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社員が先、荷物は後

宅急便を始めるモットー

ヤマト運輸の飛躍は他者に先駆けて宅急便事業を始めたことだが、当時の小倉社長は「サービスが先、利益は後」というモットーだった。このモットー金科玉条に守って欲しいと宣言していた。

社員が先、荷物は後

経営者の仕事は、トレードオフ(二律背反)となることに対してその優先順位を明確にすることだ。例えば、コストを下げること、サービスを高めること、社員の安全を守ることはどれも重要だ。どれも大切だ!では経営者とは言えない。小倉社長の素晴らしかった点は、コストより、サービスよりも、社員の安全が第一だと宣言した点にある。

コジロオ君

最近では、ヤマト運輸は交通事故ゼロを目指して、コジロオくんを特に注意すべき対象としている。具体的には、コ(子ども)、ジ(自転車)、ロ(老人)、オ(オートバイ)の4つです。このように注意すべき対象を絞ることで効果を上げている。

再配達

配達個数の2割を占めると言う。近所のセールスドライバーと話をすると、高齢者は良識ある対応をしてくれるのだが、若者は留守のことが多く再配達しても不在だったりするし、態度が横柄なので本当に困ると嘆いていた。

国交省の資料を見るとその対策として次の4つを示している。
 1) 消費者と宅配事業者・通販事業者との間のコミュニケーションの強化
 2) 消費者の受取への積極的参加の推進のための環境整備
 3) 受取方法のさらなる多様化、利便性向上等の新たな取り組みの促進
 4) 既存の枠組みを超えた関係者間の連携の促進

要は、1)ではスマホのアプリを活用して、配達日時指定の変更を容易にする方法等が検討されている。2)では消費者へのポイント付与をインセンティブとする方法。3)はコンビニや駅に受取ボックスを設置しようという方法。4)は複数の配達事業者が共同して配達の合理化を進める方法。複数の案を同時並行に行うような波動攻撃が必要だろう。
 出典:https://www.mlit.go.jp/common/001112444.pdf

クールチョイス

再配達が必要となったものの7割は配達時間が指定されていなかったと言う。つまり、いつ来るかが分かればその時間には在籍するとか、都合が悪くなった時に簡単に配達予定時間を変更できれば、消費者も宅配事業者もWin-Winになるはず。  
 出典:https://www.mlit.go.jp/common/001106397.pdf

また、環境庁は、一度の配達で確実に受け取ることができるように、クールチョイス活動を進めている。具体的には、受取る日時と受取る場所を確実に指定し、かつ柔軟に変更できるような仕組みを志向している。
 出典:https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/butsuryu/ 

ウケトル

スマホのアプリで配達日時や配達場所を簡単に指定できるようにする取り組みが進んでいる。一つがウケトルというアプリだ。ビジネスモデルがいまいちわかりにくいが、EC事業者がウケトルと契約するようだ。EC事業者は一定の費用をウケトルに支払うが利用料が増大することで相殺する考えだ。消費者から見ると、ポイントを貯めることができ、再配達が発生するとそのポイントが減らせることで、有料化の回避と実施の有料化を実現している。

 出典:http://uketoru.net

宅配便の取扱個数

昭和59年の3.85億個から平成27年度の37.45億個までの31年で約10倍に増大している。
しかし、そのほとんどはトラックによる取扱個数だ。しかし、この統計情報には表示されていないが、宅配センターからの配達手段は宅配車両だけではなく、電動自転車なども始まっている。今後はドローン配達も試みが行われるだろう。合理化は待ったなしだ。

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 出典:http://www.mlit.go.jp/common/001139889.pdf

まとめ

 宅配便は便利だが、体制疲労を起こしている。技術革新によって自動配送やスマートな受け取り方法を模索すべき踊り場に直面している状況だ。プライバシーの問題や法制度の問題を含めて、検討すべき課題は多い。