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本年最初はジパングと黄金のお話

新年明けましておめでとうございます
2018年をどんな1年にするかと、いろいろと考えたり、期待したり、不安になったりとされているのかもしれません。せっかくの新年なので、少し日本や日本人が海外からどのように見られていたのかを振り返ってみたいと思います。とは言っても、専門家ではないので、ネットで少し調べて理解したことを6つほど列挙したい。

1. ペルシャから見ると日本はワクワクの国?
9世紀に描かれたアラビア語最古の地誌「諸道と諸国の書(Book of Roads and Kingdoms)によると、日本は支那(現在の中国)の東にあるワクワクの国と呼ばれていた。日本の古名の倭国は、このワクワクに由来しているという。これによると、ワクワクの国は、黄金に富み、犬の鎖や猿の首輪まで黄金でできているという。また、銘木であり、現在は非常に貴重な黒檀(こくたん)を産したという。下は1154年の世界地図で南が上、東が左となっている。今、問題になっているエルサレムを中心に北から南を向いた時の世界のイメージだ。日本は支那のさらに東の列島で赤の矢印で示したところだ。幼稚園児でももう少しマシな日本列島を書きそうな感じだ(笑)。
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(出典:Wiki、参考1)

2. 千夜一夜物語と羽衣伝説
アラビアンナイトで有名な千夜一夜物語の「ハサン・アル・バスリの冒険(第576夜 - 第615夜)」には、ワーク(ワクワクと同義)の島々が登場する。ワークの王女が金細工師の息子ハサンに衣を隠されて帰れなくなり、ハサンの妻となる。なんとなく羽衣伝説によく似た物語だ(参考2)。そして、ワークは7つの島からなるという。日本からペルシャまで天女が飛んで行くとはまさに神話の世界だ。

3. マルコ・ポーロの伝えたジパング
下の図は、1544年に書かれたドイツ人セバスチャン・ミュンスターの著書「Cosmographia」に掲載された世界地図だ。上が北で左が西だ。東アジアのさらに東の島が日本だという(赤い矢印)。マルコ・ポーロの東方見聞録では、ジパングは、中国の東方1500マイルに位置する独立した島国とされている。ここでも、莫大な金を産出し、王の宮殿は金で出来ているとある。変な習慣もあったが、人々は穏やかで礼儀正しいとあるのは日本人として嬉しい。f:id:hiroshi-kizaki:20180101135400p:plain
(出典:Wiki、参考3)

4. ジパングのモデルになったのは平泉の中尊寺金色堂
日本での金の産出を調べると、奈良時代までは朝鮮半島新羅高句麗からの輸入に頼っていたが、749年に奥州(現在の東北)で砂金を発見した。今も、宮城県の雄鹿半島にある小島には黄金山神社(涌谷町)では日本で初めて金を産出したところと鎮座されている。この黄金を発見したのは百済王敬福だ。百済は、白村江の戦いで敗れ660年に滅び、百済の民族は大量に日本(現在の滋賀県)に亡命した。この敬福はその最後の31代百済義慈王の孫となる。この金の発見で奈良の大仏が無事完成し、敬福は当時の従五位上から従三位へ七階級特進している(参考4)。金山を見つける技術は特定のグループがそのノウハウを継承していて、佐渡島の金山もそのグループによるものと聞いたことがあるが、もしかすると百済王の末裔のグループなのだろうか。平泉の中尊寺金色堂は1124年の完成だ。1962年の解体修理では、約3万枚の金箔(15kg)が使われた。創建時には150kgの金と、70kgの銀、2トンの漆が使われたと推定されている。大変な量の金銀が使われていた。
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(出典:平泉紀行、参考5)

5. 三浦按針と徳川家康
1600年春に三浦按針ことウイリアム・アダムズを含む14名が豊後(現在の大分)に漂着した。ポルトガルから来たイエズス会の宣教師たちは即刻処刑するように要求したというが、当時の実力者である徳川家康が身柄を預かる。ウイリアム・アダムズは、ヤン・ヨースティンとともに、能力と見識を評価された。1600年9月の関ヶ原の戦いにおいてアダムズの船に搭載されていた大砲や鉄砲の玉をはじく南蛮鎧が使われて威力を発揮した。1607年には120トンの船舶を完成させた功績から250石の旗本となった。同時に三浦按針と名乗り武士として生きた。下の図(左)は1707年の海航海からの地図であり、下の図(右)は徳川家康からの御朱印だ。北海道が大陸のように広く、九州四国が小さいなどいびつだが、日本の地図らしくなっている(笑)。f:id:hiroshi-kizaki:20180101143040p:plain
(出典:Wiki、参考6)

6. ローマ帝国とソリドウス金貨
黄金の話に戻すと、世界最古の金貨はローマ帝国で使われていたと言う。下の図は、コンスタンティヌス1世を描いたソリドゥス金貨(左)と、レオーン3世とコンスタンティノス5世を描いたノミスマ(右) だ。このソリドゥス金貨のために戦うので兵士(Soldier)となった。ドルのマーク($)もこのソリドゥスが語源だ。通貨が流通し始めた3世紀には純度95.8%、4.48gだったが、ローマ帝国の衰退とともに、金貨の純度も低下し、1071年にセルジューク朝に敗退した時には金貨の純度が50%を切っていたという。体制の衰退と通貨の衰退には相関関係があるようだ。

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(出典:Wiki、参考7)

まとめ
新春ということで海外から見た日本のイメージと金についての豆知識を少し整理してみた。ビットコインを筆頭に仮想通貨は急騰の後に急落したが、今後国の通貨と連動した仮想通貨が登場すると、現在の中央銀行市中銀行による通貨発行の仕組みも見直しになるのだろうか。現在の資本主義の原動力は、結局は金本位制の通貨を保有する資本家と、それを市場に流通させて金利で儲けるという構造だ。しかし、金利で景気を制御することは難しい世の中になった。ベーシックマネーの議論も少しずつ進んでいる。今後、例えば日本政府が円と連動するビット円(仮称)の仮想通貨を発行して、それを市場に展開するとどういうことになるのだろう。まだまだ、わからないことが多い。また、横道にそれるが関ヶ原の戦い徳川家康が勝利した背景に三浦按針の功績があったというのも面白い。

以上

参考1:https://ja.wikipedia.org/wiki/ワクワク 
参考2:https://www.weblio.jp/wkpja/content/千夜一夜物語のあらすじ_ハサン・アル・バスリの冒険
参考3:https://www.pinterest.es/pin/695172892453687543/
参考4:https://ja.wikipedia.org/wiki/#金鉱山
参考5:http://www.el-saito.co.jp/cafe/cafe.cgi?mode=res&one=2&no=2972 
参考6:https://en.wikipedia.org/wiki/William_Adams_(sailor)
参考7:https://ja.wikipedia.org/wiki/ソリドゥス金貨