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リニア問題:HyperLoop構想は実現するか。

リニアの父
リニア中央新幹線が、幾多の困難に直面しながらも、実用化計画にまでたどり着いたのは、やはりこれを推進した技術者がいた。その代表は京谷好秦さんだろう。東京と大阪の間を1時間で結ぶ高速鉄道を夢見てた技術者だ(参考1)。インタビューの内容が興味深いが、リニアの本質的問題をもっと突っ込んで質問して欲しかった。

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真空でのリニアモーターカー
現在のリニア中央新幹線のエネルギーの多くは空気抵抗に費やされる。それであれば真空のチューブの中を走行させれば良いと思う。その発想で調べてみると、先駆者がやはりいた。

ハイパーループ
スペースXの共同創業者であるイーロン・マスク氏は、真空にしたチューブの中を時速1200kmで走行する次世代交通システム(ハイパーループ)を考案している。ハイパーループの特許は、ハルパック配列で永久磁石を配列することだ。これにより、コストを抑えながら効率性を高めるインダクトラックス方式が可能となるという(参考2)。

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客車のモジュール化とトータル設計
イーロン・マスクの提案するハイパーループの優れた点は、乗客や貨物の視点からモジュール型の空間を提案し、そのモジュールがリニアの車輌に入り、そしてそれら車輌を制御するというトータル設計だ(参考3)。一方、JR東海の資料を見ていて残念なことは、供給者の視点で発想していて、乗客の視点や貨物の視点が見当たらないことだ。利用者の視点に立てば、最適な速度や最適な運賃、最適な所要時間などが見えてくるはずだ。いくらリニアの区間を早くしても、在来線や現行の新幹線との乗り継ぎに時間がかかるようであれば、トータルでの所要時間は短くならない。

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中国が目指す時速4000kmの真空リニア
2010年の報道だが、日本のリニア中央新幹線への対抗を意識したのかどうかは不明だが、2020年から2030年を目途に時速4000kmの世界最速のリニアモーターカーを進めているという。真空のチューブなので、空気抵抗がなく、効率的に高速運行が可能だという(参考4)。

2017年に時速400kmでの実験
2016年11月28日の新華社の報道によると、中国は
2017年にも、真空チューブ型のリニアモーターカーの実験を行う。時速600kmから1000kmでの高速走行を想定するという(参考5)。 

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真空チューブの課題
真空にすれば空気抵抗はなくなる。しかし、真空にするための課題が山積だ。安全面の問題もある。リニアの父も真空チューブの有用性は指摘していた。リニア中央新幹線の建設・運行には幾多の試練を乗り越える必要があるが、気がついたら中国に真空チューブ型で抜かれるというのは悲しい構図だ。

まとめ
通信の高速化は2年で2倍、20年で1000倍と言われる。そんな速度で進歩するIT技術は、物理的な高速移動技術の革新にも貢献するはずだ。鉄道による移動がどこまで高速を目指すのか、それが安全・安心に運行されるのか。環境問題や騒音・水問題をどのように解決するのか、引き続き注視していく必要がある。

以上

参考1:http://ktymtskz.my.coocan.jp/linia/e1.htm 
参考2:http://www.jmca.jp/column/tu/tu66.html
参考3:https://www.youtube.com/watch?v=sAUn0dlmGeM
参考4:http://news.livedoor.com/article/detail/4795052/
参考5:http://www.recordchina.co.jp/b156273-s0-c20.html