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労働安全衛生法:ボイラーを考える。

はじめに
ボイラーと聞いて何を連想しますか?家庭のガス給湯器のようなものだろうか。小学生の頃に、自宅にガスの瞬間湯沸かし器が取り付けられたときの喜びはいまも覚えている。京都の冬は底冷えがするほど寒い。食器を洗ったりするのに水道の水では凍える。顔を洗ったりするときも冷たくて嫌だった。でも、この湯沸かし器を通ると、冷たい水ではなく、暖かいお湯が出たり、熱湯が出たりする。でも、温度をあげると水量が減るのが不思議だった。でも、瞬間湯沸かし器の構造を覗き見て何と無く納得した。だって、菅が小腸のようにクネクネと曲がりながらガスの火で温められている。大量の水を通せばぬるくなるし、少しの水を通せば熱湯になる。

ボイラーの歴史
ボイラーの起源を調べようとしたが、なかなか見つからない。日本のWikiにも英語のWikiにもなかったが、スペイン語Wikiには掲載があった。スペイン語はわからないが、最近は便利な自動翻訳で簡単に日本語になる。長いので要約すると、1776年にジェームスワットが連続運転可能な蒸気機関を開発した。それまでのボイラーは弱い蒸気で衣類のクリーニングに使う程度だったが、この発明は産業革命を牽引することになった。ワットは、ボイラーの出力を測定するために、ホースパワーを採用した。それは毎秒550ポンドフィートだった(らしい)。
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 出典:Wiki(参考1)

国産ボイラーの最初

日本で最初に小型ボイラーを本格的に製造したのは、ミウラのボイラーのようだ。1956年に三浦工業株式会社の創業者の三浦保が、新規事業としてボイラを開発した。それまでは精麦機を開発していたが、ボイラーの将来性にかけたのが成功した。1959年2月に「ボイラー及び圧力容器安全規則」が制定され、これに伴って小型の貫流ボイラーを無免許で使えるようになった。基準は10kgf/cm2以下、伝熱面積10m2以下だが、三浦保は小型貫流ボイラの製造にフォーカスし、給水・燃焼の自動化を研究して、完成したしたのが小型貫流ボイラZP 型だ。
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 出典:日本機械学会(参考2)

ボイラーの種類と仕組み
1) 貫流ボイラー

 水を循環させることなく蒸気に変えるタイプだ。水と蒸気の比重の差がない超臨界ボイラーや、急速起動が必要な小型ボイラーに用いられる。純度の高い給水と高度な制御技術が必要だが、機動性に優れる。
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 出典:川重冷熱工業株式会社(参考3)

2) 水管ボイラー
上部と下部にドラムを設け、多数の水管でつないだ構造だ。水管のまわりを燃焼ガスであたためることにより蒸気を発生させる。細い水管に高熱を加えるので、一部だけ急激に加熱されないようボイラー水を常に循環させておく必要がある。ボイラー水の循環方式には、自然循環式、強制循環式がある。
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 出典:仙台市ガス局(参考4)

3) 炉筒煙管ボイラー
ドラムの中に燃焼室と煙管を設け、水を蓄える。燃焼ガスを通過する際に水を温め蒸気を発生させる構造だ。
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 出展:仙台市ガス局(参考4)

ボイラーの種類と労働安全衛生法の規制
労働安全衛生法では、簡易ボイラー以外について規定されている。ここでDは気水分離器の内径(mm)であり、Vは気水分離器の内容積(m3)だ。
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 出典:大阪ガス(参考5)

ボイラーの種類と労働安全衛生法での規制
ボイラーの規制は、都道府県や政令指定都市により異なる。ボイラー使用開始前に所轄労働基準監督署にて落成検査(ボイラー及び圧力容器安全規則第14条、第59条)を受検し、落成検査に合格すると検査証が発行されて、使用することができる。
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 出典:大阪ガス(参考5)

労働安全衛生法でのボイラーに関連する条項
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ボイラーの今後
都市のゴミ問題とエネルギー問題を解決する一挙両得となるのが、ゴミを焼却する熱で発電する方式だ。焼却炉から発生する燃焼ガスに含まれる塩化水素(HCl)、硫黄酸化物SOx)、窒素酸化物(NOx)、ダイオキシン類などの有害物質を除去することが課題だが、近年の技術開発で性能の改善は著しい。
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 出典:川崎重工業(参考6)

まとめ
ボイラーとの接点があまりないのでぴんとこないが、ビルの地下を訪問すると大量のボイラーが稼働していたりする。ゴミの焼却熱でお湯を沸かしたり、発電する技術がもっと普及して、小型化すれば、マンションでもゴミを焼却して、発電するようなことが可能となるのだろうか。色々と課題は多いようだが、将来が楽しみな分野だ。

引用
 参考1:https://es.wikipedia.org/wiki/Caldera_(máquina)#Tipos_de_caldera
 参考2:https://www.jsme.or.jp/kaisi/1190-38/
 参考3:https://www.khi.co.jp/corp/kte/product/genri_boi_kd.html
 参考4:http://www.gas.city.sendai.jp/biz/boilers/01/index.php
 参考5:http://ene.osakagas.co.jp/product/steam_hotwater/steam/procedure.html
 参考6:https://www.khi.co.jp/kplant/business/environment/g_waste/heat.html