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起業や副業、フリーランスを考える(マクロ経済と人材経営#6)

はじめに
山田教授の授業も来週までだ。名残惜しい気持ちが高まる。クラスメートともZOOMだけでの会話だけだ。早くFace-to-Faceでの飲み会とかしたいけど、まだそのような話しになっていないのが残念だ。

リーダシップ・パイプライン
この言葉は、企業では常に自分の後継者を育てる必要があるというGEの元CEOジャック・ウェルチの想いを示したものだ。出世街道を駆け登る立場から見れば、ステージを上がるための試練と淘汰がある。また、トップから見れば、社長の最も重要でかつ最も困難な仕事は後継者の育成とバトンタッチだろう。これに失敗した企業には快挙のいとまがない。一旦バトンタッチしたけど、また会長から社長に戻る例もある。
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出典:https://www.iibc-global.org/library/default/ghrd/ghrd_project/stepbystep/pdf/advanced-chapter03.pdf

ロミンガー社の法則(70:20:10)
パイプラインとセットで語られることが多いのがロミンガー社の70:20:10の法則だ。これは何かと言えば、人を育てる要素として最も大きいのが実務経験で70%を占めるというもの。仕事を通じた指導や助言は20%であり、座学による教育はわずか10%に過ぎない。仕事が人を育て、地位が人を作るという。確かに、あるポジションに抜擢されて、期待されていることを実感するとアドレナリンは出まくって頑張ってしまう。故野村監督の名言には地位が人をつくり、環境が人を育てるというのがあったのを思い出す。
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出典:https://selfcoaching.3x3career.com/advisor/characteristic/model-for-learning-and-development/

外国人労働者の受け入れ
2020年1月31日時点での厚生労働省の発表では、外国人労働者は前年同期比13.6%増の165万8804人だった。中国からの受け入れが約41万人、これについでベトナムからの受け入れが約40万人。これ以外にはフィリッピンやネパールなどのアジアからの受け入れが増えている。在留資格では、技能実習生が約38万人、高度人材も約32万人を占めるが、2019年4月の改正出入国管理法で創設された特定技能による受け入れはわずかだったという。
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出典:https://visa.yokozeki.net/tokutei-ginou/

正社員の比率
非正規社員の比率が増加しているのは確かだが、正規社員が減少しているわけではないようだ。慶應義塾大学小熊英二教授は著書の中で、正規社員が減少したわけではなく、自営業や家族労働者が非正規に回っていると指摘する。この著書の中で興味深いのは、仮に日本の人口が減少し、それでも多くの企業が業績を維持することができて、正規社員の枠を保持したとすれば、正規社員比率は向上するかもしれないと書いている。子供が苦労しなくても、大手企業の正規社員として採用されるようになれば、母親は安心して子どもを産むようになるかもしれない。人口問題の難しさはこういう心理メカニズムが複雑な点にあると思う。
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出典:小熊英二著、日本社会の仕組み(日本を支配する社会の慣習)

学生と企業の関係の日米比較
米国では大学を卒業して、数社を経験したら大学院に入学し直して、MBAなどを取得したら幹部候補生として入社し、そのあとは頑張ってその会社でのキャリアを形成することが多いそうだ。これは日本のキャリアプランとは全く異なる。日本は学歴社会と言われるが、大学を卒業後、修士や博士を目指す人は少ない。これはなぜかと言えば、入社してからは学歴が問われることが少ないためという。OECDの調査では、仕事に必要な学歴よりも自分の学歴の方が高いと思う人の割合は日本では30%以上とOECDの中ではトップだった。
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出典:OECD

フリーランス
特定の企業や団体、組織に専従しない独立な形態で自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人をフリーランスと言うとフリーランス協会は定義している。日本にはどの程度のフリーランスがいるかと言うと調査する母体によって異なる。内閣府の調査では341万人(2019年)、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)では390万人程度と考えられている。JILPTの調査では390万人のうち290万人が本業として、100万人が副業として対応しているようだ。自分が注目しているのは、副業型フリーランスのうち、雇用x個人事業主のパターンだ。
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出典:https://www.freelance-jp.org/start_freelance

インディペンデント・コントラクター
終身雇用はもはや幻想だと言う。雇わない・雇われない働き方が、インディペンデント・コントラクター(独立業務請負人:IC)だ。「高度な専門性を持ち、組織から独立して、個人の価値基軸で意思決定し、会社の垣根を超えて仕事をしていく。」のがIC協会が語るICだ。ICという言葉はマイナーだけど、いわゆる自営業者、個人事業主と考えればいいのかもしれない。
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出典:https://news.livedoor.com/article/detail/7669243/

プラットフォーム労働者
ウーバーイーツを利用されたことがありますか?配達員はUberのプラットフォームの上で、利用者からの注文に基づいて食料をピックアップして利用者が希望する場所まで配達する。これを体系化したものが下の図だ。Uber Eatsは対面型だけど、非対面型もある。というか、非対面型の方はさらに再委託型か仲介型か、仲介型はマイクロ型かコンペ型かプロジェクト型かと細分される。なんだか、人に使われるのではなくて、コンピュータに使われているような感じがする。
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出典:http://ictj-report.joho.or.jp/2001-02/sp05.html

デジタル・プラットフォームの脅威
プラットフォーム労働者を支えるのはデジタルプラットフォームだ。そして、ITの進化、ネットの進化、AIの進化などが全て取引コストの低減を実現する。最終的には限界コストゼロの世界か。既存の企業がデジタルプラットフォームをベースとした企業と戦うことになるのか、それともこれまでの資源を活用して、参入することになるのか。何れにせよ、世の中のビジネスはオンプラットフォームでの行動となるだろう。
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出典:プラットフォームエコノミーの将来

従属的自営業者
このようにプラットフォームビジネスが拡大すると、従属的自営業者が拡大していくとの予想がある。プラットフォームワーカーがこのプラットフォームビジネスの投資を兼ねている場合には働き、仕組みを改善することで投資家としてのリターンも拡大する好循環が期待される。しかし、労働者と投資家が別の場合には、さらに貧富の二極化が進むことになりそうだ。
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出典:https://www.jil.go.jp/foreign/report/2019/pdf/19-03_f.pdf

ロナルド・コース
ロナルド・H・コース(1910年12月-2013年9月)はイギリス生まれの米経済学者だ。1991年にノーベル経済学賞を受賞している。特に取引コスト概念による企業存在の基礎付けというユニーな業績が認められた。企業が内部のリソースを活用するか外部のリソースを活用するかはどのように判断するのだろう。そのノウハウがどちらかにしかなかったら答えは決まる。どちらでも可能な場合には、その取引コストが小さい方を選択するのが経済合理的だ。
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出典:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd121400.html

グループワーク
今回は、ICの意義や課題、可能性、必要となる能力について話し合い、それぞれのグループの代表が発表した。それぞれのグループのいいとこ取りをすると次のような主旨になるだろうか。

ICや副業の意義
どのような立場が想定されるだろうか。例えば、会社側から見れば、外部の専門家のノウハウやリソースを合理的な料金で利用できるのであれば、意義はあるだろう。提供する側から言えば、自ら蓄積し、磨いてきたノウハウや経験を広く活用してもらい、結果として対価を得ることができればやはり意義はあるだろう。社会の立場で考えれば、革新するプラットフォーム技術を活用して、安価で高品質なサービスを安全・安心して利用できる社会は望ましいのでやはり意義があると言える。

課題
では何が課題だろうか。会社に勤務する専門家がICを目指そうとした場合に、特に日本の大手企業では就業規則を持って制限をかけようとするだろう。政府は副業解禁を促進する立場をとっているが、企業は慎重だ。政府の狙いは何かと教授に質問したら流動性を高めたいのだろうという回答だった。でも、なぜ流動化を高めたいのか?そして、流動化を高めると政府にとってはどのように良いことが起きるのか。それとも外圧だろうか。ICと副業は同義ではないが、良い副業と悪い副業があるという。前者は専門性やスキルを活用する副業。後者は単なる収入目的。収入目的で働かないといけないとしたら、それは本業の賃金が低すぎることにほかならないといえるのではないか。

可能性
ICや副業がもっと活発に活用されるとどのようなことが期待できるだろう。自分は敗者復活のシナリオを描けるのではないかと発言した。つまり、結婚して出産した女性は、なかなか企業に戻れない。それならば、同じように困っている女性のための事業を起業することも可能かもしれない。定年退職して、長年勤務した会社に再雇用されたと思ったら年収が半減した。不満に思うのであれば、市場に自分の価値を問てみると良いかもしれない。学校を卒業して就職したが不本意な仕事にしかありつけない。そんな人が知恵を出し、汗を流して起業する。そんなチャンスが広がる社会は期待が持てる明るい社会だと思う。

必要な能力
起業すると言っても簡単ではない。他の人ができないことをやる。他の人よりも素晴らしい品質を実現する。安く実現する。早く実現する。丁寧に心を込めて実現する。そんな努力と資質と人的コネクションが重要だろう。フリーランスは一人でやるものではなく、連携してやるものとも言われる。

まとめ
昨日の授業で習ったことをレビューしようと思ったらどんどん話題が広がってしまった。起業するのは勇気がいる。準備も大変だ。しかし、日本では起業しようと思った人の多くは起業できているようだ。問題は起業しようと思うかどうか。特に大企業の正社員として雇用が守られている人ほどチャレンジするメリットに対して失うものが大きい。その意味では失うものがない、もしくは少ない人の方がチャンスかもしれない。最近は東京大学を卒業しても、官僚になるよりは、ビジネスを立ち上げる方がカッコいいと考える人が増えてきているようだ。いい傾向だと思う。クールにスマートにでも泥臭く這いずりながら頑張るのもいいものだ。

以上

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。