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人的資源管理論II#2「高齢者雇用」を受講して

はじめに
藤村裕之教授による人的資源管理論IIで、本日のテーマは高齢者雇用だった。参加した中で60歳以上だったのは、自分と藤村先生のみだった。現役の大学生にはピンとこない問題だったかもしれないが、自分にとっては、非常に切実な問題だ。

高齢化社会と高齢社会
65歳以上の人口が、全人口に対して7%を超えると高齢化社会という。14%を超えると「化」が抜けて高齢社会という。さらに、21%を超えると超高齢社会という。現在の日本の65%以上の比率は2018年9月時点28%を超えている、しかし、超超高齢社会という定義はないので、超高齢社会となる。さらに下のグラフによれば、2030年には30%を超えるというが、もっと前倒しになりそうな感じがする。
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 出典:日本の超高齢社会の特徴 | 健康長寿ネット

高齢者の定義と8掛け
国連の報告書で高齢者を65歳と定義したのは1956年だ。当時の日本の平均寿命は男性で63.6歳、女性で67.5歳だった。平均寿命を超えた人が高齢者と呼ばれていた。しかし、2018年の平均寿命は男性が81.2歳、女性が87.3歳だ。平均寿命を超える人を高齢者と定義するのであれば、85歳以上と再定義すべきなのかもしれない。
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 出典:平均寿命最高更新 女性87・32歳、男性81・25歳 - 産経ニュース

元気だから働くのか、働くから元気なのか
笑うから楽しいのか、楽しいから笑うのか。普通は楽しいから笑うと考えるが、最近の研究では笑うと楽しい気分になるだけではなく、笑うと脳の前頭葉が興奮して、間脳に伝達され、神経ペプチドを作る。楽しい笑いの情報は、善玉ペプチドを通じてNK細胞に付着しガン細胞を殺す。つまり、笑うことでガンと闘う力が強まる。逆に、悲しみやストレスは悪玉ペプチドを作ってしまう。まさに、「笑う角には福来る」だ。同様に健康に働くことで元気にもなる。人間は役割や社会とのつながりが生きる張り合いになるので、ボランティアでも、家事でもなんでも良いけど生きがいを感じることが大事なのだろう。
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 出典:笑いのメカニズム

東洋と西洋での文化の違い
ヨーロッパでは仕事をするのは辛いことだと考える。したがって、年金生活ができるようになると仕事をしない。しかし、日本では、仕事を人格形成の場と考える節がある。仕事には、A=自分がやりたいこと、B=自分がやるべきこと、C=自分しかできないことの3種類がある。このAとBとCという3つの円が重なるところで仕事をできる人は幸せだし、やる気も起きる。ワクワク感も感じられる。日本人は仕事が好きだと言われるのはそんな自己実現の場と考える東洋思想にあるのではないだろうか。
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 出典:https://business-career.jp/articles/ucGy4KS6slSywtNCsCxR

労働力率
少子高齢化が進むと高齢者を支えるのが大変だという。本当だろうか。総務省統計局の労働力人口の推移を見ると、2012年の6,565万人を底にして、2017年には6,720万人まで増加している。人口が減少しているのに労働者が増えている。つまり、労働者数は増加している。少子高齢化になっても、女子の活躍や定年延長が進めば労働力率は減らない。労働力率とは、就業者数と完全失業者数とを合わせた労働力人口が15歳以上の人口に占める割合のことだが、2018年で52.7%だ。
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 出典:統計局ホームページ/統計Today No.139

就業者比率
高齢者の就業と雇用は同じではない。この点を質問すると、就業者6,500人のうち雇用者が約5,600人なので、自営業や家族従業者は約900万人となる。下のグラフはH12版厚生白書に掲載されていたもの(授業のテキストではない)で、少し古いが、高齢になる程自営業の比率が高いことを示している。高齢者をいかに雇用するかは大きな課題だけど、個人的には、高齢者をいかに自立させて、自営業として食えるようにするのかが大事なのではないかと思う。
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 出典:https://www.mhlw.go.jp/www1/wp/wp00_4/chapt-a1.html

高齢者の雇用は若者の雇用を奪うのか
授業の中で、「ドイツでは高齢者が大量に引退した時に、若年層がその仕事に着いたのかと言えばそうでは無かった」という説明があった。つまり、ベテランの高齢者のポストを引き継いだのは、その次の年代であり、その次の年代のポストを引き継いだのはさらにその次の年代と順送りとなった。結果、空いたポストは単純できつい仕事だ。そこはドイツ人の若者ではなく、外国人労働者が対応したようだ。

高年齢雇用継続給付
日本では、高年齢者雇用安定法が1971年に制定された。その後も定年の義務化に関する内容が改正され、2013年には希望者全員の65歳までの雇用が義務化された。しかし、再雇用時の所得は大幅にカットすることが容認された。年収300万円とか、400万円に半減された例も少なく無い。このため、再雇用時の給料が現役時代に比べて25%以上ダウンした場合には、再雇用後の月給の最大15%を受領出来るという「高年齢雇用継続給付」という制度が導入された。しかし、これは焼け石にみずだ。高齢者のインセンティブの低さの元凶はこの再雇用時の給料の低さだと思う。
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 出典:https://diamond.jp/articles/-/137606

定年のない米国
全ての国で定年があるのだろうか。下の図のように、ドイツやフランスは65歳から67歳に定年が延長されている。また年金も充実しているので、6割以上の所得を得られる。米国と英国ではそもそも定年のいう制度はない。ただし、年金の支給の基準はある。欧米と比べて日本の最終所得比が30%というのはちょっとびっくりだ。なぜ日本のマスコミはもっとこれに対して問題提起しないのだろう。日本の野党も「桜を見る会」を指摘するよりも、こういう問題をもっと議論してほしい。
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 出典:公務員定年、欧米は撤廃・延長 日本も65歳へ上げ検討 :日本経済新聞

ダイキンは定年と再雇用の間で3ヶ月の休み

空調機大手の代金では、再雇用に際して多様な選択肢を用意している。高齢者の年代になって感じるのは、時間を無駄に費やしたくないことだ。仕事があれば、八時間でも十時間でも働くけど、所定の仕事が完了したら、さっさと会社を出て、大学の勉強したり、副業したり、趣味の時間に使いたい。ネットでは裏を取れなかったけど、ダイキンでは定年してから再雇用するまでの間に3ヶ月の休みを取れるようだ。これはユニークで有効な方法だ。なぜ有効かと言えば、最初の1ヶ月は楽しい。次の2ヶ月も旅行に行ったりして楽しい。でも、3ヶ月も経過すると退屈になる。暇を弄ぶ。家にいても邪魔にされる。これなら仕事をしている方がいい。そんな気持ちになるのが3ヶ月という期間なのかもしれない。
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 出典:https://www.jeed.or.jp/elderly/research/employment_case/om5ru8000000bvbs-att/om5ru8000000bvkw.pdf

時代を超えて通用する能力
自分が勤務する会社では、55歳で役職定年になった。そして、その5年前の50歳の時に3週間の休みを取らないといけない。後5年で役職定年だよ!さらにその5年後は定年だよ!自分の人生をどうするか見つめなおしなさいよ!そんなメッセージを含む施策だ。家族で海外旅行でもしようと相談したら、子供が中学受験でそれどころではないという。大丈夫だろうと思ったけど、最初の1週間は家族で埼玉の動物園に行ってコアラとかカンガルーを観に行った。残る2週間はオーストラリアに単身でゴルフ留学した。ホームステイ制度を使ったので格安だった。さらにそれから9年の間に毎年資格試験にチャレンジして、9の資格を取得した。本当は10年目も2つの資格試験にチャレンジしたけど、両方ともダメだった(涙)。今は2年かけてMBAに挑戦しているので、残念ながら今年もない(汗)。

ダイバーシティマネジメント
藤村先生は、高齢化も女性活用もダイバシティーマネジメントの一環であるべきだととく。その通りだと思う。その時に連想するのは、下の幌馬車の絵だ。幌馬車を移動させるのに多くの人が協力している。一つの目的に向かって協力している。しかし、これを観て、あなたは横を向いたり、反対の方向に引っ張ったりしていませんか?という人がいる。しかし、そんないろいろな人がいるから幌馬車はちゃんと移動できるのだと思う。働きアリと同じ原理だ。もし、全ての働きありが100%仕事をしようとしたら、働きアリは絶滅してしまう。無駄に見える休憩や遊びがあるから働きアリは機能し続ける。そんなことをこの幌馬車を見るたびに思い出す。
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 出典:幌馬車 | // 夢 と 感 謝 を 忘 れ ず に //

まとめ
今回は高齢者雇用と自分にとっては切実というか、身近な話題だった。自分はまだ恵まれている方だと思うけど、高齢者雇用者に必要なのは、やはり頼まれたことはホイホイと引き受けて、信頼関係を強めていくことと、好奇心を失わず自己投資することだと思う。

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。