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自動車の走行速度規制を自然に学ぶ

自動操縦の自動車が実用化がカウントダウンの時代になりつつある。2020年には自動操縦車が走り出すという。これを実現しているのは、各種センサー技術や、ディープラーニングをベースとする人工知能がキーテクノロジーとなっている。しかし、ディープラーニングの処理は、一言で言えば多数決での決定アルゴリズムだ。過半数の人が良いというものを採択して、どんどん処理を高度化する。囲碁や将棋では人間を打ち負かすほどのレベルに達している。

これらの技術の開発のみで、望ましい社会が実現するかというと、それは難しい。なぜなら、現在の自動操縦車は安全係数や規則遵守という縛りがある。他の車両が時速60kmで走行している道路の法定速度が40kmだった時に、自動操縦車は60km/hで走行すべきなのか、40km/hで走行するのか、あるいは50km/hで走行するのか。高速道路のランプでメインレーンで車が途切れない時に、自動操縦車はメインレーンに合流できるのだろうか? 常識的には、事故防止を第一に考えるだろう。渋滞防止を第一に考えなければ、渋滞は拡大するだろう。自然の河川では、川幅が狭くなると流れは速くなる。これが自然の摂理である。しかし、高速道路では、車線が増えて広くなると追い越し車線を走る車の走行速度は上がり、車線数が減ると低速で走行する車両に合わせて走行速度が下がる。自動操縦車と手動操縦車が混在している間は、自動操縦車は手動操縦車への追随を第一に考えるべきだが、それでは、自動操縦車は手動操縦車を超えることができない。

自動操縦車が目指すべきは、自然の摂理に合わせた走行ではないだろうか。そこで、速度規制の見直し、高速料金の見直し、 自動操縦車の前提条件、そして、今後の検討課題について以下の通り述べたい。 

1. 速度規制の見直し
速度規制は、現在は一律だが、今後はより状況に合わせて見直すべきと考える。ここでは、並行走行時、接近走行時、拡散走行時の3つの走行パターンに分類して検討してみたい。

1) 並行走行時
・並行走行時に大切な事は周辺(前後)を走行する車両との調和です。
・つまり、流れに合わせることです。
・その時にあるべき速度は、現在の法定規制速度で適切なのだろうか。
・規制速度には、最大速度と最低速度があるが、これだけで十分なのだろうか。
・走行レーンによって望ましい速度が違うかもしれない。
・通常時と渋滞時、事故発生時では望ましい速度が異なる。

2) 接近走行時
・接近走行を余儀なくされる事態をなくすことが道路設計の理想増です。
・しかし、実際の走行時には他の車両との接近が発生する可能性が想定される。
・例えば、車線が減少した時、周辺の車両が車線変更してきた時、渋滞が発生
 した時、前方を走行している車両が速度を落とした時等が考えられます。
・常識的には、周辺の車両が接近してきた時には、望ましい車間距離を維持す
 べく速度を落とす。これは正解なのだろうか。自然科学的には、車線が少なく
 なった時には、速度を下げるべきではなく、上げるべきだ。
・しかし、ディープラーニングだけでは速度を上げるという発想はない。
・車線の減少と接近車両の増加を感知したら、車間距離を縮小して、安全係数を
 縮小できれば、全体の速度は上がる。
・危険は回避し、事故を未然防止し、急発進・急停止を回避する必要がある。
・そのためには、法定規制速度を抜本的に見直す必要がある。このように法的・
 制度的な見直しと技術革新を車輪の両輪のように検討を進めることで、安全
 で快適で効率的な自動運転が可能となります。

3) 拡散走行時
・周辺の車両との距離が拡大する時に自動操縦車はどのように追随すべきか。
・これが難しい。自然の摂理に合わせれば走行速度を下げても渋滞は発生しない。
・一方で、走行速度を上げても危険係数は上がらない。
・周辺車両との接触事故が発生するのはこのような時が多いのではないでしょうか。
・複数の車線が存在する場合に、現在走行している車線を継続して走行すべきなの
 か、他の車線に変更するべきなのか。速度規制も、本来ならレーン別に行うべき。
・例えば、しぜんの河川の流速は岸に近いところと中央では異なる。
・一般走行車線と追い越し車線の速度規制が同じというのもおかしい話だ。
・今までは、運転者に対する分かりやすい安全指導が重要なので、車線に関係なく、
 車線数に関係なく、平常時・渋滞時に関係なく、一定の速度規制をしていた。
・しかし、IoTが進み、豊富なデータを処理できる環境では、安全性、効率性、
 経済性などを考慮して最適な走行速度のガイドラインが決められるべきだ。
・逆に言えば、そうしたガイドラインが適切に規定されば、目的地に到着する
 までの希望時間に基づいて、走行レーンや走行速度を自動操縦車が判断すること
 が可能だろう。

2. 高速料金の見直し
1) 現状
・有料の高速道路の利用料金は、距離別です。
・法定速度を遵守して走行しても、速度オーバして高速走行しても同じ料金です。
・ただし、速度オーバするとパトカーに見つかって罰金を払うことになりえます。

2) 将来
・ETC対応車両がランプ間をどれだけの時間で走行したかを管理することは可能だ。
・鉄道では、急行より特急、特急より超特急の料金が高額なのは受容されています。
・高速道路でも、標準速度で走行した場合と、高速で走行した場合と、超高速で
 走行した場合の利用料金を変えても良いのではないか?
・技術の革新に合わせて、より短時間で安全に走行するようにする。それは望ましい
 社会ではないか。

3. 自動操縦車の前提条件
自動操縦車が普及した時に、すべてを自動操縦車が決めるわけではない。利用する人間が決めるべき事が必ずあります。利用者が決めるべき事と、自動操縦車が判断すべき事は明確に分けて考える必要があります。

1) 利用者が決める事
・出発地と目的地
・走行速度モード:標準モード、高速モード、超高速モード

2) 自動操縦車が処理する事
・走行速度モード別の到着予想時間と利用料金の表示
・周辺に高速モードや超高速モードの自動操縦車を検知した場合の謙譲走行
  (車線変更して高速・超高速モードの車両に車線を譲る)

4. 今後検討すべき事項

1) 走行モード別の高速料金
・現在の高速道路には、走行速度の概念はない。
・走行モード別の高速料金実現へのハードルは多い。

2) 法定速度の高度化
・速度規制は、運転者への抑止力を期待するが、自動操縦車では制御指示となる。
・推奨走行速度、通常最低速度、通常最大速度、渋滞時・故障時の推奨速度等を
 決められかが現状の体制では難しいだろう。

3)緊急走行車線走行の是非
・高速道路には、一般走行車線と追い越し走行車線とは別に緊急走行車線がある。
・自動操縦車がここを臨機応変に使うことが許容されるのであれば、後続車両に車線
 を譲るような走行が可能となる。

自動運転は専門分野ではないが、技術者として感じることをまとめてみました。

長文失礼。