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IEEE WCETをご存知ですか?

はじめに
IEEEは有名だろう。特にWi-Fiの規格であるIEEE 802.11acとかは知っている人も多いだろう。IEEE(アイトリプルイーと呼ぶ)とは、米国電気電子学会(Institute of Electrical and Electronics Engineers)の略称だ。1963年にアメリカ電気学会(AIEE)と無線学会(IRE)が合併して発足した。AIEEは、トーマスエジソンニコラ・テスラなどが初期メンバーとして1884年に創立した。対象分野は、通信・電子・情報工学等だ。専門分野ごとに39の分科会がある世界最大の技術専門家組織だ。Wikiによると、世界160か国以上に42.3万人以上の会員がいる。そんなIEEEが認定するプロフェッショナル資格試験の一つがWCET試験だ。
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 出典:IEEE

WCETとは
英語名では、「Wireless Communication Engineering Technologies Certification」だ。IEEEの中で教育を担当するために、放送技術や通信やコンピュータなどのソサイエティ(Society)がある。WCETはこの中の通信を担当するコムソックが行ってる。残念ながら英語しかないが、簡単に紹介すると次のようなことが書かれている。WCETを受験する人はまずLinkedInに登録するのはお勧めだ。この中でWikiは参考になるよと教えてもらった。

・世界的に認められているIEEE WCETは実践的なワイヤレス通信の専門家に必要な基本的なスキル、ツール、および知識を提供します。
・あなたのキャリアを高め、あなたの専門知識を実証します。
IEEE WCETを取得することは無線分野での主要技術の徹底的な理解、無線通信市場の影響、そして新技術標準開発の情報を提供します。
・この認定は、特定の会社のアプローチではなくテクノロジアプリケーションに基づいており、世界中のベンダーに適用されます。
・あなたの現在の知識と実地での経験に焦点を当て、無線工学技術のすべての面の習得にあなたを導きます。
IEEE WCETは個人的および職業的な業績の象徴です。追加の利点として、IEEE ComSocメンバーは登録割引を受けます。
・貴重なリソースを共有し、ワイヤレス通信のトピック、ワイヤレス認証、および最近の課題について話し合っているIEEE WCET LinkedInグループの2,000人以上のプロフェッショナルに参加しましょう。
・無料のWebキャストへのアクセス、今後のトレーニングイベントの通知、およびワイヤレスコミュニティとの接続については、TwitterおよびFacebookでWCETをフォローしてください。
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 出典:IEEE WCET Certification | IEEE Communications Society

WCETの受験を志す人のために
IEEE WCETを受験しようと思っても、どこに申し込めばいいのかわからない。どんな問題が出るのか分からないという人が多いだろう。しかし、安心してほしい。モバイルコミュニケーションを推進するために設立されたMCPCが日本側の窓口となって受験生をサポートしてくれる。MCPCは1997年に設立されたコンソーシアムだ。MCPCではモバイルシステム技術者の検定試験として、基礎検定、2級、1級、そしてSMCのラインナップを揃えている。IEEE WCETを受験はいくつかあるが、陸上無線技術者1級やMCPCの1級の取得者は受験が可能だ。申し込みは日本語の様式でいいし、説明会なども開催してくれている。
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 出典:WCET | Wireless Communication Engineering Technology

出題範囲が広い
IEEE WCETの試験はいわゆるCBTだ。パソコンの画面で165問の問題が出題され、それを4時間ほどの間に回答する。出題範囲は下のように7つのカテゴリーに分かれているが、出題順序はランダムだ。また、部分合格もないので、トータルで基準をクリアする必要がある。今回からカテゴリ6として、新技術・新サービスが追加された。世界の通信事業者が準備を進めている5Gや急速に増大しているIoT、車との通信を行うV2Xなどの新技術が今年の春の試験から始まる。常に最新の技術動向にアンテナを伸ばしておくことが求められる。
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 出典:IEEE WCET HandBook

求められる能力レベル
IEEE WCETの受験を考える人は、モバイル系の技術者と無線系の技術者だろう。その両方に精通していて、かつ英語も得意な人ならすぐに受験することをお勧めする。ただ、多くの人は、それほど英語は得意ではないとか、無線は詳しいけどモバイルはよく分からないとか、その逆だったりするのではないだろうか。逆説的だが、自らの強みと弱みを一度棚卸する良い機会と考えることはできないだろうか。先に書いたキーワードの中には、よく知っているものも、初めて聞いたものもあるだろう。何を知っていて、何を知らないかを理解するのが学習の第一歩だ。自分の弱点がわかれば、それを補強すれば良い。自分の強みは伸ばせば良い。自分の強みと弱みがわかれば、おのずと学習プランもできるだろう。また、高度な英語力は不要だ。英語を学習するなら専門分野から始めるのが良いと思う。自分も、外人と雑談するのは苦手だ。でも、専門分野の話なら専門用語が共通の知識なので意外と簡単だ。ただ、4時間英語の問題や選択肢とニラメッコする必要があるので、英語になれる努力は必要だ。

受験申請はどうするのか
WCETの試験は毎年春と秋に実施される。そして、その窓口は先述のMCPCが親切に対応してくれる。受験費用は5.5万円だが、IEEE会員やMCPC会員なら5万円と少し安くなる(笑)。CBT方式だけどその場で合否が発表されるわけではない。その期間の試験が全て終了した段階で、全ての回答を正規化して、一定の基準をクリアしたかどうかで判定される。わかりやすく言えば偏差値が50点以上なら合格と言われているが、結構厳しい。日本での受験者は160人以上らしいが、合格者は半数に満たない。そして、日本の合格者は大体世界の合格者総数の10%程度らしい。まだまだマイナーな資格だが、それだけに希少価値はあるかもしれない(笑)。
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 出典:WCET | Wireless Communication Engineering Technology

合格発表はドキドキ
試験期間が終了して1ヶ月ほど経つと、登録したメールアドレスに合否を示すメールが届く。ドキドキだ。自分は残念ながら春の試験では10点足らなかった(涙)。WCETのアットホームな点は、これが事務局の女性から直接一人一人に送付されることだ。自分へのメールには、「今回は惜しかったわね。もう少しだったのに非常に残念だわ。でも、あなたのキャリアには興味がある。是非もう一度チャレンジして❤️」みたいな英語が書かれていた。原文には❤️はなかったけど、自分はハートを感じた。そして、これは頑張らねばと会ったこともない外人女性を喜ばそうと必死に勉強した。動機は不純だったけど、秋の試験では結果を出すことができた。動機は不純でも良いようだ(笑)。
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まとめ
今回は、IEEEが実施するWCETという試験の概要について紹介してみた。これにトライしようと思う人は応援したいと思う。今回はこれぐらいにするが、機会があれば、勉強方法等についてもブログでまとめてみたいと思う。興味を持った人がいたら、MCPCやIEEEのホームページにアクセスしたり、FacebookやLinkedInにアクセスしてみてください。「Ask, and it will be given to you.」貪欲に求めてほしい。きっと願いは叶います。

以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。