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安心安全:ジニ計数を考える。

ジニ計数をご存知ですか?
恥ずかしながら私は今日、初めて知った。ジニ計数をWikiで調べると、次のような解説がある。つまり、富が一部の富裕層に集中するとこのジニ計数が高くなり、40%が警戒ラインとされている。

ジニ係数とは、主に社会における所得分配の不平等さを測る指標である。ローレンツ曲線をもとに、1936イタリア統計学者コッラド・ジニによって考案された。所得分配の不平等さ以外にも、富の偏在性やエネルギー消費における不平等さなどに応用される。

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ジニ計数の推移
下の図は、日本と世界主要国のジニ係数について、1820年からの推移を示したものだ(参考1)。これによると、1820年元号で言えば文政3年で江戸時代だ。この頃のジニ計数をどのように計算したのかは興味のあるところだが、当時の日本のジニ計数は53%であり、現在示されている警戒ラインを超えているものの、他の先進国はさらに高かった。第二次世界大戦後の1950年には一気に36%まで低下し、2000年当時では33%まで低下している。一方、米国は1970年に36%まで低下したがその後は上昇し、2000年には44%と再度警戒ラインの40%を超えた。米国は一部の富裕層に富が集中していることがよく報道されるが、トランプ政権においてこれがさらに加速されるのか、是正されるのか。残念ながら前者の可能性が高いのではないか。また、スウェーデン福祉国家として1980年には29%まで低下したが、その後増加し、2000年時点では34%と日本より高い水準となっている。

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ジニ計数の国際比較
最近の動向を示す数字を調べると、舞田敏彦さんのホームページに次のグラフが掲載されていた(参考2)。この調査した範囲ではオーストラリアを筆頭に危険水準と言われる40%を超える国が13国(約35%)に登っている。一方で、40%以下は24ケ国(65%)あり、さらに30%以下の国も3ケ国ある。正直、チェコオーストリアアイスランド福祉国家のイメージがなかったので驚きだ。なぜ、これほどジニ計数が低いのかは別途深堀したい。
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2012年と200年の比較
日本を含めた主要国で、2000年から2012年にかけてジニ計数が増えたのかどうかを確認した。そうすると、フランスで10%強も増えていた。フランス国民の中で貧富の差がかなり進展している。これは移民問題とも関連があるのかもしれない。米国は0.5%減少したもののそれでも43.4%と高水準だ。トランプ政権でこれがどちらに移行するのか不透明だ。日本は、諸外国に比べると35.3%と低いが、2%も増加している。いわゆる勝ち組に富が集中する傾向は是正されるのか、助長されるのか。
         2000年  2012年  差分
 フランス    37.2%   47.5% 10.3%の増加
 米国      43.9%   43.4% 0.5%の減少
 英国      40.5%   39.5% 1.0%の減少

 スウェーデン  34.6%   37.5% 2.9%の増加
 日本      33.3%   35.3% 2.0%の増加

所得格差の拡大とジニ計数の低下
下の図は厚生労働省のデータをもとに、税金・社会保障の再配分前のジニ係数と再配分後のジニ計数を示したものだ(参考3、出典:The Capital Tribune Japan)。これによると再配分前の所得格差は拡大傾向にあるが、采配分後のジニ係数は若干だが減少傾向にある。日本の再配分政策はきめ細かく実行されているのだろうか。

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まとめ
ジニ計数は、富の集中や貧富の格差の程度を見るバロメータとして、注目すべき数字のように感じた。また、このジニ計数は危険水準という40%は下回っているものの米国やフランスは治安が懸念される水準にある。日本はもっと貧富の格差を是正するという方向性を示せないものか。ベーシックインカム(UBI)を導入することのメリットや課題が一部で議論されている。UBIを導入すると、普通に考えれば、このジニ計数は低下するはずだが、UBIの導入と同時に既存の福祉をカットしすぎるとこのジニ計数が増加するリスクもある。国民の安心安全を確保するのは難しい問題だ。

 

参考1:http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4652a.html
参考2:tp://tmaita77.blogspot.jp/2015/10/2012.html  
参考3:https://thepage.jp/detail/20131021-00000001-wordleaf