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労働安全衛生マネジメントシステム:ISO45001を考える。

はじめに
ISO規格をご存知でしょうか?有名なのは品質マネジメントシステムに関するISO9000シリーズだろうか。そもそも、ISOとは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)の略だ。スイスのジュネーヴに本部を置く非営利法人で1947年(昭和22年)2月23日に設立された。日本のJISは国内規格だが、ISOは国際規格(international standard=IS)だ。ISOは単独で規格を提示する場合もあるし、ISOとIECが合同で規格を開発する場合もある。例えば安全のためのガイドラインとしてISO/IEC guide51が標準化されている。
 出典:https://www.sis.se/api/document/preview/917199/

ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)入門セミナー
ISOの規格としては、すでに本年3月にリリースされている。これに対応したJIS規格が9月28日にリリースされる計画だ。日本品質保障機構では、このJIS規格のリリースに先立ってセミナーを開催したのでこれに参加した。簡単にポイントを報告しておきたい。

最近の労働災害の動向
1974年(昭和49年)には347千人の死傷者(休業4日以上)が発生していたが、2014年(平成26年)には119千人まで減少している。しかし、直近で見ると、平成29年度の死傷者数は114千人であり、平成28年の112千人よりも逆に増加している。

労働災害の減少傾向が反転した理由
労働災害の撲滅に対する改善施策を進め、マクロ的にはその効果が出ているものの、労働災害を増やす要因が近年増えていることも注意する必要がある。例えば、従業員の高齢化、正社員の減少と派遣社員の増加、下請け・孫請け、技能や知識の伝承が困難なためだ。

労働災害の事後的対応から系統化された仕組みへ
災害や事故が発生したときには、撲滅対策が検討されて、実行されるが、これはいわば行き当たりばったりの活動だ。そうではなく、そもそも事故が発生しないような仕組みを導入し、実現することが重要という認識だ。この認識で検討が進められているのがISO45001だ。

OHSMS(オームス)の導入
安全衛生活動を持続するための労働安全衛生的管理システムをOHSMS(Occupational Health and Safety Management System)だ。

日本的考え方と欧米的な考え方
日本では、災害の主原因を人間に求める傾向があり、技術的な対策も人の教育が重視される。安全衛生法では、人や施設の安全化を目指し、災害が発生するたびに規制が強化される。また、安全に対するコストは認めにくく、最低限のコストで対応する傾向がある。一方、欧米では、災害問題は技術的な問題と感が、人の教育よりも技術的な仕組みの改善を優先する。安全対策にコストがかかるのは当然として、対策を投資と考える。

ISO45001の特徴
労働安全衛生法では、労働者の安全を守ることを主眼としているが、ISO45001ではトップマネジメントを含めて働く人を定義し、事故を未然に防止するためのPDCAを回す仕組みを作ることを主眼としている。

労働安全マネジメントシステムを導入することのメリット
関係者の役割や権限を明確にし、運用上の課題を示し、問題が顕在化する前に解決することを目指す。リスクアセスメントを行うことで取り組む優先順位を明確にして、効果的な投資を実現する。

ISO45001の開発経緯
そもそもの発端は2013年10月で、第一回PC283会議だ。その後、検討が進み、2018年3月に国際規格(IS)が発行し、2018年9月28日にJIS規格が発行する予定だ。規格の検討の途中では、2016年5月には3000件の不承認コメントが発生したが、これに対する検討を進めた。2017年9月には2000件のコメントが発生したが、これは基本先延ばしにすることで規格の成立を優先した。仕組みの実現を目指すISOと規格を守らせようとするILOは意見が食い違うことが多いようだ。

ISO45001の特徴
その1)手順ではなくプロセスを重視
 具体的な手順を作成すると形式的な文書が増大する。ISO45001では手順ではなく、手順を含むプロセスを明確にすることを重視する。

その2)働く人(Worker)
 いわゆる現場で働く人労働者だけではなく、組織の管理層やトップマネジメントまでを含めて働く人と定義している。これは労働災害を撲滅するにはトップが本気になって取り組むという姿勢が非常に重要という認識からだ。

その3)PDCAを回す
 危険源やリスク、機会を評価し、起源源の除去やリスクの低減・変更、緊急事態への備えや対応を行う。特に大事なのは、インシデントの調査や不適合のレビューを行うことでPDCAを回すことだ。

その4)安全文化の醸成
 これは非常に日本的な印象を受けるが、欧米の企業においても労働安全を重視する社風をいかに実現するかが重要だと認識しているためだ。安全文化を醸成するには、労働者だけではなく、トップマネジメントを含めて働く人が強力なして取り組むことが重要だ。

その5)トップマネジメントのリーダシップとコミットメント
 従来の労働安全は、労働災害の発生を未然に防止するための管理の規定を定め、その規定を遵守することを求めている。ISO45001ではそれに加えて、トップマネジメントが安全衛生方針を確立し、コミットすることの重要性を重視している。例えば、その中には、次のような項目がある。
  ・労働安全衛生法文化を形成し、主導し、推進する。
  ・働く人が危険源やリスクを報告する場合に、報復から擁護する。
  ・働く人の協議および参加のプロセスを確立、実施する。
  ・安全衛生委員会を設置し、機能することを支援する。

まとめ
ISO45001に関する理解度がまだ低いので、十分にポイントを整理できたかどうか不安だ。ただ、今後、ISO45001に関する対応を求めらえる人もいるかもしれない。労働災害の原因を人に求めるのではなく、仕組みに求めるというのは理解できるし、日本社会の課題かもしれない。少しでも参考になる部分があれば幸いだ。

以上

昭和恐慌からシンギュラリティ、ポリテック、そしてベーシックインカムの可能性まで

はじめに
9月9日に重機についてこのブログにアップしたときに、昭和恐慌の時には雇用対策として機械化が禁止されたことを書いた。後から考えるとなんて愚かなと思うけど、その時の政治状況ではやむを得なかったのだろう。そして、もし、今後不況が発生した場合には同様に雇用対策としてAIを禁止するなんてこともあり得るのだろうか。そんなことをもう一度考えてみたい。
hiroshi-kizaki.hatenablog.com

昭和恐慌
歴史から人類は何を学ぶのだろう。経済は恐慌と好景気を繰り返す。昭和の恐慌は1929年(昭和4年)に米国発で起きた世界的な恐慌だ。2008年(平成20年)9月に発生したリーマンショックの79年前だ。不況が発生して雇用不安が拡大したため機械化を禁止した。満州や朝鮮の開拓には機械化は続行したが、国内では雇用対策を優先した。当時日本経済の舵取りをしたのが高橋是清だ。一方、米国はニューデール政策に基づいて機械化を推進した。日本と米国の機械化に関する取り組みの違いから日本の実力が下がり、米国の実力が一気に上がったのは注目すべきだろう。
 出典:土工機械史:大正・昭和(戦前・戦中)期

第4世代の人工知能は2040年代か
人工知能のブームは過去にもあった。最初が1950年代でコンピュータへの期待から高まった。二番目が1980年代でルールベースのソフトとサーバの高性能化から盛り上がった。第五世代コンピュータの開発に約570億円の国家予算を投じた頃だ。そして現在は三番目だ。ほぼ30年周期で盛り上がるのは偶然なのだろうか。ブームが立ちがると研究者が殺到し、ブームがさると研究者のトラウマとなる。その意味ではコンピュータの性能が人類を超えるという2045年のシンギュラリティが第四のブームの時期と重なるのが興味深い。
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 出典:http://ねねねnews.com/2045年問題とは?2045年問題の対策はなにかある?

シンギュラリティ
未来学者のカーツワイルが予測した2045年の定義は、10万円ほどで入手できるコンピュータの性能が地球の全人類の頭脳の総和を超えるというものだ。集積度の観点ではコンピュータが人間の頭脳を超えるが2020年だ。第二世代はルールベースの人工知能。第三世代はそのルールを自分で生成する=機械学習人工知能だ。第四世代のキーテクノロジーはなんだろう。
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 出典:Singularity university

量子コンピュータ
量子コンピュータについては、このブログでも今年の2月に2回に分けて解説した。現在は、量子アニーリング方式が先行しているが、これが覇者となるかどうかは不明だ。量子ニューラルネット方式と量子ゲート方式が虎視眈々と狙っている。この3方式の中で唯一デジタル方式なのが、量子ゲート方式だ。日本でも理化学研究所がNTTやNEC東芝などと組んで5年後のクラウドサービスの開始を目指すと発表した。10年後に100量子ビットの集積を目指すというが、米国はすでに50量子ビットを超えている。米国よりも2桁も少ない投資金額では世界に存在感を与えるようなインパクトを残せるのかは極めて不明だ。
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 出典:hiroshi-kizaki.hatenablog.com

東京五輪後の不況
オリンピックが過ぎると不況になると予想する人が多い。問題は国内の不況ではなく、世界的な大恐慌が来るのかどうか。そして、仮に不況がきたとすると、深刻な雇用不安が拡大するだろう。そのときに、日本の政府はどのように対応するのだろう。昭和の日本のように人工知能が原因だとして、人工知能の利用を禁止するのだろうか。それは無理だろう。あるとしたら、人工知能への開発投資を縮小したり、見直したりして歳出を減らすようなことかもしれない。しかし、それは正解なのだろうか。人工知能に対する研究開発への投資を逆に拡大するようなことが英断することがその時の指導者に可能なのだろうか。安倍総理の再任が決まり、何もなければ2021年9月までだ。ポスト安倍を狙う人材がAIに対してどのような知見を有するのだろう。

小泉進次郎の動き
石破氏は地方票で全体の45%を確保したのは驚きだ。プレジデントの記事では、小泉進次郎が選挙期間中に石破と組んでいたら逆転したかもしれない。投票直前に石破指示を表明した小泉進次郎の対応は安倍陣営にとってギリギリ容認できる限界だったという。そして、自分に刃向かった人材(小泉進次郎)を内閣に取り込むことで安倍内閣の目玉とする。そんな想像が記載さている。政治の世界は、技術者には理解できない。できることは、その後の動向を注視することぐらいだ。
 出典:president.jp

ポリテック
政治にAIを活用することを小泉進次郎はポリテックと呼んでいる。ITの世界での討論会にも参加し、AIに対する高い見識を示している。ポスト安倍時代に、石破氏が総理になるのかどうかは別にして、小泉進次郎氏が構想するポリテックを進めるなら、日本の将来に明かりが見えるような気がする。しかし、AIにも光と陰がある。また、現在の機械学習にも限界がある。そのような効能と限界を理解した上で、AIを活用するシナリオを示して欲しいと思う。少なくともAIの禁止令を出すような愚行がないことを期待する。
 出典:www.youtube.com

まとめ
東京五輪の後に不況が起きても、雇用対策としてAIが禁止されるようなことはないと期待したい。高齢化や人口減少の穴を埋めるために海外からの労働者の拡大と同時に、ロボットやAIの活用が進むだろう。2045年のシンギュラリティに向かって発展するかもしれない。しかし、その後には60年に一度の大不況が発生するかもしれない。そのようなときに、日本人が幸せを感じるような日本となるには、やはりベーシックインカムのような仕組みが必要となるのではないだろうか。問題はその導入タイミングだろう。原資が問題になることも多いが、日本銀行が発行する紙幣を支給するのではなく、日本国政府が発行する政府認定通貨として、電子的に全国民に支給するような仕組みであってほしい。仮想通貨は、トラブルも多く、失望期にあるが、そのようなタイミングにこそ将来に向けての地道な検討が必要な時期だろう。

以上

イスラエルのお正月と蜂蜜の起源

はじめに
 日本でお正月というと1月だ。中国だと旧暦の正月なので1月末から2月頭だ。お仕事で打ち合わせをしていて、先方がいまお正月なのでと言い訳をする。一体どういうことかというと、イスラエルはいまがお正月だ。「そんなことは何千年も前から分かっている!」とは叱責しなかった。なぜなら私も初耳だったから(笑)。

イスラエルのお正月
イスラエルでは、ユダヤ暦のお正月をお祝いする。今年だと、9月9日から11日だ。しかも、西暦だと2018年、神武天皇即位を紀元とする皇紀だと2678年、そしてユダヤ暦ではなんと5778年。皇紀よりも3100年も古いとはすごい。

お正月の行事
イスラエルでは、単にお正月を祝うだけではなく、その後も行事が続く。これはエジプトを脱出して、聖地イスラエルにたどり着くまで40年も流浪したことを忘れないという意味もあるようだ。2015年の暦では次のようだったという。今年は5日ほど前倒しと理解すればいいのだろうか。
 2015年9月14日 新年(ユダヤ教の正月)ローシュ・ハシャナ(13日の夜に新年を祝う)
 2015年9月23日 ヨム・キプール(贖罪日)
 2015年9月28日 スコット(仮庵の祭り)
 2015年10月5日 シムハット・トーラー (トーラーを読み終える日)
 出典:https://tokuhain.arukikata.co.jp/jerusalem/2015/09/post_19.html

お正月の行事
イスラエルでのお正月の挨拶は、「シャナー・トバー(שנה טובה)」という。これは「あけましておめでとうございます」という意味だという。そして、次のような習慣がある。日本のお正月との奇妙の共通点があるように思うのは気のせいだろうか。
1) 除夜の鐘
日本ではお寺で鐘を鳴らすが、イスラエルでは、ショファー(שופר)という雄羊の角笛を鳴らして、日没を知らせる。日没が終えると新年なので、実際にはお正月である9月9日の日没後から新年を祝うことになる。
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 出典:ショファー - Wikipedia

2) おせち料理
日本のおせち料理は芸術的だ。イスラエルで正月に食べるものも、それぞれ意味を持たせているようだ。例えば、蜂蜜をつけたりんごは甘い=良い年となるという願いを込める。ざくろも子孫繁栄を願った食材だ。日本だと数の子や里芋だろうか。そして、魚や羊の頭を食べる習慣もある。これは日本でいう尾頭付きだ。頭=リーダとなるような人物になることを願って食するという。お料理がいっぱいで、もう動けなくなるぐらいまで食べるのがイスラエル流らしい(笑)。
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 出典:http://arayama.hans-huber.com/

3) 年賀状
バーモントカレーではないが、りんごと蜂蜜を描くのが一般的な年賀状だという。ユダヤ人は古来からリンゴを食していたのだろうか。そういえば、アダムとイブでもリンゴが出てくる。蜂蜜との関わりも古代からだ。ユダヤ教徒のローシュ・ハ・シャナー(年賀状)は、ティシュレー月の1月だけでなく、エルール月の12月末から送られる。新年の挨拶はヘブライ語で「良い年」を意味する「シャナー・トバー(שנה טובה)」だという。
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 出典:https://jp.123rf.com/

蜂蜜の起源
大好きなWikiで調べてみると、日本語のWikiには記載はないが、英語のWikiには蜂蜜の起源について説明があり、少なくとも8000年前には蜂蜜のために狩りを始めたようだ。スペインのバレンシアの洞窟の絵が残っている。野生のハチの巣からハチミツとハニカムを収集しているハニーハンターを描いている。バスケットやひょうたんを運び、野生の巣に達するためのはしごや一連のロープを使用している。古代では砂糖がないため、ギリシャ時代やローマ時代の甘味成分として貴重だったようだ。
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 出典:Honey - Wikipedia

まとめ
イスラエルの正月がまさか9月とは思わなかった。それよりもちゃんと連絡をとって納期に間に合わせてくれ!(涙)

以上

労働安全衛生法:溶接を考える。

はじめに
溶接という言葉を聞いたことがあるでしょうか?一般的にはあまり馴染みのない言葉からもしれない。工場などで鉄と鉄をつなぐ作業をしているのが溶接だ。

本田技研鈴鹿工場でのアルバイト
学生時代に夏休みにアルバイトをしようと考えていた頃に鈴鹿工場でのバイト募集があった。説明会に参加すると交通費が支給された。これはいいかもと応募して、3週間ほど勤務した。そのお金で北海道に旅行するつもりだったが、結局は自動車の普通免許の取得費用に消えてしまった。工場では、昼間勤務と夜間勤務を1週間交代で行う。最初にアンケートがあり、つい「頑健」を選んでしまった。一緒に応募した友達は「病弱」を選んでいた。配属先は、当時のアコードの溶接あとを削る作業だった。結構きつかった。何がきついかと言うと体勢が不安定なこともあるが、火花が飛ぶので目がやられる。制服の隙間に火花が入り込んで軽い火傷になる。そして、何よりも騒音がうるさい。後年、左耳が突発性難聴になって高音が聞こえなくなったが、この時に痛めたような気がしないでもない。まあ、しかし現在ではそんな作業は全てロボットがやってくれる。
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 出典:https://jp.123rf.com/

アーク放電
アーク放電(electric arc)とは、電極に電位差を与え、電極間の気体が絶縁破壊することで通電する現象だ。雷なども同じ原理だ。そして、アーク放電が起きるときには、高温と閃光が発生する。それは、気体分子がイオン化し、プラズマを生み出すためだ。
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 出典:電弧 - Wikipedia

オーロラ
北極とか南極に行くと天空にオーロラ(aurora)を見ることがある。なんとも神秘的だ。英語のWikiによるとオーロラは、女神の名前に由来するが、紀元前4世紀のギリシャの探検家ピテアスによる記述が残っていたり、北欧神話にもあるという。近代に入って両極にトライした探検家の伝聞から広く知られるようになった。その原理はプラズマとなった太陽数が地球の磁力線に引っ張られて大気の酸素原子や窒素原子を励起して発光するようだ。
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 出典:オーロラ - Wikipedia

鍛造とアーク溶接
鍛造(forging)とは、金属をハンマーでなんどもなんども叩いて強度を高める手法だ。日本刀を作るときの様子を思い浮かべればイメージできるだろう。この鍛造の手法は、青銅器時代鉄器時代に始まるという。しかし、アーク溶接が始まるのは1800年代になってからだ。イギリスの化学者であるサー・ハンフリー・デービー準男爵(1778年12月17日-1829年5月29日)は、1800年に短パルスの電気アークを発見したことがきっかけで研究・開発が進む。ロシアの発明家ニコライ(Nikolay Nikolayevich Benardos、1842-1905)は、1881年にカーボンアーク溶接を発明した。フランスの発明家アウグストも、カーボンアークを同じ年に発明している。1900年には被覆溶接が発明される。
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 出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/69/8/69_8_971/_pdf

被覆アース溶接
溶接の手法で作業が全て作業で行われるため手溶接とか、手棒溶接ともいう。金属の棒を電極として、母材との間にアークを発生させ、その時に発生する高温で母材を溶かせて、金属を溶接させるものだ。風に強いため、屋外で使う溶接として活用されている。構造が簡単なため広く使われている。
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 出典:被覆アーク溶接 - Wikipedia

溶接の接合形態
溶接は、複数の部材の接合部に熱や圧力などを加えて、一つの部材にする手法だ。その方法には、融接、圧接、ろう接の3種類がある。融接は、接合部を加熱して接合するものでアーク溶接は代表例だ。圧接は、接合部に熱を加えながら圧力を加えて接合する。ろう接は、融点の低いろう材を用いて複数の接合材を溶融するものでハンダ付けが代表例だろう。
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 出典:https://www.ipros.jp/technote/basic-welding1/

アーク溶接とは
アーク溶接とは、先にも書いたように、アーク放電の熱で金属材料を溶融する方法だ。5000~6000Kと非常に高熱である。大気中で金属を溶融すると大気中の酸素や窒素が溶融金属に溶ける。これを防ぐために、被覆材や不活性ガスを用いる。被覆アーク溶接は、金属芯線に有機物や無機物、脱酸剤などの被覆材を塗布することで溶融酸化物(スラグ)層を形成させる。他にも、サブマージアーク溶接や不活性ガスアーク溶接などの手法がある。
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 出典:アーク溶接(アークようせつ)とは - コトバンク

アセチレン溶接とは
アセチレン溶接とは、酸素アセチレン溶接(oxyacetylene welding)とも言い、酸素とアセチレンの混合ガスを用いて母材の接合部を溶かして融合させるガス溶接の一種である。高圧酸素とを混合して点火し、その3000度にもなる火炎で金属溶接や切断を行う方法だ。
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 出典:アセチレン貯蔵及び消費時の注意事項

アセチレン溶接とアーク溶接に関する労働安全規則での規定
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アセチレン溶接に関する付随規定
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交流アーク溶接に関する付随規定
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アーク溶接の労働安全
労働安全に話を戻す。Wikiには良くまとまっていたので、以下に引用する。
1) 労働安全:アーク溶接は強烈な紫外線を発生する。その強さは、アークから50cm離れた皮膚に数秒間アーク光を曝しただけで炎症を起こすほどであり、日光の比ではない。長時間アーク光に曝した場合、火傷、水ぶくれ、シミなどの症状が発生する。何度も至近距離で強烈なアーク光に皮膚を曝すと最悪皮膚癌に至る場合もある。通常、溶接の光では日焼けと同じような炎症を起こし皮が剥けるものの、小麦色の肌にはならない(しかしシミはできる)。裸眼でアーク光を見た場合、電光性眼炎(電眼炎)という目の炎症を起こす。何度も電光性眼炎になると視力の低下や最悪の場合失明に至る。また金属ヒュームという酸化鉄からなる煙を発生し、大量に吸った場合、金属ヒューム熱やじん肺などの深刻な病気の原因となる。ヒュームには一酸化炭素やオゾンも混ざっており、換気には十分注意しなければならない。
2) 防護装備:強力な紫外線を避けるため、アーク溶接作業には長袖、長ズボンの作業服、溶接面、皮手袋が必須である。さらに、ヒュームを避けるために防塵マスクが必須である。また必要に応じて安全靴、スパッツ(足カバー)、厚手の耐熱エプロン、ヘルメット、ゴーグルなどを着用しなければならない。さらに場合によってはワセリンや熱焼け防止クリームなどの表皮保護剤(ゲル状クリーム状の物が望ましい)を顔面や頸胸部周囲などに事前塗布しておく事が望ましい。また、溶接作業者の更衣室、休憩室などには衣服に付いた粉塵を吸い取る装置や、空気清浄器などを設置することが望ましい。
3) 従事者資格:日本では労働安全衛生法の規定により、事業主は従業員をアーク溶接に従事させるにはアーク溶接作業者の特別教育を受けさせなければならない。

特別教育
労働安全衛生法の39条には、特別教育として受講すべき業務が列挙されている。これを全部覚えるのは正直厳しい。今回のテーマの溶接は3番目に記載されている。
1 研削といしの取替え等の業務に係る特別教育(機械研削用といし)、自由研削用といしの取替え等の業務に係る特別教育(自由研削用といし)
2 動力プレスの金型等の取付け、取外し又は調整の業務に係る特別教育
3 アーク溶接等の業務に係る特別教育
4 電気取扱の業務に係る特別教育(高圧又は特別高圧)、低圧の充電電路の敷設等の業務に係る特別教育(低圧)
フォークリフトの運転の業務に係る特別教育(最大荷重1トン未満)
5-2 ショベルローダー等の運転の業務に係る特別教育(最大荷重1トン未満)
5-3 不整地運搬車の運転の業務に係る特別教育(最大積載量1トン未満)
6 揚貨装置の運転の業務に係る特別教育(制限荷重5トン未満)
7 機械集材装置の運転の業務に係る特別教育
8 伐木等の業務に係る特別教育(胸高直径70cm以上の立ち木の伐木、胸高直径20cm以上で、かつ重心が著しく偏している立ち木の伐木、つりきりその他特殊な方法による伐木又はかかり木でかかっている木の胸高直径が20cm以上であるもの)
8-2 伐木等の業務に係る特別教育(チェーンソーを用いて胸高直径70cm未満の立ち木の伐木、かかり木でかかっている木の胸高直径が20cm未満であるもの)
9 小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育(機体質量3トン未満)、小型車両系建設機械(基礎工事用)の運転の業務に係る特別教育(機体重量3トン未満)、小型車両系建設機械(解体用)の運転の業務に係る特別教育(機体重量3トン未満)
9-2 基礎工事用建設機械の運転の業務に係る特別教育(非自走式のみ)
9-3 車両系建設機械(基礎工事用)の作業装置の操作の業務に係る特別教育
10 ローラーの運転の業務に係る特別教育
10-2 車両系建設機械(コンクリート打設用)の作業装置の操作の業務に係る特別教育
10-3 ボーリングマシンの運転の業務に係る特別教育
10-4 ジャッキ式つり上げ機械の調整又は運転の業務に係る特別教育
10-5 高所作業車の運転の業務に係る特別教育(作業床の高さが10メートル未満のもの)
11 巻上げ機の運転の業務に係る特別教育
12(削除)
13 軌道装置の動力車の運転の業務に係る特別教育
14 小型ボイラー取扱業務特別教育
15 クレーンの運転の業務に係る特別教育(つり上げ荷重5トン未満。ただし、跨線テルハはつり上げ荷重5トン以上)
16 移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育(つり上げ荷重1トン未満)
17 デリックの運転の業務に係る特別教育(つり上げ荷重5トン未満)
18 建設用リフトの運転の業務に係る特別教育
19 玉掛けの業務に係る特別教育(つり上げ荷重1トン未満のクレーン等にかかわる作業)
20 ゴンドラの操作の業務に係る特別教育
20-2 作業室及び気閘室へ送気するための空気圧縮機を運転の業務に係る特別教育
21 高圧室内作業に係る作業室への送気の調節を行うためのバルブ又はコツクの操作の業務に係る特別教育
22 気閘室への送気又は気閘室からの排気の調整を行うためのバルブ又はコツクを操作の業務に係る特別教育
23 潜水作業者への送気の調節を行うためのバルブ又はコツクの操作の業務に係る特別教育
24 再圧室の操作の業務に係る特別教育
24-2 高圧室内作業の業務に係る特別教育
25 四アルキル鉛等の業務に係る特別教育
26 酸素欠乏危険作業の業務に係る特別教育
27 特殊化学設備の取扱い、整備及び修理の業務に係る特別教育
28 エツクス線装置又はガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務に係る特別教育
28-2 加工施設、再処理施設又は使用施設等の管理区域内において核燃料物質若しくは使用済燃料又はこれらによつて汚染された物の取扱いの業務に係る特別教育(加工施設、再処理施設、使用施設等の管理区域内)
28-3 原子炉施設の管理区域内において、核燃料物質若しくは使用済燃料又はこれらによつて汚染された物の取扱いの業務に係る特別教育(原子力施設の管理内)
29 粉じん作業に係る特別教育
30 ずい道等の掘削、覆工等の業務に係る特別教育
31 産業用ロボツトの教示等の業務に係る特別教育
32 産業用ロボツトの検査等の業務に係る特別教育
33 自動車用タイヤの組立てに係る業務のうち、空気圧縮機を用いて当該タイヤの空気の充てんの業務に係る特別教育
34 廃棄物の焼却施設に関する業務に係る特別教育(廃棄物焼却炉を有する廃棄物の焼却施設においてばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う)
35 廃棄物の焼却施設に関する業務に係る特別教育(廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等)
36 廃棄物の焼却施設に関する業務に係る特別教育(廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体等、これに伴うばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う)
37 石綿等が使用されている建築物又は工作物の解体等の作業に係る特別教育
38 東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る特別教育
39 足場の組立て、解体又は変更の作業(地上又は堅固な床上における補助作業の業務を除く)に係る特別教育
40 ロープ高所作業に係る業務に係る特別教育

まとめ
溶接についての知識を少し深掘りしてみた。労働安全コンサルタント試験では交流アーク溶接についての出題が目立つが、もしかしたら今年ぐらいはアセチレン溶接に関する出題があるかもしれない。それにしても出題範囲が広いし、覚えたつもりでも一晩寝るとすっかり忘れている。先が長い(涙)。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。今回は引用が多くてすいません。

第369回ITU-R研究会:5Gの実証実験の状況報告

はじめに
日本ITU協会が主催するITU-R研究会に参加した。今回は、標題の通り5Gに関するものだった。2020年のサービス開始に向けて、2017年から2019年の3年間で5Gの実証実験を進めることになっており、様々な話が聞けて貴重だった。

講演1
国際電気通信基礎技術研究所(ATR)適応コミュニケーション研究所の山田雅也担当部長より、5Gの屋内環境における実証試験について話があった。下の表は昨年5月に総務省が発表した実証実験の予定だ。基本、この内容で実証実験が進められている。
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 出典:総務省報道発表(2017年5月16日)

ATRが進める実証実験(その1:沖縄スタジアムの実証実験)
これはKDDIと連携して実施している実証実験だ。YouTubeにもアップされている。自由視点映像と呼ばれる技術を活用している。これは複数の地点から撮影した映像を合成し、ユーザが操作するタブレットで自由な角度からの映像を合成して再生するものだ。講演2でも説明があったが、実映像とタブレット上の映像との時間差は約0.5秒だという。従来は、多数のカメラで撮影したものをから近いものを再生していたが、今回の自由視点映像は、4台のカメラからの映像から擬似的に任意の場所、角度の動画をリアルタイムに合成するのが新規性でワクワクするところだ。
www.youtube.com
 出典:http://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2018/03/26/3034.html

28GHzの直進性と反射波の影響
ATRの測定結果としては、「伝搬損失モデル式=alog(d) + b」で、aが18.9、bが62.6だ。距離(m)が伸びると伝播損失(dB)が増大するという図式にほぼ当てはまることが確認された。しかし、問題は反射波だ。基地局の設置場所を適切に設定しないと反射波の影響が大きいことが確認された。ポイントはこの反射波を干渉波として除去するのか、それともなんらかの加工をして信号波として活用するのか。この辺りが無線技術として最も前進しないといけない部分だ。
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ATRが進める実証実験(その2:京浜急行電鉄羽田空港国際ターミナル駅
2017年度には4カメラを活用した映像監視アプリケーションの基本評価を行った。今後は、5Gと4Kカメラを組み合わせて高精細の映像監視実験を行う。4Kは従来の2Kカメラよりも、2倍程度遠方の人物検出ができることが確認された。今後は人物だけではなく、刃物等の危険物の検出にもトライするという。下の図は講演とは関係ありません。イメージ図です。
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 出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000022558.html

ATRが進める実証実験(その3:小学校環境を想定した基礎評価)
小学校4年生の2クラス(1クラス36名)を対象に動画の一斉ストリーミングとアップロードのトライアル。授業の一環として先生が用意した映像を生徒に配布したタブレット(iPad)で視聴するだけならそれほど目新しいものではない。今回トライしたのは、生徒が作成した映像をアップして、授業の中で生徒と共有するものだ。生徒には予め1分程度の動画を用意させて、それを共有する試みだ。しかし、生徒によって動画時間のばらつきが大きく、短い生徒は0.6分(36秒)、長い生徒では6.5分(約400MB)だ。今回はまず4Gでのトライアルだ。ストリーミング配信は問題ないが、生徒の動画をアップしようとすると、上りが20Mbps程度なので授業中に行うのは厳しい結果だ。先生からは動画のアップを1分以内に完了するべきという声が多かった。今後、5Gでの実証実験でこれをクリアするかどうかが期待される。
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 出典:https://news.mynavi.jp/article/20180412-615353/

講演2
KDDIのモバイル技術本部次世代ネットワーク開発部5G技術推進グループの渡里雅史グループリーダより、5Gにより実現する世界、ワクワク体験というタイトルで講演があった。下の図はモバイルシステムの進化のイメージ図だ。講演資料からではない。
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 出典:http://taiga8823.com

KDDIが進める実証実験(その1:異なる周波数を適正に組み合わせる)
制御信号(C-plane)とユーザ信号(U-plane)を分離することをC/U分離という。講師の渡里さんはさらっと説明したが、個人的には必然的に重要な技術であると考えている。つまり5Gになると6GHzや28GHzなどの高い周波数帯を使うことになる。高周波は利用帯域が広いため、伝送速度を高めることができる反面、そのエリアが狭くなる。ユーザ信号として28GHz帯を使うのは良いとしてもこれを制御信号に使うと圏外になった時に制御不能となる。制御信号では、速度を求められないが、確実で粘り強いエリア特性が重要なので、6GHz未満の周波数を活用する。常に制御可能な状態とすることで、通信を行う瞬間に最適な電波を捕捉するように指示することができる。
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 出典:A novel architecture for LTE-B :C-plane/U-plane split and Phantom Cell concept - Semantic Scholar

KDDIが進める実証実験(その2:ユースケースに応じた周波数の使い分け)
5Gを利用する場合にも、1Gbps程度とかそれ未満で十分なケースと5Gbpsとか10Gbpsといった高速通信が必要なケース、遅延が多少にあっても良いケースとできるだけ低遅延が必要なケース、それほど大量の端末が繋がらないケースと大量の端末が例えば特定のスタジアムなどに集中するケースなどがある。そして、それぞれのユースケースで通信サービスに求める要求条件が異なる。これらの全てを全てのユースケースで実現することは5Gでも厳しい。そのため、5Gではスライシングというコンセプトが有効だ。つまり、速度を求める人のためのネットワーク、低遅延を求める人のためのネットワークというように、ネットワークを分離し、それぞれで適切に運用する考え方だ。
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 出典:What is 5G Network Slicing? A Definition — SDxCentral.com

KDDIが進める実証実験(その3:ビームフォーミングとトラッキング
JR東日本と共同で5Gを用いた走行列車での8K/4K映像伝送実験に、KDDIは2017年10月に世界で初めて成功した。ほぼ1年前の実験だが走行中に最大1.7Gbpsのスループットを達成たい。これを実現するために約1.5kmの鉄道区間に5Gのエリアを整備して時速約100kmで走行する列車との連続ハンドオーバにも成功している。しかし、問題は車両の位置によって受信波の品質が異なる点だ。28GHzの電波の電波伝搬損失は先にも述べたようにほぼ距離に依存するが、問題は車両のドアとか、窓とか、座席などとのロケーションに依存する点だ。
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 出典:https://www.jreast.co.jp/press/2017/20170915.pdf

KDDIが進める実証実験(その4:世界初192km/hで28GHz帯のハンドオーバーに成功)
サムスンとの共同実験だが、昨年8月に時速192kmで走行する車両との5G通信およびハンドオーバに成功している。ただ、今年の5月に走行試験場において、時速300km超でのハンドオーバーにDoCoMoが成功している。つまり、今後5Gのエリアが整備されていけば、車両に積んだドライブレコーダの映像をリアルタイムに遠隔地で見るようなことが可能だ。F1レースの鑑賞中にF1レーサーのドライバーの目に映る映像を体感することも可能かもしれない(笑)。
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 出典:https://www.youtube.com/watch?time_continue=5&v=yS08jKYKdq8

KDDIが進める実証実験(その5:5Gドローンを用いた4K映像のリアルタイム伝送に成功)
東大柏キャンパスに28GHzの5G実験エリアを整備し、2018年6月8日に上空約150mのドローンからの4映像の伝送を行い、タブレットにリアルタイム伝送した。これは5G端末設備が軽くなってきたのでできたことだ。ドローンの飛行に対する制約をクリアすれば、4K/8Kからの映像を遠隔で見ることが可能ということだ。
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 出典:http://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2018/06/14/3202.html

KDDIが進める実証実験(その6:国内初!4K3Dモニターを活用した建機の遠隔施工に成功)
建機の操作を遠隔で行うことは目新しくないが、それを4K動画で行い、かつ奥行きも判別できる3D映像を活用した点が国内初のポイントだ。従来のWi-Fi利用だと276秒かかったものが、5Gだと177秒と35%も生産性が向上した。今後は、例えば作業の指揮者の目線からのカメラも追加すれば、指揮者の配置も不要となるのだろうか。法律問題の対応は時間がかかるかもしれない。
 出典:www.youtube.com

KDDIが進める実証実験(その7:遠隔操作ロボットによるテレイグジスタンス)
「テレイグジスタンス」(Telexistence)とは、遠隔臨場感とか、遠隔存在感を意味する。このテレイグジスタンスを「瞬間移動」と読んでいる。いわばドラえもんの「どこでもドア」だ。つまり、まず手袋のような触感センサーを指にはめてVRグーグルのようなヘッドセットをつけて、自分とロボットを同期させる。自分が動くとそのままの動作でロボットも動く。ロボットがコップを持つと、その感触を自分が感じられる。コップに入ったビー玉を別のコップに移そうとすると、その音や感触を感じられる。このロボットを行きたい観光地にセットすれば、その観光地に旅行したような不思議な感覚をえる。通信が可能なら宇宙旅行だって可能だ。危険な工事なども安全・安心だ。
 出典:www.youtube.com

まとめ
最後の「瞬間移動」が可能なテレイグジスタンスは衝撃的だ。ネーミングがいまいちだが、視覚や聴覚、触覚だけでなく、嗅覚や味覚などの分野でも研究が進んでいるという。VRやARの技術は今がターニングポイントなのかもしれない。あと数十年すると、ARやMRで旅行することが普通になるのだろうか。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。 

社会問題:膨張主義と保護主義

はじめに
9月16日(日)午後3時半からBSジャパンで「池上彰の戦争を考えるSP第10弾」の番組が放送されていた。なんとなく気になって録画したものを視聴した。終戦に向けての御前会議の状況や当時の総理大臣であった鈴木貫太郎に寄り添った報道をしていた。なぜ、日本が太平洋戦争に突入したのかは、学校の教科書や日常の報道などではなかなか理解できない。理解できないという意味では、なぜ豊臣秀吉が当時の朝鮮に出兵したのかも理解できる説明を受けることが少ない。非常に重い問題だし、簡単に答えが出るものではないけど、少なくとも悪意を持って戦争を開始したものではないと理解したいが、国外に撃って出る膨脹主義と鎖国を代表とする保護主義はなぜ繰り返されるのだろうか。

終戦にあたっての昭和天皇勅語
いわゆる玉音放送が流されたのは1945年(昭和20年)8月15日の正午だ。わずか73年前のことだがやはり普通の現代人にとっては難解だ。
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昭和天皇勅語の現代語訳
ネットで調べるとHUFFPOSTが現代訳を掲載していた。これなら理解できる。
私は、世界の情勢と日本の現状を深く考え、緊急の方法でこの事態を収拾しようとし、忠実なるあなた方臣民に告げる。私は政府に対し、「アメリカ、イギリス、中国、ソ連の4カ国に、共同宣言(ポツダム宣言)を受け入れる旨を伝えよ」と指示した。そもそも日本臣民が平穏に暮らし、世界が栄え、その喜びを共有することは、歴代天皇の遺した教えで、私も常にその考えを持ち続けてきた。アメリカとイギリスに宣戦布告した理由も、日本の自立と東アジアの安定平和を願うからであり、他国の主権を排して、領土を侵すようなことは、もとより私の意志ではない。だが、戦争はすでに4年も続き、我が陸海軍の将兵は勇敢に戦い、多くの役人たちも職務に励み、一億臣民も努力し、それぞれが最善を尽くしたが、戦局は必ずしも好転せず、世界情勢もまた日本に不利である。それだけでなく、敵は新たに残虐な爆弾を使用して、罪のない人々を殺傷し、その惨害が及ぶ範囲は測り知れない。なおも戦争を続ければ、我が民族の滅亡を招くだけでなく、ひいては人類の文明をも破壊してしまうだろう。そのようなことになれば、私はどうして我が子のような臣民を守り、歴代天皇の霊に謝罪できようか。これが、共同宣言に応じるよう政府に指示した理由だ。私は、アジアの解放のため日本に協力した友好諸国に対し、遺憾の意を表明せざるをえない。日本臣民も、戦死したり、職場で殉職したり、不幸な運命で命を落とした人、またその遺族のことを考えると、悲しみで身も心も引き裂かれる思いだ。また、戦争で傷を負い、戦禍を被り、家や仕事を失った者の生活も、とても心を痛めている。これから日本はとてつもない苦難を受けるだろう。臣民みなの気持ちも、私はよくわかっている。けれども私は、時の運命に導かれるまま、耐え難いことにも耐え、我慢ならないことも我慢して、未来のために平和を実現するため、道を開いていきたい。私はここに国体を護ることができ、忠実な臣民の真心に信じ、常に臣民とともにある。もし、感情のままに争いごとや問題を起こしたり、仲間同士が互いを陥れたり、時局を混乱させたりして、道を誤り、世界の信用を失うようなことになれば、それは私が最も戒めたいことだ。国を挙げて家族のように一致団結し、この国を子孫に受け継ぎ、神国(日本)の不滅を固く信じ、国の再生と繁栄の責任は重く、その道のりは遠いことを心に留め、持てる総ての力を将来の建設に傾け、道義心を大切にし、志を固く守り、国の真価を発揮し、世界の流れから遅れないよう努力しなければならない。あなた方臣民は、これが私の意志だとよく理解して行動してほしい。
 出典:玉音放送を現代語にすると...「耐え難いことにも耐え、我慢ならないことも我慢して...」【終戦の日】

開戦の理由
玉音放送といえば「耐え難きを耐え」ばかりが有名だが、開戦の理由もここに述べられていた。「アメリカとイギリスに宣戦布告した理由も、日本の自立と東アジアの安定平和を願うからであり、他国の主権を排して、領土を侵すようなことは、もとより私の意志ではない。」というところだ。つまり、当時のアジアは、フランスやポルトガル、スペイン、イギリスの植民地とされ、独立国は日本国とタイのみだった。開戦しなければ、日本も植民地化されるという危機感があったのではないか。また、植民地化されたアジア諸国の独立と平和のために立ち上がったのだろうか。この辺りのことは諸説あり、判断が難しい。

初めての海外出張
会社に入って初めての海外出張は1985年で、アルブフェイラというポルトガル南部の港町だ。アラビア語で「海上の城」を意味し、イスラム支配時代には城塞が築かれた。アルガルベ地方を代表する海岸保養地だ。当時の国際通信は海底ケーブルと衛星通信だ。そして、衛星通信を運用するのがインテルサットだ。その衛星は大西洋をカバーするものと、インド洋をカバーするものと、太平洋をカバーするものの3種類だった。日本がアクセスできるのは太平洋衛星とインド洋衛星だ。そして、その運用者会議が毎年行われる。太平洋衛星とインド洋衛星の運用方針を決めるOR(Operation Representative)会議には運用を統括する本部長もしくは部長が参加する。大西洋衛星のOR会議には部長もしくは当時の課長が参加していたが、都合が悪く、当時の係長も都合が悪く、なぜか平社員の自分に白羽の矢が立った。衛星のことなど全く知らないのに、「何もないから」と言われて出席した。流石に過去の会議資料などを精査して、わからない用語を必死に勉強した。詳細は割愛するが、その時に感じたことは世の中の重要なことは欧米で決まるということだ。欧米と言っても、一枚岩ではない。ゲルマン系とラテン系はやはり意見が異なる。もしくは北米勢力と欧州勢力の意見がぶつかり合う。そんな時に東アジアから唯一参加した20代の若者だった自分は非常に貴重な経験をさせてもらった。そして、その時に感じたことはやはりアジアの力を集結するべきということだった。
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大東亜構想
大東亜構想の是非はここでは議論したくない。大東亜戦争を始めたことが良いはずはない。しかし、「アジアの国々が独立し、東アジアの安定平和」を図ろうとする意思は悪いことではなかったはずだ。「動機善なりや」だ。Wikiによれば、大東亜共栄圏は、「ドイツ国の生存圏(Lebensraum)理論の影響を受けて、「共栄圏」の用語は外相松岡洋右に由来する。日本が指導者として欧米勢力をアジアから排斥し、日本・中華民国満州を中軸とし、フランス領インドシナタイ王国イギリス領マラヤ、英領北ボルネオ、オランダ領東インド、イギリス統治下のビルマ、オーストラリア、ニュージーランドイギリス領インド帝国を含む広域の政治的・経済的な共存共栄を図る政策だった。」とある。先述した通り日本とタイ以外は全てどこかの国の植民地だったという時代背景も理解すべきだろう。

ドイツの生存圏(Lebensraum)理論
ドイツがなぜ英仏と戦ったのかも不思議だった。本当の理由はわからないけど、この生存圏という考え方はキーワードかもしれないと感じた。生存圏とは、国が生存するための地域だ。英仏蘭等の先行国はアジアやオセアニアの諸国を植民地化して領土を広げたが、ドイツは領土を広げるのに後塵を配した。それを挽回するためにいわゆる東欧に活路を見出そうとして頓挫した。駐日ドイツ大使館のカール・ハウスホーファー駐在武官は、日本が韓国併合したことを膨張主義の成功例として注目したという。アドルフ・ヒトラーもこの膨張主義に活路を見出そうとして暴走してしまったのだろうか。

江戸時代の鎖国
国内に話を戻す。鎖国と開国は、NHK大河ドラマの題材になることが多い。しかし、なぜ日本が鎖国に突入したのかを納得できるような説明もまたあまり聞いたことがない。Wikiによると、「鎖国とは、江戸幕府が、キリスト教国(スペインとポルトガル)の人の来航、及び日本人の東南アジア方面への出入国を禁止し、貿易を管理・統制・制限した対外政策であり、ならびに、そこから生まれた日本の孤立状態及び、日本を中心とした経済圏を指す。」とある。また、「1639年(寛永16年)の南蛮船入港禁止から、1854年嘉永7年)の日米和親条約締結までの期間を「鎖国」と呼ぶ。」とある。この頃の日本は実は軍事大国だったという説がある。軍事大国だったからこそ、他国も日本の鎖国制度に従わざるを得なかった。また、鎖国して保護主義に徹したからこそ、日本は欧州列強国の植民地とならなかったのではないか。

キリスト教の禁止令
日本は多神教だ。仏教も神道キリスト教も受け入れてきた。キリスト教の禁止令をWikiで調べると、「日本で1612年(慶長17年)及び翌1613年に江戸幕府が出したキリスト教を禁ずる法令を指す。」とある。そしてキリスト教の禁止令を出した1612年の27年後に当たる1639年に鎖国する。キリスト教の禁止令を出すだけでは欧米列国からの攻撃に対抗できないと判断したのではないか。キリスト教一神教だ。また、江戸時代の宣教師は、純粋にキリスト教の布教のみを目的とするものではなかったようだ。まず宗教を布教し、信者を増やし、内乱を起こし、植民地にする。そのための尖兵部隊であることを江戸幕府は見抜いたのではないか。

バテレン追放令
時代をさらに遡ると豊臣秀吉バテレン追放令が1587年7月24日(天正15年6月19日)に発令されている。キリスト教の禁止令の25年前だ。
秀吉はイエズス会に対して「予は日本のいかなる地にも汝らが留まることを欲しない。ここ二十日以内に、日本中に分散している者どもを集合せしめ、日本の全諸国より退去せよ」と命じて、「伴天連追放令」と呼ばれる布告を出している。なぜ追放したのかには諸説があるが、有力なものは次の2点だ。
1) 大量の日本人が奴隷として海外に売り飛ばされていることに激怒した。
2) キリシタンが大量の神社仏閣など日本古来からの宗教施設を破壊した。
イエズス会は、キリスト教の布教を許すということは、一神教を認めるということであり、他の宗教の偶像崇拝を否定するのは当然のことだと居直ったような返信をしたことも秀吉を激怒させた要因だと言われている。
shibayan1954.blog101.fc2.com

火薬1樽女性50人
これも本当の話なのだろうか。1542年に種子島に鉄砲の伝来から1年後には日本人は鉄砲を模倣して、製造する技術を持っていた。しかし、火薬の原料となる硝石がないため、火薬を作れなかった。なぜ硝石がなかったのかといえば、その原料となる硝酸カリウムは水溶性なので乾燥地で算出される。日本では雨が多く多湿なので土に溶ける。このため、火薬を輸入するために日本女性が大量に奴隷として売り飛ばされたという。秀吉がバテレン追放令を出したことの理由の一つはこれに激怒したという説もある。
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 出典:「火薬一樽につき日本娘50人」キリスト教徒は日本の女を奴隷として50万人も海外に売り飛ばしていた - るいネット

白川郷と硝石
名古屋に単身赴任したときに白川郷には2回ほど訪問した。そのときに驚いたのは白川郷が山村にある割にその家屋の内装が豪華なことだ。一体その収入源はなんだったのかと疑問を感じた。調べると、収入源は「養蚕」と「煙硝」だった。養蚕は表の収入であり、煙硝は裏の収入だ。囲炉裏の熱を利用し、屋根裏で蚕を飼う。そして、床下に巨大な穴を掘って塩硝を生産する。江戸時代には、当時の加賀藩江戸幕府には隠密で火薬を備蓄した。そして、白川郷は火薬の原料を加賀藩に供給して加賀米と交換したようだ。合掌作りの床下に縦横4m、深さ2mの土穴を掘り、そこに稗枝を敷き、その上に交互に蚕の糞やヨモギ・キツネウドなどの山草を20㎝ほど重ねてそれを年に1~3回まぜあわせる。 そこに糞尿をかけると5年目に煙硝土が出来る。煙硝土を桶に入れ、煮詰める。 何回も煮詰めると煙硝の結晶ができる。これを20日ほど天日に干して乾燥させて製造する。大変な手間と時間がかかるが、それが白川郷の裏の収入となって繁栄したのは興味深い。
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 出典:合掌造りのご紹介|白川郷・五箇山観光ツアー・旅行|クラブツーリズム

朝鮮出兵
話を秀吉の時代に戻そう。なぜ秀吉が朝鮮出兵を決断したのか、その理由がよくわからない。豊臣秀吉がなぜ朝鮮に出兵したのか。その発想はのちの韓国併合に通ずるような気がする。西欧諸国はアジア諸国を植民地にしており、このまま放置すると日本まで植民地にされてしまうという危機感があったのではないだろうか。例えば、宣教師フライ・ルイス・ソテロはスペイン国王に「日本への軍事侵略は不可能」という報告をしているという。逆にいえば、日本を侵略しろという命を宣教師は受けて赴任していたということだ。確かに、遠いヨーロッパから日本に軍隊を送り込むのは大変だし、内戦になると日本は手強い。そのように判断したようだ。しかし、そこで諦めたわけではなく、日本を取り込んで当時の唐国を攻めさせる戦略と、逆に唐国を取り込んで日本を攻めさせるという戦略があったのではないか。どちらにしても漁夫の利を得るのはバテレンという作戦だったのかもしれない。『日本西教史』によると、秀吉はイエズス会準管区長ガスパール・コエリョに対して、「国内平定後は日本を弟秀長に譲り、唐国の征服に移るつもりであるから、そのために新たに2,000隻の船の建造させるとしたうえで、堅固なポルトガルの大型軍艦を2隻欲しいから、売却を斡旋してくれまいかと依頼した。」という。イエズス会ルイス・フロイスの記録『日本史』には、『伴天連追放令』を出す直前に秀吉が家臣や貴族たちに対して、「伴天連らは、高度な知識を根拠とし、異なった方法によって、日本の大身、貴族、名士を獲得しようとして活動している。彼ら相互の団結力は、一向宗のそれよりも鞏固である。このいとも狡猾な手段こそは、日本の諸国を占領し、全国を征服せんとするものであることは微塵だに疑問の余地を残さぬ。」(中公文庫『完訳フロイス日本史4』)と述べたという。宣教師が日本を占領する目的で来ていることを秀吉が認識していた証左だろう。
 出典:フィリピンを征服したスペインに降伏勧告状を突き付けた豊臣秀吉 | しばやんの日々

朝鮮出兵に関するWikiの韓国語版の記述
Wikiは多言語だ。朝鮮出兵を韓国語のWikiではどのように記述しているのだろうか。最近は韓国語も簡単に日本語に翻訳できるのでトライしたら変な日本語になる(涙)。日本語として読みやすくなるように少し加筆修正した。裏取引部分を詳しく説明しているのが興味深い。
1549年8月15日、日本の第一歩を踏み出したイエズス会フランシスコ・ザビエル一行は薩摩島津のおもてなしを受ける。火縄銃などをプレゼントして、京都で宣教許諾を受ける。その後、日本でカトリック教勢は爆発的に成長した。1587年、秀吉は教会の敷地を提供した。1589年5月に秀吉はイエズス会の司祭ガスパールコエーリョ(Gaspar Coelho)を呼んで密かに中国と朝鮮の侵攻のために自分の構想を明らかにした。もし朝鮮と中国の征服に成功したら、朝鮮と中国に教会を建て宣教師に協力すると言った。コエーリョは秀吉の計画に賛成するだけでなく、自分の影響力の下にあるキリシタン大名を動かし積極的に協力すると提案した。イエズス会の提案どおりに小西行長などキリシタン大名壬辰倭乱が勃発最前に先頭に立って、朝鮮軍と戦う。しかし、イエズス会の提案は、反対された。秀吉はキリシタン大名イエズス会の司祭たちの命令に基づいて動いていると判断した。1587年6月19日バテレン追放令を下し、カトリックイエズス会を弾圧した。イエズス会追放令に焦ったイエズス会の司祭アレッサンドロ・ヴァリニャーノはイエズス会の司祭の資格ではなく、インドの総督の使節資格で1591年3月に秀吉を謁見した。秀吉には、金色の装飾をつけた白色甲冑2着、剣二本、二本の銃砲、油絵、アラビア産馬二頭などをプレゼントした。このギフトに秀吉は大喜びしてイエズス会宣教師の布教活動を黙認した。翌年壬辰倭乱が勃発する、イエズス会キリシタン大名は戦場で最先鋒に乗り出す。壬辰倭乱で日本列島に渡ってきた朝鮮人たちの一部はカトリック伝道をする。日本が壬辰倭乱を引き起こす当時の日本による中国の攻撃計画もイエズス会の司祭によって作成された。英国のポール・ジョンソン(Paul Bede Johnson)は、著書「キリスト教の歴史」でイエズス会のアルフォンソ・サンチェス神父が、中国の征服計画を緻密に立てて、日本人がこれを支持したと記録している。アルフォンソ・サンチェス神父の計画は緻密だが、彼の計画書には、ヨーロッパでは1万〜1万2000人の軍隊が派遣されるべきで、マニラと日本で5〜6000人の原住民を動員しなければならず、主力部隊はマニラから出発し、マカオと広州でポルトガル人が挟み撃ちをしなければならないという内容が含まれていた。この計画は、スペインの無敵艦隊がイギリスへ対抗する時に構想されたが、欧州のカトリック教会と大多数の日本人が支持した。サンチェスはイエズス会の宣教師たちが日本人ボランティアを募集するために協力することを許可してほしいという手紙をマニラ司教に送った。当時の日本の指導者たちは、イエズス会とスペインがこのような中国の侵攻計画が議論されているという事実は把握していた。
 出典:https://ko.wikipedia.org/wiki/임진왜란

まとめ
日本がなぜ朝鮮に出兵したのか。なぜ満州に進出したのか。なぜ太平洋戦争に突入したのか。歴史を振り返る時に、ある事象が発生した理由は何か、そしてその元理由は何かと深く掘り下げるような思考が好きだ。まだ、自分の知識では答えが出ない。ネットを見ると教科書とは異なる意見も多数存在する。日本人は基本的に平和主義者だと思うけど、自分がやられそうなときには反撃する。やられたらやり返す。そんな骨太の民族だったような気がする。子供の世界で「いじめ」問題が解消されない。息子に「いじめられていないか?」と聞いたら、「自分からはやらないけど、やられたら倍返し」とちょっとドラマに影響されたような回答。まあそうだろう。そして、そんな子供をいじめない。いじめるのは、いじめても我慢する子供。やり返さない子供だ。日本は、海外からはどんな風に見られているのだろうか。金持ちの坊ちゃん。正当ぽい理由を突きつければおばあちゃまからお金をもらって、いくらでも貢いでくれる。そんな風に見られているような気がする。考えすぎだろうか。また、いま放送している西郷どんを見ていると違和感を感じることがある。薩摩長州に武器を提供したのはイギリスであり、江戸幕府に武器を提供したのはフランスだ。そして、その武器とはアメリカの南北戦争で使われた拳銃だ。時代は繰り返すということなのだろうか。誰かが日本に内戦を仕掛けて、武器でもうけて、内戦で疲弊したところで漁夫の利で征服する。そんなシナリオに対抗する方法として、当時の江戸幕府王政復古を決断したという説の方が説得力がある気がする。真実はどうなんだろうか。

以上

P.S.日本人として正しい歴史観を身に付けたいと思うけど、何が正しいのかよく分からない。でも、Wikiなどで海外の人がそれぞれの国の言葉でどのように書いているのかを調べると、意外な事実が見えてくることがある。自動翻訳の機能も向上し、AIが発展したらもっと真実が見えるのだろうか。

IT21の会の創設経緯と5Gへの展望

はじめに
現在、日本技術士会の認定グループであるIT21の会の幹事をさせてもらっている。IT21の会は1997年に設立し、最新のIT技術の開発や研究を行い、その成果を国際的視野に立って社会に還元することを目的とする。同時に技術士としての自助努力と相互支援を達成する(要約)と会則にある。そんな設立時からの話を創立時から貢献された先般技術士にIT21の会で話をしてもらった。将来を考える上ではやはり起源が大切だ。いわゆる「初心忘るべからず」である。

初心忘るべからず
世阿弥(ぜあみ)という方をご存知でしょうか?1363年(正平18年)生まれなので、645年ほど前に生誕された方で、能を大成し、能楽に関する書物を多数著している。そのうちの一つが「花鏡(かきょう)」という伝書を書き、その時に「初心忘るべからず」と記している。
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 出典:Wiki(世阿弥)

参加者63名
IT21の会は、だいたい20名から30名程度の参加だが、9月の例会はなんと63名という過去最高レベルの技術士に参加頂いた。その理由は2つある。一つは、今回、エリクソン・ジャパンのCTOである藤岡雅宣工学博士に登壇してもらい、5Gを中心としたモバイル通信の最新動向について話をしてもらった点だ。藤岡さんはモバイル技術の最先端の状況に精通し、かつ分かりやすく説明頂けるので、セミナーを受講した人や著書を読まれた方も多い。携帯電話システムの担当者だけではなく、情報通信に関係する多くの技術士に聴講して欲しいという思いを電気電子部会に伝えた。共同開催や後援の可能性も想定したが、電気電子部会の会員に展開してもらった。席上も挙手を求めるとIT21の会員でない人=初めてIT21の会の例会に参加した方が25-30名ほどいらした。参加者の許諾をもらっていないので、少し写真の顔を隠しました。
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5Gを中心としたモバイル通信の最新動向
今回の講演の内容は次の4つのトピックだ。
・モバイル通信のの世代と進化
セルラーLPWAの動向
・5Gのロードマップと現状
・5Gフィールドトライアル

モバイル通信のの世代と進化
モバイルの世界はほぼ10年で世代が交代している。現在は、いわゆる第4世代のLTEだ。2017年時点での世界のモバイル加入者数は78億台だが、すでに第四世代方式が第三世代方式を抜いている。第四世代でも十分に高速だし、エリアも広い。特に困っていることはない。第五世代が本当に必要か?と疑問に感じる人もいるかもしれない。しかし、やはり第五世代が必要だ。理由は3つある。まず、第一にモバイルのトラヒックは毎年54%程度増加している。これが10年続くと何倍になると思いますか?なんと75倍です。つまり、2010年から2020年の間に75倍のトラヒックなる。それはLTEでなんとか対応する。しかし、2030年までにさらに75倍になるトラヒックLTEでは対応できない。やはり新しい仕組みが必要だ。第二はIoTの台頭だ。第4世代までは通信の主役は人間だった。しかし、今後はIoTを筆頭にものとなる。このものとものの通信にLTEでは効率的に対応することが難しい。第三は自動運転のような超程遅延通信のニーズへの対応だ。LTEでは超低遅延通信には対応できない。
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 出典:総務省|平成28年版 情報通信白書|移動通信システムの高度化

セルラーLPWAの動向
LPWAについては以前にもこのブログで取り扱った。
hiroshi-kizaki.hatenablog.com
LPWAは、実はセルラー系の方式と非セルラー系の方式が激しく切削琢磨している。非セルラー系の優位性は900MHz帯の周波数を活用して、低廉なコストで自営ネットワークを構築して運用することだ。限られたエリアや限られた用途で低速の通信であれば、非セルラー系のLPWAが活躍するユースケースも多いだろうと思う。しかし、できるだけ制限のないエリアで安定して通信しようとすると、やはりセルラー系のLPWAを活用することが有利だ。そして、セルラー系のLPWAにも大きく2つの流れがある。NB-IoTとLTE-Mだ。NB-IoTは、既存のLTEのガードバンド等の隙間電波を活用する方式で、帯域が200kHz以下なので、通信速度も100kbps程度だ。LTE-Mは、1Mbps程度の速度が可能で2017年にはRel-14のCat-M2の仕様がリリースされている。2018年のRel-15ではさらに機能追加も予定されている。特徴は、待ち受けモードの高度化だ。例えば第3世代のセルラーでは5.12秒ごとに無通信でも基地局とアライブ確認を行っている。これをeMTCと呼ばれる拡張モードでは43分、NB-IoTでは2.91時間まで拡張できる。この間隔が長く、かつ1回の通信で時間が短いほど低消費電力が実現する。
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 出典:SocialNetworking(http://www.socialnetworking.jp/?p=132899)

5Gのロードマップと現状
5Gのキーワードは色々ある。まずはスライシングだ。これは通信のユースケースに応じて通信速度や遅延などの要求条件の組み合わせたを決めることだ。次が仮想化とクラウド化だ。ネットワークの機能を従来は固有のハードに固有のOSと固有のソフトで最適化したが、このハードウェアをまずクラウド化し、OSも仮想化で共通化する。これによって、例えば交換機能のMMEのリソースが足らなければこれを増やす。認証機能が不足しているならこれにリソースを割り当てる。さらには、クラウドのセンターも集中化と分散化を組み合わせることでエッジ化も可能だ。つまり、超低遅延通信を実現する場合には、端末〜基地局だけでなく、基地局〜サーバーも遅延も短縮する必要がある。そこで期待されるのがエッジサーバーだ。つまり、例えば基地局の近傍でサーバ機能が実現すれば超低遅延も可能だ。さらにはビームフォーミングやC/S分離など多彩な技術が開発されている。この辺りの基本的な概念は過去のブログも参照して欲しい。
hiroshi-kizaki.hatenablog.com
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 出典:http://www.omgkrk.com/apply-for-hubraum-low-latency-prototyping-program-edge-computing-and-5g-technology/

5Gフィールドトライアル
藤岡さんは、色々と興味深いネタを集めて頂いた。例えば、次のようなYouTubeは興味深い。講演で拝聴した動画そのものではないが、5GとかEricssonといったキーワードを入れるといろんなYouTubeの動画が出てくる。興味のある人はぜひトライして欲しい。
The Power of Millimeter Wave | 5G | Verizon
 The Power of Millimeter Wave | 5G | Verizon - YouTube
Verizon quietly ran live 5G VR, 4K, and video calling demos during Super Bowl LII
 https://www.youtube.com/watch?v=ZUfRI7UkiiQ
Taking Cell Tower Inspections to the Next Level | AT&T
 https://www.youtube.com/watch?v=d-nDYAlCYp4

まとめ
今回のIT21の会の9月度例会は本当に多くの方に参加頂いた。さすがに良く知っている人もたくさん来ていただけた。自分がIT21の会の幹事をやっていることを知らなかった人がほとんどでびっくりされていたようだ。IT21の会の講演資料はさすがに会員もしくは参加者以外には開示していないが、その議事録は結構詳細に記録するので、多分参考になると思います。興味があれば検索してみて欲しい。
日本技術士会登録グループ - IT21の会ポータルサイト

以上