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いじめ問題:いじめとミルグラムの実験

アドルフ・アイヒマン
アイヒマンの実験について聞かれたことがありますか?Wikiではミルグラムの実験として詳しく説明されている。アイヒマンとは、ホロコーストの責任者で東欧地域の数百万人のユダヤ人を死に追いやったアドルフ・アイヒマンのことであり、彼が特別な人間だったのかどうかをアメリカの心理学者スタンリー・ミルグラムが人間の心理を実験したものだ。

ミルグラムの実験方法
実験の方法は、Wikiやサイコロニュース(参考1)に詳しく解説されているが、次のような構成だ。つまり、Aさんは絶対的な権威者としBさんに指示する。BさんはCさんに問題を解くように指示する。問題を間違えたらCさんは電気ショックを与えられる。ただし、実際にはCさんは演技だが、それをBさんは知らない。

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 参考1:http://www.shinrigaku-news.com/article/48293833.html

Aさん:Bさんに実験を指示する。Bさんから実験を辞めたいと申し出ても4回
 までは続行を支持するが、4回目の指示の後も、実験の中止を申し出れば、
 実験はそこで中止される。

Bさん:最初は45Vで軽いショックだが、Cさんが問題を間違えるたびに15Vずつ
 電圧を上げるように指示を受けている。同時に、最大は450Vだが、375Vが危険
 で苛烈(かれつ)な衝撃と説明している。死の可能性をBさんは理解している。

Cさん:Cさんは120Vで大声で訴え、150Vで絶叫し、270Vで苦悶の金切声を上げ、
 330Vで無反応とするように指示が事前に出ている。

ミルグラムの実験結果
大学生14人に事前アンケートを取ると、450Vまで行くのはごくわずか(1.2%)という予想だった。実際に実験すると、被験者40人中25人(62.5%)が最大の450Vまでスイッチを入れた。実験の中止を申し出る者もいたが、Aさんがすべての責任を持つと権威を持って説明すると、300Vに達する前に実験を中止するものはいなかったという。

ミルグラムの実験結果からの結論
善良な市民であっても権威ある人間からの指示に従わざるをえない状況にあると、多くの人間が悪いことと理解しながらも実行してしまう。これは、あらゆる犯罪が起きる構造に当てはまる。あらゆる組織に当てはまる。そして、これはやはりエスカレートするいじめの構図にもなりうる。

エスカレートするいじめ
怖いほどにいじめの構図は、ミルグラムの実験の構成に類似している。もちろんAさんが自らCさんをいじめることもあるかもしれない。しかし、いじめの内容がエスカレートするのは、主導者(Aさん)と実行者(Bさん)が異なる場合だ。しかも、Bさんは一人とは限らない。いじめのターゲットにならないために、Cさんの友人だった人までがBさんに追随するとこれは悲惨だ。

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いじめの根本対応
自分は、教育者ではないし、学校関係者でもないので、責任ある対応策を提言することは難しい。しかし、いじめが起きた時には、このように実行犯と主導者が異なるような構図なのか、そうではなく1対1の争いかを見極めることは非常に大切だ。もし、前者の構図だった場合には、Aさん、Bさん、Cさんだけでなく、すべての関係者(クラスであれば、すべての生徒)からの声を聞く必要があるのではないか。しかし、数人ならまだしも、40名近くの生徒から一斉にヒアリングすることが現実的ではない。作文を書かせるとか、グループディスカッションさせるとか、個別にヒアリングするとか、非常に難しい対応を求められる。少なくとも、実行犯を見つけて、実行犯(Bさん)を糾弾しても問題解決にならないことを肝に銘じる必要がある。

まとめ
普通の人間が一旦戦争になると敵兵を殺す。そのような歴史を過去に繰り返してきたという悲劇の遺伝子を人間は持っているという悲しい現実を理解しなければいけないのかもしれない。そして、それは程度こそ違っても、幼い子供たちがそのような構図に陥る可能性を否定できない。したがって、大人自身が自戒するとともに、子供たちが悲劇に巻き込まれないように愛情を持って見守ることが大切だ。同時に、子供との信頼関係を学校や家庭や社会が持っているかどうかがより大切な気がする。その意味では、地域の人間関係が希薄な都心部では、学校や家庭に求められる負荷が大きく、それを軽減する仕組みをより強化することが求められているのかもしれない。

以上