LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

プールの安心安全について考える。

はじめに
小学校の5年生の時に担当の先生から、「プールのことを英語で何というかわかりますか?正解者がいたら今日はプールの日にします。」という発言があった。生徒たちは喜んだけど、英語を知らない。自分は、多少自信がなくても発言するタイプだけど、英語でプールをなんと言うのか知らなかった。もしかして、、、とは思ったけど自信がない。結局、誰も回答せず。プールの授業は実現しなかった(涙)。今時の小学生なら、”Swimming pool!"レッツゴープールアンドスイミング!とか言う子も居そうだ。そんな楽しいプールもやはり危険はいっぱい。

プールでの人命救助訓練
小学校は自宅から歩いて30秒ぐらいだった。公園も隣接していたのでいつも遊び場所だった。多分、土曜日とかだと思うけど、プールに大人が集まって何かしていた。面白そうなので、塀越しに聞いていたら、溺れた人を助けるための訓練だった。へえ!そうやって助けるのかと感心した。そして、そのあとで町内会で近くの海に海水浴に行く機会があった。隣の家のお兄ちゃんは自分と同級生、弟は3歳ほど下だった。海でみんなで楽しく泳いで居たら、その弟が溺れている。周りを見回すけど誰も居ない。どうしよう。。。すぐに助けに行ってはいけない。そうだ。後ろから回り込んでいる訓練風景を思い出して、回り込もうとした。でも、後ろに回り込んだつもりが、くるっとこちらを向く。早く助けてよと必死の形相でこっちをみる。仕方ないので、潜って、後ろに回る作戦にした。うまく回り込めた。でも、その弟は人命救助の訓練を受けていなかった。自分に気づくと必死に抱きついてくる。困った自分は、その弟さんをくすぐった。今から考えると滑稽だが、余計に暴れる。結局、二人で溺れるような状況になった。流石に近くにいた大人も気づいてボートで助けにきてくれた。

浮き輪があればそれに捕まらせる
今から思えば、子供が子供を助けに行ってはいけない。まずやるべきは、周辺の大人に助けを呼ぶことだ。そして、もし近くに浮き輪があれば、溺れている人にその浮き輪を渡して、それに抱きつかせることだ。溺れている人は必死だ。訓練のようにおとなしくはしてくれない。良い子は覚えておいてほしい(涙)。

水難事故
少し古いデータだが、警察庁平成24年に調べて所、大人と子供では水難事故の場所が違っていた。大人は海が52%で河川が30%だ。しかし、子供は55%が河川で海は18%だ。プールが問題になることが多いが、子供の事故でプールはわずか3.3%だ。プールは監視体制にあるため問題視されることが多いけど、その事故件数は着実に減少したと言うことだろうか。事故の未然防止という観点でいえば事故件数の多い河川や海での対策を考えるべきだろう。しかし、プールの監視は不要かといえばそんなことはない。監視員は人間だ。気合と根性で監視するのには限界があるだろう。監視カメラや認証システムが海外では実用化されているので、以下ではその内容を紹介したい。
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 出典:警察庁生活安全局(参考1)

プールの監視カメラ
イギリスでは、プールに監視カメラを設置して安全安心を守っている。北ウェールズのバンガー市内のプールで10歳の少女が水泳中におぼれて、プールの底へと沈んだ。しかし、プールに設置された監視システム「Poseidon」はその異常を検知し、3秒以内にアラームで監視員に知らせた。少女はすぐに救助され、病院に搬送し、意識を回復した。Poseidonのアラームが鳴動してから少女を引き上げるまで要した時間が40秒未満だったことも奏功した。同システムの導入費用は、6.5万ポンド(約1,300万円)だ。このプールは、長さ約33m(110フィート)、深さ1m〜3.8mと大型プールだった。
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 出典:日本経済新聞(参考2)

中国での救済例
監視カメラを活用する動きは中国でも顕著だ。下の写真の左には子供写っている。しかし、スマホの操作に夢中なお母さんは子供の異変に気づかない。下の写真の右では子供はもうプールに沈んだが、母親は反対方向に子供を探しに行く。監視カメラがその悲劇の様を全て撮影していた。しかし、これは監視アラームと連動していないため、この子供が救済されたのかどうかは不明だ。
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 出典:viva(参考3)

8画面の監視システム
英国は海洋システムの技術をリードしている。先述のPoseidonも英国製だが、PoolView Plusという製品も英国製だ。Poseidonの後継機なのか、競合機なのかは不明だ。カメラで撮影した8つの画像を一つのスクリーンで確認できる。また、実際に何か異変があるとアラームが鳴動するので、監視員はすぐに救助に向かえる。監視カメラを製造するビジネスモデルではなく、リスクを監視するサービスを提供するビジネスモデルを考えて見るのも有効ではないだろうか。
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 出典:poolview(参考4)

スイミングプールセミナー2018
事故が起きてからその被害者の治療をするよりは、そもそも事故を未然に防ぐべきだ。そんなコンセプトでのセミナーが9月27日にスコットランドで開催される。参加費用もわずか35ポンドだ。参加したいと思ったけど、スコットランドまでの道のりは長いハードルだ。事故の状況を監視カメラの映像から危険を予知してアラームを鳴動する。そんな仕組みは技術的には可能だ。しかし、パターン認識の場合には、問題を見過ごす可能性と問題ではないのに問題と誤判定する可能性がある。統計的には前者を第一種過誤、後者を第二種過誤と呼ぶ。犯罪の謙虚では第二種の過誤(=冤罪)を避けるべきだが、プールの監視では第一種過誤を最小化すべきだ。
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 出典:poolview(参考5)

まとめ
調べると日本でも今年の6月9日に「繰り返されるプール事故から子供を守る」シンポジウムが開催されていた。事前に知っていたら参加したのにと残念に思う。レポートをみると、その中でも「ヒトによる監視には限界があることがはっきりするのではないか。それがわかれば、ポセイドンのように、機械がプールを監視するシステムを導入すべきであるという判断も生まれてくるだろう。」と指摘されていた。Poseidonシステムを開発したのはフランスのポセイドン社だった。これはプールの監視システムだが、同じような発想で、事故の多い河川や海などでリスクを検出して、注意を喚起するようなシステムを開発することができれば、安心・安全に貢献することができるかもしれない。
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 出典:2017 KIDS DESIGN AWARD(参考6)
以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考1:https://www.alsok.co.jp/person/lifesupport/child/09.html
参考2:https://www.nikkei.com/article/DGXZZO12623320R10C10A8000000/
参考3:http://viva-wmaga.eek.jp/2017/01/07/32900
参考4:http://www.poolview.co.uk/poolview-plus/
参考5:Prevention is better than Cure - Scottish Seminar 2018 — Poolview Limited
参考6:http://www.kidsdesignaward.jp/search/detail_171152