LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

次の一手シリーズは、キノコによる新素材活用!

はじめに
米倉先生の授業は面白い。仮想の企業ではなく、実企業のトップ経営者に対して次の一手を学生が提案する。そんなことが許されるのはそうそうない。前回は、クレディセゾンの林野CEOだった。予選では先生から厳しく指導されたが、本番はまあまあか。なんとか合格点を貰えていると嬉しい。打ち上げも盛り上がった。米倉先生によれば、林野会長には一定の評価をいただいたようだが、それは別のチームの提案かもしれない(苦笑)。

次の一手
ブランドに対するアンチテーゼをテーマとする企業だ。仮にM店舗としよう。熱狂的なファンは多い。自分も好きだ。二年前にエストニアに旅行するときも、旅行バックが欲しくて、探して、探して、結局気にいるものがなくて、お家にあるバッグで行った。でも、帰ってから何気なその店舗に行ったら、あるじゃないか。最初からここに来ればよかった(涙)。まあ、そんな話はどうでも良い、次の一手は"M店舗x(キノコ)xorder"の方向だ。

キノコはすごい
地球ができたのが46億年前という。そして、キノコが地球に現れたのは13億年前という。地球が二酸化炭素に覆われていたところに、植物が生息して酸素ができて、生物が住むようになったというが、その植物は数億年後だという。つまり、キノコが現れて、地上を多い、その菌糸体に水分が蓄積され、微生物が生息するようになって、土壌が豊かになった後に植物ができたということだ。現在の原生林も土壌を支えているのは、実はキノコの菌糸体だという。知らなかった。
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 出典:4億年前に8mのキノコ : 不平屋のつぶやき (´・д・`)

太陽の光がなくても、酸素がなくても、宇宙でも
キノコの生命力はすごい。そもそもキノコは生存に必要な機関をアウトソースしている。つまり、キノコの内部にはおかずに、菌糸体を伸ばし、メッシュ状に広げることでそこから栄養分を吸収している。まるでインターネットのネットワークのようだ。脳神経もよく似た構造かもしれない。キノコのアーキテクチャーは先進的だ。そしてこの菌糸体は、キノコだけではなく、微生物が育つ土壌であり、水分を蓄積するタンクであり、植物が生息するインフラだ。いわば生態系の肝だと言っても良いのではないだろうか。
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 出典:Paul Stamets: 6 ways mushrooms can save the world | TED Talk

縄文人もキノコを食べていた

大好きな縄文人は、どうもキノコが好きだったようだ。下の写真は、秋田の伊勢堂岱遺跡から出土したキノコ型の土製品だ。何のために作っていたのかは不明だが、もしかすると、食べて良いキノコと、食べてはいけないキノコを識別するために作っていたのかもしれない。縄文人縄文時代のことを想像するのは楽しい。
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 出典:https://intojapanwaraku.com/jpart/2118/

海洋のプラチックゴミは800万トン
漂流してきた鯨を調べると胃の中から大量のプラスチック製品が出てきたのをテレビで報道していた。これはショックだ。そして、太平洋には、プラスチック廃棄物が溜まる「グレートパシフィックガーベッジパッチ(GPGP)」の存在が指摘されている。そして、その量が半端ない。エレンマッカーサー財団と世界経済フォーラムによると、2050年までには海洋に生息する魚類よりもプラスチックが多くなると推定されている。THE OCEAN CLEANUPによると、800万トンのプラスチック廃棄物が世界の海で漂流している。2025年までにプラスチック廃棄物の量がほぼ2倍になるいう推定もある。
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 出典:画像 : 太平洋ゴミベルト Great Pacific Garbage Patch - NAVER まとめ

GPGPの広がりはフランス国土面積の3倍
海洋に浮遊するプラスチックゴミのことをGPGPと呼ぶのは先述の通りだが、その面積は、2018年3月22日のNatureによると、160万平方キロメートルだ。これは、フランスの国土の三倍だ。ジャンボジェット500機に相当する重量だ。推定では1.8兆個のプラスチックだ。120万個のサンプルを調査したところ、サンプルの99.9%がプラスチックだ。質量の92%は大きなプラスチックで、マイクロプラスチックは質量の8%のみだ。しかし、数量では94%を占めている。
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 出典:OCC News - The Great Pacific Garbage Patch is Growing Exponentially

キノコはオイルを分解する
下の写真は、有害な油のゴミにキノコの菌糸体を散布した実験だ。オイスターマッシュルーム菌は独自の方法で数週間で油を分解し始めて、複雑な炭化水素をより単純な酵素に分解した。そして、キノコが生育すると虫が惹きつけられ、それに沿って魚や鳥、昆虫が群がり生態系が育っていることが確認された。キノコは放射線を吸収するものもあるようだ。すごい。凄すぎる。
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 出典:The Petroleum Problem — Fungi Perfecti

キノコで革製品
初めて聞く人はびっくりするかもしれないけど、キノコを素材にして、革製品ができる。MuSkinが開発に成功した。MuSkinは、合成革ではないので、「完全に土に還る」ことができる。また、呼吸していうrので、バクテリアの増殖を抑え、足の臭いや汗を抑える効果があるという。
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 出典:http://www.fragmentsmag.com/2017/03/muskin/

キノコはインフルエンザにも効果的
これもにわかには信じがたいが、キノコは複数のタイプのインフルエンザのウイルスも退治するらしい。これが本当に実用化されれば、ノーベル賞級の発明じゃないだろうか。
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 出典:Paul Stamets: 6 ways mushrooms can save the world | TED Talk

3Dプリンターで生成可能
立体成型が可能な3Dプリンターの材料は、樹脂とか、金属が一般的だ。しかし、オランダ人デザイナーのEric KlarenbeekとMaartje Drosはキノコを材料とする3Dプリンターを開発したという。経験豊富なチームが、藻類製のバイオプラスチックを合成樹脂の代わりに使う3Dプリンターの開発に成功したという。
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 出典:Studio Klarenbeek & Dros « Inhabitat – Green Design, Innovation, Architecture, Green Building

キノコで家具
最近の家具といえば、合成木材を使ったものが多い。安くて簡単だけど耐久性が低い。特に天板は、傷がつきやすい。名古屋に単身赴任しているときに使っていたテーブルは、カバーをして、大切に使っていたが、戻ってきたらそのままで使っていて、もう傷だらけだ(涙)。下のテーブルは、木材と大理石で作ったテーブルのように見えるが、実際は天板がキノコを素材にしたものだという。素材に圧力をかけて形成するが、その圧力を高めることで硬度も決められるという。すごい。
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 出典:Now you can buy gorgeous furniture made of mushrooms | Popular Science

牛を使わない革、蚕を使わないシルク、動物を使わないファー
3Dプリンターを使った製品の開発はシャネルでも進めているようだ。3Dプリンターで洋服を作れば裁縫がいらないかもしれない。キノコを素材にした革や、蜘蛛の糸を応用したシルクのような糸、さらには毛皮のようなものまで作れるのだろうか。バイオプラスチックなど、新しい素材を活用して製品を開発する技術企業と、ファッションデザイナーなどのブランド企業との提携は面白いかもしれない。
 出典:オレンジ、パイナップル、キノコ……これが未来の新素材! [The New York Times] | MASHING UP

まとめ

キノコを使った製品の最大の課題は先入観との戦いだという。食糧問題への解決として昆虫を研究していて、特に幼虫の栄養素が高いという。しかし、食料に虫を入れるのは嫌だと感じる消費者は多いだろう。ロジカルではないのかもしれないが、生理的な嫌だとか、アレルギー体質だとか、そんな問題をどのように解決するのだろう。やはりお試し期間を設けて、納得してもらった上で長く使ってもらうような仕組みが重要かもしれない。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。