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VRは普及期に向かうのだろうか

ガートナー社のハイプ曲線
ハイプ曲線とは、米コンサル会社のガートナーが商品を黎明期、流行期、幻滅期、回復期、安定期の5つのフェーズに分けて、イノベーションがどのフェーズに入るかを示すもの。例えば、2015年版ではVR技術が幻滅期後期だが、2016年版と2017年版では回復期に遷移している。

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VRとARの違い
VRは仮想現実。一般にはゴーグルなどのデバイスから見える世界を仮想現実と呼んでいる。ARは拡張現実でポケモンGOの世界だ。現実世界の上で仮想的なイメージを重ね合わせる。VRではヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着する方法が一般的だが、ARはHMDを必須としない。

ヘッドマウントディスプレイ(HMD)
最近では、スマホダンボールで出来た簡単なHMDキットに差し込んで利用するものもできている。これなら千円程度でVRを楽しめる。スマホベースのHMDは現状では、片目で1K程度だが、HMDによるVRのニーズが高まれば、これが4Kや8Kに性能アップするのは時間の問題だろう。

 

16KのHMDも夢ではない
東京オリンピックの時には4K/8K放送を視聴できるように放送設備のインフラ投資が進められているが、これを16Kにするのは簡単ではない。しかし、スマホのディスプレイを16K対応にするのは端末デバイスの性能とコストのバランスの問題だけだ。HMDによるVRのニーズが高まればより臨場感のある16Kデバイスが意外と早期に実用化されるのではないだろうか。

キラーコンテンツはなんだろう
VRが普及するには、是非ともVRを楽しみたいという強い欲望を掻き立てるコンテンツが必要だ。過去のVTRやDVDなどのメディア戦略を振り返ると初期のブレイクはいずれもエロ系コンテンツだった。これが良いのかどうかは別にして、VRがブレイクするかどうかはやはりここにあるのだろう。すでにコンテンツは充実しつつあるようだ(笑)。

 

3Dの本格利用
HMDによるVRの視聴は3Dが前提だ。これまで家庭のテレビや映画で3Dの普及がチャレンジされ、なかなか本格普及しなかったが、VRは3Dをいとも簡単に実現したしまった。ただ、大勢で同じ映像を見て感動するというマスメディアの世界から一人ひとりが独自の映像を見て楽しむというパーソナルメディアの世界に突入するということなのだろう。

 

健康上の問題
テレビが普及した頃には、テレビから3m離れてみなさいと注意されたものだ。でも、HMDではスマホの画面が目の前にある。これって目に悪くないのだろうか?当然、長時間の視聴は目に良いわけがない。ただ、例えば、山頂からの景色のような映像を見ると視力回復に効果が出るのではないかという期待がある。どうだろう。

視力矯正ディスプレイ
ネットで調べてみると、少し古いニュースだが、視力矯正ディスプレイを開発したという報道があった(http://karapaia.com/archives/52174578.html)。視力の悪い人も裸眼で見えたり、視力を矯正したりできるようだ。まだまだ開発途上の技術だが、将来に期待したい。

 

カメラ内蔵のHMD
HMDが進化すると、HMDから現実世界の映像を見たいというニーズが出てくる。そのためにはカメラ内蔵のHMDが必要だ。ネットで調べてみると、戦闘機のパイロット用が開発されていた(http://japanese.engadget.com/2014/07/18/hmd-striker-ii/)。暗闇でも暗視カメラで撮影した映像を確認できるので夜間でも安全に飛行できるという。

 

街角でのHMD利用
iphoneが日本で最初に発売されたのが2008年なので、10年前にiphoneを街中で操作している人はほぼ皆無。平野ノラさんがギャグで使っているショルダーフォンが発売されたのが1985年なので30年前に街中で歩きながら通話していた人はほぼ皆無。同じように現在、街中でHMDをつけて歩くような危ない人はほぼ皆無。でも、10年後、30年後はどうだろう?

 

今後1年以内にHMDを15%が購入予定

昨年10月に実施されたインターネット調査会社による調査によると、約15%が今後1年以内にHMDを購入する(https://www.videoi.co.jp/release/20161013.html)という。

 

キャズムの理論
この15%という数字は実に興味深い。キャズムの理論によるとイノベーターと呼ばれる人は約2.5%であり、いわゆる新しいものに飛びつくセグメントだ。その次がアーリーアダプター(13.5%)と呼ばれるセグメントでここまでは欠点よりも利点を重視するので多少問題はあっても人より早く使うことに価値観を持つ人たちの間で使われる。しかし、その先のアーリーマジョリティやレイトマジョリティに普及するには先駆者が指摘した問題点を解決することが条件となる。つまり、利点は理解しても欠点があると購入しないというセグメントだ(http://naruhiko1111.com/1670.html)。

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2016年はVR元年
VRが普及する条件は揃いつつあるが、専用HMDスマホ活用型のHMDのどちらが主導権を握るのだろうか。いずれにせよ、一部マニア向けのコンテンツだけではなく、広く国民が楽しめるような健在なコンテンツの開発と利用が可能となることがポイントとなるだろう。