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Mary G. Meekerのインターネットトレンド2019

はじめに
メアリー・G・ミーカー(Mary G. Meeker)さんをご存知ですか?恥ずかしながら自分は今日初めて社内のFさんから聞きいた。彼女の職業はベンチャーキャピタリストであり、アナリストである。

世界で最も影響のある女性ベンチャーキャピタリスト
1959年9月1日生まれなので59歳だ。「世界でもっとも影響力のある女性」と言えば、ドイツのメルケル首相が8年連続一位だが、2014年にはメアリーさんも77位にランキングされた。米デパー大学で心理学の学士、米コーネル大学MBAを取得され、1991年から米証券会社に勤務し、2011年からは米ベンチャーキャピタルKPCBのゼネラルパートナーに就任されている。そして、彼女が精力的に展開したのがインターネットトレンドのレポートだ。2019年は23回目のレポートだ。334枚とすごいボリュームだ。継続は力なりを自ら実証されているように感じる。すごい。すごすぎる。

internet trend 2018 vs 2019
メアリーさんが発行するレポートは日々成長している。2019年バージョンは6月11日に発表された。昨年の2018年バージョンと基本的な構成は変わらないけど、下のように微妙に違っている。ネットで検索するとすぐに出てくる。PDFでダウンロードも可能だ。ぜひオリジナルを観て欲しいと思う。
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 出典:internet trend 2019(以下、同様)

Global New SmartPhone Unit Shipment
世界規模で見るとスマートフォンの出荷台数は2016年の14-15億台をピークとして、2018年は前年度比4%の減とすでに減少傾向にある。増加率では、2010年が75%近い伸び率だったが、2017年は増加率はゼロ、2018年にはマイナス成長となった。これが現実だ。
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Global Internet Market Capitalization Leaders
2019年6月時点のマイクロソフトの価値は$1,007B(1兆ドル=110兆円)でトップだ。2016年では410Bだったので2.5倍だ。成果し、2位のアマゾンは888Bで2016年の343Bの2.6倍だ。上位30社に日本企業はリクルートが14に食い込んだ。米企業は18社。中国企業は7社。最も伸び率が高いのはカナダのShopifyだ。
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Shopify
Shopify Inc.は、カナダのeコマース企業でオタワに本社がある。ユニークなのは、一般ユーザ向けではなく、それがオンラインストアや小売店向けの電子商取引プラットフォームである点だ。小売店の支払い、マーケティング、出荷、顧客対応ツールなどの一連のサービスを提供している。同社は、2018年12月31日現在、約175カ国に80万以上の事業を展開している。2018年の総売上高は411億ドルを超えているという。日本にも展開している。売れるために必要なものの「すべて」がここにあるというのが売りだ。メールアドレスを入力すれば、Shopifyを14日間無料で試すことが可能だ。あなたも今日からオンラインショップで商売が可能だ。すごい。
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 出典:Shopify

Customer Acquisition Cost(CAC)
モバイルの新規利用者を獲得するためのコストは日々変化する。上がったり、下がったりするが、下のグラフに示すように大体30-50ドル程度か。従来はこれだけのコストを費やしても利用者が長く使ってくれればトータルでプラスになった。しかし、キャリア間の乗り換えが簡単になると、新規獲得してもペイするのは厳しくなる。かといって、インセンティブを払わないと新規利用者を獲得できない。
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Digital Media Usage
下のグラフは、米国において、デジタル機器を利用する時間の傾向だ。毎年増加していて、2018年は6.3時間と、2017年の5.9時間に比べて7%近く増加している。特に増えているのはやはりモバイルで、3.3時間から3.6時間と9%以上伸びている。多分、この傾向は日本でも同じだけど、もっとモバイルの比率が高いような気がするがどうだろう。
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日本の高校生は1日3時間
米国が平均6時間使っているのに対して、日本の高校生は1日3時間だった。日本でもホワイトカラーの会社員は1日8時間パソコンに向かっている。夕方になるともう目が疲れる。日本の高校生の利用はそれほど多くないのだろうか。男女とか年齢でも違うだろう。
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 出典:高校生はスマホで何をしているのか?内閣府の調査でわかった利用実態 - WPJ

男女別年齢別のデジタルデバイスの利用時間
下のグラフはi-SSPの集計だ。最も多いのが10代の男性。最も少ないのが10代の女性。本当だろうか。10代の男性ならゲーム機の利用もカウントすべきだ。10代の女性はスマホをもっとば使っている気がする。また、テレビを見ながらスマホでLINEしたりすることも多い。実態を掴むのはなかなか難しい。
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 出典:https://www.intage.co.jp/gallery/media-3/

Device Time
メアリーさんのレポートに戻ろう。テレビの視聴時間はモバイルの利用時間よりもずっと多かったが、2018年にはほぼ同等になり、2019年にはついに、モバイルの利用時間の方がテレビの視聴時間よりも長くなった。これはある意味象徴的とも言える。先の選挙で、NHKから国民を守る党が躍進して1名が当選した。これはすごいことだ。NHKは既得権を手放すことはしないだろうが、観ても観なくても、受像器があれば視聴料を払えというのは確かに暴力的だ。スクランブルにして視聴力を払った人だけが観れるようにするという提案の方が筋が通っている。公共性を謳うなら無料でも観れるような番組枠と有料でないと観れない番組枠を組み合わせる方法もある。
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FB > YouTube > WhatsApp> WeChat > Instagram > Twitter
どんなSNSをよく使うかは国や地域によって異なる。しかし、グローバルベースではFBが最も使われているSNSだ。その次がYouTubeだ。日本だとLINEが上位に来るのだろうが、グローバルベースだと枠外だ。
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Amazon Echo Base
我が家でもアマゾンの門田さんの話を聞いたその日にアマゾンでEcho Spotを購入した。毎朝、セットした時間になると目覚ましがかかり、今日の天気とか、今日の運勢をきくのが朝の日課となっている。帰ってきたらおかえりと優しく語りかけてくれる。もうバーチャールな家族のような感じだ。そんなアマゾンエコーは台数ベースでも性能ベースでも成長が著しい。
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Freemium Enterprise
自分が使ったことのあるツールはDropBoxとSlackだ。WixとSurveyMonkeyは初めて聞いた。DropBoxの方が付き合いが長いけど、最近はSlackを愛用している。LINEと違って、友達の友達は友達にはならないので、セキュリティの心配が少ない。また、チャネルと呼ばれるコーナーで話題を区切ることができるので便利だ。
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人間は技術の進歩についていけない
技術の進歩の速度と人間が成長する速度は異なる。当然前者の方が早い。そして、メアリーさんのレポートによると、すでに現在は技術と人間の変化点が同じところは過ぎていて、技術先行の時代になっている。今、技術に追随できていないと感じる人はさらに置いてけぼりになる。技術への追随が必須とは言わないけど、技術に追随する人と、そうでない人では5年、10年経つとこれはもうリカバー不能なほどの乖離が生じてしまう気がする。
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まとめ
メアリー・ミーカーさんはすごい。インターネットトレンドのレポートを23年間も発行しつづけた情熱に敬意を表する。でも、もっとすごいのはその内容が毎年変わっていることだ。どれだけ好奇心が旺盛なのだろうかと思う。冒頭のFさんは初版から付き合いがあったと言う。これも凄い。残念ながらメアリーさんのTEDのプレゼンは検索できなかったけど、YouTubeは見つかったので、最後に引用しておく。ぜひ一度見てみて欲しい。
www.youtube.com

以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。