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ベーシックインカムは社会の課題を解決するのだろうか?

人工知能の文献を読んでいると、ベーシックインカムを言及していることが多い。

これはなぜなのだろうか?

人工知能を筆頭に、ビッグデータ技術、ロボット技術、IoT技術などが連携して、進展すると社会の仕組みは大きく変動する。

例えば、添付のブログでは、2030年までに今の仕事の50%がなくなると言われている。

AIに代表されるIT技術が進歩すると仕事の効率化が進むのは確かだろう。人間がやっていた仕事のうち単純な作業、危険な作業を自動化するのは誰も反対しないが、企業は利益を追求する法人なので、利益追求のための作業の自動化も止めることは難しい。

しかし、企業がどんどん自動化して、利益を上げた結果、失業者が増大して、深刻な不況を迎えることになると、それは望ましい社会ではない。

ベーシックインカムは、年齢や性別に関わらず国籍を有する人、もしくは自国で生活する人に対して、生きる権利を守るための最低限の収入を担保するために例えば一人7万円の支給を行うというもの。

すでに幾つかの国では、ベーシックインカムのトライアルをしていて、実験中の国や経済破綻から中止した国、生活保護のために特定地区の原住民に支給している国はあるが、本格導入に成功して継続している国はまだないと言われている。

日本に於いてもベーシックインカム導入の是非について議論が進みつつあるが、そもそものコンセプトのように一律支給ではなく、条件付きの段階的支給といった複雑な形態が検討されているようだ。

ベーシックインカムの狙いの一つは、非常に複雑になった福利厚生施策を一律のベーシックインカムに代替(吸収)することで政府が行うべきことも簡素化し、政府のコストを削減することにある。

しかし、国家公務員が国家公務員の職業を縮小することを意思決定することは非常に難しい。天下りの問題すら解決できない政府が、小さな政府にすることを決めることはできないだろう。

結局、これを実現するには、非常に大きな民力がベーシックインカムと小さな政府の必要性を認識して、それを突き上げる大きなマグマが必要ではないか。そして、そのような大きなマグマは、例えばAIの導入が不況を招き、その不況が長期化し、失業対策が困難な大恐慌になった後になるのではないか。

個人的には、大恐慌になってからベーシックインカムを導入しようとしても遅いので、好況と言われている時代のうちに「ベーシックインカム」のトライアルを日本でも始める必要があると思う。

その時に大切な事は、どのように支給するのかという支払い方だ。

個人的には、次のような方法を提案したい。

1) マイナンバーに紐づけられた電子マネーシステムを導入する。

2) 電子マネーを導入することで、利用用途や利用場所について最低限の制限を行う。

3) 例えば、不動産の購入や高額品の購入、それに伴うローン支払いは対象外とする。原則として、海外での利用を制限するなど。

4) 基本は衣食住に関する支払いを想定し、利用内容をビッグデータとして蓄積する。同時に、個人情報を秘匿した上で、民間利用が可能なように解放する。

 

 ベーシックインカムの導入に向けてはまだまだ多面的な側面からの深い議論と国民へのコンセンサスを得る努力が必要だろう。その場合にも、特に次の点が検討課題だろう。

1) 基本的課題
 ・支給の原資:既存権益の削減対象者は反対するだろう。
 ・支給金額:一定額の前提
 ・支給対象者:在日外国人の対応

2) 経済政策との関連
 ・ベーシックインカムの支給額でインフレ・デフレを調整可能という。
 ・効果検証が必要だろう。

3) 働く意欲、幸福度への影響
 ・ベーシックインカムの支給は勤務を制限する者ではない。
 ・しかし、働く意欲が減るのか、増えるのか慎重な検証がいるだろう。
 ・2016年度の国連の調査でも日本国民の幸福度は157ケ国中53位であった。
 ・国民が幸せを感じるにはどうすればいいのか。ベーシックインカムは有効か。

4) トライアル
 ・検討課題は広範囲なので、やはりトライアルが必要だろう。

5) 小さな政府
 ・きめ細かな福利厚生施策は他国に誇るべきものだろう。
 ・ただ、これを将来にわたって提供し続けることが望ましいのかどうか。
 ・個人的には、ベーシックインカムの提供とセットで、施策の簡素化を行い、
  抜本的に小さな政府を目指すべきと思う。
 ・その結果、公務員の失業者が大量にでても、困らないようなベーシックイン
  カムの対応をしておくべきかなあ(笑)。

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