LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

MBA甲子園の本大会を観戦

はじめに
MBA甲子園については、以前このブログでも書いたが、MBA甲子園2019にエントリーした。今日が本選だ。当校は残念ながら予選を通過することができなかったが、強豪校がどんなプレゼンをするのかを勉強しに観戦した。結論としては、どのチームも素晴らしいプレゼンをされていた。特に優秀なチームほど評価者から厳しすぎるほどの質問や突っ込みがあった。何れにせよ。優勝されたグロービス経営大学院東京校の皆様おめでとうございます。
MBA甲子園へのエントリーは無事終了 - LuckyOceanのブログ

MBA甲子園のスケジュール
次のようなスケジュールで計画された。MBA甲子園の存在を聞いたのは、エントリー受付締め切りの4月27日だった。いろいろあって、エントリーすることになり、4月28日にケースが配布されて、5月19日にエントリーした。そして、6月下旬の予定だったが、実際に結果が発表されたのは6月30日の16時だった。結果は残念でした。ただ、7月21日に本選があるということで観戦を申し込んだ。
f:id:hiroshi-kizaki:20190721190721p:plain

MBA甲子園の本選
会場は慶應義塾大学日吉キャンパスの協生館だ。日吉駅を下車するのは初めてだったけど、学生の街だ。駅の東側がキャンパスだけど、駅の西側は田園調布駅のように放射状の道路が特徴的だ。少し時間があったので、散歩したけど、飲み屋さんがいっぱいあった。メイン会場は協生館2階の記念ホールだ。そして、セミファイナルは5つのブロックがあり、それぞれで4つのチームがプレゼンする。それぞれのチームは2名から5名だけど、ほとんどのチームは5名だった。もし、当校のチームが出ていたら最低の2名でかつ、多分最高の平均年齢だっただろう。
f:id:hiroshi-kizaki:20190721191221p:plain

今回のエントリー
今回はMBA甲子園の第10回で、合計119校がエントリーした。昨年のMBA甲子園2018は161校がエントリーしたのに比べると、42校も減少したという。開催者は、今回の出題が難しかったためだろうかと説明していたが、どうだろう。セミファイナルには、神戸大学早稲田大学明治大学中央大学青山学院大学マギル大学MBA履修生のチームがそれぞれ1チームエントリーしていた。全部で20チームだが、それ以外は全てグロービス経営大学院だった。

グロービス経営大学院躍進の秘密
本選を観戦しても、周りはグロービス経営大学院(以下、「G」という)の方ばかりだ。隣のGの方と話をすると、次のように説明されていた。MBA甲子園2017においてGは優勝と準優勝を受賞すると躍進した。しかし、昨年のMBA甲子園2018では神戸大学が優勝した。Gの中でなぜ優勝できなかったのかがつぶさに検討された。そして、今年の4月にGのMBAの新入生が入学するタイミングで昨年度の教訓をいかに生かすかを討議。4月のエントリーの前に勉強会を実施。GのMBA生全員がエントリーするわけではないけど、かなりの人が立候補した。しかし立候補した人・チームが全員エントリーしたわけではない。

過去の教訓に学ぶ
Gが前回からどのように反省をしたのかまでは詳しくは聞けなかったけど、連続優勝を阻止された悔しさをバネにGの関係者やMBA生が奮起したのはよく理解できた。やはり、躍進の裏にはそのようなドラマがあったようだ。

MBA甲子園の視点
昨年度は自動車メーカが対象。今回は農機メーカが対象。ともに、成長カーブが飽和し、売り上げが伸び悩む。もしくは減少に反転する。しかし、財務状況は優良だ。社員も優秀だ。そんな中でどのように経営の舵取りをするのかを問う問題だ。

評価される点
出題された会社の内部状況や外部状況をしっかりと分析し、理解していること。当社の長期的な戦略とそれに繋がるべき短期的な経営改善計画がしっかりと描かれていること。人事や組織、財務の側面からも分析・提言していること。独自の創造的な工夫をしていること。そんなことが重要だ。今回は、どれもレベルが高くて評価者も困ったという。ただし、投資の会議ではないため、実現性よりも成長性や創造性、調査・検討や深掘りの熱意を重視するように感じた。若い発想を弄ぶと言うと言い過ぎだろうか。

優勝はG、準優勝は神戸大学
ハーバードレビュー賞ともう一つの賞を受賞したのはG大阪校だ。G東京校もスポンサー賞を受賞。昨年の優勝校の神戸大学は残念ながら準優勝。壇上から降りるときに悔しそうだったのが印象的だった。そして、栄えある優勝はグロービス経営大学院東京校の林シモンチームだった。本当におめでとうございます。f:id:hiroshi-kizaki:20190722054934p:plain

経営は科学かアートか
経営には正解はない。1999年に名商大ビジネススクールアメリカのトップの本屋さん「Barnes & Noble」とアマゾンのどちらが10年後に生き残るかを議論した。その時にアマゾンと回答した人は少数でほとんどは本屋さんだったらしい。このように現時点で、これが正解と思うものが本当に正解かどうかは誰にもわからない。その意味から経営が科学かというとそれだけではない。経営はアートかというと、アートそのものではないけど、アートの部分はある。つまり、科学とアートの融合というか、両者のバランスを取ることがMBAに求められていることかもしれない。
f:id:hiroshi-kizaki:20190722060159p:plain
 出典:ストラテジックシンキング | 名商大ビジネススクール - 国際認証MBA

農機は機能材
自動車は嗜好品の要素があリ、B to Cの商材だ。しかし、農機は、機能材で、B to Bの商材だ。農機を利用するのは農家であったり、農業を生業とする法人だ。そして、どのような農機を購入し、活用するかは、場所と食材のマトリックスで決まる。日本だけではジリ貧なので海外に進出するという提案は多かった。しかし、大切なのは、どんな場所で何を耕作するのかだ。国内の山間地を想定した農機を提案したチームもあったが、貧乏人を相手にしてもダメだろう。例えば、オーストラリアを選ぶなら、競争の厳しい小麦にするのか、ニッチのエリアにするのかで事業性は大きく異なる。ニッチを探すのは大変だけど、例えばワインの葡萄畑なら、小回りのきく日本の農機の優位性を発揮できるかもしれない。

イデアと実現性
MBA甲子園で求められるものの一つに発想力がある。それは単なる思い付きではなく、与えられた題意の中で創意工夫してアイデアを出し、仮説を設定し、それを検証する。実現可能かどうか。競合会社はどこか。そもそも法的に可能か。社内のリソースで大丈夫か。つまり、アートとしての発想力と、サイエンスとしての仮説検証の両方をすることで、評価者を唸らせるような提案をできれば成功だろう。

製造系の出題が多い
過去10年の出題を全てつぶさに見たわけではないが、製造系の企業を対象としたのが多いようだ。これは色々な理由があるのだろうけど、個人的にはもっとフィンテックの企業とか、プラットフォームの企業とか、君がCIOならどんなサービスを考えるかといった出題を期待したい。もし、来年度の出題がそんな企業やコンセプトならちょっとワクワクするかもしれない。

来年チャレンジする人へのアドバイス
MBA甲子園2020を来年開催するという。来年の4月にMBAへの入学を検討している人がいたら、今からMBA甲子園のHPをアクセスして、ぜひ予習をしておいてほしいと思う。そして、このセミファイナルに勝ち残るのは、やはり準備が大切だ。少なくとも、エントリーが始まる前には、生徒を巻き込んだ勉強会をする必要があるだろう。過去の問題にもトライして、もし、その出題だったらどう回答するかを検討して、提出する。提出フォーマットは全て決まっているので、一度演習する。ソフト開発で言えば、アジャイル方式だ。エントリーの受付が始まる前に、そんな経験を1度でもするかどうかがポイントだと思う。

サマリーはパワポ18枚
予選のエントリーの時に提出できるのは、パワーポイント18枚だ。本当はA4x3枚だけど、A4に6枚のスライドを載せるので最大18枚となる。予選のための資料は予選に提出するものなので、我々も18枚のスライドを作成して、なんとなく安心してしまった感がある。ここは反省点だ。つまり、予選通過したチームは、皆50-60枚のスライドでプレゼンをしている。したがって、予選のエントリーの段階でも、まずは50-60枚のスライドを用意して、網羅的な検討を行うべきだ。そして、その中で特に重要なことをエグゼクティブサマリーとして18枚に厳選して提出する。60枚から圧縮した18枚かそうでないかは見れば分かる。

14分のプレゼンで50-60枚のスライド?
これはMBA甲子園の習慣かもしれないけど、本来14分のプレゼンならせいぜい発表するのは20枚ほどだろう。そして、それはまさに予選にエントリーした時の資料かもしれない。そして、この20枚ほどのスライドを丁寧に説明すべきだと思う。そして、それ以外の40枚は別紙もしくは参考資料とすべきだと思う。でも、決勝に残ったチームは、もれなく50-60枚のスライドをどんどんめくって説明していて、ちょっと笑えた(^^)

若さと馬鹿さ
参加者を見ていると30歳台が多いような気がする。しかし、当校のMBA履修生は20歳台もいるけど、30歳台とか、40歳台とか、50歳台とか、自分のように60歳台とかベテランが多い気がする。ベテランはベテランの優位性があるけど、ある種無謀というか、やってみるかという軽いノリの人が少ないような気がする。どこまでバカになってバカなケーススタディにチャレンジすることができるのか。スティーブ・ジョブズではないけど、変に賢くならず、バカになる。「Stay Foolish」が重要な気がする。例えば、当校の提案はAaaS(アグリカルチャーアズアサービス)だったので、胸にAaaSと書いたTシャツでプレゼンしてみるのも一興だったかもしれない。内容は別にして印象には残っただろう(^^)

まとめ
来年のMBA甲子園2020にエントリーするかどうかは自分自身ではまだ決められない。興味が製造業ではなく、フィンテックとか、ベーシックインカムとか、消費者心理学とかそっちに移っている。家内も「今年頑張ったからもういいんじゃない」と軽い。来年のことより、来週提出すべき宿題をこなすことが至急だ。それでも、はじけている優勝者とかをみるとちょっと悔しい。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。