充分な目標値(Goal)の設定、そして、目標値を実現するのに必要充分な戦略展開(Efforts)の設定が必要だと説いている。つまり、まず志があり、それを実現するための目標があり、それを実践するための戦略を作るという東洋思想に近いものを感じる。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212195916p:plain
(出典:Invenio、参考6)

2.3 モチベーション理論
下の表は、モチベーション理論に関して整理したものだ。中小企業診断士を志す人のためのサブノートがスライドシェアで開示されていた。よく整理されているが、ここでは詳しい説明は割愛する。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212200653p:plain
(出典:スライドシェア、参考7)

2.4 やる気と満足度
下の図はリクルートワークス研究所の久米功一さんがウェブに掲載したものだ。やる気と仕事の満足度の相関関係を調べたところ相関係数が0.71と高い数値を示した。ここでやる気の指標にしたものはMPSであり、その構成要素は5つの職能特性と呼ばれるものだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212201141p:plain
(出典:リクルートワークス研究所、参考8)

2.5 5つの職務特性とMPS(motivation Potential Score)
やる気を定量化する5つの職務特性の理論は、個人的だが、大好きだ。その出典を色々と調べると、心理学者J・リチャード・ハックマン(J. Richard Hackman)と経営学者グレッグ・R・オルダム(Greg R. Oldham)がモチベーションを考察する上で、仕事の特性に着目し「職務特性モデル」(Job-Characteristics-Model)として理論化したものだ。オールドハムとハックマンは、理論の構築物を評価するため求人診断調査(Job Diagnostic Survey:JDS)と雇用評価書(Job Rating Form:JRF)を作成することで、5つの主要な職務特性を測定した。やる気に影響を及ぼす要素として①求められるスキルの多様さ(多様性)、②部分ではなく全体を把握できるかどうか(完結性)、③他者に影響を与えるかどうか(重大性)、④仕事の進め方への関与(自律性)、⑤自身の実践の効果に関する評価(フィードバック)の5つだ。そして、これを下の数式に従って、MPSを計算する。なんとも素晴らしい!
f:id:hiroshi-kizaki:20180212201723p:plain
(出典:BLOGOS、参考9)

3. 現状の課題と対応策
3.1 ブラック企業の是正

下の図(左)はVorkers社が月間平均残業時間と社員の士気について2016年8月に調査結果を発表したものだ。月間残業時間が100時間未満の会社群では社員の士気の増加傾向は緩やかだが、100時間を超えると士気の増加傾向が強化される。つまり、社員の士気がそれほど高くなくても100時間程度の残業は実施される。しかし、100時間を超えると強い士気がないと厳しいと解釈されるのではないか。これをもう少し簡素化したものが下の図(右)だ。つまり、ブラック企業とは、社員の士気が低いのに長時間残業を強いる企業群と言えるのではないか。一方でこれと正反対なのが、社員の士気が高いけど残業は少ないという企業群だ。Vorkers社の調査によればスターバックスや、リッツカールトン、オリエンタルランドなどが名を連ねている。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212203440p:plain
(出典:VORKERS、参考10)

3.2 残業削減と社員の士気向上
日本の企業群が目指すべきは、単にブラック企業を是正するだけではなく、社員の士気を高めることではないか。上の図(右)の言葉を使えば、ハイカルチャーゾーンを目指すべきではないか。つまり、ダラダラゾーンの企業群は士気を高めるが急務だ。猛烈ゾーンの企業群は残業時間を減らせるように生産性を高める必要がある。最後のブラックゾーンの企業群は、残業時間の削減と社員の士気を高めることを同時に実施する必要がある。これは簡単なことではないので、やはりIT技術を活用したイノベーションの推進が有効ではないだろうか。

3.3 社員の士気を高める5つの方法
士気を高めるにはどうするか。それは2.5で示した5つの職務特性に分解して、社員の士気を調査することだ。そして、どの要因が低いかを調べることだ。下の図は、成長実感があるケースとないケースのそれぞれの職務特性を調査したものだ。そして、MPSを計算すると、成長実感のあるケースは54.7と高いが、成長実感のないケースは16.6と低い。残念ながら基準値は見当たらないが、自らの企業の実態を調査し、そして、弱点を見つけることで改善策が見つかるのではないだろうか。そして、注意すべきは自律性とフィードバックの影響力(効果)の大きさだ。職務職能によって、社員によって、自律性や多様性や完結性は決まるし、それを改善することは難しいだろう。しかし、自律性を与えることはできるだろう。また、社員の頑張り具合の結果としての会社の成果を社員にフィードバックすることもできるだろう。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212223657p:plain
(出典:パーソル総合研究所、参考11)

おわりに
日本の企業群の課題は残業時間の削減と社員の士気を高めることの両方をすることだと考える。単に残業時間を削減するだけでは課題の解決にはならない。そして、社員の士気を高めるには、社員の士気を定量的に評価し、それを高める努力を実践することだ。特に、社員へのフィードバックはやる気さえあればできるはずだ。そして、その上で、社員にはできるだけまとまった仕事を任せ、自発的に、自律的に、工夫する余地を与え、そのタスクの重要性を伝えることだ。そんな風に会社と社員が一体となって頑張ることで、社員のやる気もアップするし、生計の自立が進み、自己啓発を高め、結果として日本人がやりがいや生きがいを感じるようになることが大事だと思う。そして、同時に日本の子供達が寂しいと感じることが減り、やりがいのある仕事にチャレンジするようになれば、日本人全員が勝ち組になるのではないか。そんな夢に向かって目標を設定し、戦略を立てることが重要ではないだろうか。

以上

参考 1:http://net.keizaikai.co.jp/archives/26005
参考 2:https://rc.persol-group.co.jp/column-report/201405271227.html
参考 3:https://www.works-i.com/pdf/160523_WorksIndex2015.pdf
参考 4:https://www.unicef.org/media/files/ChildPovertyReport.pdf
参考 5:http://www7a.biglobe.ne.jp/~justeye/motivation.html
参考 6:http://leadershipinsight.jp/explandict/期待理論 expectancy-theory
参考 7:https://www.slideshare.net/thekingofnights/201405-34339882
参考 8:https://www.works-i.com/column/panelsurveys/久米功一2/
参考 9:http://blogos.com/article/201958/
参考10:https://www.shukatsu-note.com/category/company/post-44386/
参考11:https://rc.persol-group.co.jp/column-report/

ワイヤレスヘッドセット購入!

ワイヤレスヘッドセットの購入
候補のワイヤレスヘッドセットはBeatsとBoseSonyに絞って検討した結果、Beatsのワイヤレスヘッドセットを購入しました。これは、これまで使っていたソニーのワイヤレスヘッドセットがなぜかiPhone Xでは使えないのと、ネットで購入した廉価なワイヤレスイヤホンが壊れてしまったためだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212113843p:plain

新しいBeatsのワイヤレスヘッドセットを利用した感想
結論から言うとメチャ快適です。星5つです♪。どこが良かったのかを列挙してみるとノイズキャンセル性能、接続安定性と操作性と十分な再生時間の4点だ。

1) ノイズキャンセル性能が凄い!
ノイズキャンセル機能はすごい。周辺のノイズをキャンセルするので、聞きたいオーディオのボリュームを大きくしなくてもクリアに聞こえる。これはすごい。電車の中やスタバでヘッドセットを外すとあまりの雑音の多さに思わずもう一度ヘッドセットをつけることがある。街を歩いていても閑静な状態になる。ただし、問題は自転車で移動する時だ。周りの音をキャンセルするので車両の接近に気付かないことがありうる。そのため、以前以上に周辺に注意し、安全運転するようになったが、そもそも交通マナーとしては良くないので自粛すべきというのが辛い。

2) 接続性がめちゃ安定!
例えばマンションの電子レンジをかけると以前のヘッドセットだと雑音が酷かった。スマホをテーブルにおいて、ヘッドセットをしたまま音楽を聴いたままトイレに移動すると、音楽が途切れた。新幹線の席にスマホを置いたままトイレに行くと同様に途切れた。しかし、新しいヘッドセットでは全く音楽が途切れない。これは嬉しい。色々と調べるとBeatsのBluetoothはPower Class1で出力が大きいためだった。

3) 操作性はさすが!
業務用のiPhoneと個人用のiPhoneを使っているが、両方のiPhoneとのカップリングがめちゃ楽だ。左のヘッドセットの真ん中をクリックすると再生・停止、少し上でボリュームアップ、少し下でボリュームダウンなど簡単に操作できる。これ以外にも、実は便利だと思うのはiPhoneでヘッドセットの充電状況を確認できることだ。これによって、充電するか、しないかを判断できるのは結構便利だ。ただし、MacBookAirとのコネクションには問題もある。これはヘッドセット側ではなく、MacBookAirのOSが古いためだ。しかし、空き容量が少ないのでバージョンアップを躊躇している。悩ましい。

4) 再生時間は十分!
ノイズキャンセルをオンにして22時間使える。朝から晩までも使っても本当に電池は大丈夫だ。これはすごいと思う。ただ、リチウムイオン電池なので、時間が経過するとこの再生可能時間は徐々に減っていくのだろう。その場合に、ノイズキャンセルをするのかどうかは悩ましい。

他の候補モデルとの比較
ワイヤレスモデルで、ノイズキャンセルがついて、信頼できて、快適なヘッドセットということでBeatsとBoseSonyの3モデルが候補になった。本当はSonyでも良かったけど、これまで使っていたSonyのヘッドセットは部品が弱く、左右合計で4回壊れた。最初壊れたのは購入して1ヶ月ぐらいの時で、セロテープで緊急対応したが、半年ほどで逆サイドも壊れたので無償で修理してもらった。でも、補強材料も使われなかったのか同じように壊れて、同じようにセロテープで修理して使ったという悲しい事実と、iPhoneの機種変更で急に使えなくなったという事実からSonyは除外された。BeatsとBoseを比べるとBoseの方が軽くて、性能も良さそうだったけど、iPhoneとの相性を考慮してBeatsに決めた。Apple大好きな自分には正解だと思っている。このため、実は、購入前にスペック比較をしなかったが、今回のブログを書くにあたって、技術士のブログらしくするために下の比較表を作成した。特徴的な箇所について解説する。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212121124p:plain

1) BluetoothのPower Class
接続安定性が高まった理由はこれだ。例えばSonyのヘッドセットはClass2だが、BeatsのヘッドセットはClass1だった。Bluetoothの規格では、下の図のようにClass1では最大出力100mW、Class2では同2.5mW、Class3では同1mWだ。Class1ではClass2よりも最大出力が大きいが、通信相手との距離を考えて出力制御をしているので、消費電力が増えるとも限らない。しかし、電波が弱くなったり、干渉波が増大するような時に威力を発揮する。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212122108p:plain
(出典:無線化.com、参考1)

2) Bluetoothの進化
Bluetoothはそもそもは1994年にエリクソンの社内プロジェクトとして検討が開始され、1998年にBluetooth SIGが設立され、2001年にバージョン1.0(V1.0)を発表した。2004年11月にV2.0、2009年4月にv3.0を発表した。さらに2009年12月にV4.0、2013年12月にV4.1、2014年12月にV4.2、2016年12月にV5.0を発表して現在に至る。大きな流れは下の図の通り高速化と省電力化を進めてきた。問題はV4.0とV4.1の違いだ。V4.0では大幅に省電力化可能なBluetooth LE(Low Energy)が追加された。V4.1ではこのLE に携帯電話用の電波との干渉を抑える技術などが追加された。V4.2ではこのLEにData Packet Length Extension を追加し、通信速度が260kbpsから650kbpsに倍増した。V5.0ではLEのデータレートが最大2Mbpsに拡大した。同時に2Mbpsと1Mbpsの到達距離は100m、125kbpsの到達距離は400mに改善した。Bluetoothの進化は止まらない。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212122724p:plain
(出典、バッファロー、参考2)

3) BluetoothのProfile
BluetoothではProfileが重要だ。これは、様々デバイスと通信する場合のプロトコルの使用方法をProfileとして標準化している。主なProfileの名称と機能は下の図の通りだ。なお、HSP/HFPでは携帯電話を想定していたのでモノラル音声だが、A2DPではヘッドセットを想定するためステレオ音声かつ高品質だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212125129p:plain
(出典:Wiki、参考3)

4) LDAC(Low Delay Audio Coding)
ハイレゾコーディングとしては、ソニーが開発したLDACとQualcommが推進するapt-X/HDだ。ソニーハイレゾ対応のヘッドセットはこのLDACとapt-X HDに対応している。apt-X HDとはapt-Xの改善版だ。apt-Xは符号化速度が一定だが、LDACは可変で必要に応じて割り当てる方式だ。LDACは最大990kbps(96/48kHz)で伝送される。電波状況が良好なら問題はないが、電波状況が劣化し、かつ音声品質優先モードだと再生中に途切れを感じるリスクがある。LDACでは音質優先(990kbps)、標準(660kbps)、接続優先(330kbps)の3段階を選択できる。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212125659p:plain
(出典:DigimonoStation、参考4)

5) aptX/aptX HD
aptXアルゴリズムは1980年代にクイーンズ大学のStephen Smyth博士が開発した。2007年のaptX Liveでは最大8:1の圧縮を提供した。2015年にクアルコムが買収した。aptX-HD(aptX Losslessとも言う)のビットレートは576kbpsだ。高精細オーディオ品質では最大20 kHzで120dBのSN比を実現する。aptX-HDのもう一つの特徴は低遅延だ。設計上は1msだという。今後、ハイレゾ対応のヘッドセットを買いたいと考えている人はこのaptX-HDに対応可能かどうかは要チェックだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20180212131329p:plain
(出典:Engaget、参考5)

まとめ
ワイヤレスのヘッドセットはコードがないので楽だ。しかも、ノイズキャンセル機能が付いているとメチャ静かだし、快適だ。通信速度や通信品質はますます改善されるだろう。本当は、3月9日の技術士合格発表で経営工学に合格していたら自分へのご褒美で購入するつもりだったけど、家庭内の決済も完了したので、先行して購入した。もし、不合格だったらどうしよう(笑)。
以上

参考1:http://musenka.com/faq/faq_bluetooth_class.html
参考2:http://buffalo.jp/products/pickup/supply/bluetooth/index3.html
参考3:http://buffalo.jp/products/pickup/supply/bluetooth/index3.html
参考4:https://www.digimonostation.jp/0000024370/
参考5:http://japanese.engadget.com/2016/11/22/qualcomm-bluetooth-aptx-hd/

量子コンピュータ(2):概要と課題

前回は量子コンピュータを理解するための量子の基本的な概念を説明した。量子がよくわからないということを分かることが量子を分かるための最初のステップらしい。今回はもう少し分りやすいと思う。

(構成)
 1. 量子コンピュータを理解するための基本概念
 2. 量子コンピュータ概要
 3. 量子コンピュータの今後の課題

2. 量子コンピュータ概要
2.1 実用化されている量子コンピュータ

現時点で実用化されている量子コンピュータの最新作はカナダのD-WAVE社が提供しているD-WAVE2000Qだ。D-Wave社は、東日本大震災のちょうど2ケ月後の2011年5月11日に世界初の商用量子コンピュータD-Wave Oneを発表した。これは128量子ビット量子アニーリング方式で最適化問題を解くものだ。その後も、512量子ビット、1024量子ビット、さらに2048量子ビットと進化を遂げている。下の図(右)は最新のD-Wave 2000Qだ。外形は3mx3mの巨大なボックスだ。1台は1500万ドルと非常に効果だが、これは超電導の原理を活用するために液体ヘリウム冷却システムの技術を使っているためだ。下の図(左)はそのボックスの中身の写真とそれを拡大した写真だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20180211104043p:plain
(出典:ScienceAlert、参考1)

2.2 量子コンピュータの3つの構成要素
量子コンピュータの構成要素は、下の図のように量子プロセッサー(QCU:Quantum Computing Unite)と、量子レジスターと量子メモリーだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20180211101554p:plain
(出典:スライドシェア、参考2)

2.2 量子コンピュータの必要条件
1959年生まれの理論物理学者であるDavid P. DiVincenzoは、IBMの研究所に在籍時に、量子コンピュータの5つの最小要件の論文を発表した。必要条件として5つを指摘する。具体的には、量子ビットを初期化できること、量子ビットの状態を読み出せること、基本ゲート(回転ゲート等)を構成できること、コヒーレント時間>1回のゲートの動作時間であること、量子ビットの増加に伴い、規模や動作回数が急激に増大しない物理システムであることの5つだ。
(出典:Wiki、参考3&4)

2.3 量子コンピュータの有力な3方式
現在のコンピュータはデジタル式だが、真空管の時代ではアナログ方式のコンピュータが開発されたが、1980年頃には真空管が製造されなくなったため、世の中からフェードアウトした。量子コンピュータでは下の図のように3方式が現在、しのぎを削っている。量子ゲート方式はデジタル方式だが、量子アニーリング方式と量子ニューラルネット方式はアナログ方式だ。デジタル方式は汎用性があり、チューリングマシン型と言われているが、実用化が非常に難しい。一方のアナログ方式はイジングマシンで汎用性がないが、特定の組合せ最適化問題では威力を発揮する。
f:id:hiroshi-kizaki:20180211112123p:plain


2.4 量子アニーリング方式
D-WAVE社が、量子焼きなましの技術を活用して、128量子ビットの第1号機D-Wave Oneを2011年に実用化した。2012年には512量子ビットのD-Wave Twoを開発し、GoogleNASAが購入した。2013年には、NASAGoogle、USRAが共同で研究所を設立し、1024量子ビットのD-Wave 1000Qに対して1500万ドルを支払った。現在は2048量子ビット対応のD-Wave 2000Qも同程度と言う。
(出典:Quantiki、参考5)

2.5 量子ニューラルネットワーク方式
ImPACTというプロジェクトをご存知でしょうか。三代目J Soul Brotherのブルーインパクトではない。航空自衛隊ブルーインパルスでもない。内閣府主導のプロジェクトであり、革新的研究開発推進プログラムの略だ。現在、国家プロジェクトとして16のプログラムが推進されている。その一つが「量子人工脳を量子ネットワークでつなぐ高度知識社会基盤の実現」であり、量子コンピュータ、量子シミュレーション、量子セキュアネットワークといったテーマで検討されている。ここで対象とする量子コンピュータはコヒーレントイジングマシン(CIM)だ。これは、量子ニューラルネットワーク(QNN)や光ネットワーク方式の量子コンピュータとも言う。このImPACTでは、5つの適用分野を想定している。具体的には、標的タンパク質を見つける創薬分野、ネットワークのリソースの最適配分の無線通信の分野、スパース性を活用して元画像を再生する圧縮センシング分野、深層学習を実行する機械学習の分野、リスクと利益のポートフォリオを最適化する金融分野の5つだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20180211120047p:plain
(出典:Codeine、参考6&7)

2.6 量子ゲート方式
IBMは汎用的な量子コンピュータの実現に向けて開発を継続している。2001年に核磁気共鳴器(NMR)を応用して素因数分解を実行した。しかし、NMR型では大規模化が難しいため、超電導方式での研究を始め、2016年6月に5量子ビット量子コンピュータを発表した。2017年5月には16量子ビット量子コンピュータを発表した。現在、一般公開されている量子コンピューターは「IBM Q Experience」としてクラウド利用可能だ。超電導方式を採用しているため、高価かつ大規模システムとなる。このため、クラウド経由でアクセスする方が利便性が高い。量子ゲート方式の大規模の量子コンピュータが完成しても、すべての機能がこれに集約するわけではない。現在のコンピュータとの役割分担が進むと考えられる。
f:id:hiroshi-kizaki:20180211122441p:plain
(出典:IBM、参考8)

3. 量子コンピュータの今後の課題
3.1 欧米・中国の投資プロジェクトに対抗できるのか

現在は、量子アニーリング方式を採用するD-Waveが一歩前進していると言える。これに対して、米国は国防総省(DARPA)/知能高等研究計画局(IARPA)は年間200億円程度の投資を国家的に進めている。そして、その中で開発した要素技術はベンチャー企業が事業化する仕組みだ。欧州の投資欧州委員会は2016年4月に10年で10億ユーロ(約1300億円)を投じる大型研究プロジェクトをスタートさせることを発表した。中国も1兆円規模の投資をしているという。これに対して、日本でも先述のImPACTに10年で300億円程度の投資を発表している。投資金額がすべてではないが、海外勢に比べて投資額が一桁少ない点が懸念事項だ。
f:id:hiroshi-kizaki:20180211123713p:plain

3.2 ターゲットはハードかソフトか
量子コンピュータの開発競争においてもハードウェアの競争とソフトウェアの競争がある。その両方に尽力する必要はあるが、西森教授によれば、ソフトウェアの分野ならまだまだ日本も戦えるという。日の丸プロジェクトとして頑張るのも大事だけど、例えばカナダとの連携を強化して、日本が得意な分野で存在感を増す戦略もあるのかもしれない。また、ユースウェアというか、実際に量子コンピュータをどのように活用して、実際の社会的課題をどのように解決するかという分野のノウハウを蓄積する戦略もあるのかもしれない。
f:id:hiroshi-kizaki:20180211124520p:plain

3.3 量子暗号化の光と影
仮想通貨の取扱い業者のコインチェックから仮想通過NEM(580億円相当)が盗まれたことが大きく報道されている。盗まれたNEMにはフラグが付いているが、ダークネットでマネーロンダリングしたことが捜査関係者への取材で判明したという。盗んだこと、盗まれたことも問題だが、このダークネットの存在がより問題だ。一説には、個人情報の売買相場も決まっているという。利用者は犯罪者だけでなく、これを取り締まるべき情報機関も利用しているという。また、NEMで採用されているのと同じAPIを用いているのがMijinだ。Mijinは金融機関のコストを90%削減すると同時にセキュリティを強化するとして、日本の信託銀行三井住友トラストホールディングスが所有する住信SBIネット銀行の銀行サービスに追加するためテストされている。2015年12月、日本のSBI住信ネット銀行は、日本の大手研究グループであるNRINEMブロックチェーン技術Mijinのテストを依頼している。NEMと同様の被害がMijinで起きないように万全の対策が必要だ。そして、心配なのは、量子コンピュータによる暗号化だ。この技術が革新すると、2つのリスクがある。一つは、解読不可能と言われる暗号化を復号されるリスクだ。そして、もう一つは、悪意ある人が暗号化技術を活用するリスクだ。この懸念のため、量子暗号化の仕組みを特許として申請することについての是非が議論されている。つまり、特許申請すると、その仕組みをすべて明らかにするため、悪用される懸念があるからだ。国際政情の問題とも直結する懸念だ。自分にはちょっと難しすぎる課題だ。量子コンピュータは、懸念されたムーアの法則の限界を乗り越える技術であるが、その一方で影の部分あることを忘れてはいけない。

以上

参考1:https://www.dwavesys.com/sites/default/files/D-Wave 2000Q Tech Collateral_0117F_0.pdf
参考2:https://www.slideshare.net/masayukiminato/jan-2018-85514793
参考3:http://slideplayer.com/slide/5235189/
参考4:https://en.wikipedia.org/wiki/David_DiVincenzo
参考5:https://www.cbinsights.com/research/quantum-computing-explainer/
参考6:https://codezine.jp/article/detail/10544
参考7:http://www.jst.go.jp/impact/hp_yamamoto/overview/index.html