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ヘッブの法則からAIソフトと人間の役割分担まで

ヘッブの理論
脳細胞の動きについての法則だ。ヘブ則ともいう。脳のシナプスの可塑性についての法則だと言われても何のことだかわからない。

ヘッブの理論の提唱者
このヘッブの理論を提唱するのは、カナダの心理学者であるドナルドヘッブ(1904年7月22日〜1985年8月20日)だ。両親は医師だが、作家を目指し、心理学を学び、ハーバード大学で博士号を取得。その後、知覚や学習についての神経学的研究を行ない、それをヘッブの理論としてまとめた。

心や精神はどこにあるのか
人間の行動や感覚を司る心や精神は、脳神経に存在するのではなく、神経細胞同士の相互作用の中に存在するという考え方がヘッブの理論だ。つまり、ある神経細胞Aが別の神経細胞Bを継続的に刺激するときに神経細胞Bも活性化するとAとBの間の神経回路が活性化される。継続的に刺激するとAとBの神経回路は強化され、短期的な記憶となる。

短期的な記憶と長期的な記憶
点の記憶だけだと短期的な記憶だが、その点と点が繋がり、面的なつながりが強化されるとそれは長期的な記憶となるという。技術士試験でも、知らない言葉が出て面食らうことが多いが、そのような未知の言葉(キーワード)についての理解が深まり、さらにキーワードとキーワードの関係を理解すると、なんとなくその分野のことを理解したような気持ちになる。そのように理解することが長期的な記憶に繋がるということだろう。

ヒトゲノムとヒトコネクトーム
ヒトゲノムとは、人間のゲノムのことである。ゲノムとは遺伝情報のセットであり、ヒトゲノムは核ゲノムとミトコンドリアゲノムからなる。この核ゲノムには約31億のDNA塩基がある。ヒトゲノムの解読は非常にチャレンジングだったが、2003年に解読の終了が宣言された。一方、ヒトコネクトームとは、人間のコネクトームのことだ。コネクトームとは生物の神経系内の各要素がどのように接続しているのかという全体的な地図を意味する。人間の脳には約一千億ほどの神経細胞があり、その神経細胞間の接続数は1兆ほど存在する。ヒトゲノムの解明は終了したが、ヒトコネクトームの研究はまだ始まったばかりだ。

遺伝と環境
人間の性格は遺伝で決まるのか、環境で決まるのか。遺伝が8割とか、5割とか諸説あるようだ。しかし、昔からのことわざで言われるように、三つ子の魂百までというのは結構当たっているのではないだろうか。幼少時の性格と大人の性格は変わるものだが、その基本的なセットは幼少期に形成されるというのはあるかもしれない。先の人コネクトームに基づけば、1千億個ほどの神経細胞の形成はDNA、つまり遺伝に依存するだろう。しかし、その後の1兆ほどの組み合わせのどこが強化されるかは環境による。その意味では、環境の影響も非常に大きいと言えるのはではないか。
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SASのセミナー
新聞を読んでいると人工知能やAI、機械学習といった話題が満載だ。昨日もAIエンジンのパッケージソフトで先行するSAS社のセミナーを覗いてみたが、すごい集客力に驚いた。300人ほどが収容できる会議ホールが6 ほどあり、いずれも立ち見が出るほどの満席だ。しかも、それらの会議室では6回ほどのセッションをしている。ざっと考えても延1万人ほどの参加はすごい。先行してSASのAIエンジンを利用した成果が発表されていたが、医療あり、電力あり、金融ありだった。ポイントは大量の業務に適用すると省力化の効果が高いということだ。

AIソフトによる仕分け
例えば、マネーロンダリーに口座が使われていないかどうかを銀行は調べる義務があるが、この処理は大変だという。しかし、AIソフトを活用し、明らかに問題がない案件と、明らかな問題を仕分け、人間はどちらとも言えない微妙な案件に集中することで精査業務の効率化が飛躍的な向上したという。しかし、精査業務に長く従事した人はAIソフトの導入に反対だったという。その理由を問うと、「だって我々が実質している内容しかAIソフトはしていない。」、意味がないという。しかし、AIソフトは精査のベテラン社員が行うことを機械学習して、その通りに仕分けし、その理由を明記するような仕組みなので、それは当然だ。そして、精査のベテラン社員もそのことを理解すると、「繰り返しの作業から解放されて、より困難な案件や微妙な案件に注力できるのは歓迎すべきことかもしれない」と考えるのようになったという。最終的にはAIソフトが対応できる業務がどんどん増えるのだろうが、人間とAIソフトのあるべき役割分担の一つのパターンのように感じた。

技術士試験にチャレンジする人へのエール
総監を除く一般部門の二次試験は7月15日に予定されている。今年の試験にトライする人は技術ノートを作ったり、記述ドリルにトライしたりしているかもしれない。私も今回は情報部門にトライしているが、人工知能ブロックチェーン量子コンピュータあたりは出題に狙われやすいキーワードだ。人工知能では、教師あり学習と教師なし学習や、ニューロン構造などはマストだ。このような分野を調べていると先にあげたヘッブ理論やヒトコネクトームのキーワードを初めて知った。その意味することは難解だけど、点の理解ではなく、その点と点を結びあわせて面の知識にすることの重要性と効果は理解できる。

まとめ
AIは結論を出せても、その判断ロジックを示せないと聞いていたが、SASの講演では判断ロジックまでを出力する事例が発表されていた。AIを中心ととする業務改善はこれからの産業構造を改革する中心的なエンジンだろう。情報工学部門にも首尾よく合格できれば、人工知能の安心・安全な活用に向けての研究も継続して実施して行きたいと思っている。そのためにも合格しなければ(汗)。

以上