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いじめ問題:深刻なのは実態を把握しにくい集団LINEいじめではないか。

集団LINEいじめとは
LINEの中で集団で個人を徹底的にいじめるという非常に卑劣かつ深刻な問題だ。その背景には、LINEでのやり取りは基本当事者しか見れない。大人には判らないという計算があるのではないだろうか?

集団LINEいじめの事例
その1)中学生の事件。卒業文集の寄せ書きに名前がないことから両親が気づき、真相究明に奔走した。同級生32人中24人が関わる。関与していなかったのは携帯を持っていなかった数人のみ。学校は当初誰も知らない。たまたまと穏便に済ませようとした。娘の友人を味方にして、少しづつ証拠を集めて真実が解明された。主犯格は有名高校に合格した優秀な男子生徒。娘の親友も裏幕だった。
 出典:http://www.jprime.jp/articles/-/6169 

その2)ちょっとしたLINEへの書き込みが原因で反感を買い、大勢からLINEで責められて、最終的に自殺に追い込まれる。最初の書き込みから最後まで50近くのトークが交わされているが、その所用時間は1分以内という点にネットいじめの怖さを感じる。

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 出典:http://www.youbaokang.com/odai/2140697153252945601/ 

その3)元同級生を集団で殺人した痛ましい事件。

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 出典:https://matome.naver.jp/odai/2137386429455828801 

いじめ防止対策推進法
いじめに対して、学校、家庭、地域が協力して防止し、被害者の発生を防ごうという趣旨の内容。第2条にいじめの定義があり、第4条で「児童等はいじめを行ってはならない。」と規定しているが、具体的な罰則の記載はない。第19条においてネットいじめへの取り組みが記載されているが、啓蒙活動を行い、体制を整備し、必要に応じて法的な協力を求めるとある。個別のいじめ集団いじめの区別や認識は残念ながらない。

(インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進)
第十九条 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校に在籍する児童等及びその保護者が、発信された情報の高度の流通性、発信者の匿名性その他のインターネットを通じて送信される情報の特性を踏まえて、インターネットを通じて行われるいじめを防止し、及び効果的に対処することができるよう、これらの者に対し、必要な啓発活動を行うものとする。
2 国及び地方公共団体は、児童等がインターネットを通じて行われるいじめに巻き込まれていないかどうかを監視する関係機関又は関係団体の取組を支援するとともに、インターネットを通じて行われるいじめに関する事案に対処する体制の整備に努めるものとする。
3 インターネットを通じていじめが行われた場合において、当該いじめを受けた児童等又はその保護者は、当該いじめに係る情報の削除を求め、又は発信者情報(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第四条第一項に規定する発信者情報をいう。)の開示を請求しようとするときは、必要に応じ、法務局又は地方法務局の協力を求めることができる。

集団LINEいじめを撲滅する方法はあるのか?
LINEの利用を規制しても、他のSNSの利用に流れるだけである。集団LINEいじめを撲滅するには、必要に応じてLINEのやり取りの開示を求めることができるという環境を作ることが必要だが、通信の秘密との関係もあり、根本対応は簡単ではない。

米国でのネットいじめ対応
米国では、ネットいじめをCyberbullingと呼び、連邦レベルと州レベルでの取り組みが強化されている。
1) 法的対応
・残念ながらいじめを対象に適用される連邦法はない。しかし、ハラスメントに対して
 は法的に整備されている(日本ではハラスメントに対する法的整備はない)。
・米国では、ハラスメントの中にいじめ(Bullying)が含まれるという整理のようだ。

2) 啓蒙活動
・WEBサイトでの啓蒙が充実している。特に、実情を説明した動画や啓蒙を目的と
 した動画などが非常に充実している。例えば、次のような動画がある。
 https://www.youtube.com/watch?v=2loKRwZoH1w 
  What is bullying。いじめの悲惨さを動画で訴求。
 https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=Jfu6aUc3Y8Y
  Help Prevent Bullying. Know Bullyingのアプリの有効性の訴求。
 https://www.youtube.com/watch?v=TjaM0tdxtYA
  18歳の少女のTED。私がスマホを使わない理由。

3) SNSの利用
 SNS先進国として、SNSを用いた対策も進んでいる。これは別に機会に整理したい。

日本の状況
Cyberbullyingの英語のWikiの中に日本の状況について次のような記載があった。日本語のWikiよりも英語のWikiの方が日本の実情を詳しく書いているのは皮肉だ。
According to recent research, in Japan, 17 percent (compared with a 25-country average of 37 percent) of youth between the ages of 8 and 17 have been victim to online bullying activities. The number shows that online bullying is a serious concern in Japan. Teenagers who spend more than 10 hours a week on Internet are more likely to become the target of online bullying. Only 28 percent of the survey participants understood what cyberbullying is. However, they do notice the severity of the issue since 63 percent of the surveyed worry about being targeted as victims of cyberbullying.

まとめ
いじめの問題は複雑だし、奥が深いし、深刻だ。ハラスメントといじめの違いも国によって定義が違うようだ。日本国内でもいじめについての定義が変わっていて、現場が混乱している。いじめの問題は、国内だけでなく、海外諸国とも連携しながら子供達を守るための枠組みを検討していく必要がある。海外の動向についてもできるだけウオッチしていきたい。

以上