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熱中症について考える。

本当に暑い日が続きます
豊田市で小学校1年生の男児生徒が熱中症で死亡するという痛ましい事故が起きた。本人の無念、家族の悲しみを考えると本当に切なくなる。3年間ほど年に200講座ほどのいわゆる出前講座をするために全国の学校を行脚していた経験から考えると、これにはいくつもの原因があるが、家庭の環境と学校の環境が乖離している点に注目したい。

家庭の環境と学校の環境
自慢じゃないけど、自分が小学生とか中学生の時には自宅にはエアコンはなかった。そして、学校にもなかった。もう夏は暑いし、冬は寒いし大変だけど、環境の違いに悩むことはなかった。学校と家庭のギャップで有名なのはトイレだろう。最近の子供たちは自宅の洋式トイレで大も小もするように躾けられているので、男子児童は小便でも洋式トイレの個室に入ろうとする。しかし、学校は洋式と和式がまだ混在している。男子の小便専用の便器も並んでいる。でも、子供達は洋式に集中する。

エアコンの普及率の乖離
下の図の左は家庭での普及状況の推移だ。2015年には91%を超え、平均保有台数も3台を超えている。一方、下の図の右は公立学校のエアコンの設置率だ。全国の小中学校の普通教室では1998年時点では3.7%だったが、2014年には32%を超えた。しかし、その乖離は歴然だ。おうちでは快適なエアコンの生活なのに、学校に行くとエアコンのない環境を強いられる。これは心身ともにかなりのストレスになるだろう
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 出典:livedoor(参考1:左)、YahooNews(参考2:右)

熱中症による死亡者数の推移
下の図の左は、厚生労働省による熱中症死亡者数の年次推移で男女で区別している。下の図の右も厚生労働省による熱中死亡者数だが、こちらは猛暑日との相関を示している。これを見ると、1970年台から1980年台はほぼ横ばいだが、1995年を境に急増し、2010年には1731名が死亡している。しかしその後は減少傾向にあり、2017年度は574人まで減少した。そうなのか?
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 出典:国立環境研究所(参考3)

熱中症による死亡者の年齢別の構成
下の図は、2016年の人口動態調査に基づく年齢別の死亡者数の構成だ。これを見ると若年層よりも高齢者が多く、85歳から89歳が最も多い。ちなみに0歳から49歳までの構成比が7.7%だ。つまり、92.3%は50歳以上だ。60歳以上でも約85%だ。つまり、熱中症でなくなる人のほとんどは高齢者だ。しかし、テレビや新聞では小学校1年生のニュースばかりやっている。高齢者の死亡事故を報道してもニュースにならないということなのか。もっと事実をベースに報道して欲しいと思う。
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 出典:GarbageNews(参考4)

熱中症の4つの病態
自分が子供の頃は熱射病と呼んでいたが、最近は熱中症という。何が違うのかと思ったら、熱中症の病態には下の図で示すように4つあり、そのうちの一つが熱射病。脱水で起きるものを熱疲労、塩分低下で起きるものを熱けいれん、血圧低下によるものを熱失神という。残念ながら、これら4つの病態ごとの死亡者数がなかなか見つからない。これは一体どういうことなのだろう。病態によって原因が異なる。従って、病態ごとの時系列の推移があれば、もっと傾向と対策を深掘りできるのに残念だ。
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 出典:WAKUWAKU通販(参考5)

英語での調査
熱中症を英語では「Hyperthermia」という。 熱失神は「heat syncope」熱けいれんは「heat cramps」、熱疲労は「heat exhaustion」、熱射病は「heat stroke」という。これで調べてみた。目的のデータはまだだが、熱疲労と熱射病の重篤性の違いをわかりやすく図示していた。熱疲労は安静にして休むべきだが、熱射病はすぐに救急車(119)を呼ぶべきと説明している。豊田市の児童の死亡事故ではこの判断と対処は適切だったのだろうか。
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 出典:fs.fed(参考6)

熱失神から熱疲労、さらには熱射病への重篤
熱失神は、熱に起因する末梢血管拡張による血圧の低下に起因する一時的な意識の喪失やめまい、吐き気、視覚障害だ。ここで食い止めれば良いが、熱疲労から熱射病と進展すると重篤な問題となる。
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 出典:ECI(参考7)

暑くても汗が出ないのは危険な兆候
豊田市の小1の子供はどんな症状だったのだろう。汗が出て止まらないようなケースは発汗作用で体温が一定に保たれているので健全だ。しかし、これが体調不良だったり、水分不足だったりして、発汗不能となると、体温が上昇し、熱中症になり、さらに脱水症となると重篤化する。
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 出典:STOP熱中症(参考8)

新生児の水分量はなんと80%
年をとると水分がなくなってくる。若いときは瑞々しい肌がだんだんカサカサとなる。そんな悲しい現実は理解しているが、下の図をみると一目瞭然だ。一般に成人男性では体重の60%は体液だというが、新生児は80%だという。やはり年をとると細胞が破壊されて体液を維持できなくなるだろうか。
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 出典:健康カンポウブログ(参考9)

血圧降圧薬の種類
話題が変わるが、健康診断で血圧が高いと診断されることがある。ある病院では、降圧薬を飲んでいれば助かった患者を何人も診てきたと言われたこともある。そして、そのお医者さんに降圧薬を飲めば血圧が下がるのかと聞くと、飲み続けないといけないという。そして、降圧薬を飲まないとどうなるのかと聞くと血圧が上がって危険だという。つまり、高血圧が問題かどうかは別にして、薬を飲んでも治らず、飲まないと重篤化する。それはあまりにアコギだ。また、調べると次のような4種類のタイプがあるという。
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 出典:Online-Clinic(参考10)

血圧降圧薬の売り上げ推移
血圧降圧薬(下の図では血圧降下剤という)の売り上げの推移は右肩上がりだ。10年前の2007年ですでに1兆円を突破したという。2001年には5,000億円程度だったのが2006年には1兆円弱まで増加している。5年で倍増の傾向が続くと仮定すると4兆円?ホンマでっか!?の常連の武田邦彦先生は、降圧薬が熱中症の原因だといつもの調子で主張しているが、その根拠がいまいち弱い気がする。
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 出典:InDeep(参考11)

血圧降圧薬の副作用
薬は毒の一種だ。効果もあるけど、副作用もある。では、降圧薬の副作用は何かと調べると、過降圧だという。つまり、血圧が下がりすぎて、めまいやふらつきや、転倒を起こすことがあるという。特にカルシウム拮抗薬は、血圧が低下しすぎることによるめまいやふらつき、顔の紅潮やほてりに注意する必要があるという。しかし、一度降圧薬を飲むと暑い日も寒い日も真面目な人は飲み続けるのだろう。熱中症が問題になるようなときに、血圧降圧薬を飲んだら、余計に熱失神とかになる可能性はないのだろうか?残念ながら根拠となる数字やデータが全く見つからないので断定できないが、血圧が下がることが熱失神の原因だし、塩分や水分が不足することが熱けいれんの原因なので、猛暑の中でも血圧降圧薬を飲むのであれば、やはりかかりつけのお医者さんに良く相談して、適切なアドバイスをもらうべきだろう。
 出典:大日本住友製薬(参考12)

まとめ
熱中症について少し考えてみた。岐阜の多治見では40度を越した。こんな暑い日にゴルフなんかしちゃいかんよね(涙)。熱中症を予防する第一は水分補給だ。炎天下でゴルフをした時には、結局500mlのポカリスエットを4本飲んだ。それでも、喉が渇き、ランチの時には水をがぶ飲みした。プレイしていたらもう意識も朦朧となり、適当に手前のボールを打ったら同伴者のボールだった。グリーンにほど近い私のボールを同伴者に打ってもらったらナイスオンでなんとパー!同伴者は怒りながらも、久しぶりのナイスパーにニコニコしていた。注意すべきは水分補給だけでは十分ではないということだ。よく屋外作業者の人が首にタオルを巻いているが、これは実は効果的だ。濡れたタオルの蒸発熱で首の部分が涼しい。氷嚢で冷やすのも良い。コンビニで板氷を買って、タオルで包んで、そのタオルで冷やすのも効果的だ。同伴者の一人は、血圧を気にして降圧薬を飲んでいる。慎重な性格なので無理はしないと思うけど、次回は首を冷やすグッズでもプレゼントしようかと思う。やはり効果的なのは首を冷やすことだ。これによって、脳に向かう血液が冷えて、血管も適度に収縮して、熱失神になるのを予防してくれるのではないだろうか。今回は、本当に知りたいデータがなかなか入手できず、結論は出ずだが、熱中症にならないように気をつけようということには誰も異論はないだろう。
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 出典:Naverまとめ(参考13)



参考1:http://livedoor.blogimg.jp/ohta_geo/imgs/2/1/21ecc0f2.jpg
参考2:https://news.yahoo.co.jp/byline/ryouchida/20150814-00048468/
参考3:https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/32/10-11.html
参考4:http://www.garbagenews.net/archives/2282565.html
参考5:https://wakuwakutuhan.jp/kucyofuku/3.html
参考6:https://www.fs.fed.us/sites/default/files/heat-related-graphic2.jpg
参考7:Heat Related Illness | Emergency Care Institute
参考8:https://www.kakuredassui.jp/stop/knowledge/whatis/whatis05
参考9:https://kenkokampo.com/lifestyle/heatstroke/2888/
参考10:https://port-medical.jp/media/articles/4
参考11:https://indeep.jp/look-at-high-blood-pressure-levels-in-this-world/
参考12:https://kanja.ds-pharma.jp/health/ketsuatsu/faq/tre_sideeffect.html
参考13:https://matome.naver.jp/odai/2140627844259051901/2140646487383343503