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勤務の内外比較やテレワークなど(マクロ経済と人材経営#5)

はじめに
先週の講義に続いて、今週の講義も盛り沢山だった。うまくまとめきれないけど、自分の印象に残ったキーワードを中心にレビューしてみたい。

日本型経営のメリットとデメリット
終身雇用、年功序列、参加型経営は日本的な経営の代表例だろうか。企業別組合制度を取り上げることも多いし、お客様第一主義なども日本的だろう。欧米型の経営は短期的経営や業績評価、統制型があげられる。つまり、統制する型と統制される側を明確に区別するのが欧米方式だけど、日本型はみんなで一緒にやろうという村型経営と言えるかもしれない。
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出典:http://www.valueassociatesinc.com/news/20080822.html

日本の現場は一流とトップは二流
かつての日本企業の競争力の源泉はトップの理念に共感した現場の頑張りだったのではないだろうか。設計図面よりも出来上がった製品の方が改良が加えられていて、作った後に設計図面を改良するなんてことも日本企業では普通にあった。欧米企業ではあり得ないだろう。しかし、そんな圧倒的に強かった現場力が低下している。逆にガバナンスが弱いと統治を強化しようとするが、そもそも統治能力にかけたトップの場合には最悪だ。現在の日本企業の迷走は、かつての日本企業の強みを消し、弱みを強化できない構造にあるように感じるのは自分だけだろうか。

同一労働同一賃金
同じ仕事をしているのに採用の条件が異なるだけで賃金に格差があるのはおかしいという論法だ。英語では、「Equal pay for equal work」という。国際労働機関(ILO)ではILO憲章の全文に掲げていて基本的人権の1つと考えている。でも、日本で使われ始めたのは2016年のニッポン1億総活躍プランの中で同一労働同一賃金が明記された。個人的には、この言葉には違和感を感じる。なぜなら、労働の対価である賃金を決めるのは、労働の内容や労働の時間だけではないからだ。その人に求められる責任や地位にも依存するだろうし、その人の能力や経験、年齢にも依存する。そもそもジョブ型であれば、違和感は少ないけど、メンバーシップ型では違和感が満載だ。
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出典:https://www.nagasaki-np.co.jp/kijis/?kijiid=569354314653434977

定年再雇用の葛藤
サザエさんの時代は55歳定年だ。波平の設定は定年を控えたおじいちゃんなので、54歳だ。現在は55歳で役職定年を迎えて、60歳で定年を迎える会社が多い。定年後も本人が希望すレバ65歳まで再雇用という受け皿を用意する企業も多いが、その時の年収は現役の頃のほぼ半分だ。なぜこれほど安いのかというと、政府が年金の支給年齢を60歳から65歳に変更するのに合わせて、政府が企業に再雇用制度を求めたからだ。企業からすれば追加コストの発生を最小限に留めたい。政府も年金支給時期の変更が必至なんで了承した。割りの合わないのは会社勤めの社員だ。中小企業の場合には、年齢になっても代りがいないということで部長職等を継続すると収入はそれほど落ちないが、大企業では代りはいる。パーソル総合研究所の調査でも年収の低下が不満というのが9割を占めている。
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出典:https://rc.persol-group.co.jp/column-report/201812050001.html

テレワークの女性活躍
情報通信技術を活用して場所や時間にとらわれない柔軟な働き方がテレワークだ。具体的な方法として、在宅勤務やモバイルワーク、サテライトでの勤務等がある。コロナ禍に対応するためにテレワークが一気に広がった。しかし、効果を発揮しているケースとそうでないケースがあるように思う。自宅にWi-Fi環境があり、できれば一人で集中できるスペースがあり、長時間の勤務でも疲れない椅子があれば集中できる。効果も発揮できる。逆に、幼稚園や小学校に行けずに自宅待機する子供の面倒を見る必要があったり、Wi-Fi環境が整備されていなかったり、そもそもパソコンがなかったりすると、集中できないし、効率も上がらない。このようなインフラ以外に、ジョブ型かどうか、上司や同僚との人間関係=信頼関係ができているかも大きな要因だ。管理職の時には、できるだけ部下には大きく任せるようにした。細かな仕事を都度頼む方法もあるが、そうではなく、もっと大きく任した方が本人もやる気になる。また、分担表は常に縦と横を意識した。例えば、営業職であれば、A社とB社を任せるというよりは、外資系の証券会社を任せるといった縦と、PC管理や勤務管理を任せるというよりは管理系を任せるという横だ。縦の分担のみだと忙しい人と暇な人が生じる。横だけでも同じだ。でも、縦の担当と横の担当を割り当てると結構うまくいく。
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出典:https://www.japan-telework.or.jp/taidan1503/index.html

ドイツのギムナジウム
英米日は基本的に6・3・3制度だ。つまり、小学校は6年間、中学校は3年間、高校が3年間だ。しかし、ドイツはかなり異なる。そもそも教育は文化の一部と考えられているため州によって異なるが、一般的には6歳の時に小学校に入学し、4年間勉強して、その後の進路をほぼ決める。ほぼ決める意味は、小学校の5年と6年の段階で変更可能なためだ。約3分の1は統合学校やギムナジウムに進学し、単科大学や大学、大学院に進む。残り3分の2は実家学校や基幹学校から職業教育や専修学校に進む。前者は勉強だけではなく、企業へのインターンを行う。日本のような名ばかりではなく、半年程度派遣され、お互いが合意すれば就職につながる。後者の場合にも学校内での勉学に加えて、企業での実習を行うため、学校を卒業する時点では即戦力だ。
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出典:Die deutsche Schule – ドイツの教育制度 | 138国際誌

金融系企業がグロービスを活用した研修プログラム
企業による社員研修のアウトソースも広がっているようだ。特に管理者の登用に向けて、経営を担える人材の育成が急務ということでグロービスのプログラムを活用する例が紹介されていた。長時間労働を是正し、スキルアップを図るには、終業後の時間を活用することは会社にも社員にもメリットがある。自分は、自主的に社会人学生になったが、テレワークとオンライン授業はお互いに効率的で良い組み合わせだ。昨年度はよく頑張って通勤&通学していたと自分を褒めてあげたいくらいだ(笑)。
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出典:https://gce.globis.co.jp/column/age-management-of-selection-training

テレワークがうまく機能する条件
そもそもテレワークに対応できる仕事と対応できない仕事があるだろう。契約書の締結など捺印が必要な処理のために毎日出社している人がいる。しかし、これは捺印を不要とする仕組みを作るべき。テレワークがうまく機能するには、何が大事なのだろう。個人的には、人間関係=信頼関係と、やるべきこと が明確=ジョブ型スクリプションの2つと思う。人間関係には、相手の気持ちや立場を想像して、フォローする気持ちも含まれるだろう。上司が部下のことを考えて、部下は顧客のことを考えて、提案したり、調整するようなら好循環が生まれると思う。また、自律的な仕事と他律的な仕事という切り口もあると思う。他律的な仕事はきちんと処理すべき事項や優先度、スケジュールをしっかり管理できているかどうか。自律的な仕事なら方向性を間違っていないかなどを時々相談できる人間関係があるとうまくいくだろう。
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出典:https://recruitgroup.jp/n/n6a873fe69651

スウェーデンセーフティネット
山田教授は自他共に認めるスウェーデン好きだ。何がそれほど魅力的なのだろう。スウェーデンに限らず、北欧諸国では公共職業教育訓練が国民に保障された権利として広く普及している。いわゆる初等・中等・高等の義務教育に加えて、高等職業教育がある。仮にリストラになっても95%の収入は保障され、対象者の強みや弱みをマンツーマンでケアしてくれる。受講生には所得補償制度があるほか、職場訓練を含む教育の場合には受け入れ先から賃金が支払われ、受け入れ先には相応の賃金額が償還されるという。さすがです。
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出典:https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2016/176.html

西郷隆盛の言葉
講義では時間の関係で割愛されたが、興味深いスライドが混じっていた。それは能がある人には何をあたえるのか、功のある人には何を与えるのか、徳のある人には何を与えるのかという質問だ。西郷隆盛の遺訓集である南洲翁遺訓(なんしゅうおういくん)の第一条には為政者の基本的姿勢と人材登用の考え方が示されている。特に有名なのは、「心を公平に操り、正道を蹈み、広く賢人を選挙し、能く其の職に任ふる人を挙げて政柄を執らしむるは、即ち天意也。」の部分だろうか。また、「国家に勲労有るとも、其の職に任へぬ人を官職を以て賞するは善からぬことの第一也」と説いている。つまり、功績があるからと地位を与えてはいけない。「官は其の人を選びて之れを授け、功有る者には俸禄を以て賞し、之れを愛し置くものぞ」と、功があれば、禄を与えて評価すべきと説いている。地位と権限を与えるにふさわしいのは徳のある人だという。ここで徳のある人とは、自分の利益や部分の利益を考えるのはではく、国全体の利益を考えて行動する人のことだと理解する。つまり、今風に言えば、能あるものにはチャンスを、功あるものには収入を、徳あるものには地位を与えよということだ。
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出典:http://www.1-em.net/sampo/gennsisiroku/saigoB/index.htm

まとめ
今回も盛り沢山だった。最後には日本型経営はグローバル経営に通じるか、通じるようにするにはどうすれば良いかなどをグループ討議した。これはこれでいろいろな意見が出て興味深かったが、ここでは割愛する。あと、2回か。もっと聞きたいと思う。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。