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子供講座:ケータイの仕組み(基地局編)

基地局とは
携帯電話やスマートフォン(以下、「ケータイ」という)から電波が出ていることはよく知られているが、ケータイは誰と通信しているのだろう?例えば誰かと通話をする。誰かにメールを送る。誰かとLINEで繋がる。そんな時には、ケータイは最寄りの基地局を探して通信を行う。

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(出典:日経テクノロジー、参考1)

基地局の種類
基地局は大別すると屋外用と屋内用がある。そして、屋外用には、鉄塔タイプとビル設置タイプ、さらには電柱等への設置タイプがある。屋外の基地局からの電波だけではビル内でケータイへの電波が十分ではない場合には屋内でも利用可能なように対策を設置する。注意深く天井を見ると、下の図の右のような円形のアンテナが一定間隔で配置されていたりする。
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(出典:総務省、参考2)

基地局の性能
鉄塔に設置する基地局を一般にはマクロセルと呼ぶ。第一世代や第二世代では10km以上の半径のエリアをカバーしたが、第三世代や第四世代では1km程度の半径のエリアをカバーしている。そして、利用者が多い場所やビルの影などはマイクロセルと呼ぶ小型の基地局を設置している。例えば渋谷の交差点のように多くの利用者が集まる場所では複数のマイクロセルが重畳的にエリアをカバーしている。さらにエリアを改善するためにピコセルと呼ばれる小型の基地局を導入する。最近では半径500mぐらいのエリアをカバーするようにビルの屋上にアンテナが林立している。屋外局の電波が届かないビル内ではピコセルと呼ばれる屋内用の基地局を設置したり、フェムトセルと呼ばれる超小型の基地局を設置したり、レピータと呼ばれる増幅器でカバーを広げたりしている。
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(出典:日経テクノロジー、参考1)

基地局の進化(その1)=小型化
基地局の進化はケータイの進化そのものである。例えば、第一世代のケータイでは、基地局にはキュービクルと呼ぶ小部屋に通信機器を設置していた。第二世代になるとこのキュービクルは小型化され、第三世代になると前述のようにその容量も20リットル程度の大きさになった。無線設備はどんどん小型化され、最近ではアンテナ内蔵型も出ている。

基地局の進化(その2)=小セル化
基地局の小型と同時に基地局がカバーするエリアも小さくなっている。これを小セル設計と呼ぶ。これにはニーズとシーズの2つの理由がある。まずニーズとしては、利用者数の増加に対応するには、小セル化が有効だ。1つのマクロセルで例えば1000人をカバーしたとする。同じ容量の小セル局を10個配置して1000人に対応すれば、10倍の1万人をカバーできる。次はシーズだが、基地局で用いる周波数だが、これは次項で説明する。
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(出典:ITプロ、参考3)

基地局の進化(その3)=周波数の高周波数化
第一世代から第三世代にはプラチナバンドと呼ばれる800MHzに加えて、1.5GHzや2GHz用いている。そして、第四世代や第五世代では、下の図のように3.6GHzや6GHz、28GHzと言った高い周波数を用いる予定だ。電波伝搬損失は距離の2乗に比例して増大する。したがって、必然的に電波のエリアカバーが小さくなる。そこで期待されているのがビームを絞る方式(=ビームフォーミング)だ。

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(出典:auのHP、参考4)

基地局の進化(その4)=ビームフォーミング
第一世代携帯の基地局は周辺360度に電波を放射していたが、第二世代から第三世代では3セクター方式として、120度ずつをカバーした。第四世代から第五世代にかけてはさらにビームを絞るビームフォーミングが始まっている。「人と話をする時には相手の目を見ながら話を士なさい。」と小学生の時に先生から教わったような気がするが、基地局も第五世代には小学生のレベルになるのかもしれない(笑)。
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(出典:ITメディア、参考5)

まとめ
基地局の役割や進化の方向性をできるだけ平易に説明したつもりだが、伝わっただろうか。子供講座といいながら大人でも難しい内容になってしまった。平易に説明するのは難しい。

以上

参考1:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20130708/291281/?P=2&rt=nocnt
参考2:http://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/ele/body/1-01.pdf
参考3:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130623/487025/?rt=nocnt
参考4:https://www.au.com/mobile/area/5g/gijyutsu/
参考5:http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1505/20/news069_2.html