LuckyOceanのブログ

新米技術士の成長ブログ

60代で輝く技術士になるために50代でやるべきこと

はじめに
現在通っている大学院の修論のテーマは紆余曲折したが、なんとか方向性が定まってきた。そして、嬉しいことに、それは技術士の活性化が狙いでもある。

副業禁止と技術士の社外活動
自分が知っている技術士の方々は非常に優秀な方々だ。そして、いわゆる大手の企業の技術者として勤務している方々が多い。しかし、それら企業は就業規則に基づいて正規社員の副業を禁止している場合が圧倒的に支配的だ。このため、技術士の方々はなかなか積極的に社外活動をしない。しても、報酬を受け取らない。報酬がないとなかなかインセンティブが少ない。結局何もしないで定年を迎え、そのタイミングで技術士事務所を開設しても成功する確率は低いだろう。やはり、遅くても50代には技術士事務所を構えて、徐々に技術士としてのお仕事を引き受けて、信用を重ねて、人脈を広げる必要がある。つまり、副業解禁は企業内技術士の活性化を促進するのではないかというのが自分の仮説だ。

8月2日は第一回中間発表会
大学院に入学するためには、願書とともに自分が考えるプロジェクトの概要をまとめて提出する必要かある。面接試験では、そのプロジェクトについて質疑を行う。自分は、ベーシックインカムを導入した場合の経済的波及効果の検証みたいなことを研究したいと言って、面接の先生も面白いんじゃないと答えて合格したはずなのに、入学して先輩方のプロジェクトを見ると、どうも違う。何かビジネスプランを立ててそれを発表するビジネスプロジェクト型と、社会の課題を解決するような仮説を設定してそれを検証する課題解決型があるが、前者が多い。後者はだめではないけど少数派だ。今更、大儲けしたいとも思わないけど、社会的な課題は解決したいと思う。プロジェクトの主査を決めるためにオープンドアの期間があり、賛同してくれそうな先生と相談したが、それでもなかなか乗りが悪い。背中を押してくれた先生もいるけど否定的な先生もいる。どうやって検証するのかという課題を指摘する先生もいるけど、そもそもベーシックインカムには反対なんだという先生もいる。別に評価されるために研究するわけではないけど、頑張って研究するからには評価されたいし、成果もあげたい。一時期子ども食堂も調べたけど、なかなか良い課題が見つけられない。コロナ禍対応もあり、子ども食堂の営業を中止するところも多い。いろいろ考えて、テーマを変えることにした。

アブストラクトの提出は1週間前
現在の大学院のゼミは、大体隔週の土曜日の午後にしている。テーマを変えたいと直訴したのが6月中旬。良いだろうとなったのが6月28日の第8回のゼミ。そして、7月11日の第9回のゼミでプロジェクトの概要(アブストラクト)のドラフトを提出。指摘事項を含めて全面改定したもの7月23日の第10回ゼミで審議してもらって、なんとかOKをもらって提出する。テーマ変更の意思決定があと1週間遅れていたら間に合っていなかっただろう。ギリギリのタイミングだった。

当日のプレゼン資料は直前まで
アブストラクトはWORDでA42枚ほどだが、それは関係の教授に事前に配布される。当日のプレゼンでは、パワーポイントで資料を投影しながら進めるはずだった。しかし、コロナ禍の対応で、会場に集まることは避けて全面的なZOOM活用に方向転換した。個人的には、ZOOMにはすでに慣れているので、こちらの方がやりやすかった。自宅のWi-Fi環境が良くない留学生は会場で発表しようとしたが、マイクで音をうまく拾えないので結局会場のパソコンからZOOMでの発表で音も画面も明瞭になった。ZOOMなら誰でも同じように画面を見れるので、これまでのように遠くに座る人でも字が読めるような配慮は不要となる。プレゼンのお作法も変わるかもしれないと思った。

10分の説明と10分の質疑応答
子ども相手に45分の講座を年間200回ペースで3年間も実施したのは自分の財産だ。スライドを見れば大体どの程度の時間がかかるかは推定できる。逆に10分間で説明できるのはこれぐらいというのもわかる。自分の場合だと大体14-15枚だ。資料を整えて、プレゼンタイマーで時間を測り、スマホで録音しながら、説明する。10分で話せと言われれば10分でまとめる。ただ、後から録音したファイルを再生すると、早口だったり滑舌が悪かったり、説明ロジックがよくなかったり、いろいろと気づくことがある。直前まで録音ファイルを繰り返しきいて、頭の中でシミュレーションして臨む(笑)。

テーマは「『マルチタスクワーク』で60歳代を輝かせる!」
先に書いたように副業解禁すれば社員の社外活動が活性化するだろうという仮説だ。ただ、それを一般的なアンケートで検証しようとしても、深掘りができない。そこで、技術士に特化して、アンケートをとり、分析して、知見をえる。そして、その知見が技術士だけではなく、他の専門家でも使えるのではないか?とか、一般的に共通するのではないか?と拡張する。そんな作戦にした。

時間一杯まで質疑応答
当日の10分間の説明はほぼ時間通りだった。しかし、私の前の学生は時間を測ると10分ぴったりだったようで司会者が驚いていた。かなり練習したのだろう。自分は9分55秒だったと言われた。そこは四捨五入して、「あなたも時間ぴったり」でいいだろうとちょっと不満に感じた(笑)。残りの持地時間は10分で結局3名の教授からの質問を頂いた。最初の人はちょっと辛口の話し方だった。二人目の人はリサーチクエスチョンはどうするのかと質問された。三人目の方は学会等で発表するのかと質問された。検討しますという回答で対応した。

質問頂いた教授へのフォローメール
せっかく質問されたので、最初と二人目の先生には、質疑応答のメモを作成して、このような理解です。質問ありがとうございましたとメールすると、最初の辛口の感じの教授は、メールでも政府や社会や企業への不満を持ちながらもそれらを非難しても進まない。60代で輝くには50代や40代、できればもっと若い時期から色いろ社外活動にトライすべきだ。あなたの研究は意味があるから頑張れと最後はエールをもらった。多分、この先生はツンデレを得意技としているのだろう。自分もころっとファンになってしまった(笑)。二人目の先生にはZOOMでの指導をお願いして、リサーチクエスチョンとして、このようなことを考えていると説明し、先生からもすぐにアンケートをするのではなく、一人か二人で良いので試してもらって、ヒアリングして、その結果に基づいてアンケートの内容を改善するプロセスが非常に重要だと教えていただいた。まさにその通りだと思ったので、知人の先輩技術に依頼した。

先輩技術士へのアンケートの依頼
二人に依頼した。一人は10分ほどで回答してくれて、もう一人は1時間ほどかかって回答して頂けた。コメントも丁寧にもらい、ZOOMでのヒアリングの約束までさせて頂いた。明日の予定だけど、いろいろと教えてもらおうと思う。もう、本当に感謝しかない。

日本技術士会活性化委員との連携
2018年年度は土日のたびに日本技術士会が開催するいろいろなイベントには積極的に参加した。2018年度はIT21の会というグループの副会長もしたり、WCETの研修講師などもしたので、ポイントは規定の倍以上溜まって、申請するとCPD会員に認定された。しかし、2019年度は大学院の活動があり、ほとんど参加していないし、2020年度はほぼ皆無だった。ただ、日本技術士会の中でも開業支援セミナーがある。一度参加しているが、幹事の人に主旨を説明して、アンケートやヒアリングへの協力を打診した。結果はまだだけど、実際に開業している人たちを対象にアンケートができればこれはありがたい。ぜひ進めたいと思う。

まとめ
昨日は実は自分の誕生日だった。おうちでは大好きなお寿司とチョコレートケーキで祝って頂いた。ありがたいです🙏。
FBでも100人以上の友達からお祝いや良いねを貰った。懐かしい人も多くやはり嬉しい。
今日は少し時間が取れたので、大学の図書館で読書でもしようとかと思ったけど閉館していた。残念。事前に調査すべきだった。それでも、大学院の小さな図書館は開いていたので、そこで労務型の雑誌などをざっと見た。やはり参考になる。このまま帰ってもいいけど、今日は20時ぐらいに帰宅することにしていたので、市ヶ谷のスタバの隣の「TO THE HERBS」というお店でパフェをいただくことにした。ここはスタバと隣接しているので、スタバのWi-Fiも使えるし、横断歩道を歩く人たちの様子も見れて、自分の好きな場所だ。問題は、コロナ禍で太り気味なのに、昨日いっぱい美味しいものを頂いて、今日も甘いものを頂いて、これはやばいかも。
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以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

マクロ経済と人材経営の最終回(#7)を受講して

はじめに
2020年春期後半は修論以外に2科目を受講していたが、今週で終了した。幅広くて理解がなかなか追いつかない部分もあったけど、興味は尽きない。今日は最後の講義だったからか、マクロ経済について関心の強い学生、授業時間終了後も景気は?金利は?と質問が次から次に出た。私もCBDCの是非について質問した。来週から講義がないのは寂しいなあ。時間の制約もあるので、簡単にレビューしておきたい。

ワークシフト
著者のリンダ・グラットン(Lynda Gratton)は、ロンドンビジネススクールの教授だ。人材論や組織論の世界的な権威だ。ワークシフトやライフシフトを書いている。どれも内容が広く深い名著だ。ライフシフトの日本語訳に序文を起こしている。著者は1955年2月生まれだ。年齢は計算しないけど自分より2歳ほど上なのでほぼ姉と同じだ(笑)。
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3つの資本
リンダ・グラットンは著書ワークシフトの中で3種類の資本と3つのシフトを説いている。
1) 知識資本:知識と知的思考力
2) 人間関係資本:人的ネットワークの強さと幅広さ
3) 情緒的資本:自分自身について理解し、自分の行う行動について考える能力

3つのシフト
1) ゼネラリストからの連続スペシャリスト
2) 孤独な戦争から協力して起こすイノベーション
3) 大量消費から情熱を傾けられる経験へ

3つの資産
リンダ・グラットンは著書ライフシフトでは3つの資本の代わりに3つの資産を説いている。
1) 生産性資産:仕事で成功し、所得を不安のに役立つ要素
2) 活力資産:肉体的・精神的な健康と幸福
3) 変身資産:人生を生きる過程の変化を経験し、変身を遂げるために必要な資産

長く働く条件
山田教授から長く働く条件は何かと質問があった。ある学生は健康と回答した。自分は、気力と体力と知力と回答した。別の学生は好奇心と回答した。どれも正解だろう。

高齢者雇用のマネジメント
これは敬愛大学の高木朋代教授の著書「高齢者雇用のマネジメント」が詳しい。高木教授は一橋大学の博士課程(社会学)を卒業し、高齢者雇用の研究をされている。著書の中で定年退職者の継続雇用の特徴として、次の3点を指摘している。
1) 同一職内での長期の経験を積んでいる
2) 困難性を伴う起伏のあるキャリアを経験している
3) 能力の伸長に結び付く人との出会いをしている
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出典:https://www.recruit-ms.co.jp/research/2030/opinion/detail15.html

高齢社のチェックリスト
定年を迎えても気力、体力、知力のある人には働く場と生きがいを提供すると宣言しているのが高齢社だ。1938年生まれの山田研二が2000年1月に創業した会社だ。登録社員は945人で年商6億円強と立派だ。しゃれているのは心意気だ。コミュニケーションを円滑にする4つの「あ」とか、働く心得などは心に染みる。
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出典:https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20190123/resume/07-jirei3-koureisha.pdf

元気だから働くのではなく、働くから元気
楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいという。同じように高齢者では、元気だから働くのではない。働くから元気なのだという。生きがいを持って、「きょうよう」と「きょういく」が大事。

SHRM
話題が変わるが、SHRMとは戦略的人的資源管理のことだ。英語だと、「Strategic Human Resource Management」か。アメリカでは、資産ベース視点の戦略論を受けてSHRMの論争が活発だという。SHRMもベースになるのは、HRMだ。人材育成はマクロマネジメントとミクロマネジメントに分類される。前者は組織マネジメントと人材マネジメント(HRM)に分かれる。後者は従業員に直接影響を及ぼす方法だ。SHRAMはこのHRMをさらに戦略的に進めるものと言える。
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出典:https://www.kaonavi.jp/dictionary/hrm/

アルムナイ
ある学校の卒業生のことはOBやOGという。これはOld BoyやOld Girlの略だ。よく考えると失礼な言い方だ。米国では、OBの代わりにAlumnus、OGの代わりにAlumnaと言う。この複数形がAlumni(アルムナイ)だ。知らなかった。多分、まだ知らない人の方が多いのではないだろうか。本来は学校の卒業生グループだが、最近は企業の転職・退職者グループを指すこともあるようだ。

CSR論とCSV
CSRCSVは似て非なるものだ。共に社会性を尊重する考えである点は共通しているが、下のような違いがある。CSRは社会貢献を実施することで企業のブランドイメージを維持向上すると言うどちらかと言えば守りのイメージだ。一方のCSVは企業の持つ経営資源や専門性などを活用して、資本主義の原理に基づいてビジネスで社会の問題を解決しようと言うどちらかと言えば攻めのイメージだ。
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出典:https://www.sbbit.jp/article/cont1/29352

CSRへの賛否
現在は、CSRの必要性を否定する人は少数派だろう。積極的か消極的かの違いはあっても、賛成か反対かと言う議論には多分ならない。しかし、CSRの揺籃期には多面的な議論があったようだ。
・ピータ・F・ドラッカーの責任限界論
・A.B.キャロルのピラミッド論
フリードマンの否定論
・ロバート.ライシュのCSR批判

CSRと業績との関係
創価大学大学院の荒木真貴子さんはCSRやSRIなどの研究論文を2007年から2009年にかけて精力的にまとめられている。この論文では業種にも依存するが、CSRと業績には一定の相関関係があることを示している。ただ、ここが難しいところだが、業績が良いからCSR活動をしているのか、CSR活動をしたから業績が良いのかと言う因果関係まで落とし込むことができない。多分、両方の要因があるのだろう。
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まとめ
これ以外にも、フェアトレードコミュニティカレッジ、シルバーウッドなどについても興味深い話を伺ったが、時間の関係もあるので、割愛する。8月2日には修論の中間発表会だ。また、この科目のレポートが8月18日だ。とりあえずの草案はできているが、もう少し精査してから出すことにしよう(笑)。明日もお仕事がんばろう!

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

時系列分析を甘く見ていた(ビジネスデータ分析#7)

はじめに
2020年の春期後半の授業も今週が最後だ。ビジネスデータ分析の最後のトピックは時系列分析だ。あまり深く考えたことがなかったけど、学ぶと面白い。社会人学生の良いところは、普段使う頭脳が固定していて、普段使わない頭脳を活性化できる点にあるように思う。その意味では、もっと多くの社会人が学校に通う世の中になると日本も変わるのではないかと思ってしまう。

Rの勉強会
豊田教授はRの推進者でもある。学生からRの勉強会をしてほしいという要望もあり、昨年も実施した。最初は超簡単なところから入るが、加速度的に複雑な処理になる。勉強会も2回目になれば消化不良の比率も減少すると期待する。8月の月曜日の夜20時から21時までの1時間だけど、その前に動画がアップされて、その動画でよく理解できなかったことを先生に質問するという反転学習だ。オンライン学習でもここまでできるという良い実験になりそうな気がする。

時系列データ
株の売買をする人なら株価のチャートを長時間見ていても飽きないかもしれない。このタイミングで買って、このタイミングで売れば儲かるはずだとか、損したかもしれないと色々とシミュレーションできる。今回の講義では、一見、ランダムに値が変動するように見える時系列データもいくつかの成分に分ければ、説明可能となる。例えば次の3つだ。
・トレンド成分
・周期成分
・残差成分
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出典:https://info.midori-cloud.net/midoriblog/20190131_1026/

トレンド成分
ある時系列データの大きな傾向を示すものがトレンド成分だ。例えば、下の図で言えば、観測データ=トレンド成分+季節成分+残差成分となる。トレンド成分を求める典型的な方法は移動平均だ。理系的に言えば、ローパスフィルターで高周波成分を取り除く作業をした結果と言える。
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出典:https://data.gunosy.io/entry/statsmodel_trend

周期成分
世の中の活動は太陽と月の影響を受けている。つまり、一年間での周期と月の周期と週の周期と時間の周期だ。典型的なのは一年間でのサイクリックな周期だろう。ここでは測定したスパンでの年間の変動パターンや週の変動パターンは同一と割り切って、割り切れない部分は残差データとする。

残差成分
わかりやすく言えば、残差データとはモデルとの乖離だ。独立変数Xと従属変数Yの関係をリニアな関係と想定し、回帰直線を計算することはできる。しかし、実際に分布するここのデータは必ずしも回帰直線状にはない。この乖離が残差だ。例えば、一年間の周期モデルでトレンドを計算して生じた残差はゴミではない。ここにはまだ週の成分があるかもしれない。四半期の成分があるかもしれない。そのように残差をできるだけ少なくすることがデータ分析の面白さであり、醍醐味のような気がする。

移動平均
最も典型的な移動平均の求め方は、例えば下の図であれば、2期の中間移動平均とは1期と2期と3期の平均だ。3期の単純移動平均とは同じく1期と2期と3期の平均だ。中間移動平均は奇数の区間であれば簡単だけど偶数区間だと複雑だ。例えば4期だと。1期から4期の平均と2期から5期の平均のさらに平均を計算するという処理になってしまうので注意が必要だ。
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出典:https://bellcurve.jp/statistics/blog/15528.html

フーリエ変換
時間軸と周波数軸の変換がフーリエ変換だ。ある時間軸で変動する波形は、周波数軸に変換すると別の波形になる。唯一の例外は正規分布だ。フーリエ変換ラプラス変換は学生時代に知ってびっくりしたが、社会人になったらこれが商売道具になっていった。今回のテーマの時系列データでも、どのような周期性があるかは、フーリエ変換すれば明快だ。下の図にあるように、2Hzの信号と5Hzの信号と10Hzの信号に分解できる。実際の社会的なデータではこれほど明確には分離されることはないが、それでもPhythonやRを使えば、与えられた時系列データの周期性を分析できる。これは便利だが、今日の授業の枠を超えているので、これぐらいにする。
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出典:https://eetimes.jp/ee/articles/1505/14/news072_7.html

ボリンジャーバンド
英語ではBollinger Bandsという。1980年代にジョン・ボリンジャー氏が提唱した統計グラフの手法だ。秀逸なのは、台風の予想図のようにばらつきを考慮したマクロなトレンドをビジュアル化した点だ。±1シグマの間に収まる確率は68%だ。±2シグマでと95%、±3シグマなら99.7%だ。ポイントは、このシグマ(=標準偏差値)が小さい時は値の変動が収まっている時である。勝負すべきはこのシグマが拡大し、かつトレンドが上方志向の時だ。このような分析を駆使して稼いだのがジョン・ボリンジャーだ。ちなみに、このチャートの名前を聞かれた時に、とっさに思いついたらしい。デフォルト単純な移動平均だが、他のタイプの平均を使用できる。指数移動平均もよく使われるようだ。
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出典:https://www.avatrade.co.jp/kojiro/07/

エクセルの操作
棒線と折れ線や、複数の折れ線を一つのグラフにまとめたい時がある。その場合に悩ましいのが尺度の違いだ。しかし、エクセルでは、一つの数字列のみ主軸ではなく、第二軸として設定することができる。異なるグラフの合成は「組み合わせ」で可能だ。そして、別の尺度で表示したいグラフを選び、第二軸を設定すれば下のように見やすくなる。これはぜひマスターしたい。
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出典:Excel 2016:異なる系列を第2軸に設定するには

季節調整
トレンドのところで、「観測データ=トレンド成分+季節成分+残差となる。」と説明したが、このように成分の足し算で計算するのが加法モデルだ。一方、乗法モデルは掛け算で計算する。例えば、経済企画庁が開発したEPA法では、傾向変動Tと循環変動Cと季節変動Sと不規則変動Iとした場合に、観測値=TxCxSxIとして計算するモデルだ。
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出典:https://bellcurve.jp/ex/function/epa.html

トリム平均
観測データの中には異常値が含まれることがある。アンケートをとっていても、これはちょっとおかしいだろうというデータがある。そんな極端なデータを除いて(trim)処理する方法だ。トリミングといえば写真などで周辺をカットすることだ。そんな前処理をした上で平均することをトリム平均というようだ。知らなかった。
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出典:https://toukeigaku-jouhou.info/2018/09/03/trimmed-mean/

ARIMAモデル
時系列分析に使用される代表的なモデルとして有名なのがARIMAモデルだ。これは、過去のデータから将来を予測するモデルであり、自己回帰(AR:autoregressive model)と和分(I:Integration)と移動平均(MA:moving average)の3つを組み合わせたモデルだ。ARとMAのみならARMAモデルという。
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出典:

www.slideshare.net

VARモデル
自己回帰(AR)モデルにベクトル(V)を組み合わせたのがVARモデルだ。どこがすごいかといえば、単なる時系列のデータをnx1の列ベクトルで表現することで予測精度を高めていることだ。まだ、意味や方法を十分に理解できていないが、Rを使えば簡単に処理できるようだ。実際の世の中のデータは様々な時系列データとの関連性を有しているので、そのような前提ではVARモデルは有効らしい。まだまだ研鑽が必要だ。
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出典:https://tjo.hatenablog.com/entry/2013/07/25/194546

まとめ
課題の提出が残っているが、ビジネスデータ分析は面白かった。特に重回帰分析は、アンケート結果を集計したり、何か仮説を検証する上では必須だ。また、質のデータをダミー変数に置き換えて検証する方法も使えると思う。これから修論の本番だ。8月2日の発表でどんな意見が出てくるのだろう。楽しみのような恐怖のような。それよりは、革新性があって、実現性があって、拡張性があるようなプロジェクトにしたてあげることができるのだろうか(苦笑)。

以上

最後まで読んで頂きありがとうございました。

テキストマイニングは面白い

ブログの下書きに残っていた。せっかくなのでアップします。もうすっかり記憶の彼方。。。

はじめに
データマイニング#6を受講した。今日のテーマはテキストマイニングだ。つまり、文章の中から何か素敵なお宝を見つけるという手法を習った。習ったからすぐに使えるものではないし、使ったらお宝が見つかるわけではない。でも知らないと何も進まない。その意味ではお宝を見つけるためのヨチヨチ歩きの最初の一歩という感じだ。

KHCoder
今日は講義の中で新しいツールの紹介があった。それがKH Coderだ。WindowsMacの両方で動くはずだけど、Macの方はインストール作業が煩雑とマニュアルに明記されている。このため、この煩雑さを解消するための有料ソフト(3,980円)が販売されていた。これを買うかどうかはもう少し考えてみようというか、購入したからには使いこなしたい。
KH Coder自動設定ソフトウェア(Mac用3.Alpha.17i最新アルファ版)
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 出典:https://khcoder.stores.jp/items/59b5f866f22a5b2f0f0001a4

NPS
顧客満足度(CS)を評価する代わりに、最近はNPSを評価することが流行っているNPSとはネットプロモータスコアの略だ。つまり、ある会社のサービスに満足したかどうかではなく、そのサービスを誰かに紹介したいと思うかどうかを質問する手法だ。そして、その指標が0から10の11段階である。NPSの値は、推奨者(9-10点)の割合(%)から批判者(0-6点)の割合を引いた値だ。ただ、この推奨者や中立者、批判者の閾値は国やケースによって変えることもあるようだが、先に示したものが一般的なNPSの求め方だ。
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 出典:https://webtan.impress.co.jp/e/2017/03/08/24303

CSポートフォリオ
横軸を総合満足度への影響度、縦軸を各項目の満足度とするマトリックス分析だ。右下のゾーンは総合満足度が高いけど、個別の満足度が低い。つまり、最優先で改善すべき項目とされる。右上は、総合満足度も各項目の満足度も高いので、現在の満足度の源泉という。左上は、総合満足度が低いけど各項目の満足度が高いところであり、現状維持項目とされる。最後は、左下だ。総合満足度も各項目度の満足度も低いところだ。つまり、最低評価項目という。
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 出典:CSポートフォリオ分析|マーケティングリサーチのマクロミル

RFM分析
お客様をグループ化する手法の一つだ。つまり、最近いつきたか(R=Recency)、頻繁に来たか(F=Frequency)、いくら使うか(M=Monetary)という3つの指標で顧客を分類し、それぞれの性質に基づいて、適切なマーケティングをしようという考え方だ。商売屋に取っては当たり前の概念だけど、いつも利用してくれるお得意様のことを頻繁に来るかどうかと、最近ご無沙汰していないかどうかと、たくさんお金を使ってくれるかの3つの要素でお客様を分類する。例えば、自分はスタバを良く使う。昨日も使った。多い時は週に5回も6回も使った。でも利用はコーヒーばかりだ。割と直感的にも理解しやすい分析だと言える。
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 出典:顧客分析の手法(デシル分析、RFM分析) | データ分析基礎知識

テキストデータの分析
我々が普通に使う日本語は、世界の中では特徴的な言語だ。

1) 膠着言語
日本語は、膠着言語だという。言語は、そもそも屈折語と膠着ごと孤立語の3つに分類できる。屈折語の典型は印欧祖語だ。孤立語の典型は古典中国語だ。膠着語の典型は日本語だ。フリードリヒ・フォン・シュレーゲルとヴィルヘルム・フォン・フンボルトが3分類法を提案した。アフリカなどで使われる抱合語を含めて4分類とすることもある。膠着言語には、日本語、フィンランド後、トルコ語モンゴル語タミル語、シュメール語などがある。面白い。
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 出典:言語類型は循環的に変化する: 椅子は硬いほうがいい

2) 分かち書き(以下は省略)
3) 形態素解析
4) 共起関係
5) デンドロ分析
6) キーグラフ
7) ワードクラウド

まとめ

ブログの下書きに埋没していた。せっかくなので、アップした。こんなにいろいろなことを教わったのに、すっかり忘れている。。ブログを読んで復習します(汗)。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございます。

副業の意識調査(本業で稼ぎ、副業でも稼ぐ)

はじめに
大学院の修論には副業に関するテーマを選定することにした。最終的に決めたのは6月18日だ。それまで進めてきた子ども食堂は、それはそれで興味深いけど修論のテーマとして適切な成果が出てくるとも思えない。副業に舵を切りたいと指導教授と相談して了解を得た。副業に対する研究ネタを探ってみたが、やはり他人の調査では細かな構図が見れないため独自調査を実施した。独自調査と言っても100人程度に対するネットでの調査だ。マクロミル社のQuestantを活用した調査はこれで丁度10回目だ。

Questantによるアンケート調査
昨年の豊田教授の授業でアンケートをネットで調査して、分析することが可能であることを知り、昨年の8月13日に有料会員となった。アンケートのフォームを作ることは無料会員でも可能だが、ネットで回答を求めるには有料会員である必要がある。とは言っても、年会費5万円だ。また、100人程度のアンケートなら税別1万円の追加費用もかかるが、これなら小遣いの範囲で対応可能だ。現在の契約は8月12日までなので、継続するかどうかの意思決定はこの日までにすべきだ。
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出典:https://help.questant.jp/hc/ja

海外でのアンケート
日本国内でのアンケートであれば、Questantで可能だし、多少回答者の特性が偏っている感じはあるけど、十分満足している。問題は海外との比較をしたいときだ。調べてみるとSurveyMonkeyが4番目にランキングされていた。これは日本語にも対応している。使ったことはないけど多言語アンケートも可能だ。これまで使ったことがないのと、回答者を募集してくれるのかどうかが不明だ。もう少し調べる必要があるけど、8月12日までに決めないとQuestantが自動更新するので注意が必要だ。
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出典:https://mopinion.com/top-21-best-online-survey-software-and-questionnaire-tools-an-overview/

副業と働く意義の意識調査
タイトルの本論に戻ろう。6月に準備して、7月1日に回答の募集をかけたら、17:03に最初の回答があり、19:59が最後の回答だった。Questantでは合計110の回答をわずか3時間ほどで回収している。ネットのアンケートはやはり効率的だと思う。男女はそれぞれ55名ずつだけど、下のグラフに示すように男性は50歳台などやや平均年齢が高いが、女性は10歳台や20歳台など若い人が多いのが異なっている。全国の33の都道府県から回答頂いた。質問は9問であり、その概要を報告したい。
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出典:Questantによる独自調査(以下省略)

Q1.あなた自身について
最近は、回答者自身の価値観や性格の自己理解を最初に確認するようにしている。やはり回答者の回答結果は、回答者の考え方を反映するので、そもそもどういう性格や傾向の人かを知りたいのと、回答者の属性をデンドログラム等で分類するとその分類したグループによって回答の結果が大きく異なることが多いためだ。また、最初に回答者自身のことを聞くことで答えやすい効果とか、ばらついた回答をさせることでバイアスを最小にする効果も狙っている。結果的には、一人でいることが好きに肯定的な回答をした人が全体の約74.5%だった。
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男女別にみるとどの質問もほぼ同等か、女性の肯定的な回答が多かったが、リーダシップを取りたいかという質問には男性が23.6%が肯定的なのに、女性は10.9%しか肯定的ではなかった。女性活躍が騒がれているが、リーダシップを取りたいという女性は男性の半分程度ということかもしれない。
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Q2.あなたの生活満足度について
7月1日はコロナ禍の最中であることも影響している可能性はあるが、最も多かったのは時間的に余裕があるという回答だった。幸せだと思うとか精神的に余裕があるという回答も多い。ただ、肯定的な回答が少ないのが人とのつながりを感じると、経済的に余裕があるだった。これって精神的に寂しく経済的に厳しいと言うことか。
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男女別にみると、下の図に見るように、時間的余裕、経済的余裕、生活満足度の3点で女性の肯定的な回答が男性より多い。例えば経済的な余裕があるに肯定的な回答をしたのは、男性の16.4%に対して、女性は29.1%とほぼ倍近い。平均年収で見ると確実に男性の方が女性より多いことと矛盾していないだろうか。私見であるが、これは、家計を握っているのが誰に依存するかに依存するだろう。お若い夫婦であればそれぞれで管理するケースも多いようだが、中高年齢では主婦が家計を握るケースも多いのではないか。旦那の稼ぎは主婦のもの、主婦の稼ぎは主婦のもの。そんな呟きが聞こえてきそうな気がするのは自分だけだろうか(笑)。
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Q3 あなたの勤務状況について
アンケートはできるだけ肯定的な質問にすべきだけど、最初の質問を「現在は働いていない」という否定的に質問にしてしまった。これは「現在は働いている」という質問にすべきだった。少し理解しにくいが、現在働いているのは55%ほどとなる。正規社員としての勤務に肯定的なのが34%、非正規での勤務が17%ほどだった。また、副業で報酬を得ているのは15%ほどだった。微妙なのは副業で報酬を得ているかという質問いどちらとも言えないが11.8%もあることだ。この辺りは聞き方に注意が必要だ。
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男女別にみると、最も特徴的なのは正社員として勤務しているに肯定的な回答をしたのが、男性の49.1%に対して女性は20.0%と少ないことだ。逆に、副業での報酬は女性の21.8%が肯定的なのに男性は9.1%のみが肯定的と対照的だ。
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Q4.あなたの副業に関する理解について
報酬の条件が良ければ副業に肯定的な回答が51.9%を占めた。ついで多いのは、スキルの活用や社会貢献だ。会社の就業規則で副業を禁止しているに肯定的な回答が21.8%あった。
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男女別にみると、就業規則で禁止に肯定的な回答をしたのが、女性の12.7%に対して男性は30.9%と倍以上に多い。これは男性が正規社員として勤務していることが多いことに関係している可能性がある。一方、女性の肯定的な回答が多いのは、報酬の条件が良ければだ。男性の43.6%に対して女性は60.0%と高い。また、届出が不要な範囲で副業も男性の7.3%に対して、女性は21.8%と肯定的な意見が多い。会社から禁止されて副業に躊躇している男性に比べて、報酬が良ければ積極的に副業にチャレンジしている女性が多いと言える。
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Q5 あなたの居場所について
居場所について肯定的な回答が多かったのは自分の家と、自分の部屋だった。まさに、文字通りの居場所なのかもしれない。居場所として肯定的な意見は少ないのが、地域やネット学校・会社だった。
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男女別にみると、男性が多いのは学校や会社で女性の5.5%に対して、男性は16.4%だった。趣味や遊び友達も男性の方が肯定的な回答が多い。逆に肯定的な回答が女性の方が大野はお家であり、男性の70.9%に対して、女性は85.5%だった。男性は外でお仕事したり、遊んだりして、女性はお家でゆっくりするというのが現在の居場所の状況なのだろうか。
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Q6. 社内副業について
単なる副業だと、労務管理上の問題やセキュリティ上の問題があるため、これらを回避するために社内副業にトライする企業が出ている。これについての意見を聞いたところ肯定的な回答が多いのが、追加の報酬が得られるなら、社内副業よりも賃上げ、スキルを高められるなら賛成等だった。まずは、現在の低い収入をなんとかしてほしい。なんとかしたいという気持ちが読み取れる。
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男女別にみると、男性の方が肯定的な回答が多いのが、社外副業解禁を望む声で、女性の27.3%に対して男性は41.8%だった。ついで、社内副業解禁より賃上げが、女性の40.0%に対して男性の49.1%だった。逆に女性の方が肯定的な回答が多いのは、スキル向上ならで男性の34.5%に対して女性は43.6%だった。不平をあげる男性に対して、スキルアップに勤める女性という感じがする。
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Q7. スキルアップについて
しかし、本当にスキルアップに努めているのかというとそうではなかった。特にスキルアップをしていないに肯定的な回答が51.8%とダントツに多かった。次に多いのが図書やネットでの知識や情報の獲得。社内勉強会や社外研修などへの参加は少ない。
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男女別にみると、女性が特に肯定的な回答をしたのが特に何もしていないで、男性の41.8%に対して女性は61.8%だった。男性が多いのは会社内での勉強会で、女性の10.9%に対して男性は18.2%だった。個人負担で社外の研修等を受講するのは、男性3.6%、女性1.8%と共に非常に低い状況だ。スキルアップにこれほど無関心だけど、収入は増やしたい。自主的な努力ではなく、他人任せな構図が読み取れる。
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Q8. 定年後の仕事について
最も肯定的な回答が多かったのは、のんびりと過ごしたいと、好きな趣味をしたいだった。誰かの役に立ちたいとか、貢献したいという意欲を持つ人は残念ながら3割を満たないレベルだ。
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男女別にみると、男性の肯定的な回答が多いのが、社会貢献活動や専門家としての仕事だ。女性の肯定的な回答が多いのはのんびりと過ごしたいや子供や親の世話をしたいだ。また、男女ともに3割弱は低賃金でも仕事をすると回答しており、老後の不安を感じている人だろう。ただ、現在の60歳はまだまだ若い。老ける年齢ではない。あと10年ぐらいは活躍する社会にするべきではないだろうか。
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Q9. あなたの年収について
この質問で意外だったのは、副業による年収がゼロと回答した人が69.1%だったことだ。これは裏を返せば、なんらかの副業から収入を得ている人が3割ほどだということ。
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個人の年収では、一般に男性は正規分布で、女性は指数分布と言われるが、今回の調査でも男性は600-700万円という回答が最も多く、女性は年収ゼロがもっとも多い結果となった。副業でみると、男女ともに指数分布だ。副業による収入を得ている人でも、年収が50万円以下が77.4%だ。900万円以上稼いでいる人も1割ほどいるが、うち3分の2は女性だ。女性の勝ち組と言えるかもしれない。
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副業による収入の多重回帰分析
少し専門的な分析になるが、副業による収入の金額はどのような要因に強く影響を受けているのかを調べた。確からしい要因は4つあり、そのうちの2つはプラス要因で、他の2つはマイナス要因だった。まずプラス要因から言えば、好きな趣味を持っている人の係数は0.68と高い、次に本業の年収が高い人も係数が0.15だ。また、確かさは少し疑わしいが専門家としての仕事をしている人も係数は0.24と高いし、スキルアップセミナーを受講している人も係数は023だ。つまり、本業でしっかり稼ぎ、趣味をもち、専門家としての仕事をしていてスキルアップを心がけている人は副業でもしっかりと稼いでいる。逆にマイナス要因がでは、お家が居場所の人は係数が-0.61、就業規則で禁止の人の係数も-0.44。さらに確かさは少し疑わしいが、保守的な人も係数は-0.20だ。つまり、保守的で自宅にいて、就業規則で禁止されている人は稼げていない。まあ、当然と言えばと当然の結果と言えるかもしれない。
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まとめ
これ意外にも色々と分析は試みたが、調査のサンプル数が110なので、あまり確たることは言いにくい面もあり、ブログ上では割愛する。現在の副業に対する声は、男性と女性ではかなり異なっている気がする。日本では大企業ほど就業規則で副業を禁止しており、そのような大企業で勤務するのは男性が多く、これらのセグメントは副業に対して懐疑的である。逆に、非正規で働く人は、そもそも副業の規制がなく、収入を得るために本業に加えて副業にもトライしている人が多い。副業に対しては、報酬目的が多いが、スキルを伸ばすためや、社会貢献したい、専門技術を活用したいという声も一定数いることは確認できた。また、実際、趣味をもち、専門的な仕事でスキルを高めている人は副業でも稼げていることがわかった。来年の2月の最終発表に向けて副業のあり方や、副業の効果と注意点などを研究し、検証していきたい。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。

起業や副業、フリーランスを考える(マクロ経済と人材経営#6)

はじめに
山田教授の授業も来週までだ。名残惜しい気持ちが高まる。クラスメートともZOOMだけでの会話だけだ。早くFace-to-Faceでの飲み会とかしたいけど、まだそのような話しになっていないのが残念だ。

リーダシップ・パイプライン
この言葉は、企業では常に自分の後継者を育てる必要があるというGEの元CEOジャック・ウェルチの想いを示したものだ。出世街道を駆け登る立場から見れば、ステージを上がるための試練と淘汰がある。また、トップから見れば、社長の最も重要でかつ最も困難な仕事は後継者の育成とバトンタッチだろう。これに失敗した企業には快挙のいとまがない。一旦バトンタッチしたけど、また会長から社長に戻る例もある。
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出典:https://www.iibc-global.org/library/default/ghrd/ghrd_project/stepbystep/pdf/advanced-chapter03.pdf

ロミンガー社の法則(70:20:10)
パイプラインとセットで語られることが多いのがロミンガー社の70:20:10の法則だ。これは何かと言えば、人を育てる要素として最も大きいのが実務経験で70%を占めるというもの。仕事を通じた指導や助言は20%であり、座学による教育はわずか10%に過ぎない。仕事が人を育て、地位が人を作るという。確かに、あるポジションに抜擢されて、期待されていることを実感するとアドレナリンは出まくって頑張ってしまう。故野村監督の名言には地位が人をつくり、環境が人を育てるというのがあったのを思い出す。
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出典:https://selfcoaching.3x3career.com/advisor/characteristic/model-for-learning-and-development/

外国人労働者の受け入れ
2020年1月31日時点での厚生労働省の発表では、外国人労働者は前年同期比13.6%増の165万8804人だった。中国からの受け入れが約41万人、これについでベトナムからの受け入れが約40万人。これ以外にはフィリッピンやネパールなどのアジアからの受け入れが増えている。在留資格では、技能実習生が約38万人、高度人材も約32万人を占めるが、2019年4月の改正出入国管理法で創設された特定技能による受け入れはわずかだったという。
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出典:https://visa.yokozeki.net/tokutei-ginou/

正社員の比率
非正規社員の比率が増加しているのは確かだが、正規社員が減少しているわけではないようだ。慶應義塾大学小熊英二教授は著書の中で、正規社員が減少したわけではなく、自営業や家族労働者が非正規に回っていると指摘する。この著書の中で興味深いのは、仮に日本の人口が減少し、それでも多くの企業が業績を維持することができて、正規社員の枠を保持したとすれば、正規社員比率は向上するかもしれないと書いている。子供が苦労しなくても、大手企業の正規社員として採用されるようになれば、母親は安心して子どもを産むようになるかもしれない。人口問題の難しさはこういう心理メカニズムが複雑な点にあると思う。
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出典:小熊英二著、日本社会の仕組み(日本を支配する社会の慣習)

学生と企業の関係の日米比較
米国では大学を卒業して、数社を経験したら大学院に入学し直して、MBAなどを取得したら幹部候補生として入社し、そのあとは頑張ってその会社でのキャリアを形成することが多いそうだ。これは日本のキャリアプランとは全く異なる。日本は学歴社会と言われるが、大学を卒業後、修士や博士を目指す人は少ない。これはなぜかと言えば、入社してからは学歴が問われることが少ないためという。OECDの調査では、仕事に必要な学歴よりも自分の学歴の方が高いと思う人の割合は日本では30%以上とOECDの中ではトップだった。
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出典:OECD

フリーランス
特定の企業や団体、組織に専従しない独立な形態で自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人をフリーランスと言うとフリーランス協会は定義している。日本にはどの程度のフリーランスがいるかと言うと調査する母体によって異なる。内閣府の調査では341万人(2019年)、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)では390万人程度と考えられている。JILPTの調査では390万人のうち290万人が本業として、100万人が副業として対応しているようだ。自分が注目しているのは、副業型フリーランスのうち、雇用x個人事業主のパターンだ。
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出典:https://www.freelance-jp.org/start_freelance

インディペンデント・コントラクター
終身雇用はもはや幻想だと言う。雇わない・雇われない働き方が、インディペンデント・コントラクター(独立業務請負人:IC)だ。「高度な専門性を持ち、組織から独立して、個人の価値基軸で意思決定し、会社の垣根を超えて仕事をしていく。」のがIC協会が語るICだ。ICという言葉はマイナーだけど、いわゆる自営業者、個人事業主と考えればいいのかもしれない。
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出典:https://news.livedoor.com/article/detail/7669243/

プラットフォーム労働者
ウーバーイーツを利用されたことがありますか?配達員はUberのプラットフォームの上で、利用者からの注文に基づいて食料をピックアップして利用者が希望する場所まで配達する。これを体系化したものが下の図だ。Uber Eatsは対面型だけど、非対面型もある。というか、非対面型の方はさらに再委託型か仲介型か、仲介型はマイクロ型かコンペ型かプロジェクト型かと細分される。なんだか、人に使われるのではなくて、コンピュータに使われているような感じがする。
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出典:http://ictj-report.joho.or.jp/2001-02/sp05.html

デジタル・プラットフォームの脅威
プラットフォーム労働者を支えるのはデジタルプラットフォームだ。そして、ITの進化、ネットの進化、AIの進化などが全て取引コストの低減を実現する。最終的には限界コストゼロの世界か。既存の企業がデジタルプラットフォームをベースとした企業と戦うことになるのか、それともこれまでの資源を活用して、参入することになるのか。何れにせよ、世の中のビジネスはオンプラットフォームでの行動となるだろう。
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出典:プラットフォームエコノミーの将来

従属的自営業者
このようにプラットフォームビジネスが拡大すると、従属的自営業者が拡大していくとの予想がある。プラットフォームワーカーがこのプラットフォームビジネスの投資を兼ねている場合には働き、仕組みを改善することで投資家としてのリターンも拡大する好循環が期待される。しかし、労働者と投資家が別の場合には、さらに貧富の二極化が進むことになりそうだ。
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出典:https://www.jil.go.jp/foreign/report/2019/pdf/19-03_f.pdf

ロナルド・コース
ロナルド・H・コース(1910年12月-2013年9月)はイギリス生まれの米経済学者だ。1991年にノーベル経済学賞を受賞している。特に取引コスト概念による企業存在の基礎付けというユニーな業績が認められた。企業が内部のリソースを活用するか外部のリソースを活用するかはどのように判断するのだろう。そのノウハウがどちらかにしかなかったら答えは決まる。どちらでも可能な場合には、その取引コストが小さい方を選択するのが経済合理的だ。
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出典:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd121400.html

グループワーク
今回は、ICの意義や課題、可能性、必要となる能力について話し合い、それぞれのグループの代表が発表した。それぞれのグループのいいとこ取りをすると次のような主旨になるだろうか。

ICや副業の意義
どのような立場が想定されるだろうか。例えば、会社側から見れば、外部の専門家のノウハウやリソースを合理的な料金で利用できるのであれば、意義はあるだろう。提供する側から言えば、自ら蓄積し、磨いてきたノウハウや経験を広く活用してもらい、結果として対価を得ることができればやはり意義はあるだろう。社会の立場で考えれば、革新するプラットフォーム技術を活用して、安価で高品質なサービスを安全・安心して利用できる社会は望ましいのでやはり意義があると言える。

課題
では何が課題だろうか。会社に勤務する専門家がICを目指そうとした場合に、特に日本の大手企業では就業規則を持って制限をかけようとするだろう。政府は副業解禁を促進する立場をとっているが、企業は慎重だ。政府の狙いは何かと教授に質問したら流動性を高めたいのだろうという回答だった。でも、なぜ流動化を高めたいのか?そして、流動化を高めると政府にとってはどのように良いことが起きるのか。それとも外圧だろうか。ICと副業は同義ではないが、良い副業と悪い副業があるという。前者は専門性やスキルを活用する副業。後者は単なる収入目的。収入目的で働かないといけないとしたら、それは本業の賃金が低すぎることにほかならないといえるのではないか。

可能性
ICや副業がもっと活発に活用されるとどのようなことが期待できるだろう。自分は敗者復活のシナリオを描けるのではないかと発言した。つまり、結婚して出産した女性は、なかなか企業に戻れない。それならば、同じように困っている女性のための事業を起業することも可能かもしれない。定年退職して、長年勤務した会社に再雇用されたと思ったら年収が半減した。不満に思うのであれば、市場に自分の価値を問てみると良いかもしれない。学校を卒業して就職したが不本意な仕事にしかありつけない。そんな人が知恵を出し、汗を流して起業する。そんなチャンスが広がる社会は期待が持てる明るい社会だと思う。

必要な能力
起業すると言っても簡単ではない。他の人ができないことをやる。他の人よりも素晴らしい品質を実現する。安く実現する。早く実現する。丁寧に心を込めて実現する。そんな努力と資質と人的コネクションが重要だろう。フリーランスは一人でやるものではなく、連携してやるものとも言われる。

まとめ
昨日の授業で習ったことをレビューしようと思ったらどんどん話題が広がってしまった。起業するのは勇気がいる。準備も大変だ。しかし、日本では起業しようと思った人の多くは起業できているようだ。問題は起業しようと思うかどうか。特に大企業の正社員として雇用が守られている人ほどチャレンジするメリットに対して失うものが大きい。その意味では失うものがない、もしくは少ない人の方がチャンスかもしれない。最近は東京大学を卒業しても、官僚になるよりは、ビジネスを立ち上げる方がカッコいいと考える人が増えてきているようだ。いい傾向だと思う。クールにスマートにでも泥臭く這いずりながら頑張るのもいいものだ。

以上

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

勤務の内外比較やテレワークなど(マクロ経済と人材経営#5)

はじめに
先週の講義に続いて、今週の講義も盛り沢山だった。うまくまとめきれないけど、自分の印象に残ったキーワードを中心にレビューしてみたい。

日本型経営のメリットとデメリット
終身雇用、年功序列、参加型経営は日本的な経営の代表例だろうか。企業別組合制度を取り上げることも多いし、お客様第一主義なども日本的だろう。欧米型の経営は短期的経営や業績評価、統制型があげられる。つまり、統制する型と統制される側を明確に区別するのが欧米方式だけど、日本型はみんなで一緒にやろうという村型経営と言えるかもしれない。
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出典:http://www.valueassociatesinc.com/news/20080822.html

日本の現場は一流とトップは二流
かつての日本企業の競争力の源泉はトップの理念に共感した現場の頑張りだったのではないだろうか。設計図面よりも出来上がった製品の方が改良が加えられていて、作った後に設計図面を改良するなんてことも日本企業では普通にあった。欧米企業ではあり得ないだろう。しかし、そんな圧倒的に強かった現場力が低下している。逆にガバナンスが弱いと統治を強化しようとするが、そもそも統治能力にかけたトップの場合には最悪だ。現在の日本企業の迷走は、かつての日本企業の強みを消し、弱みを強化できない構造にあるように感じるのは自分だけだろうか。

同一労働同一賃金
同じ仕事をしているのに採用の条件が異なるだけで賃金に格差があるのはおかしいという論法だ。英語では、「Equal pay for equal work」という。国際労働機関(ILO)ではILO憲章の全文に掲げていて基本的人権の1つと考えている。でも、日本で使われ始めたのは2016年のニッポン1億総活躍プランの中で同一労働同一賃金が明記された。個人的には、この言葉には違和感を感じる。なぜなら、労働の対価である賃金を決めるのは、労働の内容や労働の時間だけではないからだ。その人に求められる責任や地位にも依存するだろうし、その人の能力や経験、年齢にも依存する。そもそもジョブ型であれば、違和感は少ないけど、メンバーシップ型では違和感が満載だ。
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出典:https://www.nagasaki-np.co.jp/kijis/?kijiid=569354314653434977

定年再雇用の葛藤
サザエさんの時代は55歳定年だ。波平の設定は定年を控えたおじいちゃんなので、54歳だ。現在は55歳で役職定年を迎えて、60歳で定年を迎える会社が多い。定年後も本人が希望すレバ65歳まで再雇用という受け皿を用意する企業も多いが、その時の年収は現役の頃のほぼ半分だ。なぜこれほど安いのかというと、政府が年金の支給年齢を60歳から65歳に変更するのに合わせて、政府が企業に再雇用制度を求めたからだ。企業からすれば追加コストの発生を最小限に留めたい。政府も年金支給時期の変更が必至なんで了承した。割りの合わないのは会社勤めの社員だ。中小企業の場合には、年齢になっても代りがいないということで部長職等を継続すると収入はそれほど落ちないが、大企業では代りはいる。パーソル総合研究所の調査でも年収の低下が不満というのが9割を占めている。
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出典:https://rc.persol-group.co.jp/column-report/201812050001.html

テレワークの女性活躍
情報通信技術を活用して場所や時間にとらわれない柔軟な働き方がテレワークだ。具体的な方法として、在宅勤務やモバイルワーク、サテライトでの勤務等がある。コロナ禍に対応するためにテレワークが一気に広がった。しかし、効果を発揮しているケースとそうでないケースがあるように思う。自宅にWi-Fi環境があり、できれば一人で集中できるスペースがあり、長時間の勤務でも疲れない椅子があれば集中できる。効果も発揮できる。逆に、幼稚園や小学校に行けずに自宅待機する子供の面倒を見る必要があったり、Wi-Fi環境が整備されていなかったり、そもそもパソコンがなかったりすると、集中できないし、効率も上がらない。このようなインフラ以外に、ジョブ型かどうか、上司や同僚との人間関係=信頼関係ができているかも大きな要因だ。管理職の時には、できるだけ部下には大きく任せるようにした。細かな仕事を都度頼む方法もあるが、そうではなく、もっと大きく任した方が本人もやる気になる。また、分担表は常に縦と横を意識した。例えば、営業職であれば、A社とB社を任せるというよりは、外資系の証券会社を任せるといった縦と、PC管理や勤務管理を任せるというよりは管理系を任せるという横だ。縦の分担のみだと忙しい人と暇な人が生じる。横だけでも同じだ。でも、縦の担当と横の担当を割り当てると結構うまくいく。
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出典:https://www.japan-telework.or.jp/taidan1503/index.html

ドイツのギムナジウム
英米日は基本的に6・3・3制度だ。つまり、小学校は6年間、中学校は3年間、高校が3年間だ。しかし、ドイツはかなり異なる。そもそも教育は文化の一部と考えられているため州によって異なるが、一般的には6歳の時に小学校に入学し、4年間勉強して、その後の進路をほぼ決める。ほぼ決める意味は、小学校の5年と6年の段階で変更可能なためだ。約3分の1は統合学校やギムナジウムに進学し、単科大学や大学、大学院に進む。残り3分の2は実家学校や基幹学校から職業教育や専修学校に進む。前者は勉強だけではなく、企業へのインターンを行う。日本のような名ばかりではなく、半年程度派遣され、お互いが合意すれば就職につながる。後者の場合にも学校内での勉学に加えて、企業での実習を行うため、学校を卒業する時点では即戦力だ。
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出典:Die deutsche Schule – ドイツの教育制度 | 138国際誌

金融系企業がグロービスを活用した研修プログラム
企業による社員研修のアウトソースも広がっているようだ。特に管理者の登用に向けて、経営を担える人材の育成が急務ということでグロービスのプログラムを活用する例が紹介されていた。長時間労働を是正し、スキルアップを図るには、終業後の時間を活用することは会社にも社員にもメリットがある。自分は、自主的に社会人学生になったが、テレワークとオンライン授業はお互いに効率的で良い組み合わせだ。昨年度はよく頑張って通勤&通学していたと自分を褒めてあげたいくらいだ(笑)。
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出典:https://gce.globis.co.jp/column/age-management-of-selection-training

テレワークがうまく機能する条件
そもそもテレワークに対応できる仕事と対応できない仕事があるだろう。契約書の締結など捺印が必要な処理のために毎日出社している人がいる。しかし、これは捺印を不要とする仕組みを作るべき。テレワークがうまく機能するには、何が大事なのだろう。個人的には、人間関係=信頼関係と、やるべきこと が明確=ジョブ型スクリプションの2つと思う。人間関係には、相手の気持ちや立場を想像して、フォローする気持ちも含まれるだろう。上司が部下のことを考えて、部下は顧客のことを考えて、提案したり、調整するようなら好循環が生まれると思う。また、自律的な仕事と他律的な仕事という切り口もあると思う。他律的な仕事はきちんと処理すべき事項や優先度、スケジュールをしっかり管理できているかどうか。自律的な仕事なら方向性を間違っていないかなどを時々相談できる人間関係があるとうまくいくだろう。
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出典:https://recruitgroup.jp/n/n6a873fe69651

スウェーデンセーフティネット
山田教授は自他共に認めるスウェーデン好きだ。何がそれほど魅力的なのだろう。スウェーデンに限らず、北欧諸国では公共職業教育訓練が国民に保障された権利として広く普及している。いわゆる初等・中等・高等の義務教育に加えて、高等職業教育がある。仮にリストラになっても95%の収入は保障され、対象者の強みや弱みをマンツーマンでケアしてくれる。受講生には所得補償制度があるほか、職場訓練を含む教育の場合には受け入れ先から賃金が支払われ、受け入れ先には相応の賃金額が償還されるという。さすがです。
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出典:https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2016/176.html

西郷隆盛の言葉
講義では時間の関係で割愛されたが、興味深いスライドが混じっていた。それは能がある人には何をあたえるのか、功のある人には何を与えるのか、徳のある人には何を与えるのかという質問だ。西郷隆盛の遺訓集である南洲翁遺訓(なんしゅうおういくん)の第一条には為政者の基本的姿勢と人材登用の考え方が示されている。特に有名なのは、「心を公平に操り、正道を蹈み、広く賢人を選挙し、能く其の職に任ふる人を挙げて政柄を執らしむるは、即ち天意也。」の部分だろうか。また、「国家に勲労有るとも、其の職に任へぬ人を官職を以て賞するは善からぬことの第一也」と説いている。つまり、功績があるからと地位を与えてはいけない。「官は其の人を選びて之れを授け、功有る者には俸禄を以て賞し、之れを愛し置くものぞ」と、功があれば、禄を与えて評価すべきと説いている。地位と権限を与えるにふさわしいのは徳のある人だという。ここで徳のある人とは、自分の利益や部分の利益を考えるのはではく、国全体の利益を考えて行動する人のことだと理解する。つまり、今風に言えば、能あるものにはチャンスを、功あるものには収入を、徳あるものには地位を与えよということだ。
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出典:http://www.1-em.net/sampo/gennsisiroku/saigoB/index.htm

まとめ
今回も盛り沢山だった。最後には日本型経営はグローバル経営に通じるか、通じるようにするにはどうすれば良いかなどをグループ討議した。これはこれでいろいろな意見が出て興味深かったが、ここでは割愛する。あと、2回か。もっと聞きたいと思う。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。