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フレネルゾーンをご存知でしょうか?

プラチナバン

携帯電話は、現在ではほぼどこでも使えるようになった。でも、エリア拡張時にはA社はプラチナバンドを使っているから有利だけど、S社は繋がりにくい2GHzを使っているからエリアが広がらないと言った説明を聞いたものだ。このプラチナバンドとはいわゆる800MHz帯の周波数領域のことだ。

 

なぜエリアが広がらないのか?

周波数が異なると次の2つの要因からエリアの広がりに差異が生じる。
1)電波伝搬損失の違い
2)回りこみの違い(フレネルゾーン)

 

電波伝搬損失とは?

いきなり漢字6文字で難しそう(笑)。実は、電波が空中を伝搬するときには減衰するが、その減衰レベルを電波伝搬損失といい、その減衰量は距離の二乗に比例して増大し、周波数の二乗に比例して増大する。したがって、同じ減衰量だとすると、到達可能な距離は周波数が高いほど短いことになる。2GHzは800MHzに比べて周波数が2.5倍高いので、同じ減衰量で到達する距離は2.5分の1となる。例えば、800MHzなら半径1kmのエリアをカバーできたのに、2GHzなら半径400mの狭いエリアしかカバーできないというのはこのためだ。

 

フレネルゾーンとは?

電波は、周波数が高くなると減衰量が増えるだけではなく、回りこみもしなくなるという。これを数式で説明したものがフレネルゾーンである。送信アンテナから放射された電波は、受信アンテナに向かってラグビーボールのような楕円球を形成して伝搬される。そして、アンテナ1からの距離がd1、アンテナ2からの距離がd2のポイントの半径を第一フレネルゾーン半径と呼んでいて、下の図の中の数式により計算される。ここで注意するべきは、半径は波長のルートに比例するということ。つまり、800MHzの電波の波長は、2GHzの電波の波長より2.5倍長いので、フレネルゾーン半径は1.58倍長いということ。

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(出典:http://www.netone.co.jp/report/column/20160819.html

 

このため、800MHzであれば、1.58倍の半径のゾーンを使うので、その中で多少の障害物があっても、残りのゾーンから電波が伝搬される。半径で1.58倍なので、面積では2.5倍と成る。例えば、オフィスでは窓から電波が飛来することが多い。2GHzだと少しでも基地局とずれると電波が減衰するが、800MHzなら多少かかっていても大丈夫ということになる。

 

こんなことを考えながら携帯やスマホを使っていると、あなたも電波が見えるようになるかもしれない(笑)